説明

ハンズフリー装置及びハンズフリー装置と携帯端末との無線接続方法。

【課題】乗車の状況にかかわらず、運転者の携帯電話nを車載のハンズフリーシステム100に優先的に接続する。
【解決手段】車両の運転が開始される際に車両側に入力される車両信号を検出する検出部10と、検出部10により車両信号が検出されたとき、予め準備された携帯端末の識別子と、ハンズフリーシステム100と無線接続をする優先度とを対応づけた優先順位情報21を参照し、接続可能な携帯電話1〜nのうち優先度の最も高い携帯電話nを選択する選択部20と、選択部20により選択された携帯電話nとハンズフリーシステム100との無線接続処理を実行する接続部30とを有する。また、ハンズフリーシステム100は、マイク41、タッチパネル42を含む入力装置40と、スピーカ51とディスプレイ52とを含む出力装置50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、車内に持ち込まれた携帯端末と接続するハンズフリー装置及びハンズフリー装置と携帯端末との無線接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器からの接続要求があると、優先度の最も高い端末を検出し、一定時間内に優先度が最も高い携帯機器が検出された場合はその端末と接続し、一定時間内に検出されなかった場合は、最初に接続要求がなされた携帯機器と接続する技術が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特2008−160646号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この技術では、一定時間内に優先度の最も高い携帯機器が検出されなかった場合に、最初に接続要求をした携帯機器との接続処理がなされるので、最も優先度の高い携帯機器を持つ運転者よりも先に他の乗員が車両に乗り込んだ場合は、他の乗員が持つ携帯機器との接続処理がされてしまうため、改めて運転者の持つ携帯機器に接続を切り替えなければならないという問題があった。
【0005】
本願発明が解決しようとする課題は、乗車の状況にかかわらず、運転者の携帯端末を車載のハンズフリー装置に優先的に接続することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、ハンズフリー装置と無線接続をする携帯端末の優先度を参照し、運転が開始される際に入力される車両信号が検出されたときに選択する一の携帯端末とハンズフリー装置とを無線接続させることにより、上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、乗車の状況にかかわらず、運転者が利用する携帯端末を認識することができるので、運転者の携帯端末を車載のハンズフリー装置に優先的に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<第1実施形態>
図面に基づいて、本発明に係るハンズフリーシステム100の最良の形態を説明する。
【0009】
第1実施形態に係るハンズフリーシステム100は、車両に搭載され、その車両の室内に持ち込まれた携帯端末の一つと無線接続し、外部との通信を行う装置である。
【0010】
図1は、ハンズフリーシステム100を含む車載装置1000の機能ブロック図である。図1に示すように、車載装置1000は、ハンズフリーシステム100と車両コントローラ200と、各車載センサ300(301〜311)とを有する。ハンズフリーシステム100と車両コントローラ200と各車載センサ300とは、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0011】
また、ハンズフリーシステム100は、携帯電話機1〜3…(nとも表現する)と無線接続が可能である。本実施形態では携帯端末の一例として携帯電話機1〜3…nを用いる例を説明するが、これに限定されず、無線通信機能を備えたパーソナルコンピュータ、無線通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)などを携帯端末として用いることができる。
【0012】
本実施形態のハンズフリーシステム100は、車両信号を検出する検出部10と、無線接続をする一の携帯電話を選択する選択部20と、ハンズフリーシステム100と携帯電話機1〜3…nとの無線接続を実行する接続部30とを備える。
【0013】
また、本実施形態のハンズフリーシステム100は、音声の入力を受け付けるマイク41と、ユーザの入力指令を受け付けるタッチパネル42その他の入力デバイスを含む入力装置40と、音声を出力するスピーカ51と、文字情報、画像情報を出力するディスプレイ52とを有する。
【0014】
