説明

ハイブリッドドライブ装置

【課題】光ディスク装置とフラッシュメモリ等の高速アクセス可能なメモリを組み合わせたハイブリッドドライブ装置において、より大容量の高速アクセス可能なメモリを追加出来る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置を提供すること。
【解決手段】光ディスク装置と、該光ディスク装置の制御部50に接続された高速アクセス可能なSDRAMとを有するハイブリッドドライブ装置において、インターフェース変換回路20を介して大容量メモリ30を追加する。インターフェース変換回路20は、FPGAを用いたSDRAM−eMMC Brigeであり、大容量メモリ30のアドレスは、大容量メモリアドレス指定用レジスタによって指定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ディスク装置等の大容量ではあるがアクセスに比較的長時間を要する記憶装置と、アクセスが早いフラッシュメモリ等のメモリを組み合わせたハイブリッドドライブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、BD(ブルーレイディスク)等の大容量光ディスクを用いる記録再生装置(以下、光ディスク装置という。)や、BDレコーダ内蔵のテレビが普及しているが、光ディスクへの記録・再生には、そのための準備時間が必要であり、必ずしも使い勝手のよいものではなかった。
【0003】
特許文献1には、上記光ディスク装置における使い勝手を改善するためのキャッシュ装置であって、DRAM等よりなる1次キャッシュメモリとHDD或いはフラッシュメモリ等の不揮発性メモリよりなる2次キャッシュメモリを設けたキャッシュ装置が記載されている。
【0004】
また、従来、光ディスク装置にSDRAM(Synchronous Dynamic RAM)を組み合わせ、使い勝手を改善したハイブリッドドライブ装置が提案されている。
【0005】
図6は、光ディスク装置にキャッシュメモリとして使用されるSDRAMを組み合わせた従来のハイブリッドドライブ装置の例を示す図である。図6(a)は、光ディスク装置の駆動部60を示す図であり、図6(b)は、前記駆動部60と、前記駆動部60を制御するための制御部50を備えた光ディスク装置70に対して、更に、SDRAM装置40を組み込んだハイブリッドドライブ装置100を示す図であり、図6(c)は、前記SDRAM装置40の詳細を示したハイブリッドドライブ装置100を示す図である。
【0006】
図6(a)において、光ディスク装置の駆動部60は、レーザ素子63を有する光ピックアップ64と、前記光ピックアップ64をガイドレール62に沿って駆動するための水平駆動用モータ61と、光ディスク68を回転駆動するスピンドルモータ65とを有しており、レーザ素子63からのレーザ光を、レンズアクチュエータ66によって光ディスク上に焦点を結ぶ光ビーム67として光ディスク68に照射して、信号の記録を行い、また、光ディスクからの反射光を受けて信号の再生を行う。
【0007】
図6(b)には、前述のとおり光ディスク装置70と、キャッシュメモリとして動作するSDRAM装置40とを有するハイブリッドドライブ装置100の詳細が示されており、更に、このハイブリッドドライブ装置100に対して、テレビ等の上位システムのホスト80がインターフェース部101を介して接続されているものが示されている。
【0008】
前記光ディスク装置70の駆動部60を制御するための制御部50自体は既に公知の構成であり、その動作についての詳細な説明は省くが、制御部50は、ハイブリッドドライブ装置100全体の制御を行うCPU51、制御用のプログラム等が書きこまれたPROM52、CPU51のワークメモリとして使用されるRAM53の外、メカ/サーボ制御部54、サーボ制御部55を有し、更に、バス59を介して接続された、変調/復調回路及びECC処理部58と、この変調/復調回路及びECC処理部58に接続された再生制御部56、記録制御部57を有している。また、前記制御部50のバス59にはSDRAMバス48を介してSDRAM41が接続されている。なお、ここでは、SDRAM41とSDRAMバス48等を含めてSDRAM装置40と称している。
【0009】
図6(c)は、SDRAM装置40の詳細を示している。SDRAM装置40は、SDRAM41と、SDRAM41へのデータ転送のための4つのDMACH(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル)44、45、46、47を有しており、更に、2つのリングバッファ42、43を有している。この構成自体も公知であり、動作の詳細な説明は省略するが、ホスト80側からのデータは、ホストi/F101を介して、図6(c)中に破線73で示すように、DMACH0(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル・0)44、リングバッファ43、DMACH4(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル・4)45、リングバッファ42、DMACH3(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル・3)
46を経由し、変調/復調回路及びECC回路58、記録制御部57(図6(b)参照)を介して光ディスク68に記録される。
【0010】
また、光ディスク68からの再生信号は、図6(b)に示された再生制御部56、変調/復調回路及びECC回路58を経由して、図6(c)中に実線74で示すように、DMACH2(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル・2)47、リングバッファ42、DMACH4(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル・4)45、リングバッファ43、DMACH0(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル・0)44を介して、ホスト80側に送られる。
