説明

パターン形成方法、パターン形成装置及び回路基板

【課題】加熱される液滴吐出ヘッドを冷却して液滴の吐出重量の安定性を向上させかつ精
度の高いパターンを短時間に形成するパターン形成方法、パターン形成装置及び回路基板
を提供する。
【解決手段】ステージ23は、グリーンシート4Gを載置する載置台23bと、その載置
台23bの両側に冷却台23cを有している。載置台23bの下面には、ペルチェ素子P
Tがその発熱部PTbが載置台23bの下面と向き合うように取着されている。ペルチェ
素子PTの吸熱部PTaは、熱伝導板24を介して冷却台23cの下面に連結固定されて
いる。ペルチェ素子PTは発熱部PTbからの発熱によって載置台23bを加熱し、加熱
された載置台23bはグリーンシート4Gを所定の温度に加熱する、また、ペルチェ素子
PTは、吸熱部PTaの吸熱によって、熱伝導板24を介して冷却台23cをそれぞれ冷
却する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成方法、パターン形成装置及び回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液滴吐出ヘッドにて機能液を液滴として吐出させて基板上に所望にパターンを形
成するインクジェット方式が有効な手段として注目されている(例えば、特許文献1)。
一般に、インクジェット方式は、ステージに載置した基板と、機能材料を含有した機能
液を液滴として基板に吐出する液滴吐出ヘッドと、基板(ステージ)と液滴吐出ヘッドを
2次元的に相対移動させる機構を備えている。そして、液滴吐出ヘッドから吐出させた液
滴を基板表面の任意の位置に配置させる。このとき、基板表面に順次配置される各液滴に
ついて、その液滴の濡れ拡がる範囲が互いに重なるように液滴を順次配置することにより
、基板表面に隙間無く機能液で覆われたパターンを形成することができる。
【0003】
ところで、基板表面が、機能液に対して撥液性を有している場合には、基板表面と機能
液とが引き合う力よりも、互いに接する液滴同士が表面張力によって引き合う力が強く、
機能液が局所的に集中するといった現象が起こる。このような局所的な集中が生じると、
基板表面が機能液で均一に覆われなくなり、最悪な場合には、基板表面の一部が機能液の
欠如のため露出するといった問題が生じる。
【0004】
そのため、互いに接する液滴同士を重ねる場合、先に着弾した液滴が充分に乾燥した後
に次の液滴を着弾させる必要があり、パターン形成に時間を要していた。そこで、基板を
予め加熱をしておき、着弾した液滴を速やかに乾燥させる方法が提案されている(例えば
、特許文献2、特許文献3)。
【特許文献1】特開2004−347695号 公報
【特許文献2】特開2004−306372号 公報
【特許文献3】特開平11−281985号 公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、液滴吐出ヘッドのノズル形成面と基板との間の距離が非常に狭い。その
結果、上記のように基板を加熱した状態で液滴を吐出して基板上にパターンを形成する際
に、液滴吐出ヘッドは、加熱された基板からの熱で加熱される。その結果、液滴吐出ヘッ
ドから吐出される機能液は加温され粘性が低下、ノズルプレートの熱膨張により、ノズル
ピッチの変動、液滴吐出ヘット内部に付着した溶液の乾燥等、種々の問題を含んでいた。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、加熱される液
滴吐出ヘッドを、冷却して液滴の吐出重量の安定性を向上させかつ精度の高いパターンを
短時間に形成することができるパターン形成方法、パターン形成装置及び回路基板を提供
することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のパターン形成方法は、ステージに載置された基体に対して、そのステージを介
して前記基体を加熱した状態で、機能材料を含有した機能液を液滴吐出ヘッドから吐出さ
せて前記基体にパターンを描画するパターン形成方法において、前記ステージを、前記基
体又は前記基体の描画エリアに対応する第1の領域と、前記第1の領域以外であって前記
液滴吐出ヘッドが通過する位置に対応する第2の領域との区分し、前記第1の領域を加熱
制御し、前記第2の領域を冷却制御して前記パターンを描画する。
【0008】
本発明のパターン形成方法によれば、ステージの第1の領域が加熱されていることから
基体は加熱され、基体に着弾する液滴は速やかに乾燥される。また、ステージの第2の領
域が冷却されていることから、第2の領域を通過する液滴吐出ヘッドは冷やされる。従っ
て、液滴吐出ヘッド内の機能液の温度上昇を抑えると共に、熱膨張によるノズルピッチの
変動を抑制する。
【0009】
このパターン形成方法において、前記第1の領域は、前記基体の基体表面温度が吐出時
の機能液の温度以上かつ機能液に含有されている液体組成の沸点温度未満になるように加
熱制御されている。
【0010】
このパターン形成方法によれば、基体に着弾した液滴は、基体の表面温度が吐出時の機
能液の温度以上なので直ちに乾燥を開始する。しかも、基体の表面温度が液体組成の沸点
温度未満なので、液滴は基体上で突沸することはない。その結果、高密度・高精細なパタ
ーンを短時間に形成することができる。
【0011】
本発明のパターン形成装置は、ステージに載置された基体に対して、そのステージを介
して前記基体を加熱した状態で、機能材料を含有した機能液の液体を液滴吐出ヘッドから
吐出させて前記基体にパターンを描画するパターン形成装置において、前記ステージは、
