説明

ニコチン性アセチルコリン受容体の正のモジュレーター

式(I)又は式(II)
【化1】


[式中、R1、X及びArは明細書中に記載されるとおりである]の化合物、その医薬として許容し得る塩、これらの製造方法、これらを含む医薬組成物、並びに治療、特にニコチン性伝達の低減が関係する症状の治療のためのこれらの使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化合物又はその医薬として許容し得る塩、それらの製造方法、それらを含む医薬組成物および治療におけるそれらの使用に関する。本発明は特に、ニコチン性アセチルコリン受容体の正のモジュレーターに関し、このような正のモジュレーターはニコチン性受容体アゴニストの効力を高める能力を有する。
【背景技術】
【0002】
コリン作動性受容体は、通常、内因性神経伝達物質であるアセチルコリン(ACh)に結合し、イオンチャネルの開口を誘発する。哺乳動物の中枢神経系中のACh受容体は、ムスカリン及びニコチンのアゴニスト活性に基づいて、それぞれムスカリン性(mAChR)及びニコチン性(nAChR)サブタイプに分類することができる。ニコチン性アセチルコリン受容体は、5つのサブユニットを含むリガンド依存性(ligand-gated)イオンチャネルである。nAChRサブユニット遺伝子ファミリーのメンバーは、そのアミノ酸配列に基づいて2つの群に分類されている:一方の群はいわゆるβサブユニットを含み、第2の群はαサブユニットを含む。3種のαサブユニット、即ちα7、α8及びα9は、単独で発現した場合に機能性受容体を形成することが示されており、従ってホモオリゴマー5量体の受容体を形成すると考えられる。
【0003】
nAChRのアロステリック遷移状態モデルが構築されており、これには、少なくとも休止状態、活性化状態、及び「脱感作(desensitized)」閉鎖チャネル状態(受容体がアゴニストに対して反応しなくなるプロセス)が含まれる。種々のnAChRリガンドは、それらが優先して結合する受容体の構造状態を安定化することができる。例えば、アゴニストであるACh及び(-)-ニコチンは、それぞれ活性状態及び脱感作状態を安定化する。
【0004】
ニコチン性受容体の活性の変化は、多くの疾患に関与している。これらのうちのいくつか、例えば重症筋無力症及びADNFLE(常染色体優性夜間前頭葉癲癇)は、受容体数の減少又は脱感作の増大のいずれかの理由でニコチン性伝達の活性の低下を伴う。また、ニコチン性受容体の減少は、アルツハイマー病及び統合失調症のような疾患に見られる認識欠陥に関与すると仮定されている。
【0005】
また、タバコからのニコチンの作用は、ニコチン性受容体に仲介される。ニコチンの作用は脱感作状態にある受容体を安定化することであるため、ニコチン性受容体の活性を高めると、喫煙に対する欲求を減らすことができる。
【0006】
コリン作動性機能の低下を伴う各種障害、例えばアルツハイマー病、認識又は注意障害、注意力欠陥過活動性障害、不安症、鬱病、禁煙、神経保護、統合失調症、痛覚脱失、ツレット症候群及びパーキンソン病の治療のために、nAChRに結合する化合物が提案されている。
【0007】
しかしながら、AChは受容体を活性化するだけでなく、脱感作及び非競合的遮断を含むプロセスを通して受容体活性を妨げるため、AChと同じ部位で作用するニコチン性受容体アゴニストによる治療は問題を含んでいる。更に、延長された活性化は長期の不活性化を誘導するようである。従って、AChのアゴニストは、活性を高めるのみならず、活性を減少させることも予想される。
【0008】
一般に、ニコチン性受容体において、そして特にα7ニコチン性受容体において、脱感作は適用されたアゴニストの作用の持続時間を限定する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
驚くべきことに、本発明者らは、ある種の化合物がニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)においてアゴニストの効力を高め得ることを見出した。この種の作用を有する化合物(以下「正のモジュレーター」と称する)は、特にニコチン性伝達の低減に関連がある状態の治療に有用であると考えられる。治療環境では、このような化合物は、活性化の時間的プロファイルに影響を及ぼさずに正常な介在ニューロン性伝達を回復することができる。更に、アゴニストを長期的に適用しても、正のモジュレーターは受容体の長期間の不活性化を作り出すことはないと予想される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
α7ニコチン性受容体の調節が有益である精神異常、知的機能障害又は疾患又は状態の治療又は予防に有用である本発明の正のnAChRモジュレーターは、式I又は式II:
【化1】

に一致する化合物、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩であり、
式中:
R1は-OH、-N(R2)2、-NR2-SO2-R2、-SO2-N(R2)2、-CON(R2)2又は-NR2COR2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール基は0、1、2又は3個のR3基で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される基であり、該基は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換基を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される。
【0011】
特に、本発明の化合物は、式中の基が次のとおりのものである:
R1は-SO2-N(R2)2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール基は0、1、2又は3個のR3基で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される基であり、該基は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換基を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される。
【0012】
本発明者らはまた、8-ヒドロキシ-4-アリール-置換3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン及び8-アミノ-4-アリール-置換3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリンが、ニコチン性受容体におけるアゴニストの効力を高めることができ、そして従って本発明の方法において使用できる有効な正のモジュレーターであることを見出した。
【0013】
即ち、1つの態様において、本発明は、α7ニコチン性受容体の調節が有益である精神異常、知的機能障害又は疾患又は症状の治療方法又は予防方法であり、該方法は、上述の式I又は式IIの正のモジュレーター、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩の治療有効量を投与することを含む。
【0014】
本発明の方法の特定の態様は、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶力の減退、レビー小体痴呆、注意力欠陥過活動性障害、不安症、統合失調症、躁病、躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、コリン作動性シナプスの損失がある神経変性障害、時差ボケ、ニコチン中毒、疼痛、潰瘍性大腸炎又は過敏性腸症候群の治療方法である。
【0015】
本発明の治療方法は、唯一の有効成分として正のモジュレーターを投与し、従ってアセチルコリン又はコリンのような内因性のニコチン性受容体アゴニストの活性を調節すること、又はニコチン性受容体アゴニストと一緒に正のモジュレーターを投与することを含む。
【0016】
本発明のこの態様の特定の形態において、治療方法は、本明細書に記載されるα7ニコチン性受容体モジュレーター及びα7ニコチン性受容体アゴニストによる治療を含む。適当なα7ニコチン性受容体アゴニストの例は、(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2.]オクタン-3,5'-オキサゾリジン]-2'-オンである。本発明の正のモジュレーターとの併用治療に有用な他のα7ニコチン性受容体アゴニストは、国際公開WO 96/06098、WO 97/30998及びWO 99/03859に記載されている。
【0017】
別の態様において、本発明は、式I又は式II
【化2】

