説明

パターン形成装置

【課題】生産効率の向上を図りつつ、基板の破損を抑制することが可能となる。
【解決手段】基板Wの各主面S1、S2へのパターン形成を並行して実行することで、生産効率の向上が図られている。しかも、ディスペンサー3、4、5、6それぞれは、基板Wに対して非接触で対向するノズル31、41、51、61から塗布液を吐出することで、基板Wにパターンを形成する。これによって、パターン形成の際に基板Wに加わる圧力を小さく抑えることができる。こうして、生産効率の向上を図りつつ、基板の破損を抑制することが可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パターンを形成するための材料を含む塗布液を吐出部から基板へ吐出して、基板にパターンを形成するパターン形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、基板(半導体基板)の両主面に電極パターンを形成して、太陽電池モジュール(太陽電池素子)を生産する技術が記載されている。具体的には、基板の一方主面(受光面)に対しては、幅狭のフィンガー電極が複数形成されるとともに、これらフィンガー電極に直交して幅広のバスバー電極(表面バスバー電極)が形成される。また、基板の他方主面に対しては、その略全域に集電用電極が形成されるとともに、この集電用電極とインナーリードとの電気的接触を取るための電極(裏面バスバー電極)が集電用電極に重ねて形成される。このように、太陽電池モジュールを生産するにあたっては、基板の一方主面および他方主面のそれぞれに2種類のパターンが形成される。
【0003】
また、特許文献2では、生産効率の向上を図るために、基板の各主面へのパターン形成を並行して行う技術が提案されている。つまり、この特許文献2では、基板の一方主面に形成すべきパターンをその周面に担持するコーティングロールと、基板の他方主面に形成すべきパターンをその周面に担持するコーティングロールとが、基板の搬送経路を挟んで配置される。そして、2つのコーティングロールがそれぞれの間を通過する基板に対して圧接することで、各コーティングロールに担持されたパターンが基板の両主面に転写される。これによって、基板の各主面へのパターン形成が並行して行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−353851号公報
【特許文献2】特開平08−097448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、基板の各主面へのパターン形成を並行して行う方法は、生産効率を向上できるという点で優れている。特に、太陽電池モジュールに用いられる基板については、上述のとおり、基板の一方主面および他方主面のそれぞれに2種類ずつパターンを形成する必要があり、換言すれば合計4種類のパターンを基板に形成する必要がある。したがって、基板の各主面へのパターン形成を並行して行って、生産効率の向上を図ることが極めて好適となる。
【0006】
しかしながら、近年、コストダウン等のために基板は薄型化してきているため、上述のように基板の両主面からコーティングロールを圧接する方法では、基板にかかる圧力が過大となって、基板が破損してしまうおそれがある。つまり、生産効率の向上にあたっては、基板の破損といった問題があった。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、生産効率の向上を図りつつ、基板の破損の抑制を可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明にかかるパターン形成装置は、上記目的を達成するために、第1パターンを形成するための材料を含む塗布液をノズルから吐出する第1吐出部と、第1吐出部に対向して配置され、第2パターンを形成するための材料を含む塗布液をノズルから吐出する第2吐出部と、第3パターンを形成するための材料を含む塗布液をノズルから吐出する第3吐出部と、第3吐出部に対向して配置され、第4パターンを形成するための材料を含む塗布液をノズルから吐出する第4吐出部と、基板の両主面を露出させた状態で第1ないし第4吐出部に対して相対的に基板を移動させることで、第1吐出部と第2