前記基体又は前記基体の描画エリアを加熱する加熱部と、前記加熱部の両側に設けられ、
前記加熱部を通過した後の前記液滴吐出ヘッドを冷却する冷却部とを備えた。
【0012】
本発明のパターン形成装置によれば、ステージは、加熱部とその加熱部の両側に冷却部
を設けた。そして、加熱部にて基体を加熱することから、基体に着弾する液滴は速やかに
乾燥される。また、前記加熱部の両側に設けられ冷却部によって、冷却部を通過する液滴
吐出ヘッドは冷やされる。従って、液滴吐出ヘッド内の機能液の温度上昇を抑えると共に
、熱膨張によるノズルピッチの変動を抑制する。
【0013】
このパターン形成装置において、前記加熱部は、前記基体の基体表面温度が吐出時の機
能液の温度以上かつ機能液に含有される液体組成の沸点温度未満の温度になるように加熱
制御される。
【0014】
このパターン形成装置によれば、基体に着弾した液滴は、基体の表面温度が吐出時の機
能液の温度以上なので直ちに乾燥を開始する。しかも、基体の表面温度が液体組成の沸点
温度未満なので、液滴は基体上で突沸することはない。その結果、高密度・高精細なパタ
ーンを短時間に形成することができる。
【0015】
このパターン形成装置において、前記ステージは、前記加熱部と前記冷却部との間に断
熱部材を設けた。
このパターン形成装置によれば、断熱部材により、加熱部と冷却部との間での熱交換は
行われ難い。
【0016】
このパターン形成装置において、前記加熱部は、同加熱部を加熱する加熱手段を設け、
前記冷却部は、同冷却部を冷却する冷却手段を設けた。
このパターン形成装置によれば、加熱部は加熱手段にて加熱され、冷却部は冷却手段に
て冷却される。
【0017】
このパターン形成装置において、前記加熱手段及び冷却手段は、ペルチェ素子であって
、前記ペルチェ素子の発熱部が前記加熱部の下面に連結され、前記ペルチェ素子の吸熱部
が冷却部の下面に熱伝導板を介して連結されている。
【0018】
このパターン形成装置によれば、1つのペルチェ素子にて、加熱部の加熱と、冷却部の
冷却とが実現でき、部品点数の低減、省資源化を図り、環境にも優しいものとなる。
このパターン形成装置において、前記基体は、多孔質性基板であってセラミック粒子と
樹脂とから構成される低温焼成用シートであり、前記機能液は、機能材料として金属粒子
を分散させた液体である。
【0019】
このパターン形成装置によれば、多孔質性基板上に金属膜からなるパターンを綺麗にし
かも短時間に形成することができる。
本発明に回路基板は、回路素子を実装するとともにその実装した回路素子に対して電気
的に接続された配線が形成された回路基板において、請求項3〜8のいずれか1に記載の
パターン形成装置で形成した配線を有した。
【0020】
本発明の回路基板は、より生産性を上げることのできる回路基板となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を、LTCC多層基板(LTCC:Low Temperature Co-fired Ceramics
多層基板)に半導体チップを実装してなる回路モジュールであって、そのLTCC多層基
板を構成する複数の低温焼成基板(グリーンシート)に描画する配線パターンの形成に具
体化した一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
【0022】
まず、LTCC多層基板に半導体チップを実装してなる回路モジュールについて説明す
る。図1は、回路モジュール1の断面図を示し、回路モジュール1は、板状に形成された
LTCC多層基板2と、そのLTCC多層基板2の上側に、ワイヤーボンディング接続さ
れた半導体チップ3とを有している。
【0023】
LTCC多層基板2は、シート状に形成された複数の低温焼成基板4の積層体である。
各低温焼成基板4は、それぞれガラスセラミック系材料(例えば、ホウケイ酸アルカリ酸
化物などのガラス成分とアルミナなどのセラミック成分の混合物)の焼結体(多孔質性基
板)であって、その厚みが数百μmで形成されている。
【0024】
そして、低温焼成基板4は、その焼結前のものをグリーンシート4G(図2,4参照)
という。グリーンシート4Gは、ガラスセラミック系材料の粉末と分散媒をバインダー、
整泡剤などとともに混合してスラリーを作成しこれを板状にした後に乾燥したものであっ
て、通気性を有している。即ち、グリーンシート4Gは、通気性基板である。
【0025】
各低温焼成基板4には、抵抗素子、容量素子、コイル素子などの各種の回路素子5と、
各回路素子5を電気的に接続する内部配線6と、スタックビア構造、サーマルビア構造を
呈する所定の孔径(例えば、20μm)を有した複数のビアホール7と、該ビアホール7
に充填されたビア配線8と、がそれぞれ回路設計に基づいて適宜形成されている。
【0026】
各低温焼成基板4上の各内部配線6は、それぞれ銀や銀合金などの金属微粒子の焼結体
であって、図2に示す液滴吐出装置20を利用した配線パターン形成方法によって形成さ
れる。
【0027】
図2は、液滴吐出装置20を説明する全体斜視図である。
図2において、パターン形成装置としての液滴吐出装置20は、直方体形状に形成され
た基台21を有している。基台21の上面には、その長手方向(Y矢印方向)に沿って延
びる一対の案内溝22が形成されている。案内溝22の上方には、案内溝22に沿ってY
矢印方向及び反Y矢印方向に移動するステージ23が備えられている。
【0028】
ステージ23は、その上面に焼成前の低温焼成基板4、即ち通気性のグリーンシート4
Gを載置する。ステージ23は、図6に示すように、ベース23aと、そのベース23a
の上側中央位置に配置された加熱部としての載置台23bと、そのベース23aに上側で
