説明

バッテリパック温度最適化制御システム

【課題】自動車がターンオフされた後に、電気自動車の電気エネルギー貯蔵システム(ESS)に対する温度の悪影響を制限するための方法および装置が提供される。
【解決手段】一般に、エネルギー貯蔵システムに結合した冷却液ループを通して冷却液が循環するか否かは、周囲温度と、エネルギー貯蔵システムの温度に通常相当するプリセット温度との差に依存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2009年2月20日に出願された米国特許出願第12/378,909号の一部継続出願であり、その開示は、任意のまたすべての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般に、電気自動車に関し、より詳細には、電気自動車のエネルギー貯蔵システムの温度を効率的に制御する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
著しく多くの割合の世界の自動車が、内部燃焼機関を使用してガソリンで走行する。こうした自動車の使用、より具体的には、化石燃料、例えば、ガソリンに依存する自動車の使用は2つの問題を生じる。第1に、こうした燃料の規模が有限であるため、また、地域的利用可能性が制限されるため、ガソリンのコストにおける大きな価格変動およびほぼ上向きの価格付け傾向が一般的であり、共に、消費者レベルでの劇的な影響を及ぼしうる。第2に、化石燃料の燃焼は、二酸化炭素、温室効果ガスの主要な発生源のうちの1つであり、そのため、地球からの警告に対する主要な寄与者のうちの1つである。したがって、個人用自動車と商業用自動車の両方で使用するための代替のドライブシステムを見出すことにかなりの努力が費やされてきた。
【0004】
電気自動車は、内部燃焼ドライブトレインを使用する自動車に対する最も有望な代替法のうちの1つを提供する。しかし、うまくいくためには、電気自動車は、性能、走行距離、信頼性、寿命、およびコストに関する消費者の期待に応えなければならない。これらの期待は、次に、電気自動車の充電式バッテリのデザインおよび構成にかなりの重要性を置く。それは、バッテリが、現在のところ、電気ドライブトレインに関連する最も費用のかかるコンポーネントのうちの1つであると共に、自動車の走行距離に対する主要な制限のうちの1つであるからである。さらに、バッテリ寿命の制限は、自動車の長期信頼性に直接影響を及ぼし、高いバッテリ置換コストによって明らかに悪化する問題を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第12/378,909号明細書
【特許文献2】米国特許出願第11/786,108号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、当技術分野で必要とされるものは、過度の付加コストを招くことなく、バッテリパックの寿命を延長する手段である。本発明は、そのような手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バッテリ寿命に対する温度の悪影響を制限する、より具体的には、電気自動車がターンオフされた後に、電気自動車の電気エネルギー貯蔵システム(energy storage system)(ESS)に対する温度の悪影響を制限する。本発明によれば、ESSに結合した冷却液ループを通して冷却液が循環するか否かは、周囲温度と、ESSの温度に通常相当するプリセット温度との差に、少なくとも部分的に依存する。
【0008】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、電気自動車用の熱管理システムが開示され、システムは、ESS、ESSに熱的に連通する冷却システム、冷却システムに結合され、かつ、冷却システムに対する制御を提供する温度制御システムからなる。冷却システムはさらに、冷却液ループ内の冷却液と、冷却液ポンプと、冷却液ループに結合したラジエターとを備える。温度制御システムは、自動車のオン/オフ状態を監視する自動車状態モニタと、周囲温度モニタと、周囲温度をプリセット温度と比較する比較器回路と、比較器回路からの出力に基づいて冷却システムに制御信号を供給する冷却システムコントローラとを含む。システムはさらに、ESS温度センサを備えてもよく、プリセット温度がESS温度にセットされてもよい。システムはさらに、ESS温度センサおよびESS温度をプリセットESS目標温度範囲と比較する第2比較器回路を備えてもよく、冷却システムコントローラからの出力は、第2比較器回路からの出力に基づいてもよい。システムはさらに、ESS温度センサおよびESS温度を複数のプリセットESS目標温度範囲と比較する複数の比較器回路を備えてもよく、冷却システムコントローラからの出力は、複数の比較器回路からの出力に基づいてもよい。熱管理システムはさらに、独立の冷凍システムおよび冷凍システムと冷却システムの両方に熱的に連通する熱交換器を備えてもよい。熱管理システムはさらに、冷却液ループに熱的に連通する加熱器を備えてもよい。熱管理システムはさらに、SOCセンサを備えてもよく、冷却システムコントローラは、測定されたSOCが、プリセット目標SOCより小さい場合、冷却システムに停止信号を出力する。
【0009】
本発明の少なくとも1つの実施形態では、電気自動車の電気パワートイレインに結合したESSの温度を制御する方法が開示され、方法は、a)自動車の動作状態を監視するステップを含み、自動車がオフ状態にある場合、方法は、b)現在の周囲温度を確定するステップと、c)現在の周囲温度をプリセット温度と比較するステップと、d)現在の周囲温度がプリセット温度より低い場合、ESS冷却システムの冷却液ループを通して冷却液を循環させるステップと、e)現在の周囲温度がプリセット温度より高い場合、冷却液の循環を一時停止するステップと、f)ステップb)からステップe)を繰返すステップで継続される。方法はさらに、現在のESS温度を確定するステップと、プリセット温度を現在のESS温度にセットするステップとを含みうる。方法はさらに、現在のESS温度を確定するステップと、現在のESS温度をESS目標温度と比較するステップと、現在のESS温度がESS目標温度より低い場合、冷却液の循環を一時停止するステップとを含みうる。方法はさらに、現在のESS温度を確定するステップと、現在のESS温度をESS目標温度範囲と比較するステップと、現在のESS温度がESS目標温度範囲より低い場合、冷却液の循環を一時停止するステップと、現在のESS温度がESS目標温度範囲より高い場合、ESS冷却液ループを通して冷却液を循環させ、かつ、冷凍システムを動作させるステップとを含みうる。方法はさらに、現在のESS温度を確定するステップと、現在のESS温度をESS目標温度範囲と比較するステップと、現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲より低い場合、ESS冷却液ループを通して冷却液を循環させ、かつ、加熱器を動作させるステップとを含みうる。方法はさらに、ESSについて現在のSOCを確定するステップと、現在のSOCをプリセット目標SOCと比較するステップと、現在のSOCがプリセット目標SOCより低い場合、ESS冷却を終了させるステップを含みうる。現在の周囲温度を確定するステップはさらに、少なくとも1つの周囲温度モニタを監視するステップを含んでもよく、または、ローカル時間/位置を確定するステップと、ローカル時間/位置の関数として周囲温度を提供するデータベースにアクセスするステップとを含んでもよい。
