パネル固定具及びパネルの取り付け構造
【課題】 パネルの取り付け強度が低下しにくいパネル固定具を提供する。
【解決手段】 表面板1と裏面板2の間に芯材3を充填して形成されるパネル4を建物の構造材5に取り付けるためのパネル固定具Aに関する。構造材5に当接させたパネル4を貫通して構造材5に打入される固定具本体6と、固定具本体6の周囲に設けられて裏面板2の芯材3側の面に圧接される圧接部7とを備える。固定具本体6の周囲において裏面板2の芯材3側の面に圧接部7を圧接することによって、圧接部7で裏面板2を構造材5に押し付けてパネル4を構造材5に固定することができる。
【解決手段】 表面板1と裏面板2の間に芯材3を充填して形成されるパネル4を建物の構造材5に取り付けるためのパネル固定具Aに関する。構造材5に当接させたパネル4を貫通して構造材5に打入される固定具本体6と、固定具本体6の周囲に設けられて裏面板2の芯材3側の面に圧接される圧接部7とを備える。固定具本体6の周囲において裏面板2の芯材3側の面に圧接部7を圧接することによって、圧接部7で裏面板2を構造材5に押し付けてパネル4を構造材5に固定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁パネルや床パネルなどのパネルを建物の構造体に取り付ける際に用いるパネル固定具及びこれを使用したパネルの取り付け構造に関するものであり、特に、耐力壁を形成する際に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面板と裏面板の間に芯材を充填して形成されるパネル(サンドイッチパネル)を建物の構造材に取り付けるにあたっては、ビス、釘、テクスなどの固定具が用いられており、構造材の表面に裏面板を当接させた状態でパネルを配置した後、パネルの表面側から表面板と芯材と裏面板を貫通して上記の固定具を構造材にまで打入するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の発明では、表面板及び裏面板と固定具との接触部分でパネルの重量及びパネルに加わる荷重を支持しており、固定具との接触部分において表面板及び裏面板に荷重が加わるために、薄い金属板で形成される表面板及び裏面板に変形が生じて固定具とに隙間が発生し、この結果、固定具によるパネルの取り付け強度(剪断強度)を確保することが難しくなって壁の耐力が低下しやすいという問題があった。
【特許文献1】特開平11−350706号公報(第2頁、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、壁の耐力の低下を防止することができるパネル固定具及びパネルの取り付け構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るパネル固定具Aは、表面板1と裏面板2の間に芯材3を充填して形成されるパネル4を建物の構造材5に取り付けるためのパネル固定具Aであって、パネル4を貫通して構造材5に打入される固定具本体6の周囲に、裏面板2の内面に圧接される圧接部7を設けて成ることを特徴とするものである。
【0006】
この発明によれば、圧接部7で裏面板2を押圧して構造材5に取り付けることができ、パネル4の取り付け強度を向上させて壁の耐力の低下を防止することができるものである。
【0007】
本発明の請求項2に係るパネル固定具Aは、請求項1に加えて、固定具本体6に外挿したスリーブ8の先端部又はリング9を圧接部7として形成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
この発明によれば、スリーブ8又はリング9と固定具本体6とをそれぞれ別々に形成した後、組み立てるようにしてパネル固定具Aを形成することもでき、スリーブ8又はリング9と固定具本体6とをパネル4の施工条件等に応じてそれぞれ別々に形成することができるものである。
【0009】
本発明の請求項3に係るパネル固定具Aは、請求項1又は2に加えて、圧接部7を拡張して成ることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、裏面板2に対する圧接部7の圧接面積を大きくすることができ、より広い面積で裏面板2を押圧して構造材5に取り付けることができ、パネル4の取り付け強度をさらに向上させて壁の耐力を高めることができるものである。
【0011】
本発明の請求項4に係るパネル固定具Aは、請求項1乃至3のいずれかに加えて、先端が鋭角の複数の突起7aで圧接部7を形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、裏面板2に対して突起7aを食い込ませることができ、裏面板2に圧接部7を強固に連結してより強力に裏面板2を構造材5に取り付けることができるものである。
【0013】
本発明の請求項5に係るパネルの取り付け構造は、請求項1乃至4のいずれかに記載のパネル固定具Aを用いてパネル4を取り付けるにあたって、パネル4を貫通して構造材5に固定具本体6を打入すると共に固定具本体6の周囲に設けた圧接部7を裏面板2の内面に圧接して成ることを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、圧接部7で裏面板2を押圧して構造材5に取り付けることができ、パネル4の取り付け強度をさらに向上させて壁の耐力を高めることができるものである。
【0015】
本発明の請求項6に係るパネルの取り付け構造は、請求項5に加えて、パネル4の芯材3がハニカム構造であることを特徴とするものである。
【0016】
この発明によれば、パネル4の軽量化を図ることができ、パネル4の取り付け部分にかかる剪断力を少なくすることができてパネル4の壁の耐力の低下を防止することができるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、圧接部で裏面板を押圧して構造材に取り付けることができ、パネルの取り付け強度を向上させて壁の耐力の低下を防止することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0019】
