説明

バッテリーパック

【課題】複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電極要素を収容した二次電池の正極リード及び負極リードを良好に配線基板の正極端子及び負極端子に接続するようにすると共に生産性を改善することを目的とする。
【解決手段】絶縁性板25を介して積層された複数金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池10,11と、この複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池10,11を制御する制御回路20a,20b,22が設けられた配線基板15とをケース12に収容したバッテリーパックにおいて、この複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池10,11の夫々の正極リード10a,11a及び負極リード10b,11bを夫々溶接して設けたタブ13a,14a,13b,14bを介してこの配線基板15に設けられた端子16a,17a,16b,17bに接続したものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は携帯用電子機器等に使用して好適な、複数例えば2個の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に発電要素を収容してなる二次電池例えばアルミラミネート外装ポリマー二次電池と、この複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に発電要素を収容してなる二次電池を制御する制御回路が設けられた配線基板とをケースに収容するようにしたバッテリーパックに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にノートパソコン、携帯情報端末等の携帯用電子機器の電源として電源容量を比較的大きくするため、薄形の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に発電要素を収容してなる二次電池例えばアルミラミネート外装ポリマー二次電池を複数例えば2個重ねてケースに収容したバッテリーパックが使用されている。
【0003】
このアルミラミネート外装ポリマー二次電池1は図6に示す如く、例えばLiCoO2 をAl箔集電体に被着した正極と、黒鉛をCu箔集電体に被着した負極とをポリマー電解質フィルムを介して重ね合わせたものを金属箔と樹脂とを複合化した例えばアルミラミネート箔を使用して外装し、その外周を熱溶着して密閉したもので、この密閉したアルミラミネート外装2より正極リード1a及び負極リード1bを導出したものである。図6はこのアルミラミネート外装ポリマー二次電池1の左右側端縁のアルミラミネート外装2を折り曲げた状態を示す。
【0004】
従来の電源容量を大きくしたバッテリーパックは、斯る薄形のアルミラミネート外装ポリマー二次電池1を2段重ねすると共に正極リード1a同士及び負極リード1b同士を夫々溶接して並列接続し、この溶接した正極リード1a同士及び負極リード1b同士を夫々例えばニッケルのタブを介して、保護回路等の制御回路、出力端子等が設けられた配線基板の正極端子及び負極端子に半田付等により接続する如くし、この2段重ねのアルミラミネート外装ポリマー二次電池1とこの保護回路等の制御回路が設けられた配線基板とをケースに収容する如くしていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、斯る従来のバッテリーパックにおいては、正極リード1a同士及び負極リード1b同士を溶接したときには、この正極リード1a同士及び負極リード1b同士は比較的長くなり、このケースに収納するときにこの正極リード1a同士及び負極リード1b同士を夫々折り畳む必要が有り、生産性が悪い不都合があると共にショートする虞れがあり、またこの正極リード1a同士、負極リード1b同士は各金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容してなる二次電池例えばアルミラミネート外装ポリマー二次電池により長さが違うことによる断線の虞れがあった。
【0006】
また、複数例えば2個の正極リード1a同士及び負極リード1b同士を溶接して接続し、この正極リード1a同士及び負極リード1b同士を夫々一つのタブを介して配線基板の正極端子及び負極端子に接続したときには、このタブに電流が集中して発熱する虞れがあった。
【0007】
本発明は斯る点に鑑み、この複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池の正極リード及び負極リードをショート及び断線する虞れを改善すると共にタブの発熱を少なくし、良好に配線基板の正極端子及び負極端子に接続するようにすると共に生産性を改善することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明バッテリーパックは絶縁性板を介して積層された複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に要素を収容した二次電池と、この複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池を制御する制御回路が設けられた配線基板とをケースに収容したバッテリーパックにおいて、この複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池の夫々の正極リード及び負極リードを夫々溶接して設けたタブを介してこの配線基板に設けられた端子に接続したものである。
【0009】
斯る本発明によれば、複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池の夫々の正極リード及び負極リードを夫々溶接して設けた夫々のタブを介して配線基板に設けられた端子に接続しているので、正極リード及び負極リードを折り畳む必要がなく生産性が向上すると共にショート及び断線の虞れが改善され、また一つのタブに電流が集中することがないのでタブの発熱を少なくできる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜図4を参照して本発明バッテリーパックの実施の形態の例につき説明する。この図1〜図4例は2個の薄形の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池例えばアルミラミネート外装ポリマー二次電池10及び11を重ねて合成樹脂製のケース12に収容するようにしたものである。
