説明

ナビゲーション装置

【課題】地図画像を表示させつつ消費電力の低減を図ることのできるナビゲーション装置を提供することにある。
【解決手段】制御部40(詳しくは地図画像描画部44)は、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報のうち経路Rを含むパーセルを取得し、その取得したパーセルに対して経路Rに沿った領域である経路限定領域A1を設定するとともに、その経路限定領域A1の地図画像を経路限定領域地図画像P2として描画する。そして、制御部40(詳しくは経路案内部45)は、その経路限定領域地図画像P2を表示部50に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像を表示部に表示させつつ現在地から目的地までの経路を案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載の技術が知られている。この特許文献1に記載の技術では、ナビゲーション装置は、現在地を含む一定範囲の地図情報を地図情報記憶装置から定期的に読み出し、必要のないときには地図情報記憶装置に電源を供給しないことで、ナビゲーション装置の消費電力の低減を図っている。
【0003】
また、特許文献2に記載の技術が知られている。この特許文献2に記載の技術では、ナビゲーション装置は、「道なり」の走行であって目的地までの経路を案内する必要がないと判断した場合に、ディスプレイユニットや音声ユニットに電源を供給をしないことで、ナビゲーション装置の消費電力の低減を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭64−88109号公報
【特許文献2】特開平9−5102号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術のように現在地を含む一定範囲の地図情報を読み出すのでは、経路に沿った領域の地図情報だけでなくその周辺の領域の地図情報も読み出すため、経路に沿った領域のみについて見れば1度のアクセスで取得可能な領域はそれほど広くない。このことから、地図情報記憶装置へのアクセス回数が増大し、消費電力は増大してしまう。
【0006】
また、上記特許文献1に記載の技術のように現在地を含む一定範囲の地図画像を表示するのでは、経路に沿った領域の地図画像の他にその周辺の領域の地図画像も描画するため、演算負荷が大きい。演算負荷が大きいことから、消費電力が増大してしまう。
【0007】
また、上記特許文献1に記載の技術のように現在地を含む一定範囲の地図画像を表示するのでは、経路に沿った領域の地図画像の他にその周辺の領域の地図画像も表示部に表示させるため、消費電力が増大してしまう。
【0008】
上記特許文献2に記載の技術では、地図表示自体を停止するため、ユーザが地図を見ようとしても見ることができない。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、地図画像を表示させつつ消費電力の低減を図ることのできるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
こうした目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、地図情報を記憶する地図情報記憶部と、地図画像を表示する表示部と、現在地を検出する現在地検出部と、目的地を設定する目的地設定部と、地図情報記憶部に記憶されている地図情報に基づいて、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出部と、地図情報記憶部から、表示部の地図画像表示範囲の全体に地図画像を表示する場合に取得する領域よりも領域を経路に基づいて限定した経路限定領域の地図情報を取得し、その経路限定領域の地図情報に基づいて経路限定領域地図画像を描画する地図画像描画部と、表示部に経路限定領域地図画像を表示させつつ、経路を案内する経路案内部とを備えることとした。
【0011】
ナビゲーション装置としての上記構成では、地図画像描画部は、経路限定領域の地図情報を地図情報記憶部から取得する。この経路限定領域は、経路に基づいて限定した領域であり、表示部の地図画像表示範囲の全体に地図画像を表示する場合よりも限定された領域である。そのため、経路沿いについて見れば、表示部の地図画像表示範囲の全体に地図画像を表示する場合よりも先の領域までを地図情報記憶部への1度のアクセスで取得可能になる。このことにより、地図情報記憶部へのアクセス回数が減少するため、当該ナビゲーション装置の消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0012】
