説明

パネル固定具

【課題】パネル固定具が用いられる位置によって構造的に無駄が生じないようにすることができるパネル固定具を提供する。
【解決手段】高さを有するように形成され、中央部に開口部68が形成された四辺形の水平板部56を上端部に有し、この水平板部56の2辺に一体的に連続する一対の立上り板部58,60を有する高さ部材52と、水平板部56に水平移動自在に係合され、開口部68と略同軸上に連通するように形成された雌ネジ76を有するナット部材54と、高さ部材52の下端部を着脱自在に保持する保持部32(図6参照)が複数形成された基板部材24(図6参照)とを備えた。
【効果】パネル固定具が用いられる位置によって構造的に無駄が生じないようにすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、フリーアクセスフロアのパネル部材を固定するのに用いられるようなパネル固定具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図10は、従来のパネル固定具2(例えば、特許文献1参照)と、この従来のパネル固定具2上に載置され固定されるパネル部材4、及びこのパネル部材4の隅部をパネル固定具2に固定するためのネジ部材6を示す断面図である。
【0003】
パネル固定具2は、図示しない支持脚の調整台の上や、図示しない水平に設置された角パイプ材を用いたフレーム構造体の上等に固定されて用いられる。また、雄ネジ部6aを有するネジ部材6は、その先端部側が、パネル部材4の隅部に形成された段付き孔部8に上方から挿入され、その雄ネジ部6aが、パネル固定具2におけるキャップ部材10の上端部に形成された雌ネジ部12に、ネジ締結されるようになっている。
【0004】
また、パネル固定具2は、図11に示すように、キャップ部材10を4つ備えている。これにより、パネル固定具2の上には、図11中の2本の十字状に描かれた仮想線L1,L2が、互いに隣り合うパネル部材4相互間の境界線となるように、4枚のパネル部材4のそれぞれの隅部が一ヶ所に集まって配置され、それらの隅部がパネル固定具2のネジ部材6によりその底部の表面板32上に固定されるようになっている。
【0005】
また、パネル固定具2の4つのキャップ部材10のそれぞれは、水平方向(図11中、紙面と平行方向)に一定範囲内(同図中、表面板32の長孔32a内)で自在に移動することができるように設けられているので、パネル部材4の取り付け位置がキャップ部材10に対して水平方向に多少ずれても、キャップ部材10がそのずれを無くす方向に水平移動することにより、パネル部材4の隅部を止める図10のネジ部材6の雄ネジ部6aは、確実に、上記キャップ部材10の雌ネジ部12にネジ締結することができる。
【特許文献1】特開2007−218000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来のパネル固定具2においては、例えば、図12に示すように、部屋の隅部に配置されるパネル部材4の、最も部屋の隅部寄りの1つの隅部だけを支持するために用いる場合には、その4つのキャップ部材10のうちの3つが使用されない状態になるため、せっかく組付けられているその3つのキャップ部材10が無駄となって、パネル固定具2が配置される位置によって構造的かつコスト的に無駄が生じていたという問題があった。
【0007】
また、上記従来のパネル固定具2においては、このパネル固定具2を、部屋の壁際に配置するパネル部材4の壁側の隅部だけを支持するために、キャップ部材10のうちの2つが使用されない状態になる場合(図3中のパネル固定具20B参照)、或いは、パネル固定具2の上方において各隅部が一ヶ所に集まって配置される4枚のパネル部材4のうちのいずれかが配置されなくなるような場所においても、使用されなくなるキャップ部材10が生じることになるので、やはり、パネル固定具2が配置される位置によって構造的かつコスト的に無駄が生じていたという問題があった。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みて、パネル固定具が配置される位置によって構造的かつコスト的に無駄が生じないようにすることができるパネル固定具を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明によるパネル固定具は、
高さを有するように形成され、上端面に開口する雌ネジが形成された高さ部材と、
前記高さ部材の下端部を着脱自在に保持する保持部が複数形成された基板部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
また、上記課題を解決するために、本発明によるパネル固定具は、
高さを有するように形成され、中央部に開口部が形成された四辺形の水平板部を上端部に有し、この水平板部の2辺に一体的に連続する一対の立上り板部を有する高さ部材と、
前記水平板部に水平移動自在に係合され、前記開口部と略同軸上に連通するように形成された雌ネジを有するナット部材と、
前記高さ部材の下端部を着脱自在に保持する保持部が複数形成された基板部材とを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明によるパネル固定具は、
前記ナット部材が複数の係止部を有し、
前記係止部のそれぞれが、前記水平板部の前記立上り板部に一体的に連続している2辺以外の2辺のそれぞれに隙間を介して係合することによって、
