説明

ハニカムフィルタ

【課題】NOx浄化率が優れるハニカムフィルタを提供すること。
【解決手段】多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム構造体と、上記ハニカム構造体のセル壁に担持されたゼオライトとを有するハニカムフィルタであって、上記セル壁に担持されたゼオライトの量は、80〜150g/Lであり、上記多数のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、上記ハニカム構造体のセル壁の気孔率は、55〜65%であり、上記ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径は、15〜25μmであり、上記ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布は、上記平均気孔径の半分以下の気孔径を有する気孔の気孔容積A及び上記平均気孔径の2倍以上の気孔径を有する気孔の気孔容積Bの合計が、全気孔容積Cの20%以下であることを特徴とするハニカムフィルタ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハニカムフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン等の内燃機関から排出される排ガス中には、スス等のパティキュレート(以下、PMともいう)が含まれており、近年、このPMが環境や人体に害を及ぼすことが問題となっている。また、排ガス中には、COやHC、NOx等の有害なガス成分も含まれていることから、この有害なガス成分が環境や人体に及ぼす影響についても懸念されている。
【0003】
そこで、排ガス中のPMを捕集したり、有害なガス成分を浄化したりするために、排ガス浄化装置が用いられている。
このような排ガス浄化装置は、セラミック等の材料からなるハニカム構造体を用いて作製される。ハニカム構造体内に排ガスを通過させることによって排ガスを浄化することができる。
【0004】
排ガス浄化装置において排ガス中のPMを捕集するために用いられるハニカム構造体では、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、セルのいずれか一方の端部が封止されている。そのため、一のセルに流入した排ガスは、必ずセル同士を隔てるセル壁を通過した後、他のセルから流出するようになっている。すなわち、このようなハニカム構造体が排ガス浄化装置に備えられていると、排ガス中に含まれるPMは、ハニカム構造体を通過する際に、セル壁により捕捉される。従って、ハニカム構造体のセル壁は、排ガスが浄化されるフィルタとして機能する。
【0005】
特許文献1には、排ガス流出側の端部が封止されたセルを容量の大きいセル(以下、大容量セルともいう)とし、排ガス流入側の端部が封止されたセルを容量の小さいセル(以下、小容量セルともいう)としたハニカム構造体が開示されている。
このようなハニカム構造体では、ガス入口側の開口の面積をガス出口側の開口の面積よりも相対的に大きくすることにより、排ガス浄化用フィルタとして用いた際に、大量のPMを捕集することができる。
【0006】
また、特許文献1においては、平均気孔径が5〜30μmであり、かつ、上記平均気孔径の2倍以上の気孔径を有する細孔の容積の割合が、全細孔の容積に対して30%以下であることを特徴とするハニカム構造体が開示されている。
特許文献1によると、このようなハニカム構造体は有効濾過面積が大きく、再生処理までの期間を長期化することができるとされている。
【0007】
一方、排ガス浄化装置において排ガス中のNOxを浄化するために用いられるハニカム構造体として、セルのいずれの端部も封止されておらず、セル壁にNOxを浄化するための触媒が担持されているNOx浄化用のハニカム構造体が用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2005/002709号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまで、排ガス中のPMを捕集するために用いられるハニカム構造体とNOx浄化用のハニカム構造体は別の部材からなり、別の金属容器内にそれぞれ配置されており、排気ラインにおいて大きな体積を占めていた。
そのため、排ガス浄化装置が占める体積を減らすことが要望されていた。
【0010】
近年、排ガス中のNOxを浄化するために、尿素SCR(Selective Catalytic Reduction、選択的触媒還元)装置が提案されている。
尿素SCR装置では、セル壁にゼオライト等の触媒が担持されたハニカム構造体を備えた排ガス浄化装置内に尿素水を噴霧する。そして、尿素の熱分解によってアンモニアを発生させて、ゼオライトの作用によりNOxを還元させてNとする。
このように、尿素SCR装置では、NOxを浄化することができる。
【0011】
本発明者らは、セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム構造体のセル壁に触媒としてゼオライトを担持させ、これを尿素SCR装置に適用することによりNOxの浄化とPMの捕集を1つのハニカムフィルタで行うことができるようにして、ハニカムフィルタ及び排ガス浄化装置が排気ラインにおいて占める体積を減らすことを試みた。
なお、本明細書においては、ゼオライト等の触媒がセル壁に担持されたハニカム構造体を、ハニカムフィルタということとする。
【0012】
尿素SCR装置に適用可能なハニカムフィルタにおいて、排ガス中のNOx浄化率を高くするためにはハニカム構造体のセル壁に担持させるゼオライトの担持量を多くする必要があると考えられている。
【0013】
そして、ハニカム構造体のセル壁に多量のゼオライトを担持させるためには、ゼオライトを担持させる前のハニカム構造体の気孔率を高くする必要があることが知られている。
そこで、本発明者らは、特許文献1に記載されたハニカム構造体の気孔率を高くすることにより、ハニカム構造体のセル壁に多量のゼオライトを担持させたハニカムフィルタを製造した。
しかし、上記の方法で製造したハニカムフィルタにおいては、尿素SCR装置に用いた場合におけるNOx浄化率が、充分な値ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、ハニカムフィルタを尿素SCR装置に用いた場合におけるNOx浄化率に影響を与える要因について検討した。
その結果、本発明者らは、NOx浄化率を向上させるためには、ハニカム構造体の気孔率を高くすることにより多量のゼオライトを担持させることだけでは充分ではなく、NOxをゼオライトと充分に接触させることも必要であると考えた。
【0015】
そして、本発明者らは、大容量セルと小容量セルとを有するハニカム構造体について、ハニカム構造体のセル壁の気孔率、ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径、及び、ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布をそれぞれ所定の範囲とすることによって、セル壁に多量のゼオライトを担持させることができるとともに、NOxをゼオライトと充分に接触させることができることを見出し、本発明を完成した。
【0016】
すなわち、請求項1に記載のハニカムフィルタは、多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、上記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム構造体と、上記ハニカム構造体のセル壁に担持されたゼオライトとを有するハニカムフィルタであって、
