説明

ネットワークレーダシステム、レーダおよび中央制御装置

【課題】或るレーダが受け持った追尾目標を他のレーダが探知するのを防ぎ、システム全体としての探知性能の劣化を抑える。
【解決手段】確立除外情報抽出部24により、各レーダの探知覆域を既追尾目標が通過するかどうかを判定して、探知覆域を通過する場合に限り確立除外情報を作成してその探知覆域を形成するレーダに対して通知するようにし、このことによって、対応するレーダの追尾処理部14の追尾航跡の確立処理において、通知された確立除外情報と相関のとれる航跡に対しては確立させないようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、広域に配置された複数のレーダを、通信ネットワークを介して中央制御装置により制御し、各レーダで取得した追尾情報に基づいて目標を探知、追尾するネットワークレーダシステム、そのレーダおよび中央制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
数百km以上の長距離にわたって高速で弾道飛行するような目標を追尾する場合、主に地上あるいは海上に設定した1つのレーダでは十分な覆域が得られず、目標を発射後に探知してから着弾まで観測し続けることは困難である。また、発射が広範囲にわたり予想される場合にも、1つのレーダで十分な探知を行うことは困難である。そのため、広域に配備された複数のレーダを中央で管理・制御してシステム全体として十分な探知、追尾を行えるようにするネットワークレーダシステムが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。例えば図4に示すように、弾道目標を探知・追尾するレーダでは、観測ビームを探知用と追尾用とに分けて持ち、探知覆域内に観測ビームを走査しながら、その中を通過する目標の探知を行う。探知した目標に対しては、追尾用の観測ビームを目標の運動に合わせて打つ位置を変えながら一定間隔で観測を継続する。弾道目標は、探知後の対処を早く決定するために、発射後速やかに探知する必要がある。そのため、各レーダは遠くまで探知覆域を延ばす代わりに、観測可能な領域を、360度全周と比較すると狭い範囲に制限していることが多い。
【0003】
【特許文献1】特許第2758308号公報
【特許文献2】特開平9−257923号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、探知覆域が重ならないようにしたとしても、1つの弾道目標が複数のレーダの探知覆域を通過することは十分に起こりうる。すなわち、すでに追尾中の目標を、他のレーダでも探知してしまうことがある。しかし、各レーダは同時に探知、追尾できる目標数に制限があるため、複数のレーダで同一の目標を探知すると、システム全体での探知能力(探知・追尾数)が劣化してしまう。このことは、特に複数の弾道目標が同時に発射されるような場合に顕著である。例えば、図4のような2つのレーダが配置される場合を想定して、各レーダの追尾用観測ビームを2本(すなわち各レーダの同時追尾数は2)と仮定したとする。4つの弾道目標がほぼ同時に同一地域から発射されて、4つともレーダ#1の探知覆域を通過するとき、2目標は追尾航跡となって追尾が開始されるが、残り2目標は探知、追尾ができない。その後、その4目標がレーダ#2の探知覆域を通過するとき、レーダ#2でどの2目標が探知されて追尾航跡となるかは不定であるため、レーダ#2もレーダ#1と同じ目標を追尾してしまうという可能性がある。
また、弾道目標は高速に移動することや遠方を観測するために探知覆域が狭くなっていることを考えると、既追尾目標を探知してしまった後での対処は、処理時間遅れの影響で間に合わない。
しかしながら、以上のような既追尾目標を他のレーダが探知してしまうことに対する解決技術については、未だ開示されていない。
