説明

パチンコ機

【課題】磁石を使用して遊技球の動きに変化を持たせつつ、入賞領域へ誘導する。
【解決手段】ステージ17の前端縁に接する位置には、入賞領域18が備えられており、ステージ17の下部には、磁石31,32、カム軸33,34、モータ37が設けられている。モータ37の回転が伝達されたカム軸33,34は同時に回転し、カム軸33,34に一体に設けられたカム面に従って磁石31,32がステージ17に近接する吸着位置と、ステージ17から離れる退避位置との間で上下に移動する。また、磁石31,32は互い違いに移動する。磁石31,32が吸着位置にあるときは、ステージ17上のパチンコ球7を吸着して動きに変化を付けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ店などの遊技場に設置されるパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機の中には、移動式の羽根により開閉される役物を備え、役物内に入った遊技球がさらに役物内の入賞領域に入ると遊技者に有利な当たりモードへ移行する羽根モノ(第二種)と呼ばれる機種がある。当たりモードはラウンド制となっており、1回のラウンドは、例えば、役物内に所定個数の遊技球が入った場合、所定時間が経過した場合、羽根が所定回数開閉された場合に終了する。また、このラウンド中に遊技球が入賞領域に入った場合は、次のラウンドに移行できるようになっている。
【0003】
このように、羽根モノのパチンコ機では、入賞領域に遊技球が入ることで遊技者に有利となるので、遊技球が入賞領域に入るまでのプロセスが遊技者にとって非常に興味を持つ部分であり、役物内を移動する遊技球が面白い動きをすることで演出を盛り上げることができる。そこで、役物に入った遊技球が入賞領域に入るまでの動きに変化を付加するために、役物内部に入った遊技球を磁石で動かすことが提案されている。例えば特許文献1の遊技機では、入賞口の付近に電磁石を配置し、役物の内部で停留している遊技球を電磁石によって吸着し、球を入賞口へ誘導する構成が記載されている。また特許文献2では、複数の入賞口を有するクルーン役物の内部に電磁石を備え、1つの入賞口の近傍へ電磁石を移動させて遊技球を誘導することによって入賞口に遊技球を落ち易くする構成が記載されている。
【特許文献1】特開2003−38756号公報
【特許文献1】特開平11−333080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1,2記載の遊技機では、役物の構成に磁石を使用しているものの、磁石の吸着力によって遊技球を1つの方向に誘導するだけの単調な動きを付加するものであり、遊技球の動きに面白い変化をつけることはできないので、演出的な効果は少ない。
【0005】
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、遊技球の動きに変化を持たせながら、入賞領域へ誘導することが可能なパチンコ機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のパチンコ機は、底部付近に入賞領域、及び前記入賞領域に向かって傾斜するステージを有する役物を備えた遊技機において、前記ステージの下側に位置し、前記入賞領域に向かって所定間隔で配列されており、前記ステージ上の遊技球を吸着可能とする吸着位置と、前記ステージ上の遊技球を吸着しない退避位置との間で移動自在に設けられた複数の磁石と、前記磁石を前記吸着位置と前記退避位置との間で移動させる駆動手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
前記駆動手段は、前記複数の磁石のうち、互いに隣接する第1及び第2の磁石を互い違いに移動させて、第1の磁石が吸着位置にあるとき、第2の磁石を退避位置に、第1の磁石が退避位置にあるとき、第2の磁石を吸着位置とすることが好ましい。
【0008】