【0011】
このアルミラミネート外装ポリマー二次電池10及び11は夫々図6に示す如く、例えばLiCoO2 をAl箔集電体に被着した正極と、黒鉛をCu箔集電体に被着した負極とをポリマー電解質フィルムを介して重ね合わせたものを金属箔と樹脂とを複合化した例えばアルミラミネート箔を使用して外装し、その外周を熱溶着して密閉したもので、この密閉したアルミラミネート外装より正極リード10aと11a及び負極リード10bと11bを導出したものである。
【0012】
本例においては、このアルミラミネート外装ポリマー二次電池10及び11の夫々の正極リード10a及び11aと負極リード10b及び11bとに夫々ニッケルより成る所定形状の正極タブ13a及び14aと負極タブ13b及び14bとの夫々の一端を電気抵抗溶接等で溶接する。
【0013】
この場合、この正極タブ13a及び14aと負極タブ13b及び14bとの形状はこのアルミラミネート外装ポリマー二次電池10及び11を図2に示す如く2段重ねとしたときに、この上側のアルミラミネート外装ポリマー二次電池10の正極リード10a及び負極リード10bに夫々一端が溶接された正極タブ13a及び負極タブ13bの他端が後述する配線基板15上で夫々、下側アルミラミネート外装ポリマー二次電池11の正極リード11a及び負極リード11bに夫々一端が溶接された正極タブ14a及び負極タブ14bの他端の外側に位置する如くする。
【0014】
この配線基板15の上面に正極タブ13a及び14aの夫々の他端を半田付で接続する正極端子16a及び17aを近接して設けると共に負極タブ13b及び14bの他端を半田付で接続する負極端子16b及び17bを近接して設ける。この場合、正極端子16aを正極端子17aの外側に配すると共に負極端子16bを負極端子17bの外側に配する如くする。
【0015】
また、この配線基板15に図5に示す如き制御回路等を設ける如くする。即ち図5においては正極端子16a及び17aを互に接続すると共に負極端子16b及び17bを互に接続し、アルミラミネート外装ポリマー二次電池10及び11を互に並列に接続して電源容量を増大する如くする。
【0016】
この正極端子16a及び17aの接続点を保護用のヒューズ18を介して一方の充放電端子である正極外部接続端子19に接続し、また負極端子16b及び17bの接続点を過放電、過充電の保護回路構成するスイッチ回路20a及び20bを介して他方の充放電端子である負極外部接続端子21に接続する。
【0017】
この図5において、22は過放電及び過充電検出回路を示し、この過放電及び過充電検出回路22の出力信号により過放電・過充電の保護回路を構成するスイッチ回路20a及び20bを制御し、過放電過充電の保護を行う如くする。
【0018】
本例バッテリーパックは、図1に示す如く、合成樹脂より成る上ケース12a及び下ケース12bより成るケース12内に、絶縁性板25を介して2段重ねしたアルミラミネート外装ポリマー二次電池10及び11と、この2個のアルミラミネート外装ポリマー二次電池10及び11の夫々の正極リード10a,11a及び負極リード10b,11bに夫々一端が溶接された正極タブ13a,14a及び負極タブ13b,14bの夫々の他端が正極端子16a,17a及び負極端子16b,17bに接続された配線基板15とを収容し、その外観斜視図を図3に示す如くその底面を図4に示す如く構成する。
【0019】
図1において26及び27は絶縁用のノーメックステープである。
【0020】
本例によるバッテリーパックは2個のアルミラミネート外装ポリマー二次電池10,11の夫々の正極リード10a,11a及び負極リード10b,11bに夫々一端を溶接した正極タブ13a,14a及び負極タブ13b,14bの夫々の他端を夫々配線基板15の正極端子16a,17a及び負極端子16b,17bに接続しているので、正極リード10a,11a及び負極リード10b,11bを折り畳む必要がなく、ケース12に収容でき生産性が向上すると共に正極リード10a,11a及び負極リード10b,11bのショート、断線が改善される。
【0021】
また本例によれば、複数のアルミラミネート外装ポリマー二次電池10,11の夫々の正極リード10a,11a及び負極リード10b,11bを夫々正極タブ13a,14a及び負極タブ13b,14bを介して配線基板15の正極端子16a,17a及び負極端子16b,17bに接続しているので一つのタブに電流が集中することなくタブ13a,13b,14a,14bの発熱を小さくできる。
【0022】
尚、上述例は、2個のアルミラミネート外装ポリマー二次電池を積層した例につき述べたが上述と同様にして3個以上のアルミラミネート外装ポリマー二次電池を積層するようにしても良いことは容易に理解できよう。
【0023】
また、上述例は金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器としてアルミラミネート外装電池容器を用いたがこの金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器としては以下のものを挙げることができる。
ラミネートフィルムの構成としては、たとえば下記に示される材料を使用することができる。
ここで、使用するプラスチック材料として、次の略称を使う。
すなわち、ポリエチレンテレフタレート:PET、溶融ポリプロピレン:PP、無延伸ポリプロピレン:CPP、ポリエチレン:PE、低密度ポリエチレン:LDPE、高密度ポリエチレン:HDPE、直鎖状低密度ポリエチレン:LLDPE、ナイロン:Nyである。
また、耐透湿性のバリア膜として用いる金属材料のアルミニウムにALの略称を用いる。
【0024】
最も一般的な構成は、外装層/金属膜/シーラント層=PET/AL/PEである。
また、この組み合わせばかりでなく、以下に示すような他の一般的なラミネートフィルムの構成を採用することができる。
すなわに、外装層/金属膜/シーラント層=Ny/AL/CPP、PET/AL/CPP、PET/AL/PET/CPP、PET/Ny/AL/Ny/PE、Ny/PE/AL/LLDPE、PET/PE/AL/PET/LDPE、またはPET/Ny/AL/LDPE/CPPとすることができる。
