説明

ナビゲーション装置

【課題】 夜間地図表示において複雑な地点を容易にかつ的確に把握することができ、ひいては、ルート案内を適切に行うことができる「ナビゲーション装置」を提供すること。
【解決手段】 夜間地図表示における特定の地点を、当該特定の地点の周辺の領域に対して明度、彩度および色相の少なくとも一つを異ならせて強調表示するための強調表示制御を行う表示制御部13を備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に係り、特に、表示部によって昼間地図表示と夜間地図表示とを選択的に行うのに好適なナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置においては、表示部に表示される地図情報の夜間における視認性を向上すべく、昼間地図表示とは明度、彩度および色相が異なった夜間地図表示を行う機能が採用されている。
【0003】
このような、夜間地図表示を行う機能を備えたナビゲーション装置によれば、図3に示すように、夜間地図表示において、背景、道路およびランドマーク等の表示を、夜間における視認に好適と思われる色調によって一様に統一するようになっていた。
【0004】
【特許文献1】特開平10−221424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のナビゲーション装置は、夜間地図表示の際に、立体交差や交差点等の、走行上において重要となる複雑な地点についても、他の領域と同様の明度、彩度および色相による表示を行っていた。
【0006】
しかし、このような複雑な地点は、背景色と道路色との間における明度差および彩度差が小さいため、当該地点を一見して的確に把握することが困難となる場合があった。特に、広域の縮尺において夜間地図表示を行う場合には、複雑な地点を他の領域から識別することが一層困難となっていた。
【0007】
そこで、本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、夜間地図表示において複雑な地点を容易にかつ的確に把握することができ、ひいては、ルート案内を適切に行うことができるナビゲーション装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するため、本発明に係るナビゲーション装置の特徴は、表示部によって昼間地図表示と夜間地図表示とを選択的に行うことが可能とされたナビゲーション装置において、前記夜間地図表示における特定の地点を、当該特定の地点の周辺の領域に対して明度、彩度および色相の少なくとも一つを異ならせて強調表示するための強調表示制御を行う表示制御部を備えた点にある。
【0009】
そして、このような構成によれば、表示制御部の強調表示制御によって、夜間地図表示における特定の地点を強調表示することが可能となる。
【0010】
また、本発明に係るナビゲーション装置の特徴は、表示制御部による強調表示制御が、特定の地点を前記昼間地図表示によって表示するための制御である点にある。
【0011】
そして、このような構成によれば、昼間地図表示を夜間地図表示に援用することが可能となる。
【0012】
さらに、本発明に係るナビゲーション装置の特徴は、表示制御部が、自車が前記特定の地点から所定の距離の位置に到達したときに前記強調表示制御を行う点にある。
【0013】
そして、このような構成によれば、特定の地点のうち、自車がこれから通過する地点を選択して強調表示することが可能となる。
【0014】
さらにまた、本発明に係るナビゲーション装置の特徴は、特定の地点が、交差点、環状交差路、立体交差、インターチェンジおよびランプの少なくとも1つを含む点にある。
【0015】
そして、このような構成によれば、特定の地点として、交差点、環状交差路、立体交差、インターチェンジおよびランプの少なくとも1つを強調表示することが可能となる。
【0016】
また、本発明に係るナビゲーション装置の特徴は、表示制御部が、所定の縮尺よりも広域の縮尺で夜間地図表示を行う場合に、当該夜間地図表示における特定の地点を強調表示するための制御を行う点にある。
【0017】
そして、このような構成によれば、特定の地点を周辺の領域と識別することが特に困難となる広域の縮尺での夜間地図表示を行う場合に、特定の地点を強調表示によって周辺の領域から識別しやすくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るナビゲーション装置によれば、表示制御部の強調表示制御によって、夜間地図表示における特定の地点を強調表示することができる結果、夜間地図表示において複雑な地点を容易にかつ的確に把握することができ、ひいては、ルート案内を適切に行うことができる。
【0019】
また、本発明に係るナビゲーション装置によれば、昼間地図表示を夜間地図表示に援用することができる結果、さらに簡易な手法によって強調表示を行うことができ、コストを削減することができる。
【0020】