に一致する化合物、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩であり、
式中:
R1はNR2-SO2-R2又は-SO2-N(R2)2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール基は0、1、2又は3個のR3基で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される基であり、該基は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換基を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される。
【0018】
本発明の特定の化合物としては、次の化合物又はその医薬として許容し得る塩が挙げられる:
4-(2-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(2-メチル-4,5-ジメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(3,5-ジメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(4-tert-ブチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(2-ナフチル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(4-フルオロフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-ス
ルホンアミド;
4-(4-メチルフェニル)-2,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-フロ[3,2-c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aR,4S,9bS)-4-ナフタレン-2-イル-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aS,4R,9bR)-4-ナフタレン-2-イル-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aR,4S,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aS,4R,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aS,4S,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aR,4R,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aR,4S,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-1,2,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド、及び
(3aS,4R,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-1,2,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド。
【0019】
本発明の別の態様は、式I又は式IIの化合物の製造方法を含む。以下の記載において、特に記載のない限り、R1及びArは、式I及び式IIについて本明細書に定義されるとおりである。
【0020】
式I又は式IIの化合物は、例えばスキーム1に概略を示すように、適当に置換された式IIの芳香族アミン、式IIIの芳香族アルデヒド及び式IVのアルケンの3−成分カップリング反応によって製造できる。該反応は、アセトニトリルのような溶剤中で、適当な酸性触媒、例えばトリフルオロ酢酸のようなプロトン酸、又は適当なルイス酸触媒、例えば三塩化インジウム、モレキュラー・シーブのような乾燥剤の存在下で行うことができる。式II、III及びIVの化合物は市販されているか、又は文献に記載された方法により製造できるか、又は有機化学合成の当業者に既知の方法及び技術を用いて製造できる。
【0021】
本発明の正のモジュレーターは、毒性がより低く、効力がより大きく、より持続性であり、活性範囲がより広く、より強力であり、副作用がより少なく、より容易に吸収され、又はその他の有用な薬理特性を有するという利点を有する。
【0022】
酸付加塩もまた本発明の範囲内である。このような塩としては、鉱酸の塩、例えば塩酸塩及び臭化水素酸塩;及び有機酸と形成される塩、例えばギ酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、酒石酸塩及びフマル酸塩が挙げられる。式I又は式IIの化合物の酸付加塩は、遊離塩基又はその塩、鏡像異性体若しくは保護されている誘導体を、1当量又はそれ以上の適当な酸と反応させることにより形成できる。この反応は、塩が溶解しない溶剤若しくは媒体中か又は塩が溶解する溶剤中、例えば水、ジオキサン、エタノール、テトラヒドロフラン若しくはジエチルエーテル又は溶剤混合物中で行うことができ、該溶剤は真空下で、又は凍結乾燥することによって除去することができる。この反応は複分解反応であってよく、又はイオン交換樹脂上で行うことができる。
【0023】
式I及び式IIの化合物は互変異性型又は鏡像異性型で存在し得、これらは全て本発明の範囲に含まれる。種々の光学異性体は、慣用の技術を用いて、例えば分別晶出又はキラルHPLCにより化合物のラセミ混合物を分割することによって単離できる。別法として、ラセミ化を引き起こさない反応条件下で適当な光学活性出発物質を反応させることによって、個々の鏡像異性体を製造することができる。
【0024】
本発明の更なる態様は、哺乳動物、好ましくはヒトにおけるニコチン性アセチルコリン受容体神経伝達の機能障害に起因する、本明細書において記載される状態又は障害の治療又は予防のための医薬組成物を含む。このような医薬組成物は、このような障害又は状態の治療又は予防に有効な式I又は式IIの化合物、その鏡像異性体又は医薬として許容し得る塩の治療有効量、及び医薬として許容し得る担体を含む。
【0025】
本発明の別の態様は、本明細書に記載される式I又は式IIの化合物、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩を、医薬として許容し得る少なくとも1種の希釈剤又は担体と共に含む医薬組成物である。
【0026】
特に、本発明のこの態様は、好ましくは80質量%より少ない、より好ましくは50質量%より少ない量の本発明の化合物を、医薬として許容し得る希釈剤又は担体と混合して含む医薬組成物を提供する。
【0027】
希釈剤及び担体の例は次のとおりである:
‐錠剤及び糖衣錠のためには:ラクトース、デンプン、タルク、ステアリン酸;
‐カプセル剤のためには:酒石酸又はラクトース;
‐注射用液剤のためには:水、アルコール、グリセリン、植物油;
‐坐剤のためには:天然油又は硬化油又はワックス。
【0028】
本発明の更に別の医薬組成物は、更にニコチン性受容体アゴニストを含む。
【0029】
本発明の別の態様は医薬組成物の製造方法を提供し、これは慣用の方法によって成分を組成物中に組み込むことを含む。
【0030】
本発明の更なる態様は、医薬を製造するための、式I又は式IIの化合物、その鏡像異性体又はその医薬として許容し得る塩の使用である。
【0031】
本発明の特定の態様は、α7ニコチン性受容体の調節が有益である精神異常、知的機能障害、ヒトの疾患又は状態、例えばアルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶力の減退、レビー小体痴呆、注意力欠陥過活動性障害、不安症、統合失調症、躁病、躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、コリン作動性シナプスの損失がある神経変性障害、時差ボケ、ニコチン中毒、疼痛、潰瘍性大腸炎又は過敏性腸症候群の治療又は予防のための医薬の製造における、本明細書に記載される式I又は式IIの化合物、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩の使用である。
【0032】
特定の形態において、本発明のこの態様は、本明細書において挙げられる疾患又は状態の1種であり得る、ニコチン性受容体伝達の低減が関係する状態又はニコチン性受容体密度の低減が関係する状態の治療または予防のための医薬の製造における本発明の化合物の使用であり、該治療は、治療有効量の本発明の化合物を含む前記医薬を患者に投与することを含む。
【0033】
この使用としては、内因性のニコチン性受容体アゴニストの活性を調節する唯一の有効成分として正のモジュレーターを含む医薬の製造、又はニコチン性受容体アゴニストと組合わせて正のモジュレーターを含む医薬の製造が挙げられる。従って、この使用は、正のモジュレーターを含む医薬、及びこれに加えて更にニコチン性受容体アゴニストを含む医薬の製造を提供する。
【0034】
本発明のこの態様の特定の形態において、医薬又は医薬組成物は、本明細書に記載されるα7ニコチン性受容体のモジュレーターと、α7ニコチン性受容体アゴニストとを含む。適当なα7ニコチン性受容体アゴニストの例は、(-)-スピロ[1-アザビシクロ[2.2.2.]オクタン-3,5'-オキサゾリジン]-2'-オンである。本発明の正のモジュレーターとの併用医薬に有用なその他のα7ニコチン性受容体アゴニストは、国際公開WO 96/06098、WO 97/30998及びWO 99/03859に記載される。
【0035】
また、本発明の更なる態様は、ニコチン性アセチルコリン受容体神経伝達の機能障害に起因する、本明細書において記載される、哺乳動物、好ましくはヒトにおける状態又は障害の治療方法又は予防方法である。
【0036】
本発明のこの態様の特定の形態は、ニコチン性伝達の低減に関連がある状態の治療を必要とする患者に、ニコチン性受容体アゴニストの正のモジュレーターの医学上有効量を投与することによる、このような状態の治療方法を提供し、該正のモジュレーターは、該ニコチン性受容体アゴニストの効力を高めることができる。
【0037】
上述の組成物、使用及び方法において、用いられる式I又は式IIの化合物の量は、当然、用いられる化合物、投与様式及び所望の治療によって変化する。しかしながら、一般に、動物の体重1kgあたり約0.1mg〜約20mgの日用量を与えるように本発明の化合物を投与する場合に、満足のいく結果が得られる。該日用量は、1日1〜4回の分割用量として、又は徐放性形態で提供することができる。ヒトに対しては、総日用量は5mg〜1,400mg、より好ましくは10mg〜100mgの範囲であり、経口投与に適する単位用量形態は、固体又は液体の医薬担体又は希釈剤と混合して、化合物2mg〜1,400mgを含む。
【0038】
本発明の組成物、使用及び方法において、式I又は式IIの化合物、その鏡像異性体、又はその医薬として許容し得る塩は、それぞれの、腸溶性または非経口投与用の適当な医薬製剤の形態で使用してよく、又は他の薬理活性薬剤を含む組成物において使用してよい。例えば、他の薬理活性薬剤を含む組成物は、ニコチン性受容体アゴニストと一緒に、式I又は式IIの正のモジュレーター化合物を含んでよい。
【0039】
従って、本発明は、唯一の有効成分として正のモジュレーターを含み、従ってアセチルコリン又はコリンのような内因性のニコチン性受容体アゴニストの活性を調節する組成物、及びニコチン性受容体アゴニストと組合わせて正のモジュレーターを含む組成物を包含する。従って、ニコチン性受容体アゴニストの正のモジュレーターを含む前記医薬組成物は、更にニコチン性受容体アゴニストを含んでよい。