【0011】
図7は、図6(b)に示したハイブリッドドライブ装置100の動作の概略を示すフロー図である。図7(a)は、前記ハイブリッドドライブ装置100を構成する光ディスク装置70立上げ時の動作の概略を示しており、図7(b)は、前記ハイブリッドドライブ装置100における前記光ディスク68からのデータ再生時のフローを示しており、図7(c)は、前記光ディスク68へのデータ記録時のフローを示している。
【0012】
前記光ディスク装置70の立上げは、図7(a)に示すとおり、電源がオン(ステップ1、以下単にS.1と記載する。)された後、光ディスク68(以下、単にディスクという場合がある。)が挿入されると(S.2)、スピンドルモータが回転を開始して(S.3)、フォーカスサーボがオンになり(S.4)、次いで、ディスク種類の判別が行われ(S.5)、更に、トラッキングサーボがオンになる(S.6)。
【0013】
ディスク/サーボの確定が確認された後(S.7)、ディスク68の基本データが再生され(S.8)、上位システム(例えば、ハイブリッドドライブ装置100が接続されたテレビ受像機等)による記録又は再生要請に対しての準備が完了して(S.9)、上位システムからの指令を受けて光ディスク68への記録又は再生が行われる(S.10)ことになる。
【0014】
図7(b)は、前記ハイブリッドドライブ装置100における光ディスク再生時のデータの流れを示しており、光ディスク68からの再生データはSDRAM41を介して(S.11)、前記テレビ受像機等の上位システムのホスト80に転送される(S.12)。
【0015】
図7(c)は、上位システムからのデータを光ディスク68へ記録する際のデータの流れを示す図である。上位システムからは、コマンドと共にデータが送られてくる(S.13)ので、このデータ付きのコマンドはSDRAM41経由(S.14)で光ディスク装置70に送られ、光ディスク68にデータが記録される。なお、既に説明したとおり、図7(b)に示す場合も図7(c)に示す場合も、何れもSDRAM41は、バッファ的な役割(ディスクからの再生速度とホストiFの転送速度の調整・整合)とキャッシュメモリとしての役割を果たすことになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開平7−225714号公報(平成7年8月22日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
特許文献1に記載の技術には、一次キャッシュと二次キャッシュとを設けることは記載されているが、これを実現するための具体的な手法等は記述されていない。また、格別に消費電力の低下を目指すものでもない。
【0018】
また、図6、図7に示された技術によれば、SDRAMをキャッシュとして用いることが記載されているが、通常、SDRAMへのデータのリード/ライトを行うためのアドレスは、8MBから16MB程度であって、ギガバイトまではリニアに割り付けることができないという課題を有する。また、そのため、大量のデータ保存等は不可能であり、使い勝手を改善するための根本的な解決にはなっていないという課題を有する。更に、仮に、従来構成でギガバイトオーダーまでのアクセスを実現しようとすれば、多くの付加回路が必要となって高コストとなり、現実性のないシステムとならざるを得ないという課題をも有する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記の課題を解決するために、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置では、光ディスク装置と、キャッシュメモリと、前記キャッシュメモリに追加された拡張メモリとを有する拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置であって、前記拡張メモリは、インターフェース変換回路を介して追加されたメモリであることを特徴としている。
【0020】
これによれば、従来構成を特段変更することなく、容易に大容量の拡張メモリを追加することができ、ハイブリッドドライブ装置の使い勝手を向上させることが出来る。
【0021】
上記の課題を解決するために、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置では、上記インターフェース変換回路は、FPGAによって構成されていることを特徴としている。
【0022】
これによれば、容易に入手可能でしかも設計の自由度の高いFPGAを利用することでコストを抑えながら、高機能な拡張メモリ付きのハイブリッドドライブ装置を得ることが出来る。
【0023】
上記の課題を解決するために、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置では、前記キャッシュメモリは、SDRAMであり、前記インターフェース変換回路を介して追加された拡張メモリは、揮発性メモリでもいいし不揮発性メモリでもよいメモリで、ここでは、eMMCメモリと称するものであることを特徴としている。
【0024】
これによれば、いずれも入手が容易であり、且つ安価なメモリを利用することで、コストを抑えながら、高機能な拡張メモリ付きのハイブリッドドライブ装置を得ることが出来る。eMMCメモリによれば、飛躍的に大容量、例えば、アプリケーションで必要ならば、BD1枚から複数枚をも保存可能にできる能力を有するという特徴を持つ。
【0025】