ハンズフリーシステム100の検出部10と、選択部20と、接続部30は、本実施形態に係る無線接続処理を実行するためのプログラムを格納したROM(Read Only Memory )と、このROMに格納されたプログラムを実行することで、ハンズフリーシステム100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)と、を備える。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。これらのハードウェアは、車両信号の検出機能、優先順位の最も高い一の携帯電話を選択する選択機能、及び無線接続を実行する接続機能を実現させるソフトウェアと協働し、ハンズフリーシステム100と携帯電話nとの無線接続断処理を実行する。
【0015】
以下、各構成についてそれぞれ説明する。
【0016】
まず、検出部10について説明する。検出部10は、車両の運転が開始される際に、車両側に入力される車両信号を検出する。車両信号は、車両の運転が開始される際に値が変化するものであることが好ましく、車両の状態変化に応じて値が変化する信号、運転者の入力により変化する信号、運転者の存在により変化する信号を含む。検出部10は、車載センサ300が得た車両信号を直接又は車両コントローラ200を介して取得し、予め定義された所定の車両信号を検出する
具体的に、検出部10は、車速に係る車両信号、走行距離に係る車両信号その他の車両の状態変化に応じて入力される信号を1つ以上含む車両信号を検出する。この「車速に係る車両信号」は車速センサ301により検知され、「走行距離に係る車両信号」は走行距離センサ302により検知される。
【0017】
また、検出部10は、車両のパーキングレンジの解除に係る車両信号、車両のドライブレンジの設定に係る車両信号、車両のパーキングブレーキの解除に係る車両信号、車両のサイドミラー位置の変更を実行させる車両信号、車両のブレーキペダルの踏み込みに係る車両信号、車両のアクセルペダルの踏み込みに係る車両信号、車両のクラッチペダルの踏み込みに係る車両信号その他の運転者により入力される信号のうち1つ以上含む車両信号を検出する。
【0018】
この「車両のパーキングレンジの解除に係る車両信号」、「車両のドライブレンジの設定に係る車両信号」はレンジポジションセンサ303により検知される。「車両のパーキングブレーキの解除に係る車両信号」はパーキングブレーキセンサ304により検知され、「車両のサイドミラー位置の変更に係る車両信号」はサイドミラー位置センサ305により検知され、「車両のブレーキペダルの踏み込みに係る車両信号」はブレーキセンサ306により検知され、「車両のアクセルペダルの踏み込みに係る車両信号」はアクセル開度センサ307により検知され、「車両のクラッチペダルの踏み込みに係る車両信号」はクラッチセンサ308により検知され、「操舵角の変化に係る車両信号」は操舵角センサ309により検知される。
【0019】
また、検知部10は、車両の運転席のシートベルトの装着に係る車両信号、及び車両の運転席の着座に係る車両信号その他の運転者の存在に応じて入力される信号を1つ以上含む車両信号を検出する。
【0020】
この「車両の運転席のシートベルトの装着に係る車両信号」はシートベルトセンサ310により検知され、「車両の運転席の着座に係る車両信号」は運転席着座センサ311により検知される。
【0021】
本実施形態において用いられる各車両センサ300の構成は特に限定されず、公知のものを利用することができる。
【0022】
次に、選択部20について説明する。
【0023】
本実施形態の選択部20は、予め準備された優先順位情報21を有する。この優先順位情報21は、ハンズフリーシステム100と無線接続をする優先度が携帯電話nごとに定義された情報である。具体的には、図2に示すように、「携帯電話nの識別子」及び「携帯端末の名称」と、「ハンズフリーシステム100と無線接続をする優先度」とが対応づけられた情報である。この優先順位情報21は、ユーザがタッチパネル42を介して情報を入力し、優先順位情報21を生成してもよい。特に限定されないが、優先順位情報21は、携帯電話1〜nごとに過去に接続された回数をカウントし、接続回数が多いほど優先順位を高く設定する手法により、自動的に定義してもよい。また、優先順位情報21は、最近、接続された携帯電話nの優先順位を高く設定する手法により、自動的に定義してもよい。
【0024】
選択部20は、検出部10により車両信号が検出されたとき、車内に持ち込まれた携帯電話1〜nのうち優先度の最も高い携帯端末を選択する。選択部20は、車両信号により車両の運転が開始されるタイミング、すなわち運転者が車両に乗り込んだタイミングを判断し、そのときに通信可能な複数の携帯電話1〜nのうち、優先度の最も高い携帯端末nを選択する。
【0025】