【0005】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、或るレーダが受け持った追尾目標を他のレーダが探知するのを防ぎ、システム全体としての探知性能の劣化を抑えるようにするネットワークレーダシステム、このシステムに適用するレーダおよび中央制御装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るネットワークレーダシステムは、広域に配置された複数のレーダのそれぞれを、通信ネットワークを介して中央制御装置により制御し、各レーダが取得する追尾情報に基づいて目標を探知、追尾するネットワークレーダシステムにおいて、各レーダは、アンテナを用いて観測ビームを照射し、観測目標からの反射波を受信してビデオ信号を得る目標観測手段と、得られたビデオ信号を処理して観測目標の位置情報を算出する信号処理手段と、中央制御装置から与えられる確立除外情報を保持する確立除外情報保持手段と、算出された観測目標の位置情報に基づいて追尾維持、確立処理を行い、管理している追尾航跡の更新、新規航跡の登録を行って自レーダの追尾情報を生成し、かつ前記確立処理の際、保持する確立除外情報に合致する航跡については確立から除外する追尾処理手段と、追尾処理手段における自レーダの追尾状況および中央制御装置から与えられるスケジュールに基づいて目標観測手段による探知、追尾のビーム走査を制御するレーダ制御手段とを備え、中央制御装置は、それぞれのレーダ制御手段で得られる各レーダの状態を保持する状態管理手段と、それぞれの追尾処理手段で得られる各レーダの追尾情報を統合してシステム全体に適合するシステム追尾情報を生成する追尾状況統合手段と、生成されたシステム追尾情報および状態管理手段で保持する各レーダの状態に基づいて、各レーダのレーダ制御手段に与える前記スケジュールを生成するスケジューラと、システム追尾情報および各レーダの状態に含まれる探知覆域に基づいて、既追尾目標に対する探知の除外を指示する確立除外情報を算出する確立除外情報抽出手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、中央制御装置はシステム全体の追尾状況を勘案して確立除外情報を生成して各レーダに指示し、各レーダは確立除外情報に基づいて自己が確立しないでもよい既追尾目標の航跡について求めないようにしたので、或るレーダで既に受け持った追尾目標については他のレーダは探知しないで済むようになるため、システム全体としての探知能力の劣化を防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるネットワークレーダシステムの機能構成を示すブロック図である。
図1において、ネットワークレーダシステムは、広域に配置される複数(2以上とする)のレーダ101,102,103と、通信ネットワークを介してこれらレーダを制御し目標の探知、追尾を行う中央制御装置20とで構成されている。
レーダ101,102,103は、いずれも同一構成であり、目標観測部12、信号処理部13、追尾処理部14、レーダ制御部15および確立除外情報保持部16を備えている。目標観測部12は、アンテナを用いて観測ビームを照射し、観測目標からの反射波を受信してビデオ信号を得る手段である。信号処理部13は、目標観測部12で得られた受信信号を処理して観測目標の位置情報を算出する手段である。追尾処理部14は、算出された観測目標の位置情報に基づいて追尾維持、確立処理を行い、管理している追尾航跡の更新、新規航跡の登録を行って自レーダの追尾情報を生成する手段で、この発明では、さらに確立処理の際、確立除外情報の条件に該当する航跡については確立から除外する処理を行う。レーダ制御部15は、追尾処理部14における自レーダの追尾状況および中央制御装置20からのスケジュールに基づいて目標観測部12の探知、追尾のビーム走査を制御する手段である。確立除外情報保持部16は、中央制御装置20からの確立除外情報を保持する手段で、この発明のために設けられたものである。
【0009】
中央制御装置20は、状態管理部21、追尾状況統合部22、スケジューラ23および確立除外情報抽出部24を備えている。状態管理部21は、それぞれのレーダ制御部15で得られる各レーダの状態を保持管理する手段である。追尾状況統合部22は、それぞれの追尾処理部14で得られる各レーダの追尾情報を統合して、システム全体に適合するシステム追尾情報を生成する手段である。スケジューラ23は、追尾状況統合部22で生成されたシステム追尾情報および状態管理部21で保持する各レーダの状態に基づいて、各レーダのレーダ制御部15に与えるスケジュールを生成する手段である。確立除外情報抽出部24は、追尾状況統合部22で生成されたシステム追尾情報および状態管理部21で保持する各レーダの状態に含まれる探知覆域に基づいて、既追尾目標に対する探知の除外を指示する確立除外情報を算出する手段で、この発明のために設けられたものである。
