説明

バリア・フィルム複合体、これを含む表示装置、バリア・フィルム複合体の製造方法、及びこれを含む表示装置の製造方法

【課題】バリア・フィルム複合体、これを含む表示装置、バリア・フィルム複合体の製造方法、及びこれを含む表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】波状の表面を具備したフィルムと、フィルムの一面に位置し、波状にそれぞれ少なくとも1層以上積層されたデカップリング層及びバリア層と、を含むバリア・フィルム複合体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリア・フィルム複合体、これを含む表示装置、バリア・フィルム複合体の製造方法、及びこれを含む表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置を製造するための材料として、多層のバリア(barrier)材料とデカップリング(decoupling)材料とが交互する層を有する薄膜のバリア複合体が知られている。かような複合体は、典型的には、物理蒸着等によって、バリア材料とデカップリング材料とが交互になるように層を蒸着することによって形成される。デカップリング層は、一般的に数十μm以下の厚さを有する一方、バリア層は、典型的には何百Åの厚さを有する。
【0003】
フィルム上に多層のバリア層がコーティングされたバリア・フィルム複合体は、例えば、特許文献1〜9に開示されているように、非常に優れたバリア性能を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,268,695号明細書
【特許文献2】米国特許第6,522,067号明細書
【特許文献3】米国特許第6,570,325号明細書
【特許文献4】米国特許第6,866,901号明細書
【特許文献5】米国特許第7,198,832号明細書
【特許文献6】米国特許出願第11/068,356号明細書
【特許文献7】米国特許出願第11/693,020号明細書
【特許文献8】米国特許出願第11/693,022号明細書
【特許文献9】米国特許出願第11/776,616号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、伸長可能な(stretchable)多層構造のバリア・フィルム複合体においては、力を加えた際にバリア層にクラックが生じる場合がある。そこで本発明は、伸長可能であり、バリア層のクラックの発生を防止したり、クラックを最小化して補償しうるバリア・フィルム複合体、これを含む表示装置、バリア・フィルム複合体の製造方法、及びこれを含む表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、波状の表面を具備したフィルムと、前記フィルムの一面に位置し、前記波状にそれぞれ少なくとも1層以上積層されたデカップリング層及びバリア層と、を含むバリア・フィルム複合体を提供する。
【0007】
本発明の他の実施形態によれば、前記フィルムは、伸長可能な(stretchable)材料を含むことができる。
【0008】
本発明の他の実施形態によれば、前記フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらの組み合わせから選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0009】
本発明の他の実施形態によれば、前記フィルムは、伸長可能な第1層、及び前記第1層上に波状の表面を具備した第2層を含むことができる。
【0010】
本発明の他の実施形態によれば、前記第1層は、プラスチックを含み、前記第2層は、ソフト・モノマー(soft monomer)を含むことができる。
【0011】
本発明の他の実施形態によれば、前記デカップリング層とバリア層は、交互に積層されうる。
【0012】
本発明の他の実施形態によれば、前記デカップリング層は、架橋結合され、低いガラス転移温度を有する材料を含むことができる。
【0013】
本発明の他の実施形態によれば、前記デカップリング層は、アクリレートを含むことができる。
【0014】
本発明の他の実施形態によれば、前記バリア層は、単一金属、2以上の材料を含む、金属混合物、金属間化合物または合金、金属および混合金属酸化物、金属および混合金属フッ化物、金属および混合金属窒化物、金属および混合金属炭化物、金属および混合金属炭窒化物、金属および混合金属酸窒化物、金属および混合金属ホウ化物、金属および混合金属酸ホウ化物、金属および混合金属シリサイド、並びにそれらの組み合わせから選択された少なくとも一つを含むことができる。
【0015】
本発明の他の態様によれば、第1基板と、前記第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と第2基板との間に位置した発光素子と、を含み、前記第1基板と第2基板とのうち少なくとも一つは、前記バリア・フィルム複合体であることを特徴とする表示装置を提供する。
【0016】
本発明の他の実施形態によれば、前記発光素子は、有機発光素子でありうる。
【0017】
本発明の他の態様によれば、波状の表面を具備したフィルムを提供する段階と、前記フィルムの一面に位置し、前記波状にそれぞれ少なくとも一回以上積層されたデカップリング層及びバリア層を提供する段階と、を含むバリア・フィルム複合体の製造方法を提供する。
【0018】
本発明の他の実施形態によれば、波状の表面を具備したモールドをさらに提供し、前記モールド表面に一致するように、前記デカップリング層及びバリア層を形成し、前記デカップリング層及びバリア層のうち1層の一面に前記フィルムを形成できる。
【0019】
本発明の他の実施形態によれば、前記モールドに波状の表面を形成することは、エンボス加工またはフォトリソグラフィによって形成されうる。
【0020】
本発明の他の実施形態によれば、前記デカップリング層及びバリア層のうち、前記モールドの表面に最初に形成される層と前記モールドの表面との接着力は、前記最初に形成される層と前記フィルムとの接着力より小さい。
