説明

パイプ用の耐高圧回転式補償装置

芯管(1)と、シール押さえ(3)と、シール受け(5)と、接続管(7)とを備え、前記芯管(1)は一方の端が接続管(7)の中に挿入され、前記接続管(7)は前記シール受け(5)の一方の端に固定して接続されて前記芯管(1)の外面を覆うように取付けられ、前記芯管(1)に環状外側ボス(8)が設けられ、前記シール受け(5)に環状内側ボス(9)が設けられ、前記シール押さえ(3)は、芯管(1)の外面を覆うように取付けられるとともに、円環面シール部材(4)に当接するように前記シール受け(5)の他方の一端に挿入され、前記シール押さえ(3)と前記シール受け(5)とは接続部材(2)により接続されるパイプ用の耐高圧回転式補償装置において、前記シール受け(5)と前記芯管(1)との間に一つのシールキャビティが形成され、前記シールキャビティの中に端面シール部材(6)が設けられたパイプ用の耐高圧回転式補償装置。この回転式補償装置は高温・高圧媒質用パイプの漏れという問題を解決し、回転式補償装置の適用範囲を広げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイプジョイントであり、特にパイプに用いられるパイプの長さの自動補償が実現できるパイプ補償装置に関し、具体的には、パイプ用の耐高圧回転式補償装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、伝統的な二重管式、ベローズ式及び鋼球式のパイプ用補償装置は、構成が複雑でコストが高く、取付けが不便で補償量が小さいといった原因で、次第に回転式の補償装置に代えられるようになっており、構成が簡単で作製が便利で、補償量が大きいという利点をもつ回転式補償装置が大量に利用されている(中国特許出願ZL982270615及びZL022587098参照)。
【0003】
しかしながら、実際の使用中には、シール構造に問題があるため、端面に漏れが起こることがあり、特に高温・高圧媒質を輸送する場合、特に漏れ現象が発生することが発見されている。従って、高温・高圧輸送用のパイプの利用要求に応じるために、そのシール構造を改良しなければならない。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、従来の回転式補償装置における高温・高圧シール性が不良という問題点に鑑みてなされたものであり、新しいシール構造を持つパイプ用の耐高圧回転式補償装置を提供することを目的とする。
【0005】
本発明にかかる技術的観点によれば、芯管1と、シール押さえ3と、シール受け5と、接続管7とを備え、前記芯管1は一方の端が接続管7の中に挿入され、前記接続管7は上記シール受け5の一方の端に固定して接続されて上記芯管1の外面を覆うように取付けられ、上記芯管1の上記接続管7に挿入される端に少なくとも一つの環状外側ボス8が設けられ、上記シール受け5の内面に少なくとも一つの環状内側ボス9が設けられ、上記シール押さえ3は上記芯管1の外面を覆うように取付けられるとともに、上記シール受け5の内面と上記芯管1の外面との間に取付けられる円環面シール部材4に当接されるように上記シール受け5の他方の端に挿入され、上記シール押さえ3と上記シール受け5とは接続部材2により接続されるパイプ用の耐高圧回転式補償装置において、上記シール受け5と上記芯管1との間に、少なくとも一つの、上記シール受け5の内面と、上記芯管1の外面と、上記環状外側ボス8及び上記環状内側ボス9の側面とで構成されるシールキャビティが形成され、上記シールキャビティの中に端面シール部材6が設けられることを特徴とするパイプ用の耐高圧回転式補償装置を提供する。
【0006】
本発明は、補償時の回転の容易性を確保するために、上記芯管1の外面に接する上記シール受け5の環状内側ボス9および/または上記芯管1の外面に接する上記シール押さえ3において、ボール10が設けられる。
【0007】
シール性を確保するために、本発明にかかるシール部材4,6は、例えば、高純度の可撓性の油浸黒鉛シール部材のような耐高温・高圧シール部材にしてもよい。
【0008】
接続を便利にするために、本発明にかかる接続管7は、上記シール受け5に固定して接続される端がパイプに接続される端より大径である変径パイプジョイントにしてもよい。
【0009】
本発明は以下のような利点を有する。
【0010】
本発明者は、大量の試験に基づき、従来の回転式補償装置におけるシール不良の問題を解析することにより、端面シールがすべての問題の原因となるポイントであることを見出した。したがって、本発明は、主に端面シールの機能を果たすシール装置6を追加することにより、高温・高圧媒質が芯管1の外面を介して従来にかかる円環面シール部件4に入り込むことができず、端面シールの効果が温度や圧力の増加に伴って向上されるようにしている。これは、相対的に密閉されたシールキャビティにおいて、シール部材の膨張係数がキャビティの膨張係数より大きいため、温度や圧力が高いほど、シール部材と端面との貼り合いがよくなるので、シール効果がさらに向上されるからである。伝統的な回転式補償装置は、この点を無視したからこそ、端面の漏れが発生し、回転式補償装置の普及と適用が制限されてしまうわけである。これに対し、本発明は、この技術的問題の解決に成功し、その適用範囲を大幅に広げて、様々な高温・高圧媒質パイプの補償に適用することができる。
【0011】
シール効果を向上させるために、一つ以上の本発明にかかる端面シール装置を利用してもよいが、上記端面シール部材6が取付けられるシールキャビティは、円環面シールキャビティと同じようなキャビティの容積が調整可能な構成に設計されてもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、添付図面と実施形態を参照しながら、本発明について更に説明する。
【0013】