また、ナビゲーション装置としての上記構成では、地図画像描画部は、経路限定領域地図画像を描画するが、この経路限定領域地図画像は、表示部の地図画像表示範囲の全体に地図画像を表示する場合よりも狭い領域の地図画像であることから、地図画像描画部の演算負荷が減少する。この演算負荷が減少するため、当該ナビゲーション装置の消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0013】
また、ナビゲーション装置としての上記構成では、表示部に表示する経路限定領域地図画像は、表示部の地図画像表示範囲の一部分を表示範囲とし、地図画像表示範囲の残りの部分は地図画像が表示されないため、消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0014】
さらに、経路案内部は、表示部に経路限定地図画像を表示させつつ経路を案内する。経路限定地図画像の表示が継続するため、ユーザが地図を見ることができる。
【0015】
したがって、上記請求項1に記載の構成によれば、地図表示しながらも、消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0016】
なお、地図画像描画部が行なう地図画像の描画とは、表示部に表示するための地図画像を生成する内部処理を意味する。
【0017】
この経路限定領域地図画像を描画するには、請求項2に記載の発明のように構成するとよい。すなわち、地図情報は、メッシュ状に分割されたパーセルにて、地図情報記憶部に記憶されており、経路限定領域地図画像は、前記経路に沿った領域の地図画像であり、地図画像描画部は、地図情報記憶部から、経路限定領域地図画像の描画に必要な領域を含んでいるパーセルを取得し、その取得したパーセルに基づいて経路に沿った領域の経路限定領域地図画像を描画するとよい。
【0018】
ここで、経路限定領域地図画像は、請求項3のように、たとえば、経路から所定ドット数の範囲の地図画像である。このように経路限定領域地図画像の範囲が定まれば、経路限定領域地図画像の描画に必要な領域も定まるので、その領域を含んでいるパーセルを取得することができる。なお、ドット数とは、表示部における表示上のドット数である。
【0019】
また、請求項3のように、経路から所定ドット数の範囲の地図画像を経路限定地図画像とする場合、そのドット数は、経路から上下左右方向に同一であってもよいし、経路から上下左右方向にそれぞれ異なるドット数としてもよい。
【0020】
さらに、請求項4のように、地図画像描画部は、表示部に表示する地図の縮尺に応じて所定ドット数を変更してもよい。たとえば、請求項5のように、地図画像描画部は、表示部に表示する地図の縮尺が大きいほど所定ドット数を増大することとしてもよい。
【0021】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載の構成において、地図画像描画部は、経路限定領域地図画像を描画するだけでなく、地図画像表示範囲全体に地図画像を表示する場合の地図画像である全体地図画像も描画し、表示部に表示させる地図画像を切り替えるための切替指示を経路案内部に入力する切替指示部をさらに備え、経路案内部は、切替指示部によって切替指示が入力された場合に、表示部に表示する地図を、経路限定領域地図画像及び全体地図画像のうち表示部に表示されている地図画像から、表示部に表示されていない他方の地図画像に切り替えることとした。
【0022】
これにより、表示部に表示させる地図画像を経路限定領域地図画像及び全体地図画像の間で切り替えることができるようになる。なお、当該ナビゲーション装置に電源を供給するバッテリの残量に応じて、表示部に表示する地図画像を切り替えることとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るナビゲーション装置の一実施の形態について、その全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態のナビゲーション装置によって描画される地図画像について、(a)は経路を含むパーセルに限定して取得した地図画像の一例を示す図である。(b)は(a)に対して設定された経路限定領域の一例を示す図である。(c)は経路限定領域地図画像の一例を示す図である。
【図3】本実施の形態のナビゲーション装置によって表示部に表示される地図画像について、(a)は全体地図画像の一例を示す図であり、(b)は(a)を構成するパーセルを示す図であり、(c)は経路限定領域地図画像の一例を示す図である。
【図4】本実施の形態のナビゲーション装置によって実行される地図描画処理について、その処理手順の一例を示すフローチャートである。