【0021】
本発明の他の実施形態によれば、前記フィルムの形成後、前記モールドを、前記フィルムおよび前記最初に形成される層からリリースしうる。
【0022】
本発明の他の特徴によれば、前記フィルムの提供は、第1層、及び前記第1層上に形成になった第2層を含んで提供され、前記第2層に、局部的に第1光照射を行うことにより、前記第2層に波状の表面を形成できる。
【0023】
本発明の他の実施形態によれば、前記第1光照射は、レーザ・ライティング(laser writing)、またはマスクを介した照射でありうる。
【0024】
本発明の他の特徴によれば、前記第2層に第2光照射を行うことにより、前記波状の表面を固定できる。
【0025】
本発明の他の態様によれば、第1基板、及び前記第1基板に対向する第2基板を提供する段階と、前記第1基板と第2基板との間に発光素子を位置させる段階と、を含み、前記第1基板と第2基板とのうち少なくとも一つは、前記バリア・フィルム複合体を含む表示装置の製造方法を提供する。
【0026】
本発明の他の実施形態によれば、前記発光素子は、有機発光素子でありうる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によるバリア・フィルム複合体、これを含む表示装置、バリア・フィルム複合体の製造方法、及びこれを含む表示装置の製造方法は、柔軟であって弾性の高い高分子波型の構造体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1A】本発明の一実施形態によるバリア・フィルム複合体及びその製造方法を示す概略図である。
【図1B】本発明の一実施形態によるバリア・フィルム複合体及びその製造方法を示す概略図である。
【図1C】本発明の一実施形態によるバリア・フィルム複合体及びその製造方法を示す概略図である。
【図2】図1Cのバリア・フィルム複合体が適用された有機発光表示装置の概略図である。
【図3A】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体及びその製造方法を示す概略図である。
【図3B】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体及びその製造方法を示す概略図である。
【図3C】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体及びその製造方法を示す概略図である。
【図4】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体の概略図である。
【図5A】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体の概略図である。
【図5B】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体の概略図である。
【図6】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体の概略図である。
【図7】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体の概略図である。
【図8】図7のバリア・フィルム複合体が適用された有機発光表示装置の概略図である。
【図9】本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の第一は、波状の表面を具備したフィルムと、前記フィルムの一面に位置し、前記波状にそれぞれ少なくとも1層以上積層されたデカップリング層及びバリア層と、を含むバリア・フィルム複合体である。ここで、それぞれ少なくとも1層以上積層されたデカップリング層及びバリア層を、バリア・スタックとも称する。バリア・スタックを備えた基板を発光素子等に使用することにより、素子に外界から水分や酸素が侵入することを防止し、環境から保護することができる。
【0030】
フィルム上に多層のバリア層がコーティングされたバリア・フィルム複合体は、例えば、特許文献1〜9に開示されているように、非常に優れたバリア性能を有する。
【0031】
本発明において、バリア・スタックの数には制限がない。必要なバリア・スタックの数は、使われた基板材料と、用途によって特に必要な浸透抵抗(permeation resistance)のレベルとによって決まる。一部の用途では、1つまたは2つのバリア・スタックであれば、十分なバリア特性を提供できる。最も過酷な用途においては、5つまたはそれ以上のバリア・スタックが要求されうる。
【0032】
バリア・スタックは、1層以上のデカップリング層、及び1層以上のバリア層を有することができる。1層のデカップリング層と1層のバリア層とが位置する、1層またはそれ以上のバリア層の一面に、1層またはそれ以上のデカップリング層が位置する、1層またはそれ以上のバリア層の両面に、1層またはそれ以上のデカップリング層が位置する、1層またはそれ以上のデカップリング層の両面に、1層またはそれ以上のバリア層が位置する、等の形態があり得る。重要な特徴は、バリア・スタックが、少なくとも1層のデカップリング層と、少なくとも1層のバリア層とを有するということである。バリア・スタックに含まれた複数のバリア層は、デカップリング層と同様に、同じ材料または異なる材料からなりうる。
【0033】
バリア層は、典型的には約100Å〜2,000Åの厚みを有する。望ましくは、最初のバリア層は、後続バリア層よりも厚い。後続バリア層とは、最初のバリア層の後に形成される1以上のバリア層を意味する。例えば、最初のバリア層は、約1000Å〜約1,500Åの範囲である一方、後続バリア層は、約400Å〜約500Åの範囲でありうる。他の状況で、最初のバリア層は、後続バリア層より薄い。例えば、最初のバリア層が約100Å〜約400Åの範囲であり、一方後続バリア層は、約400Å〜約500Åでありうる。デカップリング層は、典型的に約0.1μm〜約10μmの厚みでありうる。望ましくは、最初のデカップリング層は、後続デカップリング層より厚い。後続デカップリング層とは、最初のデカップリング層の後に形成される1以上のデカップリング層を意味する。例えば、最初のデカップリング層は、約3μm〜5μm範囲である一方、後続デカップリング層は、約0.1μm〜2μmでありうる。
