説明

ネットワーク接続装置およびネットワーク接続方法

【課題】移動通信事業者網等の特定外部ネットワークを経由せずに、無線基地局装置と他のネットワークとの間で送受信される通信データを中継する構成において、中継されるデータ量に応じた適切なサービスを提供する。
【解決手段】ネットワーク接続装置102は、通信管理装置103が設けられた特定外部ネットワーク52について、他のネットワークと無線基地局装置101との間で送受信される通信データが特定外部ネットワーク52を経由する第1の通信経路PA、および他のネットワーク61,62と無線基地局装置101との間で送受信される通信データが特定外部ネットワーク52を経由しない第2の通信経路PB,PCを選択可能な通信経路選択部21と、第2の通信経路PB,PCを介して中継された通信データのデータ量を算出するための通信トラフィック算出部22とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク接続装置およびネットワーク接続方法に関し、特に、通信トラフィックのオフロード機能を有するネットワーク接続装置およびネットワーク接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動通信システムでは、半径数百メートルから数十キロメートルのセルすなわち無線端末装置が通信可能なエリアを形成する無線基地局装置(以下、マクロ基地局またはeNB(e NodeB)とも称する。)による通信サービスが提供されてきた。
【0003】
近年、移動通信サービスの加入者数の劇的な増加およびデータ通信による通信トラフィック量の増大から、より半径の小さいセルを形成することによって加入者および通信トラフィックを分散し、また、一定レベルの通信速度をユーザへ安定して提供することが望まれている。また、ビルの超高層化に伴う不感地対策のため、企業フロア内および一般家庭内への無線基地局装置の設置も望まれている。
【0004】
これらの要望と併せて、無線基地局装置で使用される種々のデバイスの処理能力が飛躍的に向上したことによって無線基地局装置の小型化が進み、このような小型化された基地局が注目を集めている。
【0005】
この小型基地局(以下、フェムト基地局またはHeNB(Home e NodeB)とも称する。)が形成するフェムトセル(Femto Cell)のセル半径は10メートル前後と小さいため、フェムト基地局は、マクロ基地局が形成するマクロセル(Macro Cell)の圏外となりマクロ基地局の設置が困難な宅内および地下街等の場所で使用されることが考えられる。
【0006】
無線端末装置(以下、UE(User Equipment)とも称する。)がHeNB経由で移動通信事業者網にアクセスする際にデータの中継処理等を行なうローカルゲートウェイ装置(以下、L−GWとも称する。)が、HeNBと移動通信事業者網以外のネットワークとの間の通信トラフィックをオフロードする機能が3GPP(Third Generation Partnership Project)において規定されている。このオフロード機能では、移動通信事業者網を経由せずに、HeNBとインターネットまたは企業内ネットワーク(Enterprise IP Service)等との間で送受信される通信データを中継する(たとえば、(非特許文献1)参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】3GPP SPEC 23.829 V1.3.0 2010.9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
L−GWがUEの通信トラフィックをオフロードする場合、通信トラフィックは移動通信事業者網を経由しないことになるため、以下のような問題が発生する。
【0009】
すなわち、移動通信事業者(Mobile Operator)は、通信トラフィック量の把握ができないために、UEに対する従量課金ができず、通信トラフィック量に応じたサービスの提供が困難となる。また、インターネットへの回線を提供する固定通信事業者にとって、移動通信事業者が管理するUEからの通信トラフィックにより予期せぬ輻輳を招く場合がある。
【0010】
この発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、移動通信事業者網等の特定外部ネットワークを経由せずに、無線基地局装置と他のネットワークとの間で送受信される通信データを中継する構成において、中継されるデータ量に応じた適切なサービスを提供することが可能なネットワーク接続装置およびネットワーク接続方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるネットワーク接続装置は、無線端末装置と無線信号を送受信するための無線基地局装置と、ネットワークとの間で送受信される通信データを中継するためのネットワーク接続装置であって、上記無線端末装置、上記無線基地局装置および上記ネットワーク接続装置を管理するための通信管理装置が設けられた特定外部ネットワークについて、他のネットワークと上記無線基地局装置との間で送受信される通信データが上記特定外部ネットワークを経由する第1の通信経路、および他のネットワークと上記無線基地局装置との間で送受信される通信データが上記特定外部ネットワークを経由しない第2の通信経路を選択可能な通信経路選択部と、上記第2の通信経路を介して中継された上記通信データのデータ量を算出するための通信トラフィック算出部とを備える。
【0012】
このような構成により、ネットワーク接続装置による通信トラフィックのオフロードによって通信トラフィックが特定外部ネットワークを経由しなくても、移動通信事業者は、通信トラフィック量を把握することができる。これにより、たとえば、無線端末装置に対する従量課金を行なうことができるため、通信トラフィック量に応じた適切なサービスの提供が可能となる。
【0013】
(2)好ましくは、上記ネットワーク接続装置は、さらに、上記通信トラフィック算出部によって算出された上記データ量を上記通信管理装置へ送信するための通信トラフィック情報送信部を備える。
【0014】
このような構成により、複数のネットワーク接続装置においてオフロードされたデータ量を通信管理装置において集約し、オフロードに関する集中的な管理が可能となる。
【0015】