【0010】
ここで、レーダ101,102,103のそれぞれは、一定期間に照射できる観測ビームに制限があり、そのため、同時に追尾できる目標数にも上限があるものとする。特に遠方の弾道目標を観測するためには、1つの観測ビームの送受信にかかる時間は長くなるため、1つのレーダによる同時追尾数はかなり少なくなる。また、観測ビームは、追尾のために目標に照射するだけではなく、飛来する目標の探知にも使用される。探知のための観測ビームは、あらかじめ目標の飛来することが想定される範囲(探知覆域)に対して適用されて、目標がその探知覆域を通過したときに得られるプロットから新規追尾航跡を確立させる。
【0011】
次に、各レーダの動作について説明する。
レーダ制御部15は、追尾と探索のためのビームの照射タイミングおよび照射位置を算出して目標観測部12に与える。追尾のためのビームは、追尾処理部14で管理している追尾航跡上の次のビーム照射タイミングにおける予測位置に対して照射するように指示される。あるいは、スケジューラ23において、あるレーダが追尾している目標の追尾を別のレーダに引き継がせるようなスケジュールが算出されている場合には、その目標の予測位置が指示される。一方、探索のためのビームは、スケジューラ23から指示される待受覆域に対して照射される。また、レーダ制御部15は、自レーダの現在の状態を中央制御装置20の状態管理部21へ伝える。ここでいう状態とは、例えば、現在の探知覆域、正しく動作する状態にあるかどうか、スケジューラ23の指示通りに制御できているかどうか、アンテナは回転中かどうか、追尾数はいくつかなどであり、中央制御装置20が各レーダの動作をスケジューリングするために必要な情報である。
【0012】
目標観測部12は、レーダ制御部15からの指示に従って、アンテナにより観測ビームを照射した後、目標による反射波を受信してビデオ信号に変換する。信号処理部13では、得られたビデオ信号を周知の方法で処理し、観測された目標の位置情報を算出する。追尾処理部14では、信号処理部13からの観測目標の位置情報(プロット)に基づいて追尾維持、確立処理を行い、追尾航跡を更新したり、追尾航跡を新たに追加したりする管理をしている。更新や追加された追尾航跡は追尾情報として中央制御装置20の追尾状況統合部22に送信される。
ここで、追尾処理部14で新たな追尾航跡を確立させる処理において、確立する前の段階の仮航跡を作成し、その仮航跡が確立のための条件を満たしたときに新規航跡の確立とする方法が一般的に用いられる。例えば、第1プロットが得られると仮航跡として登録し、その近くに第2プロットが得られた場合、その2つのプロットに基づいて速度情報を算出し、その速度に基づいて予測した次の位置のどれだけ近くに第3プロットが得られたかで、確立するかどうかを決めるという方法である。通常、中央制御装置20の追尾状況統合部22へ送る航跡情報は確立した航跡についてのみである。
【0013】
確立除外情報保持部16では、中央制御装置20の確立除外情報抽出部24で算出された確立除外情報を受信して保持している。確立除外情報は、そのレーダが、いずれかのレーダで既追尾目標となっている航跡を、新規航跡として確立させないための条件である。そのため、後述するように、追尾処理部14では、追尾航跡を確立させる処理において、この確立除外情報に合致する航跡については、新規航跡として確立させない処理を行う。
【0014】
追尾処理部14による航跡確立処理の詳細を図2のフローに従って説明する。
仮航跡に対して航跡確立判定を行う(ステップST1)。判定結果(ステップST2)が確立させないとなった場合は終了する。一方、確立させるとなった場合には、仮航跡に対して、確立除外情報保持部16で保持しているすべての確立除外情報との相関判定を行う(ステップST3)。この相関判定は、確立除外情報仮航跡が確立除外情報の条件に当てはまるかどうかの判定処理となる。
【0015】
ここで、確立除外情報が、例えば直交3次元座標の位置、速度および誤差共分散行列の要素からなる情報とした場合、仮航跡も同様に、追尾結果としての位置、速度、誤差共分散行列を航跡の諸元として保持する。