これにより、運転者以外の者が運転者よりも先に車両に乗り込んでも、運転者が利用する携帯端末を優先的に選択することができる。
【0026】
次に、接続部30について説明する。
【0027】
接続部30は、選択部20により選択された携帯電話機1〜nとの無線接続処理を実行する。
【0028】
接続部30は、Bluetooth(登録商標)規格に従い、ハンズフリーシステム100と携帯電話nとの無線通信接続を実行する。接続部30は、Bluetooth規格の通信装置において用いられる通常の無線通信接続手法を用いることができる。接続部30は、この無線通信用のアンテナ31と、Bluetooth通信を行う接続処理部32とを備える。接続処理部32は、Bluetoothの下位レイヤの処理を行う部分と、通信を行うためのプロトコルを規定する部分と、Bluetoothの上位レイヤの処理を行う部分を含む。接続処理部32は、CPUを含むハードウェアを介してアンテナ31から受信した携帯電話機nの情報を読み込み、またアンテナ31を介して指令信号を携帯電話機nへ送信する。
【0029】
なお、本例ではBluetooth規格に従う無線接続処理を説明するが、UWB(Ultra Wide Band)やDSRC(Dedicated Short Range Communication)などの他の規格に基づく無線通信方式を用いてもよい。
【0030】
次に、本実施形態のハンズフリーシステム100の制御手順を説明する。
【0031】
ステップS101において、検出部10は所定の車両信号を検出する。本処理は、車両信号が検出できるまで繰り返す(S101のNoのルーチン)。車両の運転が開始される、つまり運転者が車両の搭乗するタイミングを検出するためである。この車両信号は、各車載センサ301〜311が検知する、車両の運転が開始される際に車両側に入力される信号である。本ステップにおいて、所定の車両信号が検出された場合はステップS102へ進む(S101)。検出部10は、所定の車両信号が検出された旨の信号を選択部20へ送出する。
【0032】
続いて、ステップS102において、選択部20は、所定の車両信号が検出されたことをトリガとして、予め準備された優先順位情報を参照する(S102)。
【0033】
そして、ステップS103において、S102で参照した優先順位情報を参照し、接続可能な携帯電話1〜nのうち、最も優先順位の高い携帯電話nを選択する(S103)。つまり、所定の車両信号が検出されてから最も優先順位の高い携帯電話nの選択処理を実行する。
【0034】
なお、選択部20は、接続可能な携帯電話1〜nの識別子(デバイスアドレス)を接続部30から取得する。マスター(親機)となるハンズフリーシステム100がスレーブ(子機)となる(接続可能な)携帯電話1〜nを検索する手法(照会手法)は、特に限定されない。本例では、Bluetoothデバイスを用いるので、以下の手法により携帯電話1〜nを検索する。まず、マスター(親機)となるハンズフリーシステム100の接続部30は、IQ(Inquiry)パケットを連続送信する(問い合わせ処理)。他方、スレーブ(子機)となる携帯電話1〜nはIQ(Inquiry)パケットの受信準備をする。携帯電話1〜nがIQ(Inquiry)パケットを受信したら、IQパケットを受信した携帯電話nは、応答の動作に移行し、携帯電話自身のBluetooth アドレスやクロックなどを含むFHS(Frequency Hopping Synchronization)パケットを送信する(問い合わせ応答処理)。ハンズフリーシステム100の接続部30は、受信したFHS(Frequency Hopping Synchronization)パケットにより、接続可能な(通信可能な)1又は2以上の携帯電話nを検索する。
【0035】
その後、ステップS104において、接続部30は、S103において選択された携帯電話nとハンズフリーシステム100とを無線接続する。マスター(親機)となるハンズフリーシステム100が、選択されたスレーブ(子機)となる(接続可能な)携帯電話nと接続する手法(接続手法)は、特に限定されない。本例では、Bluetoothデバイスを用いるので、以下の手法により携帯電話nとの接続を確立させる。マスター(親機)となるハンズフリーシステム100の接続部30は、選択された携帯電話nに対して、その携帯電話nのBluetooth アドレスに基づいて生成されたID(Identification)パケットを送信する。携帯電話1〜nがID(Identification)を受信したら、応答信号としてのID(Identification)を返信する。ハンズフリーシステム100の接続部30は、携帯電話nに対してFHS(Frequency Hopping Synchronization)パケットを送信する。携帯電話nはFHS(Frequency Hopping Synchronization)パケットを受信したら、ID(Identification)を返信する。このようにして、選択された携帯電話nとハンズフリーシステム100の無線接続を確立させる。