あって載置台23bのX矢印方向の両側に配置された冷却部としての冷却台23cを備え
ている。ベース23aは、基台21の上面に配設され、後述するY軸モータMY(図5参
照)に駆動に基づいて案内溝22に沿ってY矢印方向及び反Y矢印方向に移動する。載置
台23bは、その上面(第1の領域)に吸着板23d、その吸着板23dの上面にグリー
ンシート4Gが吸着固定される。
【0029】
また、載置台23bの下面には、加熱手段または冷却手段としてのペルチェ素子PTが
取着されている。ペルチェ素子PTは、その発熱部PTbが載置台23bの下面と向き合
うように当接するように取着されている。従って、ペルチェ素子PTの吸熱部PTaは、
下側に面することになる。ペルチェ素子PTの吸熱部PTaには、X矢印方向に一対の熱
伝導板24の基端部(連結部24a)がそれぞれ連結固定されている。熱伝導板24はク
ランク状に形成され、その先端部(冷却部24b)は、それぞれX矢印方向及び反X矢印
方向に延出形成されている。熱伝導板24の先端部(冷却部24b)は、載置台23bの
両側に配設された一対の冷却台23cの下面とそれぞれ連結固定されている。なお、冷却
台23cの上面(第2の領域)は、なにも載置されないようになっている。
【0030】
従って、ペルチェ素子PTは、発熱部PTbからの発熱によって載置台23bを加熱し
加熱された載置台23bは吸着板23dを介してグリーンシート4Gを所定の温度に加熱
する、また、ペルチェ素子PTは、吸熱部PTaの吸熱によって各熱伝導板24を介して
冷却台23cをそれぞれ冷却する。
【0031】
載置台23bと各冷却台23cとの間には、断熱部材としての第1断熱部材I1が配設
され、載置台23bと各冷却台23cの間の熱交換が行われ難くしている。また、一対の
熱伝導板24は、第2断熱部材I2を介してベース23aに支持固定され、同熱伝導板2
4を介して、載置台23b及び一対の冷却台23cをベース23aに固定されている。
【0032】
又、載置台23bには、吸着板23dとグリーンシート4Gとの間を負圧にするための
図示しない吸引通路が形成され、吸引ポンプにて吸引通路を減圧し吸着板23dとグリー
ンシート4Gとの間を負圧してグリーンシート4Gを吸着板23dに吸着固定する。
【0033】
基台21には、Y矢印方向と直交する方向(X矢印方向)に跨ぐ門型のガイド部材25
が架設されている。ガイド部材25の上側には、X矢印方向に延びるインクタンク26が
配設されている。インクタンク26は、機能液としての金属インクFを貯留し、貯留する
金属インクFを液滴吐出ヘッド(以下単に、吐出ヘッドという。)30に所定の圧力で供
給する。そして、吐出ヘッド30に供給された金属インクFは、吐出ヘッド30から液滴
Fb(図4参照)となってグリーンシート4Gに向かって吐出されるようになっている。
【0034】
金属インクFは、機能材料としての金属微粒子、例えば粒径が数nmの機能材料として
の金属微粒子を溶媒に分散させた分散系金属インクを用いることができる。
金属インクFに使用する金属微粒子としては、例えば、金(Au)、銀(Ag)、銅(
Cu)、アルミニウム(Al)、パラジウム(Pd)、マンガン(Mn)、チタン(Ti
)、タンタル(Ta)、及びニッケル(Ni)などの材料の他、これらの酸化物、並びに
超電導体の微粒子などが用いられる。金属微粒子の粒径は1nm以上0.1μm以下であ
ることが好ましい。0.1μmより大きいと吐出ヘッド30の吐出ノズルNに目詰まりが
生じるおそれがある。また、1nmより小さいと金属微粒子に対する分散剤の体積比が大
きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0035】
分散媒としては、上記の金属微粒子を分散できるもので凝集を起こさないものであれば
特に限定されない。例えば水系溶媒のほか、メタノール、エタノール、プロパノール、ブ
タノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラ
デカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロ
ナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、
またエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン
、1,3−プロパンジオールなどのポリオール類、ポリエチレングリコール、エチレング
リコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール
メチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコール
ジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエ
タン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、
さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノン、乳酸エチルなどの極性
化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法
への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好
ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0036】
グリーンシート4Gに着弾した金属インクFは、グリーンシート4Gが加熱されている