本発明で使用する平板状のパネル(サンドイッチパネル)4は従来から壁パネルや床パネルとして使用しているものをそのまま用いることができ、表面板1と裏面板2の間に芯材3を充填(介装)して接着して形成されるものである。表面板1と裏面板2はステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板などの金属板を用いることができ、その厚みは例えば0.3〜1mmにすることができる。芯材3は従来から断熱材として用いられているものであって、ロックウールボードやグラスウールボードなどの無機繊維板やウレタンフォームやフェノールフォームなどの樹脂発泡体等を例示することができる。また、芯材3の厚みは例えば15〜200mmとすることができる。
【0020】
図1に本発明の木造用のパネル固定具Aの一例を示す。パネル固定具Aはステンレス鋼などの金属製であって、固定具本体6に圧接部7を設けて形成されている。固定具本体6は従来からテクスやドリルスクリューなどと称して用いられるものであって、先端が尖った略円棒状に形成されると共に後端には略円盤状の頭部10が設けられている。また、固定具本体6の略中央部には装着部12が形成されていると共に装着部12よりも先端側の略半分が外周にネジを有するネジ部13として形成されている。また、装着部12の近傍において装着部12よりも後端側(頭部10側)の位置には係止突起17が設けられている。係止突起17は固定具本体6の表面に突出しているものであり、パネル固定具Aの長手方向と平行な方向に長い線状に形成されている。また、複数本の係止突起17が固定具本体6の周方向に並べて設けられている。尚、装着部12と頭部10の間の長さは使用するパネル4の厚みによって適宜設計変更可能である。また、固定具本体6の外径は、例えば、5mm程度にすることができるが、パネル4の重量や所望の壁の耐力の大きさに応じて適宜設定可能である。
【0021】
圧接部7はワッシャのようなリング9で形成されるものであって、装着部12に挿着されている。従って、圧接部7は固定具本体6の周囲に突出した状態で固定具本体6に外嵌されている。また、圧接部7の外径は固定具本体6の外径よりも大きく形成されているが、圧接部7の内径は、装着部12の外径よりもやや大きく且つネジ部13のネジ山部分の外径と固定具本体6の係止突起17を形成した部分の外径よりもやや小さく形成されている。従って、圧接部7はネジ部13のネジ山や係止突起17に係止されて装着部12から外れないように保持されているものであるが、装着部12内においては固定具本体6の長手方向に沿って移動自在に形成されている。尚、圧接部7を形成するリング9は、例えば、外径は8〜10mm、厚みは0.5〜3mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、リング9はネジ部13と係止突起17の成形前の固定具本体6に嵌め込んだ後、ネジ部13と係止突起17とを成形することにより、固定具本体6に装着することができる。
【0022】
そして、上記のパネル固定具Aを用いてパネル4を建物の胴縁や柱や梁等の木製の構造材5に取り付けるにあたっては、次のようにして行う。まず、パネル4に孔部14を形成する。この孔部14は表面板1及び芯材3を厚み方向に貫通して形成するものであるが、裏面板2は貫通しないようにして形成する。また、孔部14の口径は圧接部7の外径よりもやや大きく且つ頭部10の外径よりも小さく形成する。次に、孔部14を形成したパネル4をその裏面側が構造材5の表面に当接するようにして配置する。すなわち、パネル4の裏面板2の外面(芯材3と反対側の面)を構造材5の表面に当接する。この時、孔部14の位置を構造材5に位置合わせする。次に、孔部14にその表面側の開口から上記のパネル固定具Aを挿入すると共にパネル固定具Aの固定具本体6の先端を孔部14に露出する裏面板2の内面(芯材3側の面)に当接する。次に、孔部14に挿入したパネル固定具Aをねじ込んでいくことによって、パネル固定具Aのネジ部13を裏面板2及び構造材5に打入すると共に圧接部7の先側面を裏面板2の芯材3側の面に圧接し、さらに固定具本体6の頭部10を表面板1の表面(孔部14の開口縁部)に圧接する。このようにしてパネル固定具Aをパネル4に打入することによって、図2に示すようにパネル4を構造材5に取り付けることができる。
【0023】
そして、本発明のパネル固定具Aでは、裏面板2を貫通する固定具本体6のネジ部13の周囲において、裏面板2の内面(芯材3側の面)に圧接部7を圧接するので、圧接部7で裏面板2を構造材5に押し付けてパネル4を構造材5に固定することができ、パネルAの裏面板2による面強度の向上によりパネル4の取り付け強度が低下しにくくなるものである。しかも、裏面板2のネジ部13が貫通する部分の周囲に圧接部7を圧接して補強することができ、固定具本体6との接触部分において裏面板2に変形が生じにくくなるものである。従って、固定具本体6と裏面板2との間に隙間が発生しにくくなってパネル固定具Aによるパネル4の取り付け強度を向上させることができ、壁の耐力の低下を防止することができるものである。尚、上記のように本発明のパネル固定具Aはパネル4に打入した際に、圧接部7が裏面板2の芯材3側の面に、頭部10が表面板1の表面にそれぞれ圧接するものであるので、これを考慮して、圧接部7と頭部10との間における固定具本体6の長さ、表面板1の厚み、芯材3の厚みなどを設定するものである。そして、本発明のパネル4の取り付け構造では、従来のパネルの取り付け構造に比べて、2.5〜3倍程度の壁の耐力を得ることができるものである。
【0024】