上記の課題を解決するために、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置では、前記インターフェース回路を介して追加された拡張メモリにアクセスする際には、前記キャッシュメモリに対してデータリードの排他制御を行うことを特徴としている。
【0026】
これによれば、前記キャッシュメモリと拡張メモリとを切り分けて利用可能であり、本発明に係る拡張メモリ付きのハイブリッドドライブ装置の有用性を更に高くすることが出来る。なお、ここで排他制御とは、同時に別のバスから同じSDRAMをアクセスすることを禁止する制御方法をいう。
【0027】
上記の課題を解決するために、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置では、前記キャッシュメモリへのアクセス及び前記拡張メモリへのアクセスは、DMA(ダイレクトメモリアクセス)であることを特徴としている。
【0028】
これによれば、大量のデータを一括して処理することが可能であり、高速のデータ転送が可能となる。
【0029】
上記の課題を解決するために、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置では、前記キャッシュメモリへのアクセスは、4つのDMAチャンネルと、2つのリングバッファによってなされるものであり、前記拡張メモリへのアクセスは、前記DMAチャンネルを共有することによってなされるものであることを特徴としている。
【0030】
これによれば、拡張メモリの追加が容易であり、且つ、高速動作が可能な拡張メモリ付きのハイブリッドドライブ装置を提供することが出来る。なお、この4つのDMAチャンネルと、2つのリングバッファを有するものは、例示であり、本願発明ではこれに限られるものではないことはいうまでもない。
【発明の効果】
【0031】
以上に述べたとおり、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置では、光ディスク装置と、キャッシュメモリと、前記キャッシュメモリに追加された拡張メモリとを有する拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置であって、前記拡張メモリは、インターフェース変換回路を介して追加されたメモリであることを特徴としている。
【0032】
上記の本発明によれば、コストを抑えながら、高機能な拡張メモリ付きのハイブリッドドライブ装置を得ることが出来るという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置の原理的な考え方を説明するための図である。
【図2】大容量メモリを接続した本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置の全体構成を示す図である。
【図3】拡張メモリとして動作する大容量メモリの接続状況の詳細を示す図である。
【図4】本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置における大容量メモリへのアクセス状況を説明する図である。
【図5】本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置の動作の概要を示すフロー図である。
【図6】光ディスク装置にSDRAMを組み合わせた従来のハイブリッドドライブ装置の例を示す図である。
【図7】従来のハイブリッドドライブ装置における光ディスク再生時のデータの流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下の説明では本発明を実施するために好ましい種々の限定が付与されているが、本発明の技術的範囲は以下の実施例及び図面の記載に限定されるものではない。
【実施例】
【0035】
始めに、図1を用いて本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置の原理的な考え方を説明し、次いで、図2、図3を用いて本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置の構成を説明する。更に、図4、図5を用いて、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置の動作の概要を説明する。
【0036】
図1(a)において、10は、本発明に従って、キャッシュメモリを備えた従来のハイブリッドドライブ装置に新たに追加された大容量メモリ装置であり、FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いたインターフェース変換回路20と拡張メモリとして働く大容量メモリ30とによって構成されている。この拡張メモリとして働く大容量メモリ30は、例えばeMMC(Embedded Multi Media Card)等を用いることができるが、これに限られることなく光ディスクより高速に動作可能なメモリであれば良い。また、不揮発性のメモリに限られることなく、揮発性のメモリであっても良い。
【0037】
FPGA(Field Programmable Gate Array)自体は、きわめて容易に入手可能であって、しかも設計の自由度が高く、従って、コストを抑えながら、高機能な拡張メモリ付きのハイブリッドドライブ装置を得ることが出来る。また、eMMC(Embedded Multi Media Card)も同じく入手が容易で安価であり、コストを抑えながら高機能な拡張メモリ付きのハイブリッドドライブ装置を実現することが出来る。eMMCメモリによれば、飛躍的に大容量、例えば、アプリケーションで必要ならば、BD1枚から複数枚をも保存可能にできる能力を有するという特徴を持つ。
【0038】