上記セル壁に担持されたゼオライトの量は、80〜150g/Lであり、
上記多数のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
上記ハニカム構造体のセル壁の気孔率は、55〜65%であり、
上記ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径は、15〜25μmであり、
上記ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布は、上記平均気孔径の半分以下の気孔径を有する気孔の気孔容積A及び上記平均気孔径の2倍以上の気孔径を有する気孔の気孔容積Bの合計が、全気孔容積Cの20%以下であることを特徴とする。
【0017】
請求項1に記載のハニカムフィルタでは、上記ハニカム構造体のセル壁の気孔率が、55〜65%である。そのため、ハニカム構造体のセル壁に多量のゼオライトを担持させることができる。
ハニカム構造体のセル壁の気孔率が55%未満であると、ハニカム構造体に多量のゼオライトを担持させた場合、セル壁の気孔部分にゼオライトが詰まってしまい、排ガスがセル壁を通りにくくなるため、排ガスが拡散しにくくなり、ゼオライトの作用が充分に発揮されない場合がある。
一方、ハニカム構造体のセル壁の気孔率が65%を超えると、熱容量が小さくなり過ぎるため、PMを燃焼させる再生処理時にハニカムフィルタの温度が上がりやすく、触媒が失活しやすくなる。
また、ハニカム構造体のセル壁の気孔率が65%を超えると、ハニカム構造体の強度が低下する場合がある。
【0018】
また、請求項1に記載のハニカムフィルタでは、上記セル壁に担持されたゼオライトの量は、80〜150g/Lである。
セル壁にゼオライトが80〜150g/L担持されていると、上記ハニカムフィルタを尿素SCR装置として用いた場合に、排ガス中のNOxを充分に浄化することができる。
上記ゼオライトの担持量が150g/Lを超えると、気孔径分布を制御したとしてもハニカム構造体のセル壁の気孔が詰まってしまい、排ガスとゼオライトの接触が不充分となってしまうことがある。
【0019】
また、上記ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径は、15〜25μmであり、上記ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布は、上記平均気孔径の半分以下の気孔径を有する気孔の気孔容積A及び上記平均気孔径の2倍以上の気孔径を有する気孔の気孔容積Bの合計が、全気孔容積Cの20%以下である。
【0020】
上記規定において、気孔容積Aが大きいことは、平均気孔径をα(μm)とした際にその半分の気孔径(以下、本明細書において0.5α径ともいう)より小さい側に分布する気孔が占める容積が大きいことを示す。一方、気孔容積Bが大きいことは、平均気孔径α(μm)の2倍の気孔径(以下、本明細書において2α径ともいう)よりも大きい側に分布する気孔の容積が大きいことを示す。
上記規定においては、気孔容積Aと気孔容積Bの合計が、全気孔容積Cの20%以下である。これは、全気孔容積Cのうち、0.5α径から2α径の範囲に属する気孔が占める容積が80%を超えることを示している。言い換えれば、平均気孔径に近い気孔径を有する気孔の割合が高く、気孔径分布が揃っている(狭い)ことを示している。
【0021】
気孔径分布が揃っている(狭い)と、セル壁中に排ガスが通過しにくい部分及び排ガスが集中して流れやすい部分がないため、セル壁を均等に排ガスが通過する。そのため、セル壁に担持させたゼオライトが排ガス中のNOxと充分に接触する。そのため、NOx浄化率の高いハニカムフィルタとすることができる。
【0022】
請求項2に記載のハニカムフィルタでは、上記気孔容積Aは上記全気孔容積Cの10%以下であり、かつ、上記気孔容積Bは上記全気孔容積Cの10%以下である。
【0023】
ハニカム構造体のセル壁において、気孔径の小さい気孔を有する部分は、セル壁に担持させたゼオライトにより目詰まりを起こしやすく、排ガスが通過することが難しくなるため、その部分に担持させたゼオライトには排ガスが接触しにくくなる。
一方、ハニカム構造体のセル壁において気孔径が大きい気孔を有する部分があると、セル壁にゼオライトが担持されにくくなり、排ガスがその部分に集中して流れやすくなるため、ゼオライトと排ガスが接触しにくくなる。
請求項2に記載のハニカムフィルタでは、上記気孔容積A及び上記気孔容積Bがともに上記全気孔容積Cの10%以下になるように気孔径分布が制御されているため、セル壁をより均等に排ガスが通過する。そのため、セル壁に担持させたゼオライトが排ガス中のNOxとより充分に接触して、NOx浄化率のより高いハニカムフィルタとすることができる。
【0024】
請求項3に記載のハニカムフィルタでは、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。このような断面形状のセルを有するハニカムフィルタは、機械的特性に優れている。
請求項4に記載のハニカムフィルタでは、上記大容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、上記小容量セルの上記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である。
請求項3及び4に記載のハニカムフィルタは、上記のような断面形状のセルを有しているため、排ガス中のPMを好適に捕集することができ、また、排ガス中のNOxも好適に浄化することができる。
【0025】
請求項5に記載のハニカムフィルタでは、上記ゼオライトは、β型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、及び、SAPOからなる群から選択される少なくとも1種である。
これらのゼオライトは、気体の拡散性や水熱耐久性に優れているため、NOxを特に好適に浄化することができる。
【0026】
請求項6に記載のハニカムフィルタでは、上記ゼオライトは、銅イオン及び/又は鉄イオンによりイオン交換されている。
【0027】
請求項7に記載のハニカムフィルタでは、上記ハニカム構造体は、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、本発明の第一実施形態のハニカムフィルタを構成するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図2(a)は、図1に示したハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示したハニカム焼成体のA−A線断面図である。
【図3】図3は、本発明に係るハニカム構造体のセル壁の気孔径分布の一例を示したグラフである。
【図4】図4は、基材1aのセル構造を模式的に示す第1の端面の側面図である。
【図5】図5は、基材1bのセル構造を模式的に示す第1の端面の側面図である。
【図6】図6は、基材1cのセル構造を模式的に示す第1の端面の側面図である。
【図7】図7(a)は、本発明の第二実施形態のハニカムフィルタを構成するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示したハニカム構造体のB−B線断面図である。
【図8】図8(a)、図8(b)、図8(c)及び図8(d)は、本発明に係る集合型ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の第1の端面の一例を模式的に示した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第一実施形態)
