説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地に到着したと判定された後に、目的地マークを消去しつつも、ユーザに不安感を与えず、目的地到着までの案内を確実に行うためのナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【解決手段】到着後案内表示部72は、到着判定部71にて目的地に到着したと判定された場合に、表示装置40に表示させる地図上において、目的地マーク100を消去し、自車位置と目的地までの目的地距離301と、目的地の方向302とを表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目的地までの経路に基づいて案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地に至る経路(リンク列)を探索し、探索された経路に基づいて、目的地に到着するまでユーザに案内を行うナビゲーション装置が知られている。車両の目的地への到着を判定する技術としては、車両の位置が、目的地点から所定距離(例えば、200m)以内の到着判定エリア内に存在し、かつ車両が目的地点に最も近いリンクを走行しているか否かを検出して判定する技術が、例えば、特許文献1に記載されている。
【0003】
ところが、カーナビゲーション装置には、目的地に到着したと判定された後は、経路の案内は終了となり、目的地の位置を示す目的地マークを消去するものが存在する。これは、目的地到着判定後に目的地マークが表示され続けると、不快感を覚えるユーザが存在するためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−55488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、目的地までの距離が200mとなり、目的地に到着したと判定された後に、経路の案内が終了され、目的地マークが地図上から消去されたために、ユーザは目的地の位置を正確に確認することができなくなる。そのため、ユーザに不安感を与え、また、最終的に目的地に到着できないおそれがある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、目的地マークを消去しつつも、ユーザに不安感を与えず、目的地到着までの案内を確実に行うためのナビゲーション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載されたナビゲーション装置は、到着判定手段にて、車両走行中に、自車位置と目的地までの目的地距離が第1の所定距離以下になると、目的地へ到着したと判定し、目的地マーク消去手段にて、目的地へ到着したと判定された場合に、地図上に表示された目的地の位置を示した目的地マークを消去し、到着後案内表示手段にて、目的地へ到着したと判定された場合に、目的地距離と、自車位置に対する目的地の方向とを地図上に表示させる。これにより、目的地マークが地図上から消去された場合にも、ユーザは目的地の正確な位置を把握することができる。このため、ユーザに不安感を与えることなく、目的地到着までの案内を確実に行うことができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明によれば、到着後案内表示手段にて、目的地距離が、第1の所定距離以下で、且つ、第2の所定距離以上である場合に、目的地距離と、目的地の方向とを地図上に表示させ、目的地距離が、第2の所定距離より短い場合は、目的地距離と、目的地の方向とを地図上に表示させない。このため、目的地距離と、目的地の方向とが地図上に表示され続けることはなく、ユーザは不快感を感じることはない。
【0009】
さらに、請求項3に記載の発明によれば、到着後案内表示手段にて、縮尺が大きいために、地図上に目的地が表示されていない場合に、目的地距離と、目的地の方向とを地図上に表示させ、地図上に目的地が表示されている場合は、目的地距離と、目的地の方向とを地図上に表示させない。このため、地図の縮尺が大きいために、目的地が地図上に見えていない場合において、ユーザに不安感を与えることない案内が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施例のナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施例において、地図上に自車位置、誘導経路、目的地マークが表示されている状態を示す説明図である。
【図3】本実施例において、到着判定エリア内に自車位置が存在し、目的地マークが消去された状態を示す説明図である。
【図4】本実施例において、目的地距離と目的地の方向とが地図上に表示されている状態を示す説明図である。
【図5】本実施例において、表示終了エリア内に自車位置が存在し、目的地距離と目的地の方向とが地図上から消去された状態を示す説明図である。
【図6】本実施例において、表示終了エリア外で且つ、到着判定エリア内に自車位置が存在し、目的地距離と目的地の方向とが地図上に再度表示された状態を示す説明図である。
【図7】本実施例のナビゲーション装置の制御部にて実行される処理を示すフローチャートである。
【図8】本実施例のナビゲーション装置の制御部にて実行される到着後案内表示処理サブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】本実施例の変形例において、地図の表示範囲を示す説明図である。
【図10】本実施例の変形例において、作動の具体例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の実施例について図面を用いて説明する。なお、本実施例では、本発明を車両用のナビゲーション装置に適用した例について説明する。また、本発明は下記の実施例に限定されることなく、本発明の技術的範囲に存在する限り、様々な形態を取り得る。
(実施例)
図1は、本実施例のナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。ナビゲーション装置1は、情報記憶部20と、自車位置検出部30と、表示装置40と、操作スイッチ群50と、音声出力装置60と、制御部70とを備える。
【0012】