また、前記複数の磁石は、前記ステージの傾斜方向と平行、且つ互いに隣接する第1及び第2の列に沿って配置されており、前記駆動手段は、前記第1の列の磁石が吸着位置にあるとき、前記第2の列の磁石を退避位置とし、前記第1の列の磁石が退避位置にあるとき、前記第2の列の磁石を吸着位置とするように互い違いに移動させることが好ましい。さらにまた、前記複数の磁石は、前記入賞領域の付近を頂点とし、且つ前記ステージの傾斜方向上流側を底辺とする山型状に配置されることが好ましい。あるいは、前記駆動手段は、前記磁石を上下に変位させるカム面を有するカム軸と、モータと、モータの回転をカム軸に伝達する伝達手段とを備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ステージの下側に位置し、入賞領域に向かって所定間隔で配列されており、ステージ上の遊技球を吸着可能とする吸着位置と、ステージ上の遊技球を吸着しない退避位置との間で移動自在に設けられた複数の磁石と、磁石を吸着位置と退避位置との間で移動させる駆動手段とを備えているので、入賞領域に誘導される遊技球の動きに変化を付けて演出を盛り上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1に示すように、パチンコ機2は、本体枠3の内部に遊技盤4が配設されており、本体枠3の前面には前面扉5が開閉自在に取り付けられている。遊技盤4のパチンコ球7が打ち出される遊技領域4aの略中央には、遊技中に様々な演出を行う役物9が設けられている。
【0011】
役物9は、詳しくは図2に示すように、外周が釣鐘型の箱状に形成されている。役物9の上部には、内部に連通する入口14が設けられている。この入口14には、一対の可動翼片16が設けられている。可動翼片16は、その基端部が前後方向に延びる軸に軸着されており、互いが対面する閉じ位置(図2中実線で示す位置)と互いの先端が遠ざかる開き位置(図2中二点鎖線で示す位置)との間で回動する。可動翼片16が閉じ位置にある状態では、可動翼片16の隙間からパチンコ球7が通過することが不可能となり、開き位置にある状態では、可動翼片16同士の隙間から入口14へパチンコ球7を通過させることが可能となる。入口14を通過したパチンコ球7は役物9の内部を落下する。
【0012】
役物9の底部付近には、ステージ17と、入賞領域18、ハズレ領域19とが設けられている。ステージ17は、矩形の平面状に形成され、その上面が後方から前方に向かって下方へ傾斜する傾斜面となっている。入賞領域18、ハズレ領域19は、ステージ17の前端縁に接しており、仕切り板21,22によって中央の入賞領域18と、その両隣のハズレ領域19との間が仕切られている。
【0013】
役物9の内部に入ったパチンコ球7は、ステージ17の上面に落下する。上述したようにステージ17は傾斜面となっており、パチンコ球7はステージ17を流下して前方の入賞領域18、又はハズレ領域19のいずれかに入る。パチンコ球7が入賞領域18に入ると遊技上の特典として当たりモードに移行し、ハズレ領域19に入ると賞球の払い出しのみが行われる。当たりモードに移行すると、可動翼片16が1ラウンドあたり複数回開閉され、可動翼片16の開閉回数が所定回数に達するか又は入口14から役物9の内部に入ったパチンコ球7の個数が所定個数に達すると1ラウンドが終了する。当たりモードでは、いずれの領域18,19に入っても規定個数の賞球が払い出される。当たりモードは例えば15ラウンドまで継続した後、終了する。また役物9の壁面には、液晶ディスプレイ23が設けられている。液晶ディスプレイ23は、待機画像や演出画像の表示を行う。
【0014】
役物9のステージ17下部には、図3及び4に示すように、複数の磁石31,32(第1及び第2の磁石),カム軸33,34、ガイド部材36、及びモータ37が設けられている。磁石31,32は、ステージ17の傾斜方向、すなわち入賞領域18に向かう方向と平行な複数の列A〜Eに沿って互いに所定間隔を置いて配列されている。さらに本実施形態では、図5に示すように、磁石31,32は、入賞領域18に近接する位置が頂点でステージ17の後方が底辺の山型状に配列されており、磁石31は、ステージ17の中央の列C(第1の列)及び両側方部の列A,E(第1の列)に、磁石32は、磁石31の列A,C,E(第1の列)の間に挟まれた列B,D(第2の列)に沿って配置されている。なお、本実施形態では、中央の列Cに4個、両側方部の列A,Eに2個ずつの磁石31が配列され、磁石32は、各列3個ずつ配されているが、これに限るものではなく、山型状で、且つ磁石31の列と磁石32の列とが交互に並ぶ配置であればよい。また、ガイド部材36は、図4に示すように、磁石31,32の外形に合わせたガイド孔36aが形成されている。ガイド孔36aは、上下方向に沿って形成されており、磁石31,32をガイドする。
【0015】