図3に本発明の木造用のパネル固定具Aの他例を示す。このパネル固定具Aは圧接部7を装着部12から外れないようにして保持する構造が図1のものと異なる以外は図1のものとほぼ同様に形成されている。すなわち、固定具本体6の略中央部には装着部12が形成されていると共に装着部12よりも先端側の略半分が外周にネジを有するネジ部13として形成されており、この装着部12は固定具本体6の他の部分よりもやや小径(細径)に形成されている。そして、上記と同様の圧接部7は装着部12に差し込んで固定具本体6に挿着されて、固定具本体6の周囲に突出した状態で固定具本体6に外嵌されている。また、圧接部7の内径は、装着部12の外径よりもやや大きく且つネジ部13のネジ山部分の外径と装着部12よりも頭部10側の部分における固定具本体6の外径よりもやや小さく形成されているので、圧接部7はネジ部13のネジ山や装着部12よりも頭部10側の部分に係止されて装着部12から外れないように保持されている。
【0025】
このように形成されるパネル固定具Aは上記と同様に用いてパネル4を取り付けることができる。すなわち、上記と同様にして孔部14をパネル4に形成すると共にこのパネル4を構造材5の表面に配置する。次に、孔部14にその表面側の開口から上記のパネル固定具Aを挿入すると共にパネル固定具Aの固定具本体6の先端を孔部14に露出する裏面板2の芯材3側の面に当接する。次に、孔部14に挿入したパネル固定具Aをねじ込んでいくことによって、パネル固定具Aのネジ部13を裏面板2及び構造材5に打入すると共にスリーブ8の先端部の圧接部7の先端面を裏面板2の内面(芯材3側の面)に圧接し、さらに固定具本体6の頭部10を表面板1の表面に圧接する。このようにしてパネル固定具Aをパネル4に打入することによって、図4に示すように、パネル4を構造材5に取り付けることができる。
【0026】
図5に他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aではリング9の代わりに、スリーブ8を用いたものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。すなわち、圧接部7は外径が8〜10mmであるスリーブ8の先端部で形成されるものである。スリーブ8はネジ部13よりも後側(頭部10側)において固定具本体6の外側に挿着(外嵌)されており、固定具本体6の長手方向に沿って移動自在に形成されている。また、スリーブ8の後端面は頭部10の先側面に当接している。尚、この実施の形態における固定具本体6には装着部12を設ける必要はない。また、スリーブ8の長さは表面板1の厚み、芯材3の厚み、固定具本体6やネジ部13の長さなどに応じて設定するものである。
【0027】
このように形成されるパネル固定具Aは上記と同様に用いてパネル4を取り付けることができる。すなわち、上記と同様にして孔部14をパネル4に形成すると共にこのパネル4を構造材5の表面に配置する。次に、孔部14にその表面側の開口から上記のパネル固定具Aを挿入すると共にパネル固定具Aの固定具本体6の先端を孔部14に露出する裏面板2の芯材3側の面に当接する。次に、孔部14に挿入したパネル固定具Aをねじ込んでいくことによって、パネル固定具Aのネジ部13を裏面板2及び構造材5に打入すると共にスリーブ8の先端部の圧接部7の先端面を裏面板2の内面(芯材3側の面)に圧接し、さらに固定具本体6の頭部10を表面板1の表面に圧接する。このようにしてパネル固定具Aをパネル4に打入することによって、図6に示すように、パネル4を構造材5に取り付けることができる。
【0028】
そして、このパネル固定具Aでは頭部10を表面板1の表面に圧接するのと同時に、頭部10でスリーブ8を先側に押圧することができる。従って、上記の実施の形態に比べて、圧接部7の先端面を裏面板2の芯材3側の面に強く圧接させて、裏面板2を構造材5にさらに強く押し付けることができるものであり、この結果、パネル4の取り付け強度を高めて壁の耐力をさらに向上させることができるものである。
【0029】
図7(a)(b)に他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aは図5に示すスリーブ8において圧接部7の外径を他の部分の外径よりも拡張可能に形成したものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。圧接部7の外径を拡張可能に形成するにあたっては、図7(b)に示すように、スリーブ8の先端に複数本の割溝16を入れて径が広がるように形成することができる。
【0030】
そして、このパネル固定具Aは上記図5のものと同様にしてパネル4の取り付けに使用するものであるが、図8に示すように、スリーブ8の先端部の圧接部7の先端面を裏面板2の内面(芯材3側の面)に圧接することにより、圧接部7が押し潰されてその外径が拡張された状態となり、この拡張された圧接部7が裏面板2の内面に圧接した状態となる。従って、図6の構造に比べて、裏面板2の芯材3側の広い面に圧接部7を圧接させることができ、裏面板2の広い面を構造材5に押し付けることができるものであり、この結果、パネル4の取り付け強度を向上させて壁の耐力をさらに向上させることができるものである。尚、圧接部7は上記と異なる方法で拡張可能としても良いし、また、予め圧接部7の外径を大きくしたスリーブ8を用いてもよい。
【0031】
図9に他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aは図5に示すスリーブ8の先端をギザギザの歯形状に形成したものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。すなわち、先端が鋭角の複数の突起7aをスリーブ8の先端に全周に亘って突設することによって、これら複数の突起7aで圧接部7が形成されるものである。
【0032】
そして、図10に示すように、このパネル固定具Aは上記図5のものと同様にしてパネル4の取り付けに使用するものであるが、図6の構造に比べて、裏面板2に対して圧接部7を食い込ませることができ、裏面板2にスリーブ8を強固に連結してより強力に裏面板2を構造材5に圧接させることができるものであり、この結果、パネル4の取り付け強度を向上させて壁の耐力をさらに向上させることができるものである。
【0033】