(3)好ましくは、上記ネットワーク接続装置は、さらに、上記第2の通信経路を介して送受信される通信データの許容量を取得するためのトラフィック制限情報取得部を備え、上記通信経路選択部は、上記許容量の範囲内で上記第2の通信経路を選択する。
【0016】
このような構成により、一般外部ネットワークへの回線を提供する固定通信事業者において、移動通信事業者が管理する無線端末装置からの通信トラフィックにより予期せぬ輻輳を招くことを防ぐことができる。
【0017】
(4)好ましくは、上記特定外部ネットワークには、さらに、上記ネットワーク接続装置と一般外部ネットワークとの間に接続された通信制御装置が設けられ、上記通信経路選択部は、上記第2の通信経路として、上記一般外部ネットワークと上記無線基地局装置との間で送受信される通信データが上記特定外部ネットワークを経由しない第3の通信経路、または内部ネットワークと上記無線基地局装置との間で送受信される通信データが上記特定外部ネットワークを経由しない第4の通信経路を選択可能であり、上記通信トラフィック算出部は、上記第3の通信経路を介して送受信された通信データのデータ量および上記第4の通信経路を介して送受信された通信データのデータ量の少なくとも一方を算出する。
【0018】
このような構成により、無線端末装置による内部ネットワークとの通信を許容する、無線端末装置による一般外部ネットワークとの通信を許容する、または両方の通信を許容する等、様々な形態のサービスの提供が可能となり、サービスの差別化を図ることができる。
【0019】
(5)好ましくは、上記無線基地局装置は3GPPで規定されたHeNB(Home e NodeB)であり、上記ネットワーク接続装置は3GPPで規定されたL−GW(Local Gateway)であり、上記通信管理装置は3GPPで規定されたMME(Mobility Management Entity)である。
【0020】
このような構成により、3GPPで規定されたオフロード機能を実現するとともに、中継されるデータ量に応じた適切なサービスまたは通信制御を実現することが可能となる。
【0021】
(6)上記課題を解決するために、この発明のある局面に係わるネットワーク接続方法は、無線端末装置と無線信号を送受信するための無線基地局装置と、ネットワークとの間で送受信される通信データを中継するためのネットワーク接続装置におけるネットワーク接続方法であって、上記無線端末装置、上記無線基地局装置および上記ネットワーク接続装置を管理するための通信管理装置が設けられた特定外部ネットワークについて、他のネットワークと上記無線基地局装置との間で送受信される通信データが上記特定外部ネットワークを経由する第1の通信経路、または他のネットワークと上記無線基地局装置との間で送受信される通信データが上記特定外部ネットワークを経由しない第2の通信経路を選択するステップと、上記第2の通信経路を介して中継された上記通信データのデータ量を算出するステップとを含む。
【0022】
このような構成により、ネットワーク接続装置による通信トラフィックのオフロードによって通信トラフィックが特定外部ネットワークを経由しなくても、移動通信事業者は、通信トラフィック量を把握することができる。これにより、たとえば、無線端末装置に対する従量課金を行なうことができるため、通信トラフィック量に応じた適切なサービスの提供が可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、移動通信事業者網等の特定外部ネットワークを経由せずに、無線基地局装置と他のネットワークとの間で送受信される通信データを中継する構成において、中継されるデータ量に応じた適切なサービスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるL−GWの構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、UEがトリガとなる、データ通信開始までのシーケンスの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、L−GWがトリガとなる、データ通信開始までのシーケンスの一例を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るL−GWが上り方向のオフロード処理を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るL−GWが下り方向のオフロード処理を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【図7】本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0026】
<第1の実施の形態>
[構成および基本動作]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【0027】
図1を参照して、無線通信システム201は、たとえば3GPPで規格化されたLTE(Long Term Evolution)に従う移動体通信システムであり、企業内ネットワーク51と、移動通信事業者網52と、LTEマクロネットワーク53とを備える。企業内ネットワーク51は、HeNB(無線基地局装置)101と、L−GW(内部ネットワーク接続装置)102と、LAN61とを含む。移動通信事業者網52は、MME(Mobility Management Entity)103と、S−GW(通信制御装置)104と、P−GW105とを含む。LTEマクロネットワーク53は、eNB(無線基地局装置)106を含む。なお、L−GW102は、HeNB101と同じ筐体に収納されてもよいし、別個の筐体に収納されてもよい。また、図1に示す各装置の数は一例であり、少数またはさらに多数の装置が設けられてもよい。
【0028】
以下、UE151から移動通信事業者網52、LAN61およびインターネット62への通信方向を上り方向と称し、移動通信事業者網52、LAN61およびインターネット62からUE151への通信方向を下り方向と称する。
【0029】
HeNB101およびeNB106は、無線信号をUE151と送受信することにより、UE151との通信を行なう。
【0030】
L−GW102は、HeNB101とLAN(内部ネットワーク)61、インターネット(一般外部ネットワーク)62および移動通信事業者網(特定外部ネットワーク)52との間に接続されている。