図1に示すように、芯管1と、シール押さえ3と、シール受け5と、接続管7とを備え、上記芯管1は一方の端が接続管7の中に挿入され、上記接続管7は工事においてよく利用される変径パイプジョイントにしてもよく、上記接続管7は上記シール受け5の一方の端に溶接で接続されて芯管1の外面を覆うように取り付けられ、上記芯管1の上記接続管7に挿入される端に一つの環状外側ボス8(当該環状外側ボスの数は、媒質の温度やパイプの圧力に基づいて試験により決定されてもよい。)が設けられ、上記シール受け5の内面に一つの環状内側ボス9(当該環状内側ボスの数は、媒質の温度やパイプの圧力に基づいて試験により決定されてもよい。)が設けられ、上記シール押さえ3は、上記芯管1の外面を覆うように取付けられるとともに、上記シール受け5の内面と上記芯管1の外面との間に取付けられる円環面シール部材4に当接されるように上記シール受け5の他方の一端に挿入され、上記シール押さえ3と上記シール受け5とは接続部材2により接続されるパイプ用の耐高圧回転式補償装置であって、上記シール受け5と上記芯管1との間に、少なくとも一つの、上記シール受け5の内面と、上記芯管1の外面と、上記環状外側ボス8及び上記環状内側ボス9の側面とで構成されるシールキャビティが形成され、上記シールキャビティの中に端面シール部材6が設けられ、上記シール部材4,6は、例えば、高純度の可撓性の油浸黒鉛シール部材のような耐高温・高圧のシール部材にしてもよいパイプ用の耐高圧回転式補償装置である。
【0014】
補償時の回転の容易性を確保するために、具体的に実施する場合、上記芯管1の外面に接する上記シール受け5の環状内側ボス9と、上記芯管1の外面に接する上記シール押さえ3とにおいて、ボール10が一回り設けられてもよい。上記ボール10は、上記芯管1の外面に接する上記シール押さえ3だけに設けられてもよいし、一回りも設けられなくてもよい。これは、回転する時の回転速度が遅く、相対的に回転する角度が制限されて、回転の容易性に対する要求がそれほど高くないからである。無論、上記ボール10が設けられると、その効果がさらに向上される。
【0015】
具体的に実施する場合、シール効果を向上させるために、上記端面シール部材6と上記円環面シール部材4の数を適切に増やしてもよいが、これは、作製中に環状の内外側ボスのテラス面を増やすだけで実現される。
【0016】
本発明で論及されていない部分は、全て従来技術と同様である。
【0017】
上述したように、従来にかかる回転式補償装置に端面シール部材を追加することは本発明のキーポイントであるので、端面シール部材を追加することにより回転式補償装置の漏れを解決するものは、すべて本発明に含まれるものと認められる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の構成を模式的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯管(1)と、シール押さえ(3)と、シール受け(5)と、接続管(7)とを備え、前記芯管(1)は一方の端が接続管(7)の中に挿入され、前記接続管(7)は前記シール受け(5)の一方の端に固定して接続されて前記芯管(1)の外面を覆うように取付けられ、前記芯管(1)の前記接続管(7)に挿入される端に少なくとも一つの環状外側ボス(8)が設けられ、前記シール受け(5)の内面に少なくとも一つの環状内側ボス(9)が設けられ、前記シール押さえ(3)は、前記芯管(1)の外面を覆うように取付けられるとともに、前記シール受け(5)の内面と前記芯管(1)の外面との間に取付けられる円環面シール部材(4)に当接されるように前記シール受け(5)の他方の端に挿入され、前記シール押さえ(3)と前記シール受け(5)とは接続部材(2)により接続されるパイプ用の耐高圧回転式補償装置において、前記シール受け(5)と前記芯管(1)との間に、少なくとも一つの、前記シール受け(5)の内面と、前記芯管(1)の外面と、前記環状外側ボス(8)及び前記環状内側ボス(9)の側面とで構成されるシールキャビティが形成され、前記シールキャビティの中に端面シール部材(6)が設けられることを特徴とするパイプ用の耐高圧回転式補償装置。
【請求項2】
前記芯管(1)の外面に接する前記シール受け(5)の前記環状内側ボス(9)および/または前記芯管(1)の外面に接する前記シール押さえ(3)において、ボール(10)が設けられることを特徴とする請求項1に記載のパイプ用の耐高圧回転式補償装置。
【請求項3】
前記シール部材(4,6)は、耐高温・高圧のシール部材であることを特徴とする請求項1に記載のパイプ用の耐高圧回転式補償装置。
【請求項4】
前記接続管(7)は、前記シール受け(5)に固定して接続される端がパイプに接続される端より大径である変径パイプジョイントであることを特徴とする請求項1に記載のパイプ用の耐高圧回転式補償装置。


【図1】
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【公表番号】特表2010−500507(P2010−500507A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523132(P2009−523132)
【出願日】平成19年2月25日(2007.2.25)
【国際出願番号】PCT/CN2007/000602
【国際公開番号】WO2008/019546
【国際公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願人】(508325072)
【氏名又は名称原語表記】SONG ZHANGGEN
【住所又は居所原語表記】C/O YIXING CITY HONGXIN HEAT INSULATION PIPE CO.,LTD., WEST TO WANSHI TOWN, YIXING, JIANGSU, 214212 CHINA
【Fターム(参考)】