【0034】
前記バリア・スタックは、同一層または他層を有することができ、前記層は、同一順序、あるいは異なる順序によって形成されうる。
【0035】
1以上のデカップリング層は、同一のデカップリング材料、または異なるデカップリング材料によって形成されうる。デカップリング層は、有機高分子、無機元素を含む高分子、有機金属高分子、有機/無機ハイブリッド高分子系及びそれらの組み合わせから選択された任意の適切なデカップリング材料によって構成されうるが、それらに限定されるものではない。
【0036】
有機高分子としては、ウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリブチレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリオレフィン、エポキシ、パリレン、ベンゾシクロブタジエン、ポリノルボルネン、ポリアリールエーテル、ポリカーボネート、アルキド、ポリアニリン、エチレンビニルアセテート、エチレンアクリル酸及びそれらの組み合わせから選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0037】
無機元素を含む高分子は、シリコーン、ポリホスファゼン、ポリシラザン、ポリカルボシラン、ポリカルボラン、カルボランシロキサン、ポリシラン、ホスホニトリル、窒化硫黄高分子、シロキサン及びそれらの組み合わせから選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0038】
有機金属高分子は、主族の金属(main group metal)、遷移金属、ランタノイド/アクチニド金属、またはそれらの組み合わせから選択される金属を含む有機金属高分子でありうるが、それらに限定されるものではない。
【0039】
有機/無機ハイブリッド高分子系は、有機的に修飾されたケイ酸塩、プレセラミック高分子、ポリイミド−シリカ・ハイブリッド、(メタ)アクリレート−シリカ・ハイブリッド、ポリジメチルシロキサン−シリカ・ハイブリッド及びそれらの組み合わせから選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0040】
1以上のバリア層は、同一のバリア材料、または異なるバリア材料によって形成されうる。バリア層は、任意の適切なバリア材料から構成されうる。金属を含む適切な無機材料は、単一金属、2以上の材料を含む金属混合物、金属間化合物(inter−metallics)または合金、金属および混合金属酸化物、金属および混合金属フッ化物、金属および混合金属窒化物、金属および混合金属炭化物、金属および混合金属炭化窒化物、金属および混合金属酸窒化物、金属および混合金属ホウ化物、金属および混合金属酸ホウ化物、金属および混合金属シリサイド、及びそれらの組み合わせから選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0041】
金属は、遷移(dブロック)金属、ランタノイド(fブロック)、アルミニウム、インジウム、ゲルマニウム、スズ、アンチモンとビスマス、及びそれらの組み合わせから選択されうるが、それらに限定されるものではない。これらの金属を含む材料の多くは、導体または半導体でありうる。フッ化物及び酸化物は、これらに制限されないが、誘電体(絶縁体)、半導体及び金属導電体を含むことができる。導電体酸化物は、アルミニウムドーピングされた酸化亜鉛、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化アンチモンスズ(ATO:antimony tin oxide)、チタン酸化物(TiO、ここで0.8≦x≦1)、及びタングステン酸化物(WO、ここで2.7≦x<3.0)を含むことができるが、それらに限定されるものではない。
【0042】
p型半導体及び非金属を含む適切な無機材料としては、例えば、ケイ素、ケイ素化合物、ホウ素、ホウ素化合物、非晶質炭素、ダイアモンドライクカーボンなどの炭素化合物、及びそれらの組み合わせから選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0043】
ケイ素化合物としては、酸化ケイ素(SiO、ここで1≦x≦2)、ポリケイ酸、アルカリ金属ケイ酸塩及びアルカリ土類金属ケイ酸塩、ケイ酸アルミニウム(AlSiO)、水素化スズ(Sn、ここで0≦y<1)、以下のシリコン化合物:SiN、ここで0≦z<1;、SiC、ここで0≦y<1;、及びSiAlON;から選択されうるが、それらに限定されるものではない。ホウ素混合物は、炭化ホウ素、窒化ホウ素、酸窒化ホウ素、炭窒化ホウ素、及びそれらの組み合わせから選択されうるが、それらに限定されるものではない。
【0044】
上記のバリア層およびデカップリング層を製造するには、一般的な真空工程であるスパッタリング、蒸発、昇華、化学気相蒸着(CVD)、プラズマ強化化学気相蒸着(PECVD)、電子サイクロトロン共鳴−プラズマ強化化学気相蒸着(ECR−PECVD)、及びそれらの組み合わせから選択された適切な工程で蒸着されうるが、それらに限定されるものではない。
【0045】