いずれも追尾処理によって推定される位置、速度であるから、誤差共分散行列Pは式(1)で定義される行列である。一般的にカルマンフィルタなどを用いた追尾処理によって得ることができる。
P=E[(Xs−Xm)(Xs−Xm)T] (1)
ただし、
Xs : 6行1列の位置・速度ベクトルの推定値、
Xm : 6行1列の位置・速度ベクトルの真値、
T : 行列Aの転置行列、
E[ ]: 平均を意味する。
【0016】
仮航跡と確立除外情報の誤差共分散行列(6行6列)を用いた相関判定は式(2)によって行う。
(Xt−Xo)T(Pt+Po)-1(Xt−Xo)≦d (2)
ここで、
Xt : 仮航跡の位置・速度ベクトル、
Xo : 確立除外情報の位置・速度ベクトル、
Pt : 仮航跡の誤差共分散行列、
Po : 確立除外情報の誤差共分散行列、
d: しきい値パラメータとする。
【0017】
上記式(1)、(2)において、位置、速度の両方を使わなくても、位置だけでも同様に計算できる。よって、通信容量の都合などで、確立除外情報が位置とその誤差共分散だけに制限された場合でも相関判定は可能である。また、誤差共分散までも送れない場合には、単に位置差や速度ベクトル差などを直接判定してもよい。なお、両者の位置、速度の諸元は同一時刻を想定しているが、そろっていない場合には一定速度で外挿するなどの予測処理により、同一時刻の諸元にそろえる処理を相関判定開始時に行うようにすればよい。
相関判定結果(ステップST4)で、相関なしとなった場合、その仮航跡は確立除外の対象ではないので、仮航跡を確立させて追尾航跡として登録する(ステップST5)。一方、相関ありとなった場合、確立除外の対象となるので仮航跡を削除し(ステップST6)、さらに、相関した確立除外情報を無効とし、以降の相関判定に使用しない。
【0018】
次に、中央制御装置20の動作について説明する。
追尾状況統合部22では、各レーダの追尾処理部14から送られてくる追尾情報を受け取ると、これら追尾情報を統合してシステム全体におけるシステム追尾情報を作成する。スケジューラ23では、状態管理部21で保持している各レーダの状態を参照し、各レーダの追尾可能な範囲(追尾覆域)とシステム追尾情報(追尾航跡)の軌道とを勘案して、どのレーダでどの航跡をいつからいつまで担当するかのスケジュールを生成し、そのスケジュール通りに動作するように各レーダのレーダ制御部15へ通知する。確立除外情報抽出部24では、追尾状況統合部22で作成されたシステム追尾情報および状態管理部21において保持されている各レーダの探知覆域に基づいて、既追尾航跡が探知覆域を通過することによってスケジュールと異なる航跡を探知、追尾してしまう可能性のあるレーダおよびその追尾航跡を特定し、これを確立除外情報にして対応するレーダの確立除外情報保持部16宛に通知する。
【0019】
上記確立除外情報抽出部24の動作の詳細を図3のフローに従って説明する。図において、システム航跡とは、システム追尾情報に登録されているシステム全体の追尾航跡である。
まず、システム航跡に対して、あらかじめ決めた一定期間だけ追尾諸元(位置、速度)の予測を行い、予測値(予測位置、予測速度、誤差共分散行列)を求める(ステップST11)。次に、システム航跡が探知覆域を通過するかどうかを判定する(ステップST12)。例えば、ステップST11で求めた予測値が各レーダの探知覆域内にあるかどうかを判定する。判定結果(ステップST13)が通過とならなかった場合は何もしない。一方、通過となった場合には、ステップST11で求めた予測値および通過の対象となった探知覆域を持つレーダ識別情報を確立除外情報として作成し(ステップST14)、対象のレーダの確立除外情報保持部16へ送信する。
確立除外情報を受け取ったレーダでは、確立除外情報保持部16でその確立除外情報を保持し、図2で説明したように、追尾処理部14の追尾航跡を確立させる処理において、仮航跡が、確立除外情報である予測値(予測位置、予測速度、誤差共分散行列)に適合した場合には、新規航跡として確立させないように処理する。
【0020】
