説明

バゼドキシフェンビスリン酸塩

バゼドキシフェンビスホスホレート、バゼドキシフェンビスホスホレートを含む医薬組成物、その調製物、およびその治療用途を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2007年2月28日付け出願の、米国仮出願第60/892,044号の優先権を主張するものであり、出典明示によりその全体を本明細書に援用する。
【0002】
本開示は、選択的エストロゲン受容体モジュレータ1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル(バゼドキシフェン)のビスリン酸エステル、ならびにその組成物、その調製物、およびその使用用途に関する。
【背景技術】
【0003】
以下に示す化学式:
【化1】

を有する、バゼドキシフェン(1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル、またはバゼドキシフェン遊離塩基)は、典型的には、選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERMs)と称される薬物のクラスに属する。その分類と一致して、バゼドキシフェンおよびその塩は、エストロゲン受容体(ER)に対する親和性を示すが、組織選択的エストロゲン様作用を示す。例えば、酢酸バゼドキシフェンは、子宮刺激作用の前臨床モデルにおいて、ほとんど、または全く子宮反応の刺激作用を示さない。逆に、酢酸バゼドキシフェンは、卵巣が摘出された骨減少症のラットモデルにおいて、骨喪失の阻害およびコレステロールの低下においてエストロゲンアゴニスト様作用を示す。MCF−7細胞株(ヒト乳癌細胞株)において、酢酸バゼドキシフェンは、エストロゲンアンタゴニストとして機能する。これらのデータは、バゼドキシフェンが、骨および心血管系脂質パラメータにおいてエストロゲン性であり、および子宮および乳房組織において抗エストロゲン性であり、したがって、エストロゲン受容体が関与する、数々の異なる疾患および疾患様状態を治療する可能性があることを明示している。
【0004】
米国特許第5,998,402号および第6,479,535号は、バゼドキシフェンおよびその塩の調製を報告している。バゼドキシフェンおよびその塩の合成調製も、一般文献に記載されている。例えば、Miller et al.,J.Med.Chem.,2001,44,1654−1657を参照のこと。薬物の生化学的活性の詳しい説明は、一般文献にも記載されている(例えば、Miller et al.,Drugs of the Future,2002,27(2),117−121)。さらに、米国特許公開公報第2005/0227964号は、アスコルビン酸バゼドキシフェン、アスコルビン酸バゼドキシフェンを含有する組成物、その分散液、その調製物、およびその使用を報告している。上述の各文献は、出典明示によりその全体を本明細書に援用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,998,402号
【特許文献2】米国特許第6,479,535号
【特許文献3】米国特許公開公報第2005/0227964号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Miller et al.,J.Med.Chem.,2001,44,1654−1657
【非特許文献2】Miller et al.,Drugs of the Future,2002,27(2),117−121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薬物の製剤化、例えば、溶解性および生体利用能の改善は、常に求められるので、既存の薬物分子の新規形態への必要性が存在し続けている。本明細書で説明するバゼドキシフェンのビスリン酸エステル(バゼドキシフェンビスリン酸塩)、およびそれを含有する組成物は、これら、および他の必要性を満たす。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示は、バゼドキシフェンのビスリン酸エステル(バゼドキシフェンビスリン酸塩)、およびそれを含有する医薬組成物を提供する。
【0009】
ある実施形態は、バゼドキシフェンビスリン酸塩を調製する方法を提供する。
【0010】
別の実施形態は、治療を必要とする哺乳類において、エストロゲンの欠乏、またはエストロゲンの過剰に付随する疾患、症状、または障害を治療する方法を提供し、有効量のバゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む。
【0011】
一部の実施形態は、治療を必要とする哺乳類において、子宮内膜組織の増殖または異常発達に付随する疾患、または障害を治療する方法を提供し、バゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物の有効量を投与するステップを含む。
【0012】
一部の実施形態は、避妊を必要とする哺乳類において、避妊の方法を提供し、有効量のバゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む。
【0013】
一部の実施形態は、コレステロールの低下を必要とする哺乳類において、コレステロールを低下させる方法を提供し、有効量のバゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む。
【0014】
一部の実施形態は、血管運動障害の治療を必要とする哺乳類において、1つもしくは複数の血管運動障害を治療する方法を提供し、有効量のバゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む。
【0015】
一部の実施形態は、治療を必要とする閉経後、またはエストロゲン欠乏の女性において、骨脱灰を阻害または遅延する、あるいは骨粗しょう症を治療または阻害する方法を提供し、有効量のバゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物、および結合型エストロゲンを投与するステップを含む。
【0016】
一部の実施形態は、治療を必要とする閉経後、またはエストロゲン欠乏の女性において、閉経期または閉経後の障害を治療または阻害する方法を提供し、有効量のバゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物、および結合型エストロゲンを投与するステップを含む。
【0017】
一部の実施形態は、骨喪失の阻害を必要とする哺乳類において、骨喪失を阻害する方法を提供し、有効量のバゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む。
【0018】
一部の実施形態は、乳癌の治療を必要とする哺乳類において、乳癌を治療する方法を提供し、有効量のバゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む。
【発明を実施するための形態】
【0019】
ある実施形態は、式I:
【化2】


の構造を有するバゼドキシフェンのビスリン酸エステル(バゼドキシフェンビスリン酸塩)の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩を提供し、式中、
【0020】
13およびR14は、それぞれ、独立して、−P(=O)(OR)(OR)および−P(=O)(OR)(OR)から選択され、
【0021】
、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換され、
【0022】
各Rは独立して、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、CN、NO、OR、SR、C(=O)R、C(=O)NR、C(=O)OR、OC(=O)R、OC(=O)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRS(=O)、S(=O)R、S(=O)NR、S(=O)、およびS(=O)NRから選択され、
【0023】
各Rは、独立してH、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換され、
【0024】
各Rは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換され、
【0025】
およびRは、それぞれ、独立して、H、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換される、
【0026】
または、RおよびRは、結合するN原子と共に、4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する。
【0027】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキのそれぞれは、独立してハロ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OH、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、SH、−S−(C1−4アルキル)、C(=O)H、C(=O)−(C1−4アルキル)、C(=O)−(アリール)、C(=O)−(アリールアルキル)、C(=O)NH、C(=O)NH(C1−4アルキル)、C(=O)N(C1−4アルキル)、C(=O)OH、C(=O)O−(C1−4アルキル)、C(=O)O−(アリールアルキル)、OC(=O)H、OC(=O)−(C1−4アルキル)、OC(=O)−(アリール)、OC(=O)−(アリールアルキル)、OC(=O)NH、OC(=O)NH(C1−4アルキル)、OC(=O)NH−(アリールアルキル)、OC(=O)N(C1−4アルキル)、NHC(=O)−(C1−4アルキル)、NHC(=O)−(アリール)、NHC(=O)−(アリールアルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)−(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)−(アリール)、N(C1−4アルキル)C(=O)−(アリールアルキル)、NHC(=O)O−(アリールアルキル)、NHC(=O)O−(C1−4アルキル)、NHC(=O)O−(アリールアルキル)、NHC(=O)NH(C1−4アルキル)、NHC(=O)NH−(アリール)、NHC(=O)NH−(アリールアルキル)、NHC(=O)NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)NH−(アリール)、N(C1−4アルキル)C(=O)NH−(アリールアルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)NH(C1−4アルキル)、NHS(=O)−(C1−4アルキル)、NHS(=O)−(アリール)、NHS(=O)−(アリールアルキル)、S(=O)−(C1−4アルキル)、S(=O)−(アリール)、S(=O)−(アリールアルキル)、S(=O)NH(C1−4アルキル)、S(=O)NH(アリール)、およびS(=O)NH(アリールアルキル)から選択される、1、2、3、4または5つの置換基により任意に置換される。
【0028】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、独立して、ハロ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OH、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノおよびC2−8ジアルキルアミノから選択される、1、2または3つの置換基により任意に置換される。
【0029】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択される。
【0030】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキルおよびC1−10ハロアルキルから選択される。一部の実施形態において、R、R、R、およびは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルから選択される。
【0031】
一部の実施形態において、R、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、およびC1−6アルキルから選択される。一部の実施形態において、R、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、およびC1−4アルキルから選択される。一部の実施形態において、R、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、Hおよびtert−ブチルから選択される。一部の実施形態において、R、R、R、およびRは、それぞれ、C1−6アルキルである。一部の実施形態において、R、R、R、およびRは、それぞれ、tert−ブチルである。
【0032】
一部の実施形態において、本開示の化合物は、式Ia:
【化3】