【0040】
本発明の態様が有用である疾患または状態の例としては、統合失調症、躁病及び躁鬱病、不安症、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶力の減退、レビー小体痴呆、注意力欠陥過活動性障害、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、時差ボケ、及びニコチン中毒(ニコチン含有製品への暴露に起因するものを含む)が挙げられる。
【0041】
本発明の正のモジュレーターは、アセチルコリン又はコリンのような内因性のニコチン性受容体アゴニストの作用を調節する目的で、又は外因性のニコチン性受容体アゴニストの作用を調節するために、投与できることが理解されよう。
【0042】
実験方法
本発明の化合物の活性は、以下に記載する試験において測定することができる:
【0043】
(a)ツメガエル卵母細胞電流記録
ツメガエル卵母細胞は、リガンド依存性イオンチャネルのサブユニットであると考えられるタンパク質の機能を評価する有力な手段を提供する。適切な受容体サブユニットをコードするcDNAクローンから転写されたRNAの注入、又はコード配列がプロモーターの下流に位置するcDNAの注入により、卵母細胞の表面に機能性リガンド依存性イオンチャネルが発現する(例えばBoulterら、(1987) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 84, 7763-7767参照)。
従って、ニコチン性効力の増加を評価する慣用技術の1つは、cRNAからα7ニコチン性受容体を発現するツメガエル卵母細胞の二電極電圧固定記録である。
【0044】
アフリカツメガエル(Xenopus laevis)(Xenopus I, Kalamazoo, MI)を0.15%トリカインで麻酔した。卵母細胞をOR2溶液(82mM NaCl、2.5mM KCl、5mM HEPES、1.5mM NaH2PO4、1mM MgCl2、0.1mM EDTA;pH7.4)に移した。卵母細胞を1Hzで振動しているプラットホーム上で60分間で2回、0.2%コラゲナーゼ1A(Sigma)を含むOR2(25ml)中でインキュベートして脱瀘胞し、そしてLeibovitzのL-15培地(50μg/mlゲントマイシン、10ユニット/mlペニシリン及び10μg/mlストレプトマイシン)中に保存した。次の日に、cRNA約50ngを各卵母細胞に注入した。cRNAはcDNAからMessage Machine(Abionから購入)を用いて合成した。
【0045】
外部記録溶液は90mM NaCl、1mM KCl、1mM MgCl2、1mM BaCl2、5mM HEPES;pH7.4から成る。二電極電圧固定記録はOocyte Clamp増幅器(OC 725C;Warner Instrument, Hamden, CT)を用いて実施した。3M KClを満たしたときに、1〜2MΩの先端抵抗の二電極を卵母細胞に刺した。膜電位が負〜−20mVの電位で安定したときに記録を開始した(浴液中Ca++をBa++で置き替えると静止膜電位が負に傾く程度は抑えられる)。膜電位を−80mVで固定した。AChはSigmaから購入した。卵母細胞はAChを含むか又は含まない記録溶液で連続的に潅流した(5ml/分)。
【0046】
電流振幅をベースラインからピークまで測定した。EC50値、最大効果及びHillスロープは、GraphPad Prism(GraphPad Software Inc., San Diego, CA)を用いて、データをロジスティック式に当てはめることにより評価した。
【0047】
正のモジュレーターにより誘起されるアゴニスト効力の増加は二通りの方法で計算することができる:
(1) 100(Im-Ic)/Ic(ここでImはモジュレーターの存在下での電流振幅であり、そしてIcはモジュレーターの非存在下での電流である)と定義される電流振幅の百分率増加として。
(2) アゴニストトレースの「曲線下領域」の百分率増加として。これは、一定時間にわたる正味電流の積分である。曲線下領域は、チャネルを通る総イオンフラックスの一般的表示である。
【0048】
(b)Ca++フラックス画像化
細胞系において一過性で発現されるnAChRα7受容体によるCa++フラックスの画像化は、モジュレーター活性をアッセイするもう一つの手段である。
α7受容体を発現する細胞(例えば、HEK-293細胞又は細胞培養ニューロン)を96ウェルプレート中で培養して密生させ、fluo-3、蛍光カルシウム指示薬を添加した。α7モジュレーター活性をスクリーニングするために、96ウェルプレートを蛍光画像化プレートリーダー(FLIPR)に入れ、そしてα7アゴニストと一緒に試験化合物を全てのウェルに同時に加えた。受容体の活性化を細胞内へのカルシウム流入によって測定し、これは各ウェルの蛍光強度の増加により定量化し、FLIPRにより同時に記録した。モジュレーター効果は、アゴニスト単独の蛍光を上回った蛍光の増加によって決定した。同様に、nAChRα7アゴニスト活性について試験するために、α7モジュレーターと一緒に試験化合物を全てのウェルに同時に加えた。受容体活性化を、細胞内へのカルシウム流入によって測定し、これは各ウェルの蛍光強度の増加によって定量化し、FLIPRにより同時に記録した。アゴニスト効果を、モジュレーター単独の蛍光を上回った蛍光の増加によって決定した。
【0049】
細胞培養ニューロンを以下の方法に従って調製した:18日齢のSprague-Dawleyラット胎児(E-18)を妊娠している雌から無菌的に摘出し、犠牲にし、脳の前頭皮質を摘出し、髄膜を剥離し、清浄化した皮質を冷HBSS中に入れた。海馬を所望する場合は、海馬を皮質から切り出し、次いで冷HBSSに入れる。組織を機械的に分散させ、HBSS中で一度洗浄し(200g、4℃で30分間)、グルタミン、抗生物質、塩化カリウム、インシュリン、トランスフェリン、セレン及び5%熱不活性化ウシ胎児血清(FBS;内毒素非含有)を補充した変性Sato培地中に再懸濁し、そして24ウェルプレート(ポリ-L-リジンでコーティングしたもの)の各々に入れた。ウェルは、同じくPLLでコーティングしたガラスカバースリップを有し得る。プレートをCO2インキュベーター中37℃でインキュベートした。24時間後、培地を除去し、新鮮な培地を加え、必要に応じてフィーディング(feeding)しながら細胞を少なくとも更に11日間生育させた。
【0050】
本発明の化合物は、低濃度のアセチルコリン(30μM)でピークに対するベースラインを測定したときにベースライン電流(上記のとおり)の100%増加(2倍増加)を引き起こす化合物であり、このことは、これらの化合物が有用な治療活性を有すると予想されることを示している。本発明の化合物はまた、上述のとおり、Ca++フラックス画像化アッセイに付したときにCa++フラックスを増加させる化合物でもある。アゴニスト単独で引き起こされるCa++フラックス(Fluorescence Intensity Unitsで測定)と比較して、本発明の化合物によって引き起こされるCa++フラックスが増加するということは、これらの化合物が有用な治療活性を有すると予想されることを示している。
【0051】
本発明の化合物は毒性がより低く、効力がより大きく、より持続性であり、活性範囲がより広く、より強力であり、副作用がより少なく、より容易に吸収され、又はその他の有用な薬理特性を有するという点において、本発明の化合物の使用は利点を有する。
【0052】
一般的な実験方法
本発明は、本明細書に記載される実施例によって説明されるがこれに限定されない。該実施例の記載において、適用可能であって特に明記しない限り、次の用語、略語及び条件が使用される:
市販の試薬は、更に精製することなく使用した。
【0053】
次の略語を本明細書において使用する:aq.、水性;atm、大気圧;BOC、1,1-ジメチルエトキシカルボニル;DCM、ジクロロメタン;DMF、N,N-ジメチルホルムアミド;DMSO、ジメチルスルホキシド;EtOH、エタノール;Et2O、ジエチルエーテル;EtOAc、酢酸エチル;h、時間;HPLC、高圧液体クロマトグラフィー;HOBT、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール;MeOH、メタノール;min、分;MS、質量スペクトル;NMR、核磁気共鳴;psi、毎平方インチあたりポンド;RT、室温;sat.、飽和;TEA、トリエチルアミン;TFA、トリフルオロ酢酸;THF、テトラヒドロフラン。
【0054】
温度は摂氏温度(℃)で記載する;特に明記しない限り、操作は室温又は周囲温度(18〜25℃)で行った。
【0055】
有機溶液は、無水硫酸ナトリウム又は硫酸マグネシウム上で乾燥させた;溶剤の蒸発は、60℃までの浴温で、減圧下(4.5〜30mmHg)でロータリーエバポレーターを使用して行った。
【0056】
クロマトグラフィーとは、特に記載のない限り、シリカゲル上のフラッシュカラムクロマトグラフィーを意味する;溶剤混合物の組成は、容量百分率か又は容量比で記載する。
【0057】
NMRデータを記載する場合、これは300MHzにおいて測定した、主に対象となるプロトンについてのδ値の形式である(内部標準としてのテトラメチルシランに対する100万分の1の単位(ppm)で記載される)。
【0058】
融点は補正されていない。
【0059】
質量スペクトルは、Hewlett Packard 5988A又はMicroMass Quattro-1質量分析器のいずれかを用いて記録し、親分子イオンについてのm/zとして記載する。室温とは20〜25℃を指す。
【0060】
本明細書に記載される反応は、特に記載のない限り、通常は約1〜約3気圧、好ましくは周囲圧力(約1気圧)の圧力において行われた。
【0061】
特に明記しない限り、該反応は不活性雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で行われた。
【0062】
本発明の化合物及び中間体は、標準的な技術によってその反応混合物から単離することができる。
【0063】
本明細書において使用される場合、特に記載のない限り、「C1-4アルキル」は、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、i-プロピル、i-ブチル、t-ブチル、s-ブチル等を包含し、またC3-6アルキル基は直鎖状、分枝鎖状又は環状、例えばシクロプロピル又はシクロブチルであってよい。
【0064】
本明細書において使用される場合、特に記載のない限り、「C2-4アルケニル」としては1-プロペニル、2-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル及び3-ブテニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
本明細書において使用される場合、特に記載のない限り、「C2-4アルキニル」としてはエチニル、1-プロピニル、2-プロピニル、1-ブチニル、2-ブチニル及び3-ブチニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
本明細書において使用される場合、「ハロゲン」はフッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味する。
【実施例】
【0067】
本発明の化合物は、スキーム1に説明されるプロセスによって一般的に製造でき、該スキーム1において、R1、Ar及びXは式I又はIIの化合物について本明細書で定義したとおりである。
【化3】