吐出部の間に基板を通過させた後に、第3吐出部と第4吐出部の間に基板を通過させる相対移動手段と、第1吐出部は、第2吐出部との間を通過する基板の一方主面に対して非接触で対向するそのノズルから塗布液を吐出して、基板の一方主面に前記第1のパターンを形成し、第2吐出部は、第1吐出部との間を通過する基板の他方主面に対して非接触で対向するそのノズルから塗布液を吐出して、基板の他方主面に第2のパターンを形成し、第3吐出部は、第4吐出部との間を通過する基板の一方主面に対して非接触で対向するそのノズルから塗布液を吐出して、基板の一方主面に第3のパターンを形成し、第4吐出部は、第3吐出部との間を通過する基板の他方主面に対して非接触で対向するそのノズルから塗布液を吐出して、基板の他方主面に第4のパターンを形成することを特徴としている。
【0009】
このように構成された発明(パターン形成装置)では、4つの吐出部(第1ないし第4吐出部)が設けられており、各吐出部は塗布液を吐出することでそれぞれの担当するパターン(第1ないし第4パターン)を基板に形成する。したがって、これら第1ないし第4吐出部によって第1ないし第4のパターンの合計4種類のパターンを形成して、上述したような太陽電池モジュールの生産を行うことができる。しかも、この発明では、4種類のパターンの形成を効率的に行うために、基板の各主面へのパターン形成が並行して実行される。
【0010】
つまり、第1吐出部と第2吐出部とが対向して配置されるとともに、第3吐出部と第4吐出部とが対向して配置されている。そして、基板は、第1ないし第4吐出部に対して相対的に移動することで、第1吐出部と第2吐出部の間を通過した後に、第3吐出部と第4吐出部の間を通過する。この際、基板はその両主面を露出した状態で、第1吐出部と第2吐出部の間および第3吐出部と第4吐出部の間のそれぞれを通過する。そして、第1および第2吐出部は、それぞれの間を通過する基板に対してノズルから塗布液を吐出して第1および第2パターンを形成する。これによって、基板の一方主面への第1パターンの形成と、基板の他方主面への第2パターンの形成とが並行して実行される。また同様に、第3および第4吐出部は、それぞれの間を通過する基板に対してノズルから塗布液を吐出して第3および第4パターンを形成する。これによって、基板の一方主面への第3パターンの形成と、基板の他方主面への第4パターンの形成とが並行して実行される。
【0011】
このように、この発明では、基板の各主面へのパターン形成を並行して実行することで、生産効率の向上が図られている。しかも、第1ないし第4吐出部それぞれは、基板に対して非接触で対向するノズルから塗布液を吐出することで、基板にパターンを形成する。これによって、パターン形成の際に基板に加わる圧力を小さく抑えることができる。こうして、この発明では、生産効率の向上を図りつつ、基板の破損を抑制することが可能となっている。
【0012】
ところで、上記発明のように、基板の両側それぞれに配置された2つの吐出部から基板に対して塗布液を吐出して、基板の各主面へのパターン形成を並行して実行する場合、各主面に並行して形成されるパターンが類似していることが好適である。なぜなら、塗布液の塗布時における基板への力のかかり方を両主面間で同様にすることができ、塗布液の塗布に伴う基板の位置ずれや撓みを抑制することができるからである。
【0013】
そこで、第1吐出部が形成する第1パターンおよび第2吐出部が形成する第2パターンはいずれも、第1吐出部と第2吐出部の間を通過する基板の通過方向に連続的に形成されるように、パターン形成装置を構成しても良い。
【0014】
また、第3吐出部が形成する第3パターンおよび第4吐出部が形成する第4パターンはいずれも、第3吐出部と第4吐出部の間を通過する基板の通過方向に断続的に形成されるように、パターン形成装置を構成しても良い。
【発明の効果】
【0015】
生産効率の向上を図りつつ、基板の破損を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用可能なパターン形成装置の一例を模式的に示す斜視図である。
【図2】図1のパターン形成装置の構成を模式的に示す側面図である。
【図3】図1のパターン形成装置が実行する動作を模式的に示す動作説明図である。