Ia
の構造を有するか、または、その医薬的に容認可能な塩である。
【0033】
一部の実施形態において、本開示の化合物は、式II:
【化4】

II
の構造を有するか、または、その医薬的に容認可能な塩である。
定義
【0034】
本明細書で使用する、「任意に置換される」という用語は、置換が、任意であり、したがって、指定された原子または部分の置換が可能であることを意味する。置換が望ましい場合、そのような置換は、指定された原子または部分の通常の原子価を超えず、かつ置換が適切な化合物を生じることを条件に、指定された原子または部分上の任意の数の水素が、示された基から選択された基で置換されることを意味する。例えば、メチル基(すなわち、CH)を、任意に、置換する場合、炭素原子上の1個から最大3個の水素を置換し得る。適切な置換基の例としては、ハロゲン、CN、NH、OH、SO、SO、COOH、OC16アルキル、CHOH、SOH、C16アルキル、OC16アルキル、C(=O)C16アルキル、C(=O)O−C16アルキル、C(=O)NH、C(=O)NHC16アルキル、C(=O)N(C16アルキル)2、SO16アルキル、SONH−C16アルキル、SON(C16アルキル)、NH(C16alkyl)、N(C16アルキル)、NHC(=O)C16アルキル、NC(=O)(C16アルキル)、アリール、O−アリール、C(=O)−アリール、C(=O)O−アリール、C(=O)NH−アリール、C(=O)N(アリール)、SO−アリール、SONH−アリール、SON(アリール)、NH(アリール)、N(アリール)、NC(=O)アリール、NC(=O)(アリール)、ヘテロシクリル、O−ヘテロシクリル、C(=O)−ヘテロシクリル、C(=O)O−ヘテロシクリル、C(=O)NH−ヘテロシクリル、C(=O)N(ヘテロシクリル)、SO−ヘテロシクリル、SONH−ヘテロシクリル、SON(ヘテロシクリル)、NH(ヘテロシクリル)、N(ヘテロシクリル)、NC(=O)−ヘテロシクリル、およびNC(=O)(ヘテロシクリル)が挙げられるが、これらに限定しない。
【0035】
本明細書で使用する、「アルキル」、「アルキレニル」、または「アルキレン」とは、単独、または接尾辞または接頭辞として使用され、1個から12個の炭素原子を有する、分枝および直鎖両方の飽和脂肪族炭化水素を含むことを意図するか、あるいは、特定の数の炭素原子が提供される場合、その特定の数を意図する。例えば、「C16アルキル」は、1、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキルを表す。アルキルの例としては、メチル、エチル、nプロピル、iプロピル、nブチル、iブチル、secブチル、tブチル、ペンチル、およびヘキシル、またはその任意のサブセットが挙げられるが、これらに限定しない。本明細書で使用する、「C13アルキル」とは、2つの置換基を連結する末端置換基またはアルキレン(またはアルキレニル)基であろうが、そうではなかろうが、具体的に、分枝および直鎖両方のメチル、エチル、およびプロピルを含むと理解される。
【0036】
本明細書で使用する、「アルケニル」とは、1つもしくは複数の二重炭素−炭素結合を有するアルキル基を指す。例示的なアルケニル基としては、エテニル、プロペニル、およびシクロヘキセニルが挙げられる。「アルケニレニル」という用語は、二価リンクアルケニル基を指す。
【0037】
本明細書で使用する、「アルキニル」とは、1つもしくは複数の三重炭素−炭素結合を有するアルキル基を指す。例示的なアルキニル基としては、エチニルおよびプロピニルが挙げられる。「アルキニレニル」という用語は、二価の連結アルキニル基を指す。
【0038】
本明細書で使用する、「芳香族」とは、芳香族特性(例えば、4n+2非局在化電子)を有し、かつ最大約20個の環形成原子を有する、1つもしくは複数の多価不飽和環を有する基を指す。
【0039】
本明細書で使用する、「アリール」という用語は、5個から14個の炭素原子から構成される芳香族環構造を指す。5個、6個、7個および8個の炭素原子を含む環構造は、例えば、フェニルといった、単環芳香族基であるだろう。8個、9個、10個、11個、12個、13個、または14個の炭素原子を含む環構造は、例えば、ナフチルといった、少なくとも1つの炭素が、そこの任意の2つの隣接する環に共通する(例えば、環は、「縮合環」である)多環部分であるだろう。「アリール」という用語は、2つもしくは複数の炭素が共通する(環は、「縮合環」である)、2つもしくは複数の隣接する環を有する多環系も含み、環の少なくとも1つは、芳香族(例えば、他の環は、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはシクロアルキニルであり得る)である。オルト、メタ、およびパラという用語は、それぞれ、1,2、1,3および1,4二置換ベンゼンに該当する。例えば、1,2ジメチルベンゼンおよびオルト−ジメチルベンゼンという用語は、同義語である。
【0040】
本明細書で使用する、「シクロアルキル」とは、特定の数の炭素原子(環構造は、3個から20個の環形成炭素原子を有する)を有する、環化アルキル、アルケニル、および/またはアルキニル基を含む、非芳香族環状炭化水素を指す。シクロアルキル基は、単一または多環(例えば、2、3、または4個の縮合または架橋環を有する)基を含み得る。例示的シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、しクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプタトリエニル、ノルボルニル、ノルピニル、ノルカルニル(norcarnyl)、およびアダマンチルを含む。シクロアルキル環に縮合する1つもしくは複数の芳香族環(すなわち、共通して結合を有する)、例えば、シクロペンタン(すなわち、インダニル)のベンゾ誘導体、シクロペンテン、およびシクロヘキサンを有する部分も、シクロアルキルの定義に含まれる。
【0041】
本明細書で使用する、「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロ」または「ヘテロシクル」という用語は、環構造の一部として、独立して、N、O、およびSから選択される、1つもしくは複数のヘテロ原子を有し、例えば、3員環から7員環を構成する、3個から29個の環形成原子を有する、環を含む一価および二価構造を意味する。ヘテロシクル基は、1つもしくは複数の二重結合を含む、飽和または部分的に飽和、もしくは不飽和であってもよく、ヘテロシクル基は、多環系の場合のように1環以上を含み得る。具体的に示す場合、ヘテロシクリル中の窒素を、任意に、四級化できる。ヘテロシクリル中のSおよびOの総数が1を超える時、これらのヘテロ原子は、互いに隣接しないことを理解されたい。
【0042】
ヘテロシクルの例としては、1Hインダゾール、2ピロリドニル、2H、6H1、5,2ジチアジニル、2Hピロリル、3Hインドリル、4ピペリドニル、4aHカルバゾール、4Hキノリジニル、6H1、2,5チアジアジニル、アクリジニル、アザビシクロ、アゼチジン、アゼパン、アジリジン、アゾシニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾジオキソール、ベンソフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンズイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリル、ベンズイミダザロニル、カルバゾリル、4aHカルバゾリル、bカルボリニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、ジアゼパン、デカヒドロキノリニル、2H,6H1,5,2ジチアジニル、ジオキソラン、フリル、2,3ジヒロドフラン、2,5ジヒドロフラン、ジヒドロフロ[2,3b]テトラヒドロフラン、フラニル、フラザニル、ホモピペリジニル、イミダゾリジン、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1Hインダゾリル、インドレニル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、ソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3オキサジアゾリル、1,2,4オキサジアゾリル、1,2,5オキサジアゾリル、1,3,4オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキキラン、オキサゾリジニルペリミジニル、フェナンスリジニル、フェナントロリニル、フェナサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、ピペリドニル、4ピペリドニル、プリニル、ピラニル、ピロリジニル、ピロリン、ピロリジン、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾール、ピリドイミダソール、ピリドチアゾール、ピリジニル、Nオキシドピリジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリジニルジオン、ピロリニル、ピロリル、ピリジン、キナゾリニル、キノリニル、4Hキノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、カルボリニル、テトラヒドロフラニル、テトラメチルピペリジニル、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロイソキノリニル、チオファン、チオテトラヒドロキノリニル、6H1,2,5チアジアジニル、1,2,3チアジアゾリル、1,2,4チアジアゾリル、1,2,5チアジアゾリル、1,3,4チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオフェンイル、チイラン、トリアジニル、1,2,3トリアゾリル、1,2,4トリアゾリル、1,2,5トリアゾリル、1,3,4トリアゾリル、およびキサンテニル、またはそのサブセットが挙げられるが、これらに限定しない。
【0043】
本明細書で使用する「ヘテロアリール」とは、硫黄、酸素、または窒素等の少なくとも1つのヘテロ原子環員を有する、芳香族ヘテロシクル(環構造は、最大約20個の環形成原子を有する)を指す。ヘテロアリール基は、単環および多環(例えば、2、3、または4縮合環を有する)系を含む。ヘテロアリール基の例としては、ピリジル(すなわち、ピリジニル)、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フリル(すなわち、フラニル)、キノリル、イソキノリル、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドリル、ピリル、オキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンズチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、インダゾリル、1,2,4チアジアゾリル、イソチアゾリル、ベンゾチエニル、プリニル、カルバゾリル、ベンズイミダゾリル、およびインドリニルが挙げられる、これらに限定しない。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は、1個から約20個の環形成原子を有し、さらなる実施形態において、約3個から約20個の環形成原子を有する。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は、3個から約14個、4個から約14個、3個から約7個、または5個から6個の環形成原子を含む。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は、1個から約4個、1個から約3個、または1個あるいは2個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態において、ヘテロアリール基は、1個のヘテロ原子を有する。
【0044】
本明細書で使用する「ヘテロシクロアルキル」とは、1つもしくは複数の環形成炭素原子が、O、N、またはS原子等のヘテロ原子により置換される環化アルキル、アルケニル、およびアルキニル基を含む、非芳香族ヘテロシクル(このような環構造は、約3個から約20個の環形成原子を有する)を指す。ヘテロシクロアルキル基は、単一または多環(例えば、縮合、架橋、およびスピロ系)であり得る。適切な「ヘテロシクロアルキル」基としては、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、2,3−ジヒドロベンゾフリル、1,3−ベンゾジオキソール、ベンゾ−1,4−ジオキサン、ピペリジニル、ピロリジニル、イソオキサゾリジニル、イソチアゾリジニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、およびイミダゾリジニルが挙げられる。ヘテロシクロアルキル基の環形成炭素原子およびヘテロ原子は、任意に、オキソまたはスルフィドにより置換することができる。また、ヘテロシクロアルキルの定義に、非芳香族ヘテロシクル環、例えば、フタルイミジル、ナフタルイミジル、およびインドレンおよびイソインドレン基等のヘテロシクルのベンゾ誘導体に縮合する1つもしくは複数の芳香族環を有する部分が含まれる。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、約3個から約20個の環形成原子を有する。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、3個から約14個、3個から約7個、または5個から6個の環形成原子を含む。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、1個から約4個、1個から約3個、または1個あるいは2個のヘテロ原子を有する。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、0個から3個の二重結合を含む。一部の実施形態において、ヘテロシクロアルキル基は、0個から2個の三重結合を含む。
【0045】
本明細書で使用する「アルコキシ」または「アルキルオキシ」は、酸素ブリッジを介して結合される、指定された数の炭素原子を伴い、上述に定義される通り、アルキル基を表す。アルコキシの例は、メトキシ、エトキシ、nプロポキシ、イソプロポキシ、nブトキシ、イソブトキシ、tブトキシ、nペントキシ、イソペントキシ、シクロプロピルメトキシ、アリルオキシ、およびプロパルギルオキシ(ただし、これらに限定しない)を含む。同様に、「アルキルチオ」または「チオアルキル」は、硫黄架橋を介して結合される、示された数の炭素原子を伴う、上述に定義したアルキル基を表す。
【0046】
本明細書で使用する「アミノ」は、NHを指す。
【0047】
本明細書で使用する「アルキルアミノ」は、アルキル基により置換されるアミノ基を指す。
【0048】
本明細書で使用する「ジアルキルアミノ」は、2個のアルキル基により置換されるアミノ基を指す
【0049】
本明細書で使用する「ハロ」または「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを含む。
【0050】
本明細書で使用する「ハロアルキル」は、1つもしくは複数のハロゲン置換基を有するアルキル基を指す。ハロアルキル基の例としては、CF、C、CHCF、CHF、CCl、CHCl、およびCClが挙げられる。「パーハロアルキル」という用語は、全水素原子が、ハロゲン原子と置換されるアルキル基を表すことを意図する。パーハロアルキル基の例としては、CClおよびCFが挙げられる。「パーフルオロアルキル」という用語は、全水素原子が、フッ素原子と置換されるアルキル基を表すことを意図する。パーフルオロアルキルの一例は、CF(すなわち、トリフルオロメチル)である。
【0051】
本明細書で使用する「ハロアルコキシ」は、−O−ハロアルキル基を指す。ハロアルコキシの一例は、OCFである。
【0052】
本明細書で使用する「アリールオキシ」は、−O−アリール基を指す。アリールオキシ基の一例は、フェノキシである。
【0053】
本明細書で使用する、「ヘテロアリールオキシ」は、−O−ヘテロアリール基を指す。ヘテロアリールオキシ基の一例は、ピリジン−2−イルオキシ[すなわち、−O−(ピリジン−2−イル)]である。
【0054】
本明細書で使用する「アリールアルキル」は、アリールにより置換されたC1−10アルキルを指し、「シクロアルキルアルキル」は、シクロアルキルにより置換されたC1−10アルキルを指す。アリールアルキル基の一例は、ベンジルである。
【0055】
本明細書で使用する「ヘテロアリールアルキル」は、ヘテロアリールにより置換されたC1−10アルキルを指し、「ヘテロシクロアルキルアルキル」は、ヘテロシクロアルキルにより置換されたC1−10アルキルを指す。
【0056】
本明細書で使用する、「アリールアルキルオキシ」は、−O−(アリールアルキル)を指し、「ヘテロアリールアルキルオキシ」は、−O−(ヘテロアリールアルキル)を指す。アリールアルキルオキシ基の一例は、ベンジルオキシであり、ヘテロアリールアルキルオキシ基の一例は、(ピリジン−2−イル)−メトキシである。
【0057】
本明細書で使用する、いくつかの置換基は、2つもしくは複数の基の組み合わせとして説明する。例えば、式「C(=O)−C39シクロアルキルR」は、構造:
【化5】