前記デカップリング層は、平坦度の高い表面を与えうる、大気工程及び真空工程を含む、複数の公知の工程で製造されうる。デカップリング層は、液体層を蒸着した後、前記液体層を固体フィルムに処理する工程によって形成されうる。デカップリング層を液体で形成すれば、液体が基板や以前の層にあった欠陥上に流れ、低い領域を満たし、高い位置の点を覆い、非常に改善された平坦度を有した表面を提供できる。このようなデカップリング層が処理により固体フィルムに形成されても、改善された表面平坦度は維持される。液体材料で層を形成し、その液体層を固体フィルムに処理する適切な工程は、真空工程及び大気工程を含むことができるが、それらに限定されるものではない。適切な真空工程は、本出願で参照として引用された文献として、米国特許第5,260,095号明細書、同第5,395,644号明細書、同第5,547,508号明細書、同第5,691,615号明細書、同第5,902,641号明細書、同第5,440,446号明細書及び同第5,725,909号明細書に開示されているが、それらに限定されるものではない。米国特許第5,260,095号明細書、同第5,395,644号明細書及び同第5,547,508号明細書に開示された液体拡散装置(liquid spreading apparatus)は、液体単量体(monomer)を受容基板上の分離して位置する領域に正確に印刷する技術を開示している。
【0046】
適当な大気工程は、スピンコーティング、印刷法、インクジェット印刷法及び/またはスプレー法などを含むことができるが、それらに限定されるものではない。大気工程とは、周辺大気中で、約1気圧下で工程を進められることを意味する。大気工程を適用するには、バリア層を蒸着する真空環境と、デカップリング層に関連する周辺条件とを繰り返さなければならないことや、環境に敏感な素子を酸素や水分等の環境的汚染源に露出させることのために、多くの困難さが生じる。かような問題点を解消するための1つ方法は、大気工程の間、受容基板の環境的汚染源に対する露出を制御するために、特別のガス(パージガス)を使用することである。例えば、前記工程は、バリア層蒸着のための真空環境と、大気工程のための周辺圧力(ambient pressure)窒素環境とを繰り返すことを含みうる。インクジェット印刷法を用いた印刷工程は、マスクの使用なしに、デカップリング層を正確な領域に形成可能である。
【0047】
デカップリング層を設ける1つの方法は、高分子前駆体を含む(メタ)アクリレートのような高分子前駆体を付着させ、前記高分子前駆体をin situで高分子化してデカップリング層を形成することである。ここで使われているように、高分子前駆体という用語は、単量体、オリゴマー、及び樹脂を含む高分子を形成できる物質を意味するが、それらに限定されるものではない。デカップリング層を設ける他の方法としては、プレセラミック前駆体を、スピンコーティングで液体の層として形成し、その後固体層に変換しうる。ガラスまたは酸素コーティングされた基板上に直接形成された、かようなタイプのフィルムは、全熱変換が可能である。一部の柔軟性のある基板と両立する温度で、全部がセラミックに変換されるわけではないが、架橋網構造(cross−linked network structure)への部分転換は、満足できる程度に生じる。かようなタイプの高分子の一部を架橋結合し、かつ/または高密度にするために電子ビーム技術が使われ、基板の熱的制限を克服するために、電子ビーム技術は熱技術と共に使用することができ、基板が電子ビームの露出を調節できる。デカップリング層を設けるさらに他の方法は、高分子前駆体等の材料を液体状態で、融点以上の温度で付着させ、連続して付着させた高分子前駆体を適所で冷却することを含む。
【0048】
バリア・フィルム複合体を設ける方法は、基板を用意し、バリア堆積ステーションで、前記基板に隣接したところにバリア層を堆積させることを含む。バリア層が形成された基板は、デカップリング材料堆積ステーションに移動する。ここで、開口を備えるマスクを提供することによって、開口はバリア層によって覆われた領域より小さい面積にデカップリング層の堆積を制限する。堆積された第1層は、バリア層またはデカップリング層になり、これは、バリア・フィルム複合体の設計による。
【0049】
このように形成された多層、バリア・コーティング及びバリア・フィルムは、それぞれ柔軟である。それらは、典型的には、7mm半径スピンドルに覆い包んだときにようやくクラッキングが始まる。現在、バリア・コーティングにある薄いアルミニウム酸化物バリア層(約60nm)は、約0.75%引っ張り歪み近くで、クラックを示し始める。材料と接着性とを最適化することにより、最初のクラックのしきい値をさらに高い値に移動させることができる一方で、かような多層バリア・フィルムは、数パーセントの延伸率ではほとんど伸長しにくい。
【0050】
本来の多層バリア・フィルムは、ほぼ無応力(アルミニウム酸化物層の引っ張り歪みは、471MPaだけであり、高分子層の引っ張り歪みは、それよりはるかに低い)を示したが、結果として、処理された多層バリア・フィルムは、平坦であり、熱処理下でカール(curl)が生じない。
【0051】
本来の多層バリア・フィルムのバリア特性は、1x10−6g/m/dayの水蒸気浸透率(WVTR;water vapor transmission rate)を示す。
【0052】
本発明の伸長可能なバリア・フィルム複合体は、環境に影響を与える物質や対象物と共に使用でき、フレキシブルディスプレイや太陽電池から、自動車パンパー、腐食防止のための医療的適用にまで、広範囲に対象を保護することができる。
【0053】
多くの産業では徐々に、三次元対象に(例えば、塗料を塗るように)湿式またはスプレイ・コーティングを適用する代わりに、非環境親和的な化学物質を用いた湿式工程や、結果として生じる混入物及び流出廃棄物の処理を回避することができ、例えば、自動車パンパーのような対象にラッピング可能であり、かつモールディング可能なコーティングが要求されている。
【0054】
本発明の伸長可能なバリア・フィルム複合体は、バリア・フィルムをモールドに入れ、プラスチックを前記モールドに注入することにより、外側にバリア・フィルム複合体のコーティングが形成された三次元物体を製造することに適用されうる。
【0055】
伸長可能なバリア・フィルム複合体は、錠剤個別包装のための医療用包装にも潜在的に適用されうる。
【0056】
前記のような構造を実現する数多くの方法がある。かような方法は、バリア層の柔軟性を使用したり、バリア層が伸長時に破損することを想定している。
【0057】