【図5】本実施の形態の変形例によって描画される地図画像について、(a)は経路限定領域の一例を示す図である。(b)は(a)に示した経路限定領域に存在する地図情報を示す図である。(c)は経路限定領域地図画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係るナビゲーション装置の一実施の形態について、図1〜図4を参照して説明する。
【0025】
図1に示されるように、ナビゲーション装置1は、地図情報記憶部10、GPS受信部20、操作入力部30、制御部40、表示部50、及び音声出力部60を備えて構成されている。制御部40は、公知のCPU及び内蔵メモリを有して構成されるコンピュータであり、そのCPUが内蔵メモリに記憶されているプログラムを実行することによって各種機能を実現している。以下の説明では、便宜上、制御部40は、現在地検出部41、目的地設定部42、経路算出部43、地図画像描画部44、及び経路案内部45を有するものとして説明する。なお、このナビゲーション装置1は、図示しない車両に搭載されている。
【0026】
地図情報記憶部10は、例えばハードディスクドライブ装置、DVD(digital versatile disc)装置、CD(compact disc)装置、フラッシュメモリ等によって構成されており、地図情報が記憶されている。地図情報記憶部10に記憶されている地図情報は、地図の縮尺ごとに定義された情報単位(レイヤ)を有し、各レイヤではさらに一定の面積ごとのメッシュ状に分割された情報単位(パーセル)を有している。また、地図情報記憶部10は、制御部40に接続されており、この制御部40によって地図情報等が適宜読み出される。
【0027】
GPS受信部20は、例えば図示しないGPSアンテナを有して構成されており、これも図示しない複数のGPS衛星から発せられるGPS信号を受信する。また、GPS受信部20は、制御部40に接続されており、この受信したGPS信号を制御部40に出力する。
【0028】
操作入力部30は、例えばタッチパネルや音声入力装置等の適宜の入力装置にて構成されており、制御部40に接続されている。当該ナビゲーション装置1のユーザはこの操作入力部30を操作することで目的地を制御部40へ入力することができる。
【0029】
現在地検出部41は、地図情報記憶部10及びGPS受信部20に接続されており、GPS受信部20によって受信されるGPS信号を取得するとともに、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報を読み出す。また、現在地検出部41は、経路算出部43に接続されており、これらGPS信号及び地図情報を利用して車両の現在地を検出する。また、車両の現在地の検出においては、当該ナビゲーション装置1を搭載する車両の走行軌跡と地図情報に基づいて周知のマップマッチングを実行することで、GPS信号に基づいて決定する現在地の誤差を補正する。そして、このようにして検出した車両の現在地の情報である現在地情報を経路算出部43に出力する。
【0030】
目的地設定部42は、操作入力部30から入力された目的地に基づいて経路案内上の目的地を設定する。なお、操作入力部30から入力される目的地に限らず、現在地と目的地の履歴から今回の目的地を推定して、その推定した目的地を経路案内上の目的地に設定してもよい。
【0031】
経路算出部43は、地図情報記憶部10、目的地設定部42、及び現在地検出部41に接続されており、目的地設定部42から目的地情報を取得すると、この取得した目的地情報、現在地検出部41から入力された現在地情報、及び地図情報記憶部10から取得した地図情報を利用して、車両の現在地から目的地への経路を算出する。また、経路算出部43は地図画像描画部44に接続されており、車両の現在地から目的地への経路を算出すると、その算出した経路の情報である経路情報を地図画像描画部44に出力する。
【0032】
地図画像描画部44は、表示部50に表示するための地図画像を生成する(描画する)内部処理を行なう。この地図画像描画部44は、地図情報記憶部10及び経路算出部43に接続されており、経路算出部43から経路情報が入力されていない、すなわち目的地が設定されていない場合には全画面地図画像処理を行なう一方、経路算出部43から経路情報が入力された、すなわち目的地が設定されている場合には省電力地図描画処理を行う。
【0033】
全画面地図画像処理では全体地図画像を逐次描画する。この全体地図画像は、表示部50の地図画像表示範囲の全体に表示される地図画像である。一方、省電力地図画像描画処理では、経路限定地図画像を逐次描画する。この経路限定地図画像は、経路およびその周辺に限定した地図画像であり、その形状が経路に基づいて定まる。そのため、経路限定地図画像が表示部50に表示された状態では、表示部50の地図画像表示範囲には、部分的に地図画像が表示されない範囲が存在することになる。なお、地図画像描画部44による地図画像の描画方法については図2を用いてさらに後述する。