【図4】図3の動作を実行することで基板の両主面に形成されるパターンを模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明を適用可能なパターン形成装置の一例を模式的に示す斜視図である。図2は、図1のパターン形成装置の構成を模式的に示す側面図である。これらの図および以下に説明する図では、XYZ直交座標軸を適宜示す。なお、図1では、基板Wに隠れた部分を図示するために、基板Wが半透明で示されている。
【0018】
このパターン形成装置1は、例えば表面に光電変換層が形成された単結晶シリコンウエハーなどの基板Wに導電性を有する電極配線パターンを形成し、例えば太陽電池として利用される太陽電池モジュール(光電変換デバイス)を製造するのに好適に用いることができる。そこで、以下では、このパターン形成装置1を用いて太陽電池モジュールを形成する場合について説明する。
【0019】
このパターン形成装置1は、図示しない筐体内に基板搬送手段2によって水平方向(Y軸方向)に搬送される基板Wに対して、4つのディスペンサー3、4、5、6からパターンを形成するための材料を含む塗布液を吐出して、基板Wの両主面(表面S1、裏面S2)にパターンを形成する概略構成を備える。
【0020】
基板搬送手段2は、互いに平行な状態で水平方向(Y軸方向)に離間して並ぶ2本のローラー21、22と、これらのローラー21、22のX軸方向の両端それぞれに張架されたベルト23とを有する。ローラー21は、図示を省略するサーボモーターからの駆動力を受けて、図2の時計回り方向に回転する駆動ローラーである。一方、ローラー22は従動ローラーである。
【0021】
また、これらのローラー21、22に張架された2本のベルト23は、互いに平行な状態で水平方向(X軸方向)に間隔を空けて並んでいる。ベルト23は、例えばゴムを基材としており、その外周面に一定間隔で形成された複数の突起25を有する。なお、2本のベルト23それぞれに形成された複数の突起25は一対一で対応しており、互いに対応する2つの突起25はX軸方向に平行に並ぶ。そして、ローラー21が回転すると、2本のベルト23が図2の時計回り方向に回転する。
【0022】
こうして循環駆動される2本のベルト23に対して、鉛直方向(Z軸方向)の上方から基板Wを架け渡すように載置することで、Y軸方向に平行な基板搬送方向Dへ基板Wを搬送することができる。より詳しくは、図示を省略する基板供給手段あるいは作業者が、基板搬送方向Dの下流側から基板搬送手段2に基板Wを供給する。この際、基板Wは、2本のベルト23それぞれに形成されてX軸方向に平行に並ぶ2つの突起25に搬送方向先端が突き当てられる。こうして基板Wは、2本のベルト23に対して位置決めされた状態で、基板搬送手段2に供給される。そして、半導体である基板Wは、n側の表面S1を上方に露出するとともにp側の裏面S2を下方に露出した状態で、基板搬送方向Dへと搬送される。
【0023】
基板搬送方向Dへ搬送される基板Wの搬送経路に対しては、上述の4つのディスペンサー3、4、5、6が配置されている。具体的には、ディスペンサー3、4が基板Wの搬送経路を鉛直方向(Z軸方向)から挟んで互いに対向して配置される。また、これらディスペンサー3、4の基板搬送方向Dの下流側で、ディスペンサー5、6が基板Wの搬送経路を鉛直方向(Z軸方向)から挟んで互いに対向して配置される。したがって、基板搬送手段2により基板搬送方向Dへ搬送される基板Wは、ディスペンサー3、4の間を通過した後に、ディスペンサー5、6の間を通過することとなる。
【0024】
基板Wの搬送経路の上方に配置されたディスペンサー3は、後述するフィンガーパターンを形成するためのものであり、その内部に貯留する塗布液としてのAgペースト(銀ペースト)を、例えばシリンジポンプ方式で吐出する。具体的には、ディスペンサー3は、その下端にノズル31を具備している。このノズル31には、鉛直下方に開口する複数のノズル開口32がX軸方向に並んで形成されており、これらノズル開口32のそれぞれから鉛直下方へAgペーストが吐出される。つまり、ディスペンサー3は、ノズルディスペンス方式で基板Wの表面S1にAgペーストを塗布するものである。
【0025】