以上のように、この実施の形態1によれば、確立除外情報抽出部24により、各レーダの探知覆域を既追尾目標が通過するかどうかを判定して、探知覆域を通過する場合に限り確立除外情報を作成してその探知覆域を形成するレーダに対して通知するようにし、このことによって、対応するレーダの追尾処理部14の追尾航跡の確立処理において、通知された確立除外情報と相関のとれる航跡に対しては確立させないようにしている。したがって、或るレーダで既に受け持った追尾目標については他のレーダでは探知しないで済むようになるため、システム全体としての探知能力の劣化を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】この発明の実施の形態1によるネットワークレーダシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る追尾処理部の航跡確立処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】この発明の実施の形態1に係る確立除外情報抽出部の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】ネットワークレーダシステムによる探知、追尾の状況を表す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
101,102,103 レーダ、12 目標観測部、13 信号処理部、14 追尾処理部、15 レーダ制御部、16 確立除外情報保持部、20 中央制御装置、21 状態管理部、22 追尾状況統合部、23 スケジューラ、24 確立除外情報抽出部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広域に配置された複数のレーダのそれぞれを、通信ネットワークを介して中央制御装置により制御し、各レーダが取得する追尾情報に基づいて目標を探知、追尾するネットワークレーダシステムにおいて、
前記各レーダは、
アンテナを用いて観測ビームを照射し、観測目標からの反射波を受信してビデオ信号を得る目標観測手段と、
得られたビデオ信号を処理して観測目標の位置情報を算出する信号処理手段と、
前記中央制御装置から与えられる確立除外情報を保持する確立除外情報保持手段と、
算出された観測目標の位置情報に基づいて追尾維持、確立処理を行い、管理している追尾航跡の更新、新規航跡の登録を行って自レーダの追尾情報を生成し、かつ前記確立処理の際、前記保持する確立除外情報に合致する航跡については確立から除外する追尾処理手段と、
前記追尾処理手段における自レーダの追尾状況および前記中央制御装置から与えられるスケジュールに基づいて前記目標観測手段による探知、追尾のビーム走査を制御するレーダ制御手段とを備え、
前記中央制御装置は、
前記それぞれのレーダ制御手段で得られる各レーダの状態を保持する状態管理手段と、
前記それぞれの追尾処理手段で得られる各レーダの追尾情報を統合してシステム全体に適合するシステム追尾情報を生成する追尾状況統合手段と、
生成されたシステム追尾情報および前記状態管理手段で保持する各レーダの状態に基づいて、各レーダのレーダ制御手段に与える前記スケジュールを生成するスケジューラと、
システム追尾情報および各レーダの状態に含まれる探知覆域に基づいて、既追尾目標に対する探知の除外を指示する前記確立除外情報を算出する確立除外情報抽出手段とを備えたことを特徴とするネットワークレーダシステム。
【請求項2】
確立除外情報抽出手段は、システム追尾情報に登録されているシステム全体の追尾航跡であるシステム航跡に対して、あらかじめ決めた一定期間だけ追尾諸元の位置、速度の予測を行い、位置、速度および誤差共分散行列からなる予測値を求め、求めた予測値が各レーダの探知覆域内を通過することになる場合に限り、当該予測値に基づいて確立除外情報を生成し、通過の対象となった探知覆域を持つレーダに送信し、
追尾処理手段は、前記探知除外情報と確立しようとする航跡との相関判定を行って、確立除外情報に合致する航跡を確立させないようにしたことを特徴とする請求項1記載のネットワークレーダシステム。
【請求項3】
確立除外情報は、予測値である位置、速度および誤差共分散行列としたことを特徴とする請求項2記載のネットワークレーダシステム。
【請求項4】
確立除外情報は、予測値のうちの位置および誤差共分散行列としたことを特徴とする請求項2記載のネットワークレーダシステム。
【請求項5】
確立除外情報は、予測値のうちの位置または速度としたことを特徴とする請求項2記載のネットワークレーダシステム。
【請求項6】