駆動手段を構成するカム軸33,34及びモータ37は、詳しくは図4に示すように、ガイド部材36の下方に位置する。カム軸33,34は、前後方向に沿って交互に並んで配されており、カム面33a,34aと、伝達歯車33b,34bとがそれぞれ一体に形成されている。
【0016】
カム面33a,34aは、磁石31,32の底面にそれぞれ接している。伝達歯車33b、34bは互いに噛み合うように配されており、モータ37の回転をカム軸33,34に伝達する。なお、このモータ37は、後述するCPU51によって制御され、モータ37が回転すると伝達歯車33b,34bによって駆動力が伝達され、カム軸33,34は全て同時に回転する。これらのカム軸33,34が回転すると、カム面33a,34aの移動に従って磁石31、32がステージ17に近接する吸着位置と、ステージ17から離れる退避位置との間でそれぞれ上下動する。磁石31,32が吸着位置にあるときは、ステージ17上のパチンコ球7を吸着することが可能であり、退避位置にあるときは、ステージ17上のパチンコ球7の吸着が不可能となっている。
【0017】
さらに、カム面33a,34aは、磁石31,32を180°異なる位相で互い違いに上下動させるように配されている。すなわち、カム面33a,34aは、磁石31(第1の磁石)が吸着位置にあるときは、磁石32(第2の磁石)が退避位置に移動し(図6(A)に示す状態)、磁石31(第1の磁石)が退避位置にあるときは、磁石32(第2の磁石)が近接位置に移動する(図6(B)に示す状態)ように配されている。
【0018】
遊技盤11には、役物13の下方に始動入賞口(以下「始動口」)41〜43が設けられている。左右の始動口41,42に遊技球が入ると可動翼片16が1回開閉し、中央の始動口43に遊技球が入ると可動翼片16が2回開閉する。詳しくは図示しないが遊技盤11の盤面には多数の遊技釘や風車が設けられており、各始動口41〜43には容易に遊技球が入らないようになっている。始動口41〜43に入らなかった遊技球はアウト口44から回収される。なお、パチンコ機10の下部には受け皿45が設けられており、賞球は受け皿45に払い出される。また、受け皿45の下方には発射ハンドル46が取り付けられており、発射ハンドル46が回動されると遊技盤11の盤面上に遊技球が発射される。
【0019】
図7に示すように、パチンコ機10の基本的な動作はメイン制御基板50によって管制される。メイン制御基板50はCPU51を備えている。CPU51には始動口41〜43に遊技球が入ったことを検知する始動口センサ53a、入賞領域18にパチンコ球7が入ったことを検知する特別入賞センサ53b、ハズレ領域19にパチンコ球7が入ったことを検知するハズレ球センサ53c、役物9の入口14に遊技球が入ったことを検知する役物入賞センサ53d、及びモータドライバ55が接続されており、CPU31は各センサからの信号に応答してワーキングメモリ56に格納されたプログラムを参照し、このプログラムに従ってメイン制御基板50全体の制御を行う。
【0020】
始動口41〜43に遊技球が入ると始動口センサ53aからの検知コマンドがCPU31に入力される。これに応答してCPU31は、演出開始コマンドをサブ制御基板57に入力するとともに、モータドライバ55を制御してモータ37の回転を開始させる。
【0021】
サブ制御基板57は、液晶ディスプレイ17から表示させる画像の表示制御などを行う。サブ制御基板57の動作はCPU58によって制御される。サブ制御基板55はグラフィックデータメモリ59を備えている。グラフィックデータメモリ57には待機画像及び演出画像の画像データが格納されており、CPU58は画像データを読み出して液晶ディスプレイ23から演出画像を表示させる。
【0022】
上記構成の作用について説明する。遊技盤11の盤面上にパチンコ球7が打ち出され、始動口41〜43のいずれかでパチンコ球7が検知されると、可動翼片16が開放されるとともに、モータ37が回転して磁石31,32の上下動が開始される。可動翼片16が開放されたときに、役物9の内部にパチンコ球7が入り、ステージ17へと落下する。ステージ17へパチンコ球7が落下すると、ステージ17の傾斜によって入賞領域18側へ流下するとともに、磁石31,32の吸着力によってパチンコ球7の動きが変化する。このとき、上述したように磁石31,32を交互に吸着位置及び退避位置の間で移動させているので、吸着位置にある磁石31または磁石32に吸着されたパチンコ球7は、ステージ17上で動きを変化させながら流下する。さらにまた、磁石31,32は、入賞領域18に近接するステージ17の中央付近を頂点とする山型状に配列されているので、パチンコ球7は、磁石31、32の吸着力によってステージ17の中央付近に誘導されやすくなっている。これによってステージ17に落下したパチンコ球7が入賞領域に入りやすくなり、さらに、入賞領域18へ向かってパチンコ球7が変化のある動きをしながら誘導されるので、遊技者の興味を引く演出効果を得ることができる。