本発明の目的は、バリア層のクラッキングを防止したり、クラックを最小化して補償することである。得られたバリアは、1x10−6g/m/dayのWVTRを充足しない場合もあるが、依然としてポリクロロトリフルオレン(Honeywell International,Inc.から購入可能(ACLA(登録商標)フィルム)のような均一構造のバリア・フィルムより、100倍にも及ぶ高いなWVTRを有しうる。
【0058】
図1A〜図1Cは、本発明の一実施形態によるバリア・フィルム複合体及びその製造方法を示す概略図である。
【0059】
図1Aに示されるように、始めに波状またはバブル状の表面110を具備したモールド105を準備する。上述のように、波状またはバブル状の表面110を設けるために、モールド105は、エンボス加工されたり、またはフォトリソグラフィ法によって形成されうる。ここで、波状またはバブル状であるとは、本発明のバリア・フィルム複合体やその製造途中の対象の断面を観察したときに、凹凸が観察されることを言う。
【0060】
前記モールド105の表面110に一致するように、デカップリング層115及びバリア層120が形成される。従って、デカップリング層115及びバリア層120は、非常に柔軟であり、弾性の波状構造を形成する。結果として、デカップリング層115及びバリア層120は、伸長可能な(stretchable)構造となる。デカップリング層115がモールド105の表面110上にコーティングされ、その後、バリア層120が、それに一致するデカップリング層115上にスパッタリングされる。図1Aでは、デカップリング層115がモールド105の表面110に直接形成されているが、これは例示であり、デカップリング層115とバリア層120との積層順序は変わりうる。デカップリング層115は、架橋結合(cross−link)され、低いガラス転移温度(Tg)(例えば、約−80℃〜約40℃)の架橋アクリレートを含むことができるが、これに限定されるものではない。この工程は必要な場合、数回反復され、整合されたデカップリング層115とバリア層120とが交互になった層を設ける。デカップリング層の低いガラス転移温度とは、好ましくは約−80℃〜約40℃である。
【0061】
図1Bに示されるように、デカップリング層115とバリア層120とが交互に形成された層の一面に、フィルム125が積層される。フィルム125には、デカップリング層115とバリア層120との波状が転写され、一面が波状を形成する。フィルム125は、伸長可能な材料によって形成される。従って、フィルム125は伸長可能な構造となる。かようなフィルム125は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらの組み合わせから選択された少なくとも1つを含むことができるが、それらに限定されるものではない。
【0062】
図1Cに示されるように、デカップリング層115とバリア層120とが交互に形成された層及びフィルム125から構成されたバリア・フィルム複合体1から、モールド105がリリースされる。モールド105とバリア・フィルム複合体1とのリリースを円滑にするために、モールド105の表面110と、前記表面110に直接形成される層との接着力は、デカップリング層115またはバリア層120とフィルム125との間の接着力より小さいことが望ましい。
【0063】
結果として、モールド105がリリースされ、残ったデカップリング層115とバリア層120とが交互に形成された層およびフィルム125から構成されたバリア・フィルム複合体1は、非常に柔軟であり、かつ波状の表面を有する、伸縮性の高分子を基材とする構造を提供できる。また、湿式またはスプレー・コーティングの代わりに、前述のように、モールド105を利用した成型方法を用い、波状の構造を形成することによって、環境汚染問題を低減することができる。
【0064】
図2は、図1Cのバリア・フィルム複合体が適用された有機発光表示装置の概略図である。
【0065】
前述のように、バリア・フィルム複合体は、環境に影響を与える物質および対象物と共に使用され、またフレキシブル表示装置に適用されうる。有機発光表示装置は、酸素と水分とに脆弱な有機発光層を具備し、次世代表示装置として、フレキシブル表示装置としての要求が高い。
【0066】
図2に示すように、本実施形態による有機発光表示装置100は、基板10一面に、有機発光素子20を備え、有機発光素子20をバリア・フィルム複合体1が封止している。図2には、バリア・フィルム複合体1が有機発光素子20の封止部材として使われる例が示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。バリア・フィルム複合体1は基板10としても使われうる。バリア・フィルム複合体1が封止部材としてのみ使われる場合、基板10は、プラスチック、ポリイミドのようなフレキシブル材料を含むことができる。
【0067】
有機発光素子20は、第1電極層21、有機発光層23及び第2電極層25を含む。
【0068】
第1電極層21及び第2電極層25は、それぞれアノード及びカソードのうちいずれか一つとして用いられ、反射電極、透明電極及び半透明電極のうち一つとして使用されうる。
【0069】
有機発光層23は、低分子有機物または高分子有機物で構成されうる。有機発光層23が低分子有機物で構成される場合、好ましくは、発光層23を中心にホール輸送層(HTL)、ホール注入層(HIL)、電子輸送層(ETL)及び電子注入層(EIL)などが積層されうる。それ以外にも、必要に応じて多様な層が積層されうる。使用可能な有機物としては、銅フタロシアニン(CuPc)、N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N、N’−ジフェニルベンジジン(NPB)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)などを始めとして多様な材料が適用可能である。一方、有機発光層23が高分子有機物で構成される場合には、有機発光層23以外に、ホール輸送層(HTL)が含まれうる。ホール輸送層は、ポリエチレンジヒドロキシチオフェン(PEDOT)や、ポリアニリン(PANI)などを使用できる。使用可能な高分子有機物としては、ポリフェニレンビニレン(PPV)系及びポリフルオレン系等が挙げられる。