情報記憶部20には、目的地に至る経路を探索するため経路データ21と、表示装置40に地図を描画するために地図情報をユニット化した描画データ22と、図示しなかったが、案内用の画像や音声データが記憶されている。なお、記憶媒体としては、ROM(Read Only Memoly)、若しくは、読み書き可能なハードディスク、メモリ等を用いることができる。
【0013】
経路データ21は、目的地に至る経路を探索するために、最新の道路地図情報が、接続地点を示すノードと、このノード間を接続するリンクからなるネットワーク情報として記憶されている。各道路、及び交差点に該当するリンク、及びノードには、例えば、各リンクやノードに付与された識別番号や、高速道路、有料道路、主要幹線道路、細街路等の道路種別、右左折禁止、一方通行、制限速度等の交通規制、リンク長、幅員の広狭、車線数の多寡数、勾配等の情報が付与されている。そして、それら情報に基づき各リンク、及びノードにはコストが設定されている。この経路データ21に記憶されるネットワーク情報とコストに基づいて、制御部70がコストの積和値が最小となるように周知のダイクストラ法等を用いて最適な経路計算を行う。
【0014】
描画データ22は、各道路に対応する緯度・経度情報、ノード番号、リンク番号、道路種別等のデータを格納する道路データと、道路や線路、建造物、私有地等といった施設、若しくは、海や河川等の地形を描画するための背景データと、地名や施設名等の文字データ等からなる。
【0015】
自車位置検出部30は、GPS(Global Positioning System)からの送信電波を、GPSアンテナを介して受信することで自車位置と現在時刻を検知するGPS受信機31と、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロセンサ32と、車両の速度を検出するための車速度センサ33とを備えている。自車位置検出部30は、これらの各検出信号に基づき位置座標及び進行方向の組として車両の現在の自車位置を算出する。そして、これらセンサ等31乃至33は、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら自車位置の検出を行うように構成されている。なお、自車位置検出部30は、上述した内の一部のセンサで構成してもよい。また、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサや、ステアリングの回転角センサ等を加えて構成されてもよい。
【0016】
表示装置40は、カラー表示可能な液晶ディスプレイからなる。表示装置40の表示画面には、図2に示すように、描画データ22に記憶されている道路や施設といった背景データ等から構成される地図と、自車の現在位置を示すマークや、目的地までの誘導経路、目的地の位置を示す目的地マーク100等が地図に重ねて表示される。なお、各種施設の記号データや名称、目印、渋滞情報等を地図に重ねて表示させてもよい。表示装置としては、液晶ディスプレイ以外にも、プラズマディスプレイ、CRT(Cathode Ray Tube)等があるが、その何れを用いてもよい。
【0017】
操作スイッチ群50は、表示装置40と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置40の周囲に設けられた釦スイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置40とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式、電磁誘導方式、静電容量方式、あるいはこれらを組み合わせた方式などがあるが、何れを用いてもよい。
【0018】
音声出力装置60は、スピーカーからなり、情報記憶部20に記憶されている案内用の画像や音声データに基づいて各種案内の音声を出力する。
【0019】
制御部70は、CPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン等からなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されている。そして、ROM等に記憶されたプログラムに基づいて、操作スイッチ群50による操作によって指示された範囲の地図等を表示装置40に表示する地図表示処理や、車両の現在位置から目的地に至るまでの最適な経路を自動的に計算する経路探索処理を行う。さらに、制御部70は、到着判定部71と、到着後案内表示部72とを備える。
【0020】
到着判定部71は、自車が目的地に到着したかどうかの判定を行う。到着判定部71は、図3に示すように、自車位置が、目的地から所定距離L1以内の到着判定エリア201(目的地の位置を緯度・経度情報にて示す代表地点を中心として半径L1となるエリア)内に存在する場合に、目的地に到着したと判定する。目的地に到着したと判定されると、地図上に表示していた目的地マーク100は消去される。なお、本実施例においては、L1は200メートルとする。
【0021】
到着後案内表示部72は、図4に示すように、到着判定部71にて目的地に到着したと判定された場合に、自車位置と目的地までの目的地距離301と、自車位置に対する目的地の方向302とを地図上に表示させる。目的地距離301は自車位置検出部30にて検出される自車位置と、目的地の代表地点の位置から算出する。目的地の方向302は、自車位置から目的地の代表地点に向かう矢印として、自車位置と目的地の代表地点とを結んだ直線上に表示される。また、図5に示すように、自車位置が、目的地から所定距離L2以内の表示終了エリア202(目的地の代表地点を中心として半径L2となるエリア)内に存在する場合は、目的地距離301と、目的地の方向302との表示を終了する。一方で、図6に示すように、自車が目的地を通り過ぎ、表示終了エリア202外で、且つ、到着判定エリア201内に自車位置が存在する場合には、再び目的地距離301と、目的地の方向302とを地図上に表示させる。なお、本実施例においては、L2=30メートルとする。
【0022】
なお、本実施例の到着判定部71は、本発明の到着判定手段、及び、目的地マーク消去手段に相当する。到着後案内表示部72は、本発明の到着後案内表示手段に相当する。
【0023】
続いて、上述したナビゲーション装置1の制御部70において実行される処理について、図7、及び図8のフローチャートを参照して説明する。なお、本フローチャートに示す処理は、制御部70に記憶されているコンピュータプログラムに従って実行される。