【0010】
本発明の性質および利点のさらなる理解は、本明細書および図面の残りの部分を参照して認識されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】セル電圧および放電容量に対する温度の影響をグラフで示す図である。
【図2】バッテリ容量に対する温度サイクルの影響をグラフで示す図である。
【図3】バッテリ寿命に対する貯蔵温度の影響をグラフで示す図である。
【図4】平均ESS温度の変動対周囲温度の変動をグラフで示す図である。
【図5】本発明の好ましい実施形態によってデザインされたESS冷却システムに関わる主要な自動車サブシステムの高レベル図である。
【図6】本発明によるESS冷却システムの一実施形態の略図である。
【図7】1つの好ましい実施形態のプロセスを示す図である。
【図8】図7に示すプロセスのわずかな変更を示す図である。
【図9】2重冷却技法を利用する代替のプロセスを示す図である。
【図10】マルチゾーンESS冷却システムの実施形態の略図である。
【図11】図10に示すマルチゾーンESS冷却システムを使用するプロセスを示す図である。
【図12】ルックアップテーブルを使用する代替のプロセスを示す図である。
【図13】周囲温度を確定するためにローカル時間およびロケーションを使用する代替のプロセスを示す図である。
【図14】ESS SOC監視ステップを付加された、図9に示すプロセスと同様の代替のプロセスを示す図である。
【図15】低いESS温度を制限することを付加された、図9に示すプロセスと同様の代替のプロセスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下のテキストにおいて、用語「バッテリ(battery)」、「セル(cell)」、および「バッテリセル(battery cell)」は、交換可能に使用されてもよく、また、限定はしないが、リチウムイオン(例えば、リチウム鉄燐酸塩、リチウムコバルト酸化物、他のリチウム金属酸化物など)、リチウムイオンポリマー、ニッケル金属水素化物、ニッケルカドミウム、ニッケル水素、ニッケル亜鉛、銀亜鉛、または他のバッテリタイプ/構成を含む、種々の異なる充電式セル化学物質および構成のうちの任意の化学物質を指してもよい。本明細書で使用される用語「バッテリパック(battery pack)」は、単一ピースまたは複数ピースハウジング内に収容される複数の個々のバッテリを指し、個々のバッテリは、特定の用途について所望の電圧および容量を達成するために電気的に相互接続される。用語「エネルギー貯蔵システム(energy storage system)」および「ESS」は、交換可能に使用され、また、バッテリまたはバッテリパックなどの、充放電する能力を有する電気エネルギー貯蔵システムを指してもよい。本明細書で使用される用語「EV」は、全電気自動車を指す。用語「ハイブリッド(hybrid)」、「ハイブリッド電気自動車(hybrid electric vehicle)」、および「HEV」は、交換可能に使用され、また、2重推進システムを使用する自動車を指してもよく、2重推進システムの一方は電気モータであり、他方は燃焼機関である。用語「プラグインハイブリッド自動車(plug−in hybrid vehicle)」および「PHEV」は、交換可能に使用され、また、オンボードバッテリを充電するために、パワーグリッドなどの外部電力源にプラグインされうるハイブリッド自動車を指してもよい。本明細書で使用される用語「電気自動車(electric vehicle)」は、EV、HEV、またはPHEVを指す。最後に、複数の図に関して使用される同一の要素シンボルは、同等の機能の1つまたは複数の同じコンポーネントを指す。
【0013】
図1〜3は、バッテリ性能に対する温度の悪影響を示す。異なるバッテリパック、例えば、異なるセル化学物質を使用するバッテリパックは、図1〜3に示すプロファイルと異なるプロファイルを示すことになること、また、これらの図は、制限的でなく、例示的であることを意味されるだけであることが理解されるべきである。
【0014】
図1は、例示的なバッテリのセル電圧および放電容量に対する温度の影響を示すグラフである。図において、曲線101は40℃の温度に相当し、曲線103は30℃の温度に相当し、曲線105は20℃の温度に相当する。示すように、20℃から40℃までの動作温度の上昇は、放電容量を劇的に改善し、こうしたバッテリパックを使用する電気自動車についてのドライビング走行距離の改善をもたらしうる。温度の上昇はまた、インピーダンスを低減し、より速い加速を可能にする。しかし、高温での動作の欠点は、こうした温度がバッテリ寿命に及ぼす影響、特に、バッテリ寿命の短縮である。高温についての別の悪影響は、温度が上昇するにつれて、バッテリが、通常、回復不能なより大きな容量損失を示すことになることである。このバッテリ特性は、図2に示され、図2において、曲線201は、35℃で温度サイクルをかけたバッテリパックについてのものであり、曲線203は、55℃で温度サイクルをかけたバッテリパックについてのものである。図示するように、バッテリの貯蔵温度を減少させることによって、より多くのサイクルにわたってはるかに高い容量を保持することができる。この同じ影響は、異なる方法で図3に示され、図3において、放電容量は、バッテリ貯蔵時間の関数としてグラフ化される。この図が示すことは、0℃の貯蔵温度において、バッテリ寿命の低下は非常に小さく(曲線301)、20℃の貯蔵温度において、影響が少し顕著であり(曲線303)、40℃の貯蔵温度において、容量の低下は、おそらく一部の用途については許容可能であるがよりはるかに顕著であり(曲線305)、一方、60℃の貯蔵温度において、バッテリ寿命低下は、ほとんどの制限された用途の場合を除いて、急激すぎて許容可能でない(曲線307)ということである。
【0015】
自動車がターンオフされた後に、すなわち、キーまたは他のオン/オフコントロールスイッチが「オフ(off)」位置に回された後に、バッテリ寿命に対する温度の悪影響を制限するために、本発明のシステムは、周囲温度を考慮しながら、最適冷却手法を確定する。本発明の好ましい実施形態では、自動車が、充電用電力源にプラグインされていなくても、アクティブ冷却が継続してもよい。
【0016】
