説明

ナビゲーション装置

【課題】 曲がるべき交差点を確実に案内し、交差点における信号待ちの心理的負担をも軽減する。
【解決手段】 設定した経路に従って目的地までの案内を行うナビゲーション装置において、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段(11)と、交差点の信号機に関する情報を格納した情報記憶手段(2)と、目的地までの経路を設定する経路設定手段(12)と、設定した経路上の案内を行う交差点を設定する案内交差点設定手段(13)と、案内交差点から所定距離内に位置したとき、前記情報記憶手段を検索し、案内交差点の信号機に関する情報を検索する信号機データ検索手段(14)と、検索された信号機に関する情報を案内する案内制御手段(15)とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は曲がるべき交差点を確実に案内できるようにしたナビゲーション装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置においては、設定した経路に沿って音声や表示による案内が行われており、特に右左折が必要な交差点では、交差点拡大図を表示したり、数回の音声案内による詳細な案内が行われている。交差点拡大図では、目印になる建造物等の案内も行っているが、実際には交差点における目印建造物が他の建造物に隠れていたりすることがある。そのため、目印施設位置と、自車位置との間に障害物が存在すると、目印施設を変更するものが提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、分岐道路が多数ある交差点(高難度の交差点)では、どの分岐へ行けばよいのか分かりにくく、そのため、このような高難度の交差点に対しては複数の目印情報を提供してユーザにより目印を設定しておき、当該交差点に差し掛かったときに設定した目印を音声案内するものも提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−57048号公報
【特許文献2】特開2004−205405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように目印施設を変更する場合、分かりやすい目印がない場合には運転者は戸惑うことになり、特許文献2においても設定した目印が分かり易いものでなければ同様である。特に、交差点が連続する場合などではどの交差点を右左折するのか判り難いという問題がある。また、右左折すべき交差点に行っても、どの程度信号待ちしなければならないか分からず、さらに交差点の形状が複雑な場合は右左折するタイミングが分かり難いことがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記課題を解決しようとするもので、曲がるべき交差点を確実に案内し、さらに交差点における信号待ちの心理的負担をも軽減することを目的とする。
そのために本発明は、設定した経路に従って目的地までの案内を行うナビゲーション装置において、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、交差点の信号機に関する情報を格納した情報記憶手段と、目的地までの経路を設定する経路設定手段と、設定した経路上の案内を行う交差点を設定する案内交差点設定手段と、案内交差点から所定距離内に位置したとき、前記情報記憶手段を検索し、案内交差点の信号機に関する情報を検索する信号機データ検索手段と、検索された信号機に関する情報及び前記経路設定手段によって設定された経路に基づいて案内交差点の信号機に関する信号機案内情報を作成し、該信号機案内情報の案内を行う案内制御手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明は、設定した経路に従って目的地までの案内を行うナビゲーション装置において、車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、目的地までの経路を設定する経路設定手段と、設定した経路上の案内を行う交差点を設定する案内交差点設定手段と、案内交差点の信号機に関する情報を通信により取得する信号機情報取得手段と、前記信号機情報取得手段により取得した案内交差点の信号機に関する情報を案内する案内制御手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、案内交差点から所定距離内に位置したとき、案内交差点の信号機に関する情報が案内されるため、信号機を目印とすることで曲がるべき交差点が確実に案内され、また、信号機に関する情報を知ることができるため、交差点における信号待ちの心理的負担をも軽減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は本実施形態の一例を説明する図である。