を指すことを意図し、式中、pは、1、2、3、4、5、6または7(すなわち、C39シクロアルキル)であり、C39シクロアルキルは、Rにより置換され、「C(=O)−C39シクロアルキルR」の結合点は、式の左側にある、カルボニル基の炭素原子を介する。
【0058】
本開示の化合物は、様々な方法で誘導体化できる。本明細書で使用する化合物の「誘導体」は、塩(例えば、医薬的に容認可能な塩)、任意の複合体(例えば、シクロデキストリン等の化合物を伴う包接体またはクラスレート、あるいはMn2+およびZn2+等の金属イオンを伴う配位複合体)、生体内加水分解性エステル等のエステル、化合物の多形形態、溶媒(例えば、水和物)または脂質、およびカップリングパートナおよび保護基(アミノおよび/またはヒドロキシル基の保護基等)を有する化合物を含む。
【0059】
本明細書で使用する、用語「保護基」とは、望まない化学形質転換から潜在的に反応性の官能基を保護する一時的な置換基を意味する。このような保護基には、リン酸のエステル類、カルボン酸のエステル類、アルコールのシリルエーテル類、およびそれぞれ、アルデヒドおよびケトンのアセタールおよびケタールが挙げられるが、これらに限定しない。保護基化学の分野は、概説されており(例えば、出典明示によりその全体を本明細書に援用する、Greene、T.W.and Wuts、P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis、3rdEd.;Wiley&Sons、1999、を参照)、保護基は、当業者に周知である。
【0060】
本開示の化合物は、安定した化合物(安定した構造を有する化合物)であることを意図する。本明細書で使用する、「安定した化合物」および「安定した構造」とは、反応混合物から有用な程度の純度への単離、および有効な治療薬に製剤化するのに安定した十分に強い化合物を示すことを意味する。
【0061】
本開示の様々な化合物は、特定の立体異性形態で存在し得る。本開示は、本開示の範囲内に網羅される通り、シス−およびトランス異性体、R−およびS−エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)−異性体、(L)−異性体、そのラセミ混合物、およびその他の混合物を含む、このような全ての化合物を考慮に入れる。追加の非対称炭素原子が、アルキル基等の置換基に存在し得る。全てのこのような異性体と同様、その混合物も、本開示に含むことを意図する。本明細書で説明する化合物は、非対称の中心を有し得る。非対称的な置換原子を含有する本開示の化合物は、任意に、活性またはラセミ形態で単離できる。ラセミ形態の分解、または光学的な活性開始材料からの合成による等の、光学的に活性形態を調製する方法は、当該分野で周知である。必要であれば、ラセミ物質の分離は、当該分野に周知の方法により達成できる。オレフィン、C=N二重結合、およびその同等物の多くの立体異性体も、本明細書で説明する化合物に存在し得、全てのそのような安定した異性体を、本開示で想定する。本開示の化合物のシスおよびトランス異性体について説明し、それらを異性体の混合物として、または分離された異性体の形態として分離できる。特定の立体化学または異性体形態が、具体的に示されていない場合、化合物が、キラル中心を含む時、エナンチオマー、エピマー、およびジアステレオマー等の構造の全ての個々の光学形態ならびに、その化合物のラセミ混合物を意図する。
【0062】
化合物は、数多くの互変異性形態で存在し得、本明細書の化合物への言及は、全てのこのような形態を含む。疑念を避けるため、化合物は、いくつかの互変異性体の1つで存在でき、唯一1つの互変異性体を具体的に説明または示す時、他の全ても、やはり、本開示の範囲に包含される。本明細書で使用する、「互変異性」とは、水素原子の転位から生じる平衡状態に存在する他の構造的異性体を意味する。例えば、ケト−エノール互変異性は、結果として得られる化合物が、ケトンおよび不飽和アルコールの両方の性質を有することである。
【0063】
本開示は、本開示の同位元素的に標識された化合物をさらに含む。「同位元素的」または「放射標識された」化合物は、1つもしくは複数の原子が、原子質量または原子質量と異なる質量数、または典型的には、自然界にある(すなわち、自然発生する)質量数を有する原子により、交換または置換される化合物である。本開示の化合物に組み込む適切な放射性核種としては、H(重水素のDとしても記載される)、H(トリチウムのTとしても記載される))、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、77Br、123I、124I、125Iおよび131I、またはそれらの任意のサブセットが挙げられるが、これらに限定しない。一部の実施形態において、放射性核種は、H、14C、125I、35Sおよび82Brから成る基から選択する。当該放射標識した化合物に組み込む放射性核種は、放射標識した化合物の特定の用途に依存するだろう。例えば、生体外の受容体の標識化および競合アッセイには、H、14C、82Br、125I、131I、または35Sを組み込む化合物は、概して、最も有用であろう。放射性撮像用途において、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Brまたは77Brは、概して、最も有用であろう。
【0064】
ある実施形態において、化合物の塩は、生理学的に、最も許容され、非毒性である。塩の多くの例は、当業者に周知である。全てのこのような塩は、様々な実施形態の範囲内であり、化合物の参照は、化合物の塩形態を含む。
【0065】
カルボン酸、リン酸、硫酸、スルホン酸基等の酸性基を有する化合物は、Na、K、MgおよびCa等のアルカリまたはアルカリ土類金属と、トリエチルアミンおよびトリス(2ヒドロキシエチル)アミン等の有機アミン類と塩を形成できる。塩類は、例えば、アミン類の塩基性基を有する、塩酸、リン酸、または硫酸等の無機酸を有する、もしくは酢酸、クエン酸、安息香酸、フマル酸、または酒石酸等の有機酸を有する、化合物から形成できる。酸基性および塩基性基の両方を有する化合物は、分子内塩を形成できる。
【0066】
酸添加塩類を、無機または有機両方の広範な様々の酸類と形成できる。酸添加塩類の例は、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、マロン酸、グルクロン酸、およびラクトビオン酸と形成する塩類を含む。
【0067】
化合物が、陰イオン性、または陰イオン性(例えば、COOHはCOOであり、POは、POであり得る)であり得る官能基を有する場合、塩を、対イオンとして陽イオンと形成できる。陽イオンの例としては、NaおよびK等のアルカリ金属イオン、Ca2+およびMg2+等のアルカリ土類陽イオン、およびAl3+等の他の陽イオンならびに、アンモニウムイオン(すなわち、NH)、および置換アンモニウムイオン(例えば、NH、NH、NHR、NR)が挙げられるが、これらに限定しない。置換アンモニウムイオンの例としては、エチルアミン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、ピペラジン、ベンジルアミン、フェニルベンジルアミン、コリン、メグルミン、およびトロメタミンならびに、リジンおよびアルギニン等のアミノ酸から誘導されたものが挙げられるが、これらに限定しない。一般的な四級アンモニウムイオンの例は、N(CHである。
【0068】
化合物が、アミン官能基を含む時、例えば、当業者に周知の方法に従い、アルキル化剤との反応により、四級アンモニウム塩を形成し得る。このような四級アンモニウム化合物は、本開示の範囲内である。
【0069】
化合物が、アミン官能基を含む時、酸添加塩も、無機酸および有機酸の両方の広範な様々な酸を用いて形成できる。酸添加塩の例としては、塩酸、ヨウ化水素酸、リン酸、硝酸、硫酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、マレイン酸、リンゴ酸、イセチオン酸、フマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、吉草酸、酢酸、プロパン酸、酪酸、マロン酸、グルクロン酸、およびラクトビオン酸を用いて形成する塩類が挙げられる。このような場合において、対イオンは、使用した酸(例えば、塩酸を使用する時、対イオンは、塩素イオンであろう)からである。
【0070】
「対イオン」は、塩素イオン(Cl)、臭素イオン(Br)、水酸イオン(OH)、酢酸イオン(CHCOO)、硫酸イオン(SO)、トシラートイオン(CHフェニルSO)、ベンゼンスルホン酸イオン(フェニルSO)、ナトリウムイオン(Na)、カリウムイオン(K)、およびアンモニウムイオン(NH)等の小さい、負または正荷電種を表すために使用する。
【0071】
本明細書で使用する、「医薬的に容認可能な」とは、正常な医学的判断の範囲内で、過渡の毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題あるいは合併症を生じずに、ヒトおよび動物の組織との接触に使用するのに適切で、かつ妥当な効果/リスク比に釣り合った、化合物、物質、組成物、および/または用量形態を指す。
【0072】
本明細書で使用する、「医薬的に容認可能な塩」とは、親化合物が、その酸性塩または塩基性塩(すなわち、対イオンも含む)を生成することにより修飾される、ここに開示する化合物の誘導体を指す。医薬的に容認可能な塩の例としては、アミン類等のミネラルまたは塩基性残基の有機酸塩類、およびカルボン酸等のアルカリまたは酸性残基の有機塩類が挙げられるが、これらに限定しない。医薬的に容認可能な塩は、既存の非毒性塩類、または例えば、非毒性無機または有機酸から、形成した親化合物の四級アンモニウム塩を含む。例えば、このような既存の非毒性塩類としては、塩酸およびリン酸等の無機酸から誘導した塩類、および乳酸、マレイン酸、クエン酸、安息香酸、およびメタンスルホン酸等の有機酸から調製した塩類が挙げられる。
【0073】
医薬的に容認可能な塩は、既存の化学方法により塩基性または酸性部分を含む、親化合物から合成できる。一般的に、このような塩類は、遊離酸またはこれらの化合物の塩基形態を、水中または有機溶媒中で、あるいは2つの混合液中で、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることにより調製できる。水または有機溶媒、あるいは2つの混合液の代わりに、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリル等の非水性媒体も使用できる。
【0074】
アミン官能基を含む化合物も、N−酸化物を形成し得る。アミン官能基を含む化合物への本明細書での参照も、N−酸化物を含む。化合物が、いくつかのアミン管能基を含む時、1個または1個以上の窒素原子をN−酸化物を形成するために酸化できる。N−酸化物の特定の例は、三級アミンまたは窒素含有ヘテロシクルの窒素原子のN−酸化物である。N−酸化物は、対応するアミンを過酸化水素または過酸(例えば、パーオキシカルボン酸)等の酸化剤と処理することにより形成でき、例えば、March、J.Advanced Organic Chemistry、4th Ed.、Wiley&Sons,1999を参照のこと。より具体的には、N−酸化物は、Deady,L.W.Syn.Comm.,1977、7、509514の手順により生成でき、アミン化合物は、例えば、ジクロロメタン等の不活性溶媒中で、m−クロロパーオキシ安息香酸(MCPBA)と反応する。
【0075】
エステルは、当該分野に周知の技術を使用して、化合物に存在するヒドロキシルまたはカルボン酸基と適切なカルボン酸またはアルコール反応パートナとの間で形成できる。エステルの例としては、C(=O)ORを含む化合物であり、式中、Rは、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基、またはC5−20アリール基等のエステル置換基である。エステル基の特定の例としては、C(=O)OCH、C(=O)OCHCH、C(=O)OC(CH、および−C(=O)OPhが挙げられるが、これらに限定しない。アシルオキシ(逆エステル)基の例は、OC(=O)Rにより表わされ、式中、Rは、例えば、C1−7アルキル基、C3−20ヘテロシクリル基、またはC5−20アリール基等のアシルオキシ置換基である。アシルオキシ基の特定の例としては、OC(=O)CH(アセトキシ)、OC(=O)CHCH、OC(=O)C(CH、OC(=O)Ph、およびOC(=O)CHPhが挙げられるが、これらに限定しない。
【0076】
化合物のプロドラッグである誘導体は、生体内または生体外で、親化合物の1つに変換可能である。通常、化合物の生化学的活性の少なくとも1つを、化合物のプロドラッグ形態で還元し、化合物またはその代謝物を放出するために、プロドラッグの変換により活性できる。いくつかのプロドラッグは、活性化合物(例えば、生理学的に容認される代謝的に不安定なエステル)のエステル類である。代謝中、エステル基を、切断することにより活性薬物を得る。このようなエステル類は、例えば、適切な場合、親化合物に存在する任意の他の反応基を前保護して、親化合物の任意のカルボン酸基(C(=O)OH)をエステル化し、その後必要に応じて脱保護することにより形成できる。
【0077】
このような代謝的に不安定なエステル類としては、式:−(=O)ORのものが挙げられるが、これに限定されず、式中、Rは、例えば、C1−7アルキル(例えば、Me、Et、nPr、iPr、nBu、sBu、iBu、tBu)、C1−7アミノアルキル(例えばアミノエチル、2(N,Nジエチルアミノ)エチル、2(4ホルホリノ)エチル)、またはアシルオキシC1−7アルキル(例えば、アシルオキシメチル、アシルオキシエチル、ピバロイルオキシメチル、アセトキシメチル、1アセトキシエチル、1(1メトキシ1メチル)エチルカルボニルオキシエチル、1(ベンゾイルオキシ)エチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1−イソプロポキシカルボニルオキシエチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1シクロヘキシルオキシカルボニルオキシエチル、(4テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシメチル、1(4テトラヒドロピラニルオキシ)カルボニルオキシエチル、(4テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシメチル、または1−(4−テトラヒドロピラニル)カルボニルオキシエチル)である。
【0078】
いくつかのプロドラッグを酵素的に活性させ、活性化合物、またはさらなる化学反応において、活性化合物(例えば、抗体指向性酵素プロドラッグ治療法(ADEPT)、遺伝子指向性酵素プロドラッグ治療法(GDEPT)、およびリガンド指向性酵素プロドラッグ治療法(LIDEPT))を生成する化合物を得る。例えば、プロドラッグは、砂糖誘導体または他のグリコシド抱合体であり得る、またはアミノ酸エステル誘導体であり得る。
【0079】
他の誘導体は、化合物が、例えば、化学的に化合物に結合する、または物理的にそれに連結することにより、カップリングパートナに連結される化合物のカップリングパートナを含む。カップリングパートナの例としては、標識またはレポータ分子、支持基質、担体または移動分子、および作動体、薬物、抗体または阻害剤が挙げられる。カップリングパートナは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、またはアミノ基等の化合物上の適切な官能基を介して、本開示の化合物に共有結合的に連結できる。他の誘導体は、リポソームを用いた化合物の製剤化を含む。
【0080】
本明細書で使用する「脱離基」という用語とは、化学反応中に求核攻撃等により、別の部分が置換できる部分を意味する。離脱基は、当該分野に周知であり、例えば、ハロゲン、ヒドロキシ、アルコキシ、−O(C=O)R、-OSO−R、および−OSi(Rを含み、式中、Rは、C1−8アルキル、C3−7シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、またはヘテロシクロアルキル、Rは、C1−8アルキル、アリール(任意に、1つもしくは複数のハロ、シアノ、ニトロ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C1−4アルコキシ、またはC1−4ハロアルコキシにより置換される)、またはヘテロアリール(任意に、1つもしくは複数のハロ、シアノ、ニトロ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、C−Cアルコキシ、またはC1−4ハロアルコキシに置換される)、およびRは、C1−8アルキルである。例示的な離脱基は、クロロ、ブロモ、ヨード、4−ニトロフェニル炭酸、メチレート、トシラート、およびトリメチルシリルを含む。