【0031】
具体的には、L−GW102は、UE151がHeNB101経由でLAN61またはインターネット62における他の装置にアクセスする際に、通信データの中継処理等を行なう。すなわち、L−GW102は、HeNB101経由でUE151から受信した通信データをLAN61またはインターネット62における他の装置へ送信するとともに、LAN61またはインターネット62における他の装置から受信した通信データをHeNB101経由でUE151へ送信する。
【0032】
S−GW104は、HeNB101とインターネット62との間に接続されている。S−GW104は、HeNB101経由でUE151から受信した通信データをP−GW105経由でインターネット62における他の装置へ送信するとともに、インターネット62における他の装置からP−GW105経由で受信した通信データをHeNB101経由でUE151へ送信する。
【0033】
また、S−GW104は、L−GW102とインターネット62との間に接続されている。S−GW104は、HeNB101およびL−GW102経由でUE151から受信した通信データをP−GW105経由でインターネット62へ送信するとともに、インターネット62における他の装置からP−GW105経由で受信した通信データをL−GW102およびHeNB101経由でUE151へ送信する。
【0034】
MME(通信管理装置)103は、無線通信システム201にけるUE151、HeNB101、eNB106およびL−GW102等を管理する。MME103は、HeNB101との間で制御メッセージを送受信し、また、eNB106との間で制御メッセージを送受信する。
【0035】
HeNB101は、S−GW104およびP−GW105を介してインターネット62における他の装置との間でIPパケットを送受信する。
【0036】
eNB106は、S−GW104およびP−GW105を介してインターネット62における他の装置との間でIPパケットを送受信する。
【0037】
HeNB101およびS−GW104は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0038】
HeNB101およびMME103は、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0039】
eNB106およびS−GW104は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0040】
eNB106およびMME103は、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0041】
L−GW102およびS−GW104は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0042】
MME103およびS−GW104は、論理的なインタフェースであるS11インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S11インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0043】
S−GW104およびP−GW105は、論理的なインタフェースであるS5インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S5インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0044】
L−GW102は、HeNB101から受信した通信データをLAN61、インターネット62およびS−GW104に振り分け可能である。具体的には、たとえば、L−GW102は、HeNB101から受信したデータパケットのヘッダを参照して振り分け先を選択する。
【0045】
また、L−GW102は、HeNB101およびLAN61間の通信トラフィックの統計情報等を含む通信トラフィック履歴を作成し、保持する。また、L−GW102は、HeNB101およびインターネット62間の通信トラフィック履歴を作成し、保持する。
【0046】
ここで、通信トラフィック履歴は、L−GW102によって中継されたパケットの数およびサイズを含む。また、通信トラフィック履歴は、UE151と各ネットワークとの間の通信コネクションの接続時間を含む。
【0047】
また、L−GW102は、保持している通信トラフィック履歴をMME103へ送信する。たとえば、L−GW102は、通信トラフィック履歴をHeNB101経由でMME103へ送信する。HeNB101は、L−GW102から受信した通信トラフィック履歴をMME103へ送信する。なお、L−GW102は、通信トラフィック履歴をS−GW104経由でMME103へ送信する構成であってもよい。
【0048】
また、L−GW102は、MME103から通信トラフィックの許容量を示すトラフィック制限情報を受信し、当該許容量以上の通信トラフィックを制限する。たとえば、HeNB101は、MME103からトラフィック制限情報を受信し、L−GW102に当該情報を送信する。
【0049】
図2は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおけるL−GWの構成を示す図である。
【0050】
図2を参照して、L−GW102は、S−GW通信制御部11と、HeNB通信制御部12と、パケット通信制御部13とを含む。パケット通信制御部13は、通信経路選択部21と、通信トラフィック算出部22と、LAN用データベース(DB)23と、インターネット用データベース(DB)24とを含む。
【0051】
S−GW通信制御部11は、S−GW104との通信を制御する。より詳細には、S−GW通信制御部11は、制御メッセージおよびデータパケットをS−GW104との間で送受信し、また、S−GW104との間のプロトコル処理を行なう。また、S−GW通信制御部11は、パケット通信制御部13とのインタフェースを持ち、データパケットをパケット通信制御部13との間で送受信する。
【0052】
HeNB通信制御部12は、HeNB101との通信を制御する。より詳細には、HeNB通信制御部12は、制御メッセージおよびデータパケットをHeNB101との間で送受信し、また、HeNB101との間のプロトコル処理を行なう。また、HeNB通信制御部12は、パケット通信制御部13とのインタフェースを持ち、データパケットをパケット通信制御部13との間で送受信する。