【0034】
地図画像描画部44は、経路案内部45に接続されており、全体地図画像あるいは経路限定領域地図画像を描画すると、その描画した地図画像を経路案内部45に出力する。
【0035】
経路案内部45は、地図画像描画部44、例えばLCD等によって構成される表示部50、及び例えばスピーカ等によって構成される音声出力部60に接続されている。そして、経路案内部45は、表示部50に地図画像を表示させ、また、音声出力部60から音声案内あるいは警告音を出力してユーザに経路を案内する。
【0036】
以下、図2及び図3を併せ参照して地図画像描画部44によって描画される地図画像について説明する。
【0037】
地図画像描画部44は、経路算出部43から経路情報が入力されていない、すなわち目的地が設定されていない場合には、全体地図画像P3を描画する。
【0038】
この全体地図画像P3の描画について詳述する。地図画像描画部44は、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報から、全体地図画像を表示部50に表示させるために必要なパーセルを取得する。この場合に取得するパーセルは、全体地図画像が表示部50の地図画像表示範囲の全体に表示される地図画像であるため、経路から比較的遠い領域のパーセルも取得することになる。地図画像描画部44は、次に、その取得したパーセルに対して全体地図画像を表示するための表示領域を設定し、設定した表示領域の地図画像を全体地図画像P3として描画する。なお、本実施の形態では、表示領域は、経路上の代表点、例えば車両の現在地を中心とする矩形状の領域である。このようにして描画された全体地図画像P3は、図3(a)に示すように、経路案内部45によって表示部50に表示されることになる。ちなみに、この図3(a)は、全体地図画像P3−1として図3(b)に示すように、縦方向に3行、横方向に3列の計9個のパーセルから構成されている。
【0039】
一方、地図画像描画部44は、経路算出部43から経路情報が入力された、すなわち目的地が設定されている場合には、経路限定地図画像を描画する。
【0040】
この経路限定地図画像は、その画像に含まれる経路の始点および終点は全体地図画像と同じである。地図画像描画部44は、この始点から終点までの経路Rに対して、その経路Rに沿った領域(本実施の形態では、経路Rから所定ドット数内の領域)を経路限定領域A1とし、この経路限定領域A1の地図画像である経路限定領域地図画像を描画する。
【0041】
詳しくは、地図画像描画部44は、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報のうち、経路算出部43によって算出された経路Rに沿った領域を含むパーセルを取得する。このように経路Rに沿った領域を含むパーセルを取得する場合、全体地図画像を描画する場合に比較して取得するパーセルは経路付近に限定されるため、経路R沿いについて見れば、全体地図画像を描画する場合よりも先の領域のパーセルまで取得することができる。
【0042】
ところで、経路Rに沿った領域を含むパーセルをそのまま用いて地図画像を描画すると、地図画像描画部44は、パーセルに含まれる道路情報や文字情報(「14 TH ST NW」等)CHをもとに描画するため、図2(a)に示すように、図中上下方向にも左右方向にも凹凸を有する地図画像P1を描画することになる。
【0043】
そこで、地図画像描画部44は、経路Rに沿った領域を含むパーセルをそのまま用いるのではなく、図2(b)に示すように、そのパーセルに対して経路Rに沿った領域である経路限定領域A1を設定する(クリッピングする)。なお、経路限定領域A1は、経路Rから上下左右方向所定ドット数内の領域であり、本実施の形態では、経路限定領域A1は、経路Rから左方に所定ドット数Dw(例えば「8ドット」)、経路Rから右方にドット数De(例えば「10ドット」)、経路Rから上方にドット数Dn(例えば「7ドット」)、経路Rから下方にドット数Ds(例えば「9ドット」)内の領域である。なお、本実施の形態では、経路限定領域A1を定める経路Rからの所定ドット数Dw,De,Dn,Dsは、同一の縮尺において全て異なるドット数としたが、これに限らない。同一の縮尺において、左右方向の所定ドット数Dw及びDeが同一、且つ、上下方向の所定ドット数Dn及びDsが同一であるものの、左右方向の所定ドット数Dw及びDeと上下方向の所定ドット数Dn及びDsとでは異なることとしてもよく、上下左右方向の所定ドット数Dw、De、Dn,Duが全て同一であることとしてもよい。また、経路Rからの所定ドット数Dw,De,Dn,Dsを、地図情報(パーセル)の縮尺に応じて変更してもよく、地図情報の縮尺が大きいほど、経路Rからの所定ドット数Dw,De,Dn,Dsを増大することとしてもよい。
【0044】