合成
【0081】
本明細書に記載されている化合物は、有機合成の分野に携わる当業者に周知の様々な手段で調製できる。化合物は、当業者が理解する、当該分野で周知の有機化学、またはその変形の合成方法と共に、以下に説明する方法を使用して合成できる。
【0082】
化合物は、以下の一般的な方法および手順を使用して、容易に入手可能な開始材料から調製できる。典型的な、または例示的なプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力等)を与える時、他の適切なプロセス条件も、特に記載しない限り、ルーチン手順により当業者により判断される通り使用できる。
【0083】
本明細書で説明するプロセスは、当該分野に周知の任意の適切な方法に従い監視できる。例えば、生成物形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C NMR)、赤外分光法(IR)、分光測定(例えば、UV−可視)、または質量分析法等の分光法手段により、あるいは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または薄層クロマトグラフィー等のクロマトグラフィーにより監視できる。
【0084】
化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を含むことができる。保護および脱保護の必要性、および適切な保護基の選択は、当業者により容易に判断され得る。保護基の化学特性は、例えば、Greene、T.W.and Wuts、P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis、2nd Ed.;Wiley&Sons、1991に記載されおり、出典明示によりその全体が本明細書に援用される。
【0085】
本明細書で説明する手順の反応は、有機合成に携わる当業者が容易に選択できる適切な溶媒中で実行できる。適切な溶媒は、反応を実行する温度、すなわち、溶媒の氷点から溶媒の沸点までの温度範囲で、開始材料(反応物質)、中間体、または生成物と実質的に非反応性であり得る。任意の反応は、1つの溶媒、または1つもしくは複数の溶媒の混合物中で実行できる。特定の反応ステップに応じて、特定の反応ステップに対する適切な溶媒を、選択できる。
【0086】
該化合物は、例えば、以下に説明する反応経路および技術を使用して調製できる。
【0087】
スキーム1に示す通り、一連の新規バゼドキシフェンジリン酸塩(式1−4および1−5の化合物)は、1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル(バゼドキシフェン遊離塩基、化合物1−1)から開始して合成する。化合物1−1は、ホスホラミダイト1−2の2つもしくは複数のモル当量と反応させ、ここで、
およびRは、それぞれ、独立して、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換され、
各Rは、独立して、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、CN、NO、OR、SR、C(=O)R、C(=O)NR、C(=O)OR、OC(=O)R、OC(=O)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRS(=O)、S(=O)R、S(=O)NR、S(=O)、またはS(=O)NRであり、
およびRは、それぞれ、独立して、それぞれ1、2、3、4または5Rにより任意に置換される、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択される、あるいは、
およびRは、結合するN原子と共に、1、2、3、4または5Rにより任意に置換される、4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成し、
各Rは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換され、
各Rは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換され、
およびRは、それぞれ、独立して、H、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、当該C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換される、あるいは、
およびRは、結合するN原子と共に、4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成し、塩基(例えば、テトラゾール)の存在下、ビス(亜リン酸トリエステル)中間体1−3を形成する。ある実施形態において、RおよびRは、それぞれ、独立して、保護基、C1−10アルキルおよびシクロアルキルから選択される。一部の実施形態において、RおよびRは、それぞれ、独立して、C1−10アルキルおよびシクロアルキルから選択されるか、または、RおよびRは、結合するN原子と共に、例えば、メチルまたはエチル等の1つもしくは複数のC1−6アルキル置換基、またはC1−6アルコキシ置換基により任意に置換される、ヘテロチクロアルキルを形成する。適切な保護基は、ヒドロキシル基に対する保護基を含み、その例は、例えば、出典明示によりその全体を本明細書に援用する、Greene、T.W.and Wuts、P.G.M.Protective Groups in Organic Synthesis、2nd Ed.;Wiley&Sons、1991に見ることができる。
【0088】
ビス(亜リン酸トリエステル)中間体1−3を、酸化試薬(例えば、過酸化水素)により、対応するビス(リン酸トリエステル)1−4に酸化する。一部の実施形態において、過剰の酸化試薬は、ビス(リン酸トリエステル)1−4中のP=O結合を形成するために酸化される中間体1−3中の両方のリン原子を供給するために使用する。過剰酸化試薬は、作業手順中(例えば、生成物を単離および/または精製する時)、還元試薬(例えば、メタ重亜硫酸ナトリウム)を使用する等、適切な方法により除去する。ビス(リン酸トリエステル)1−4を、酸条件下(例えば、HCl等の無機酸の存在下で)等、適切な条件下で、(部分的に)加水分解し、ビス(リン酸モノエステル)1−5を得る。
スキーム1
【化6】