【0070】
本発明のバリア・フィルム構造体を用いた有機発光表示装置100は、結果として、柔軟であって伸縮性を有する構造を形成することによって、フレキシブル・ディスプレイを実現できる。また、クラック発生を抑制または最小化し、外部の水分および酸素から有機発光層を保護することができる。
【0071】
以上の説明は、有機発光表示装置を中心に記述したが、それらに限定されるものではない。すなわち、本実施形態によるバリア・フィルム複合体は、多様な表示装置に適用されうる。
【0072】
図3A〜図3Cは、本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体及びその製造方法を示す概略図である。
【0073】
図3Aに示すように、まず、波状の表面を具備したフィルムを構成する、第1層140、及び第1層上の第2層145が形成され、第2層145上に、局部的に第1光照射L1が実施される。第1層140は、柔軟性材料であるプラスチックを含むことができる。第2層145は、低いガラス転移温度(Tg)を有するソフト・モノマーを含むことができる。ソフト・モノマーは、n−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート及びイソオクチルアクリレートなどを含む長鎖アルキルアクリレート(longer chain alkyl acrylate)から選択されうる。第1光照射L1は、レーザ・ライティング、またはマスクを介した光照射によって進められうる。
【0074】
図3Bに示すように、第1光照射L1によって、第2層145の一面に、波状の表面150が形成される。第1光照射L1によって局部的に照射された第2層145の一面は、収縮または拡張することにより波状を形成し、第2光照射(図示せず)によって、波状が固定される。第1層と第2層とは、本発明のバリア・フィルム複合体のフィルムを構成する。
【0075】
図3Cに示すように、第2層145の波状表面150上に、前述の実施形態と同様に、デカップリング層115とバリア層120とを積層する。第2層145上には、デカップリング層115とバリア層120との波状が転写され、一面が波状を形成する。
【0076】
前述のように、第1層140、第1層140上に一面が波状に形成された第2層145、及び波状のデカップリング層115とバリア層120とが交互に形成された層から構成されたバリア・フィルム複合体2は、非常に柔軟であって、波状の表面を有し、伸縮性を示す高分子を基材とする構造を提供できる。また、湿式またはスプレイ・コーティングの代わりに、前述のような光照射を利用して、波状の構造を形成することによって、環境汚染問題を低減することができる。
【0077】
図4は、本発明の他の実施形態による三次元構造のバリア・フィルム複合体3の概略図である。
【0078】
2007年1月26日付で出願された米国特許出願第11/627583号明細書「Three Dimensional Multilayer Barrier And Method Of Making」に記載された三次元バリアの製造は、本出願に参照として引用される。
【0079】
図4に示すように、デカップリング層としての高分子材料のバブル310は、バリア材料で形成されたバリア層315によって被覆される。高分子材料のバブル310は、柔軟であって伸長可能である。伸長するとき、ほとんどのバブルは延びるが、破損されない。一部バブルが破損しても、破損した部分は、他のバブルによって覆われるために、それによって外部に直接通じる経路を与えることはない。
【0080】
図5A及び図5Bは、本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体4−1、4−2の概略図である。
【0081】
図5Aに示すように、バリア・フィルム複合体4−1は、二重バリア層405、410の形成を含む。単層のバリア層の代わりに、バリア層405、410は、ゴムのように伸縮可能な高分子薄膜層415(約10nm〜約100nm)によって分離される2層のバリア層405、410からなる。ここで、前記高分子薄膜層415は、デカップリング層として作用しうる。ゴムのように伸縮可能な高分子は、低いガラス転移温度(Tg)を有する架橋結合されたアクリレートを含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0082】
図5Bに示すように、バリア・フィルム複合体4−2の高分子薄膜層415は、ゲッタ材料420を含むことができる。ゲッタ材料420の粒子サイズは、ナノメートルスケールの粒子(例えば、約1nm〜約100nm)でありうる。前記ゴムのように伸縮可能な高分子薄膜層415は、無機酸化物または窒化物の粒子を含み、水分が蛇行するような経路(tortuous path)を提供できる。
【0083】
図6は、本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体5の概略図である。
【0084】
図6に示すように、バリア・フィルム複合体5は、無機バリア層505とデカップリング層510との交互層を有する。各無機バリア層505は、ゲッタ材料の薄膜層515によって覆われている。バリア・フィルム複合体5が伸長するとき、無機バリア層505にクラックが生じる場合があるが、薄膜層515は、前記クラックの影響を減らすことが可能である。
【0085】
図7は、本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体6の概略図である。
【0086】
図7に示すように、バリア・フィルム複合体6は、交互に積層された複数のバリア層605とデカップリング層610とを含む。
【0087】
バリア層605は、無機材料を含むことができ、前述のように、単一金属、2以上の材料を含む、金属混合物、金属間化合物または合金、金属および混合金属酸化物、金属および混合金属フッ化物、金属および混合金属窒化物、金属および混合金属炭化物、金属および混合金属炭化窒化物、金属および混合金属酸窒化物、金属および混合金属ホウ化物、金属および混合金属酸化ホウ化物、金属および混合金属シリサイド、及びそれらの組み合わせから選択された少なくとも1つを含むことができる。