ことから溶媒あるいは分散媒の蒸発は促進される。そして、グリーンシート4Gに着弾し
た金属インクFは、乾燥とともにその表面の外縁から増粘し、つまり、中央部に比べて外
周部における固形分(粒子)濃度が速く飽和濃度に達することから表面の外縁から増粘し
ていく。外縁の増粘した金属インクFは、グリーンシート4Gの面方向に沿う自身の濡れ
広がりを停止する(ピニングする)。ピニングされた状態の金属インクFは、グリーンシ
ート4Gに固定され重ね打ちされても、グリーンシート4Gに固定状態になっており、液
滴Fbの外径が変化しなくなっているため、次の液滴Fbに引き寄せられることはない。
【0037】
ガイド部材25には、そのX矢印方向略全幅にわたって、X矢印方向に延びる上下一対
のガイドレール28が形成されている。上下一対のガイドレール28には、キャリッジ2
9が取り付けられている。キャリッジ29は、ガイドレール28に案内されてX矢印方向
及び反X矢印方向に移動する。キャリッジ29には、液滴吐出ヘッド30が搭載されてい
る。
【0038】
図3は吐出ヘッド30をグリーンシート4G側から見た下面図を示し、図4は吐出ヘッ
ドの要部断面図を示す。吐出ヘッド30の下側には、ノズルプレート31が備えられてい
る。ノズルプレート31は、その下面(ノズル形成面31a)がグリーンシート4Gの描
画エリアとしての上面(吐出面4Ga)と略平行に形成されている。ノズルプレート31
は、グリーンシート4Gが吐出ヘッド30の直下に位置するとき、ノズル形成面31aと
吐出面4Gaとの間の距離(プラテンギャップ)を所定の距離(例えば、500μm)に
保持する。
【0039】
図3において、ノズル形成面31aには、Y矢印方向に沿って配列された複数のノズル
Nからなる一対のノズル列NLが形成されている。一対のノズル列NLには、それぞれ1
インチ当たりに180個のノズルNが形成されている。なお、図3では、説明の都合上、
一列当りに10個のノズルNのみを記載している。
【0040】
一対のノズル列NLでは、Y矢印方向から見て、一方のノズル列NLの各ノズルNが、
他方のノズル列NLの各ノズルNの間を補間する。すなわち、吐出ヘッド30は、Y矢印
方向に、1インチ当りに180個×2=360個のノズルNを有する(最大解像度が36
0dpiである)。
【0041】
図4において、吐出ヘッド30の上側には、流路としての供給チューブ30Tが連結さ
れている。供給チューブ30Tは、Z矢印方向に延びるように配設されて、インクタンク
26からの金属インクFを吐出ヘッド30に供給する。
【0042】
各ノズルNの上側には、供給チューブ30Tに連通するキャビティ32が形成されてい
る。キャビティ32は、供給チューブ30Tからの金属インクFを収容して、対応するノ
ズルNに金属インクFを供給する。キャビティ32の上側には、上下方向に振動してキャ
ビティ32内の容積を拡大及び縮小する振動板33が貼り付けられている。振動板33の
上側には、ノズルNに対応する圧電素子PZが配設されている。圧電素子PZは、上下方
向に収縮及び伸張して振動板33を上下方向に振動させる。上下方向に振動する振動板3
3は、金属インクFを所定サイズの液滴Fbにして対応するノズルNから吐出させる。吐
出された液滴Fbは、対応するノズルNの反Z矢印方向に飛行して、グリーンシート4G
の吐出面4Gaに着弾する。
【0043】
つまり、キャリッジ29が、ガイドレール28に沿って往復動させ、吐出ヘッド30を
、ステージ23の直上位置をX矢印方向及び反X矢印方向に端から端まで通過させる。詳
述すると、吐出ヘッド30は、ステージ23の直上を、一方の冷却台23c→載置台23
b(吸着板23d)→他方の冷却台23cの順番で通過する。そして、吐出ヘッド30が
ステージ23の載置台23b(吸着板23d)の直上を通過するとき、吐出ヘッド30か
ら液滴Fbを吐出させることで、載置台23bに載置されたグリーンシート4Gの吐出面
4Gaに液滴Fbが着弾して、液滴Fbよりなるパターンがグリーンシート4Gに形成さ
れる。また、吐出ヘッド30が各冷却台23cの直上を通過するとき、吐出ヘッド30は
液滴Fbの吐出は休止するようになっている。
【0044】
次に、上記のように構成した液滴吐出装置20の電気的構成を図5に従って説明する。
図5において、制御装置50は、CPU50A、ROM50B、RAM50Cなどを有
している。制御装置50は、格納された各種データ及び各種制御プログラムに従って、ス
テージ23の搬送処理、キャリッジ29の搬送処理、吐出ヘッド30の液滴吐出処理、ペ
ルチェ素子PTの駆動処理などを実行する。
【0045】
制御装置50には、各種操作スイッチとディスプレイを有した入出力装置51が接続さ
れている。入出力装置51は、液滴吐出装置20が実行する各種処理の処理状況を表示す
る。入出力装置51は、内部配線6を形成するためのビットマップデータBDを生成し、
そのビットマップデータBDを制御装置50に入力する。
【0046】
ビットマップデータBDは、各ビットの値(0あるいは1)に応じて各圧電素子PZの
オンあるいはオフを規定したデータである。ビットマップデータBDは、吐出ヘッド30
(各ノズルN)の通過する描画平面(吐出面4Ga)上の各位置に、配線用の液滴Fbを
吐出するか否かを規定したデータである。すなわち、ビットマップデータBDは、吐出面
4Gaに規定された内部配線6の目標形成位置に配線用の液滴Fbを吐出させるためのデ
ータである。
【0047】
制御装置50には、X軸モータ駆動回路52が接続されている。制御装置50は、駆動
制御信号をX軸モータ駆動回路52に出力する。X軸モータ駆動回路52は、制御装置5