さらに、本発明に係るナビゲーション装置によれば、特定の地点のうち、自車がこれから通過する地点を選択して強調表示することができるため、さらに適切なルート案内を行うことができる。
【0021】
さらにまた、本発明に係るナビゲーション装置によれば、夜間地図表示における交差点、環状交差路、立体交差、インターチェンジおよびランプの少なくとも1つを強調表示することができる結果、夜間地図表示において交差点、環状交差路、立体交差、インターチェンジおよびランプの少なくとも1つを容易にかつ的確に把握することができる。
【0022】
また、本発明に係るナビゲーション装置によれば、特定の地点を周辺の領域と識別することが特に困難となる広域の縮尺での夜間地図表示を行う場合に、特定の地点を強調表示によって周辺の領域から識別しやすくすることができる結果、広域の縮尺での夜間地図表示において複雑な地点を容易にかつ的確に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の実施形態について、図1および図2を参照して説明する。
【0024】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置1は、GPSレシーバ2を有しており、このGPSレシーバ2は、GPS衛星3から軌道と時刻の情報を受信して受信結果を出力するようになっている。
【0025】
GPSレシーバ2には、ナビゲーションメインユニット4が接続されており、このナビゲーションメインユニット4は、自車を目的地まで案内するナビゲーションを行うための種々の制御を行うようになっている。
【0026】
ナビゲーションメインユニット4には、液晶パネル等の表示部5が接続されており、この表示部5は、ナビゲーションメインユニット4によって作成された描画データに基づいて、地図表示や交差点拡大表示等のルート案内に必要な表示を行うようになっている。
【0027】
また、ナビゲーションメインユニット4の入力側には、リモコンユニット6が接続されており、このリモコンユニット6は、操作者の操作によって、目的地等の種々の入力情報をナビゲーションメインユニット4に入力するようになっている。なお、表示部5がタッチパネル方式の液晶パネルである場合には、表示部5のタッチパネルを介して入力情報を入力することができる。
【0028】
さらに、ナビゲーションメインユニット4の出力側には、スピーカ等の音声出力部7が接続されており、この音声出力部7は、ナビゲーションメインユニット4によって作成された音声案内データにしたがって音声案内を行うようになっている。
【0029】
さらにまた、ナビゲーションメインユニット4の入力側には、ディスクドライブ8が接続されており、このディスクドライブ8には、地図データが格納されたCDやDVD等のディスクが搭載可能とされている。なお、ディスクドライブ8は、ハードディスクドライブ(HDD)であってもよい。
【0030】
次に、ナビゲーションメインユニット4についてさらに詳述すると、このナビゲーションメインユニット4は、リモコンユニット5の出力側に、ユーザインターフェース9を有している。このユーザインターフェース9は、リモコンユニット6によって入力された入力情報をシステムバス10に出力するようになっている。
【0031】
また、ナビゲーションメインユニット4は、ディスクドライブ8の出力側にデコーダ11を有しており、このデコーダ11は、ディスクドライブ8から入力された圧縮された地図データを符号化(解凍)するとともに、符号化した地図データをシステムバス10に出力するようになっている。このデコーダ11は、必要に応じて設けるようにすればよい。
【0032】
さらに、ナビゲーションメインユニット4は、GPSレシーバ2の出力側に、ナビCPU13を有しており、このナビCPU13には、GPSレシーバ2の受信結果が入力されるようになっている。
【0033】
ナビCPU13の入力側には、車速センサやジャイロセンサ等の各種センサ12が接続されており、これら各種センサ12の検出結果が、ナビCPU13に入力されるようになっている。
【0034】
ナビCPU13は、システムバス10を介してリモコンユニット6からの入力情報を取得するとともに、取得した入力情報にしたがって目的地までのルート計算を行うようになっている。
【0035】
そして、ナビCPU13は、ルート計算によって求められたルートにしたがって自車を画像によりルート案内するための描画データを作成させることを内容とした指令信号を出力するようになっている。
【0036】
その際に、ナビCPU13は、前記指令信号として、昼間地図表示に対応する描画データを作成させることを内容とした指令信号と、夜間地図表示に対応する描画データを作成させることを内容とした指令信号とを選択的に出力するようになっている。
【0037】
この指令信号の選択は、例えば、自車の前照灯の点灯状態に基づいて行うようにしてもよい。
【0038】
さらに、本実施形態において、ナビCPU13は、表示制御部として機能するようになっている。
【0039】