【0068】
本明細書に記載される全てのプロセスにおいて、必要ならば、ヒドロキシ、アミノ又はその他の反応基を、当業者に理解されるように保護基を用いて保護してよい。
【0069】
4-アリール-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホン酸アミド又はその逆のスルホンアミドの製造は、以下に説明されるプロセスによって一般的に行うことができる:
【化4】

【0070】
例えば、アセトニトリル(10mL)中のアリールアルデヒド(3.2mmol)、4-アミノベンゼンスルホンアミド(3.2mmol)及びシクロペンタジエン(0.63g、9.6mmol)の溶液に、三塩化インジウム(0.142g、0.64mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。10%Na2CO3水溶液(10mL)を加え、生成物をクロロホルム(3 x 10mL)中に抽出し、水及びブラインで洗浄し、MgSO4上で乾燥し、減圧下で濃縮した。残留物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付し、ヘキサン 酢酸エチルで溶離させることによって精製し、合一した生成物の画分をアセトニトリル及び水の混合物から凍結乾燥してキノリンを得た。
【0071】
より詳細には、本明細書に記載される式I又は式IIの化合物は、塩化インジウムを、アセトニトリル中のアリールアルデヒド、4-アミノベンゼンスルホンアミド及びシクロペンタジエン又は2,3-ジヒドロフランの溶液に加え、一晩撹拌し、次いで中和し、抽出し、濃縮し、精製してキノリンを得ることによって製造できる。
【0072】
以下の実施例は、適当な前駆体の使用により適宜製造できる。
【0073】
実施例1:4-(1-ナフチル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化5】