【0036】
第1実施形態のハンズフリーシステム100は、以上のように構成され、機能するので、以下の効果を奏する。
【0037】
本実施形態のハンズフリーシステム100によれば、乗車の状況にかかわらず、運転者が利用する携帯端末(携帯電話n)を認識することができるので、運転者の携帯端末(携帯電話n)を車載のハンズフリーシステム100に優先的に接続することができる。
【0038】
つまり、本実施形態のハンズフリーシステム100によれば、車両の運転が開始される際に車両側に入力される車両信号が検出されてから、接続する携帯端末(携帯電話n)を選択するので、運転者よりも先に他の乗員が車両に乗り込んだ場合であっても、運転者の利用する携帯端末(携帯電話n)が必ず選択の候補になるので、優先度の高い運転者の携帯端末(携帯電話n)を車載のハンズフリー装置に接続することができる。すなわち、運転者よりも先に車両に乗り込んだ他の乗員の携帯端末がハンズフリーシステム100に接続され、その後に、改めて運転者の持つ携帯端末に接続を切り替えなければならないという事態の発生を防止することができる。
【0039】
また、車両の運転が開始される際に車両側に入力される車両信号に基づいて運転者が車両に搭乗したことを自動的に判断するため、運転者や他の乗員に特別な操作を求めることなく、上記効果を得ることができる。
【0040】
加えて、車両信号として、車両の状態変化に応じて入力される信号、運転者により入力される信号、又は運転者の存在に応じて入力される信号を採用することにより、車両自体の変化、運転者の行動、及び運転者の存在など様々な観点から運転者が車両の搭乗したことを判断することができる。
【0041】
さらに、車両信号として、車速に係る車両信号、走行距離に係る車両信号その他の車両の状態変化に応じて入力される信号、車両のパーキングレンジの解除に係る車両信号、車両のドライブレンジの設定に係る車両信号、車両のパーキングブレーキの解除に係る車両信号、車両のサイドミラー位置の変更に係る車両信号、車両のブレーキペダルの踏み込みに係る車両信号、車両のアクセルペダルの踏み込みに係る車両信号、車両のクラッチペダルの踏み込みに係る車両信号、操舵角の変化に係る車両信号その他の運転者により入力される信号、又は、車両の運転席のシートベルトの装着に係る車両信号、又は車両の運転席の着座に係る車両信号その他の運転者の存在に応じて入力される信号を用いて、これらの車両信号うち1又は2以上を組み合わせることにより、車両の運転が開始されるタイミング、つまり乗員が車両に搭乗したタイミングを正確に判断することができる。
【0042】
これにより、乗車の状況にかかわらず、運転者の携帯端末(携帯電話n)を車載のハンズフリーシステム100に優先的に接続することができる。
【0043】
また、第1実施形態のハンズフリーシステム100が使用する、ハンズフリーシステム100と携帯端末nとの無線接続方法は、上述した第1実施形態のハンズフリーシステム100´と同様の作用及び効果を奏する。
【0044】
<第2実施形態>
以下、図面に基づいて、第2実施形態のハンズフリーシステム100´を説明する。本実施形態のハンズフリーシステム100´の基本構成は、第1実施形態のハンズフリーシステム100と基本的に共通する。ここでは、重複した説明を避けるため、異なる点を中心に説明する。
【0045】
図4は、第2実施形態のハンズフリーシステム100´の機能ブロック図である。図4に示すように、ハンズフリーシステム100´の構成は、図1に示す第1実施形態のハンズフリーシステム100と基本的に共通し、第2実施形態の選択部20が再選択部22を有するとともに、接続部30が断絶状態検出部33を有する点が異なる。
【0046】
この点を中心に本実施形態のハンズフリーシステム100´を説明する。
【0047】
本実施形態の選択部20の再選択部22は、選択された携帯電話nとハンズフリーシステム100´との無線接続の断絶を検知した場合は、無線接続の断絶後に車両信号が検出されたとき、優先順位情報21を参照し、接続可能な携帯電話1〜nのうち優先度の最も高い携帯電話nを選択する。
【0048】
再選択部22は、携帯電話nとハンズフリーシステム100´との無線接続が断絶した旨の情報を、接続部30の断絶状態検出部33から取得する。断絶状態検出部33は、無線接続の切断命令を取得した場合、又は何らかの理由により携帯電話nからの信号を所定時間以上受信できい状態が継続した場合は、携帯電話nとハンズフリーシステム100´との無線接続が断絶したと判断する。
【0049】
なお、接続可能な携帯電話1〜nのうち優先度の最も高い携帯電話nを選択する手法は、第1実施形態のものと同様である、また、優先順位情報21も第1実施形態のものと同様である。
【0050】