0からの駆動制御信号に応答して、キャリッジ29を移動させるためのX軸モータMXを
正転又は逆転させる。制御装置50には、Y軸モータ駆動回路53が接続されている。制
御装置50は、駆動制御信号をY軸モータ駆動回路53に出力する。Y軸モータ駆動回路
53は、制御装置50からの駆動制御信号に応答して、ステージ23を移動させるための
Y軸モータMYを正転又は逆転させる。
【0048】
制御装置50には、ヘッド駆動回路54が接続されている。制御装置50は、所定の吐
出周波数に同期させた吐出タイミング信号LTをヘッド駆動回路54に出力する。制御装
置50は、各圧電素子PZを駆動するための駆動電圧COMを吐出周波数に同期させてヘ
ッド駆動回路54に出力する。
【0049】
制御装置50は、ビットマップデータBDを利用して所定の周波数に同期したパターン
形成用制御信号SIを生成し、パターン形成用制御信号SIをヘッド駆動回路54にシリ
アル転送する。ヘッド駆動回路54は、制御装置50からのパターン形成用制御信号SI
を各圧電素子PZに対応させて順次シリアル/パラレル変換する。ヘッド駆動回路54は
、制御装置50からの吐出タイミング信号LTを受けるたびに、シリアル/パラレル変換
したパターン形成用制御信号SIをラッチし、パターン形成用制御信号SIによって選択
される圧電素子PZにそれぞれ駆動電圧COMを供給する。
【0050】
制御装置50には、ペルチェ素子駆動回路55が接続されている。制御装置50は、ペ
ルチェ素子駆動回路55に駆動制御信号を出力する。ペルチェ素子駆動回路55は、制御
装置50からの駆動制御信号に応答して、ペルチェ素子PTを駆動制御する。つまり、ペ
ルチェ素子PTは、駆動制御されることによって、載置台23bを加熱するとともに各熱
伝導板24を介してそれぞれ冷却台23cを冷却するようになっている。
【0051】
本実施形態では、制御装置50によって、ペルチェ素子PTは、載置台23b(吸着板
23d)に載置されたグリーンシート4Gの温度(表面温度)が吐出ヘッド30から吐出
される時の金属インクFの温度以上かつ金属インクFに含まれる液体組成の沸点未満(液
体組成中の最も沸点の低い温度未満)の温度となるように制御されている。つまり、グリ
ーンシート4Gを吐出ヘッド30から吐出される時の金属インクFの温度以上に加熱して
、吐出される時は吐出ヘッド30で乾燥せず、着弾した液滴Fbはそれ以上の温度で速や
かに加熱し乾燥するとともに、グリーンシート4Gを液滴Fbの沸点未満に加熱して、着
弾した液滴Fbをグリーンシート4G上で突沸しないようするためである。
【0052】
次に、上記液滴吐出装置20を利用したグリーンシート4Gの配線パターンの形成方法
について説明する。
図2に示すように、吐出面4Gaが上側になるようにグリーンシート4Gを載置台23
b(吸着板23d)に載置する。このとき、ステージ23は、グリーンシート4Gをキャ
リッジ29の反Y矢印方向に配置する。このグリーンシート4Gは、ビアホール7が形成
され、そのビアホール7にビア配線8がなされていて、その吐出面4Gaに内部配線6を
形成するものとする。
【0053】
この状態から、液滴Fbによる内部配線6の配線パターンを形成するためのビットマッ
プデータBDが入出力装置51から制御装置50に入力される。制御装置50は、入出力
装置51からの内部配線6を形成するためのビットマップデータBDを格納する。
【0054】
このとき、制御装置50は、ペルチェ素子駆動回路55を介して載置台23bに設けた
ペルチェ素子PTを駆動し載置台23b(吸着板23d)に載置されたグリーンシート4
G全体が一様に前記所定の温度になるように加熱制御している。即ち、グリーンシート4
Gの吐出面4Gaは、吐出ヘッド30から吐出される時の金属インクFの温度以上かつ金
属インクFに含まれる液体組成の沸点未満(液体組成中の最も沸点の低い温度未満)の温
度となるように制御されている。この加熱制御にともなって、ペルチェ素子PTは、各熱
伝導板24を介してそれぞれの冷却台23cを冷却する。
【0055】
次いで、制御装置50は、吐出ヘッド30が載置台23bに載置したグリーンシート4
Gの所定の直上位置をX矢印方向に通過するように、Y軸モータ駆動回路53を介してY
軸モータMYを駆動してステージ23を搬送する。そして、制御装置50は、反X矢印側
ホームポジション(図6に示す位置P0)ある吐出ヘッド30を、ステージ23の反X矢
印方向の端(位置P1)からX矢印方向の端(位置P4)を通って、X矢印側ホームポジ
ション(位置P5)まで移動させるべく、X軸モータ駆動回路52を介してX軸モータM
Xを駆動して吐出ヘッド30の走査(往動)を開始させる。
【0056】
制御装置50は、位置P0ある吐出ヘッド30の走査(往動)を開始させると、ビット
マップデータBDに基づいてパターン形成用制御信号SIを生成して、パターン形成用制
御信号SIと駆動電圧COMをヘッド駆動回路54に出力する。
【0057】
すなわち、吐出ヘッド30が反X矢印側の冷却台23c(位置P1から位置P2)を通
過し、載置台23b(吸着板23d)に載置したグリーンシート4Gの上方の通過を開始
すると、制御装置50は、ヘッド駆動回路54を介して各圧電素子PZを駆動制御し、内
部配線6を形成するための着弾位置に吐出ヘッド30が位置するたびに、選択されたノズ
ルNから液滴Fbを吐出させる。このグリーンシート4Gに着弾した液滴Fbは、グリー
ンシート4Gが吐出時の液滴Fbの温度以上に加熱されているため、乾燥が開始され速や
かに乾燥されていく。
【0058】
そして、本実施形態では、図7及び図8(a)〜(d)に示すように、吐出される各液
滴Fbは、対応する内部配線6を形成するための着弾位置に順次着弾する。詳述すると、