【0088】
バリア層605は、第1部分615と、前記第1部分615より薄い第2部分620とを含む。従って、第2部分620は、第1部分615より力学的強度が小さくなる。従って、バリア・フィルム複合体6に引っ張り力が加わった場合に、第2部分620は、応力を緩和して、バリア・フィルム複合体6を伸長可能とする。なお、バリア・フィルム複合体6が複数のバリア層605を有する場合、少なくとも1層のバリア層605が第1部分615と、前記第1部分615より薄い第2部分620とを含む。
【0089】
第1部分615及び第2部分620は、同一材料によって形成されうる。また、第1部分615と第2部分620は、異なる材料によっても形成され、第2部分620を形成する材料は、第1部分615を形成する材料より、力学的強度が低い材料でありうる。
【0090】
第2部分620の厚みは、可変でありうる。図7に示されているように、第2部分620の厚みは、エッジから中央部へ行くほど薄くなるクサビ状でありが、これに限定されるものではない。
【0091】
1層のバリア層605に、複数個の第2部分620が形成されうる。このとき、複数個の第2部分620のピッチPは、同一でありうるが、これに限定されるものではない。前記のような複数個の第2部分620は、シャドーマスクを使用することによって形成されうるが、これに限定されるものではない。
【0092】
バリア・フィルム複合体6は、複数のバリア層605を具備でき、このとき、各バリア層605に形成された各第2部分620の位置は、重畳しないように形成されうる。1層のバリア層605に複数の第2部分620が存在する場合、少なくとも1つの第2部分の位置が他の層の第2部分の位置と重ならないことが好ましい。このようにすることによって、バリア・フィルム複合体6が伸長するとき、バリア層605の内部にクラックが発生しても、各バリア層605に位置した第2部分620間の間隔が広くなり、外部混入経路が長くなるために、クラックに対する影響を小さくすることが可能である。
【0093】
図8は、図7のバリア・フィルム複合体が適用された有機発光表示装置200の概略図である。
【0094】
図8に示すように、本実施形態による有機発光表示装置200は、基板10の一面に有機発光素子20が設置され、有機発光素子20をバリア・フィルム複合体6が封止している。図8には、バリア・フィルム複合体6が有機発光素子20の封止部材として使われている例が示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。バリア・フィルム複合体6は、基板10としても使用されうる。バリア・フィルム複合体6が封止部材としてのみ使われる場合、基板10は、プラスチック、ポリイミドのようなフレキシブル材料を含むことができる。
【0095】
有機発光素子20は、第1電極層21、有機発光層23及び第2電極層25を含む。前述の有機発光表示装置100を参照した際説明したため、有機発光素子20に関する詳細な説明は省略する。
【0096】
前述のように、バリア・フィルム複合体6を含んだ有機発光表示装置200は、柔軟であって伸縮性を有する構造を形成することによって、フレキシブル・ディスプレイを実現できる。また、クラック発生を抑制したり、クラックが発生しても、第2部分620間の間隔が広がり、外部混入経路が長くなるために、クラックによる影響を低減でき、外部から侵入する水分および酸素から有機発光層を保護することができる。
【0097】
図9は、本発明の他の実施形態によるバリア・フィルム複合体7の概略図である。
【0098】
図9に示すように、バリア・フィルム複合体7は、基板705上に、交互に積層されたバリア層710とデカップリング層715とが備わる。部分的な透明度のロスが許容されるならば、バリア層710の内部に、金属リブ720が位置しうる。金属リブ720は、軽金属または合金、スズ、インジウム及びその組み合わせから選択された材料でありうるが、それらに限定されるものではない。金属リブ720は、破損することなく伸長しうる。金属リブ720は、二次元的でありうる。
【0099】
バリア・フィルム複合体7を設ける他の方法として、スズのように軟性(ductile)の柔軟な金属または金属合金から、バリア層を設けることを含むことができる。かような多層の構造は、積層する層の数と厚みとによって、半透明または不透明になりうる。しかし、透明なバリア層を必要としない場合であれば、本発明のバリア・フィルム複合体が適用されうる。
【0100】
バリア・フィルム複合体を設ける他の方法としては、無機酸化物または窒化物のナノ粒子の薄膜層でバリア層を被覆する方法が挙げられる。バリア層は、伸長するときにクラックが生じることがあるが、ナノ粒子は、経路長を蛇行して長くすることによって、発生したクラックの影響を低減させるのである。
【0101】
バリア・フィルム複合体を設ける他の方法としては、柔軟な材料で製造した基板を伸長し、それを伸長している間に、基板上にバリア層を蒸着する方法が挙げられる。引っ張りを停止したときに、バリア層は圧縮される。かような構造は、バリア層の一部を伸長可能にする。
【0102】
本発明は、図面に図示された実施形態を参考にして説明したが、それらは例示的なものに過ぎず、当技術分野で当業者であるならば、それらから多様な変形及び均等な他の実施形態が可能であるという点を理解することが可能であろう。従って、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によってのみ決まるものである。
【符号の説明】
【0103】
1、2、3、4−1、4−2、5、6 バリア・フィルム複合体、
10、705 基板、
20 有機発光素子、
21 第1電極層、
23 有機発光層、
25 第2電極層、
100、200 有機発光表示装置、
105 モールド、
110 モールドの表面、
115、510、610、715 デカップリング層、
120、315、605、710 バリア層、
125 フィルム、
140 第1層、