地図画像描画部44は、経路限定領域A1を設定すると、図2(c)に示すように、その経路限定領域A1の地図画像を経路限定領域地図画像P2として描画する。換言すれば、地図画像描画部44は、必要なエリアのみをユーザが視認可能なようにマスクをかける。なお、このようにして描画された経路限定領域地図画像P2は、図3(c)に示すように、経路案内部45によって表示部50に表示されることになる。
【0045】
以上のように構成されたナビゲーション装置1は図4に示す地図画像描画処理を実行する。なお、この地図画像描画処理は、車両のイグニッションスイッチがオン操作されて当該ナビゲーション装置1に電源が供給されると実行開始される。
【0046】
地図画像描画処理が実行開始されると、制御部40(詳しくは現在地検出部41)は、まず、ステップS1の処理として、GPS受信部20によって受信されるGPS信号を取得するとともに、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報を読み出し、これらGPS信号及び地図情報を利用して車両の現在地を検出する。制御部40は、車両の現在地を検出すると、続くステップS2の判断処理に移行する。
【0047】
ステップS2の判断処理に移行すると、制御部40(詳しくは経路算出部43)は、目的地が設定されたか否か、すなわち操作入力部30から目的地情報を取得したか否かを判断する。ここで、制御部40は、目的地が設定されたと判断した場合(ステップS2の判断処理で「Yes」)、続くステップS3の処理に移行する一方、目的地が入力されたと判断しなかった場合(ステップS2の判断処理で「No」)、続くステップS8の処理に移行する。
【0048】
ステップS3の処理に移行すると、制御部40(詳しくは経路算出部43)は、目的地情報、現在地情報、及び地図情報を利用して、車両の現在地から目的地への経路を算出する。
【0049】
目的地への経路を算出すると、制御部40(詳しくは地図画像描画部44)は、続くステップS4の処理として、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報のうち経路算出部43によって算出された経路Rに沿った領域を含むパーセルを取得し、続くステップS5の処理として、その取得したパーセルに対して経路限定領域A1を設定する。さらに、地図画像描画部44は、続くステップS6の処理として、先のステップS5の処理において設定した経路限定領域A1の地図画像を経路限定領域地図画像P2として描画する。
【0050】
経路限定領域地図画像P2を描画すると、制御部40(詳しくは経路案内部45)は、続くステップS7の処理として、先のステップS6の処理において描画された経路限定領域地図画像P2を表示部50に表示する(図3(c)参照)。
【0051】
一方、ステップS8の処理に移行すると、制御部40(詳しくは地図画像描画部44)は、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報のうち表示領域を含むパーセルを全て取得し、続くステップS9の処理として、その取得したパーセルに対して経路R及びその周辺を含む領域である表示領域を設定する。さらに、地図画像描画部44は、続くステップS10の処理として、先のステップS9の処理において設定した表示領域全体の地図画像を全体地図画像P3として描画する。
【0052】
全体地図画像P3を描画すると、制御部40(詳しくは経路案内部45)は、続くステップS11の処理として、先のステップS10の処理において描画された全体地図画像P3を表示部50に表示する(図3(a)参照)。
【0053】
以上説明した実施の形態では、制御部40(詳しくは地図画像描画部44)は、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報のうち経路Rに沿った領域を含むパーセルを取得し、その取得したパーセルに対して経路限定領域A1を設定するとともに、その経路限定領域A1の地図画像を経路限定領域地図画像P2として描画する。そして、制御部40(詳しくは経路案内部45)は、その経路限定領域地図画像P2を表示部50に表示することとした(図3(c)参照)。
【0054】
ナビゲーション装置としての上記構成では、地図画像描画部44は、経路限定領域地図画像を描画する場合、地図情報記憶部10から取得するパーセルを、経路Rに沿った領域を含むパーセルに限定する。そのため、経路R沿いについて見れば、表示部50に全体地図画像を表示する場合よりも先の領域までを地図情報記憶部10への1度のアクセスで取得可能になる。このことにより、地図情報記憶部10へのアクセス回数が減少するため、当該ナビゲーション装置1の消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0055】