【0089】
代替として、スキーム2に示す通り、1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル(バゼドキシフェン遊離塩基;化合物2−1)を、三級アミン(例えば、テトラゾール)等の塩基の存在下で、同時に、または順次、ホスホラミダイト2−2aおよびホスホラミダイト2−2bと反応させ、混合ビス(亜リン酸トリエステル)中間体2−3(ホスホラミダイト2−2aは、ホスホラミダイト2−2bと同一または異なり、R、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、スキーム1のRおよびRにおいて定義され、R、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、スキーム1のRおよびRにおいて定義される)を得る。ビス(亜リン酸トリエステル)中間体2−3(R11およびR12は、それぞれ、独立して、−P(OR)(OR)および-P(OR)(OR)から選択される)は、対応するビス(リン酸トリエステル)2−4(R13およびR14は、それぞれ、独立して、−P(=O)(OR)(OR)および-P(=O)(OR)(OR)から選択される)、およびビス(リン酸モノエステル)2−5を形成するために、上記のスキーム1で説明したそれらに類似する転換を受ける。
スキーム2
【化7】

【0090】
代替として、スキーム3に示す通り、バゼドキシフェンジリン酸塩3−5は、1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル(バゼドキシフェン遊離塩基、化合物3−1)から開始して合成する。化合物3−1は、混合エステル−ハロゲン化物中間体3−3を形成するために、適切な有機塩基(ピリジン等)および適切な無機塩基(アルカリ金属炭酸塩等、例えば、NaCO)の存在下で、亜リン酸オキシトリハロゲン化物3−2(各Xは、独立して、クロロまたはブロモ等のハロ)の2つもしくは複数のモル当量と反応させる。一部の実施形態において、亜リン酸オキシトリハロゲン化物3−2(式:(=O)(Xを有する)は、P(=O)Clである。一部の実施形態において、使用する亜リン酸オキシトリハロゲン化物3−2の量は、化合物3−1のそれの約2から約4、約2から約3、約2.0から約2.5、または約2.5から約3.0モル当量である。一部の実施形態において、有機塩基は、トリアルキルアミン(例えば、トリエチルアミン(「TEA」)、ジイソプロピルエチルアミン(「DIPEA」)、環状アミン(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(「DABCO」)、ジアザ(1,3)ビシクロ[5.4.0]ウンデカン(「DBU」))、芳香族アミン(例えば、トリフェニルアミン)、ジメチルアミノピリジン(DMAP)、およびヘテロ芳香族アミン(例えば、ピリジンおよびルチジン)等の三級アミンから選択する。一部の実施形態において、有機塩基は、ピリジンを含む。一部の実施形態において、使用する有機塩基の量は、化合物3−1の約4、約5、約7、約9、約11、または約13を超えるモル当量である。一部の実施形態において、使用する有機塩基の量は、化合物3−1のそれの約9から13モル当量の間、または約10から約12モル当量の間の値である。一部の実施形態において、無機塩基は、アルカリ金属炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、または炭酸カリウム、または炭酸セシウム)を含む。一部の実施形態において、使用する無機塩基の量は、化合物3−1の約4、約5、約6、約7、約8、または約9モル当量を超える。一部の実施形態において、使用する無機塩基の量は、化合物3−1のそれの約4から約6モル当量の間、または約4から約5モル当量の間の値である。一部の実施形態において、使用する無機塩基の量は、化合物3−1の約4モル当量である。特定の理論に拘束されることは望まないが、有機塩基および無機塩基両方の存在は、中間体3−3の収量の向上に有利であると考えられている。
【0091】
中間体3−3を形成するための反応は、1つもしくは複数の有機溶媒を含む、適切な有機溶媒系中で実行する。極性非プロトン性有機溶媒等、すなわち、強塩基性反応物質または試薬の存在下で、容易に脱プロトンしない有機溶媒の極性有機溶媒を含む、広範な様々の有機溶媒を、溶媒系に使用できる。適切な非プロトン性溶媒は、例として、エーテル、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン等の塩素化炭化水素、およびクロロホルム)、プロピルニトリル、ギ酸エチル、酢酸エチル、ヘキサクロロアセトン、アセトン、エチルメチルケトン、酢酸エチル、スルホラン、ニトロメタン、ニトロベンゼンが挙げられるが、これに限定しない。エステル、アルキルニトリル(アセトニトリル等)、およびジメトキシメタン、テトラヒドロフラン(THF)、2−メチル−テトラヒドロフラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、フラン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、アニソール、およびt−ブチルメチルエーテルが挙げられるが、これらに限定しない、多くのエーテル溶媒も、用語非プロトン性溶媒に含まれる。一部の実施形態において、溶媒系は、ハロゲン化炭化水素(例えば、塩化メチレン)を含む。一部の実施形態において、溶媒系は、エーテル(例えば、THF)を含む。
【0092】
混合エステルハロゲン化物中間体3−3を、適切な塩基条件下(例えば、アルカリ金属水酸化物等、例えば、NaOHの水溶性溶液の無機塩基の存在下)で加水分解し、ビス(リン酸モノエステル)塩3−4(NaOHを使用する時、ナトリウム塩)を得る。一部の実施形態において、7を超える値に反応混合物のpHを調整する(pHを約8から約9に調整する等)ことにより、加水分解を促進するために、NaOHの水溶性溶液(例えば、3N溶液)を添加する。一部の実施形態において、塩基(水溶性NaOH)を添加した後に無機酸(水溶性HCl溶液等)を添加することにより、反応混合物のpHを約8から約9の値に調整する。
【0093】
反応混合物(塩3−4を含有)の水層を、例えば、分液漏斗を使用することにより、有機層(有機溶媒を含有)から分離する。次に、ビス(リン酸モノエステル)3−5は、水溶性HCl溶液等の適切な無機酸を使用して、塩3−4(例えば、水溶性のpHを約2または約1に調整する)の水溶性溶液を酸性化し、ひいてはビス(リン酸モノエステル)3−5を沈殿させることにより単離/分離する。沈殿物を、例えば、濾過により単離する。一部の実施形態において、ビス(リン酸モノエステル)3−5のさらなる精製は、例えば、分取高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により達成する。一部の実施形態において、化合物3−1からのビス(リン酸モノエステル)3−5の全プロセス(スキーム3に示す通り)は、1つの反応器(ワンポットプロセス)中で実行する。
スキーム3
【化8】