ちなみに、ノズル31は、ディスペンサー3、4の間を通過する基板Wから上方に隙間を設けて位置決めされている。換言すれば、ディスペンサー3は、ディスペンサー4との間を通過する基板Wの表面S1に対して非接触で対向するノズル31からAgペーストを吐出する。
【0026】
基板Wの搬送経路の下方に配置されたディスペンサー4は、後述する裏面電極パターンを形成するためのものであり、その内部に貯留する塗布液としてのAlペースト(アルミニウムペースト)を、例えばシリンジポンプ方式で吐出する。具体的には、ディスペンサー4は、その上端にノズル41を具備している。このノズル41には、鉛直上方に開口するノズル開口42が形成されており、このノズル開口42から鉛直上方へAlペーストが吐出される。このノズル開口42はX軸方向に長尺な長方形状を有するスリットである。つまり、ディスペンサー4は、スリットスキャン方式で基板Wの裏面S2にAlペーストを塗布するものである。
【0027】
ちなみに、ノズル41は、ディスペンサー3、4の間を通過する基板Wから下方に隙間を設けて位置決めされている。換言すれば、ディスペンサー4は、ディスペンサー3との間を通過する基板Wの裏面S2に対して非接触で対向するノズル41からAlペーストを吐出する。
【0028】
基板Wの搬送経路の上方に配置されたディスペンサー5は、後述するバスバーパターンを形成するためのものであり、その内部に貯留する塗布液としてのAgペースト(銀ペースト)を、例えばシリンジポンプ方式で吐出する。具体的には、ディスペンサー5は、その下端にノズル51を具備している。このノズル51には、鉛直下方に開口するノズル開口52が形成されており、このノズル開口52から鉛直下方へAgペーストが吐出される。このノズル開口52はX軸方向に長尺な長方形状を有するスリットである。つまり、ディスペンサー5は、スリットスキャン方式で基板Wの表面S1にAgペーストを塗布するものである。
【0029】
ちなみに、ノズル51は、ディスペンサー5、6の間を通過する基板Wから上方に隙間を設けて位置決めされている。換言すれば、ディスペンサー5は、ディスペンサー6との間を通過する基板Wの表面S1に対して非接触で対向するノズル51からAlペーストを吐出する。
【0030】
基板Wの搬送経路の下方に配置されたディスペンサー6は、後述するパッド電極パターンを形成するためのものであり、その内部に貯留する塗布液としてのAgペースト(銀ペースト)を、例えばシリンジポンプ方式で吐出する。具体的には、ディスペンサー6は、その上端にノズル61を具備している。このノズル61には、鉛直上方に開口する複数のノズル開口62がX軸方向に並んで形成されており、これらのノズル開口62から鉛直上方へAgペーストが吐出される。このノズル開口62はX軸方向に長尺な長方形状を有するスリットである。つまり、ディスペンサー6は、スリットスキャン方式で基板Wの裏面S2にAgペーストを塗布するものである。
【0031】
ちなみに、ノズル61は、ディスペンサー5、6の間を通過する基板Wから下方に隙間を設けて位置決めされている。換言すれば、ディスペンサー6は、ディスペンサー5との間を通過する基板Wの裏面S2に対して非接触で対向するノズル61からAgペーストを吐出する。
【0032】
以上が、パターン形成装置1が具備する構成の概略である。続いては、パターン形成装置1が実行する動作について、図3、図4を加えて説明する。ここで、図3は、図1のパターン形成装置が実行する動作を模式的に示す動作説明図である。図4は、図3の動作を実行することで基板の両主面に形成されるパターンを模式的に示した図である。このパターン形成装置1では、基板Wの両主面S1、S2にディスペンサー3、4がパターンを並行して形成する第1工程と、基板Wの両主面S1、S2にディスペンサー5、6がパターンを並行して形成する第2工程とがこの順番で実行される。
【0033】
第1工程では、ディスペンサー3、4がこれらの間を通過する基板Wに対して、ノズル開口32、42から塗布液を連続的に吐出する。これによって、基板Wの両主面S1、S2には基板搬送方向Dに連続的に延びるパターンF、Rが形成される。
【0034】