【0053】
パケット通信制御部13における通信経路選択部21は、移動通信事業者網52以外の他のネットワークとHeNB101との間で送受信される通信データが移動通信事業者網52を経由する一般通信経路PA(図1参照)、および当該他のネットワークとHeNB101との間で送受信される通信データが移動通信事業者網52を経由しないオフロード通信経路を選択可能である。
【0054】
たとえば、通信経路選択部21は、オフロード通信経路として、インターネット62とHeNB101との間で送受信される通信データが移動通信事業者網52を経由しない通信経路PB(図1参照)、またはLAN61とHeNB101との間で送受信される通信データが移動通信事業者網52を経由しない通信経路PC(図1参照)を選択可能である。
【0055】
パケット通信制御部13における通信トラフィック算出部22は、オフロード通信経路を介して中継された通信データのデータ量を算出し、算出結果に基づいて通信トラフィック履歴の作成および更新を行なう。
【0056】
より詳細には、通信トラフィック算出部22は、通信経路PBを介して送受信された通信データのデータ量および通信経路PCを介して送受信された通信データのデータ量を算出する。なお、通信トラフィック算出部22は、通信経路PBを介して送受信された通信データのデータ量および通信経路PCを介して送受信された通信データのデータ量の一方を算出する構成であってもよい。
【0057】
HeNB通信制御部12は、通信トラフィック算出部22によって算出されたデータ量を少なくとも含む通信トラフィック履歴をMME103へ送信する。
【0058】
具体的には、通信経路選択部21は、HeNB通信制御部12から受けた上りデータパケットの送信先を振り分け可能である。通信経路選択部21は、HeNB通信制御部12から受けたデータパケットをS−GW通信制御部11へ出力するか、LAN61へ送信するか、インターネット62へ送信するかを選択可能である。
【0059】
また、通信経路選択部21は、S−GW通信制御部11、LAN61およびインターネット62から受けた下りデータパケットをHeNB通信制御部12へ出力する。
【0060】
S−GW通信制御部11は、オフロード通信経路を介して送受信される通信データの許容量を示すトラフィック制限情報を取得する。
【0061】
通信経路選択部21は、S−GW通信制御部11によって取得されたトラフィック制限情報の示す許容量の範囲内でオフロード通信経路を選択する。
【0062】
通信トラフィック算出部22は、LAN用データベース23およびインターネット用データベース(DB)24において、UE151ごとの通信トラフィック履歴および通信トラフィック許容量を保持する。パケット通信制御部13は、通信トラフィック許容量を考慮したパケットの中継処理を行い、また、通信トラフィック履歴の更新を行なう。
【0063】
[動作]
まず、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、L−GW102が通信トラフィックのオフロードを行なうまでに実行される通信処理について説明する。
【0064】
図3は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、UEがトリガとなる、データ通信開始までのシーケンスの一例を示す図である。
【0065】
図3を参照して、まず、UE151は、ユーザの操作によって上り方向のデータ通信が必要であることを検知し、LAN61またはインターネット62へのアクセス要求を示すPDN(Packet Data Network)接続要求をHeNB101経由でMME103へ送信する。ここで、たとえば、UE151は、トラフィックオフロードが必要な旨を示す情報をPDN接続要求に含める(ステップS101)。
【0066】
次に、MME103は、UE151からPDN接続要求を受信して、セッション確立要求をS−GW104へ送信する(ステップS102)。
【0067】
次に、S−GW104は、UE151から受信したPDN接続要求にトラフィックオフロードが必要な旨を示す情報が含まれている場合には、MME103から受けたセッション確立要求をL−GW102へ送信する(ステップS103)。
【0068】
次に、L−GW102は、S−GW104からセッション確立要求を受けて、LAN61またはインターネット62との接続パスすなわち通信コネクションを確立する。そして、L−GW102は、接続パスの確立後、セッション確立応答をS−GW104へ送信する(ステップS104)。
【0069】
次に、S−GW104は、L−GW102から受けたセッション確立応答をMME103へ送信する(ステップS105)。
【0070】
次に、MME103は、S−GW104からセッション確立応答を受けて、ベアラセットアップ要求をHeNB101へ送信する(ステップS106)。ベアラセットアップ要求は、HeNB101とUE151との間の無線パスすなわち通信コネクションを確立する要求である。たとえば、このベアラセットアップ要求に、UE151からのオフロード対象のデータパケットを識別するための情報が含まれる。HeNB101は、この情報に基づいて、UE151から受信したオフロード対象のデータパケットをL−GW102へ送信し、オフロード非対象のデータパケットをS−GW104へ送信する。
【0071】
次に、HeNB101は、MME103からベアラセットアップ要求を受けて、UE151へRRCコネクション再構成指示を送信する(ステップS107)。
【0072】
次に、UE151は、HeNB101からRRCコネクション再構成指示を受けて、UE151との間の無線パスの確立後、HeNB101へRRCコネクション再構成応答を送信する(ステップS108)。
【0073】
次に、HeNB101は、UE151からRRCコネクション再構成応答を受けて、MME103へベアラセットアップ応答を送信する(ステップS109)。
【0074】
次に、UE151は、PDN接続完了通知をHeNB101経由でMME103へ送信する(ステップS110)。
【0075】
次に、MME103は、HeNB101からベアラセットアップ応答、およびUE151からPDN接続完了通知を受けて、ベアラ変更要求をS−GW104へ送信する(ステップS111)。
【0076】
