説明

パック収納用内装材

【課題】パックを安定して保持でき、内容物を衝撃から保護できるパック収納用の内装材を提供する。
【解決手段】パックPを収納する箱体Bに内装される厚紙製内装材Sにおいて、パック挿入口1aを有する枠板1同士を、中間に谷折線2aを有する脚板2を介して連設し、枠板1に脚板2への切込により突片1bを設け、脚板2を下方へ折り曲げて、枠板1と脚板2の稜線から突出した突片1bを隣り合う枠板1側に突き合わせ、パック挿入口1aに挿入したパックPのフランジを枠板1で持ち上げて、パックPを宙吊り状態で支持する。箱体Bの底壁11とパックPの底面との間に隙間ができ、また、枠板1の突片1bと谷折された脚板2とが三角構造をなし、脚板2の揺動が防止され、パックPのフランジを受け止める枠板1が安定し、パックPの内容物が輸送時の衝撃から保護される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、いちご等のパックを運搬する際に箱体に内装してパックを保持するパック収納用内装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、いちごパックを運搬する際には、図7に示すように、トレー状の箱体51の内部に切溝で噛み合う十字状の仕切52,53をセットし、仕切52,53で形成された各区画にパックPを収納するようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような包装では、パックを箱体の底壁に直接置くため、輸送に際し、パックのいちごに下方からの衝撃が緩和されることなく作用するほか、仕切がふらついて周方向からの衝撃も作用するので、いちごが傷みやすいという問題があった。
【0004】
そこで、この発明は、パックを安定して保持でき、内容物を衝撃から保護できるパック収納用の内装材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、この発明は、パックを収納する箱体に内装される厚紙製内装材において、パック挿入口を有する枠板同士を、中間に谷折線を有する脚板を介して連設し、枠板に脚板への切込により突片を設け、脚板を下方へ折り曲げて、枠板と脚板の稜線から突出した突片を隣り合う枠板側に突き合わせ、パック挿入口に挿入したパックのフランジを枠板で持ち上げて、パックを宙吊り状態で支持するようにしたのである。
【発明の効果】
【0006】
このような内装材でパックを宙吊り状態で支持すると、箱体の底壁とパックの底面との間に隙間ができ、また、枠板の突片と谷折された脚板とが三角構造をなし、脚板の揺動が防止され、パックのフランジを受け止める枠板が安定するので、パックに詰められたいちご等を輸送時の衝撃から保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0008】
図1及び図2に示すように、このパック収納用内装材Sは、10個のいちごパックPを運搬するトレーの箱体Bにセットされるものであり、箱体Bと共に段ボールシートを打ち抜いたブランクから形成される。
【0009】
図3に示すように、内装材Sのブランクでは、パック挿入口1aを5個ずつ有する2枚の枠板1が脚板2を介して連設され、脚板2は、中間に入れられた半切の谷折線2aを境界として2枚設けられている。枠板1の外端には脚板3が連設されている。
【0010】
枠板1には、脚板2への切込により突片1bが設けられ、脚板2には、谷折線2aから突出する相互の切込により突片2bが設けられている。また、脚板3の両側には切欠部3aが形成されている。
【0011】
一方、図4に示すように、箱体Bのブランクでは、底壁11の周囲に各一対の側壁12及び端壁13が、側壁12の両側には折込片14がそれぞれ連設され、端壁13の先端には桟板15が、その両端には巻込板16がそれぞれ連設されている。
【0012】
なお、段積み時の積みずれを防止するため、側壁12と折込片14の境界線は傾斜し、側壁12の中間部は両肩部よりも背が高くなっている。
【0013】
また、側壁12の両肩部には係合突起12aが、桟板15の両端には係合穴15aがそれぞれ設けられ、巻込板16の先端には抜止用の段部を有する差込片16aが、側壁12の基端両側部にはスリット状の差込穴12bがそれぞれ設けられている。また、端壁13の中央部には、把手穴13aが設けられている。
【0014】
上記のようなブランクからトレーを組み立てるには、図5に示すように、内装材Sのブランクにおいて、脚板2を谷折線2aをヒンジとして下方へ折り曲げ、脚板3も下方へ折り曲げる。このように内装材Sを組み立てると、枠板1と脚板2の稜線から突出した突片1b同士が突合し、谷折線2aから下方へ突出した突片2b同士が交差する。