すなわち、ナビCPU13は、前記夜間地図表示に対応する描画データを作成させることを内容とした指令信号の一部として、当該夜間地図表示における強調表示制御を実行するために特定の地点を強調表示するための描画データを作成させることを内容とした指令信号を出力するようになっている。
【0040】
特定の地点の強調表示は、当該特定の地点の明度、彩度および色相の少なくとも一つを周辺の領域と異ならせることによって行うことができる。
【0041】
また、特定の地点としては、図2に示す環状交差点Pや、通常の交差点、立体交差、インターチェンジ、ランプまたは踏切等の従来の夜間地図表示では識別が困難であった複雑な地点を挙げることができる。
【0042】
したがって、本実施形態においては、指令信号を介したナビCPU13による強調表示制御によって、夜間地図表示における特定の地点を強調表示することができるようになっている。
【0043】
さらに、本実施形態において、ナビCPU13による強調表示制御の実行の際に出力される指令信号は、前記夜間地図表示における特定の地点を、昼間地図表示により表示するための描画データを作成させることを内容としている。
【0044】
したがって、昼間地図表示を援用することによって夜間地図表示における強調表示を簡便に行うことができるようになっている。
【0045】
また、本実施形態において、ナビCPU13は、自車が前記特定の地点から所定の距離の位置に到達したときにはじめて、前記特定の地点を強調表示するための描画データを作成させることを内容とした指令信号を出力するようになっている。
【0046】
したがって、特定の地点のうち、自車がこれから通過する近傍の地点のみを選択して強調表示することができるようになっている。
【0047】
さらに、本実施形態において、ナビCPU13は、所定の縮尺よりも広域の縮尺で夜間地図表示を行う場合に、当該夜間地図表示における特定の地点を強調表示するための描画データを作成させることを内容とした指令信号を出力するようになっている。
【0048】
したがって、特定の地点を周辺の領域と識別することが特に困難となる広域の縮尺での夜間地図表示を行う場合に、特定の地点を強調表示によって周辺の領域から識別しやすくすることができるようになっている。
【0049】
なお、このように縮尺に応じて強調表示を行うか否かを決定する場合における判断基準となる縮尺の条件(前記所定の縮尺)については、コンセプトに応じて種々の値を設定することができる。
【0050】
さらに、ナビCPU13は、ルート計算によって求められたルートにしたがって自車を音声を介してルート案内するための音声案内データを作成させることを内容とした指令信号を出力するようになっている。
【0051】
ナビCPU13には、システムバス10を介してグラフィックレンダ14が接続されており、このグラフィックレンダ14は、ナビCPU13から出力された指令信号に基づいて、ディスクドライブ8から読み出した地図データを加工して描画データを作成するようになっている。
【0052】
そして、グラフィックレンダ14は、作成した描画データを表示部5に対して出力するようになっている。
【0053】
これによって、表示部5には、ルート案内を行うための昼間地図表示と夜間地図表示とが選択的に表示されるようになっている。
【0054】
また、図2に示したように、夜間地図表示における特定の地点が、昼間地図表示によって強調表示されるようになっている。
【0055】
ナビCPU13には、システムバス10を介して音声LSI15が接続されており、この音声LSI15は、ナビCPU13から出力された音声案内データを作成させる旨の指令信号に基づいて音声案内データを作成するとともに、この音声案内データを音声出力部7に対して出力するようになっている。
【0056】
これによって、音声出力部7を介して適宜音声案内がなされるようになっている。
【0057】
また、システムバス10には、メモリ16が接続されており、このメモリ16には、ナビゲーション装置1内を行き交う各種のデータや信号の内容が一時的に格納されるようになっている。
【0058】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0059】
本実施形態においては、操作者がリモコンユニット6等を介して目的地の設定等を行うと、ナビCPU13は、当該目的地までのルート計算を行う。
【0060】
次いで、ナビCPU13は、計算したルートにしたがって自車をルート案内するための描画データを作成させることを内容とした指令信号を、グラフィックレンダ14に対して出力する。
【0061】
このとき、ナビCPU13は、例えば、自車の前照灯の点灯状態に基づいて、昼間地図表示に対応する描画データを作成させるか、または夜間地図表示に対応する描画データを作成させるかを選択する。
【0062】
したがって、グラフィックレンダ14には、昼間地図表示に対応する描画データを作成させること内容とした指令信号か、または、夜間地図表示に対応する描画データを作成させることを内容とした指令信号が出力される。
【0063】
次いで、グラフィックレンダ14は、ナビCPU13から出力された指令信号に基づいて描画データを作成し、作成した描画データを表示部5に対して出力する。