次に、S−GW104は、MME103からベアラ変更要求を受けて、ベアラ変更応答をMME103へ送信する(ステップS112)。
【0077】
以上のような処理により、UE151は、HeNB101およびL−GW102を経由してLAN61またはインターネット62における他の装置との間で通信を開始することが可能となる。
【0078】
図4は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいて、L−GWがトリガとなる、データ通信開始までのシーケンスの一例を示す図である。
【0079】
図4を参照して、ここでは、前提として、UE151およびMME103間でPDNコネクションが確立されているものとする。
【0080】
まず、L−GW102は、下り方向のデータ通信が必要であることを検知し、データパケットをS−GW104へ送信する(ステップS121)。
【0081】
次に、S−GW104は、L−GW102からデータパケットを受信して、下りデータ到着通知をMME103へ送信する(ステップS122)。
【0082】
次に、MME103は、S−GW104から下りデータ到着通知を受けて、下りデータ到着通知に対するACKをS−GW104へ送信する(ステップS123)。
【0083】
次に、MME103は、ページングをHeNB101経由でUE151へ送信することにより、UE151に対して着信がある旨を通知する(ステップS124)。
【0084】
次に、UE151は、MME103からページングを受けて、HeNB101経由でNAS(Non-Access Stratum)サービス要求をMME103へ送信する(ステップS125)。
【0085】
次に、MME103は、UE151からNASサービス要求を受けて、S1AP初期コンテキスト設定要求をHeNB101へ送信する(ステップS126)。
【0086】
次に、HeNB101は、MME103からS1AP初期コンテキスト設定要求を受けて、UE151との間で無線ベアラ確立すなわち無線パスを確立するシーケンスを実行する(ステップS127)。
【0087】
次に、HeNB101は、UE151との間の無線パスの確立後、S1AP初期コンテキスト設定完了通知をMME103へ送信する(ステップS128)。
【0088】
次に、MME103は、HeNB101からS1AP初期コンテキスト設定完了通知を受けて、ベアラ変更要求をS−GW104へ送信する(ステップS129)。
【0089】
次に、S−GW104は、MME103からベアラ変更要求を受けて、ベアラ変更応答をMME103へ送信する(ステップS130)。
【0090】
次に、S−GW104は、蓄積していたL−GW102からのデータパケットをHeNB101へ送信する(ステップS131)。
【0091】
以上のような処理により、UE151は、HeNB101およびL−GW102を経由してLAN61またはインターネット62における他の装置との間で通信を開始することが可能となる。
【0092】
次に、本発明の実施の形態に係るL−GWがオフロード処理を行なう際の動作について説明する。
【0093】
図5は、本発明の第1の実施の形態に係るL−GWが上り方向のオフロード処理を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【0094】
図5を参照して、まず、S−GW通信制御部11は、オフロードする通信データの許容量を示すトラフィック制限情報をS−GW104から受信し、パケット通信制御部13へ出力する。このトラフィック制限情報は、たとえばMME103が作成するセッション確立要求に含まれる(ステップS1)。
【0095】
次に、HeNB通信制御部12は、HeNB101から上りデータパケットを受信し、パケット通信制御部13へ出力する(ステップS2)。
【0096】
次に、パケット通信制御部13における通信経路選択部21は、HeNB通信制御部12から受けた上りデータパケットのデータ量が、トラフィック制限情報の示す許容量以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0097】
通信経路選択部21は、HeNB通信制御部12から受けた上りデータパケットのデータ量が、トラフィック制限情報の示す許容量以下である場合には(ステップS3でYES)、当該上りデータパケットをオフロードする。すなわち、通信経路選択部21は、上りデータパケットを、S−GW通信制御部11を経由させずにLAN61またはインターネット62へ直接送信する(ステップS4)。
【0098】
次に、通信トラフィック算出部22は、オフロードした上りデータパケットのデータ量に基づいて、通信トラフィック履歴を更新する(ステップS5)。
【0099】
次に、HeNB通信制御部12は、通信トラフィック算出部22によって更新された通信トラフィック履歴をHeNB101経由でMME103へ送信する。なお、HeNB通信制御部12は、通信トラフィック履歴を更新するたびに更新後の通信トラフィック履歴をMME103へ送信してもよいし、複数回の更新でまとめて送信してもよいし、更新の有無に関わらず定期的に送信してもよい(ステップS6)。
【0100】
一方、通信経路選択部21は、HeNB通信制御部12から受けた上りデータパケットのデータ量が、トラフィック制限情報の示す許容量を超えている場合には(ステップS3でNO)、当該上りデータパケットをオフロードせずに、たとえばS−GW通信制御部11経由で移動通信事業者網52へ送信する(ステップS7)。なお、この場合、通信経路選択部21は、HeNB通信制御部12から受けた上りデータパケットを破棄する構成であってもよい。
【0101】
図6は、本発明の第1の実施の形態に係るL−GWが下り方向のオフロード処理を行なう際の動作手順を定めたシーケンス図である。
【0102】
図6を参照して、まず、S−GW通信制御部11は、オフロードする通信データの許容量を示すトラフィック制限情報をS−GW104から受信し、パケット通信制御部13へ出力する。このトラフィック制限情報は、たとえばMME103が作成するセッション確立要求に含まれる(ステップS11)。
【0103】
次に、パケット通信制御部13は、移動通信事業者網52を経由していないLAN61またはインターネット62からの下りデータパケットを受信する(ステップS12)。
【0104】