以下、本発明のハニカムフィルタの一実施形態である第一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
本実施形態のハニカムフィルタは、ハニカム構造体のセル壁にゼオライトを担持させたものである。
なお、上述したように、本明細書においては、セル壁にゼオライトが担持されていないものを「ハニカム構造体」、セル壁にゼオライトが担持されたものを「ハニカムフィルタ」として両者を区別する。ハニカム構造体はハニカム焼成体から構成されており、ハニカム構造体のセル及びセル壁はハニカム焼成体のセル及びセル壁のことをいうこととする。
【0031】
図1は、本発明の第一実施形態のハニカムフィルタを構成するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。
図2(a)は、図1に示したハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の一例を模式的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示したハニカム焼成体のA−A線断面図である。
【0032】
図1に示すハニカム構造体10は、多孔質セラミックからなるハニカム焼成体20が接着材層11を介して複数個結束されてセラミックブロック13を構成し、このセラミックブロック13の周囲には、排ガスの漏れを防止するためのコート層12が形成されている。なお、コート層12は、必要に応じて形成されていればよい。
このような、ハニカム焼成体が複数個結束されてなるハニカム構造体は、集合型ハニカム構造体ともいう。
集合型ハニカム構造体の主な構成材料としては、炭化ケイ素又はシリコン含有炭化ケイ素を用いることが望ましい。
【0033】
ハニカム構造体10は、セル壁を隔てて長手方向(図1中、両矢印aの方向)に並設された多数のセルと、第1の端面14と、第2の端面15とを有する。第1の端面14及び第2の端面15と上記多数のセルの位置関係につき、以下に説明する。
【0034】
図2(a)及び図2(b)に示すハニカム焼成体20において、多数のセルは、その長手方向(図2(a)中、両矢印bの方向)に垂直な断面の面積が小容量セル21bより相対的に大きい大容量セル21aと、長手方向に垂直な断面の面積が大容量セル21aより相対的に小さい小容量セル21bが交互に配設されてなる。
大容量セル21aは、その長手方向に垂直な断面の形状が略八角形であり、小容量セル21bは、その長手方向に垂直な断面の形状が略四角形である。
また、ハニカム焼成体20は第1の端面24と第2の端面25を有する。
大容量セル21aは、ハニカム焼成体20の第1の端面24側の端部が開放され、第2の端面25側の端部で封止材22aにより封止されている。一方、小容量セル21bは、ハニカム焼成体20の第2の端面25側の端部が開放され、第1の端面24側の端部で封止材22bにより封止されている。
そして、大容量セル21a及び小容量セル21bを隔てるセル壁23は、フィルタとして機能するようになっている。
すなわち、大容量セル21aに流入した排ガスG(図2(b)中、排ガスをGで示し、排ガスの流れを矢印で示す)は、必ず、大容量セル21aと小容量セル21bとを隔てるセル壁23を通過した後、小容量セル21bから流出するようになっている。
【0035】
ハニカム構造体10は、各ハニカム焼成体20の第1の端面24がハニカム構造体10の第1の端面14となるように、複数のハニカム焼成体20の向きを揃えて結束されてなる。この際、各ハニカム焼成体20の第2の端面25は、ハニカム構造体10の第2の端面15となる。
【0036】
従って、ハニカム構造体10において、大容量セル21aは、ハニカム構造体10の第1の端面14側の端部で開放され、第2の端面15側の端部で封止されている。一方、小容量セル21bは、ハニカム構造体10の第2の端面15側の端部で開放され、第1の端面14側の端部で封止されている。
【0037】
なお、大容量セル及び小容量セルの長手方向に垂直な断面の形状としては、図2(a)及び図2(b)に示した形状の他、大容量セルの長手方向に垂直な断面の形状が略四角形であり、小容量セルの長手方向に垂直な断面の形状が略四角形であってもよい。
【0038】
また、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積の面積比(大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積/小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積)は、1.4〜2.4となっていることが望ましい。
上記面積比が1.4未満であると、大容量セルと小容量セルとを設けた効果が充分に得られないことがある。一方、上記面積比が2.4を超えると、大容量セル同士とを隔てるセル壁の割合が高くなり、大容量セル同士を隔てるセル壁に担持されるゼオライトの割合が相対的に多くなる。大容量セル同士を隔てるセル壁には、排ガスが通過しにくいため、当該セル壁に担持されているゼオライトがNOx浄化に寄与しにくくなる。その結果、ハニカムフィルタを尿素SCR装置に用いた場合におけるNOx浄化率が低下する場合がある。
【0039】
ハニカム構造体のセル壁の気孔率は、55〜65%である。
本明細書において、ハニカム構造体のセル壁の気孔率は、例えば、水銀圧入法、アルキメデス法、重量法、走査型電子顕微鏡(SEM)による測定等の従来公知の方法により測定することができる。
なお、本実施形態において、ハニカム構造体のセル壁の気孔率は、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体のセル壁の気孔率をいう。
【0040】
ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径は、15〜25μmである。
また、ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布は、平均気孔径の半分以下の気孔径を有する気孔の気孔容積A及び平均気孔径の2倍以上の気孔径を有する気孔の気孔容積Bの合計が、全気孔容積Cの20%以下である。
気孔容積Aと気孔容積Bの合計が全気孔容積Cの9%以下であることがさらに望ましい。
また、気孔容積Aは全気孔容積Cの10%以下であり、かつ、気孔容積Bは全気孔容積Cの10%以下であることが望ましい。
なお、本実施形態において、ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布は、ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体のセル壁の気孔径分布をいう。
【0041】
ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径及び気孔径分布は、水銀圧入法(JIS R 1655:2003に準拠)により求めることができる。
図3は、ハニカム構造体(ゼオライトを担持させる前)のセル壁の気孔径分布(気孔径(μm)と積算細孔容積(%)の関係)の一例を示したグラフである。
図3のグラフでは、太線が気孔径分布を示しており、その強度が横軸に示す気孔径を有する気孔の数に対応している。細線は積算細孔容積を示しており、積算細孔容積の強度は、全気孔容積Cを100%として横軸に示す気孔径よりも大きい気孔径を有する気孔が占める気孔容積(%)を示している。
【0042】