図1(a)において、40は、図6において説明したキャッシュメモリとして動作するSDRAM装置であり、SDRAM41を有している。また、図1(a)において、50は図6において説明した光ディスク装置70の駆動部60を制御するための制御部である。図1(a)の記載から明らかなように、本願の発明では、図6で説明した従来のハイブリッドドライブ装置100において、インターフェース変換回路20と拡張メモリとして働く大容量メモリ30とを有する大容量メモリ装置10を追加したものである。即ち、SDRAMバス48を介して接続されたインターフェース変換回路20によって、従来のSDRAMにおけるインターフェースとは異なるインターフェースの大容量のメモリへのアクセスを可能にするものである。
【0039】
図1(b)は、拡張メモリとして働く大容量メモリ30としてeMMCを用いた場合のインターフェース変換回路20をより詳細に示した図であり、SDRAMインターフェース21と、FIFO22と、eMMCコントローラ23とを有する。FIFO22は、SDRAMインターフェース21とeMMCコントローラ23との間のバッファリングを行うもので、両者のスピード差等を吸収してデータのやり取りをスムースに達成する。即ち、このインターフェース変換回路20は、SDRAMインターフェースと大容量メモリである例えばeMMCインターフェースとの橋渡しを行う、SDRAM−eMMCブリッジ
回路である。なお、図1(a)に示されるように、eMMC側にアクセスする時には、SDRAM41側へのアクセスを禁止するための排他制御が行われる。これによれば、前記キャッシュメモリと拡張メモリとを切り分けて利用可能であり、本発明に係る拡張メモリ付きのハイブリッドドライブ装置の有用性を更に高くすることが出来る。なお、ここで排他制御とは、同時に別のバスから同じSDRAMをアクセスすることを禁止する制御方法をいう。
【0040】
図2は、大容量メモリ装置10を、SDRAM41を有する従来のハイブリッドドライブ装置100に接続する際の詳細を示している。大容量メモリ装置10は、図1を用いて説明したインターフェース変換回路20の外、FPGA内の回路の制御を行うFPGA内回路入力制御部31、ハイブリッドドライブ装置100が拡張メモリとして働く大容量メモリ30にアクセスしている際にSDRAM41へのアクセスを禁止するためのデータリードの排他回路32、大容量メモリ30のアドレスを指定するための大容量メモリアドレス指定用レジスタ33を有しており、SDRAM41へのSDRAMバス48によってハイブリッドドライブ装置100に接続されている。なお、データ転送する場合、予め、FPGA内の上記大容量メモリアドレス指定用レジスタ33に、記録スタートのアドレスと長さ情報を指定してからDMA転送することになる。また、光ディスク装置70の駆動部60、制御部50の構成は、図6と共に説明した従来例と同じ構成であり、ここでの説明は省略する。
【0041】
図3は、従来のハイブリッドドライブ装置100と大容量メモリ装置10との接続の詳細を示している。図3に示すとおり、大容量メモリ装置10の接続は、SDRAM41へのデータ転送のための4つのDMACH(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル)44、45、46、47を利用したDMA転送によって行われる。
【0042】
物理的な接続は、図3に示されるように、前記4つのDMACH(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル)44、45、46、47の内の1つのチャンネルであるDMACH4(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル4)45と、大容量メモリ装置10のインターフェース変換回路20との接続によりなされる。即ち、DMAチャンネルを共有することによってなされている。DMAによるデータの転送は、大量のデータを一括して処理することが可能であり、従って、高速のデータ転送が可能であり、拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置の高速動作を可能にする。
【0043】
この発明に従って、大容量メモリ装置10中の大容量メモリ30を利用する際には、データリードの排他回路32からの指令によりSDRAM41のメモリへのアクセスを禁止し、DMACH4(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル4)45を介して、大容量メモリ30にアクセスすることになる。
【0044】
大容量メモリ30へのデータの記録は、大容量メモリアドレス指定用レジスタ33によって指定されたアドレスに記録されることになり、また、大容量メモリ30からのデータの読出し(再生)は、大容量メモリアドレス指定用レジスタ33を介して指定されたアドレスから読み出されることになる。即ち、従来のハイブリッドドライブ装置100における制御用LSIのアドレスは、8MBから16MBが一般的であり、ギガバイトまではリニアに割り付けることが出来ない。そのため、大容量メモリ30のアドレスレジスタを構成し、アクセスしたい大容量メモリ30のアドレスを先にレジスタに書き込んでから、実際のデータアクセスを行う。データのアクセスはバースト転送を行うことにより、高速性を損なうことなくアクセス可能となる。大容量メモリアドレス指定用レジスタ33による大容量メモリ30へのアクセスのための制御は、FPGA内回路入力制御部31によって行われる。
【0045】
上位システムのホスト80からのデータを記録する際には、図3中に破線73で示されるとおり、ホスト80からのデータは、DMACH0(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル0)44、リングバッファ43、DMACH4(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル4)45、リングバッファ41、DMACH3(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル3)46を経由して、光ディスク装置70(図2参照)に送られ、光ディスクに記録されることになる。