本発明は、従来の電気自動車のバッテリパックが、通常、比較的高い熱質量を有し、周囲温度の変化に対する耐性を持つという認識に基づく。したがって、本発明者等が発見したことによれば、一部の例では、バッテリパックを通して冷却液を循環させることが、反生産的である可能性があることである。それは、バッテリパック全体にわたる冷却液の流れが、温度変化に対するバッテリパックの耐性に優り、それにより、バッテリパックが、そうでなければ達成されることになるよりもおそらく悪くなる平衡温度により迅速に達するからである。この影響は図4に示される。曲線401は、米国西部のロケーションにおいて夏の間の3日の期間にわたる周囲温度の変動を表す。図示するように、温度は、37℃の高温と14℃の低温との間で変わる。曲線403は、この環境にさらされる代表的なバッテリパックについての平均バッテリパック温度の変動を表す。この曲線は、試験の始めに、自動車のアクティブバッテリパック冷却システムがターンオフされ、その時点で、バッテリパックおよび周囲温度が25℃であることを仮定する。曲線403はさらに、試験の過程全体を通してアクティブバッテリパック冷却システムがまったく使用されないことを仮定する。その熱質量のため、平均バッテリパック温度は、同じ期間にわたって30.5℃の高温と22.5℃の低温との間で変わるだけであり、そのため、周囲温度にわたる温度履歴プロファイルの改善を明確に示す。もちろん、このプロファイルは平均温度についてのものであるため、バッテリパック全体にわたってセル温度を監視すること、そのため、外側バッテリパック表面の近くに配置されるセルを含む、バッテリセルがすべて、許容される温度範囲内にあるままであることを保証することが重要であることが理解されるであろう。
【0017】
図5は、本発明の好ましい実施形態によってデザインされたESS冷却システムに関わる主要な自動車サブシステムの高レベル図である。自動車は、本発明の機能を依然として保持しながら、他のシステム構成を利用しうることが理解されるであろう。図示するように、システム500は、電力エレクトロニクスモジュール505を介して自動車推進電気モータ503に結合した電気エネルギー貯蔵システム(ESS)501を含む。好ましい実施形態では、ESS501はバッテリパックからなる。モータ503は、単一電気モータまたは複数電気モータであり、また、任意のタイプの電気自動車、すなわち、EV、HEV、またはPHEVにおいて使用されうる。電力エレクトロニクスモジュール505は、モータ503に送出される電力が所望の電圧、電流、波形などを有することを保証するのに使用される。そのため、例えば、電力エレクトロニクスモジュール505は、通常、DC−AC変換器を含む。電力エレクトロニクスモジュールは、パッシブ電力デバイス(例えば、過渡フィルタリングキャパシタおよび/またはインダクタ)、アクティブ電力デバイス(例えば、半導体および/または電気機械スイッチングデバイス、回路保護デバイスなど)、検知デバイス(例えば、電圧、電流および/または電力フローセンサなど)、ロジック制御デバイス、通信デバイスなどからなってもよいことが理解されるべきである。ESS501には、温度制御システム509の制御下でESS冷却サブシステム507が結合される。少なくとも1つの実施形態では、ESS冷却サブシステム507は、温度管理システム内でESS加熱サブシステム511と組み合わされる。
【0018】
一般に、ESS501についての許容される温度範囲ならびにESS501内でセルごとに許容される温度変動は、車が動作していないときにより大きい。したがって、少なくとも1つの好ましい実施形態では、本発明のシステムは、車が走行していないときに実施されるだけである。車が「オフ」状態にあるかどうかを判定するために、自動車状態センサ513は、車の状態を、すなわち、車が動作しているかまたはスタンドバイモード(例えば、保管中、充電中、オン/オフスイッチをオフ位置にした状態での駐車など)にあるかを監視する。センサ513は、温度制御システム509に結合し、車が動作している否かを指示する信号をシステム509に出力する。
【0019】
温度制御システム509は、温度センサ515を使用してESS501の温度を監視する。センサ515は、種々の温度検知素子の任意の素子、例えば、熱電対、サーミスタ、抵抗温度検出器(resistance temperature detector)(RTD)などを使用しうる。図5は単一の代表的なセンサ515を示すだけであるが、複数のセンサ515が、好ましくはESS501全体にわたって配置されることが理解されるべきであり、それにより、ESS501の平均温度ならびにESSの最も内側と最も外側との間の温度勾配が確定されることが可能になる。1つまたは複数の温度センサ517はまた、温度制御システム509に結合され、センサ517は、周囲温度データをシステムに提供する。
【0020】
図6は、本発明の好ましい実施形態と共に使用されうる熱管理システム600の略図である。システムは、熱交換器605を介して冷凍サブシステム603に結合したESS冷却サブシステム601を含む。本明細書では詳細に述べられないが、電気自動車用の熱管理システムはまた、通常、加熱、換気、および冷却(heating, ventilation and cooling)(HVAC)サブシステム、ならびに、例えば、その開示が任意のまたすべての目的のために本明細書に組み込まれる、2007年4月11日に出願された共係属中の共譲渡された米国特許出願第11/786,108号に記載されるパワートレイン冷却サブシステムを含むことになることが理解されるべきである。
【0021】
好ましくは、冷凍サブシステム603は、当業者によってよく知られているように、標準的な冷凍サブシステムである。したがって、冷凍サブシステム603は、圧縮器607、凝縮器609、ファン611、感温膨張弁613、ドライヤ/セパレータ615、および熱交換器605からなる。圧縮器607は、サブシステム内の低温冷媒蒸気を圧縮して高温蒸気にする。冷媒蒸気は、その後、凝縮器609を通過するときに、捕捉した熱の一部分を消散させ、それにより、蒸気から液体への相変化がもたらされ、液体は高温でかつ高圧のままとなる。好ましくは、圧縮器607の性能は、図示するブロワーファン611を使用することによって強化される。液相冷媒は、その後、熱膨張弁613を通過し、熱膨張弁613は、冷媒の温度と圧力を共に下げると共に、熱交換器605内への冷媒の流量を制御する。熱交換器605は、サブシステム603内に含まれる冷媒と、ESS冷却サブシステム601または他の熱サブシステム、例えば、HVACまたはドライブトレイン冷却サブシステム内に含まれる冷却液との間で熱を伝達させる単純な手段を提供する。熱交換器605で加熱された後、冷媒は、ドライヤ/セパレータ615によって液相および蒸気相に分離され、そのため、蒸気だけが圧縮器607を通過することを保証する。冷凍サブシステム603が好ましいが、本発明は、他の冷凍サブシステム構成を利用しうることが理解されるべきである。好ましくは、どんな冷凍サブシステム構成が使用されても、その冷凍サブシステムは、本明細書で述べるように、バッテリ冷却サブシステムと協調して使用されうる熱交換器を含む。