図3のグラフでは、ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径(α)が20μmである。平均気孔径αの半分の気孔径は10μm(0.5α)であり、平均気孔径αの2倍の気孔径は40μm(2α)である。図3のグラフには、平均気孔径α、0.5α径、2α径の位置を示している。
気孔径が0.5α径以下である気孔の気孔容積Aは、図3のグラフにおいて積算細孔容積(%)の気孔径10μmにおける値95.3%から、4.7%と読み取れる。
気孔径が2α径以上である気孔の気孔容積Bは、図3のグラフにおいて積算細孔容積(%)の気孔径40μmにおける値6.2%から、6.2%と読み取れる。
このようにして求めた気孔容積A及び気孔容積Bから、気孔容積Aと気孔容積Bの合計を算出すると10.9%となる。
【0043】
また、ハニカム構造体のセル壁には、ゼオライトが担持されている。
なお、本明細書において、ゼオライトは、アルミノケイ酸塩であるゼオライトだけでなく、アルミノリン酸塩、アルミノゲルマニウム酸塩等のゼオライト類縁体も含むこととする。
【0044】
ハニカム構造体のセル壁に担持されるゼオライトとしては、β型ゼオライト、Y型ゼオライト、フェリエライト、ZSM−5型ゼオライト、モルデナイト、フォージャサイト、A型ゼオライト、L型ゼオライト、SAPO(Silicoaluminophosphate、シリコアルミノリン酸塩)、又は、MeAPO(Metalaluminophosphate、金属アルミノリン酸塩)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記ゼオライトの中では、β型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、又は、SAPOが望ましい。また、SAPOの中では、SAPO−5、SAPO−11、又は、SAPO−34が望ましく、SAPO−34がより望ましい。そして、MeAPOの中では、MeAPO−34が望ましい。
【0045】
ハニカム構造体のセル壁に担持されたゼオライトの量(以下、ゼオライト担持量ともいう)は、80〜150g/Lである。ゼオライトの量は120〜150g/Lであることが望ましい。
本明細書において、ハニカム構造体のセル壁に担持されたゼオライトの量とは、ハニカム構造体の見掛けの体積1リットル当たりのゼオライトの重量をいう。
ハニカム構造体の見掛けの体積には、接着剤層及びコート層の体積を含むこととする。
【0046】
また、上記ゼオライトは、金属イオンによりイオン交換されていることが望ましい。
金属イオンとしては、銅イオン、鉄イオン、ニッケルイオン、亜鉛イオン、マンガンイオン、コバルトイオン、銀イオン、又は、バナジウムイオン等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記金属イオンの中では、銅イオン又は鉄イオンが望ましい。
【0047】
次に、本実施形態のハニカムフィルタの製造方法の一例について説明する。ここでは、図2(a)及び図2(b)に示したハニカム焼成体からなるハニカム構造体のセル壁にゼオライトを担持させたハニカムフィルタを製造する方法について説明する。
まず、セラミック原料として平均粒子径の異なる炭化ケイ素粉末と有機バインダと、造孔材と、液状の可塑剤と潤滑剤と水とを混合して、成形体製造用の湿潤混合物を調製する。
【0048】
本実施形態のハニカム構造体の製造方法では、ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布を所定の範囲に制御するために、造孔材として用いる中空アクリル粒子の粒子径を制御する方法を用いることができる。
具体的には、造孔材として用いる中空アクリル粒子を篩にかけて、粗大粒子や微小粒子を充分に取り除き、粒子径分布が揃った(狭い)中空アクリル粒子を調製して、ハニカム構造体の製造に用いる。
なお、中空アクリル粒子を篩にかける際に取り除く粒子の粒子径の範囲は、気孔径分布を制御する程度に応じて任意に設定することができ、例えば、中空アクリル粒子の粒子径分布において90%の粒子(体積)がその平均粒子径の±5μmの範囲に入るようにする。また、例えば、中空アクリル粒子の粒子径分布D5〜D95がその平均粒子径の±5μmの範囲に入るようにしてもよい。
また、中空アクリル粒子以外の造孔材を用いる場合であっても、同様に粒子径分布の揃った粒子を調製することによってセル壁の気孔径分布を所定の範囲に制御することができる。
【0049】
セル壁の気孔径分布を所定の範囲に制御する他の方法としては、セラミック粒子の粒子径を揃える方法が挙げられる。上述した中空アクリル粒子の粒子径を揃える方法と同様に、セラミック粒子を篩にかけて所定範囲の粒子径を有するセラミック粒子を取り除くことによって粒子径の揃ったセラミック粒子を得ることができる。そして、粒子径の揃ったセラミック粒子を用いることによって、セル壁の気孔径分布を所定の範囲に制御することができる。
【0050】
続いて、上記湿潤混合物を押出成形機に投入して押出成形する成形工程を行い、所定の形状のハニカム成形体を作製する。
この際、長手方向に垂直な断面の形状が略八角形であり、断面の面積が大きい大容量セルと、長手方向に垂直な断面の形状が略四角形であり、断面の面積が小さい小容量セルとが交互に配設されたハニカム成形体であって、ハニカム成形体のセル密度、セル壁の厚さ、及び、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積の面積比がそれぞれ所定の範囲となるハニカム成形体が作製されるような金型を用いてハニカム成形体を作製する。
【0051】
次に、ハニカム成形体の両端を切断装置を用いて切断する切断工程を行い、ハニカム成形体を所定の長さに切断し、切断したハニカム成形体を乾燥機を用いて乾燥する。
次いで、乾燥したハニカム成形体の大容量セル及び小容量セルのいずれか一方の端部に、封止材となる封止材ペーストを所定量充填し、セルを目封じする。このような工程を経て、セル封止ハニカム成形体を作製する。
封止材ペーストとしては湿潤混合物を用いることができる。
【0052】
次に、セル封止ハニカム成形体中の有機物を脱脂炉中で加熱する脱脂工程を行い、ハニカム脱脂体を作製する。このハニカム脱脂体の形状は、図2(a)及び図2(b)に示したハニカム焼成体の形状とほぼ同様である。
【0053】
そして、ハニカム脱脂体を焼成炉に搬送し、アルゴン雰囲気下、2000〜2300℃で焼成する焼成工程を行うことによって、図2(a)及び図2(b)に示した形状のハニカム焼成体を作製する。
なお、焼成条件(焼成温度、焼成時間)を制御することによっても気孔径分布を変化させることができる。
【0054】
続いて、ハニカム焼成体間に接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、接着材ペースト層を乾燥固化して接着材層とすることにより、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなるセラミックブロックを作製する結束工程を行う。
接着材ペーストとしては、無機繊維及び/又はウィスカ、無機バインダ、並びに、有機バインダを含む接着材ペーストが好適に用いられる。
【0055】
この結束工程においては、各ハニカム焼成体の第1の端面同士が同じ向きになるように各ハニカム焼成体の向きを揃えて複数のハニカム焼成体を結束させる。
【0056】
その後、ダイヤモンドカッターを用いてセラミックブロックの外周を研削して略円柱状のセラミックブロックとする外周研削工程を行う。
さらに、略円柱状のセラミックブロックの外周面にコート材ペーストを塗布し、コート材ペーストを乾燥固化させてコート層を形成するコート層形成工程を行う。