【0024】
初めに、図7におけるステップS10では、目的地に至る経路に基づいて案内を開始する。
【0025】
ステップS20では、自車位置が到着判定エリア201内に存在するかどうかを判定する。自車位置が到着判定エリア201内に存在する場合は(ステップS20:YES)、ステップS30へ移行し、自車位置が到着判定エリア201内に存在しない場合は(ステップS20:NO)、ステップS20は自己遷移を繰り返す。
【0026】
ステップS30では、目的地に到着したと判定する。ステップS40では、目的地マーク100を地図上から消去させる。ステップS50では、経路に基づいた案内を終了する。
【0027】
ステップS60では、到着後案内表示処理サブルーチンを実行する。到着後案内表示処理サブルーチンを実行した後は、本処理を終了する。
【0028】
続いて、ステップS60における到着後案内表示処理サブルーチンについて、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0029】
まず、図8におけるステップS510では、自車位置と目的地までの目的地距離を計算する。ステップS520では、自車位置から目的地へ向かう方向を計算する。
【0030】
ステップS530では、ユーザが、車両の駆動源をオン・オフするためのイグニッションスイッチをオフしたかどうかを判定する。イグニッションスイッチをオフした場合は(ステップS530:YES)、目的地に到着したと判断し、到着後案内表示処理サブルーチンを終了する。イグニッションスイッチをオフしていない場合は(ステップS530:NO)、ステップS540に移行する。
【0031】
ステップS540では、自車位置が表示終了エリア202内に存在するかどうかを判定する。自車位置が表示終了エリア202内に存在する場合は(ステップS540:YES)、ステップS550へ移行し、自車位置が表示終了エリア202内に存在しない場合は(ステップS540:NO)、ステップS570に移行する。
【0032】
ステップS550では、ステップS510にて計算された目的地距離301を、地図上に表示させる。
【0033】
ステップS560では、ステップS520にて計算された目的地の方向302を、地図上に表示させる。ステップS560からはステップS530に戻る。
【0034】
ステップS570では、目的地距離301を非表示状態にする。ステップS580では、目的地の方向302を非表示状態にする。ステップS580からはステップS530に戻る。
【0035】
以上のように、本実施例によれば、目的地マーク100が地図上から消去された場合にも、目的地距離301、及び、目的地の方向302が地図上に表示されることにより、ユーザは目的地の正確な位置を把握することができる。このため、ユーザに不安感を与えることなく、目的地到着までの案内を確実に行うことができる。また、自車位置が到着判定エリア201内で、且つ、表示終了エリア202内外に存在する場合には、目的地距離301、及び、目的地の方向302を非表示にする。このため、地図上に表示され続けることはなく、ユーザは煩わしさを感じることはない。
【0036】
(変形例)
また、本実施例における変形例を説明する。本変形例では、表示装置40にて表示させる地図の縮尺が大きいために、目的地が地図上に表示されない場合に、目的地距離301と、目的地の方向302とを地図上に表示させる。例えば、図9に示す地図における表示範囲400の縮尺を有する範囲の地図を表示装置40にて表示させる場合、図10に示すように、縮尺が大きいために、地図上に目的地を視認することができない。地図上に目的地を視認できない場合、ユーザにとっては走行中の道路に対してどの方向に目的地が存在するかが不明であり、不安感が生じる。これより、目的地が地図上に表示されない場合に、目的地距離301と、目的地の方向302とを地図上に表示させるため、ユーザに不安感を与えることのない案内が可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 ナビゲーション装置
20 情報記憶部
30 自車位置検出部
40 表示装置
50 操作スイッチ群
60 音声出力装置
70 制御部
71 到着判定部
72 到着後案内表示部
100 目的地マーク
201 到着判定エリア
202 表示終了エリア
301 目的地距離
302 目的地の方向
400 表示範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を表示して、目的地までの経路に基づいてユーザを案内するナビゲーション装置において、
車両走行中に、自車位置と目的地までの目的地距離が第1の所定距離以下になると、目的地へ到着したと判定する到着判定手段と、
前記到着判定手段にて目的地へ到着したと判定された場合に、地図上に表示された目的地の位置を示した目的地マークを消去する目的地マーク消去手段と、
前記到着判定手段にて目的地へ到着したと判定された場合に、前記目的地距離と、自車位置に対する目的地の方向とを地図上に表示させる到着後案内表示手段とを有することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記到着後案内表示手段は、前記目的地距離が、前記第1の所定距離以下で、且つ、第2の所定距離以上である場合に、前記目的地距離と、前記目的地の方向とを地図上に表示させ、前記目的地距離が、前記第2の所定距離より短い場合は、前記目的地距離と、前記目的地の方向とを地図上に表示させないことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記到着後案内表示手段は、縮尺が大きいために、地図上に目的地が表示されていない場合に、前記目的地距離と、前記目的地の方向とを地図上に表示させ、地図上に目的地が表示されている場合は、前記目的地距離と、前記目的地の方向とを地図上に表示させないことを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−243349(P2010−243349A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92775(P2009−92775)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】