【0094】
本明細書で説明するスキームにおいて、官能(反応)基が、R、R等の置換基上に存在する場合、適切および/または所望であれば、さらなる修飾を実施できることに留意するべきである。例えば、CN基はアミド基を得るために加水分解でき、カルボン酸はアミドに変換でき、カルボン酸はエステルに変換でき、これは、順次、アルコールに還元でき、順次、それをさらに修飾できる。別の例において、OH基を、メシレート等のより良い脱離基に変換することができ、これは、順次、CN等による求核置換に適切である。当業者は、このようなさらなる修飾を認識するであろう。したがって、官能基を含む置換基を有する式Iの化合物(スキーム1の化合物1−4等)は、異なる置換基を有する式Iの別の化合物に変換し得る。
方法
【0095】
出典明示によりその全体を本明細書に援用する、米国特許第5,998,402号に記載される通り、バゼドキシフェンおよびその塩類は、エストロゲン受容体に親和性を有する選択的エストロゲンアゴニストである。他のタイプのエストロゲンアゴニストと異なり、バゼドキシフェンおよびその塩類は、子宮で抗エストロゲン性であり、子宮組織でのエストロゲンアゴニストの栄養作用を拮抗できる。バゼドキシフェンのリン酸塩(リン酸エステル)は、バゼドキシフェンのプロドラッグとして作用できる(以下の実施例5を参照)。代謝中(例えば、アルカリフォスファターゼの存在下)、式:P(=O)(OH)ORを有する化合物のP−OR結合を切断して、活性薬物(HOR)を得る。従って、本明細書で説明するバゼドキシフェンビスリン酸塩、およびバゼドキシフェンビスリン酸塩を含む組成物は、エストロゲン欠乏、またはエストロゲン過剰に付随する、疾患、症状、または障害を治療あるいは防止することに関連する多くの使用を見出すことができる。これらは、子宮内膜または子宮内膜様組織の増殖または異常発達、作用または成長から生じる疾患、症状、または障害の治療方法にも使用できる。
【0096】
本開示のバゼドキシフェンのビスリン酸エステルバゼドキシフェン、およびその組成物は、例えば、溶解度および生体利用能に付随する性質を改善した。例えば、式IIのバゼドキシフェンビスリン酸塩は、バゼドキシフェンの他の形態(例えば、アスコルビン酸バゼドキシフェンの溶解度は、1.66mg/mLであると判断した。例えば、米国特許公報第2005/0227964号を参照)と比較して、向上した溶解度を示し、生体利用能の増加および用量の低下をもたらすことができる。
【0097】
本明細書で説明するバゼドキシフェンビスリン酸塩は、コレステロールの低下および骨損失を防止することにより、エストロゲンアゴニストのように機能する能力を有する。従って、バゼドキシフェンビスリン酸塩は、骨粗しょう症、前立腺肥大、男性型脱毛症、膣および皮膚萎縮、にきび、不正子宮出血、子宮内膜ポリープ、良性乳房疾患、子宮筋腫、腺筋症、卵巣癌、不妊、乳癌、子宮内膜症、子宮内膜癌、多嚢胞性卵巣症候群、循環器疾患、避妊、アルツハイマー病、認知低下およびCNS障害ならびに、メラノーマ、前立腺癌、結腸の癌、CNS癌等を含む、エストロゲン作用およびエストロゲン過剰または欠乏から生じる、多くの疾患、症状、または障害を治療するために有用である。加えて、バゼドキシフェンビスリン酸塩は、閉経前の女性の避妊ならびに、閉経後の女性のホルモン代替治療法(例えば、ほてりのような血管運動性障害を治療する治療法)に、または、エストロゲン補充が有用であるエストロゲン欠乏症状におけるホルモン代替治療法に使用できる。これらは、白血病、子宮内膜切離、慢性腎疾患または肝疾患、あるいは凝血疾患または障害等の無月経が有用である疾患でも使用できる。
【0098】
バゼドキシフェンビスリン酸塩は、骨の純損失を導く、新しい骨組織の個々の形成および古い組織の吸収の不均衡から生じ得る骨喪失を治療および予防する方法において使用できる。このような骨欠乏は、個人の範囲、特に、閉経後の女性、両側卵巣摘出した女性、コルチコステロイド療法を受けた、または長期にわたりコルチコステロイド療法を受けた者、性器発育不全を経験した者、およびクッシング症候群に罹患する者に起こる。歯および口頭骨を含む骨代替の特別な必要性は、骨折、骨構造が欠損している個人、および骨に関連する手術および/またはプロテーゼ移植を受けた者にバゼドキシフェンビスリン酸塩を使用することにも対応し得る。上述の問題に加え、バゼドキシフェンビスリン酸塩は、変形関節炎、低カルシウム血症、高カルシウム血症、パジェット病、骨軟化症、骨石灰脱失症、多発性骨髄腫、および骨組織に悪影響がある他の形態の癌の治療に使用できる。
【0099】
本明細書に挙げる疾患、症状、および障害の治療方法は、本明細書に記載しているように、バゼドキシフェンビスリン酸塩、またはその塩あるいは溶媒(例えば、ハイドレート)形態、または同等物を含む固体分散剤あるいは組成物の治療有効量を、このような治療を必要とする個人に投与するステップを含むことを理解されたい。一部の実施形態において、バゼドキシフェンビスリン酸塩は、固体分散剤の形態で投与する。本明細書で使用する、疾患に言及する「治療」という用語は、疾患の防止、阻害および/または改善を含む。
【0100】
本明細書で使用する、同義的に使用する「個人」または「患者」は、マウス、ラット、他のげっ歯、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、霊長類、またはヒト等の哺乳類を含む、任意の動物を指す。
【0101】
本明細書で使用する「治療有効量」とは、研究者、獣医、医師、または他の臨床医が求める、以下の1つもしくは複数を含む、組織、システム、動物、またはヒトに生物学的あるいは医薬的反応を引き出す、活性化合物、または医薬剤の量を指す。
(1)疾患の防止;例えば、疾患、症状、または障害の素因になり得るが、疾患の病変または症状をまだ経験または発症していない個人における、疾患、症状、または障害の防止、
(2)疾患の阻害;例えば、疾患、症状、または障害の病変または症状を経験または発症している個人における、疾患、症状、または障害の阻害(すなわち、病変および/または症状のさらなる発達を抑制または低下させる)、および
(3)疾患の改善;例えば、疾患、症状、または障害の病変または症状を経験または発症している個人における、疾患、症状、または障害の改善(すなわち、病変および/または症状の逆転)。
用量および製剤化
【0102】
本明細書で説明する、バゼドキシフェンビスリン酸塩は、様々な手段のいずれかにおいて、患者に投与するために製剤化できる。一部の実施形態において、バゼドキシフェンビスリン酸塩は、単独、すなわち、賦形剤または他の添加剤を添加せずに、投与する。例えば、本明細書で説明する、約95重量%を超える、約98重量%を超える、または約99重量%を超えるバゼドキシフェンビスリン酸塩を含む固体投与形態または分散剤(例えば、錠剤またはカプセル)を、患者に直接投与する。
【0103】
一部の実施形態において、本明細書で説明するバゼドキシフェンビスリン酸塩を、1つもしくは複数の医薬的に容認可能な担体(賦形剤)と組み合わせて、患者に投与するための医薬組成物を形成する。該組成物は、治療有効量の任意のバゼドキシフェンビスリン酸塩を含有することができる。一部の実施形態において、組成物は、約1重量%から約99重量%のバゼドキシフェンビスリン酸塩を含む。さらなる実施形態において、該組成物は、約1重量%から約50重量%のバゼドキシフェンビスリン酸塩を含む。またさらなる実施形態において、該組成物は、約1重量%から約30重量%のバゼドキシフェンビスリン酸塩を含む。またさらなる実施形態において、該組成物は、約1重量%から約20重量%のバゼドキシフェンビスリン酸塩を含む。またさらなる実施形態において、該組成物は、約1重量%から約10重量%のバゼドキシフェンビスリン酸塩を含む。
【0104】
バゼドキシフェンビスリン酸塩を含む製剤は、必要な人に、バゼドキシフェンビスリン酸塩の約0.1mgから約1000mgの範囲の日用量で、投与できる。例示的な用量の範囲としては、約10mg/日から約600mg/日、または約10mg/日から約60mg/日が挙げられる。該用量は、1日に1回または2回以上の分割量のいずれかであってよい。このような用量は、経口的、インプラントを介して、非経口的、経膣的、直腸的、および経皮的な様式を含む、血流に化合物の流入を容易にするあらゆる様式で投与できる。
【0105】
経皮的投与は、体の表面の全体、および上皮および粘膜組織を含む、体の経路の内部内張り層の全ての投与を含む。このような投与は、例えば、ローション、クリーム、コロイド、フォーム、パッチ、または懸濁剤の形態であり得る。
【0106】
本明細書で説明する、バゼドキシフェンビスリン酸塩を含む経口製剤は、以下のものに限定しないが、錠剤、カプセル、口内錠剤、トローチ、ロゼンジ剤、経口液体、および懸濁液を含む、既存で使用するあらゆる経口形態を含む。ある実施形態において、本明細書で説明する、バゼドキシフェンビスリン酸塩を含む経口製剤は、活性化合物および/または医薬的に容認可能な澱粉(例えば、トウモロコシ、じゃがいも、またはタピオカ澱粉)、砂糖、人口甘味剤、結晶または微小結晶セルロース等の粉末セルロース、小麦粉、ゼラチン、およびガム等の不活性充填剤および希釈剤の混合物を含む。
【0107】
錠剤の製剤化は、既存の圧縮法、湿式造粒法、または乾式造粒法により実施でき、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンゴム、クエン酸ナトリウム、複合ケイ酸塩、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、ケイ酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、タルク、乾燥澱粉および粉砂糖を含むが、これに限定しない医薬的に容認可能な希釈剤(充填剤)、結合剤、潤滑剤、分解剤、懸濁剤、または安定剤を使用する。本明細書で使用する経口製剤は、標準遅遅または徐放性製剤またはスパンスルを使用し得る。直腸坐剤は、坐剤の融点を変更するためにワックスを添加してまたは添加せずに、ココアバターを含む伝統的材料、およびグリセリンから生成できる。様々な分子量のポリエチレングリコール等、水溶性坐剤基剤も使用できる。
【0108】
本発明の製剤と有用であるフィルムコーティングは、当該分野において周知であり、一般的に、ポリマー(通常、セルロースポリマー)、着色剤、および可塑剤から成る。湿潤剤、砂糖、風味料、油および潤滑剤等の追加材料は、フィルムコーティング製剤に含むことができる。本明細書の組成物および製剤も、固体として併用および処理し、次に、ゼラチンカプセル等のカプセル形態にする。
【0109】
充填剤または希釈剤は、固体の経口製剤の調製に有用な、当該分野に周知のあらゆる物質であり得る。医薬的に容認可能な充填剤の例としては、ラクトース、微結晶セルロース、スクロース、マンニトール、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、粉末セルロース、マルトデキストリン、ソルビトール、澱粉、およびキシリトールが挙げられるが、これらに限定しない。
【0110】
本発明の製剤は、分解剤も含むことができる。これらの分解剤は、アルファ化澱粉および澱粉グリコール酸ナトリウムを含む、当該分野で周知のものから選択できる。有用な分解剤の例としては、クロスカメロースナトリウム、クロスポビドン、澱粉、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、粘土(例えば、ビーガムまたはキサンタンゴム)、綿状セルロース、イオン交換樹脂、または食物酸(クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、フマル酸、乳酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、エリトルビン酸、グルタミン酸、およびコハク酸等)を使用するもの等、発泡性系、およびアルカリ炭酸成分(重炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、および炭酸アンモニウム等)が挙げられるが、これらに限定しない。ある実施形態において、本明細書で有用な分解剤は、約4重量%から約40重量%、例えば、約15%から約35%、例えば、約20%から約35%の組成物からなり得る。
【0111】
いくつかの成分は、製剤中で複数の機能を有することができる。ある成分は、例えば、充填剤および分解剤の両方として作用することができる。特定の製剤の成分の機能は、その性質が複数の機能を可能とするものであっても、単一である可能性がある。
【0112】
本明細書の医薬製剤および賦形剤系は、アスコルビン酸等の抗酸化剤または抗酸化剤の混合物を含むことが可能である。使用する他の抗酸化剤は、アスコルビン酸ナトリウムおよびパルミチン酸アスコルビルを含むが、任意に、小量のアスコルビン酸と併用する。製剤の抗酸化剤量の例示的な範囲は、製剤の約0.05重量%から約15重量%、約0.5重量%から約15重量%、または約0.5重量%から約5重量%である。一部の実施形態において、医薬製剤は実質的には抗酸化剤を全く含まない。
【0113】
本明細書で説明するバゼドキシフェンビスリン酸塩を含む医薬組成物も、結合型エストロゲン、USP等、ステロイド性エストロゲンと共に製剤化できる。製剤で使用する本発明のバゼドキシフェンビスリン酸塩の量は、使用する特定の製剤、製剤中のステロイド性エストロゲンの量およびタイプならびに、考慮する特定の治療指示に従い、調整できる。一部の実施形態において、本明細書で説明するバゼドキシフェンビスリン酸塩は、望ましいレベルに特定のエストロゲンの作用を拮抗するのに十分な量で使用する。結合型エストロゲンの用量範囲は、約0.3mgから約2.5mg、約0.3mgから約1.25mg、または約0.3mgから約0.625mgであり得る。併用製剤において、本明細書で説明するバゼドキシフェンビスリン酸塩の量の例示的範囲は、約10mgから約40mgである。ステロイド性エストロゲンメストラノールにおいて、日用量は、約1μGから約150μGであり得、エチニルエストラジオールにおいて、日用量は、約1μGから300μGが使用できる。一部の実施形態において、日用量は、約2μGから約150μGの間である。
【0114】
経口製剤の例としては、本明細書で説明するバゼドキシフェンビスリン酸塩および以下の賦形剤系:
a)全製剤の約1重量%から約99重量%(重量)、例えば、全製剤の約4重量%から約45重量%の製剤の約20%から約85%の間で形成する充填剤および分解剤は、分解剤であり、
b)約0.2重量%から約15重量%の組成物を形成する潤滑剤
が挙げられる。一部の実施形態において、潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウムまたは別の金属性ステアリン酸(例えば、ステアリン酸カルシウム、またはステアリン酸亜鉛)、脂肪酸エステル(例えば、ステアリルフマル酸ナトリム)、脂肪酸(例えば、ステアリン酸)、脂肪性アルコール、ベヘン酸グリセリル、鉱油、パラフィン、水素化サラダ油、ロイシン、ポリエチレングリコール、金属性ラウリル硫酸または塩化ナトリウムである。
【0115】
例示的な製剤の充填剤、分解剤、潤滑剤および抗酸化剤における上述に挙げた割合(%)は、最終医薬組成物に基づく。最終医薬組成物の残りは、バゼドキシフェンビスリン酸塩、および例えば、追加の活性化合物および/または本明細書に記載しているように、コーティングまたはカプセル等の医薬的に容認可能な表面コーティングで構成される。一部の実施形態において、バゼドキシフェンビスリン酸塩は、最終組成物の約1重量%から約99重量%、約10から約95重量%、または約20重量%から約90重量%から成り、コーティングまたはカプセルは、製剤の最大8重量%から成る。
【0116】
バゼドキシフェンビスリン酸塩に関して使用する適切な追加の賦形剤および投与形態は、当該分野で周知であり、例えば、Remington、J.P.、Remington’s Pharmaceutical Sciences、17th Ed.、Mack Publishing Company、Easton、PA、1985に記載されており、出典明示によりその全体を本明細書に援用する。
【0117】
以下の実施例は、例証目的のために提示し、限定するものではない。当業者は、同様または類似の結果を得るために変更および修正し得る様々なパラメータを容易に認識するであろう。
実施例
実施例1:バゼドキシフェンビスリン酸塩4−2および4−3の調製
【0118】
スキーム4に示す通り、バゼドキシフェン遊離塩基(化合物4−1、941mg、2mmol)およびテトラゾール(840mg、12mmol)を50mLの乾燥テトラヒドロフランおよび塩化メチレンの1:1混合液に溶解した。窒素下で攪拌し、ジtert−ブチルジイソプロピル−ホスホラミダイト(3.3g、12mmol)を添加し、反応混合液を室温で、一晩、攪拌した。次に、30%の過酸化水素(1.2mL)を添加し、反応混合液を、1時間、攪拌した。次に、30分間、氷浴下で、過剰な過酸化水素を25mLの飽和二亜硫酸ナトリウム水溶性溶液で還元した。反応混合液を50mLの酢酸エチルで抽出し、2×50mLの二亜硫酸名トリムで洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、有機溶媒を回転蒸発(rotavap)で除去した。油状物質(3g)を分取HPLC(LunaC18カラム、50×250mm、流量=100mL/分、75%アセトニトリル(ACN)および25%20mM酢酸アンモニウム緩衝液pH=4.5を使用)で得た。バゼドキシフェンビスリン酸塩4−2(C4668)の保持時間は、10分である。回転蒸発で、回収した画分からアセトニトリルを最初に除去してから、CHClで抽出した。有機溶媒を回転蒸発で除去した。約3mLの黄色い油状物質(バゼドキシフェンビスリン酸塩4−2)を得(測定された正確な質量[M+H]855.45;計算値855.44)、次に、4mLのエタノールおよび1mLの36%HClに溶解した。反応混合液を、室温で、3時間、攪拌した後、混合液のpHを水酸化アンモニウムで約5から7に調整した。純粋な最終生成物(バゼドキシフェンビスリン酸塩4−3)を分取HPLC(同一のLunaカラム、流量=100mL/分、A=0.1%トリフルオロアセト酸(TFA)/HO、B=100%ACN;0−2分15%B、2−25分、15%Bから40%Bまで)で単離した。15分での主要なピークで生成物を回収し、凍結乾燥させた。総量237mgの白色固体を得た。バゼドキシフェンビスリン酸塩4−3(すなわち、式IIのバゼドキシフェンビスリン酸塩)の構造の特徴は、高分解能質量分析法(HRMS)により決定した(測定された正確な質量[M+H]631.20;計算値631.19)。
スキーム4
【化9】