【0022】
ESS冷却サブシステム601は、冷却液、すなわち、熱伝達媒体を含む冷却液ループ617に結合したESS501を含む。通常の電気自動車では、冷却液は、例えば、循環ポンプ619によってバッテリパックに結合された熱伝達板(図示せず)によって、ESS501を通して圧送される。ESS501から熱を取出した後、冷却液が、冷却液ループ617を通して循環するため、冷却液は、熱交換器605内の冷媒との熱伝達によって冷却される。好ましくは、バッテリ冷却サブシステムはまた、冷却液リザーバ621を含む。周囲温度を使用してシステムを効率的に冷却するために、好ましくは、冷却サブシステム601はまた、冷却液ループ617に結合したラジエター623を含む。ラジエターの使用を仮定すると、好ましくは、その性能は、図示するブロワーファン625によって強化される。さらに、本発明の少なくとも1つの実施形態では、また、先に述べたように、冷却液ループ617はまた、加熱器627(例えば、PTC加熱器)に熱的に結合し、そのため、ESS501の温度が、周囲温度によらず、好ましい動作範囲内に維持されうることを保証する。
【0023】
冷凍サブシステム603によってESS冷却サブシステム601に供給される冷却の量を制御する多数の方法が存在することが理解されるであろう。例示的な手法は、ESS冷却サブシステム601を通る冷却液の流量、そのため、熱交換器605によって達成される冷却のレベルを制御するための弁、例えば、冷却液ループ617内の弁の使用を含む。代替の例示的な手法では、冷却液循環ポンプ619の速度は、システムによって達成される冷却の程度を制御するために変わる。
【0024】
図7は、本発明の一実施形態の方法を示す。自動車がターンオフされる(ステップ701)と、自動車状態モニタ513は、適切な信号を温度制御システム509に送信する。温度制御システム509は、その後、例えば、ESS501全体にわたって配置される温度センサ515を使用して、ESS501の温度を確定する(ステップ703)。平均温度は、すべてのESS温度センサ515からの出力に基づいて計算されうるが、好ましくは、監視されるESSの最も高い温度が、次の動作ステージを確定するときに使用され、そのため、バッテリパック内の個々のセルがすべて所望の温度範囲内にあることが保証される。
【0025】
ESS温度を確定した後、温度制御システム509は、例えば、単純な比較器回路519を使用して、ESS温度を目標温度と比較する(ステップ705)。通常、目標温度は、自動車の製造業者によってセットされることになる。好ましくは、目標温度は、20℃〜55℃の範囲にセットされ、より好ましくは、目標温度は、20℃〜40℃の範囲にセットされ、なおより好ましくは、目標温度は、20℃〜30℃の範囲にセットされ、さらになおより好ましくは、目標温度は、20℃〜25℃の範囲にセットされ、さらになおより好ましくは、目標温度は、20℃にセットされる。ESS温度が目標温度以下である場合、温度制御システム509の冷却システムコントローラ521は、バッテリ冷却システムをターンオフする(ステップ707)。監視されるESS温度が目標温度より高い場合、周囲温度が、センサ517を使用して確定され(ステップ709)、プリセット周囲温度限界と比較される(ステップ711)。この実施形態では、周囲温度がプリセット周囲温度限界より低い場合、最低限、冷却システムコントローラ521は、冷却液ループ617、ESS501、および好ましくは、ラジエター623を通して冷却液を圧送する。周囲温度がプリセット周囲温度限界より高い場合、冷却システムコントローラ521は、バッテリ冷却システムをターンオフし(ステップ715)、それにより、ESS501を通る冷却液の流れを防止する。
【0026】
図7に示すプロセスでは、ESS冷却システムがターンオフされる(すなわち、ステップ707および715)とき、システムは、プロセスループ717および719によってESS温度を監視し続ける。これらのプロセスループは、ESS温度が、所望より高い温度で平衡に達しないことを保証する。同様に、ESS冷却システムが動作する(すなわち、ステップ713)とき、システムは、プロセスループ721によってESS温度を監視し続ける。
【0027】
状況によっては、ESS501の熱質量などのシステム細目に応じて、ステップ705で使用されるESS目標温度は、ステップ711で使用されるプリセット周囲温度限界より高くてもよいことが理解されるであろう。例えば、図4に示すバッテリパックについて、ESS目標温度および周囲温度限界が共に、33℃にセットされた場合、ESS冷却システム動作は、曲線401が33℃より低下すると始動されるであろう。ESS冷却システム動作中に、ループ617を通る冷却液循環だけが始動され、冷凍システム603の動作はないと仮定すると、冷却液圧送は、実際には、冷却液圧送がない状態で達成される温度を超えてESS501の温度を上げるであろう。他方、この例において、周囲温度限界が20℃にセットされた場合、ESS冷却システム動作は、最小であるが、はるかに効率的であることになる。
【0028】
図8は、図7に示すプロセスの好ましい変更形態を示す。このプロセスでは、周囲温度が確定された(ステップ709)後、周囲温度が、ESS温度と比較される(ステップ801)。周囲温度が、監視されるESS温度より低い場合、冷却液が、冷却液ループ617を通して循環され(ステップ713)、それにより、ESS501の温度を下げる。周囲温度が、監視されるESS温度より高い場合、冷却システムコントローラ521は、ESS冷却システムをターンオフし(ステップ715)、それにより、ESS501を通した冷却液の流れを防止する。先の実施形態の場合と同様に、プロセスループ717、719、および721は、ESS温度を監視し続け、ESS温度が、所望の温度範囲内のままになることを保証する。
【0029】
図6に示す好ましい冷却システム構成では、2つの主要な冷却サブシステムが存在することが理解されるであろう。第1サブシステム、また、上述した実施形態で使用されるサブシステムは、冷却液流体が冷却液ループ617を通して連続して圧送されることによる。冷却液流体がラジエター623を通過するため、このサブシステムは、周囲温度が先に述べたように十分に低いと仮定すると、一定の状況下でESS501の適切な冷却を達成しうる。周囲温度が高すぎかつESS冷却が依然として必要とされる場合、2次的なサブシステム603が起動されうる。先に述べたように、サブシステム603は冷凍システムである。したがって、サブシステム601および熱交換器605と連携したサブシステム603の使用は、はるかに低いESS温度が達成されかつ維持されることを可能にする。
【0030】