また、ナビゲーション装置1としての上記構成では、地図画像描画部44は、経路Rに沿った領域である経路限定領域A1の地図画像を経路限定領域地図画像P2として描画する。描画する地図画像の範囲が狭くなることから、地図画像描画部44の演算負荷が減少する。この演算負荷が減少するため、当該ナビゲーション装置1の消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0056】
また、ナビゲーション装置1としての上記構成では、表示部50は経路限定領域地図画像P2を表示する。そのため、経路Rに沿った領域である経路限定領域以外の領域が表示されないため、消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0057】
さらに、経路案内部45は、表示部50に経路限定領域地図画像P2を表示させつつ経路Rを案内する。経路限定領域地図画像P2の表示が継続するため、ユーザが地図を見ることができる。
【0058】
したがって、上記実施の形態によれば、地図表示しながらも、消費電力の低減を図ることができるようになる。
【0059】
なお、本発明に係るナビゲーション装置は、上記実施の形態にて例示した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々に変形して実施することが可能である。すなわち、上記実施の形態を適宜変更した例えば次の形態として実施することもできる。
【0060】
上記実施の形態では、地図画像描画部44は、経路Rに沿った領域(すなわち、経路Rから所定ドット数内の領域)を経路限定領域A1を設定してクリッピングを施した後の地図画像である経路限定領域地図画像P2を描画していたが、描画する地図画像は、必ずしもクリッピングをする必要はなく、クリッピングをしていない経路限定領域地図画像P1(図2(a)参照)を描画することとしてもよい。経路限定領域地図画像P1は、上下方向にも左右方向にも凹凸を有するものの、クリッピングをしないので地図画像描画部44の演算負荷がさらに減少する。この演算負荷がさらに減少するため、当該ナビゲーション装置1の消費電力のさらなる低減を図ることができるようになる。
【0061】
上記実施の形態では、地図画像描画部44は、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報のうち経路Rに沿った領域を含むパーセルを取得し、その取得したパーセルに対して経路限定領域A1を設定するとともに、経路限定領域地図画像P2を描画することとしたが、これに限らない。地図情報記憶部10に記憶されている地図情報のうち経路Rを含むパーセルのみを取得するようにしてもよい。この場合、経路Rが含まれるパーセルとその隣接するパーセルとの境界近くに経路Rが位置していると、前述の実施形態ほどには経路Rから離れた領域まで含んでいる経路限定地図画像を描画することはできない。しかしながら、経路R沿いについて見れば、前述の実施形態の場合よりもさらに先の領域までを地図情報記憶部10への1度のアクセスで取得可能になる利点がある。なお、所定ドット数Dw,De,Dn,Dsとして、最大でも、経路Rを含むパーセル内に収まるドット数を採用するようにしてもよい。
【0062】
上記実施の形態では、地図画像描画部44は、図2(a)〜(c)に示すように、地図情報記憶部10に記憶されている地図情報のうち経路Rに沿った領域を含むパーセルを取得し(図2(a))、その取得したパーセルに対して経路限定領域A1を設定する(図2(b))とともに、経路限定領域地図画像P2を描画する(図2(c))こととしたが、これに限らない。図2(a)〜(c)に対応する図として図5(a)〜(c)に示すように、地図画像描画部44は、先に経路限定領域A1を設定し(図5(a))、この設定した経路限定領域A1に存在する地図情報のみ描画する(図5(b))ことで、経路限定領域地図画像P2(図5(c))を描画してもよい。この場合、図5(b)に示すように、経路限定領域A1を跨ぐ地図情報についても描画されることになるが、経路限定領域A1が指定されているため、実際には描画されない。
【0063】
上記実施の形態では、地図情報は、メッシュ状に分割されたパーセルにて、地図情報記憶部10に記憶されていたが、これに限らない。地図情報の地図情報記憶部10への格納形式は任意である。
【0064】