次に、パケット通信制御部13における通信経路選択部21は、受信した下りデータパケットのデータ量が、トラフィック制限情報の示す許容量以下であるか否かを判定する(ステップS13)。
【0105】
通信経路選択部21は、受信した下りデータパケットのデータ量が、トラフィック制限情報の示す許容量以下である場合には(ステップS13でYES)、当該下りデータパケットをオフロードする。すなわち、通信経路選択部21は、下りデータパケットをHeNB通信制御部12へ出力する(ステップS14)。
【0106】
次に、通信トラフィック算出部22は、オフロードした下りデータパケットのデータ量に基づいて、通信トラフィック履歴を更新する(ステップS15)。
【0107】
次に、HeNB通信制御部12は、通信トラフィック算出部22によって更新された通信トラフィック履歴をHeNB101経由でMME103へ送信する。なお、HeNB通信制御部12は、通信トラフィック履歴を更新するたびに更新後の通信トラフィック履歴をMME103へ送信してもよいし、複数回の更新でまとめて送信してもよいし、更新の有無に関わらず定期的に送信してもよい(ステップS16)。
【0108】
一方、通信経路選択部21は、受信した下りデータパケットのデータ量が、トラフィック制限情報の示す許容量を超えている場合には(ステップS13でNO)、当該下りデータパケットをオフロードせずに、破棄および送信元の装置への受信不可通知の送信等の受信拒否処理を行なう(ステップS17)。
【0109】
ところで、L−GWがUEの通信トラフィックをオフロードする場合、通信トラフィックは移動通信事業者網を経由しないことになるため、移動通信事業者は、通信トラフィック量の把握ができない。このため、UEに対する従量課金ができず、通信トラフィック量に応じたサービスの提供が困難となる、という問題点があった。
【0110】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係るL−GWでは、通信経路選択部21は、UE151、HeNB101およびL−GW102等を管理するためのMME103が設けられた移動通信事業者網52について、他のネットワークとHeNB101との間で送受信される通信データが移動通信事業者網52を経由する一般通信経路PA、および当該他のネットワークとHeNB101との間で送受信される通信データが移動通信事業者網52を経由しないオフロード通信経路を選択可能である。そして、通信トラフィック算出部22は、オフロード通信経路を介して中継された通信データのデータ量を算出する。
【0111】
このような構成により、L−GW102による通信トラフィックのオフロードによって通信トラフィックが移動通信事業者網52を経由しなくても、移動通信事業者は、通信トラフィック量を把握することができる。これにより、たとえば、UEに対する従量課金を行なうことができるため、通信トラフィック量に応じた適切なサービスの提供が可能となる。
【0112】
また、本発明の第1の実施の形態に係るL−GWでは、通信経路選択部21は、オフロード通信経路として、インターネット62とHeNB101との間で送受信される通信データが移動通信事業者網52を経由しない通信経路PB、またはLAN61とHeNB101との間で送受信される通信データが移動通信事業者網52を経由しない通信経路PCを選択可能である。そして、通信トラフィック算出部22は、通信経路PBを介して送受信された通信データのデータ量および通信経路PCを介して送受信された通信データのデータ量の少なくとも一方を算出する。
【0113】
このような構成により、UE151によるLAN61との通信を許容する、UE151によるインターネット62との通信を許容する、または両方の通信を許容する等、様々な形態のサービスの提供が可能となり、サービスの差別化を図ることができる。
【0114】
また、本発明の第1の実施の形態に係るL−GWでは、HeNB通信制御部12は、通信トラフィック算出部22によって算出されたデータ量を少なくとも含む通信トラフィック履歴をMME103へ送信する。
【0115】
このような構成により、複数のL−GW102においてオフロードされたデータ量をMME103において集約し、オフロードに関する集中的な管理が可能となる。
【0116】
また、L−GW102がUE151の通信トラフィックをオフロードする場合、通信トラフィックは移動通信事業者網を経由しないことになるため、インターネット62への回線を提供する固定通信事業者において、移動通信事業者が管理するUE151からの通信トラフィックにより予期せぬ輻輳を招く場合がある。
【0117】
これに対して、本発明の第1の実施の形態に係るL−GWでは、S−GW通信制御部11は、オフロード通信経路を介して送受信される通信データの許容量を取得する。そして、通信経路選択部21は、当該許容量の範囲内でオフロード通信経路を選択する。
【0118】
このような構成により、インターネット62への回線を提供する固定通信事業者において、移動通信事業者が管理するUE151からの通信トラフィックにより予期せぬ輻輳を招くことを防ぐことができる。
【0119】
また、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムは、3GPPで規定されたHeNBと、3GPPで規定されたL−GWと、3GPPで規定されたMMEとを備える。
【0120】
このような構成により、3GPPで規定されたオフロード機能を実現するとともに、中継されるデータ量に応じた適切なサービスまたは通信制御を実現することが可能となる。
【0121】
なお、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムでは、L−GW102は、オフロード通信経路を介して送受信される通信データの許容量を示すトラフィック制限情報を取得し、当該トラフィック制限情報の示す許容量を超えるオフロード通信経路のトラフィックを制限し、また、オフロード通信経路を介して中継された通信データのデータ量を算出する構成であるとしたが、これに限定するものではない。L−GW102において、さらに、S−GW通信制御部11が、一般通信経路を介して送受信される通信データの許容量を示すトラフィック制限情報を取得し、通信経路選択部21が、当該トラフィック制限情報の示す許容量を超える一般通信経路のトラフィックを制限し、また、通信トラフィック算出部22が、一般通信経路を介して中継された通信データのデータ量を算出する構成であってもよい。