この際、ディスペンサー3は、X軸方向に並ぶ複数のノズル開口32から塗布液を吐出して、ノズルディスペンス方式でパターンを形成する。したがって、基板Wの表面S1には、複数のフィンガーパターンFがX軸方向に並んで形成される。一方、ディスペンサー4は、X軸方向に基板Wよりやや短いスリット形状のノズル開口42から塗布液を吐出して、スリットスキャン方式でパターンを形成する。したがって、基板Wの裏面S2には、その略全域に広がる裏面電極パターンRが形成される。こうして、第1工程では、基板Wの表面S1へのフィンガーパターンFの形成と、基板Wの裏面S2への裏面電極パターンRの形成とが並行して実行される。
【0035】
このように第1工程でパターン形成を受けた基板Wは基板搬送方向Dへと搬送されて、ディスペンサー5、6によるパターン形成を受ける(第2工程)。この第2工程では、ディスペンサー5、6がこれらの間を通過する基板Wに対して、ノズル開口52、62から塗布液を断続的に吐出する。これによって、基板Wの両主面S1、S2には基板搬送方向D(Y軸方向)に間隔を空けて複数のパターンB、Pが形成される。
【0036】
この際、ディスペンサー5は、X軸方向においてフィンガーパターンFの形成領域よりやや長いスリット形状のノズル開口52から塗布液を吐出して、スリットスキャン方式でパターンを形成する。したがって、基板Wの表面S1には、X軸方向においてフィンガーパターンFの形成領域よりやや長いバスバーパターンBが、Y軸方向に並んで複数形成される。一方、ディスペンサー6は、X軸方向に長尺なスリット形状のノズル開口62から塗布液を吐出してスリットスキャン方式でパターンを形成する。しかも、このディスペンサー6では、複数のノズル開口62がX軸方向に並んでいる。したがって、基板Wの裏面S2には、Y軸方向およびX軸方向の各方向に複数のパッドパターンPが並んで形成される。こうして、第2工程では、基板Wの表面S1へのバスバーパターンBの形成と、基板Wの裏面S2へのパッドパターンPの形成とが並行して実行される。なお、パッドパターンPは、インターコネクタ(インナーリード)との接続用のパッドとして機能するものである。
【0037】
以上に説明したように、この実施形態では、4つのディスペンサー3、4、5、6が設けられており、ディスペンサー3、4、5、6それぞれは塗布液を吐出することでそれぞれの担当するパターンF、R、B、Pを基板Wに形成する。したがって、これら4つのディスペンサー3、4、5、6によって4種類のパターンF、R、B、Pを形成して、太陽電池モジュールM(図4)の生産を行うことができる。しかも、この実施形態では、4種類のパターンF,R、B、Pの形成を効率的に行うために、基板Wの各主面S1、S2へのパターン形成が並行して実行される。
【0038】
つまり、ディスペンサー3、4が対向して配置されるとともに、ディスペンサー5、6が対向して配置されている。そして、基板Wは、ディスペンサー3、4、5、6に対して相対的に移動することで、ディスペンサー3、4の間を通過した後に、ディスペンサー5、6の間を通過する。この際、基板Wはその両主面S1、S2を露出した状態で、ディスペンサー3、4の間およびディスペンサー5、6の間のそれぞれを通過する。そして、ディスペンサー3、4は、それぞれの間を通過する基板Wに対してノズル31、41から塗布液を吐出してパターンF、Rを形成する。これによって、基板Wの表面S1へのフィンガーパターンFの形成と、基板Wの裏面への裏面電極パターンRの形成とが並行して実行される。また同様に、ディスペンサー5、6は、それぞれの間を通過する基板Wに対してノズル51、61から塗布液を吐出してパターンB、Pを形成する。これによって、基板Wの表面S1へのバスバーパターンBの形成と、基板Wの裏面へのパッドパターンPの形成とが並行して実行される。
【0039】
このように、この実施形態では、基板Wの各主面S1、S2へのパターン形成を並行して実行することで、生産効率の向上が図られている。しかも、ディスペンサー3、4、5、6それぞれは、基板Wに対して非接触で対向するノズル31、41、51、61から塗布液を吐出することで、基板Wにパターンを形成する。これによって、パターン形成の際に基板Wに加わる圧力を小さく抑えることができる。こうして、この実施形態では、生産効率の向上を図りつつ、基板の破損を抑制することが可能となっている。
【0040】