本実施形態では、パターン形成のために先に着弾し配置された液滴Fbが一部乾燥してグ
リーンシート4Gに対して固定(ピニング)した状態(自身の濡れ広がりを停止した状態
)であって、その先の液滴Fbに対して、次の吐出ヘッド30から吐出されグリーンシー
ト4Gに着弾する液滴Fbは、その一部が重なるように、図7及び図8(a)に1点鎖線
で示す位置に、吐出ヘッド30から吐出されるようになっている。
【0059】
つまり、吐出ヘッド30から吐出させる液滴Fbの吐出タイミングは、液滴Fbが吐出
ヘッド30から吐出してグリーンシート4Gに固定(ピニング)されるに要する時間と、
吐出ヘッド30が先の液滴Fbを吐出した後、次の液滴Fbの一部が先の液滴Fbと重な
る吐出位置に到達するまでに要する移動時間等で決定される。従って、グリーンシート4
Gの加熱温度、吐出ヘッド30の移動速度等から予め、実験等で吐出タイミング(吐出間
隔時間)を設定している。
【0060】
従って、X矢印方向に往動しながら液滴Fbを所定のタイミング(吐出間隔時間)で吐
出させているとき、先にグリーンシート4Gに着弾した液滴Fbは、速やかに乾燥されて
いく。
【0061】
そして、図8(b)に示すように、液滴Fbがグリーンシート4Gに対して固定される
状態になると、その固定状態に入った液滴Fbに対して、その一部が重なるように、次の
液滴Fbは、図8(c)の1点鎖線で示す位置に着弾し配置される。このとき、固定状態
にある先の液滴Fbは、その一部が重なるように着弾配置された次の液滴Fbに引き寄せ
られることがない。また、一部が重なるように着弾配置された次の液滴Fbは、その重な
らない部分は、グリーンシート4Gが加熱されているため、直ちに乾燥が開始され速やか
に乾燥され固定状態になる。従って、先の液滴Fbに、次の液滴Fb引き寄せられること
はない。
【0062】
その結果、吐出ヘッド30をX矢印方向に移動させて、内部配線6を形成するための着
弾位置に順次着弾する液滴Fbは、その着弾位置から偏移することなく乾燥されるため、
図8(d)に示すような、内部配線6のための配線用パターンPが形成される。しかも、
グリーンシート4Gの加熱温度は、液滴Fbの沸点未満の温度に制御されているので、着
弾した液滴Fbが突沸して配線用パターンPの形成が不能となることはない。
【0063】
吐出ヘッド30が、グリーンシート4Gの端から端までの走査を完了すると、即ち、載
置台23b(位置P2から位置P4)を通過すると、X矢印方向側の冷却台23cの上方
の通過を開始する。吐出ヘッド30は冷却台23c(位置P3から位置P4)を通過中に
、冷却されている冷却台23cにて冷却される。
【0064】
つまり、この配線用パターンPに描画中、即ち、吐出ヘッド30がグリーンシート4G
の上方を移動中に、吐出ヘッド30は、加熱されているグリーンシート4Gの放熱により
加熱される。吐出ヘッド30の温度上昇は、液滴Fbの粘性の変化、乾燥による目詰まり
、ノズルプレート31の膨張などを引き起こす原因となる。そこで、配線用パターンPの
描画に支障をきたさないように、吐出ヘッド30がグリーンシート4Gを通過した後、直
ちに冷却台23c上を通過させることによって、吐出ヘッド30の温度上昇を防止してい
る。
【0065】
吐出ヘッド30が、X矢印方向側のホームポジション(位置P5)まで到達すると、制
御装置50は、内部配線6を形成するためのグリーンシート4G上の新たな位置に液滴F
bを吐出させるべく、Y軸モータ駆動回路53を介してY軸モータMYを駆動してステー
ジ23をY方向に所定の量だけ搬送させた後、吐出ヘッド30を反X矢印方向に走査(復
動)させる。
【0066】
位置P5にある吐出ヘッド30の走査(復動)を開始させると、まず、吐出ヘッド30
が反X矢印側の冷却台23c(位置P4から位置P3)を通過して冷却された後、載置台
23b(吸着板23d)に載置したグリーンシート4Gの上方の通過を開始する。そして
、制御装置50は、前記と同様にビットマップデータBDに基づいてヘッド駆動回路54
を介して各圧電素子PZを駆動制御し、内部配線6を形成するための着弾位置に吐出ヘッ
ド30が位置するたびに、選択されたノズルNから液滴Fbを吐出させる。この場合にも
、前記と同様に、先にグリーンシート4Gに着弾した液滴Fbは、直ちに乾燥が開始され
速やかに乾燥されていく。そして、液滴Fbがグリーンシート4Gに対す固定される状態
になると、その固定状態に入った液滴Fbに対して、その一部が重なるように、次の液滴
Fbは着弾し配置される。
【0067】
やがて、吐出ヘッド30が、グリーンシート4Gの端から端までの走査を完了すると、
即ち、載置台23b(位置P3から位置P2)を通過すると、反X矢印方向側の冷却台2
3cの上方の通過を開始する。吐出ヘッド30は冷却台23c(位置P2から位置P1)
を通過中に、前記と同様に冷却されている冷却台23cにて冷却される。
【0068】
以後、吐出ヘッド30を、X矢印方向及び反X矢印方向に往復動させるとともに、ステ
ージ23をY矢印方向に搬送させ、吐出ヘッド30の往復動中に液滴Fbをビットマップ
データBDに基づくタイミングで吐出させる動作を繰り返す。これによって、グリーンシ
ート4G上には、着弾した液滴Fbによる内部配線6の配線用パターンPが描画される。
【0069】
また、加熱されているグリーンシート4Gの放熱により加熱される吐出ヘッド30は、
各冷却台23cを通過する毎に、冷却された冷却台23cにて冷却される。
ちなみに、図9で実線で示すグラフは、吐出ヘッド30を、位置P0から位置P5まで
移動させ、その途中で、載置台23b上にグリーンシート4Gに液滴Fbを吐出して配線