なお、金属膜としてはAL以外の金属を採用することができることは勿論である。
【0025】
また上述例では発電要素として正極と負極とをポリマー電解質フィルムを介して重ね合わせたポリマー電池としたが、この代りに例えば、帯状の正極集電体の両面に正極活物質を被着してなる正極と、帯状の負極集電体の両面に負極活物質を被着してなる負極とが、固体電解質もしくは液状電解質及びセパレータを介して巻回されてなる巻回電極体としても良い。
このとき、発電要素から導出されたリード体は同一の辺から延出されてなる電池であることが好適であることは上述例で示されている様により好適である。
【0026】
また上述例においてはLiCoO2 を正極活物質として用いたが正極活物質として用いることのできる材料としてはアルカリ金属を含有する遷移金属とのカルコゲン化合物、この中では特にアルカリ金属と遷移金属との酸化物を用いることができる、化合物の結晶構造として層状化合物やスピネル型化合物がよく用いられる。一般式としてLix MO (0.5≦x≦1.1、Mは具体的には、鉄、コバルト(Co)、ニッケル、マンガン(Mn)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、からなる群のうちの少なくとも1種以上を含む)が用いられる。
【0027】
また上述例においては黒鉛を負極活物質として用いたが、この負極活物質材料として用いる材料にはリチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、例えば、リチウムと合金あるいは化合物を形成可能な金属あるいは半導体、またはこれらの合金あるいは化合物が挙げられる。リチウムを吸蔵・離脱可能な負極材料としては、また、炭素材料、金属酸化物あるいは高分子材料なども挙げられる。炭素材料としては、例えは、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛、コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体、炭素繊維、活性炭あるいはカーボンブラック類などが挙げられる。このうち、コークス類には、ピッチコークス、ニードルコークスあるいは石油コークスなどがあり、有機高分子化合物焼成体というのは、フェノール類やフラン類などの高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものをいう。また、金属酸化物としては、酸化鉄、酸化化ルテニウム、酸化モリブデンあるいは酸化化スズなどが挙げられ、高分子材料としてはポリアセチレンあるいはポリピロールなどが挙げられる。
【0028】
また非水電解質としては非水溶媒や固定電解質や高分子電解質や高分子化合物に電解質を混合/溶解させた液状電解質や、固体状もしくはゲル状電解質等を用いることができる。
【0029】
また、本発明は上述に限ることなく本発明の要旨を逸脱することなく、その他種々の構成が採り得ることは勿論である。
【0030】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の金属箔と樹脂との複合化したラミネート外装電池容器に電池要素を収容した二次電池の夫々の正極リード及び負極リードに夫々一端を溶接した正極タブ及び負極タブの夫々の他端を夫々配線基板の正極端子及び負極端子に接続しているので、正極リード及び負極リードを折り畳む必要がなく、ケースに収容でき生産性が向上すると共に正極リード及び負極リードのショート、断線が改善される。
【0031】
また本発明によれば、複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に電に要素を収容した二次電池の夫々の正極リード及び負極リードを夫々正極タブ及び負極タブを介して配線基板の正極端子及び負極端子に接続しているので一つのタブに電流が集中することなくタブの発熱を小さくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明バッテリーパックの実施の形態の例を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の要部の例を示す斜視図である。
【図3】図1の外観の例を示す斜視図である。
【図4】図3の底面を示す平面図である。
【図5】配線基板の回路構成例を示す回路構成図である。
【図6】アルミラミネート外装ポリマー二次電池の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10,11‥‥アルミラミネート外装ポリマー二次電池、10a,11a‥‥正極リード、10b,11b‥‥負極リード、12‥‥ケース、13a,14a‥‥正極タブ、13b,14b‥‥負極タブ、15‥‥配線基板、16a,17a‥‥正極端子、16b,17b‥‥負極端子、18‥‥ヒューズ、19‥‥正極外部接続端子、20a,20b‥‥スイッチ回路、21‥‥負極外部接続端子、22‥‥検出回路、25‥‥絶縁性板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性板を介して積層された複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に発電要素を収容してなる二次電池と、前記複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に発電要素を収容してなる二次電池を制御する制御回路が設けられた配線基板とをケースに収容したバッテリーパックにおいて、
前記複数の金属箔と樹脂とを複合化したラミネート外装電池容器に発電要素を収容してなる二次電池の夫々の正極リード及び負極リードを夫々溶接して設けたタブを介して、前記配線基板に設けられた端子に接続したことを特徴とするバッテリーパック。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2004−31169(P2004−31169A)
【公開日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−186790(P2002−186790)
【出願日】平成14年6月26日(2002.6.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】