ところで、上述のように、基板Wの両側それぞれに配置された2つのディスペンサー3,4、5、6から基板Wに対して塗布液を吐出して、基板Wの各主面S1、S2へのパターン形成を並行して実行する場合、各主面S1、S2に並行して形成されるパターンが類似していることが好適である。なぜなら、塗布液の塗布時における基板Wへの力のかかり方を両主面S1、S2間で同様にすることができ、塗布液の塗布に伴う基板Wの位置ずれや撓みを抑制することができるからである。
【0041】
これに対して、この実施形態では、ディスペンサー3が形成するフィンガーパターンFおよびディスペンサー4が形成する裏面電極パターンRはいずれも、ディスペンサー3、4の間を通過する基板Wの通過方向(基板搬送方向D)に連続的に形成されており、この点で互いに類似したパターンと言える。その結果、パターンF、Rの形成に伴う塗布液の塗布時における基板Wへの力のかかり方を両主面S1、S2間で同様にすることができ、塗布液の塗布に伴う基板Wの位置ずれや撓みを抑制することが可能となっている。
【0042】
さらに、この実施形態では、ディスペンサー5が形成するバスバーパターンBおよびディスペンサー6が形成するパッドパターンPはいずれも、ディスペンサー5、6の間を通過する基板Wの通過方向(基板搬送方向D)に断続的に形成されており、この点で互いに類似したパターンといえる。その結果、パターンB、Pの形成に伴う塗布液の塗布時における基板Wへの力のかかり方を両主面S1、S2間で同様にすることができ、塗布液の塗布に伴う基板Wの位置ずれや撓みを抑制することが可能となっている。
【0043】
このように、この実施形態では、ディスペンサー3、4、5、6のそれぞれが本発明の「第1、第2、第3、第4吐出部」に相当し、パターンF、R、B、Pのそれぞれあg本発明の「第1、第2、第3、第4パターン」に相当し、ノズル31、41、51、61が本発明の「ノズル」に相当し、基板搬送手段2が本発明の「相対移動手段」に相当し、基板Wが本発明の「基板」に相当し、基板Wの表面S1が本発明の「一方主面」に相当し、基板Wの裏面S2が本発明の「他方主面」に相当する。
【0044】
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態では、第1工程でフィンガーパターンFを形成してから、第2工程でバスバーパターンBを形成していた。しかしながら、ディスペンサー3、4の位置を入れ換えて、第1工程でバスバーパターンBを形成してから、第2工程でフィンガーパターンFを形成しても良い。
【0045】
また、上記実施形態では、基板搬送手段2は、基板Wの表面S1(n側の面)を上方に向けるとともに基板Wの裏面S2(p側の面)を下方に向けて基板Wを搬送していた。しかしながら、これとは逆に、基板Wの表面S1(n側の面)を下方に向けるとともに基板Wの裏面S2(p側の面)を上方に向けて基板Wを搬送するように構成しても良い。この場合、ディスペンサー3、4の位置を入れ換えるとともにディスペンサー5、6の位置を入れ換えることで、上記実施形態と同様に、第1工程でパターンF、Rを基板Wの両主面に並行して形成できるとともに、第2工程でパターンB、Pを基板Wの両主面に並行して形成できる。
【0046】
また、上記実施形態では、基板搬送手段2は、基板Wを水平方向(Y軸方向)に搬送していた。しかしながら、基板搬送手段2の基板搬送方向Dはこれに限られず、水平方向(Y軸方向)に対して傾いた状態で、基板Wを搬送するように構成しても良い。
【0047】
また、上記実施形態では、ディスペンサー3、4は鉛直方向(Z軸方向)であった。しかしながら、ディスペンサー3、4が対向する向きは鉛直方向に限られない。したがって、ディスペンサー3、4を鉛直方向に傾いた方向に対向させて配置しても良い。なお、ディスペンサー5、6の配置関係も同様の変更が可能である。
【0048】
また、基板搬送手段2を構成するベルト23の形状、寸法、素材等についても種々の変形が可能である。したがって、ベルト23は、X軸方向に所定の幅を有したものであっても良く、あるいは紐状のものであっても良い。
【0049】
