説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地の到着判定を精度良く行うためのナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【解決手段】降車判定部10にて、自車が到着可能性エリア102内に存在する場合に、自車のドアの開閉が行われたか否かの情報に基づいて乗員が降車したかどうかを判定する。到着可能性エリア102内において乗員が降車したと判定され、所定時間が経過した場合は、乗員は目的地へ向かった可能性が高いため、ナビゲーション装置1は、自車は目的地に到着したと判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路に基づいて案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地に至る経路(リンク列)を探索し、探索された経路に基づいて、目的地に到着するまでユーザに案内を行うナビゲーション装置が知られている。車両の目的地への到着を判断する技術としては、車両の位置が、目的地点から所定距離以内の到着判定エリア内に存在し、かつ車両が目的地点に最も近いリンクを走行しているか否かを検出して判定する技術が、例えば、特許文献1に記載されている。目的地に到着したと判定された後は、経路の案内は終了する。
【0003】
ところが、特許文献1に記載の技術では、目的地が大きな施設であり、その駐車場が到着判定エリア外に存在する場合等では、目的地に到着しているにも関わらず、到着判定されず、例えば、目的地から自宅へ戻るために、再びエンジンをONしたとき、目的地への経路の案内が継続されてしまうため、ユーザは煩わしさを感じていた。
【0004】
この問題に対し、エンジンをOFFした後、所定時間経過して再びエンジンをONした場合には、到着判定エリアを拡大する技術が、例えば、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−55488号公報
【特許文献2】特開2005−241561
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の技術では、駐車場が到着判定エリア外に存在するために、目的地に到着しているにも関わらず、到着判定されず、上述のようにユーザは煩わしさを感じていた。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、目的地に到着していないにも関わらず、到着判定されてしまうことがあり、その場合、ユーザは目的地を再設定し、経路探索を行わせる必要があり、煩わしさを感じる。例えば、目的地が確認できず、迷走していたドライバがエンジンをOFFして、地図を確認する場合や、目的地付近のガソリンスタンドでエンジンをOFFした場合等において、誤って到着判定されるおそれがある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、目的地の到着判定を精度良く行うためのナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載されたナビゲーション装置は、目的地到着判定手段にて、目的地を中心とした到着判定エリア内に自車位置が存在する場合に、自車が目的地に到着したと判定するが、到着判定エリアを拡大した範囲を有する到着可能性エリア内に自車位置が存在し、乗員が自車を降車したと判定された場合においても、自車が目的地に到着したと判定することを特徴とする。乗員が降車したかどうかに基づいて目的地への到着判定を行うので、例えば、ドライバがエンジンをOFFしたからといって到着判定されることはない。また、目的地から若干離れた場所に自車を駐車した際等においても目的地到着判定を行うことができる。このため、精度良く目的地到着判定を行うことができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明によれば、目的地到着判定手段にて、乗員が降車したタイミングから所定時間以上、乗員が自車に戻ってこなかった場合に、自車が目的地に到着したと判定する。これにより、例えば、迷走しているドライバが道を尋ねるために車外に出た場合等においても、所定時間より短い時間で自車に戻ってきた場合には、目的地に到着したと、誤判定されることはない。従って、精度良く目的地到着判定を行うことができる。
【0011】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、目的地到着判定手段にて、自車位置が目的地から距離が長い場合であるほど、所定時間が長く設定される。これにより、誤った目的地到着判定を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施例のナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例における到着判定エリア内に自車位置が存在する状態を示す説明図である。
【図3】本実施例における到着可能性エリア内に自車位置が存在する状態を示す説明図である。
【図4】本実施例のナビゲーション装置の制御部にて実行される目的地到着判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、本実施例では、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した例について説明する。また、本発明は下記の実施例に限定されることなく、本発明の技術的範囲に存在する限り、様々な形態を取り得る。
(実施例)
図1は、本実施例のナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、降車判定部10と、情報記憶部20と、自車位置検出部30と、表示装置40と、操作スイッチ群50と、音声出力装置60と、制御部70とを備える。
【0014】
降車判定部10は、自車から乗員が降車したかどうかを判定する。降車したかどうかの判定は、車両の駆動源(エンジン)をON、若しくはOFFするためのイグニッションスイッチがOFFされ、かつ車両のドアの開閉が行われたかどうかに基づいて行われる。そして、乗員が降車したと判定されてから、次にドアの開閉が行われるまでの時間をカウントし、記憶する。なお、乗員が降車したかどうかの判定は、車両外から施錠が行われたかどうか、若しくは、シートセンサによりシートに乗員が座っているかどうかを検出することで判定されてもよい。