収量、0.83g(69%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 8.28(d, 1H), 7.98(d, 1H), 7.89(d, 1H), 7.75(d, 1H), 7.58(m, 3H), 7.49(s, 1H), 7.37(t, 1H), 6.98(s, 2H), 6.88(d, 1H), 6.34(s, 1H), 5.91(s, 1H), 5.59(d, 1H), 5.44(s, 1H), 4.25(d, 1H), 3.17(m, 1H), 2.41(m, 1H), 1.42(m, 1H);MS(ES+) m/z:377(M+1);分析値:C22H20N2O2S・シH2Oについての計算値:C, 69.36;H, 5.42;N, 7.35. 実測値:C, 69.29;H, 5.49;N, 7.46.
【0074】
実施例2:4-(フェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化6】

収量 0.37g(35%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.46(m, 3H), 7.39(m, 2H), 7.31(m, 2H), 6.95(s, 2H), 6.81(d, 1H), 6.37(s, 1H), 5.89(d, 1H), 5.62(d, 1H), 4.64(s, 1H), 4.07(d, 1H), 2.95(m, 1H), 2.39(m, 1H), 1.64(m, 1H);MS(ES+) m/z:327(M+1);分析値:C18H18N2O2S・0.65CH3CNについての計算値:C, 65.58;H, 5.70;N, 10.50. 実測値:C, 65.35;H, 5.73;N, 10.54.
【0075】
実施例3:4-(2-ニトロフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化7】

収量 0.24g(20%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.97(m, 1H), 7.92(m, 1H), 7.80(m, 1H), 7.60(m, 1H), 7.47(s, 1H), 7.36(m, 1H), 6.98(s, 2H), 6.78(d, 1H), 6.37(s, 1H), 5.94(m, 1H), 5.67(m, 1H), 4.96(m, 1H), 4.09(m, 1H), 3.09(m, 1H), 2.55(m, 1H), 1.70(m, 1H);MS(ES+) m/z:372(M+1).
【0076】
実施例4:4-(3-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化8】

収量 0.53g(49%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.42(s, 1H), 7.35(d, 1H), 7.32(m, 3H), 7.11(d, 1H), 6.94(s, 2H), 6.81(d, 1H), 6.34(s, 1H), 5.88(d, 1H), 5.62(d, 1H), 4.59(d, 1H), 4.05(m, 1H), 2.93(m, 1H), 2.40(m, 1H), 2.37(s, 3H), 1.65(m, 1H);MS(ES+) m/z:341(M+1);分析値:C19H20N2O2Sについての計算値:C, 67.03;H, 5.92;N, 8.23. 実測値:C, 67.23;H, 5.85;N, 7.95.
【0077】
実施例5:4-(2-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化9】

収量 0.65g(60%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ7.51(d, 1H), 7.44(s, 1H), 7.32(m, 1H), 7.24(m, 1H), 7.58(m, 2H), 6.94(s, 2H), 6.80(d, 1H), 6.21(s, 1H), 5.89(s, 1H), 5.63(d, 1H), 4.79(d, 1H), 4.10(d, 1H), 2.98(m, 1H), 2.45(m, 1H), 2.37(s, 3H), 1.60(m, 1H);MS(ES+) m/z:341(M+1);分析値:C19H20N2O2Sについての計算値:C, 67.03;H, 5.92;N, 8.22. 実測値:C, 66.97;H, 6.10;N, 8.15.
【0078】
実施例6:4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化10】

収量 0.26g(24%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.43(s, 1H), 7.32(m, 3H), 7.20(m, 2H), 6.94(s, 2H), 6.80(d, 1H), 6.31(s, 1H), 5.88(s, 1H), 5.62(d, 1H), 4.59(d, 1H), 4.06(m, 1H), 2.92(m, 1H), 2.38(m, 1H), 2.31(s, 3H), 1.65(m, 1H);MS(ES+) m/z:341(M+1);分析値:C19H20N2O2Sについての計算値:C, 67.03;H, 5.92;N, 8.22. 実測値:C, 66.35;H, 5.92;N, 8.29.
【0079】
実施例7:4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化11】

収量 0.34g(26%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) ( 7.43(s, 1H), 7.33(m, 1H), 6.95(s, 2H), 6.80(d, 1H), 6.72(m, 2H), 6.31(s, 1H), 5.89(m, 1H), 5.64(m, 1H), 5.55(m, 1H), 4.05(m, 1H), 3.80(s, 6H), 3.66(s, 3H), 2.96(m, 1H), 2.42(m, 1H), 1.73(m, 1H);MS(ES+) m/z:417(M+1);分析値:C21H24N2O5Sについての計算値:C, 60.56;H, 5.81;N, 6.72. 実測値:C, 60.42;H, 5.90;N, 6.46.
【0080】
実施例8:4-(2-メチル-4,5-ジメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化12】

収量 0.32g(25%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.43(s, 1H), 7.32(m, 1H), 7.25(s, 1H), 6.93(s, 2H), 6.77(m, 2H), 6.14(s, 1H), 5.86(m, 1H), 5.63(m, 1H), 4.69(m, 1H), 4.06(m, 1H), 3.78(s, 3H), 2.91(m, 1H), 2.47(m, 1H), 2.33(s, 3H), 2.15(s, 3H), 1.64(m, 1H).
【0081】
実施例9:4-(3,5-ジメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化13】