図11に他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aはスリーブ8やリング9を固定具本体6に設ける代わりに、筒部15を固定具本体6に一体に形成したものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。筒部15の形状は上記のスリーブ8とほぼ同じに形成することができ、筒部15の先端部が圧接部7として形成されるものである。
【0034】
そして、図12に示すように、このパネル固定具Aは上記図5のものと同様にしてパネル4の取り付けに使用するものであるが、図5のものに比べて、スリーブ8やリング9と固定具本体6とを組み立てる必要がなく、パネル固定具Aの製造の手間が軽減されるものである。尚、スリーブ8やリング9と固定具本体6とを別体で形成するパネル固定具Aでは、スリーブ8やリング9と固定具本体6とを組み立てる必要があるが、パネル4の施工条件等に応じてスリーブ8やリング9と固定具本体6と個別に選定して使用することができ、パネル4の施工条件等に対して適合性の良いパネル固定具Aを形成することができるものである。
【0035】
図13には他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aは、断面C型やH型の鉄骨(型鋼)等の金属製の構造材5に好適に用いられるものであって、金属製の構造材5を穿孔しやすいようにネジ部13の先端部にはドリル部13aが形成されている。このドリル部13aは穿孔工具のドリルと同様の形状に形成されている。また、このパネル固定具Aは図1と同様に固定具本体6にネジ部13、装着部12及び係止突起17が形成されていると共に、装着部12には上記と同様の圧接部7が設けられている。
【0036】
そして、図14に示すように、このパネル固定具Aは上記図1のものと同様にしてパネル4の取り付けに使用するものであるが、先端をドリル部13aとして形成するので、金属製の構造材5であっても穿孔しながら打入することができ、パネル4の取り付けを容易に行うことができるものである。
【0037】
本発明では、パネル4の芯材3としてアルミニウム等の金属製でハニカム構造のものを使用するのが好ましく、この場合、中実の芯材3に比べて、パネル4の剪断剛性を高くすることができると共にパネル4の軽量化を図ってパネル固定具Aに掛かる荷重を小さくすることができ、パネル4の取り付け強度の低下を防止して壁の耐力の低下が生じにくくなるものである。図15にはハニカム構造の芯材3を有するパネル4を図1に示すパネル固定具Aで取り付けた状態を示す。この場合、固定具本体6はハニカム構造の芯材3のセル18を貫通するようにして打入されるものである。尚、芯材3はシート接着剤20などで表面板1及び裏面板2に接着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のパネル固定具の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図3】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図4】図3のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図5】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図6】図5のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図7】(a)本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図、(b)は圧接部を示す底面図である。
【図8】図7のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図9】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図10】図9のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図11】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図12】図11のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図13】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図14】図13のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図15】図1のパネル固定具の他の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 表面板
2 裏面板
3 芯材
4 パネル
5 構造材
6 固定具本体
7 圧接部
A パネル固定具
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁パネルや床パネルなどのパネルを建物の構造体に取り付ける際に用いるパネル固定具及びこれを使用したパネルの取り付け構造に関するものであり、特に、耐力壁を形成する際に好適に用いられるものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、表面板と裏面板の間に芯材を充填して形成されるパネル(サンドイッチパネル)を建物の構造材に取り付けるにあたっては、ビス、釘、テクスなどの固定具が用いられており、構造材の表面に裏面板を当接させた状態でパネルを配置した後、パネルの表面側から表面板と芯材と裏面板を貫通して上記の固定具を構造材にまで打入するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、特許文献1に記載の発明では、表面板及び裏面板と固定具との接触部分でパネルの重量及びパネルに加わる荷重を支持しており、固定具との接触部分において表面板及び裏面板に荷重が加わるために、薄い金属板で形成される表面板及び裏面板に変形が生じて固定具とに隙間が発生し、この結果、固定具によるパネルの取り付け強度(剪断強度)を確保することが難しくなって壁の耐力が低下しやすいという問題があった。