【0015】
情報記憶部20には、目的地に至る経路を探索するため経路データ21と、表示装置40に地図を描画するために地図情報をユニット化した描画データ22と、図示しなかったが、案内用の画像や音声データが記憶されている。なお、記憶媒体としては、ROM(Read Only Memoly)、若しくは、読み書き可能なハードディスク、メモリ等を用いることができる。
【0016】
経路データ21は、目的地に至る経路を探索するために、最新の道路地図情報が、接続地点を示すノードと、このノード間を接続するリンクからなるネットワーク情報として記憶されている。各道路、及び交差点に該当するリンク、及びノードには、例えば、各リンクやノードに付与された識別番号や、高速道路、有料道路、主要幹線道路、細街路等の道路種別、右左折禁止、一方通行、制限速度等の交通規制、リンク長、幅員の広狭、車線数の多寡数、勾配等の情報が付与されている。そして、それら情報に基づき各リンク、及びノードにはコストが設定されている。この経路データ21に記憶されるネットワーク情報とコストに基づいて、制御部70がコストの積和値が最小となるように周知のダイクストラ法等を用いて最適な経路計算を行う。
【0017】
描画データ22は、各道路に対応する緯度・経度情報、ノード番号、リンク番号、道路種別等のデータを格納する道路データと、道路や線路、建造物、私有地等といった施設、若しくは、海や河川等の地形を描画するための背景データと、地名や施設名等の文字データ等からなる。
【0018】
自車位置検出部30は、GPS(Global Positioning System)からの送信電波を、GPSアンテナを介して受信することで自車位置と現在時刻を検知するGPS受信機31と、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロセンサ32と、車両の速度を検出するための車速度センサ33とを備えている。自車位置検出部30は、これらの各検出信号に基づき位置座標及び進行方向の組として車両の現在の自車位置を算出する。そして、これらセンサ等31乃至33は、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら自車位置の検出を行うように構成されている。なお、自車位置検出部30は、上述した内の一部のセンサで構成してもよい。また、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサや、ステアリングの回転角センサ等を加えて構成されてもよい。
【0019】
表示装置40は、カラー表示可能な液晶ディスプレイからなる。表示装置40の表示画面には、描画データ22に記憶されている道路や施設といった背景データ等から構成される地図と、自車の現在位置を示すマークや、目的地までの誘導経路等が地図に重ねて表示される。なお、各種施設の記号データや名称、目印、渋滞情報等を地図に重ねて表示させてもよい。表示装置としては、液晶ディスプレイ以外にも、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)等があるが、その何れを用いてもよい。
【0020】
操作スイッチ群50は、表示装置40と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置40の周囲に設けられた釦スイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置40とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式などがあるが、何れを用いてもよい。
【0021】
音声出力装置60は、スピーカーからなり、情報記憶部20に記憶されている案内用の画像や音声データに基づいて各種案内の音声を出力する。
【0022】
制御部70は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて、操作スイッチ群50による操作によって指示された範囲の地図等を表示装置40に表示する地図表示処理や、車両の現在位置から目的地に至るまでの最適な経路を自動的に計算する経路探索処理を行う。
【0023】
また、制御部70は、到着判定部71を備える。到着判定部71では、自車が目的地に到着したかどうかの判定を行う。到着判定部71は、図2に示すように、自車位置が、目的地から所定距離L1以内の到着判定エリア101(目的地を中心として半径L1となるエリア)内に存在する場合は、自車が目的地点に最も近いリンクを走行しているか否かに基づいて判定を行う。一方、図3に示すように、自車位置が、目的地から所定距離L2以内の到着可能性エリア102内に存在する場合は、自車の乗員が降車し、所定時間以上自車に乗員が戻ってこなかったかどうかに基づいて、自車が目的地に到着したかどうかの判定を行う。自車に乗員が戻ってきたかどうかの判定は、ドアの開閉が行われたかどうかにて判定する。なお、L1、L2、所定時間は、例えば、L1=100メートル、L2=500メートル、所定時間は30分とするとよい。
【0024】
なお、本実施例の降車判定部10は、本発明の降車判定手段に相当する。制御部70は、本発明の目的地到着判定手段、及び、期間判定手段に相当する。
【0025】
続いて、上述したナビゲーション装置1の制御部70において実行される目的地到着判定処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、本フローチャートに示す処理は、制御部70に記憶されているコンピュータプログラムに従って実行される。
【0026】
初めに、図4におけるステップS10では、目的地に至る経路に基づいて案内を開始する。
【0027】
ステップS20では、自車位置が到着判定エリア101内に存在するかどうかを判定する。自車位置検出部30にて検出される自車位置と、目的地の代表地点(目的地の位置を緯度経度情報にて示す地点)との距離が所定距離L1以内であるかどうかに基づいて判定する。自車位置が到着判定エリア101内に存在する場合には(ステップS20:YES)、ステップS30に移行する。到着判定エリア101内に存在しない場合には(ステップS20:NO)、ステップS40に移行する。
【0028】