用パターンPを描画させた時の、吐出ヘッド30の温度(ノズルプレート31の表面温度
)の推移を示す。尚、2点鎖線示すグラフは、冷却台23cを載置台23bの加熱温度に
加熱した時の、吐出ヘッド30の温度(ノズルプレート31の表面温度)の推移を示す。
【0070】
図9から明らかなように、冷却台23cが冷却されている時、吐出ヘッド30の温度は
、冷却台23cを通過している時(位置P1〜位置P2)に冷却されて下がる。反対に、
冷却台23cが加熱されている時、吐出ヘッド30の温度は、冷却台23cを通過してい
る時(位置P1〜位置P2)に加熱されて上がる。そして、その差が、載置台23bを通
過している間(位置P2〜位置P3)、その差を保持しつつ、吐出ヘッド30の温度は、
上昇する。
【0071】
続いて、冷却されている他方の冷却台23cを通過している時(位置P3〜位置P4)
、吐出ヘッド30の温度は、通過途中で下げに転じる。これに対して、冷却されていない
他方の冷却台23cを通過している時(位置P3〜位置P4)、吐出ヘッド30の温度は
、温度上昇率は下がるものの、上がり続け、冷却台23cから外れた位置(位置P5)に
至ってから下げに転じる。
【0072】
このことから、グリーンシート4Gから放熱によって加熱される吐出ヘッド30は、載
置台23bの両側に設けた冷却された冷却台23cを通過する毎に冷却され、吐出ヘッド
30の温度上昇を抑制していることがわかる。
【0073】
次に、上記のように構成した実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、吐出ヘッド30から吐出される時の金属インクFの温度
以上にグリーンシート4Gを加熱したので、着弾した液滴Fbは速やかに加熱され乾燥さ
れることから、次に着弾させる液滴Fbの吐出タイミングを短くすることができ、配線用
パターンPを短時間で形成することができる。
【0074】
(2)上記実施形態によれば、グリーンシート4Gの加熱温度は、液滴Fbの沸点未満
の温度に制御されているので、着弾した液滴Fbが突沸することはない。従って、高密度
・高精細な配線用パターンPを形成することができる。
【0075】
(3)上記実施形態によれば、ステージ23は、載置台23bとその載置台23bの両
側に冷却台23cを設け、載置台23bにてグリーンシート4Gを加熱し着弾する液滴は
速やかに乾燥させ、前記両側に設けられ冷却台23cによって、冷却台23cを通過する
液滴吐出ヘッド30を冷却するようにした。従って、液滴吐出ヘッド30内の金属インク
Fの温度上昇を抑えると共に、熱膨張によるノズルピッチの変動を抑制することができる

【0076】
(4)上記実施形態によれば、載置台23bの加熱と冷却台23cの冷却を1つのペル
チェ素子PTにて実現した。従って、部品点数の低減、省資源化を図り、環境にも優しい
ものとなる。
【0077】
(5)上記実施形態によれば、載置台23bと冷却台23cとの間に第1断熱部材I1
を配設した。従って、加熱台23bと冷却台23cとの間での熱交換は行われ難く、載置
台23bは有効に加熱され、冷却台23cは有効に冷却され、ペルチェ素子PTのエネル
ギー損失を小さくすることができる。
【0078】
(6)上記実施形態によれば、ステージ23の一部(冷却台23c)に、吐出ヘッド3
0を冷却する手段を設けた。従って、スペースをとることなく吐出ヘッド30を冷却する
ことができる。
【0079】
(7)上記実施形態によれば、先の着弾した液滴Fbが固定状態に入った時、その一部
と重なるように、次の液滴Fbを着弾し配置するようにした。従って、固定状態にある先
の液滴Fbは、その一部が重なるように着弾配置された次の液滴Fbに引き寄せられるこ
とがなく高密度・高精細な配線用パターンPが形成される。
【0080】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、加熱手段と冷却手段をペルチェ素子PTで構成した。これを、ペ
ルチェ素子PTに代えて、ヒートポンプで載置台23bを加熱し、冷却台23cを冷却す
るようにしてもよい。また、載置台23bを単独の加熱手段で加熱するとともに、冷却台
23cを、単独の冷却手段で冷却するようにしてもよい。この場合、載置台23bをラバ
ーヒータ等の単独の加熱手段で加熱し、冷却台23cを、冷却水等の冷媒を冷却台23c
内に循環させて単独に冷却することが考えられる。
【0081】
・上記実施形態では、加熱部を載置台23bとしたが、載置台23bの上面に加熱手段
としてのラバーヒータを載置し、そのラバーヒータを加熱部として実施してもよい。
・上記実施形態では、加熱部としての載置台23b全体を加熱したが、載置台23bに
載置されたグリーンシート4GのパターンPが形成される描画エリアに対応する範囲を加
熱するようにしてもよい。
【0082】
・上記実施形態では、順次吐出した液滴Fbに対して順番に一部が重なるように、着弾
配置して配線用パターンPを形成した。これを、例えば、図10(a)〜(f)に示すよ
うな順番で液滴Fbを吐出して配線用パターンPを形成してもよい。
【0083】
すなわち、図10(a)に示すように、パターン形成のために先の液滴Fbが、所定に
位置に着弾配置されると、着弾した液滴Fbから離間した1点鎖線で示す着弾位置A1に
、次の液滴Fbを着弾配置する。着弾位置A1に液滴Fbを配置すると、次に吐出する液
滴Fbを、最初に配置した液滴Fbにその一部が重なるように、図10(b)に1点鎖線
で示す着弾位置A2に着弾配置する。
【0084】
着弾位置A2に液滴Fbを配置すると、次に吐出する液滴Fbを、着弾位置A1に配置
した液滴Fbにその一部が重なるように、図10(c)に1点鎖線で示す着弾位置A3に