【特許文献1】特開平11−350706号公報(第2頁、図1等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、壁の耐力の低下を防止することができるパネル固定具及びパネルの取り付け構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係るパネル固定具Aは、表面板1と裏面板2の間に芯材3を充填して形成されるパネル4を建物の構造材5に取り付けるためのパネル固定具Aであって、パネル4を貫通して構造材5に打入される固定具本体6の周囲に、裏面板2の内面に圧接される圧接部7を設けて成ることを特徴とするものである。
【0006】
この発明によれば、圧接部7で裏面板2を押圧して構造材5に取り付けることができ、パネル4の取り付け強度を向上させて壁の耐力の低下を防止することができるものである。
【0007】
本発明の請求項2に係るパネル固定具Aは、請求項1に加えて、固定具本体6に外挿したスリーブ8の先端部又はリング9を圧接部7として形成して成ることを特徴とするものである。
【0008】
この発明によれば、スリーブ8又はリング9と固定具本体6とをそれぞれ別々に形成した後、組み立てるようにしてパネル固定具Aを形成することもでき、スリーブ8又はリング9と固定具本体6とをパネル4の施工条件等に応じてそれぞれ別々に形成することができるものである。
【0009】
本発明の請求項3に係るパネル固定具Aは、請求項1又は2に加えて、圧接部7を拡張して成ることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、裏面板2に対する圧接部7の圧接面積を大きくすることができ、より広い面積で裏面板2を押圧して構造材5に取り付けることができ、パネル4の取り付け強度をさらに向上させて壁の耐力を高めることができるものである。
【0011】
本発明の請求項4に係るパネル固定具Aは、請求項1乃至3のいずれかに加えて、先端が鋭角の複数の突起7aで圧接部7を形成して成ることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、裏面板2に対して突起7aを食い込ませることができ、裏面板2に圧接部7を強固に連結してより強力に裏面板2を構造材5に取り付けることができるものである。
【0013】
本発明の請求項5に係るパネルの取り付け構造は、請求項1乃至4のいずれかに記載のパネル固定具Aを用いてパネル4を取り付けるにあたって、パネル4を貫通して構造材5に固定具本体6を打入すると共に固定具本体6の周囲に設けた圧接部7を裏面板2の内面に圧接して成ることを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、圧接部7で裏面板2を押圧して構造材5に取り付けることができ、パネル4の取り付け強度をさらに向上させて壁の耐力を高めることができるものである。
【0015】
本発明の請求項6に係るパネルの取り付け構造は、請求項5に加えて、パネル4の芯材3がハニカム構造であることを特徴とするものである。
【0016】
この発明によれば、パネル4の軽量化を図ることができ、パネル4の取り付け部分にかかる剪断力を少なくすることができてパネル4の壁の耐力の低下を防止することができるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、圧接部で裏面板を押圧して構造材に取り付けることができ、パネルの取り付け強度を向上させて壁の耐力の低下を防止することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0019】
本発明で使用する平板状のパネル(サンドイッチパネル)4は従来から壁パネルや床パネルとして使用しているものをそのまま用いることができ、表面板1と裏面板2の間に芯材3を充填(介装)して接着して形成されるものである。表面板1と裏面板2はステンレス鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム−亜鉛めっき鋼板、塗装鋼板などの金属板を用いることができ、その厚みは例えば0.3〜1mmにすることができる。芯材3は従来から断熱材として用いられているものであって、ロックウールボードやグラスウールボードなどの無機繊維板やウレタンフォームやフェノールフォームなどの樹脂発泡体等を例示することができる。また、芯材3の厚みは例えば15〜200mmとすることができる。
【0020】
図1に本発明の木造用のパネル固定具Aの一例を示す。パネル固定具Aはステンレス鋼などの金属製であって、固定具本体6に圧接部7を設けて形成されている。固定具本体6は従来からテクスやドリルスクリューなどと称して用いられるものであって、先端が尖った略円棒状に形成されると共に後端には略円盤状の頭部10が設けられている。また、固定具本体6の略中央部には装着部12が形成されていると共に装着部12よりも先端側の略半分が外周にネジを有するネジ部13として形成されている。また、装着部12の近傍において装着部12よりも後端側(頭部10側)の位置には係止突起17が設けられている。係止突起17は固定具本体6の表面に突出しているものであり、パネル固定具Aの長手方向と平行な方向に長い線状に形成されている。また、複数本の係止突起17が固定具本体6の周方向に並べて設けられている。尚、装着部12と頭部10の間の長さは使用するパネル4の厚みによって適宜設計変更可能である。また、固定具本体6の外径は、例えば、5mm程度にすることができるが、パネル4の重量や所望の壁の耐力の大きさに応じて適宜設定可能である。
【0021】