図9は、冷却サブシステム601と603の一方または両方を使用しながら、ESSの熱質量を利用する本発明の実施形態を示す。図示するように、ESS温度を確定した(ステップ703)後、温度制御システム509は、その温度を目標温度範囲と比較する(ステップ901)。監視されるESS温度が目標温度範囲より低い場合、ESS冷却システムはターンオフされる(ステップ707)。監視されるESS温度が目標温度範囲より高い場合、温度制御システム509は、冷却液ループ617を通した冷却液圧送動作を始動し、一方同時に、冷凍サブシステム603を動作させる(ステップ903)。監視されるESS温度が目標温度範囲内にある場合、周囲温度が、センサ517を使用して確定され(ステップ709)、図7に関して述べたようにプリセット周囲温度限界と比較されるか、または、図9に示し、また、図8に関して述べたようにESS温度と比較される(ステップ801)。周囲温度が監視されるESS温度より低い場合、冷却液が冷却液ループ617を通して循環され(ステップ713)、それにより、ESS501の温度を下げる。周囲温度が監視されるESS温度より高い場合、冷却システムコントローラ521は、ESS冷却システムをターンオフし(ステップ715)、それにより、ESS501を通した冷却液の流れを防止する。プロセスループ717、719、721、および905は、ESS温度が、意図される温度範囲内のままになることを保証する。
【0031】
システムの変更形態では、また、図10に示すように、ESS501は、ESS内の複数のゾーンを冷却液ループ617に独立に結合する複数の冷却液導管を含む。ESS501内に含まれうるゾーンの数に対する制限はないが、少なくとも1つの実施形態では、ESSは、2つだけのゾーン、すなわち、コアゾーンおよびコアゾーンを囲む第2の外側ゾーンに分割される。図10では、コアゾーンは冷却導管1001で表され、一方、外側の囲むゾーンは冷却導管1003で表される。種々のESSゾーンを通した冷却液の流量を制御するために、種々の技法が使用されうるが、少なくとも1つの実施形態では、1つまたは複数の流量弁1005が、冷却液の流量を制御し、弁1005は、好ましくは、温度制御システム509に結合し、かつ、温度制御システム509によって制御される。
【0032】
図11は、図10に関して上述したマルチゾーンESS冷却システムを利用する好ましいプロセスを示す。しかし、マルチゾーンESS冷却システムは、先に述べた実施形態のうちの任意の実施形態と共に使用されうり、また、図11は、本発明のマルチゾーン態様を示すことを意味するだけであることが理解されるべきである。図示するように、最初のステップのうちの1つのステップ、ステップ901は、ESS温度を目標範囲と比較することである。先に述べたように、このステップで使用されるESS温度は、平均ESS温度かまたは最も高い監視される温度であってよい。この実施形態では、ESS温度が目標温度範囲より低い(less)場合、冷却システムはターンオフされ(ステップ707)、また、ESS温度が目標温度範囲より高い場合、温度制御システム509は、冷却液ループ617を通した冷却液圧送動作を始動し、一方同時に、冷凍サブシステム603を動作させる(ステップ903)。ESS温度が目標範囲内にある場合、周囲温度が確定される(ステップ709)。次に、ESS501内の各ゾーンについて、ESSゾーン温度が、周囲温度と比較される(ステップ1101および1103)。そのため、この例では、コアESSゾーン(例えば、図11のゾーン1)温度が、ステップ1101にて周囲温度と比較され、外側ESSゾーン(例えば、図11のゾーン2)温度が、ステップ1103にて周囲温度と比較される。明らかにこの手法は、先に述べた3つ以上のESSゾーンに拡張されうる。
【0033】
各ESSゾーンについて、周囲温度がゾーン温度より高い場合、そのゾーンについてのESS冷却システムがターンオフされるか、または、既にオフされている場合、オフされたままにされる(ステップ1105および1107)。ゾーン温度が周囲温度より高い場合、そのゾーンについてのESS冷却システムがターンオンされる(ステップ1109および1111)。先の実施形態の場合と同様に、プロセスループ(例えば、ループ717、905および1113〜1116)は、ESS温度を監視し続け、ESS、この実施形態では、個々のESSゾーンが、意図される温度限界を超えて増加することを許容されないようにする。
【0034】
好ましくは、ESS内で冷却液を循環させるか否かを判定するとき、先に特定された実施形態に関して詳細に述べたように、測定される周囲温度が使用される。しかし、ESSを通して冷却液を循環させるか否かを判定するために、他の手段が使用されうることが理解されるであろう。例えば、また、図12に示すように、ESS温度が、冷却液の流れを制限することから利益を受けるようなものであると判定される場合、システムは、例えば、内部クロックを使用して時間を確定する(ステップ1201)。次に、システムは、単純なルックアップテーブルを使用して(ステップ1203)、時間に基づいてESSシステムを通して冷却液を循環させる(ステップ1205)か否か(ステップ1207)を判定する。あるいは、また、図13に示すように、時間を確定した(ステップ1201)後、温度制御システムは、例えば、オンボード全地球測位システム(global positioning system)(GPS)を使用して自動車のロケーションを確定しうる(ステップ1301)。自動車のロケーションおよび日時が確定されると、温度制御システムは、データベースにアクセスして(ステップ1303)、ローカル温度を確定する(ステップ1305)。データベースは、オンボード履歴データベース、あるいは、履歴型またはネットワーク通信システムを使用して温度制御システムによってアクセスされる更新型データベースでありうる。ローカル温度は、実際の温度または履歴データに基づいて確定されると、監視されるESS温度と比較される(ステップ1307)。周囲温度が監視されるESS温度より低い場合、冷却液ループ617を通して冷却液が循環される(ステップ1309)。周囲温度が監視されるESS温度より高い場合、冷却システムコントローラ521は、ESS冷却システムをターンオフするか、または、オフしたままにし(ステップ1311)、それにより、ESS501を通した冷却液の流れを防止する。プロセスループ717、719、721、および905は、ESS温度が、意図される温度範囲内のままになることを保証する。
【0035】
少なくとも1つの実施形態では、制御システム509は、センサ523によってESS501の充電状態(SOC)を監視して、自動車がターンオフされた後、ESS501をアクティブに冷却するか否かを判定する。それは、低い充電レベルでは、高いバッテリ温度は、高い充電レベルで生じるほどにはバッテリ寿命低下を生じないからである。SOCデータを監視することおよび使用することに関連するさらなるステップは、先に述べたプロセスの任意のプロセスに適用されうるが、好ましくは、図14に示すように、図9に関して先に述べたプロセスに付加される。
【0036】