着弾配置する。以後、同様に、図10(d)、(e)に示す順にて、着弾位置A4,A5
に液滴Fbを着弾配置すれば、図10(f)に示すような、液滴Fbによる内部配線6の
配線用パターンPを描画することができる。
【0085】
・上記実施形態では、機能液を、金属インクFとして具体化した。これに限らず、例え
ば、液晶材料を含有した機能液に具体化してもよい。つまり、パターンを形成するための
吐出させる機能液であればよい。
【0086】
・上記実施形態では、基体を、グリーンシート4Gに具体化した。これに限らず、例え
は、基体を、ガラス基板、ポリイミド基板、ガラエポ基板などに具体化してもよい。
・上記実施形態では、液滴吐出手段を、圧電素子駆動方式の液滴吐出ヘッド30に具体
化した。これに限らず、液滴吐出ヘッドを、抵抗加熱方式や静電駆動方式の吐出ヘッドに
具体化してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】回路モジュールの側断面図。
【図2】液滴吐出装置の全体斜視図。
【図3】液滴吐出ヘッドをグリーンシート側から見た下面図。
【図4】液滴吐出ヘッドの要部側断面図。
【図5】液滴吐出装置の電気的構成を説明するための電気ブロック回路図。
【図6】ステージを説明するための要部断面構造の模式図。
【図7】パターン形成の作用を説明するための説明図。
【図8】(a)〜(d)はパターン形成の液滴の吐出順序を示す図。
【図9】液滴吐出ヘッドの温度の推移を示す図。
【図10】(a)〜(f)はその他の順序でパターンの形成を示す図。
【符号の説明】
【0088】
1…回路モジュール、2…LTCC多層基板、4…低温焼成基板、4G…基体としての
グリーンシート、5…回路素子、6…内部配線、20…液滴吐出装置、23…ステージ、
23b…加熱台、23c…冷却台、24…熱伝導板、30…液滴吐出ヘッド、50…制御
装置、F…機能液としての金属インク、Fb…液滴、I1…第1断熱部材、PT…ペルチ
ェ素子、PTa…吸熱部、PTb…発熱部、PZ…圧電素子、P…パターン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージに載置された基体に対して、そのステージを介して前記基体を加熱した状態で、
機能材料を含有した機能液を液滴吐出ヘッドから吐出させて前記基体にパターンを描画す
るパターン形成方法において、
前記ステージを、前記基体又は前記基体の描画エリアに対応する第1の領域と、前記第
1の領域以外であって前記液滴吐出ヘッドが通過する位置に対応する第2の領域との区分
し、
前記第1の領域を加熱制御し、前記第2の領域を冷却制御して前記パターンを描画する
ことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン形成方法において、
前記第1の領域は、前記基体の基体表面温度が吐出時の機能液の温度以上かつ機能液に
含有されている液体組成の沸点温度未満になるように加熱制御されていることを特徴とす
るパターン形成方法。
【請求項3】
ステージに載置された基体に対して、そのステージを介して前記基体を加熱した状態で、
機能材料を含有した機能液の液体を液滴吐出ヘッドから吐出させて前記基体にパターンを
描画するパターン形成装置において、
前記ステージは、
前記基体又は前記基体の描画エリアを加熱する加熱部と、
前記加熱部の両側に設けられ、前記加熱部を通過した後の前記液滴吐出ヘッドを冷却す
る冷却部と
を備えたことを特徴とするパターン形成装置。
【請求項4】
請求項3に記載のパターン形成装置において、
前記加熱部は、前記基体の基体表面温度が吐出時の機能液の温度以上かつ機能液に含有
される液体組成の沸点温度未満の温度になるように加熱制御されることを特徴とするパタ
ーン形成装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のパターン形成装置において、
前記ステージは、前記加熱部と前記冷却部との間に断熱部材を設けたことを特徴とする
パターン形成装置。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか1に記載のパターン形成装置において、
前記加熱部は、同加熱部を加熱する加熱手段を設け、前記冷却部は、同冷却部を冷却す
る冷却手段を設けたことを特徴とするパターン形成装置。
【請求項7】
請求項6に記載のパターン形成装置において、
前記加熱手段及び冷却手段は、ペルチェ素子であって、前記ペルチェ素子の発熱部が前
記加熱部の下面に連結され、前記ペルチェ素子の吸熱部が前記冷却部の下面に熱伝導板を
介して連結されていることを特徴とするパターン形成装置。
【請求項8】
請求項3〜7のいずれか1に記載のパターン形成装置において、
前記基体は、多孔質性基板であってセラミック粒子と樹脂とから構成される低温焼成用
シートであり、
前記機能液は、機能材料として金属粒子を分散させた液体であることを特徴とするパタ
ーン形成装置。
【請求項9】
回路素子を実装するとともにその実装した回路素子に対して電気的に接続された配線が形
成された回路基板において、
請求項3〜8のいずれか1に記載のパターン形成装置で形成した前記配線を有したことを
特徴とする回路基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−132449(P2008−132449A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321261(P2006−321261)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】