【0064】
これにより、表示部5には、昼間地図表示または夜間地図表示がなされ、操作者(運転者)は、昼間地図上または夜間地図上における自車位置や案内ルートの表示を参照しながら目的地まで自車を進行させることができる。
【0065】
ここで、夜間地図表示を行う場合には、ナビCPU13は、夜間地図表示の縮尺を判定するとともに、自車が、案内ルート上に存在する自車がこれから通過する特定の地点から所定の距離の位置に到達したか否かを判断し続ける。
【0066】
そして、ナビCPU13は、夜間地図表示の縮尺が所定の縮尺よりも広域の縮尺である場合であって、自車が特定の地点から所定の距離の位置に到達した場合には、当該特定の地点を強調表示する強調表示制御を実行するための描画データを作成させることを内容とした指令信号をグラフィックレンダ14に対して出力する。
【0067】
この指令信号の出力を受けて、グラフィックレンダ14は、夜間地図表示における特定の地点を強調表示する描画データを作成し、この描画データを表示部4に対して出力する。
【0068】
これにより、表示部4には、特定の地点が強調表示された夜間地図が表示され、操作者は、自車がこれから通過する特定の地点を容易にかつ的確に把握することができる。
【0069】
以上述べたように、本実施形態におけるナビゲーション装置1によれば、ナビCPU13の強調表示制御によって夜間地図表示における特定の地点を強調表示することができるため、夜間走行においてナビゲーション画面上の特定の地点を容易にかつ的確に把握することができる。
【0070】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【0071】
例えば、強調表示される特定の地点は、自車が通過する案内ルート上に存在するものに限る必要はなく、案内ルートの周辺等の案内ルート上以外の位置に存在するものであってもよい。
【0072】
また、強調表示部位の形状は、図2に示したような円形であることが描画データを簡便に作成する上で好ましいが、これに限る必要はなく、例えば矩形等の他の形状を選択してもよい。
【0073】
さらに、強調表示を行う特定の地点については、操作者の操作によって適宜選択して設定することができるようにしてもよい。
【0074】
そのようにすれば、例えば、ラウンドアバウトでは運転がいつも慌ててしまうためラウンドアバウトのみを強調表示させたい等の操作者に応じて強調表示させたい地点が異なる実情に柔軟に対応することができ、利便性をさらに向上することができる。
【0075】
さらにまた、本発明を、通信ナビ等の他の形態のナビゲーション装置にも有効に適用することができることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態を示すブロック図
【図2】本発明に係るナビゲーション装置の実施形態において、夜間地図表示における強調表示が行われたナビゲーション画面を示す図
【図3】従来の夜間地図表示をともなうナビゲーション画面を示した図
【符号の説明】
【0077】
1 ナビゲーション装置
4 ナビゲーションメインユニット
5 表示部
13 ナビCPU
14 グラフィックレンダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部によって昼間地図表示と夜間地図表示とを選択的に行うことが可能とされたナビゲーション装置であって、
前記夜間地図表示における特定の地点を、当該特定の地点の周辺の領域に対して明度、彩度および色相の少なくとも一つを異ならせて強調表示するための強調表示制御を行う表示制御部を備えたこと
を特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記表示制御部による強調表示制御は、前記特定の地点を前記昼間地図表示によって表示するための制御であることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、自車が前記特定の地点から所定の距離の位置に到達したときに前記強調表示制御を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記特定の地点は、交差点、環状交差路、立体交差、インターチェンジおよびランプの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記表示制御部は、所定の縮尺よりも広域の縮尺で夜間地図表示を行う場合に、当該夜間地図表示における特定の地点を強調表示するための制御を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−47174(P2006−47174A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−230391(P2004−230391)
【出願日】平成16年8月6日(2004.8.6)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】