なお、上記シール材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同様のペーストを使用することができる。
以上の工程により、ハニカム構造体を作製することができる。
【0057】
続いて、ハニカム構造体のセル壁に、鉄イオンによりイオン交換されたβ型ゼオライト等のゼオライトを担持させる。
ハニカム構造体のセル壁にゼオライトを担持させる方法としては、例えば、ゼオライトを含むスラリーにハニカム構造体を浸漬した後、引き上げて加熱する方法等が挙げられる。
ゼオライト担持量の調整は、例えば、スラリーにハニカム構造体を浸漬する工程及び加熱する工程を繰り返す方法、又は、スラリー濃度を変更する方法等により行うことができる。
以上の工程によって、ハニカム構造体のセル壁にゼオライトが担持されたハニカムフィルタを製造することができる。
【0058】
以下、本実施形態のハニカムフィルタの作用効果について説明する。
(1)本実施形態のハニカムフィルタでは、ハニカム構造体が有する多数のセルが、大容量セルと、小容量セルとからなる。そのため、排ガス中のPMを大量に捕集することができる。
【0059】
(2)本実施形態のハニカムフィルタでは、ハニカム構造体のセル壁の気孔率が、55〜65%である。そのため、ハニカム構造体のセル壁に多量のゼオライトを担持させることができる。
【0060】
(3)本実施形態のハニカムフィルタでは、ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径は、15〜25μmであり、ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布は、上記平均気孔径の半分以下の気孔径を有する気孔の気孔容積A及び上記平均気孔径の2倍以上の気孔径を有する気孔の気孔容積Bの合計が、全気孔容積Cの20%以下である。
すなわち、セル壁の気孔径分布が揃っており(狭く)、セル壁中に排ガスが通過しにくい部分や排ガスが集中して流れやすい部分がないため、セル壁を均等に排ガスが通過する。そのため、セル壁に担持させたゼオライトが排ガス中のNOxと充分に接触する。そのため、NOx浄化率の高いハニカムフィルタとすることができる。
【0061】
(4)本実施形態のハニカムフィルタでは、気孔容積Aは全気孔容積Cの10%以下であり、かつ、気孔容積Bは全気孔容積Cの10%以下である。そのため、セル壁をより均等に排ガスが通過する。その結果、セル壁に担持させたゼオライトが排ガス中のNOxとより充分に接触して、NOx浄化率のより高いハニカムフィルタとすることができる。
【0062】
(5)本実施形態のハニカムフィルタでは、セル壁に担持されたゼオライトの量は、80〜150g/Lである。そのため、本実施形態のハニカムフィルタを尿素SCR装置として用いた場合に、排ガス中のNOxを充分に浄化することができる。
【0063】
(実施例)
以下、本発明の第一実施形態をより具体的に開示した実施例を示す。なお、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
初めに、気孔径分布の異なる基材1〜7を作製した。
【0064】
(基材1の作製)
基材1として、セルの断面形状が異なる3種類の基材1a、1b、1cを作製した。
【0065】
(基材1aの作製)
平均粒子径20μmを有する炭化ケイ素の粗粉末46.6重量%と、平均粒子径0.5μmの炭化ケイ素の微粉末20.0重量%とを混合し、得られた混合物に対して、造孔材としての平均粒子径21μmの中空アクリル粒子6.8重量%、有機バインダ(メチルセルロース)3.8重量%、潤滑剤(日油社製 ユニルーブ)3.5重量%、可塑剤(グリセリン)1.6重量%、及び、水17.7重量%を加えて混練して湿潤混合物を得た。その後、金型を用いて押出成形する押出成形工程を行い、図2(a)及び図2(b)に示した形状と略同様の形状であって、セルが目封じされていない生のハニカム成形体を作製した。
なお、中空アクリル粒子としては、粒子径が26μmを超えて大きい粒子及び粒子径が16μm未満の小さい粒子の体積の合計が、粒子径分布における全粒子体積の10%以下となるように篩により除去して、粒子径を揃えたものを用いた。
【0066】
次いで、マイクロ波乾燥機を用いて上記生のハニカム成形体を乾燥させ、ハニカム成形体の乾燥体とした後、上記生成形体と同様の組成のペーストを所定のセルに充填し、再び乾燥機を用いて乾燥させた。
【0067】
ハニカム成形体の乾燥体を400℃で脱脂する脱脂工程を行い、常圧のアルゴン雰囲気下2200℃、3時間の条件で焼成工程を行い、気孔率が60%、平均気孔径が20μm、大きさが34.3mm×34.3mm×150mm、セルの数(セル密度)が350個/inch、セル壁の厚さが0.28mm(11mil)の炭化ケイ素焼結体からなるハニカム焼成体を作製した。上記工程で作製したハニカム焼成体を基材1aとした。
【0068】
図4は基材1aのセル構造を模式的に示す第1の端面の側面図である。
基材1aでは、図4に示すように、ハニカム焼成体50が有する大容量セル51aの断面形状は八角形であり、両矢印Xで示す長さが1.21mmである。また、小容量セル51bの断面形状は四角形(略正方形)であり、その一辺の長さ(図4中、両矢印Yで示す)は0.97mmである。そして、大容量セル51aと小容量セル51bとの間のセル壁53の厚さ(図4中、両矢印Zで示す)が0.28mmである。
大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、1.40mmであり、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、0.94mmである。従って、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積の面積比は、1.5である。
【0069】
(基材1b及び基材1cの作製)
図5は、基材1bのセル構造を模式的に示す第1の端面の側面図であり、図6は、基材1cのセル構造を模式的に示す第1の端面の側面図である。
上記基材1aの作製工程において、押出成形工程で用いる金型の形状を変更して、図5及び図6にそれぞれ示す形状のセル構造を有するハニカム焼成体である基材1b、基材1cを作製した。
【0070】
基材1bでは、図5に示すように、ハニカム焼成体60が有する大容量セル61aの断面形状は八角形であり、両矢印Xで示す長さが1.37mmである。また、小容量セル61bの断面形状は四角形(略正方形)であり、その一辺の長さ(図5中、両矢印Yで示す)は0.87mmである。そして、大容量セル61aと小容量セル61bとの間のセル壁63の厚さ(図5中、両矢印Zで示す)が0.28mmである。
また、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、1.81mmであり、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、0.76mmである。従って、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積の面積比は、2.4である。
【0071】
基材1cでは、図6に示すように、ハニカム焼成体70が有する大容量セル71aの断面形状は四角形(略正方形)であり、両矢印Xで示す長さが1.18mmである。また、小容量セル71bの断面形状は四角形(略正方形)であり、その一辺の長さ(図6中、両矢印Yで示す)は0.97mmである。そして、大容量セル71aと小容量セル71bとの間のセル壁73の厚さ(図6中、両矢印Zで示す)が0.28mmである。