【0015】
また、図6に示すように、箱体Bのブランクにおいて、底壁11から側壁12を起立させ、折込片14を内側へ折り曲げ、底壁11から端壁13を折込片14の外面に沿うように起立させる。
【0016】
そして、内装材Sを箱体Bにセットし、桟板15を内側水平方向へ折り曲げ、係合突起12aを係合穴15aに係合させて、巻込板16を側壁12の外面に沿うように下方へ折り曲げ、差込片16aを差込穴12bに差し込んで、箱体Bを保形する。このとき、脚板3の切欠部3aに差込片16aが嵌まり込み、差込片16aの厚さの影響が回避される。
【0017】
ここで、図6では、内装材Sの挿入前に箱体Bを組み立てた状態を示しているが、実際の作業手順としては、少なくとも片方の桟板15を跳ね上げた状態で、内装材Sを箱体Bにセットする必要がある。
【0018】
上記のように組み立てたトレーを使用して、いちごパックを運搬する際には、図1及び図2に示すように、内装材Sのパック挿入口1aにパックPを挿入し、パックPのフランジを枠板1に載せる。これにより、パックPは、四辺のフランジで枠板1に持ち上げられて、宙吊り状態で支持される。
【0019】
このように、内装材SでパックPを宙吊り状態で支持すると、箱体Bの底壁11とパックPの底面との間に隙間ができ、また、枠板1の突片1bと谷折された脚板2とが三角構造をなし、脚板2の下部の突片2bが交差して、脚板2の揺動が防止される。
【0020】
従って、10個のパックPの荷重が作用しても、パックPのフランジを受け止める枠板1が安定し、パックPに詰められたいちごに箱体Bの下方や周方向から伝わる振動が緩和され、輸送時の衝撃からいちごを保護することができる。
【0021】
なお、上記実施形態では、内装材Sとして、双方の枠板1から突片1bが突出し、その先端同士が突き合わされるものを例示したが、一方の枠板1からのみ長い突片1bを突出させ、その先端が他方の枠板1と脚板2の稜部に突き合わされるようにしてもよい。
【0022】
また、2枚の枠板1が連設されたものを例示したが、3枚以上の枠板1を同様に脚板2を介し連設して、より多くのパックを運搬できるトレーを形成することもできる。
【0023】
さらに、内装材Sの脚板2を箱体Bの底壁11に載置するだけのものを例示したが、脚板2の突片2bを、箱体Bの底壁11に設けたスリット状の差込穴に係合させて、内装材Sの安定性を向上させることもできる。
【0024】
そのほか、内装材Sが箱体Bと別体となったものを例示したが、箱体Bの側壁12に枠板1を連設する等の構成により、内装材Sと箱体Bとを一体化することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明に係るパック収納用内装材の使用状態を示す斜視図
【図2】同上の縦断側面図
【図3】同上の内装材のブランクを示す図
【図4】同上の箱体のブランクを示す図
【図5】同上の内装材の組立状態を示す斜視図
【図6】同上の内装材と箱体の分離状態を示す斜視図
【図7】従来の仕切をセットしたトレーを示す斜視図
【符号の説明】
【0026】
S 内装材
1 枠板
1a パック挿入口
1b 突片
2 脚板
2a 谷折線
2b 突片
3 脚板
3a 切欠部
B 箱体
11 底壁
12 側壁
12a 係合突起
12b 差込穴
13 端壁
13a 把手穴
14 折込片
15 桟板
15a 係合穴
16 巻込板
16a 差込片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パックを収納する箱体に内装される厚紙製内装材において、パック挿入口を有する枠板同士を、中間に谷折線を有する脚板を介して連設し、枠板に脚板への切込により突片を設け、脚板を下方へ折り曲げて、枠板と脚板の稜線から突出した突片を隣り合う枠板側に突き合わせ、パック挿入口に挿入したパックのフランジを枠板で持ち上げて、パックを宙吊り状態で支持するようにしたことを特徴とするパック収納用内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−238114(P2007−238114A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−60755(P2006−60755)
【出願日】平成18年3月7日(2006.3.7)
【出願人】(000115980)レンゴー株式会社 (502)
【Fターム(参考)】