ステップS30では、自車が、目的地の代表地点から直線距離にて最も近いリンクを走行しているかどうかを判定する。目的地から最も近いリンクを走行している場合には(ステップS30:YES)、ステップS80に移行する。目的地から最も近いリンクを走行していない場合には(ステップS30:NO)、ステップS20に戻る。
【0029】
ステップS40では、自車位置が到着可能性エリア102内に存在するかどうかを判定する。自車位置と、目的地の代表地点との距離が所定距離L2以内であるかどうかに基づいて判定する。自車位置が到着可能性エリア102内に存在する場合には(ステップS40:YES)、ステップS50に移行する。到着可能性エリア102内に存在しない場合には(ステップS40:NO)、ステップS20に戻る。
【0030】
ステップS50では、イグニッションスイッチがOFFである状態かどうかを判定する。イグニッションスイッチがOFFである状態なら(ステップS50:YES)、ステップS60に移行する。イグニッションスイッチがOFFでない状態なら(ステップS50:NO)、ステップS20に移行する。
【0031】
ステップS60では、自車のドアの開閉が行われたかどうかを判定する。自車のドアの開閉が行われた場合(ステップS60:YES)、乗員は降車したと考えられステップS70に移行する。ドアの開閉が行われていない場合(ステップS60:NO)、ステップS20に戻る。
【0032】
ステップS70では、所定時間以内にドアの開閉が行われたかどうかを判定する。降車判定部10にてカウントされた時間が所定時間以内である場合、つまり、所定時間以内にドアの開閉が行われた場合は(ステップS70:YES)、ステップS20に戻る。所定時間以内にドアの開閉が行われなかった場合は(ステップS70:NO)、乗員は目的地へ向かったと考えられ、ステップS80に移行する。
【0033】
ステップS80では、自車が目的地に到着したと判定する。
【0034】
ステップS90では、案内を終了して、本処理を終了する。
【0035】
以上のように、本実施例によれば、降車判定部10にて、到着可能性エリア102内において、イグニッションスイッチの状態、自車のドアの開閉が行われたかどうかの情報に基づいて乗員が降車したかどうかを判定する。到着可能性エリア102内において乗員が降車し、所定時間が経過した場合は、乗員は目的地へ向かった可能性が高いため、ナビゲーション装置1は、自車は目的地に到着したと判定する。乗員が降車したかどうかに基づいて目的地への到着判定を行うので、例えば、目的地が確認できず、迷走していたドライバがエンジンをOFFして、地図を確認する場合や、目的地付近のガソリンスタンドでエンジンをOFFした場合等においても、誤って目的地に到着したと判定されることはない。また、本実施例によれば、目的地から若干離れた領域である到着可能性エリア102内に自車を駐車した場合等においても目的地到着判定を行うことができる。このため、精度良く目的地到着判定を行うことができる。
【0036】
(変形例1)
また、本実施例における変形例1を説明する。本変形例では、自車位置が目的地から距離が長い場合であるほど、所定時間が長く設定される。例えば、L1=100メートル、L2=500メートルとし、自車位置と目的地との距離が400メートルである場合には、所定時間は40分に設定する。一方、自車位置と目的地との距離が200メートルである場合には、所定時間は20分に設定する。自車位置と目的地との距離が長くなればなるほど、乗員は目的地に向かって戻ってくるまでの所要時間は長くなる。自車位置と目的地との距離が長い場合に、ドアの開閉から次のドアの開閉までの時間が短い場合は、乗員が目的地に向かって戻ってきた可能性は低い。従って、本変形例では、誤って目的地に到着したと判定される可能性を軽減し、精度良く到着判定を行うことができる。
【0037】
(変形例2)
また、本実施例における変形例2を説明する。本変形例では、降車判定部10にて、イグニッションスイッチのON・OFF情報を考慮せず、ドアの開閉が行われたかどうかに基づいて、乗員が降車、若しくは乗車したかどうかを判定する。そして、到着可能性エリア102内において、乗員の降車、若しくは乗車が行われた場合は、自車は目的地に到着したと判定する。例えば、ドライバが他の乗員の送迎のために目的地に向かっていた場合は、目的地付近にて、イグニッションスイッチをOFFせずに乗員の乗降が行われ、目的を達成する可能性がある。この場合、本変形例においては、自車は目的地に到着したと判定できる。このため、精度良く目的地への到着判定を行うことができる。
【符号の説明】
【0038】
1 ナビゲーション装置
10 降車判定部
20 情報記憶部
30 自車位置検出部
40 表示装置
50 操作スイッチ群
60 音声出力装置
70 制御部
71 到着判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
前記自車位置検出手段により検出された自車位置と目的地までの目的地距離が、第1の所定距離以下になると、目的地へ到着したと判断し、前記目的地距離が、前記第1の所定距離より長い第2の所定距離以下の場合でも、目的地に到着したと判定するナビゲーション装置であって、
前記目的地距離が、前記第1の所定距離以上で且つ、前記第2の所定距離以下である場合に、自車の乗員が降車したか否かを判定する降車判定手段と、
前記降車判定手段にて、自車の乗員が降車したと判定されると、目的地に到着したと判定する目的地到着判定手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記降車判定手段にて、自車の乗員が降車したと判定されてから、次に乗員が乗車するまでの期間が、所定期間経過したか否かを判定する期間判定手段を有し、
前記目的地到着判定手段は、前記期間判定手段にて、所定期間経過したと判定された場合、目的地に到着したと判定することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記期間判定手段は、前記目的地距離が、第1の所定距離以上で且つ、第2の所定距離以下の範囲において、長くなる程、前記所定期間を長く設定することを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−223680(P2010−223680A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−69744(P2009−69744)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】