圧接部7はワッシャのようなリング9で形成されるものであって、装着部12に挿着されている。従って、圧接部7は固定具本体6の周囲に突出した状態で固定具本体6に外嵌されている。また、圧接部7の外径は固定具本体6の外径よりも大きく形成されているが、圧接部7の内径は、装着部12の外径よりもやや大きく且つネジ部13のネジ山部分の外径と固定具本体6の係止突起17を形成した部分の外径よりもやや小さく形成されている。従って、圧接部7はネジ部13のネジ山や係止突起17に係止されて装着部12から外れないように保持されているものであるが、装着部12内においては固定具本体6の長手方向に沿って移動自在に形成されている。尚、圧接部7を形成するリング9は、例えば、外径は8〜10mm、厚みは0.5〜3mmとすることができるが、これに限定されるものではない。また、リング9はネジ部13と係止突起17の成形前の固定具本体6に嵌め込んだ後、ネジ部13と係止突起17とを成形することにより、固定具本体6に装着することができる。
【0022】
そして、上記のパネル固定具Aを用いてパネル4を建物の胴縁や柱や梁等の木製の構造材5に取り付けるにあたっては、次のようにして行う。まず、パネル4に孔部14を形成する。この孔部14は表面板1及び芯材3を厚み方向に貫通して形成するものであるが、裏面板2は貫通しないようにして形成する。また、孔部14の口径は圧接部7の外径よりもやや大きく且つ頭部10の外径よりも小さく形成する。次に、孔部14を形成したパネル4をその裏面側が構造材5の表面に当接するようにして配置する。すなわち、パネル4の裏面板2の外面(芯材3と反対側の面)を構造材5の表面に当接する。この時、孔部14の位置を構造材5に位置合わせする。次に、孔部14にその表面側の開口から上記のパネル固定具Aを挿入すると共にパネル固定具Aの固定具本体6の先端を孔部14に露出する裏面板2の内面(芯材3側の面)に当接する。次に、孔部14に挿入したパネル固定具Aをねじ込んでいくことによって、パネル固定具Aのネジ部13を裏面板2及び構造材5に打入すると共に圧接部7の先側面を裏面板2の芯材3側の面に圧接し、さらに固定具本体6の頭部10を表面板1の表面(孔部14の開口縁部)に圧接する。このようにしてパネル固定具Aをパネル4に打入することによって、図2に示すようにパネル4を構造材5に取り付けることができる。
【0023】
そして、本発明のパネル固定具Aでは、裏面板2を貫通する固定具本体6のネジ部13の周囲において、裏面板2の内面(芯材3側の面)に圧接部7を圧接するので、圧接部7で裏面板2を構造材5に押し付けてパネル4を構造材5に固定することができ、パネルAの裏面板2による面強度の向上によりパネル4の取り付け強度が低下しにくくなるものである。しかも、裏面板2のネジ部13が貫通する部分の周囲に圧接部7を圧接して補強することができ、固定具本体6との接触部分において裏面板2に変形が生じにくくなるものである。従って、固定具本体6と裏面板2との間に隙間が発生しにくくなってパネル固定具Aによるパネル4の取り付け強度を向上させることができ、壁の耐力の低下を防止することができるものである。尚、上記のように本発明のパネル固定具Aはパネル4に打入した際に、圧接部7が裏面板2の芯材3側の面に、頭部10が表面板1の表面にそれぞれ圧接するものであるので、これを考慮して、圧接部7と頭部10との間における固定具本体6の長さ、表面板1の厚み、芯材3の厚みなどを設定するものである。そして、本発明のパネル4の取り付け構造では、従来のパネルの取り付け構造に比べて、2.5〜3倍程度の壁の耐力を得ることができるものである。
【0024】
図3に本発明の木造用のパネル固定具Aの他例を示す。このパネル固定具Aは圧接部7を装着部12から外れないようにして保持する構造が図1のものと異なる以外は図1のものとほぼ同様に形成されている。すなわち、固定具本体6の略中央部には装着部12が形成されていると共に装着部12よりも先端側の略半分が外周にネジを有するネジ部13として形成されており、この装着部12は固定具本体6の他の部分よりもやや小径(細径)に形成されている。そして、上記と同様の圧接部7は装着部12に差し込んで固定具本体6に挿着されて、固定具本体6の周囲に突出した状態で固定具本体6に外嵌されている。また、圧接部7の内径は、装着部12の外径よりもやや大きく且つネジ部13のネジ山部分の外径と装着部12よりも頭部10側の部分における固定具本体6の外径よりもやや小さく形成されているので、圧接部7はネジ部13のネジ山や装着部12よりも頭部10側の部分に係止されて装着部12から外れないように保持されている。
【0025】
このように形成されるパネル固定具Aは上記と同様に用いてパネル4を取り付けることができる。すなわち、上記と同様にして孔部14をパネル4に形成すると共にこのパネル4を構造材5の表面に配置する。次に、孔部14にその表面側の開口から上記のパネル固定具Aを挿入すると共にパネル固定具Aの固定具本体6の先端を孔部14に露出する裏面板2の芯材3側の面に当接する。次に、孔部14に挿入したパネル固定具Aをねじ込んでいくことによって、パネル固定具Aのネジ部13を裏面板2及び構造材5に打入すると共にスリーブ8の先端部の圧接部7の先端面を裏面板2の内面(芯材3側の面)に圧接し、さらに固定具本体6の頭部10を表面板1の表面に圧接する。このようにしてパネル固定具Aをパネル4に打入することによって、図4に示すように、パネル4を構造材5に取り付けることができる。
【0026】
図5に他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aではリング9の代わりに、スリーブ8を用いたものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。すなわち、圧接部7は外径が8〜10mmであるスリーブ8の先端部で形成されるものである。スリーブ8はネジ部13よりも後側(頭部10側)において固定具本体6の外側に挿着(外嵌)されており、固定具本体6の長手方向に沿って移動自在に形成されている。また、スリーブ8の後端面は頭部10の先側面に当接している。尚、この実施の形態における固定具本体6には装着部12を設ける必要はない。また、スリーブ8の長さは表面板1の厚み、芯材3の厚み、固定具本体6やネジ部13の長さなどに応じて設定するものである。
【0027】