また、大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、1.39mmであり、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積は、0.94mmである。従って、小容量セルの長手方向に垂直な断面の面積に対する大容量セルの長手方向に垂直な断面の面積の面積比は、1.5である。
【0072】
基材1b、基材1cの気孔率、平均気孔径、及び、気孔径分布は基材1aと同等である。
以下、基材1a、基材1b、基材1cをまとめて基材1と呼ぶこととする。基材1の作製に用いた湿潤混合物の組成及び焼成条件を表1に示した。
【0073】
(基材2〜5の作製)
湿潤混合物の組成及び焼成条件を表1に示すように変更した他は基材1aの作製と同様にしてハニカム焼成体を作製し、基材2〜5を作製した。その形状は基材1aと同様である。
【0074】
(基材6、7の作製)
湿潤混合物の組成のうち、中空アクリル粒子として、篩により粒子径を揃えていないものを用い、湿潤混合物の組成、及び、焼成条件を表1に示すように変更した他は基材1aの作製と同様にしてハニカム焼成体を作製し、基材6、7を作製した。その形状は基材1aと同様である。
表1には、基材1〜7の作製に用いた湿潤混合物の組成及び焼成条件をまとめて示した。
【0075】
【表1】

【0076】
(気孔率、平均気孔径、及び、気孔径分布の測定)
基材1〜7について、気孔率を重量法によって測定し、平均気孔径及び気孔径分布(0.2〜500μmまで)を水銀圧入法(JIS R 1655:2003に準拠)によって測定した。
水銀圧入法による具体的な測定手順としては、各基材を0.8cm程度の立方体に切断し、イオン交換水で超音波洗浄し、十分乾燥して測定用サンプルとした。次に、このサンプルの気孔径を、島津製作所社製、マイクロメリティックス自動ポロシメータ、オートポアIII9405を用いて測定した。この時、測定範囲は、0.2〜500μmとし、さらに100〜500μmの範囲では、0.1psiaの圧力毎に測定し、0.2〜100μmの範囲では、0.25psiaの圧力毎に測定した。これにより、気孔径分布、全気孔容積Cが計算される。
平均気孔径αは、(4×S(積算細孔面積)/V(積算細孔容積))として計算した。
また、平均気孔径の半分の気孔径(0.5α径)及び2倍の気孔径(2α径)を計算し、0.5α径以下の気孔径を有する気孔の気孔容積A及び2α径以上の気孔径を有する気孔の気孔容積Bを算出した。
さらに、全気孔容積Cに対する気孔容積Aの割合(%)及び全気孔容積Cに対する気孔容積Bの割合(%)を算出した。また、上記2つの割合の合計(A+B)を求めた。
これらの測定結果を表2に示した。
【0077】
(ハニカム構造体の作製)
ハニカム焼成体として基材1〜7を用いて、ハニカム構造体1〜7を作製した。
なお、基材1a、1b、1cをそれぞれ用いて作製したハニカム構造体をそれぞれハニカム構造体1a、1b、1cという。また、ハニカム構造体1a、1b、1cをまとめてハニカム構造体1という。
その他、ハニカム焼成体として基材2〜7をそれぞれ用いて作製したハニカム構造体をそれぞれハニカム構造体2〜7ということとする。
【0078】
ハニカム構造体1〜7の作製は以下の手順で行った。
ハニカム焼成体間に接着材ペーストを塗布して接着材ペースト層を形成し、接着材ペースト層を乾燥固化して接着材層とすることにより、16個のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなる略角柱状のセラミックブロックを作製した。
この際、各ハニカム焼成体の第1の端面同士が同じ向きになるように各ハニカム焼成体の向きを揃えて複数のハニカム焼成体を結束させた。
なお、接着材ペーストとしては、平均繊維長20μmのアルミナファイバ30重量%、平均粒径0.6μmの炭化ケイ素粒子21重量%、シリカゾル15重量%(固形分30重量%)、カルボキシメチルセルロース5.6重量%、及び、水28.4重量%を含む接着材ペーストを使用した。
【0079】
その後、ダイヤモンドカッターを用いて、角柱状のセラミックブロックの外周を研削することにより、直径142mmの円柱状のセラミックブロックを作製した。
【0080】
次に、円柱状のセラミックブロックの外周部にコート材ペーストを塗布し、コート材ペーストを120℃で乾燥固化することにより、セラミックブロックの外周部にコート層を形成した。
なお、上記コート材ペーストとしては、上記接着材ペーストと同様のペーストを使用した。
以上の工程によって、直径143.8mm×長さ150mmの円柱状のハニカム構造体を作製した。
【0081】
次に、各実施例、参考例、比較例において、基材1〜7を用いて作製したハニカム構造体1〜7にゼオライトを担持させてハニカムフィルタを作製した。
(実施例1)
鉄イオンによりイオン交換されたβ型ゼオライト粉末(平均粒子径2μm)を充分量の水と混合して攪拌し、ゼオライトスラリーを作製した。このゼオライトスラリー中にハニカム構造体1aを一方の端面を下にして浸漬し、1分間保持した。続いて、このハニカム構造体1aを110℃で1時間加熱する乾燥工程を行い、さらに700℃で1時間焼成する焼成工程を行って、ゼオライト担持層を形成した。
このとき、ゼオライト担持層の形成量が、ハニカム構造体の見掛けの体積1リットルあたり120gとなるように、ゼオライトスラリーへの浸漬、乾燥工程、焼成工程を繰り返し行った。
以上により、ゼオライト担持量が120g/L(見かけの体積)であるハニカムフィルタを作製した。
【0082】
(実施例2〜7、参考例1、比較例1〜5)
実施例2〜7、参考例1及び比較例1〜5において、表2に示す各基材を用いて作製したハニカム構造体に、表2に示す量のゼオライトを担持させてハニカムフィルタを作製した。
ゼオライト担持量の調整は、ゼオライトスラリーへの浸漬、乾燥工程、焼成工程を繰り返す回数を変更することにより行った。
【0083】
(NOx浄化率の測定)
各実施例、参考例、比較例で作製したハニカムフィルタについて、NOx浄化率を測定した。
NOx浄化率の測定にあたっては、各実施例、参考例、比較例で作製したハニカムフィルタから、ダイヤモンドカッターを使用することにより一個のハニカム焼成体(34.3mm×34.3mm×150mm)を切り出し、切り出したハニカム焼成体をさらに切断して長さを短くすることにより、34.3mm×34.3mm×40mmの短尺体を作製した。
次に、上述した封止工程及び脱脂工程と同様に、短尺体のセルのいずれか一方の端部が封止されるように短尺体のセルを接着剤ペーストで封止し、セルが封止された短尺体を400℃で脱脂することによりNOx浄化率測定用サンプルを作製した。
【0084】
NOx浄化率の測定は、NOx浄化率測定装置(堀場製作所製 触媒評価装置SIGU−2000)を用いて行った。
NOx浄化率測定装置は、ガス発生部と反応部とからなり、ガス発生部で発生させた擬似排ガスを、評価用サンプルをセットした反応部に流通させた。
擬似排ガスの組成は、NO:175ppm、NO:175ppm、NH:350ppm、O:14%、CO:5%、HO:10%、N:balanceであり、各ガスの流量を流量調節器を用いて調節することにより上記組成とした。
また、反応部の温度を200℃で一定とした。そして、ゼオライトと擬似排ガスとが接触する条件として、空間速度(SV)を70000hr−1に設定した。
擬似排ガスが評価用サンプルを流通する前のNOx濃度N、及び、擬似排ガスが評価用サンプルを通過した後のNOx濃度Nを測定し、以下の式からNOx浄化率を計算した。
NOx浄化率(%)=[(N−N)/N]×100