【0122】
また、フェムトセルおよびアクセスモードは、3GPP(Third Generation Partnership Project) SPEC TS22.220において以下のように説明されている。すなわち、フェムト基地局は、無線インタフェースを介して接続されている無線端末装置を、IPバックホール(backhaul)を用いて、移動通信事業者網に接続する顧客構内装置である。
【0123】
また、フェムトセルのアクセスモードにおいて、クローズドアクセスモードのフェムト基地局は、関連するCSG(Closed Subscriber Group)メンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードのフェムト基地局は、関連するCSGメンバーおよびCSGノンメンバーにサービスを提供する。また、オープンアクセスモードのフェムト基地局は、通常の基地局として動作する。
【0124】
本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムにおいても、このような3GPPの定義を適用してもよい。
【0125】
また、上記定義と合わせて、あるいは別個に、以下のような定義を適用することも可能である。
【0126】
マクロ基地局は、事業者の管理下にあり、事業者と契約している無線基地局装置が通信可能な無線基地局装置である。また、マクロ基地局は、基本的に電源がオフになることはないと考えられる。
【0127】
また、フェムト基地局は、主に個人または法人の建物内に設置され、ユーザの事情により移動するまたは電源がオフとなる可能性がある無線基地局装置である。
【0128】
また、フェムト基地局は、オープン/ハイブリッド/クローズドのいずれかのアクセスモードで動作する。フェムト基地局は、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバー(端末)のみ接続可能となる。また、クローズドアクセスモードで動作する場合には、登録済みのメンバーにのみサービスを提供する。また、ハイブリッドモードで動作する場合には、登録済みのメンバー、および未登録のメンバーすなわちノンメンバーの両方にサービスを提供する。また、オープンアクセスモードで動作する場合には、マクロ基地局と同じ動作をする。
【0129】
次に、本発明の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0130】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る無線通信システムと比べてHeNBおよびL−GWが統合された無線通信システムに関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る無線通信システムと同様である。
【0131】
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。
【0132】
図7を参照して、無線通信システム202は、本発明の第1の実施の形態に係る無線通信システムと比べて、L−GW102の代わりにLocal H(e)NB GW112を備える。
【0133】
Local H(e)NB GW112は、HeNB101とLAN61、インターネット62、MME103およびS−GW104との間に接続されている。
【0134】
Local H(e)NB GW112は、HeNBにL−GWの機能を実装した装置である。S−GW104は、Local H(e)NB GW112を、HeNBとみなして各種通信処理を行なう。
【0135】
Local H(e)NB GW112は、UE151がHeNB101経由でLAN61またはインターネット62における他の装置にアクセスする際に、通信データの中継処理等を行なう。すなわち、Local H(e)NB GW112は、HeNB101経由でUE151から受信した通信データをLAN61またはインターネット62における他の装置へ送信するとともに、LAN61またはインターネット62における他の装置から受信した通信データをHeNB101経由でUE151へ送信する。
【0136】
S−GW104は、Local H(e)NB GW112とインターネット62との間に接続されている。S−GW104は、HeNB101およびLocal H(e)NB GW112経由でUE151から受信した通信データをP−GW105経由でインターネット62へ送信するとともに、インターネット62における他の装置からP−GW105経由で受信した通信データをLocal H(e)NB GW112およびHeNB101経由でUE151へ送信する。
【0137】
MME103は、無線通信システム201にけるUE151、HeNB101、eNB106およびLocal H(e)NB GW112等を管理する。MME103は、HeNB101との間で制御メッセージを送受信し、また、eNB106との間で制御メッセージを送受信する。
【0138】
HeNB101およびLocal H(e)NB GW112は、論理的なインタフェースであるS1インタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1インタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0139】
Local H(e)NB GW112およびMME103は、論理的なインタフェースであるS1−MMEインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−MMEインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0140】
Local H(e)NB GW112およびS−GW104は、論理的なインタフェースであるS1−Uインタフェースに従う通信データを互いに送受信することにより、S1−Uインタフェース経由で種々の情報を互いにやりとりする。
【0141】
Local H(e)NB GW112は、HeNB101から受信した通信データをLAN61、インターネット62およびS−GW104に振り分け可能である。具体的には、たとえば、Local H(e)NB GW112は、HeNB101から受信したデータパケットのヘッダを参照して振り分け先を選択する。
【0142】