図5は、本実施形態のハンズフリーシステム100´の制御手順を説明するためのフローチャート図である。
【0051】
図5に示すように、ステップS101〜S104は、図3で説明した第1実施形態におけるステップS101〜S104と共通の処理である。
【0052】
本実施形態では、このステップS101〜S104の後、ステップS201〜S205の処理を行う。
【0053】
ステップS201において、再選択部22が無線接続の断絶を認識した場合は、ステップS201〜S205の処理を開始する(S202)。接続部30の断絶状態検出部33は、携帯電話nとハンズフリーシステム100´との無線接続が断絶したことを検出した場合は、選択部20の再選択部22にその旨を通知する。
【0054】
ステップS202において、再選択部22は、無線接続が断絶された後に、検出部10により所定の車両信号(車速に係る車両信号など)が検出された場合に、ステップS203以降の処理を実行する(S202)。
【0055】
続く、ステップS203において、再選択部22は、優先順位情報21を参照する(S203)。優先順位情報21は、第1実施形態における優先順位情報21(図2を参照)と共通する。
【0056】
また、ステップS204において、再選択部22は、優先順位情報21を参照して、最も優先順位の高い携帯電話nを選択する(S204)。このように、無線接続が断絶された後においても、所定の車両信号が検出される、つまり運転者が車室内に存在することを確認してから携帯電話nを選択することにより、最も優先度の高い運転者の携帯電話を含めた携帯端末から最も優先順位の高い携帯電話を選択することができる。
【0057】
続いて、ステップS205において、接続処理部32は、携帯電話nとハンズフリーシステム100´との無線接続を再度確立させる(S205)。
【0058】
続いて、この第2実施形態の処理の他の態様を説明する。ここで説明する他の態様のハンズフリーシステム100´の構成は、図4に示す第2実施形態のそれと共通する。
【0059】
本態様において、本実施形態の選択部20の再選択部22は、断絶状態検出部33により断絶が検知される前に無線接続していた携帯電話nが通信不可能であるとき、優先順位情報21を参照し、接続可能な携帯電話1〜nのうち優先度の最も高い携帯電話nを選択する。
【0060】
無線接続が断絶した理由としては、直前に無線接続していた携帯電話nの持ち主(例えば運転者)が降車したことにより、その携帯電話nと通信不可能になった場合や、直前に無線接続していた携帯電話nに対して誤作動があったことにより、その携帯電話nと一時的に通信不可能になった場合などが考えられる。
【0061】
本実施形態では、携帯電話nとハンズフリーシステム100´との無線接続の断絶が検出された後において、その携帯電話nとの無線接続の可能性を再度確認し、接続が不可能である場合は、その無線断絶は一時的なものではなく携帯電話nの持ち主(例えば運転者)が降車したなどの持続的なものであると判断し、改めて現状において優先順位の最も高い携帯電話nを検出する。
【0062】
図6は、図5に示すハンズフリーシステム100´の制御手順の他の例説明するためのフローチャート図である。
【0063】
図6に示すように、ステップS101〜S104は、図3で説明した第1実施形態におけるステップS101〜S104と共通の処理であり、ステップS201〜S205は、図5で説明した第2実施形態におけるステップS201〜S205と共通の処理である。
【0064】
図6に示す処理では、ステップ201において断絶状態検出部33が無線接続の断絶を検知した後に、ステップS210及びステップS220を実行する。 ステップS210において、断絶状態検出部33は、直前に無線接続されていた携帯電話と接続可能であるか否かを検出する。
【0065】
マスター(親機)となるハンズフリーシステム100が、直前に接続されていたスレーブ(子機)となる(接続可能な)携帯電話nと接続を試みる手法(接続手法)は、特に限定されない。本例では、Bluetoothデバイスを用いるので、以下の手法により携帯電話nとの接続確立を試みる。マスター(親機)となるハンズフリーシステム100の接続部30は、直前に無線接続されていた携帯電話nのBluetooth アドレスに基づいて生成されたID(Identification)パケットを送信する。もしも、その携帯電話nがID(Identification)を受信できれば、応答信号としてのID(Identification)を返信する。その後、ハンズフリーシステム100の接続部30は、携帯電話nに対してFHS(Frequency Hopping Synchronization)パケットを送信する。携帯電話nはFHS(Frequency Hopping Synchronization)パケットを受信したら、ID(Identification)を返信する。