NOx浄化率の測定結果を表2に示す。
尚、表2に実施例、参考例、比較例の基材の種類、セルの形状、気孔率、平均気孔径α、全気孔容積Cに対する気孔容積(気孔容積A、気孔容積B、合計(A+B))、ゼオライト担持量(見かけの体積)、NOx浄化率をまとめて示す。
【0085】
【表2】

【0086】
各実施例及び参考例のように、気孔率が55〜65%、ゼオライト担持量が80〜150g/Lであり、気孔容積A+気孔容積Bの合計が全気孔容積Cの20%以下である場合、NOx浄化率は50%以上と高い値であった。
また、気孔容積Aが全気孔容積Cの10%以下であり、かつ、気孔容積Bが全気孔容積Cの10%以下であると、NOx浄化率はより高い値となっていた。(実施例5では、気孔容積A+気孔容積Bの合計が全気孔容積Cの9.3%であり、NOx浄化率は63%である。)
一方、比較例1〜5のように、気孔率、ゼオライト担持量、気孔容積A+気孔容積Bの合計のいずれか1つでも上記の範囲にない場合は、NOx浄化率は50%未満と低い値であった。
実施例、参考例、及び、比較例では鉄イオンによりイオン交換されたB型ゼオライトを担持したが、銅イオンによりイオン交換されたB型ゼオライト又はB型ゼオライト以外のゼオライトでも同様の結果が得られると考えられる。
【0087】
(第二実施形態)
以下、本発明の一実施形態である第二実施形態について説明する。
本実施形態では、ハニカムフィルタを構成するハニカム構造体が、1つのハニカム焼成体からなる。このような、1つのハニカム焼成体からなるハニカム構造体は、一体型ハニカム構造体ともいう。
【0088】
図7(a)は、本発明の第二実施形態のハニカムフィルタを構成するハニカム構造体の一例を模式的に示す斜視図である。図7(b)は、図7(a)に示したハニカム構造体のB−B線断面図である。
図7(a)に示すハニカム構造体80は、第1の端面84及び第2の端面85を有する略円柱状であり、長手方向(図7(a)中、両矢印cの方向)に垂直な断面の面積が小容量セル91bより相対的に大きい大容量セル91a及び長手方向に垂直な断面の面積が大容量セル91aより相対的に小さい小容量セル91bを有する。
大容量セル91aは、その長手方向に垂直な断面の形状が略八角形であり、小容量セル91bは、その長手方向に垂直な断面の形状が略四角形である。
ハニカム構造体80の外周側面にはコート層82が設けられている。
また、一体型ハニカム構造体の主な構成材料としては、コージェライト又はチタン酸アルミニウムを用いることが望ましい。
【0089】
大容量セル91aは、ハニカム構造体80の第1の端面84側の端部が開口され、第2の端面85側の端部で封止材92aにより封止される。一方、小容量セル91bは、ハニカム構造体80の第2の端面85側の端部が開口され、第1の端面84側の端部で封止材92bにより封止される。そして、大容量セル91a及び小容量セル91bを隔てるセル壁93がフィルタとして機能するようになっている。
すなわち、大容量セル91aに流入した排気ガスは、必ずこれらのセル壁93を通過した後、小容量セル91bから流出するようになっている。
【0090】
本実施形態のハニカム構造体のセル壁の気孔率、平均気孔径、気孔径分布は第一実施形態のハニカム構造体のセル壁と同様である。
【0091】
本実施形態のハニカムフィルタは、このようなハニカム構造体のセル壁にゼオライトを担持させたものである。
ゼオライトの種類、ハニカム構造体のセル壁に担持されたゼオライトの量については、第一実施形態と同様である。
【0092】
本実施形態のハニカムフィルタを製造する場合には、押出成形により成形するハニカム成形体の大きさが、第一実施形態において説明したハニカム成形体の大きさに比べて大きく、その外形が異なる他は、第一実施形態と同様にしてハニカム成形体を作製する。
【0093】
その他の工程は、第一実施形態におけるハニカムフィルタの製造工程とほぼ同様である。但し、本実施形態では、ハニカムフィルタを構成するハニカム構造体が1つのハニカム焼成体からなるため、結束工程を行う必要はない。また、略円柱状のハニカム成形体を作製した場合には、外周研削工程を行う必要はない。
【0094】
そして、製造したハニカムフィルタを用いて、第一実施形態と同様にして尿素SCR装置を製造することができる。
本実施形態のハニカムフィルタにおいても、第一実施形態と同様の作用効果(1)〜(5)を発揮することができる。
【0095】
(その他の実施形態)
集合型ハニカム構造体を用いてハニカムフィルタを製造する場合、第一実施形態では、ハニカム構造体にゼオライトを担持させているが、複数のハニカム焼成体にゼオライトを担持させた後、ゼオライトを担持させたハニカム焼成体を接着剤層を介して結束させてもよい。
【0096】
本発明のハニカムフィルタにおいて、ハニカム構造体が有する大容量セル及び小容量セルの形状は、これまでの実施形態において説明した形状に限定されるものではない。
図8(a)、図8(b)、図8(c)及び図8(d)は、本発明に係る集合型ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体の第1の端面の一例を模式的に示した側面図である。
これらの図面は、いずれもハニカム焼成体の第1の端面側、すなわち小容量セルが封止された端面側から見た側面図である。
これらの図を用いてハニカム構造体の大容量セル及び小容量セルの断面形状のその他の実施形態を説明する。
【0097】
図8(a)に示すハニカム焼成体110においては、大容量セル111aの長手方向に垂直な断面の形状が、角部に相当する部分が円弧状になっている略四角形であり、小容量セル111bの長手方向に垂直な断面の形状が、略四角形である。
【0098】
図8(b)に示すハニカム焼成体120において、大容量セル121a及び小容量セル121bの長手方向に垂直な断面は、セルの各辺が曲線である形状である。
すなわち、図8(b)では実線で示しているセル壁123の断面形状が曲線である。
大容量セル121aの断面形状は、セル壁123がセルの断面の中心から外側に向かって凸の形状であり、一方、小容量セル121bの断面形状は、セル壁123がセルの断面の外側から中心に向かって凸の形状である。
セル壁123はハニカム焼成体の断面の水平方向及び垂直方向に対して起伏する「波形」の形状を有しており、隣り合うセル壁123の波形の山の部分(正弦曲線でいう振幅の極大値の部分)が互いに最近接することで、セルの断面形状が外側に膨らんだ大容量セル121aとセルの断面形状が内側に凹んだ小容量セル121bとが形成される。なお、波形の振幅は一定でもよくまた変化しても良いが、一定であることが好ましい。
【0099】
図8(c)に示すハニカム焼成体130では、大容量セル131aの長手方向に垂直な断面の形状は略五角形であり、そのうちの3つの角がほぼ直角となっている。小容量セル131bの長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、それぞれ大きな略四角形の斜めに対向する部分を占めるように構成されている。
【0100】
図8(d)に示すハニカム焼成体140では、大容量セル141a及び小容量セル141bの長手方向に垂直な断面の形状はともに略四角形(略長方形)であり、2つの大容量セルと2つの小容量セルを組み合わせると、ほぼ正方形となるように構成されている。
【0101】
なお、一体型ハニカム構造体においても、図8(a)、図8(b)、図8(c)及び図8(d)に示すような大容量セル及び小容量セルの断面形状を有していてもよい。ハニカム構造体の長手方向に垂直なセルの断面形状とは、不完全セル(断面の一部が欠けたセル)を除くセルの形状をいうこととする。
【0102】