図14は、SOCを監視するように変更された、図9に示す方法を示す。必要とされないが、好ましくは、この手法において、自動車がターンオフされた(ステップ701)後、制御システム509は、例えば充電システム525の状態を監視することによって、システムが、外部充電源に接続された、すなわち、プラグインされたかどうかを判定する(ステップ1401)。システムがプラグインされていると制御システムが判定する場合、少なくとも1つの実施形態では、システムは、ESS SOCステップをバイパスし、ESS温度確定ステップ(ステップ703)に直接進む。温度制御システム509は、システムがプラグインされていないと判定する場合、SOCセンサ523を使用してESS501のSOCを確定する(ステップ1403)。監視されるESS SOCがプリセット量より小さい場合、バッテリ冷却システムはターンオフされる(ステップ1405)。一実施形態では、プリセット目標SOCは10%であり、代替の実施形態では、目標SOCは20%であり、代替の実施形態では、目標SOCは30%である。本発明は、特定のプリセット目標SOCに限定されないことが理解されるであろう。監視されるESS SOCがプリセット量より大きい場合、制御システム509は、ESS温度を測定し(ステップ703)、先に述べたプロセスを実施し続ける。
【0037】
上述した実施形態では、周囲温度、そのため、ESS501の温度は、決して許容可能な貯蔵温度より低くならないことが仮定される。しかし、周囲温度が許容可能な温度より実際に低くなる状況が存在する可能性があり、したがって、低いESS貯蔵温度を制限することが望ましいことになることが理解されるであろう。さらに、ESSが充電されるように、ESSの温度を一定の温度を超えて維持することが望ましい可能性がある。それは、状況によっては、ESSがプリセット温度範囲内にある場合に、充電システムの動作が許可されるだけであるからである。したがって、少なくとも1つの好ましい実施形態では、ESS501の温度は、プリセット温度より低くなることを許容されない。本発明のこの態様は、図15に示され、図9に関して最初に述べたプロセスに基づく。しかし、先に述べた実施形態の任意の実施形態は、低いESS貯蔵温度を制限することに関連するステップを含むように変更されてもよいことが理解されるべきである。
【0038】
図示するように、自動車がターンオフされ(ステップ701)、ESS温度が確定された(ステップ703)後、温度制御システム509は、ESS温度を第1目標温度範囲、例えば、T〜Tと比較する(ステップ901)。監視されるESS温度が、高い温度限界Tより高い場合、温度制御システム509は、冷却液ループ617を通した冷却液圧送動作を始動し、一方同時に、冷凍サブシステム603を動作させる(ステップ903)。監視されるESS温度が目標温度範囲内にある、すなわち、TとTとの間にある場合、周囲温度が、センサ517を使用して確定され(ステップ709)、図7に関して述べたようにプリセット周囲温度限界と比較されるか、または、この図に示すように、また、図8に関して述べたようにESS温度と比較される(ステップ801)。周囲温度が監視されるESS温度より低い場合、冷却液が冷却液ループ617を通して循環され(ステップ713)、それにより、ESS501の温度を下げる。周囲温度が監視されるESS温度より高い場合、冷却システムコントローラは、ESS冷却液循環システムをターンオフする(ステップ715)。
【0039】
この実施形態では、ステップ1501にて、監視されるESS温度が、低い温度限界Tより低い場合、温度制御システム509は、ESS温度を第2目標温度範囲、例えば、T〜Tと比較する(ステップ1503)。監視されるESS温度が、低い温度限界Tより低い場合、温度制御システム509は、冷却液ループ617を通した冷却液圧送動作を始動し、一方同時に、加熱器627を動作させる(ステップ1505)。監視されるESS温度が第2目標温度範囲内にある、すなわち、TとTとの間にある場合、冷却システムコントローラは、ESS冷却液循環システムをターンオフする(ステップ715)。プロセスループ719、721、905、および1507は、ESS温度が、意図される温度範囲内のままになることを保証する。
【0040】
当業者によって理解されるように、本発明は、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形態で具現化されてもよい。したがって、本明細書の開示および説明は、添付特許請求項で述べる本発明の範囲の制限するものではなく、例示するものであることを意図される。
【符号の説明】
【0041】
500 ESS冷却システム
501 ESS
503 電気モータ
505 電力エレクトロニクスモジュール
507 ESS冷却サブシステム
509 温度制御システム
511 ESS加熱サブシステム
513 自動車状態センサ
515、517 温度センサ
519 比較器回路
521 冷却システムコントローラ
523 SOCセンサ
525 充電システム
600 熱管理システム
601 ESS冷却サブシステム
603 冷凍サブシステム
605 熱交換器
607 圧縮器
609 凝縮器
611、625 ファン
613 感温膨張弁
615 ドライヤ/セパレータ
617 冷却液ループ
619 循環ポンプ
621 冷却液リザーバ
623 ラジエター
627 加熱器
1001、1003 冷却導管
1005 流量弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気自動車用の熱管理システムであって、
電気自動車パワートレインに結合される電気エネルギー貯蔵システム(ESS)であって、前記電気自動車パワートレインの電気モータに電力を供給する電気エネルギー貯蔵システム(ESS)と、
冷却液ループ内に冷却液を含む冷却システムであって、前記冷却液ループは、前記電気エネルギー貯蔵システムに熱的に連通し、前記冷却システムはさらに、前記冷却液ループを通して前記冷却液を圧送する冷却液ポンプを含み、前記冷却システムはさらに、前記冷却液ループに結合したラジエターを含み、前記冷却液は、前記冷却液ポンプによって前記冷却液ループを通して圧送されるときに、前記ラジエターを通過する冷却システムと、
前記冷却システムに結合した温度制御システムと、を備え、
前記冷却システムは、前記温度制御システムの制御下にあり、前記温度制御システムはさらに、
自動車状態モニタであって、前記自動車状態モニタは、前記電気自動車がオンであるとき第1状態信号を出力し、前記電気自動車がオフであるとき第2状態信号を出力する自動車状態モニタと、
周囲温度を確定する周囲温度モニタと、
前記周囲温度をプリセット温度と比較する比較器回路であって、前記比較器回路は、前記周囲温度が前記プリセット温度より低いときに第1信号を出力し、前記周囲温度が前記プリセット温度より高いときに第2信号を出力する比較器回路と、