収量 0.42g(34%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.42(s, 1H), 7.33(d, 1H), 6.94(s, 2H), 6.81(d, 1H), 6.61(s, 2H), 6.42(s, 1H), 6.32(s, 1H), 5.88(m, 1H), 5.62(m, 1H), 4.55(m, 1H), 4.05(m, 1H), 3.76(d, 6H), 2.97(m, 1H), 2.36(m, 1H), 1.70(m, 1H);MS(ES+) m/z:387(M+1);分析値:C20H22N2O4Sについての計算値:C, 62.15;H, 5.74;N, 7.25. 実測値:C, 61.81;H, 5.64;N, 7.32.
【0082】
実施例10:4-(4-tert-ブチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キ
ノリン-8-スルホンアミド
【化14】

収量 0.10g(8%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.36(m, 6H), 6.93(s, 2H), 6.77(d, 1H), 6.32(s, 1H), 5.88(m, 1H), 5.63(m, 1H), 4.58(d, 1H), 4.06(m, 1H), 2.92(m, 1H), 2.43(m, 1H), 1.70(m, 1H), 1.30(s, 9H);MS(ES+) m/z:383(M+1);分析値:C22H26N2O2Sについての計算値:C, 69.08;H, 6.85;N, 7.32. 実測値:C, 68.60;H, 6.82;N, 6.83.
【0083】
実施例11:4-(2-ナフチル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化15】

収量 0.23g(19%);1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.96(m, 4H), 7.63(m, 1H), 7.52(m, 2H), 7.47(s, 1H), 7.36(m, 1H), 6.97(s, 2H), 6.87(d, 1H), 6.52(s, 1H), 5.91(d, 1H), 5.61(d, 1H), 4.81(d, 1H), 4.12(d, 1H), 3.08(m, 1H), 2.45(m, 1H), 1.61(m, 1H);MS(ES+) m/z:377(M+1);分析値:C22H20N2O2Sについての計算値:C, 70.18;H, 5.35;N, 7.44. 実測値:C, 70.70;H, 5.33;6.97.
【0084】
実施例12:4-(4-フルオロフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化16】

1H NMR(500 MHz, DMSO-d6) δ 7.50(m, 2H), 7.45(s, 1H), 7.35(m, 1H), 7.25(m, 2H), 6.97(s, 2H), 6.80(d, 1H), 6.36(s, 1H), 5.90(m, 1H), 5.6(m, 1H), 4.65(m, 1H), 4.05(m, 1H), 2.93(m, 1H), 2.35(m, 1H), 1.62(m, 1H);MS(ES+) m/z:345(M+1);分析値:C18H17F1N2O2Sについての計算値:C, 62.77;H, 4.98;N, 8.13. 実測値:C, 62.59;H, 5.42;N, 8.47.
【0085】
実施例13:4-(4-メチルフェニル)-2,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-フロ[3,2-c]キノリン-8-スルホンアミド
【化17】

乾燥アセトニトリル(3mL)中のスルファニルイミド(0.47g、2.7mmol)、p-トルアルデヒド(0.29mL、2.5mmol)、三塩化インジウム(0.11g、0.50mmol)及び4Åモレキュラー・シーブ(1.28g)を、窒素下で15分間室温で撹拌した。次いで、2,3-ジヒドロフラン(0.83mL、11.0mmol)を加え、反応物を48時間撹拌した。アセトニトリルを使用し、混合物をシリカゲル・プラグを通して濾過し、濾液を濃縮した。固体をシリカゲル上に吸着させ、1:5 イソプロパノール-ヘキサンを用いてフラッシュし、白色固体を得た(120 mg、14%)。1H NMR(300 MHz, DMSO-d6):7.92(s, 1H), 7.61(d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.19-7.33(m, 7H), 6.62(d, 1H, J = 8.4 Hz), 5.24(d, 1H, J = 7.5 Hz), 4.78(s, 1H), 4.67(s, 1H, br), 3.74-3.85(m, 2H), 2.77(m, 1H), 2.40(s, 3H), 1.65-1.80(m, 1H), 1.55-1.65(m, 1H). LCMS(ES) 345.3(M + H).
【0086】
実施例14:(3aR,4S,9bS)-4-ナフタレン-2-イル-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド及び
実施例15:(3aS,4R,9bR)-4-ナフタレン-2-イル-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化18】

乾燥アセトニトリル(120mL)中のスルファニルイミド(9.1g、0.053mol)、2-ナフタアルデヒド(7.5g、0.048mol)、三塩化インジウム(3.7g、0.017mol)及び4Åモレキュラー・シーブ(10g)を、窒素下で15分間室温で撹拌した。次いで、シクロペンタジエン(17.3mL、0.21mol)を加え、反応物を3時間撹拌した。反応混合物をシリカゲル・プラグを通して濾過し、アセトニトリルで洗浄し、濾液を濃縮した。固体をシリカゲル上に吸着させ、ヘキサン-イソプロパノール(10:1)でフラッシュし、白色固体(2.1g)を得た。粗製物質の一部(50mg)を、定組成50:50 MeOH:CO2を用いて、chiracel ODカラム上の超臨界流体クロマトグラフィーを使用して精製し、主生成物の対を得た(副生成物の対は単離されなかった)。先に溶離する表題化合物をオフホワイト色固体として得た(12 mg、3%)。1H NMR(300 MHz, DMSO-d6):7.92-7.98(m, 4H), 7.60(d, 1H, J = 8.7 Hz), 7.50-7.53(m, 2H), 7.47(s, 1H), 7.36(d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.97(s, 2H), 6.86(d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.52(s, 1H), 5.90(s, 1H, br), 5.62(s, 1H, br) 4.81(s, 1H, br), 4.13(d, 1H, J = 9.0 Hz), 3.08(m, 1H), 2.43(m, 1H), 1.62(dd, 1H, J = 9.3, 16.2 Hz)。LC/MS(ES) 377.3(M + H)。[αD] = (-)。また、遅れて溶離する表題化合物も、オフホワイト色固体として単離した(26mg、6%)。1H NMR(300 MHz, DMSO-d6):7.91-7.97(m, 4H), 7.60(d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.50-7.53(m, 2H), 7.46(s, 1H), 7.36(dd, 1H, J = 2.1, 8.7 Hz), 6.97(s, 2H), 6.86(d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.52(s, 1H), 5.90(s, 1H, br), 5.62(d, 1H, J = 4.8 Hz), 4.81(d, 1H, J = 2.7 Hz), 4.12(d, 1H, J = 9.0 Hz), 3.08(m, 1H), 2.43(m, 1H), 1.62(dd, 1H, J = 9.0, 15.6 Hz)。LC/MS(ES) 377.1(M + H)。[αD] =(+).
【0087】
実施例16:(3aR,4R,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
実施例17:(3aR,4S,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
実施例18:(3aS,4R,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド及び
【0088】
実施例19:(3aS,4S,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化19】