広域に配置された複数のレーダのそれぞれを、通信ネットワークを介して中央制御装置により制御し、各レーダが取得する追尾情報に基づいて目標を探知、追尾するネットワークレーダシステムに適用されるレーダにおいて、
前記レーダは、
アンテナを用いて観測ビームを照射し、観測目標からの反射波を受信してビデオ信号を得る目標観測手段と、
得られたビデオ信号を処理して観測目標の位置情報を算出する信号処理手段と、
前記中央制御装置から与えられる確立除外情報を保持する確立除外情報保持手段と、
算出された観測目標の位置情報に基づいて追尾維持、確立処理を行い、管理している追尾航跡の更新、新規航跡の登録を行って自レーダの追尾情報を生成し、かつ前記確立処理の際、前記保持する確立除外情報に合致する航跡については確立から除外する追尾処理手段と、
前記追尾処理手段における自レーダの追尾状況および前記中央制御装置から与えられるスケジュールに基づいて前記目標観測手段による探知、追尾のビーム走査を制御するレーダ制御手段とを備えたことを特徴とするレーダ。
【請求項7】
確立除外情報は、中央制御装置により、各レーダの追尾情報を統合して得られるシステム追尾情報に登録されているシステム全体の追尾航跡であるシステム航跡に対して、あらかじめ決めた一定期間だけ追尾諸元位置、速度の予測を行い、位置、速度および誤差共分散行列からなる予測値を求め、求めた予測値が各レーダの探知覆域内を通過することになる場合に限り、当該予測値に基づいて生成されるデータであり、
追尾処理手段は、前記探知除外情報と確立しようとする航跡との相関判定を行って、確立除外情報に合致する航跡を確立させないようにしたことを特徴とする請求項6記載のレーダ。
【請求項8】
確立除外情報は、予測値である位置、速度および誤差共分散行列としたことを特徴とする請求項7記載のレーダ。
【請求項9】
確立除外情報は、予測値のうちの位置および誤差共分散行列としたことを特徴とする請求項7記載のレーダ。
【請求項10】
確立除外情報は、予測値のうちの位置または速度としたことを特徴とする請求項7記載のレーダ。
【請求項11】
広域に配置された複数のレーダのそれぞれを、通信ネットワークを介して中央制御装置により制御し、各レーダが取得する追尾情報に基づいて目標を探知、追尾するネットワークレーダシステムに適用される中央制御装置において、
各レーダから得られるレーダの状態を保持する状態管理手段と、
各レーダから得られるレーダの追尾情報を統合してシステム全体に適合するシステム追尾情報を生成する追尾状況統合手段と、
生成されたシステム追尾情報および前記状態管理手段で保持する各レーダの状態に基づいて、各レーダの探知、追尾のビーム走査を制御するスケジュールを生成するスケジューラと、
前記追尾状況統合手段で生成されたシステム追尾情報および各レーダの状態に含まれる探知覆域に基づいて、既追尾目標に対する探知の除外を指示する確立除外情報を算出する確立除外情報抽出手段とを備えたことを特徴とする中央制御装置。
【請求項12】
確立除外情報抽出手段は、システム追尾情報に登録されているシステム全体の追尾航跡であるシステム航跡に対して、あらかじめ決めた一定期間だけ追尾諸元位置、速度の予測を行い、位置、速度および誤差共分散行列からなる予測値を求め、求めた予測値が各レーダの探知覆域内を通過することになる場合に限り、当該予測値を確立除外情報として生成し、通過の対象となった探知覆域を持つレーダに送信することを特徴とする請求項11記載の中央制御装置。
【請求項13】
確立除外情報は、予測値である位置、速度および誤差共分散行列としたことを特徴とする請求項12記載の中央制御装置。
【請求項14】
確立除外情報は、予測値のうちの位置および誤差共分散行列としたことを特徴とする請求項12記載の中央制御装置。
【請求項15】
確立除外情報は、予測値のうちの位置または速度としたことを特徴とする請求項12記載の中央制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−139166(P2008−139166A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−325883(P2006−325883)
【出願日】平成18年12月1日(2006.12.1)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】