前記冷却システムに結合した冷却システムコントローラであって、前記冷却システムコントローラは、前記自動車状態モニタが前記第2状態信号を出力するとき、前記冷却システムに制御信号を出力するよう構成され、前記冷却システムコントローラはさらに、前記比較器回路から前記第1信号および前記第2信号を受信するよう構成され、前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが前記比較器回路から前記第1信号を受信するとき、前記冷却液ポンプを起動させ、前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが前記比較器回路から前記第2信号を受信するとき、前記冷却液ポンプを停止させる冷却システムコントローラと、
を備えている熱管理システム。
【請求項2】
前記電気エネルギー貯蔵システムに熱的に連通し、ESS温度を監視する少なくとも1つの温度センサと、
前記ESS温度をプリセットESS目標温度と比較する第2比較器回路とをさらに備え、前記第2比較器回路は、前記ESS温度が前記プリセットESS目標温度より低いとき、前記冷却システムコントローラに冷却システム停止信号を出力し、前記冷却システムコントローラからの前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記第2比較器回路から前記冷却システム停止信号を受信するとき、前記冷却液ポンプを停止させる請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項3】
前記冷却システムに独立の冷凍システムと、
前記冷却液ループを介して、前記冷凍システムに熱的に連通し、かつ、前記冷却システムに熱的に連通する熱交換器と、
前記電気エネルギー貯蔵システムに熱的に連通し、ESS温度を監視する少なくとも1つの温度センサと、
前記ESS温度をプリセットESS目標温度範囲と比較する第2比較器回路とをさらに備え、前記第2比較器回路は、前記ESS温度が前記プリセットESS目標温度範囲より低いとき、前記冷却システムコントローラに第1冷却システムコマンド信号を出力し、前記第2比較器回路は、前記ESS温度が前記プリセットESS目標温度範囲内にあるとき、前記冷却システムコントローラに第2冷却システムコマンド信号を出力し、前記第2比較器回路は、前記ESS温度が前記プリセットESS目標温度範囲より高いとき、前記冷却システムコントローラに第3冷却システムコマンド信号を出力し、
前記冷却システムコントローラからの前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記第2比較器回路から前記第1冷却システムコマンド信号を受信するとき、前記冷却液ポンプおよび前記冷凍システムを停止させ、前記冷却システムコントローラからの前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記第2比較器回路から前記第3冷却システムコマンド信号を受信するとき、前記冷却液ポンプおよび前記冷凍システムを起動させる請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項4】
前記プリセット温度は、前記ESS温度に設定される請求項2または3に記載の熱管理システム。
【請求項5】
前記電気エネルギー貯蔵システムに熱的に連通し、ESS温度を監視する少なくとも1つの温度センサと、
前記ESS温度をプリセットESS目標温度範囲と比較する第2比較器回路であって、第2比較器回路は、前記ESS温度が前記プリセットESS目標温度範囲より低いとき、第3信号を出力し、第2比較器回路は、前記ESS温度が前記プリセットESS目標温度範囲内にあるとき、第4信号を出力する、第2比較器回路と、
前記冷却液ループに結合した加熱器とをさらに備え、
前記冷却システムコントローラは前記加熱器に結合し、前記冷却システムコントローラは、前記第2比較器回路から前記第3信号および第4信号を受信するようさらに構成され、
前記冷却システムコントローラからの前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記第2比較器回路から前記第3信号を受信するとき、前記冷却液ポンプを起動させ、前記加熱器を起動させ、前記冷却システムコントローラからの前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記第2比較器回路から前記第4信号を受信するとき、前記冷却液ポンプを停止させる請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項6】
前記冷却システムに独立の冷凍システムと、
前記冷却液ループを介して、前記冷凍システムに熱的に連通し、かつ、前記冷却システムに熱的に連通する熱交換器と、
前記電気エネルギー貯蔵システムに熱的に連通し、ESS温度を監視する少なくとも1つの温度センサと、
前記ESS温度を第1プリセットESS目標温度範囲と比較する第2比較器回路であって、第2比較器回路は、前記ESS温度が前記第1プリセットESS目標温度範囲より高いとき、第3信号を出力し、前記ESS温度が前記第1プリセットESS目標温度範囲より低いとき、前記ESS温度は、第3比較器回路によって第2プリセットESS目標温度範囲と比較され、前記第3比較器回路は、前記ESS温度が前記第2プリセットESS目標温度範囲より低いとき、第4信号を出力し、前記第3比較器回路は、前記ESS温度が前記第2プリセットESS目標温度範囲より高いとき、第5信号を出力する、第2比較器回路と、
前記冷却液ループに結合した加熱器とをさらに備え、
前記冷却システムコントローラは前記加熱器に結合し、前記冷却システムコントローラはさらに、前記第2比較器回路から前記第3信号を受信するよう構成され、また、前記第3比較器回路から前記第4信号および第5信号を受信するよう構成され、
前記冷却システムコントローラからの前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記第2比較器回路から前記第3信号を受信するとき、前記冷却液ポンプおよび前記冷凍システムを起動させ、前記冷却システムコントローラからの前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記第3比較器回路から前記第4信号を受信するとき、前記冷却液ポンプを起動させ、前記加熱器を起動させ、前記冷却システムコントローラからの前記制御信号は、前記冷却システムコントローラが、前記第3比較器回路から前記第5信号を受信するとき、前記冷却液ポンプを停止させる請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項7】
前記電気エネルギー貯蔵システムおよび前記温度制御システムに結合した充電状態(SOC)センサをさらに備え、前記SOCセンサは、前記電気エネルギー貯蔵システムの現在の充電状態を監視し、前記冷却システムコントローラは、測定された充電状態が、プリセット目標充電状態より小さい場合、前記冷却システムに停止信号を出力するよう構成される請求項1に記載の熱管理システム。