Local H(e)NB GW112は、LAN61およびHeNB101間の通信トラフィックの統計情報等の通信トラフィック履歴を作成し、保持する。また、Local H(e)NB GW112は、インターネット62およびHeNB101間の通信トラフィック履歴を作成し、保持する。
【0143】
ここで、通信トラフィック履歴は、Local H(e)NB GW112によって中継されたパケット数およびパケットサイズを含む。また、通信トラフィック履歴は、UE151と各ネットワークとの間の通信コネクションの接続時間を含む。
【0144】
Local H(e)NB GW112は、保持している通信トラフィック履歴をMME103へ送信する。
【0145】
また、Local H(e)NB GW112は、MME103から通信トラフィックの許容量を示すトラフィック制限情報を受信し、当該許容量以上の通信トラフィックを制限する。
【0146】
本発明の第2の実施の形態に係る無線通信システム202では、無線通信システム201と比べて、企業内ネットワーク51および移動通信事業者網52間のネットワーク構成およびネットワーク制御の簡易化を図ることができる。また、Local H(e)NB GW112から通信トラフィック履歴をMME103へ直接送信することが可能となる。
【0147】
その他の構成および動作は第1の実施の形態に係る無線通信システムと同様であるため、ここでは詳細な説明を繰り返さない。
【0148】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0149】
11 S−GW通信制御部
12 HeNB通信制御部
13 パケット通信制御部
21 通信経路選択部
22 通信トラフィック算出部
23 LAN用データベース
24 インターネット用データベース
51 企業内ネットワーク
52 移動通信事業者網(特定外部ネットワーク)
53 LTEマクロネットワーク
61 LAN(内部ネットワーク)
62 インターネット(一般外部ネットワーク)
101 HeNB(無線基地局装置)
102 L−GW(内部ネットワーク接続装置)
103 MME(通信管理装置)
104 S−GW(通信制御装置)
105 P−GW
106 eNB(無線基地局装置)
112 Local H(e)NB GW
151 UE
201 無線通信システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末装置と無線信号を送受信するための無線基地局装置と、ネットワークとの間で送受信される通信データを中継するためのネットワーク接続装置であって、
前記無線端末装置、前記無線基地局装置および前記ネットワーク接続装置を管理するための通信管理装置が設けられた特定外部ネットワークについて、他のネットワークと前記無線基地局装置との間で送受信される通信データが前記特定外部ネットワークを経由する第1の通信経路、および他のネットワークと前記無線基地局装置との間で送受信される通信データが前記特定外部ネットワークを経由しない第2の通信経路を選択可能な通信経路選択部と、
前記第2の通信経路を介して中継された前記通信データのデータ量を算出するための通信トラフィック算出部とを備える、ネットワーク接続装置。
【請求項2】
前記ネットワーク接続装置は、さらに、
前記通信トラフィック算出部によって算出された前記データ量を前記通信管理装置へ送信するための通信トラフィック情報送信部を備える、請求項1に記載のネットワーク接続装置。
【請求項3】
前記ネットワーク接続装置は、さらに、
前記第2の通信経路を介して送受信される通信データの許容量を取得するためのトラフィック制限情報取得部を備え、
前記通信経路選択部は、前記許容量の範囲内で前記第2の通信経路を選択する、請求項1または請求項2に記載のネットワーク接続装置。
【請求項4】
前記特定外部ネットワークには、さらに、前記ネットワーク接続装置と一般外部ネットワークとの間に接続された通信制御装置が設けられ、
前記通信経路選択部は、前記第2の通信経路として、前記一般外部ネットワークと前記無線基地局装置との間で送受信される通信データが前記特定外部ネットワークを経由しない第3の通信経路、または内部ネットワークと前記無線基地局装置との間で送受信される通信データが前記特定外部ネットワークを経由しない第4の通信経路を選択可能であり、
前記通信トラフィック算出部は、前記第3の通信経路を介して送受信された通信データのデータ量および前記第4の通信経路を介して送受信された通信データのデータ量の少なくとも一方を算出する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のネットワーク接続装置。
【請求項5】
前記無線基地局装置は3GPPで規定されたHeNB(Home e NodeB)であり、前記ネットワーク接続装置は3GPPで規定されたL−GW(Local Gateway)であり、前記通信管理装置は3GPPで規定されたMME(Mobility Management Entity)である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のネットワーク接続装置。
【請求項6】
無線端末装置と無線信号を送受信するための無線基地局装置と、ネットワークとの間で送受信される通信データを中継するためのネットワーク接続装置におけるネットワーク接続方法であって、
前記無線端末装置、前記無線基地局装置および前記ネットワーク接続装置を管理するための通信管理装置が設けられた特定外部ネットワークについて、他のネットワークと前記無線基地局装置との間で送受信される通信データが前記特定外部ネットワークを経由する第1の通信経路、または他のネットワークと前記無線基地局装置との間で送受信される通信データが前記特定外部ネットワークを経由しない第2の通信経路を選択するステップと、
前記第2の通信経路を介して中継された前記通信データのデータ量を算出するステップとを含む、ネットワーク接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−55580(P2013−55580A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193706(P2011−193706)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】