【0023】
なお、上記実施形態においては、磁石31,32を上下方向に移動させているが、これに限らず、ステージに近接する吸着位置と、ステージから離れる退避位置の間で移動するのであれば何れの方向でもよく、例え前後方向に移動させてもよい。また、磁石を移動させる駆動手段としてカム軸と、これを回転させるモータとからなる構成を用いているがこれに限らず、例えばソレノイドなどを用いてもよい。さらにまた、上記実施形態では、ステージに対する入賞領域の位置が固定された構成を例にあげて説明しているが、本発明はこれに限らず、ステージに対して入賞領域が相対移動する構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】パチンコ機の正面図である。
【図2】役物の外観図である。
【図3】ステージ、磁石及び駆動機構の外観図である。
【図4】磁石及び駆動機構の構成を示す分解斜視図である。
【図5】ステージと磁石の配置を示す平面図である。
【図6】磁石の移動、及び遊技球の動きを示す説明図である。
【図7】パチンコ機の電気的構成の概略を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0025】
2 パチンコ機
4 遊技盤
7 パチンコ球
9 役物
17 ステージ
18 入賞領域
31,32 磁石
33,34 カム軸
37 モータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
傾斜するステージと、前記ステージの下流側端縁の少なくとも一部分に接する入賞領域とを有する役物を備えたパチンコ機において、
前記ステージの下側に位置し、前記入賞領域に向かって所定間隔で配列されており、前記ステージ上の遊技球を吸着可能とする吸着位置と、前記ステージ上の遊技球を吸着しない退避位置との間で移動自在に設けられた複数の磁石と、前記磁石を前記吸着位置と前記退避位置との間で移動させる駆動手段とを備えたことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
前記駆動手段は、前記複数の磁石のうち、互いに隣接する第1及び第2の磁石を互い違いに移動させて、第1の磁石が吸着位置にあるとき、第2の磁石を退避位置に、第1の磁石が退避位置にあるとき、第2の磁石を吸着位置とすることを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
【請求項3】
前記複数の磁石は、前記ステージの傾斜方向と平行、且つ互いに隣接する第1及び第2の列に沿って配置されており、前記駆動手段は、前記第1の列の磁石が吸着位置にあるとき、前記第2の列の磁石を退避位置とし、前記第1の列の磁石が退避位置にあるとき、前記第2の列の磁石を吸着位置とするように互い違いに移動させることを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
【請求項4】
前記複数の磁石は、前記入賞領域の付近を頂点とし、且つ前記ステージの傾斜方向上流側を底辺とする山型状に配置されることを特徴とする請求項1ないし3いずれか記載のパチンコ機。
【請求項5】
前記駆動手段は、前記磁石を上下に変位させるカム面を有するカム軸と、モータと、このモータの回転を前記カム軸に伝達する伝達手段とを備えることを特徴とする請求項1ないし4いずれか記載のパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−307177(P2008−307177A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−156471(P2007−156471)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【出願人】(390031772)株式会社オリンピア (2,719)
【Fターム(参考)】