【請求項8】
電気自動車の電気パワートイレインに結合した電気エネルギー貯蔵システム(ESS)の温度を制御する方法であって、
a)前記電気自動車の動作状態を監視するステップを含み、前記動作状態は、第1動作状態かまたは第2動作状態にあり、前記第1動作状態は、前記電気自動車がターンオンしていることに相当し、前記第2動作状態は、前記電気自動車がターンオフしていることに相当し、前記電気自動車が前記第2動作状態にあるとき、方法は、
b)現在の周囲温度を確定するステップと、
c)前記現在の周囲温度をプリセット温度と比較するステップと、
d)前記現在の周囲温度が前記プリセット温度より低い場合、前記電気エネルギー貯蔵システムに熱的に連通する冷却液ループを通し、かつ、前記冷却液ループに結合したラジエターを通して冷却液を循環させるステップと、
e)前記現在の周囲温度が前記プリセット温度より高い場合、前記冷却液ループを通した前記冷却液の循環を一時停止するステップと、
f)ステップb)からステップe)を繰返すステップと、をさらに含む方法。
【請求項9】
少なくとも1つの温度センサによって現在のESS温度を確定するステップと、前記プリセット温度を前記現在のESS温度に設定するステップとをさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
g)少なくとも1つの温度センサによって現在のESS温度を確定するステップと、
h)前記現在のESS温度をESS目標温度と比較するステップと、
i)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度より低い場合、前記冷却液ループを通した前記冷却液の循環を一時停止するステップと、をさらに含み、
ステップg)からステップi)が、ステップc)の前に実施される請求項8に記載の方法。
【請求項11】
g)少なくとも1つの温度センサによって現在のESS温度を確定するステップと、
h)前記現在のESS温度をESS目標温度範囲と比較するステップと、
i)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲より低い場合、前記冷却液ループを通した前記冷却液の循環を一時停止するステップと、
j)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲より高い場合、前記冷却液ループを通して前記冷却液を循環させるステップであって、前記冷却液ループは熱交換器に結合される、循環させるステップと、
k)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲より高い場合、前記熱交換器に熱的に連通する冷凍システムを動作させるステップと、
l)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲内にある場合、ステップc)からステップf)を実施するステップと、をさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項12】
g)少なくとも1つの温度センサによって現在のESS温度を確定するステップと、
h)前記現在のESS温度をESS目標温度範囲と比較するステップと、
i)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲より低い場合、前記冷却液ループを通して前記冷却液を循環させるステップと、
j)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲より低い場合、前記冷却液ループに熱的に連通する加熱器を動作させるステップと、
k)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲内にある場合、前記冷却液ループを通した前記冷却液の循環を一時停止するステップと、
l)前記現在のESS温度が前記ESS目標温度範囲より高い場合、ステップc)からステップe)を実施するステップと、をさらに含み、
ステップg)からステップl)が、ステップc)の前に実施される請求項8に記載の方法。
【請求項13】
g)少なくとも1つの温度センサによって現在のESS温度を確定するステップと、
h)前記現在のESS温度を第1ESS目標温度範囲と比較するステップと、
i)前記現在のESS温度が前記第1ESS目標温度範囲より高い場合、前記冷却液ループを通して冷却液を循環させるステップであって、前記冷却液ループは熱交換器に結合される、循環させるステップと、
j)前記現在のESS温度が前記第1ESS目標温度範囲より高い場合、前記熱交換器に熱的に連通する冷凍システムを動作させるステップと、
k)前記現在のESS温度が前記第1ESS目標温度範囲より低い場合、前記現在のESS温度を第2ESS目標温度範囲と比較するステップと、
l)前記現在のESS温度が前記第2ESS目標温度範囲より低い場合、前記冷却液ループを通して冷却液を循環させるステップと、
m)前記現在のESS温度が前記第2ESS目標温度範囲より低い場合、前記冷却液ループに熱的に連通する加熱器を動作させるステップと、
n)前記現在のESS温度が前記第2ESS目標温度範囲内にある場合、前記冷却液ループを通した前記冷却液の循環を一時停止するステップと、
o)前記現在のESS温度が前記第1ESS目標温度範囲内にある場合、ステップc)からステップe)を実施するステップと、をさらに含み、
ステップg)からステップn)が、ステップc)の前に実施される請求項8に記載の方法。
【請求項14】
g)前記電気エネルギー貯蔵システムの現在の充電状態(SOC)を確定するステップと、
h)前記現在の充電状態をプリセット目標充電状態と比較するステップと、
i)前記現在の充電状態が前記プリセット目標充電状態より低い場合、ESS冷却を終了させ、ステップc)からステップf)をバイパスするステップと、をさらに含む請求項8に記載の方法。
【請求項15】
前記現在の周囲温度を確定するステップは、
ローカル時間を確定するステップと、
自動車ロケーションを確定するステップと、
データベースにアクセスするステップと、をさらに含み、
前記データベースは、前記ローカル時間および前記自動車ロケーションの関数として現在の周囲温度データを提供する請求項8に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−200604(P2010−200604A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31307(P2010−31307)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(509316442)テスラ・モーターズ・インコーポレーテッド (23)
【Fターム(参考)】