実施例2:バゼドキシフェンビスリン酸塩4−2の特性評価
プロトンおよび炭素核磁器共鳴(H−NMRおよび13C−NMR)
【0119】
重水素化したジメチルスルホキシト(DMSO−d)中で、実施例1に従い調製したバゼドキシフェンビスリン酸塩4−2のプロトンおよび炭素NMRスペクトルは、その構造と一致した。DMSO−dを、プロトン(δ=2.50ppm)および炭素(δ=39.5ppm)の両方の内部参照として使用した。表1は、バゼドキシフェンビスリン酸塩4−2の化学シフトの帰属を要約する。
【化10】

バゼドキシフェンビスリン酸塩4−2
【表1】



実施例3:バゼドキシフェンビスリン酸塩4−3の特性評価
プロトンおよび炭素核磁器共鳴(H−NMRおよび13C−NMR)
【0120】
重水素化したジメチルスルホキシト(DMSO−d)中で、実施例1に従い調製したバゼドキシフェンビスリン酸塩4−3のプロトンおよび炭素NMRスペクトルは、その構造と一致した。DMSO−dを、プロトン(δ=2.50ppm)および炭素(δ=39.5ppm)の両方の内部参照として使用した。表2は、バゼドキシフェンビスリン酸塩4−3の化学シフトの帰属を要約する。
【化11】

バゼドキシフェンビスリン酸塩4−3
【表2】


実施例4:37℃でのバゼドキシフェンビスリン酸塩4−3の溶解度
【0121】
実施例1(それぞれ、ca.20mg)のバゼドキシフェンビスリン酸塩4−3の試料を、1mLの水を添加したバイアルに入れた。混合物を10秒間、手で振り、次に、18時間、50回転/分で、37℃の水浴に設置した。試料を、次に、シリンジディスクフィルタ(13mmの0.2μmナイロン(Whatman))を通して濾過した。濾過物をHPLCで分析した。バゼドキシフェンビスリン酸塩4−3の溶解度は、4mg/mLであると判断した。
実施例5:バゼドキシフェンビスリン酸塩4−3からバゼドキシフェンへの変換
【0122】
バゼドキシフェンビスリン酸塩4−3(20mMトリス緩衝液中5μg/mL、pH7.4)のバゼドキシフェンへの変換は、生体外でアルカリフォスファターゼを用いて観察した。アルカリフォスファターゼの濃度は、約7単位である。表3は、アルカリフォスファターゼの存在下でのバゼドキシフェンビスリン酸塩4−3のバゼドキシフェンへの生体外変換プロファイルを要約する。
【表3】


実施例6:3日間未成熟ラット子宮アッセイ
【0123】
子宮重量におけるバゼドキシフェンビスリン酸塩4−3の生体内作用を表4に示す通り、観察した。未成熟スプラーグドーレイラットを3日間、1日1回処置した(例えば、Komm et al.Endocrinology、2005、146(9)、3999−4008を参照。出典明示により、その全体を本明細書に援用する)。各群(N=6)に、エチニルエストラジオール(EE)、EE+1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル(バゼドキシフェン/BZA)、またはEE+4−3を経口投与した。ビヒクルは、2%Tween80/0.5%メチルセルロースであった。最終投与の約24時間後、動物を安楽死させ、子宮を除去し、付随する脂肪を取り除き、あらゆる内液を絞り出した後に計量した。
【表4】


実施例7:バゼドキシフェンビスリン酸塩5−5の調製
【0124】
スキーム5に示す通り、1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル(バゼドキシフェン遊離塩基;化合物5−1、3.88g、8.08mmol)およびピリジン(7.0mL、86.4mmol、11モル当量)をジクロロメタン(70mL)に溶解した。この溶液に炭酸ナトリウム(3.4g)およびオキシ塩化リン(化合物5−2、2.00mL、21.8mmol、2.7当量)を、攪拌しながら添加した。攪拌は、窒素下で続け、反応を質量分析で監視した。リン酸化(化合物5−3の製剤)が完了した時、冷たいNaOH溶液(3N、20mL)および水(300mL)を添加した。それから、混合物の水溶液部分のpHを適切な量の水溶性HCl溶液を添加することにより8〜9に調整した。ジクロロメタン(100mL)を、次に添加した。混合物を完全に混合した後、水層を分離し、濃縮HCl水溶性溶液(水層のpH値は、約1に調整した)の添加により、酸性化した。固体沈殿物を、次に、濾過により回収し、オフホワイトの固体(化合物5−5、3.10g、リン酸モノ−[1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−3−メチル−2−(4−ホスホノオキシ−フェニル)−1H−インドール−5−イル]エステル)を得た。固体5−5は分取HPLCを使用してさらに精製した。
スキーム5
【化12】


【0125】
本明細書で説明するものに加え、本開示の様々な修正は、上述の説明から、当業者には明らかであろう。このような修正も、付属の請求項の範囲内に網羅することを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】


の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩であって、
式中、
13およびR14は、それぞれ、独立して、P(=O)(OR)(OR)およびP(=O)(OR)(OR)から選択され、
、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換され、
各Rは、独立して、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、CN、NO、OR、SR、C(=O)R、C(=O)NR、C(=O)OR、OC(=O)R、OC(=O)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRS(=O)、S(=O)R、S(=O)NR、S(=O)およびS(=O)NRから選択され、
各Rは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換され、
各Rは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換され、
およびRは、それぞれ、独立して、H、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換されるか、
または、RおよびRは、結合するN原子と共に、4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する、化合物、またはその医薬的に容認可能な塩。
【請求項2】
、R、RおよびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、独立して、ハロ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OH、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、アリールアルキルオキシ、ヘテロアリールアルキルオキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノ、C2−8ジアルキルアミノ、SH、−S−(C1−4アルキル)、C(=O)H、C(=O)−(C1−4アルキル)、C(=O)−(アリール)、C(=O)−(アリールアルキル)、C(=O)NH、C(=O)NH(C1−4アルキル)、C(=O)N(C1−4アルキル)、C(=O)OH、C(=O)O−(C1−4アルキル)、C(=O)O−(アリールアルキル)、OC(=O)H、OC(=O)−(C1−4アルキル)、OC(=O)−(アリール)、OC(=O)−(アリールアルキル)、OC(=O)NH、OC(=O)NH(C1−4アルキル)、OC(=O)NH−(アリールアルキル)、OC(=O)N(C1−4アルキル)、NHC(=O)−(C1−4アルキル)、NHC(=O)−(アリール)、NHC(=O)−(アリールアルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)−(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)−(アリール)、N(C1−4アルキル)C(=O)−(アリールアルキル)、NHC(=O)O−(アリールアルキル)、NHC(=O)O−(C1−4アルキル)、NHC(=O)O−(アリールアルキル)、NHC(=O)NH(C1−4アルキル)、NHC(=O)NH−(アリール)、NHC(=O)NH−(アリールアルキル)、NHC(=O)NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)NH(C1−4アルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)NH−(アリール)、N(C1−4アルキル)C(=O)NH−(アリールアルキル)、N(C1−4アルキル)C(=O)NH(C1−4アルキル)、NHS(=O)−(C1−4アルキル)、NHS(=O)−(アリール)、NHS(=O)−(アリールアルキル)、S(=O)−(C1−4アルキル)、S(=O)−(アリール)、S(=O)−(アリールアルキル)、S(=O)NH(C1−4アルキル)、S(=O)NH(アリール)、およびS(=O)NH(アリールアルキル)から選択される、1、2、3、4または5つの置換基により任意に置換される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、独立して、ハロ、C1−4アルキル、C1−4ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロシクロアルキルアルキル、CN、NO、OH、C1−4アルコキシ、C1−4ハロアルコキシ、アミノ、C1−4アルキルアミノおよびC2−8ジアルキルアミノから選択される、1、2または3つの置換基により任意に置換される、請求項1または請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択される、請求項1から3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−10アルキルおよびC1−10ハロアルキルから選択される、請求項1から4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、C1−6アルキルおよびC1−6ハロアルキルから選択される、請求項1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、およびC1−6アルキルから選択される、請求項1から6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、H、保護基、およびC1−4アルキルから選択される、請求項1から7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、Hおよびtert−ブチルから選択される、請求項1から8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
、R、R、およびRは、それぞれ、C1−6アルキルである、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
、R、R、およびRは、それぞれ、tert−ブチルである、請求項1から10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
式Ia:
【化2】