【0066】
ステップS210において、断絶状態検出部33は、このようなパケットの送受信ができれば、直前に無線接続されていた携帯電話との接続は可能であると判断し(S210でNo)、直前に無線接続されていた携帯電話と再接続する(S220)。
【0067】
他方、ステップS210において、断絶状態検出部33は、このようなパケットの送受信ができなければ、直前に無線接続されていた携帯電話との接続は不可能であると判断し(S210でYes)、ステップS202以降の処理を実行する(S202〜S205)。つまり、予め定義された所定の車両信号が検出された後(S202)に、優先順情報21を参照し(S203)、現状で最も優先順位の高い携帯電話nを選択し(S204)、その携帯電話nとフリーハンドシステムと無線接続を実行する(S205)。
【0068】
第2実施形態のハンズフリーシステム100´は、以上のように構成され、機能するので、以下の効果を奏する。
【0069】
第1実施形態のハンズフリーシステム100´は、第1実施形態と同様に作用し、同様の効果を奏する。
【0070】
さらに、第2実施形態のハンズフリーシステム100´によれば、車両の走行中に何らかの原因で無線接続が断絶された場合(例えば、携帯電話nの電池が切れたような場合)や、運転者が降車して他の運転者が運転をする場合においても、自動的に、現状において最も優先度の高い者の携帯電話nとハンズフリーシステム100´とを接続することができる。
【0071】
また、車両の走行中に何らかの原因で無線接続が断絶された場合に、その断絶前に無線接続していた携帯端末が通信不可能であることを確認することにより、携帯電話nの誤操作や電池切れなど一時的に接続が断絶された場合は、再度同じ携帯電話との無線接続をすることができるとともに、運転者が降車して他の運転者が運転をするなど継続して接続が断絶される場合は、次に優先度の高い者の携帯電話nとハンズフリーシステム100´とを接続することができる。
【0072】
これにより、乗車の状況にかかわらず、自動的に最も優先度の高い携帯電話nとハンズフリーシステム100´とを接続することができる。
【0073】
また、第2実施形態のハンズフリーシステム100´が使用する、ハンズフリーシステム100´と携帯端末nとの無線接続方法は、上述した第2実施形態のハンズフリーシステム100´と同様の作用及び効果を奏する。
【0074】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0075】
すなわち、本明細書では、本発明に係るハンズフリー装置の一態様として、車載装置1000の一部を構成するハンズフリーシステム100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
また、本明細書では、ハンズフリー装置の一態様として、検出手段の一例としての検出部10と、選択手段の一例としての選択部20と、接続手段の一例としての接続部30を備えるハンズフリーシステム100を説明するが、これに限定されるものではない。
【0077】
また、本明細書では、優先順位を参照する選択手段の一例として、予め定義された優先順位情報21を内部に記憶する選択部20を説明するが、これに限定されるものではない。
【0078】
さらに、本明細書では、ハンズフリー装置の他の態様として、検出手段の一例としての検出部10と、選択手段の一例としての再選択部22を備える選択部20と、接続手段の一例としての断絶状態検出部33を備える接続部30を備えるハンズフリーシステム100を説明するが、これに限定されるものではない。
【0079】
また、車両信号の一例として、車速センサ301が検知する車速に係る車両信号、走行距離センサ302が検知する走行距離に係る車両信号、レンジポジションセンサ303が検知する車両のパーキングレンジの解除に係る車両信号、パーキングブレーキセンサ304が検知する車両のパーキングブレーキの解除に係る車両信号、サイドミラー位置センサ305が検知する車両のサイドミラー位置の変更に係る車両信号、ブレーキセンサ306が検知する車両のブレーキペダルの踏み込みに係る車両信号、アクセル開度センサ307が検知する車両のアクセルペダルの踏み込みに係る車両信号、クラッチセンサ308が検知する車両のクラッチペダルの踏み込みに係る車両信号、操舵角センサ309が検知する操舵角の変化に係る車両信号、シートベルトセンサ310が検知する車両の運転席のシートベルトの装着に係る車両信号、運転席着座センサ311が検知する車両の運転席の着座に係る車両信号を説明したが、これに限定されるものではない。
【0080】
また、本明細書では、携帯端末の一例として携帯電話1〜nを用いる例を説明したが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】第1実施形態のハンズフリーシステム100の機能ブロック図である。