上記実施の形態では、地図画像描画部44は、目的地が設定されていない場合には全体地図画像P3を描画する一方、目的地が設定されている場合には経路限定領域地図画像P2を描画していた(ステップS2(図4)参照)が、これに限らない。他に例えば、経路限定領域地図画像P2及び全体地図画像P3の間で表示部50に表示させる地図画像を切り替えるための切替指示を経路案内部45に入力する切替指示部をさらに備え、経路案内部45は、切替指示部によって切替指示が入力された場合に、表示部50に表示する地図画像を切り替えて表示させ、経路Rを案内することとしてもよい。こうした切替指示部は、操作入力部30と同様に、タッチパネル等や音声入力装置等の適宜の入力装置にて構成することができる。例えば、タッチパネルを表示部50の表面に配置し、経路案内部45は、表示部50に地図画像を表示中に、ユーザがそのタッチパネルに触れるか否かを判断し、触れた旨が判断された場合に、表示部50に表示していた地図画像を切り替えることとしてもよい。
【0065】
上記実施の形態では、地図画像描画部44は、全体地図画像P3及び経路限定領域地図画像P2を選択的に表示部50に表示していたが、これに限らない。経路限定領域地図画像P2のみを表示部50に表示してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…ナビゲーション装置、10…地図情報記憶部、20…GPS受信部、30…目的地設定部、40…制御部、41…現在地検出部、42…経路算出部、43…地図画像描画部、44…経路案内部、50…表示部、60…音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する地図情報記憶部と、
地図画像を表示する表示部と、
現在地を検出する現在地検出部と、
目的地を設定する目的地設定部と、
前記地図情報記憶部に記憶されている地図情報に基づいて、現在地から目的地までの経路を算出する経路算出部と、
前記地図情報記憶部から、前記表示部の地図画像表示範囲の全体に地図画像を表示する場合に取得する領域よりも領域を前記経路に基づいて限定した経路限定領域の地図情報を取得し、その経路限定領域の地図情報に基づいて経路限定領域地図画像を描画する地図画像描画部と、
前記表示部の前記地図画像表示範囲の一部分を表示範囲として前記経路限定領域地図画像を表示させつつ、前記経路を案内する経路案内部とを備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のナビゲーション装置において、
前記地図情報は、メッシュ状に分割されたパーセルにて、前記地図情報記憶部に記憶されており、
前記経路限定領域地図画像は、前記経路に沿った領域の地図画像であり、
前記地図画像描画部は、前記地図情報記憶部から、前記経路限定領域地図画像の描画に必要な領域を含んでいるパーセルを取得し、その取得したパーセルに基づいて前記経路に沿った領域の経路限定領域地図画像を描画することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のナビゲーション装置において、
前記経路限定領域地図画像は、前記経路から所定ドット数内の範囲の地図画像であることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3に記載のナビゲーション装置において、
前記地図画像描画部は、前記表示部に表示する地図の縮尺に応じて前記所定ドット数を変更することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項4に記載のナビゲーション装置において、
前記地図画像描画部は、前記表示部に表示する地図の縮尺が大きいほど前記所定ドット数を増大することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のナビゲーション装置において、
前記地図画像描画部は、前記経路限定領域地図画像を描画するだけでなく、前記地図画像表示範囲全体に地図画像を表示する場合の地図画像である全体地図画像も描画し、
前記表示部に表示させる地図画像を切り替えるための切替指示を前記経路案内部に入力する切替指示部をさらに備え、
前記経路案内部は、前記切替指示部によって切替指示が入力された場合に、前記表示部に表示する地図を、前記経路限定領域地図画像及び前記全体地図画像のうち前記表示部に表示されている地図画像から、表示部に表示されていない他方の地図画像に切り替えることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
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【図4】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−220862(P2011−220862A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−90827(P2010−90827)
【出願日】平成22年4月9日(2010.4.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】