ナビゲーション装置本体1は、GPS(Groval Positioning System)により計測される位置情報、タイヤ回転数に応じた車速パルスから算出される走行距離、マップマッチング等に基づいて現在位置を検出する現在位置検出手段11、設定した目的地までの経路を求めて設定する経路設定手段12、経路上の曲がるべき交差点や分岐点を案内交差点として設定する案内交差点設定手段13、案内交差点における目印としての信号機情報を検索する信号機データ検索手段14、検索した信号機情報を案内する案内制御手段15を備えており、情報記憶装置2に格納されている地図データ21、案内用データ22、信号機データ23を読み出して経路探索、経路案内を行う。
【0008】
本実施形態では、情報記憶装置2に案内交差点の信号機データ23が格納されている。格納される信号機のデータは、矢印式信号機(右折矢印を設けた右折矢印式信号機、全ての車両を矢印で制御し、右折車両と直進車両の流れを分離するセパレート矢印式信号機)、時差式信号機(対向直進車両の流れを先に止めて右折車両を流す信号機)、感知式信号機(交通量が少ない方向の道路に車両用感知器、歩行者用及び二輪車用の押ボタンを設置し、通常は赤信号で、車両または横断歩行者がいるときだけ青信号を表示する信号機)、押しボタン式信号機、対向車線交互通行方式信号機等の信号機の種類と、各信号機のサイクル時間(信号機の切り替わる時間)である。
【0009】
ナビゲーション装置本体の現在位置検出手段11で、案内交差点に所定距離(例えば500m)内になったことが検出されると、信号機データ検索手段14により情報記憶装置2から次の案内交差点の信号機データを検索して読み出し、案内制御手段15により信号機の種別を案内する。そして、案内交差点までの距離が50m以内、または停車したとき、信号機のサイクル時間を案内する。このように、まず、信号機の種別を案内することで、信号機自体が案内交差点の目印となり、通常、信号機は見やすい位置に設置されるため、その確認のために戸惑うことは起こらない。そして、停車位置またはその近傍では、信号機のサイクル時間が案内されるため、どの程度の時間で信号が切り替わるかを予測できるため、信号待ちの心理的負担が軽減される。なお、上記の例では案内交差点の信号機データの検索読み出しを案内交差点から所定距離内になったとき行っているが、経路設定した段階で、経路上の全案内交差点の信号機データを読み出して保持するようにしてもよい。
【0010】
図2は本実施形態の他の例を示す図である。
本実施形態では、情報記憶装置が信号機データをもたず、情報センター3から経路上の案内交差点における信号機の種類とサイクル時間を取得するようにしている以外は、図1の場合と同様である。交差点の信号機は、その周辺の施設等と比較すると更新期間が短いと考えられ、経路案内の目印として使用する場合、ナビゲーション装置側で信号機のデータをもつと古いデータが使用されるケースが多くなる可能性があり好ましくない。そこで、信号機データ取得手段14′により情報センターから最新の信号機データを取得して案内を行う。情報センター3からの信号機データの取得は、案内交差点から所定距離内になったとき行ってもよく、或いは経路設定した段階で、経路上の全案内交差点の信号機データを取得するようにしてもよい。また、個々の信号機に通信機を備えておき、案内交差点の信号機に関する情報を、信号機に備えられた情報送信機から通信により取得するようにしてもよい。
【0011】
次に、本実施形態における信号機の表示例、音声案内の例を説明する。
図3は信号機の表示例を示す図であり、図3(a),図3(b)は「○○交差点」の右折矢印式信号機を案内目印とした例であり、図3(a)は交差点に接近中、図3(b)は交差点近くで停車中(信号待ち中)を表している。
【0012】
図3(a)の交差点に接近中では、例えば、音声で「××メートル先○○交差点を右方向です。右折信号があります。」を案内する。図3(b)の交差点近くで停車中では、音声で「信号のサイクル時間は90秒です。しばらくお待ち下さい。」、「対向車が多い場合は、右折信号点灯中安全に右折できます。」を案内する。
【0013】
図3(c)、図3(d)は「○○交差点」の時差式信号機を案内目印とした例であり、図3(a)は交差点に接近中、図3(b)は交差点近くで停車中(信号待ち中)を表している。
【0014】
図3(a)の交差点に接近中では、例えば、音声で「××メートル先○○交差点を右方向です。時差式信号です。」を案内し、図3(b)の交差点近くで停車中では、音声で「信号のサイクル時間は90秒です。しばらくお待ち下さい。」、「対向車が停車したら、安全に右折できます。」を案内する。
【0015】
次に案内交差点を案内する処理の例を説明する。
図4は交差点案内処理フローの例を示す図である。
ステップS1において、案内交差点までの距離が500m以内か否か判断し、500m以内に達するとステップS2に移って交差点の信号機データを車両の進行方向に従って取得する。例えば、矢印式信号機の場合、図5(a)に示すように、種類は矢印式、サイクル時間は、赤45秒、青60秒、黄5秒、右折10秒、詳細は右折信号ありのデータを取得する。また、押しボタン式信号の場合、図5(b)に示すように、種類は押ボタン式、サイクル時間は、赤20秒、黄5秒のデータを取得する。
【0016】