【0046】
光ディスク側からの再生信号は、図3中に実線74で示されるとおり、DMACH2(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル2)47、リングバッフア42、DMACH4(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル4)45を介して、大容量メモリ装置10のインターフェース変換回路20に送られる。大容量メモリ装置10側に送られたデータは、既に説明したとおり、大容量メモリアドレス指定用レジスタ33によって指定された大容量メモリ30のアドレスに記憶され、更に、DMACH4(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル4)45、リングバッファ43、DMACH0(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル0)44を介してホスト80側に送られることになる。
【0047】
図4は、大容量メモリ装置10の大容量メモリ30へのアクセスの状態を説明するための図である。図4(a)は、上位システムのホスト80(図3参照)からの要求により光ディスク側にアクセス要求があった場合の状況を示している。光ディスクドライブは、最低一回のアクセスにて、現在停止状態であり、大容量メモリに要求されたデータがある限り、光ディスクドライブでの記録再生は不要である(S.1)。この場合、SDRAMデータの排他処理が行われ(S.2)、大容量メモリ30に、1以上のディスクIDを持つデータが保存される(S.3)。そして、ホスト80からの要求データが大容量メモリ30内にある場合、光ディスクではなく、大容量メモリ30からSDRAMバス経由でDMA転送される。
【0048】
図4(b)は、従来のSDRAMをバッファとして用いる場合の動作を示している。この場合、光ドライブは、アクセス中、常時動作状態である(S.1)。そして、従来のSDRAMをバッファとして小容量単位の繰り返しデータ転送を行い(S.2)、要求データ転送完了を待つことになる(S.3)。ホスト80(上位システム)は、従来のハイブリッドドライブ装置100における制御用LSIのコマンドにより指定可能なアドレス単位(比較的小容量)でデータを完結的に転送・受理することになる。
【0049】
なお、以上述べたように更に大容量メモリ装置10が接続された装置も、ハイブリッドドライブ装置であることに変わりはないが、従来のハイブリッドドライブ装置100のメモリを更に拡張して使用することとなるので、本発明では、特に、拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置という。
【0050】
図5は、本発明に従った拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置の動作の概要を示すフロー図である。図5(a)は、拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置を構成する光ディスク装置70立上げ時の動作の概略を示しており、図5(b)は、前記拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置における光ディスクからのデータ再生時のフローを示しており、図5(c)は、前記光ディスクへのデータ記録時のフローを示している。
【0051】
本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置において、光ディスク装置70を立ち上げる際の動作は、図7(a)と共に説明した従来のハイブリッドドライブ装置における光ディスク装置70の立ち上げと同様であり、図5(a)に示すとおり、電源がオン(ステップ1、以下単にS.1と記載する。)された後、光ディスク(以下、単にディスクという場合がある。)が挿入されると(S.2)、スピンドルモータが回転を開始し(S.3)、フォーカスサーボがオンになって(S.4)、ディスク種類の判別が行われ(S.5)、更に、トラッキングサーボがオンになる(S.6)。
【0052】
次いで、ディスク/サーボの確定が確認された後(S.7)、光ディスクの基本データが再生され(S.8)、上位システム(例えば、本発明による拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置が接続されたテレビ受像機等)による記録又は再生要請に対しての準備が完了して(S.9)、前記上位システムからの指令を受けてディスクへの記録又は再生が行われる(S.10)ことになる。
【0053】
図5(b)は、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置において、光ディスクからデータを再生する場合の動作を示している。
【0054】
図5(b)に示されるとおり、最初に光ディスクからデータが再生されると、再生データは、大容量メモリ30に記憶される。光ディスクが複数枚再生された場合は、光ディスクのIDと共に全データが保存される(S.11)。光ディスクの再生が終了すると、光ディスク装置は待機状態に移行され、光ディスク装置の駆動部自体の動作は停止される(
S.12)。上位システムからの再生コマンドがあると(S.13)、先ず、大容量メモリ30にアクセスし、そこにデータが記憶されていれば、その大容量メモリ30よりデータを読み出す。そして、この読み出したデータを上位システムに転送することになる(S.14)。