乾燥アセトニトリル(125mL)中のスルファニルイミド(20.5g、0.12mol)、p-トルアルデヒド(12.7mL、0.11mol)、三塩化インジウム(4.8g、0.022mol)及び4Åモレキュラー・シーブを、窒素下で15分間室温で撹拌した。次いで、シクロペンタジエン(31.4mL、0.48mol)を加え、反応物を48時間撹拌した。混合物をシリカゲル・プラグを通して濾過し、アセトニトリルで洗浄し、濾液を濃縮した。固体をイソプロパノール-ヘキサンから再結晶化し、白色固体(4.2g)を得た。再結晶化された物質の一部(150mg)を、定組成のCO2中35% MeOHを用いるchiracel ODカラム上の超臨界流体クロマトグラフィーに付した。4種の化合物が単離され、溶離した順に画分1〜4とした:
【0089】
画分1(実施例16)及び3(実施例19)は、NMRスペクトロスコピー及びnOeに基づき、(3aR,4R,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド、及び(3aS,4S,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミドであると同定した。
画分1、白色固体(6mg、0.4%):1H NMR(DMSO-d6) 7.58(s, 1H), 7.35(d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.28(d, 2H, J = 7.8 Hz), 7.20(d, 2H, J = 7.5 Hz), 6.94(s, 2H), 6.73(d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.52(s, 1H), 5.89(m, 1H), 5.74(s, br, 1H), 3.90(s, br, 1H), 3.59(d, 1H, J = 9.5 Hz), 2.59-2.61(m, 1H), 2.36-2.4(m, 1H), 2.31(s, 3H), 1.99-2.05(m, 1H). LCMS(ES) 341.3(M + 1).
画分3、白色固体(5mg、0.4%):1H NMR(DMSO-d6) 7.58(s, 1H), 7.35(d, 1H, J = 8.4 Hz), 7.28(d, 2H, J = 7.8 Hz), 7.20(d, 2H, J = 7.5 Hz), 6.94(s, 2H), 6.73(d, 1H, J = 8.4 Hz), 6.52(s, 1H), 5.89(m, 1H), 5.74(s, br, 1H), 3.90(s, br, 1H), 3.59(d, 1H, J = 9.5 Hz), 2.59-2.61(m, 1H), 2.36-2.4(m, 1H), 2.31(s, 3H), 1.99-2.05(m, 1H). LCMS(ES) 341.3(M + 1).
【0090】
画分2(実施例17)は、NMRスペクトロスコピー及びnOeに基づき、(3aR,4S,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミドであると同定した。絶対立体化学は、測定され、計算された振動円二色性スペクトルの比較に基き、(3aR,4S,9bS)であると同定した。
画分2、白色固体(45mg、3%):1H NMR(DMSO-d6) 7.42(s, 1H), 7.31-7.34(m, 3H), 7.19(d, 2H, J = 7.8 Hz), 6.94(s, 2H), 6.80(d, 1H, J = 8.7 Hz), 6.31(s, 1H), 5.87(m, 1H), 5.62(m, 1H), 4.58(m, 1H), 4.06(d, br, 1H, J = 8.1 Hz), 2.92(dd, 1H, J = J =7.2Hz), 2.37-2.42(m, 1H), 2.31(s, 3H), 1.64(dd, 1H, J = 7.5, 14.4 Hz). LCMS(ES) 341.3(M + 1)、C19H20N2O2S・0.1 H2Oについての計算値:C 65.74, H 5.83, N 8.03.
実測値:C 65.83, H 5.62, N 7.86. [αD] = + 0.8°(c = 0.5, CH3OH).
【0091】
画分4(実施例18)は、NMRスペクトロスコピー及びnOeに基づき、(3aS,4R,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミドであると同定した。絶対立体化学は、測定され、計算された振動円二色性スペクトルの比較に基き、(3aS,4R,9bR)であると同定した。
画分4、白色固体(65mg、3%):1H NMR(DMSO-d6) 7.42(s, 1H), 7.31-7.34(m, 3H), 7.19(d, 2H, J = 7.8 Hz), 6.94(s, 2H), 6.80(d, 1H, J = 8.7 Hz), 6.31(s, 1H), 5.87(m, 1H), 5.62(m, 1H), 4.58(d, 1H, J = 2.7 Hz), 4.06(d, br, 1H, J = 8.1 Hz), 2.92(dd, 1H, J = J =7.2Hz), 2.37-2.42(m, 1H), 2.31(s, 3H), 1.64(dd, 1H, J = 7.5, 14.4 Hz). LCMS(ES) 341.3(M + 1)。[αD] = - 0.8°(c = 0.5, CH3OH).
【0092】
実施例20:(3aR,4S,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-1,2,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化20】

THF 10 mL中の(3aR,4S,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド(実施例17、269mg、0.79mmol)の溶液を、100mL Paarフラスコ中で、無水エタノール10mL中の炭素上パラジウム(10%、42mg、0.04mmol、5mol%)の懸濁液に加えた。得られた混合物をPaar水素化器中、水素雰囲気下(50psi)で1時間振とうし、次いで珪藻土のパッドを通して濾過した。濾液を真空下(10torr)で濃縮して、表題化合物を白色固体として得た。収量:262 mg(97%). 1H NMR:(CDCl3, 600 MHz) d:7.68(s, 1H), 7.51(d, 1H, J= 8.6 Hz), 7.27(d, 2H, J= 7.9 Hz), 7.17(d, 2H, J=7.6 Hz), 6.59(d, 1H, J= 8.3 Hz), 4.64(m, 1H), 4.60(br s, 2H, NH2), 4.29(br s, 1H, NH), 3.45(dd, 1 H, J1=7.6 Hz, J2=7.2 Hz), 2.48-2.43(m, 1H), 2.36(s, 3 H), 2.20-2.14(m, 1H), 1.93-1.86(m, 1H), 1.66-1.60(m, 1H), 1.51-1.45(m, 1H), 1.32-1.27(m, 1H);MS(APCI) M+H 343.
【0093】
実施例21:(3aS,4R,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-1,2,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド
【化21】

THF 10mL中の(3aS,4R,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミドの溶液(実施例18、340mg、1.0mmol)を、100mL Paarフラスコ中で、無水エタノール10mL中の炭素上パラジウム(10%、42mg、0.04mmol)の懸濁液に加えた。得られた混合物をPaar水素化器中、水素雰囲気下(50psi)で1時間振とうし、次いで珪藻土のパッドを通して濾過した。濾液を真空下(10torr)で濃縮して表題化合物を白色固体として得た。収量:297 mg(86%). 1H NMR:(CDCl3, 300 MHz) d:7.68(s, 1H), 7.51(dd, 1H, J1= 8.6 Hz, J2 = 2.2 Hz), 7.27(d, 2H, J= 7.9 Hz), 7.17(d, 2H, J=7.9 Hz), 6.59(d, 1H, J= 8.8 Hz), 4.64(m, 1H), 4.60(br s, 2H, NH2), 4.29(br s, 1H, NH), 3.45(dd, 1 H, J1=7.6 Hz, J2=7.2 Hz), 2.48-2.43(m, 1H), 2.36(s, 3 H),
2.20-2.14(m, 1H), 1.93-1.86(m, 1H), 1.66-1.60(m, 1H), 1.51-1.45(m, 1H), 1.32-1.27(m, 1H);MS(APCI) M+H 343.