また、基板搬送手段2としては、2本のベルト23で基板Wを搬送するといった上記構成のものに限られず、基板Wの両主面S1、S2を露出させた状態で、ディスペンサー3、4、5、6に対して基板Wを相対移動できるものであれば足りる。したがって、基板搬送手段2は、特許文献2(特開平08−097448号公報)に記載の搬送器のように、基板に対応した形状の貫通孔を平板に空けた概略構成を備え、この貫通孔に嵌め込まれた基板Wを孔の底部周縁から突出する支持部で支えるものであっても良い。
【0050】
また、上記実施形態では、基板Wを移動させることで、ディスペンサー3、4、5、6に対して基板Wを相対移動させていた。しかしながら、基板Wを固定した状態で、ディスペンサー3、4、5、6を移動させることで、ディスペンサー3、4、5、6に対して基板Wを相対移動させるように構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0051】
この発明は、基板上のパターン、例えば太陽電池基板上の電極配線パターンを形成する装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0052】
1…パターン形成装置
2…基板搬送手段
21…ローラー
22…ローラー
23…ベルト
25…突起
3…ディスペンサー
31…ノズル
32…ノズル開口
4…ディスペンサー
41…ノズル
42…ノズル開口
5…ディスペンサー
51…ノズル
52…ノズル開口
6…ディスペンサー
61…ノズル
62…ノズル開口
D…基板搬送方向
W…基板
S1…表面
S2…裏面
F…フィンガーパターン
B…バスバーパターン
R…裏面電極パターン
P…パッドパターン
M…太陽電池モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パターンを形成するための材料を含む塗布液をノズルから吐出する第1吐出部と、
前記第1吐出部に対向して配置され、第2パターンを形成するための材料を含む塗布液をノズルから吐出する第2吐出部と、
第3パターンを形成するための材料を含む塗布液をノズルから吐出する第3吐出部と、
前記第3吐出部に対向して配置され、第4パターンを形成するための材料を含む塗布液をノズルから吐出する第4吐出部と、
基板の両主面を露出させた状態で前記第1ないし前記第4吐出部に対して相対的に前記基板を移動させることで、前記第1吐出部と前記第2吐出部の間に前記基板を通過させた後に、前記第3吐出部と前記第4吐出部の間に前記基板を通過させる相対移動手段と、
前記第1吐出部は、前記第2吐出部との間を通過する前記基板の一方主面に対して非接触で対向するその前記ノズルから前記塗布液を吐出して、前記基板の前記一方主面に前記第1のパターンを形成し、
前記第2吐出部は、前記第1吐出部との間を通過する前記基板の他方主面に対して非接触で対向するその前記ノズルから前記塗布液を吐出して、前記基板の前記他方主面に前記第2のパターンを形成し、
前記第3吐出部は、前記第4吐出部との間を通過する前記基板の前記一方主面に対して非接触で対向するその前記ノズルから前記塗布液を吐出して、前記基板の前記一方主面に前記第3のパターンを形成し、
前記第4吐出部は、前記第3吐出部との間を通過する前記基板の前記他方主面に対して非接触で対向するその前記ノズルから前記塗布液を吐出して、前記基板の前記他方主面に前記第4のパターンを形成することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項2】
前記第1吐出部が形成する前記第1パターンおよび前記第2吐出部が形成する前記第2パターンはいずれも、前記第1吐出部と前記第2吐出部の間を通過する前記基板の通過方向に連続的に形成される請求項1に記載のパターン形成装置。
【請求項3】
前記第3吐出部が形成する前記第3パターンおよび前記第4吐出部が形成する前記第4パターンはいずれも、前記第3吐出部と前記第4吐出部の間を通過する前記基板の通過方向に断続的に形成される請求項1または2に記載のパターン形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−62428(P2013−62428A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200708(P2011−200708)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】