【0055】
図5(c)は、本発明に係る拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置において、光ディスクへデータを記録する場合の動作を示している。
【0056】
光ディスクにデータを記録させる場合、先ず、大容量メモリ30に大量データを転送する(S.15)。大容量メモリアドレス指定用レジスタ33により大容量メモリ30の先頭アドレスが指定され、大容量メモリ30に大量データが記憶される(S.16)。記録用の光ディスクが光ディスク装置70の駆動部60に装填されると、駆動部60はスロー立上げされ(S.17)、立上げ後、或いは、上位システム非アクセス時、空き時間に記録が実行され、記録後、光ディスク装置は停止される。
【0057】
本発明では、以上に述べたとおり、光ディスク装置70が待機状態に移行されると、光ディスク装置70の駆動部60自体の動作が停止されるため、省電力化に寄与することとなる。一般に、光ディスク装置70の立上時には、比較的長時間を要することから消費電力が大きくなり、更には、アクセススピードを上げるために、高スピードの立上げを行うことから高消費電力となる。それに対して、本発明によれば、大容量メモリ30に大量のデータを記録しておくことができることと相まって、光ディスク装置70の駆動部60を停止しておく期間が存在することになり、更には、アクセススピードの低下を招くことなく駆動部60をスロー立上げすることも可能であり、これらによる省電力化の効果は大きい。また、光ディスク装置よりアクセスが早い大容量メモリ30からのデータ読出しが行われるため、光ディスク立上までの時間を待つ必要がなくなり、きわめて使い勝手の良い拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置を得ることが出来る。
【0058】
また、本発明によれば、従来のハイブリッドドライブ装置に対して、FPGAを用いたインターフェース変換回路を付加することによって容易に大容量のメモリを追加できることとなり、ハイブリッドドライブ装置の使い勝手を大きく改善することが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、光ディスク装置にキャッシュメモリを追加したハイブリッドドライブ装置に対して、更に大容量メモリを追加出来る、きわめて使い勝手の良い拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置を提供するものであり、産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0060】
10 大容量メモリ装置
20 インターフェース変換回路
30 大容量メモリ
31 FPGA内回路入力制御部
32 データリードの排他回路
33 大容量メモリアドレス指定用レジスタ
40 SDRAM装置
41 SDRAM
42、43 リングバッファ
44、45、46、47 DMACH(ダイレクトメモリアクセス・チャンネル)
50 光ディスク装置の制御部
51 CPU
52 PROM
53 RAM
54 メカ/サーボ制御部
55 サーボ制御部
56 再生制御部
57 記録制御部
58 変/復調回路 ECC処理部
60 光ディスク装置の駆動部
80 上位システムのホスト
100 ハイブリッドドライブ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ディスク装置と、キャッシュメモリと、前記キャッシュメモリに追加された拡張メモリとを有する拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置であって、
前記拡張メモリは、インターフェース変換回路を介して追加されたメモリであることを特徴とする拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置。
【請求項2】
前記インターフェース変換回路は、FPGAによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置。
【請求項3】
前記キャッシュメモリは、SDRAMであり、前記インターフェース変換回路を介して追加された拡張メモリは、eMMCメモリであることを特徴とする請求項1または2に記載の拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置。
【請求項4】
前記インターフェース変換回路を介して追加された拡張メモリにアクセスする際には、前記キャッシュメモリに対してデータリードの排他制御を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置。
【請求項5】
前記キャッシュメモリへのアクセス及び前記拡張メモリへのアクセスは、DMAであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置。
【請求項6】
前記キャッシュメモリへのアクセスは、4つのDMAチャンネルと、2つのリングバッファによってなされるものであり、前記拡張メモリへのアクセスは、前記DMAチャンネルを共有することによってなされるものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の拡張メモリ付きハイブリッドドライブ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−238114(P2011−238114A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−110311(P2010−110311)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】