ステップS3では、取得した信号機データに基づき、経路上の信号機に関する種類、サイクル時間等の案内データ作成し、例えば、音声で「××メートル先○○交差点を右方向です。右折信号があります。」「××メートル先○○交差点を右方向です。押ボタン式信号があります。」を案内する。次いで、ステップS4では、案内交差点までの距離が50m以下で停車中か否か判断し、停車中であればサイクル時間データがあるか否か判断して(ステップS5)、サイクル時間データがあればサイクル時間を案内する(ステップS6)。例えば、音声で「サイクル時間は120秒、赤信号の時間は45秒です。」或いは「赤信号の時間は20秒です。」のように案内する。ついで、信号機の詳細データがあるか否か判断し(ステップS7)、詳細データがあれば案内する(ステップS8)。例えば、音声で「対向車が多い場合は、右折信号点灯中安全に右折できます。」のように案内する。なお、センタ3や個々の信号機に設置された情報送信機から案内データを取得し、取得した案内データを用いて信号機の案内を行うこともできる。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明によれば、曲がるべき交差点を確実に案内し、さらに交差点における信号待ちの心理的負担をも軽減できるので産業上の利用価値は大きい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施形態の一例を説明する図である。
【図2】本実施形態の他の例を説明する図である。
【図3】信号機の表示例を示す図である。
【図4】交差点案内処理フローの例を示す図である。
【図5】信号機データの例を示す図である。
【符号の説明】
【0019】
1…ナビゲーション装置本体、11…現在位置検出手段、12…経路設定手段、13…案内交差点設定手段、14…信号機データ検索手段、15…案内制御手段、5を備えており、2…情報記憶装置、21…地図データ、22…案内用データ、23…信号機データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設定した経路に従って目的地までの案内を行うナビゲーション装置において、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
交差点の信号機に関する情報を格納した情報記憶手段と、
目的地までの経路を設定する経路設定手段と、
設定した経路上の案内を行う交差点を設定する案内交差点設定手段と、
案内交差点から所定距離内に位置したとき、前記情報記憶手段を検索し、案内交差点の信号機に関する情報を検索する信号機データ検索手段と、
検索された信号機に関する情報及び前記経路設定手段によって設定された経路に基づいて案内交差点の信号機に関する信号機案内情報を作成し、該信号機案内情報の案内を行う案内制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
設定した経路に従って目的地までの案内を行うナビゲーション装置において、
車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
目的地までの経路を設定する経路設定手段と、
設定した経路上の案内を行う交差点を設定する案内交差点設定手段と、
案内交差点の信号機に関する情報を通信により取得する信号機情報取得手段と、
前記信号機情報取得手段により取得した案内交差点の信号機に関する情報を案内する案内制御手段と、
を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
前記案内制御手段は、前記信号機情報取得手段により取得した案内交差点の信号機に関する情報及び前記経路設定手段によって設定された経路に基づいて案内交差点の信号機に関する信号機案内情報を作成し、該信号機案内情報の案内を行うことを特徴とする請求項2記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記案内制御手段は、案内交差点に所定距離内に接近したとき、信号機の種類を案内することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記案内制御手段は、案内交差点の直前または停車したとき、信号機のサイクル時間を案内することを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記信号機情報取得手段は、前記案内交差点の信号機に関する情報を、信号機情報を記憶した情報センタから通信により取得することを特徴とする請求項2または3記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記信号機情報取得手段は、前記案内交差点の信号機に関する情報を、信号機に備えられた情報送信機から通信により取得することを特徴とする請求項2または3記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−337334(P2006−337334A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−165764(P2005−165764)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】