【図2】優先順位情報の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態のハンズフリーシステム100の制御手順を説明するためのフローチャート図である。
【図4】第2実施形態のハンズフリーシステム100´の機能ブロック図である。
【図5】第2実施形態のハンズフリーシステム100´の制御手順を説明するためのフローチャート図である。
【図6】図5に示す第2実施形態のハンズフリーシステム100´の制御手順の他の例を説明するためのフローチャート図である。
【符号の説明】
【0082】
1000…車載装置
1〜n…携帯電話,携帯端末
100…ハンズフリーシステム
10…検出部
20…選択部
21…優先順位情報
30…接続部
31…アンテナ
32…接続処理部
33…断絶状態検出部
200…車両コントローラ
300,301〜311…車載センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、一の携帯端末と無線接続するハンズフリー装置であって、
前記車両の運転が開始される際に車両側に入力される車両信号を検出する検出手段と、
前記検出手段により車両信号が検出されたとき、予め準備された携帯端末の識別子と、前記ハンズフリー装置と無線接続をする優先度とを対応づけた優先順位を参照し、接続可能な携帯端末のうち優先度の最も高い携帯端末を選択する選択手段と、
前記選択手段により選択された携帯端末との無線接続処理を実行する接続手段とを有するハンズフリー装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハンズフリー装置であって、
前記選択手段は、前記選択された携帯端末との無線接続の断絶を検知した場合は、前記無線接続の断絶後に前記車両信号が検出されたとき、前記優先順位を参照し、接続可能な携帯端末のうち優先度の最も高い携帯端末を選択するハンズフリー装置。
【請求項3】
請求項2に記載のハンズフリー装置であって、
前記選択手段は、さらに、前記断絶前に無線接続していた携帯端末が通信不可能であるとき、前記優先順位を参照し、接続可能な携帯端末のうち優先度の最も高い携帯端末を選択するハンズフリー装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載のハンズフリー装置であって、
前記車両信号は、車速に係る車両信号、走行距離に係る車両信号その他の車両の状態変化に応じて入力される信号を1つ以上含むハンズフリー装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載のハンズフリー装置であって、
前記車両信号は、車両のパーキングレンジの解除に係る車両信号、車両のドライブレンジの設定に係る車両信号、車両のパーキングブレーキの解除に係る車両信号、車両のサイドミラー位置の変更に係る車両信号、車両のブレーキペダルの踏み込みに係る車両信号、車両のアクセルペダルの踏み込みに係る車両信号、車両のクラッチペダルの踏み込みに係る車両信号、操舵角の変化に係る車両信号その他の運転者により入力される信号を1つ以上含むハンズフリー装置。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載のハンズフリー装置であって、
前記車両信号は、車両の運転席のシートベルトの装着に係る車両信号、又は車両の運転席の着座に係る車両信号その他の運転者の存在に応じて入力される信号を1つ以上含むハンズフリー装置。
【請求項7】
車両の運転が開始される際に車両に入力される車両信号を検出し、
前記車両信号が検出されたとき、予め準備された携帯端末の識別子と、前記ハンズフリー装置と無線接続をする優先度とを対応づけた優先順位を参照し、接続可能な携帯端末のうち優先度の最も高い携帯端末を選択し、
前記選択された携帯端末との無線接続処理を実行するハンズフリー装置と携帯端末との無線接続方法。
【請求項8】
請求項7に記載のハンズフリー装置と携帯端末との無線接続方法であって、
前記携帯端末の選択処理において、前記選択された携帯端末との無線接続の断絶を検知した場合は、前記無線接続の断絶後に前記車両信号が検出されたとき、前記優先順位を参照し、前記車内に持ち込まれた携帯端末のうち優先度の最も高い携帯端末を選択するハンズフリー装置と携帯端末との無線接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−130531(P2010−130531A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305090(P2008−305090)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】