145 第2層、
150 波状の表面、
310 バブル、
405、410 二重バリア層、
415 高分子薄膜層、
420 ゲッタ材料、
505 無機バリア層、
515 薄膜層、
615 第1部分、
620 第2部分、
720 金属リブ、
L1 第1光照射。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
波状の表面を具備したフィルムと、
前記フィルムの一面に位置し、前記波状にそれぞれ少なくとも1層以上積層されたデカップリング層及びバリア層と、を含むバリア・フィルム複合体。
【請求項2】
前記フィルムは、伸長可能な材料を含むことを特徴とする請求項1に記載のバリア・フィルム複合体。
【請求項3】
前記フィルムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート及びそれらの組み合わせから選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項2に記載のバリア・フィルム複合体。
【請求項4】
前記フィルムは、伸長可能な第1層、及び前記第1層上に波状の表面を具備した第2層を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバリア・フィルム複合体。
【請求項5】
前記第1層は、プラスチックを含み、前記第2層は、ソフト・モノマーを含むことを特徴とする請求項4に記載のバリア・フィルム複合体。
【請求項6】
前記デカップリング層とバリア層は、交互に積層されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバリア・フィルム複合体。
【請求項7】
前記デカップリング層は、架橋結合され、低いガラス転移温度を有する材料を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のバリア・フィルム複合体。
【請求項8】
前記デカップリング層は、アクリレートを含むことを特徴とする請求項7に記載のバリア・フィルム複合体。
【請求項9】
前記バリア層は、単一金属、2以上の材料を含む、金属混合物、金属間化合物または合金、金属および混合金属酸化物、金属および混合金属フッ化物、金属および混合金属窒化物、金属および混合金属炭化物、金属および混合金属炭化窒化物、金属および混合金属酸窒化物、金属および混合金属ホウ化物、金属および混合金属酸化ホウ化物、金属および混合金属シリサイド、並びにそれらの組み合わせから選択された少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のバリア・フィルム複合体。
【請求項10】
第1基板と、
前記第1基板に対向する第2基板と、
前記第1基板と第2基板との間に位置した発光素子と、を含み、
前記第1基板と第2基板とのうち少なくとも1つは、請求項1〜9のいずれか一項に記載のバリア・フィルム複合体であることを特徴とする表示装置。
【請求項11】
前記発光素子は、有機発光素子であることを特徴とする請求項10に記載の表示装置。
【請求項12】
波状の表面を具備したフィルムを提供する段階と、
前記フィルムの一面に位置し、前記波状にそれぞれ少なくとも一回以上積層されたデカップリング層及びバリア層を提供する段階と、を含むバリア・フィルム複合体の製造方法。
【請求項13】
波状の表面を具備したモールドをさらに提供し、
前記モールド表面に一致するように、前記デカップリング層及びバリア層を形成し、
前記デカップリング層及びバリア層のうち1層の一面に前記フィルムを形成することを特徴とする請求項12に記載のバリア・フィルム複合体の製造方法。
【請求項14】
前記モールドに波状の表面を形成するのは、エンボス加工またはフォトリソグラフィによって形成することを特徴とする請求項13に記載のバリア・フィルム複合体の製造方法。
【請求項15】
前記デカップリング層及びバリア層のうち、前記モールドの表面に最初に形成される層と前記モールドの表面との接着力は、前記最初に形成される層と前記フィルムとの接着力より小さいことを特徴とする請求項13または14に記載のバリア・フィルム複合体の製造方法。
【請求項16】
前記フィルムの形成後、前記モールドを、前記フィルム並びに最初に形成される層からリリースすることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一項に記載のバリア・フィルム複合体の製造方法。
【請求項17】
前記フィルムの提供は、第1層、及び前記第1層上に形成された第2層を含んで提供され、前記第2層に、局部的に第1光照射を行うことによって、前記第2層に波状の表面を形成することを特徴とする請求項12〜16のいずれか一項に記載のバリア・フィルム複合体の製造方法。
【請求項18】
前記第1光照射は、レーザ・ライティング、またはマスクを介した照射であることを特徴とする請求項17に記載のバリア・フィルム複合体の製造方法。
【請求項19】
前記第2層に第2光照射を行うことによって、前記波状の表面を固定することを特徴とする請求項17〜19のいずれか一項に記載のバリア・フィルム複合体の製造方法。
【請求項20】
第1基板、及び前記第1基板に対向する第2基板を提供する段階と、
前記第1基板と第2基板との間に発光素子を位置させる段階と、を含み、
前記第1基板と第2基板とのうち少なくとも1つは、請求項12〜請求項19のうち、いずれか1項に記載のバリア・フィルム複合体の製造方法によって形成される段階と、を含む表示装置の製造方法。
【請求項21】
前記発光素子は、有機発光素子であることを特徴とする請求項20に記載の表示装置の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−136560(P2011−136560A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292574(P2010−292574)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】