【特許請求の範囲】
【請求項1】
α7ニコチン性受容体の調節が有益である精神異常、知的機能障害又は疾患又は症状の治療方法又は予防方法であって、治療有効量の式I又は式II:
【化1】

[式中:
R1は-OH、-N(R2)2、-NR2-SO2-R2、-SO2-N(R2)2、-CON(R2)2又は-NR2COR2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール部分は0、1、2又は3個のR3部分で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される部分であり、該部分は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換基を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される]
の化合物、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩を投与することを含む、上記方法。
【請求項2】
α7ニコチン性受容体の調節が有益である精神異常、知的機能障害又は疾患又は状態が、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶力の減退、レビー小体痴呆、注意力欠陥過活動性障害、不安症、統合失調症、躁病、躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、コリン作動性シナプスの損失がある神経変性障害、時差ボケ、ニコチン中毒、疼痛、潰瘍性大腸炎又は過敏性腸症候群から選択される請求項1記載の治療方法又は予防方法。
【請求項3】
式I又は式II:
【化2】

[式中:
R1は-OH、-N(R2)2、-NR2-SO2-R2、-SO2-N(R2)2、-CON(R2)2又は-NR2COR2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール部分は0、1、2又は3個のR3部分で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される部分であり、
該部分は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換部分を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される]
の化合物、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩を、医薬として許容し得る少なくとも1種の希釈剤又は担体と共に含む医薬組成物。
【請求項4】
更にニコチン性受容体アゴニストを含む、請求項3記載の医薬組成物。
【請求項5】
請求項3又は4記載の治療有効量の医薬組成物を投与することを含む、アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶力の減退、レビー小体痴呆、注意力欠陥過活動性障害、不安症、統合失調症、躁病、躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、コリン作動性シナプスの損失がある神経変性障害、時差ボケ、ニコチン中毒、疼痛、潰瘍性大腸炎又は過敏性腸症候群の治療方法又は予防方法。
【請求項6】
アルツハイマー病、学習障害、認識障害、注意障害、記憶力の減退、レビー小体痴呆、注意力欠陥過活動性障害、不安症、統合失調症、躁病、躁鬱病、パーキンソン病、ハンチントン病、ツレット症候群、コリン作動性シナプスの損失がある神経変性障害、時差ボケ、ニコチン中毒、疼痛、潰瘍性大腸炎又は過敏性腸症候群を含めた、α7ニコチン性受容体の調節が有益である精神異常、知的機能障害、ヒトの疾患又は症状の治療用又は予防用医薬の製造における、式I又は式II:
【化3】

[式中:
R1は-OH、-N(R2)2、-NR2-SO2-R2、-SO2-N(R2)2、-CON(R2)2又は-NR2COR2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール部分は0、1、2又は3個のR3部分で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される部分であり、該部分は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換基を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される]
の化合物、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩の使用。
【請求項7】
式I又は式II:
【化4】

[式中:
R1はNR2-SO2-R2又は-SO2-N(R2)2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール部分は0、1、2又は3個のR3部分で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される部分であり、該部分は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換基を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される]
の化合物、又はそのジアステレオ異性体、鏡像異性体若しくは医薬として許容し得る塩。
【請求項8】
R1は-SO2-N(R2)2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール部分は0、1、2又は3個のR3部分で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される部分であり、該部分は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換基を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される;
請求項7記載の化合物。
【請求項9】
化合物が次の化合物又はその医薬として許容し得る塩である、請求項7記載の化合物:
4-(2-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(3,4,5-トリメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(2-メチル-4,5-ジメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(3,5-ジメトキシフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(4-tert-ブチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(2-ナフチル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
4-(4-フルオロフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
8-メチル-4-(4-メチルフェニル)-2,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-フロ[3,2-c]キノリン;
(3aR,4S,9bS)-8-メチル-4-ナフタレン-2-イル-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン;
(3aS,4R,9bR)-8-メチル-4-ナフタレン-2-イル-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン;
(3aR,4S,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aS,4R,9bR)-8-メチル-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aS,4S,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aR,4R,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-3a,4,5,9b-テトラヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;
(3aR,4S,9bS)-4-(4-メチルフェニル)-1,2,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド;又は
(3aS,4R,9bR)-4-(4-メチルフェニル)-1,2,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-3H-シクロペンタ[c]キノリン-8-スルホンアミド。
【請求項10】
塩化インジウムを、アセトニトリル中のアリールアルデヒド、4−アミノベンゼンスルホンアミド及びシクロペンタジエンの溶液に加え、一晩撹拌し;
中和し、抽出し、濃縮し、そして精製してキノリンを得ること、を含む、
式I又は式II:
【化5】

[式中:
R1はNR2-SO2-R2又は-SO2-N(R2)2であり、ここでR2は各場合において独立して水素、C1-4アルキル、ハロゲン化C1-4アルキル、アリール又はヘテロアリールから選択され、ここで任意のアルキル、ハロゲン化アルキル、アリール又はヘテロアリール部分は0、1、2又は3個のR3部分で置換されており;
XはO、S又はCH2であり;
Arはフリル、ピリジル、チエニル、フェニル又はナフチルから選択される部分であり、該部分は0、1、2、3又はそれ以上のR3置換基を有し、ここでR3は各場合において独立して水素、ハロゲン、C1-4アルキル、C2-4アルケニル、C2-4アルキニル、OC1-4アルキル、NH2、CO2H、CO2C1-4アルキル、CN、NO2及びCF3から選択される]
の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2006−525302(P2006−525302A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506220(P2006−506220)
【出願日】平成16年5月4日(2004.5.4)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001934
【国際公開番号】WO2004/098600
【国際公開日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(391008951)アストラゼネカ・アクチエボラーグ (625)
【氏名又は名称原語表記】ASTRAZENECA AKTIEBOLAG
【Fターム(参考)】