このように形成されるパネル固定具Aは上記と同様に用いてパネル4を取り付けることができる。すなわち、上記と同様にして孔部14をパネル4に形成すると共にこのパネル4を構造材5の表面に配置する。次に、孔部14にその表面側の開口から上記のパネル固定具Aを挿入すると共にパネル固定具Aの固定具本体6の先端を孔部14に露出する裏面板2の芯材3側の面に当接する。次に、孔部14に挿入したパネル固定具Aをねじ込んでいくことによって、パネル固定具Aのネジ部13を裏面板2及び構造材5に打入すると共にスリーブ8の先端部の圧接部7の先端面を裏面板2の内面(芯材3側の面)に圧接し、さらに固定具本体6の頭部10を表面板1の表面に圧接する。このようにしてパネル固定具Aをパネル4に打入することによって、図6に示すように、パネル4を構造材5に取り付けることができる。
【0028】
そして、このパネル固定具Aでは頭部10を表面板1の表面に圧接するのと同時に、頭部10でスリーブ8を先側に押圧することができる。従って、上記の実施の形態に比べて、圧接部7の先端面を裏面板2の芯材3側の面に強く圧接させて、裏面板2を構造材5にさらに強く押し付けることができるものであり、この結果、パネル4の取り付け強度を高めて壁の耐力をさらに向上させることができるものである。
【0029】
図7(a)(b)に他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aは図5に示すスリーブ8において圧接部7の外径を他の部分の外径よりも拡張可能に形成したものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。圧接部7の外径を拡張可能に形成するにあたっては、図7(b)に示すように、スリーブ8の先端に複数本の割溝16を入れて径が広がるように形成することができる。
【0030】
そして、このパネル固定具Aは上記図5のものと同様にしてパネル4の取り付けに使用するものであるが、図8に示すように、スリーブ8の先端部の圧接部7の先端面を裏面板2の内面(芯材3側の面)に圧接することにより、圧接部7が押し潰されてその外径が拡張された状態となり、この拡張された圧接部7が裏面板2の内面に圧接した状態となる。従って、図6の構造に比べて、裏面板2の芯材3側の広い面に圧接部7を圧接させることができ、裏面板2の広い面を構造材5に押し付けることができるものであり、この結果、パネル4の取り付け強度を向上させて壁の耐力をさらに向上させることができるものである。尚、圧接部7は上記と異なる方法で拡張可能としても良いし、また、予め圧接部7の外径を大きくしたスリーブ8を用いてもよい。
【0031】
図9に他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aは図5に示すスリーブ8の先端をギザギザの歯形状に形成したものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。すなわち、先端が鋭角の複数の突起7aをスリーブ8の先端に全周に亘って突設することによって、これら複数の突起7aで圧接部7が形成されるものである。
【0032】
そして、図10に示すように、このパネル固定具Aは上記図5のものと同様にしてパネル4の取り付けに使用するものであるが、図6の構造に比べて、裏面板2に対して圧接部7を食い込ませることができ、裏面板2にスリーブ8を強固に連結してより強力に裏面板2を構造材5に圧接させることができるものであり、この結果、パネル4の取り付け強度を向上させて壁の耐力をさらに向上させることができるものである。
【0033】
図11に他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aはスリーブ8やリング9を固定具本体6に設ける代わりに、筒部15を固定具本体6に一体に形成したものであり、その他の構成は上記実施の形態と同様である。筒部15の形状は上記のスリーブ8とほぼ同じに形成することができ、筒部15の先端部が圧接部7として形成されるものである。
【0034】
そして、図12に示すように、このパネル固定具Aは上記図5のものと同様にしてパネル4の取り付けに使用するものであるが、図5のものに比べて、スリーブ8やリング9と固定具本体6とを組み立てる必要がなく、パネル固定具Aの製造の手間が軽減されるものである。尚、スリーブ8やリング9と固定具本体6とを別体で形成するパネル固定具Aでは、スリーブ8やリング9と固定具本体6とを組み立てる必要があるが、パネル4の施工条件等に応じてスリーブ8やリング9と固定具本体6と個別に選定して使用することができ、パネル4の施工条件等に対して適合性の良いパネル固定具Aを形成することができるものである。
【0035】
図13には他の実施の形態を示す。このパネル固定具Aは、断面C型やH型の鉄骨(型鋼)等の金属製の構造材5に好適に用いられるものであって、金属製の構造材5を穿孔しやすいようにネジ部13の先端部にはドリル部13aが形成されている。このドリル部13aは穿孔工具のドリルと同様の形状に形成されている。また、このパネル固定具Aは図1と同様に固定具本体6にネジ部13、装着部12及び係止突起17が形成されていると共に、装着部12には上記と同様の圧接部7が設けられている。
【0036】
そして、図14に示すように、このパネル固定具Aは上記図1のものと同様にしてパネル4の取り付けに使用するものであるが、先端をドリル部13aとして形成するので、金属製の構造材5であっても穿孔しながら打入することができ、パネル4の取り付けを容易に行うことができるものである。
【0037】