ハニカムフィルタの形状は、略円柱状に限定されるものでなく、略楕円柱状、略多角柱状等の任意の柱の形状であればよい。
【0103】
ハニカム構造体の長手方向に垂直な断面におけるセル密度は特に限定されないが、望ましい下限は、31個/cm(200個/in)、望ましい上限は、93個/cm(600個/in)、より望ましい下限は、38.8個/cm(250個/in)、より望ましい上限は、77.5個/cm(500個/in)である。
また、上記ハニカム構造体のセル壁の厚さは、特に限定されるものではないが、0.2〜0.4mmであることが望ましい。
【0104】
集合型ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体、及び、一体型ハニカム構造体の構成材料の主成分は、炭化ケイ素に限定されるわけではなく、他のセラミック原料として、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等の窒化物セラミック、炭化ジルコニウム、炭化チタン、炭化タンタル、炭化タングステン等の炭化物セラミック、アルミナ、ジルコニア、コージェライト、ムライト、チタン酸アルミニウム等の酸化物セラミック等のセラミック粉末が挙げられる。
これらの中では、非酸化物セラミックが好ましく、炭化ケイ素が特に好ましい。耐熱性、機械強度、熱伝導率等に優れるからである。なお、上述したセラミックに金属ケイ素を配合したケイ素含有セラミック、上述したセラミックがケイ素やケイ酸塩化合物で結合されたセラミック等のセラミック原料も構成材料として挙げられ、これらの中では、炭化ケイ素に金属ケイ素が配合されたもの(ケイ素含有炭化ケイ素)が望ましい。
特に、炭化ケイ素を60重量%以上含むケイ素含有炭化ケイ素質セラミックが望ましい。
【0105】
また、集合型ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体、及び、一体型ハニカム構造体を作製する際に使用される湿潤混合物におけるセラミック粉末の粒径は特に限定されないが、後の焼成工程を経て作製されたハニカム焼成体の大きさが、脱脂工程を経て作製されたハニカム脱脂体の大きさに比べて小さくなる場合が少ないものが好ましく、例えば、1.0〜50μmの平均粒径を有する粉末100重量部と0.1〜1.0μmの平均粒径を有する粉末5〜65重量部とを組み合わせたものが好ましい。
上述したように、セラミック粒子を篩にかけて所定範囲の粒子径を有するセラミック粒子を取り除くことによって粒子径の揃ったセラミック粒子を得て、粒子径の揃ったセラミック粒子を用いることによって、気孔径分布を所定の範囲に制御することができる。
【0106】
集合型ハニカム構造体を構成するハニカム焼成体、及び、一体型ハニカム構造体を作製する際に使用される湿潤混合物における有機バインダとしては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール等が挙げられる。これらのなかでは、メチルセルロースが望ましい。有機バインダの配合量は、通常、セラミック粉末100重量部に対して、1〜10重量部が望ましい。
【0107】
湿潤混合物に含まれる可塑剤としては、特に限定されず、例えば、グリセリン等が挙げられる。
また、湿潤混合物に含まれる潤滑剤としては、特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のポリオキシアルキレン系化合物等が挙げられる。
潤滑剤の具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンモノブチルエーテル、ポリオキシプロピレンモノブチルエーテル等が挙げられる。
なお、可塑剤、潤滑剤は、場合によっては、湿潤混合物に含まれていなくてもよい。
【0108】
また、湿潤混合物を調製する際には、分散媒液を使用してもよく、分散媒液としては、例えば、水、ベンゼン等の有機溶媒、メタノール等のアルコール等が挙げられる。
さらに、湿潤混合物中には、成形助剤が添加されていてもよい。
成形助剤としては特に限定されず、例えば、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等が挙げられる。
【0109】
湿潤混合物中に添加する造孔材は、中空アクリル粒子に限定されるものではなく、酸化物系セラミックを成分とする微小中空球体であるバルーンや、グラファイト等を添加してもよい。
バルーンとしては特に限定されず、例えば、アルミナバルーン、ガラスマイクロバルーン、シラスバルーン、フライアッシュバルーン(FAバルーン)、ムライトバルーン等が挙げられる。これらのなかでは、アルミナバルーンが望ましい。
【符号の説明】
【0110】
10、80 ハニカム構造体
11 接着材層
20、50、60、70、110、120、130、140 ハニカム焼成体
21a、51a、61a、71a、91a、111a、121a、131a、141a 大容量セル
21b、51b、61b、71b、91b、111b、121b、131b、141b 小容量セル
23、53、63、73、93、123 セル壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のセルがセル壁を隔てて長手方向に並設され、前記セルのいずれか一方の端部が封止されたハニカム構造体と、前記ハニカム構造体のセル壁に担持されたゼオライトとを有するハニカムフィルタであって、
前記セル壁に担持されたゼオライトの量は、80〜150g/Lであり、
前記多数のセルは、大容量セルと、小容量セルとからなり、
前記ハニカム構造体のセル壁の気孔率は、55〜65%であり、
前記ハニカム構造体のセル壁の平均気孔径は、15〜25μmであり、
前記ハニカム構造体のセル壁の気孔径分布は、前記平均気孔径の半分以下の気孔径を有する気孔の気孔容積A及び前記平均気孔径の2倍以上の気孔径を有する気孔の気孔容積Bの合計が、全気孔容積Cの20%以下であることを特徴とするハニカムフィルタ。
【請求項2】
前記気孔容積Aは前記全気孔容積Cの10%以下であり、かつ、前記気孔容積Bは前記全気孔容積Cの10%以下である請求項1に記載のハニカムフィルタ。
【請求項3】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略八角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
【請求項4】
前記大容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形であり、前記小容量セルの前記長手方向に垂直な断面の形状は略四角形である請求項1又は2に記載のハニカムフィルタ。
【請求項5】
前記ゼオライトは、β型ゼオライト、ZSM−5型ゼオライト、及び、SAPOからなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項6】
前記ゼオライトは、銅イオン及び/又は鉄イオンによりイオン交換されている請求項1〜5のいずれかに記載のハニカムフィルタ。
【請求項7】
前記ハニカム構造体は、複数のハニカム焼成体が接着材層を介して結束されてなる請求項1〜6のいずれかに記載のハニカムフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−98337(P2011−98337A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112421(P2010−112421)
【出願日】平成22年5月14日(2010.5.14)
【出願人】(000000158)イビデン株式会社 (856)
【Fターム(参考)】