Ia
の構造を有するか、またはその医薬的に容認可能な塩である、前述の請求項のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
式II:
【化3】

II
の構造を有するか、またはその医薬的に容認可能な塩である、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を含む、医薬組成物。
【請求項15】
医薬的に容認可能な担体をさらに含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物、および1つもしくは複数のステロイド系エストロゲンを含む、医薬組成物。
【請求項17】
前記ステロイド系エストロゲン成分は、結合型エストロゲンを含む、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
治療を必要とする動物において、エストロゲン欠乏、またはエストロゲンの過剰に付随する疾患、症状、または障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む、方法。
【請求項19】
治療を必要とする動物において、子宮内膜組織の増殖、または異常発達に付随する疾患、または障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む、方法。
【請求項20】
避妊の治療を必要とする閉経前の女性において、避妊を治療する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む、方法。
【請求項21】
コレステロールの低下を必要とする哺乳類において、コレステロールを低下させる方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む、方法。
【請求項22】
血管運動障害の治療を必要とする閉経後の女性において、1つもしくは複数の血管運動障害を治療する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む、方法。
【請求項23】
前記血管運動障害は、ほてりである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
治療を必要とする閉経後、またはエストロゲン欠乏の女性において、骨脱灰を阻害または遅延する、あるいは骨粗しょう症を治療または阻害する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物、および結合型エストロゲンを投与するステップを含む、方法。
【請求項25】
閉経期または閉経後の障害の治療を必要とする閉経後、またはエストロゲン欠乏の女性において、閉経期または閉経後の障害を治療または阻害する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物、および結合型エストロゲンを投与するステップを含む、方法。
【請求項26】
骨喪失の治療を必要とする哺乳類において、骨喪失を阻害する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む、方法。
【請求項27】
乳癌の治療を必要とする哺乳類において、乳癌を治療する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む、方法。
【請求項28】
以下の化合物を必要とする哺乳類に、1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル(バゼドキシフェン)を送達する方法であって、治療有効量の請求項1に記載の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩、もしくは水和物を投与するステップを含む、方法。
【請求項29】
前記哺乳類は、女性である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記女性は、エストロゲン欠乏またはエストロゲン過剰に付随する疾患、症状または障害、閉経後の女性における子宮内膜組織の増殖または異常発達、避妊、高コレステロール、1つもしくは複数の血管運動障害に付随する疾患または障害、閉経後またはエストロゲン欠乏の女性における閉経期または閉経後の障害、閉経後またはエストロゲン欠乏の女性における骨脱灰または骨粗しょう症、骨喪失、および乳癌の1つもしくは複数に罹患する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
治療法に使用するための、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項32】
哺乳類において、エストロゲン欠乏、またはエストロゲン過剰に付随する疾患、症状、または障害を治療するための、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
薬物としての、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項34】
哺乳類におけるエストロゲン欠乏、またはエストロゲン過剰に付随する疾患、症状、または障害を治療するための薬物の製造において、請求項1から13のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項35】
式II:
【化4】

II
の化合物、またはその医薬的に容認可能な塩を調製する合成方法であって、
請求項1に記載の式Iの化合物、またはその塩を形成するステップと、
式Iの化合物を加水分解して、式IIの化合物を形成するステップと、
を含む、合成方法。
【請求項36】
、R、R、およびRは、それぞれ、C1−6アルキルである、請求項35に記載の合成方法。
【請求項37】
、R、R、およびRは、それぞれ、tert−ブチルである、請求項35に記載の合成方法。
【請求項38】
式Iの前記化合物を加水分解する前記ステップは、水の存在下で、式Iの化合物を無機酸と反応させるステップを含む、請求項35から37のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項39】
前記無機酸は、HCIである、請求項38に記載の合成方法。
【請求項40】
(i)塩基の存在下で、バゼドキシフェン(1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル)を、式(a)または式(b):
【化5】

(a) (b)
を有する化合物またはその混合物と反応させ、式(c):
【化6】

(c)
の化合物を形成するステップと、
(ii)式(c)の前記化合物を、酸化試薬と反応させ、式Iの化合物を形成するステップと、
をさらに含み、
ここで、
11およびR12は、それぞれ、独立して、P(OR)(OR)および−P(OR)(OR)から選択され、
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、それぞれ、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換されるか、または、
およびRは、結合するN原子と共に、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換される4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する、
および/またはRおよびRは、結合するN原子と共に、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換される、4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する、請求項35に記載の合成方法。
【請求項41】
ステップ(i)の前記化合物は、前記式(a)を有する化合物であり、
11およびR12は、それぞれ、P(OR)(OR)であり、
13およびR14は、それぞれ、P(=O)(OR)(OR)である、請求項40に記載の合成方法。
【請求項42】
式I:
【化7】


の化合物、またはその塩を調製する合成方法であって、
(i)塩基の存在下で、バゼドキシフェン(1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル)を、式(a)または式(b):
【化8】


を有する化合物またはその混合物と反応させ、式(c):
【化9】

(c)
を形成するステップと、
(ii)式(c)の前記化合物を、酸化試薬と反応させ、式Iの化合物を形成するステップと、
を含み、
ここで、
11およびR12は、それぞれ、独立して、−P(OR)(OR)および−P(OR)(OR)から選択され、
13およびR14は、それぞれ、独立して、−P(=O)(OR)(OR)および−P(=O)(OR)(OR)から選択され、
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、保護基、C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−10アルキル、C1−10ハロアルキル、C2−10アルケニル、C2−10アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換され、
各Rは、独立して、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、CN、NO、OR、SR、C(=O)R、C(=O)NR、C(=O)OR、OC(=O)R、OC(=O)NR、NR、NRC(=O)R、NRC(=O)OR、NRS(=O)、S(=O)R、S(=O)NR、S(=O)、およびS(=O)NRから選択され、
、R、R、およびRは、それぞれ、独立して、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、それぞれ、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換される、または、
およびRは、結合するN原子と共に、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換される、4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する、
および/またはRおよびRは、結合するN原子と共に、任意に、1、2、3、4または5つのRにより置換される、4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成し、
各Rは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換され、
各Rは、独立して、H、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換され、
およびRは、それぞれ、独立して、H、C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルから選択され、前記C1−10アルキル、C1−6ハロアルキル、C2−6アルケニル、C2−6アルキニル、アリール、ヘテロアリール、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルアルキルおよびヘテロシクロアルキルアルキルのそれぞれは、任意に、OH、C1−6アルコキシ、C1−6ハロアルコキシ、アミノ、ハロ、C1−6アルキル、C1−6ハロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルにより置換される、
または、RおよびRは、結合するN原子と共に、4、5、6または7員ヘテロシクロアルキル基を形成する、合成方法。
【請求項43】
およびRは、それぞれ、独立して、保護基、C1−10アルキル、およびシクロアルキルから選択される、請求項42に記載の合成方法。
【請求項44】
およびRは、それぞれ、独立して、C1−10アルキルおよびシクロアルキルから選択されるか、
または、RおよびRは、結合するN原子と共に、任意に、1つもしくは複数のC1−6アルキルまたはC1−6アルコキシにより置換される、ヘテロシクロアルキル基を形成する、請求項42または43に記載の合成方法。
【請求項45】
ステップ(i)の前記化合物は、前記式(a)を有する化合物であり、
11およびR12は、それぞれ、−P(OR)(OR)であり、
13およびR14は、それぞれ、−P(=O)(OR)(OR)である、請求項42から44のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項46】
およびRは、それぞれ、C1−10アルキルであり、
およびRは、それぞれ、C1−10アルキルであり、
ステップ(i)の前記塩基は、テトラゾールであり、
ステップ(ii)の前記酸化試薬は、過酸化水素である、請求項45に記載の合成方法。
【請求項47】
式II:
【化10】

II
の化合物、またはその塩を調製する合成方法であって、
(i)有機塩基および無機塩基の存在下で、バゼドキシフェン(1−[4−(2−アゼパン1−イル−エトキシ)−ベンジル]−2−(4−ヒドロキシ−フェニル)−3−メチル−1H−インドール−5−オル)を、各Xが、独立して、ハロである、式P(=O)(Xを有する化合物と反応させ、式(d1):
【化11】

(d1)
の化合物を形成するステップと、
(ii)塩基の存在下で、式(d1)の化合物を加水分解し、式IIの化合物の塩を形成するステップと、
(iii)任意に、式IIの化合物、またはその塩を単離するステップと、
を含む、合成方法。
【請求項48】
ステップ(i)の前記式:P(=O)(Xを有する前記化合物は、P(=O)Clである、請求項47に記載の合成方法。
【請求項49】
前記式:P(=O)(Xを有する前記化合物の前記量は、ステップ(i)のバゼドキシフェンの量に対して、約2から約3モル当量の間である、請求項47または48に記載の合成方法。
【請求項50】
ステップ(i)の前記有機塩基は、ピリジンであり、ステップ(i)の前記無機塩基は、炭酸ナトリウムである、請求項47から49のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項51】
前記ピリジンの量は、バゼドキシフェンの量に対して、約9から13モル当量の間であり、前記炭酸ナトリウムの量は、バゼドキシフェンの量に対して、約4から約6モル当量の間である、請求項50に記載の合成方法。
【請求項52】
ステップ(i)の前記反応は、極性非プロトン性有機溶媒を含有する溶媒系中で実行される、請求項47から51のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項53】
ステップ(ii)の式(d1)の前記化合物の加水分解に使用する前記塩基は、アルカリ金属水酸化物である、請求項47から52のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項54】
前記方法は、式IIの化合物またはその前記塩を単離するステップを含む、請求項47から53のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項55】
ステップ(iii)は、水溶液から式IIの前記化合物を沈殿させるステップを含む、請求項47から54のいずれか1項に記載の合成方法。
【請求項56】
ステップ(iii)は、
ステップ(ii)で形成された、式IIの前記化合物の塩を含有する水溶液を酸性化するステップと、
前記酸性化水溶液から式IIの前記化合物を沈殿させるステップと、
を含む、請求項47から55のいずれか1項に記載の合成方法。

【公表番号】特表2010−520218(P2010−520218A)
【公表日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−551853(P2009−551853)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際出願番号】PCT/US2008/055326
【国際公開番号】WO2008/106600
【国際公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(591011502)ワイス エルエルシー (573)
【Fターム(参考)】