本発明では、パネル4の芯材3としてアルミニウム等の金属製でハニカム構造のものを使用するのが好ましく、この場合、中実の芯材3に比べて、パネル4の剪断剛性を高くすることができると共にパネル4の軽量化を図ってパネル固定具Aに掛かる荷重を小さくすることができ、パネル4の取り付け強度の低下を防止して壁の耐力の低下が生じにくくなるものである。図15にはハニカム構造の芯材3を有するパネル4を図1に示すパネル固定具Aで取り付けた状態を示す。この場合、固定具本体6はハニカム構造の芯材3のセル18を貫通するようにして打入されるものである。尚、芯材3はシート接着剤20などで表面板1及び裏面板2に接着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明のパネル固定具の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図2】図1のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図3】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図4】図3のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図5】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図6】図5のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図7】(a)本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図、(b)は圧接部を示す底面図である。
【図8】図7のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図9】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図10】図9のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図11】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図12】図11のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図13】本発明のパネル固定具の他の実施の形態の一例を示す斜視図である。
【図14】図13のパネル固定具の使用状態を示す断面図である。
【図15】図1のパネル固定具の他の使用状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 表面板
2 裏面板
3 芯材
4 パネル
5 構造材
6 固定具本体
7 圧接部
A パネル固定具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面板と裏面板の間に芯材を充填して形成されるパネルを建物の構造材に取り付けるためのパネル固定具であって、パネルを貫通して構造材に打入される固定具本体の周囲に、裏面板の内面に圧接される圧接部を設けて成ることを特徴とするパネル固定具。
【請求項2】
固定具本体に外挿したスリーブの先端部又はリングを圧接部として形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のパネル固定具。
【請求項3】
圧接部を拡張して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル固定具。
【請求項4】
先端が鋭角の複数の突起で圧接部を形成して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパネル固定具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のパネル固定具を用いてパネルを取り付けるにあたって、パネルを貫通して構造材に固定具本体を打入すると共に固定具本体の周囲に設けた圧接部を裏面板の内面に圧接して成ることを特徴とするパネルの取り付け構造。
【請求項6】
パネルの芯材がハニカム構造であることを特徴とする請求項5に記載のパネルの取り付け構造。
【請求項1】
表面板と裏面板の間に芯材を充填して形成されるパネルを建物の構造材に取り付けるためのパネル固定具であって、パネルを貫通して構造材に打入される固定具本体の周囲に、裏面板の内面に圧接される圧接部を設けて成ることを特徴とするパネル固定具。
【請求項2】
固定具本体に外挿したスリーブの先端部又はリングを圧接部として形成して成ることを特徴とする請求項1に記載のパネル固定具。
【請求項3】
圧接部を拡張して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載のパネル固定具。
【請求項4】
先端が鋭角の複数の突起で圧接部を形成して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のパネル固定具。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載のパネル固定具を用いてパネルを取り付けるにあたって、パネルを貫通して構造材に固定具本体を打入すると共に固定具本体の周囲に設けた圧接部を裏面板の内面に圧接して成ることを特徴とするパネルの取り付け構造。
【請求項6】
パネルの芯材がハニカム構造であることを特徴とする請求項5に記載のパネルの取り付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−161485(P2006−161485A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−357282(P2004−357282)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000207436)日鉄鋼板株式会社 (178)
【出願人】(502195400)ミズヤ商事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願人】(000207436)日鉄鋼板株式会社 (178)
【出願人】(502195400)ミズヤ商事株式会社 (1)
【Fターム(参考)】
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