前記ナット部材を水平移動自在にすることができることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明によるパネル固定具は、
前記ナット部材が複数の係止部を有し、
前記水平板部の前記一対の立上り板部と一体的に連続する2辺の互いに対向する方向における前記一対の立上り板部間の内側の長さを、同方向における前記ナット部材の長さより大きくすることによって、
前記ナット部材を水平移動自在にすることができることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
このような本発明のパネル固定具によれば、
高さを有するように形成され、上端面に開口する雌ネジが形成された高さ部材と、
前記高さ部材の下端部を着脱自在に保持する保持部が複数形成された基板部材とを備えたことにより、
パネル固定具が配置される位置によって構造的かつコスト的に無駄が生じないようにすることができる。
【0014】
また、本発明のパネル固定具によれば、
高さを有するように形成され、中央部に開口部が形成された四辺形の水平板部を上端部に有し、この水平板部の2辺に一体的に連続する一対の立上り板部を有する高さ部材と、
前記水平板部に水平移動自在に係合され、前記開口部と略同軸上に連通するように形成された雌ネジを有するナット部材と、
前記高さ部材の下端部を着脱自在に保持する保持部が複数形成された基板部材とを備えたことことにより、
パネル固定具が配置される位置によって構造的かつコスト的に無駄が生じないようにすることができる。
【0015】
また、本発明のパネル固定具によれば、
前記ナット部材が複数の係止部を有し、
前記係止部のそれぞれが、前記水平板部の前記立上り板部に一体的に連続している2辺以外の2辺のそれぞれに隙間を介して係合することによって、
前記ナット部材を水平移動自在にすることができることにより、
パネル部材の取り付け位置が水平方向に多少ずれても、その隅部を止めるネジ部材の雄ネジ部は、確実にナット部材の雌ネジ部にネジ締結することができる。
【0016】
また、本発明のパネル固定具によれば、
前記ナット部材が複数の係止部を有し、
前記水平板部の前記一対の立上り板部と一体的に連続する2辺の互いに対向する方向における前記一対の立上り板部間の内側の長さを、同方向における前記ナット部材の長さより大きくすることによって、
前記ナット部材を水平移動自在にすることができることにより
パネル部材の取り付け位置が水平方向に多少ずれても、その隅部を止めるネジ部材の雄ネジ部は、確実にナット部材の雌ネジ部にネジ締結することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係るパネル固定具を実施するための最良の形態について、図面に基づいて具体的に説明する。
図1から図4は、本発明の第1の実施の形態に係るパネル固定具20について説明するために参照する図である。
【0018】
本実施の形態に係るパネル固定具20は、図1及び図2に示すように、4つの高さ部材22と、1枚の基板部材24とを備えて構成されている。
【0019】
パネル固定具20の4つの高さ部材22のそれぞれは、直方体状に形成されていて、基板部材24の上面から上方に垂直に立上がる立上り部26と、この立上り部26の下端部に一体的に形成される長方形のフランジ状のフランジ板部28とを有している。高さ部材22のそれぞれは、その立上り部26が上方に高さを有するように形成され、その上端面に開口するように形成される雌ネジ30を有している。
【0020】
また、パネル固定具20の基板部材24は、図1に示すように、その平面形状が長方形となるように形成されている。また、この基板部材24には、互いに離れて縦横2列に並んで配置される4つの保持部32が形成されている。
【0021】
この4つの保持部32のそれぞれは、図1及び図2に示すように、収納部34と角孔36を有するように形成されている。この保持部32の収納部34は、基板部材24の裏面側に開口し、この基板部材24の厚さ方向に、高さ部材22のフランジ板部28の厚さよりわずかに大きな深さを有するように形成されている。
【0022】
そして、この収納部34は、図1に示すように、その平面形状が長方形となるように形成されていて、高さ部材22のフランジ板部28の長方形より大きな長方形となるように形成されている。また、保持部32の角孔36は、収納部36の平面形状の中央部において、高さ部材22の立上り部26の水平断面の長方形より大きな長方形となるように、基板部材24の厚さ方向に貫通するように形成されている。
【0023】
パネル固定具20は、その高さ部材22の立上り部26が、基板部材24の裏面側から保持部32の角孔36に挿入され、高さ部材22のフランジ板部28が、基板部材24の保持部32の収納部34内に収納されるようになっている。これにより、パネル固定具20は、その高さ部材22のそれぞれの下端部が、基板部材24の保持部32に着脱自在かつ水平方向に自在に移動することができるように保持されている。
【0024】
次に、図3及び図4に基づいて、本実施の形態に係るパネル固定具20の使用法を説明する。
【0025】
図3は、フリーアクセスフロア42を敷設した部屋40の一部の領域床部を示す平面図である。この部屋40内には、その壁面44と一体的に形成された角柱46が配置されている。フリーアクセスフロア42の床面を形成するパネル部材4は、部屋40内の角柱46の周囲において、壁面44、及び、角柱46の側面46a、46bに沿って配置されている。
【0026】
本実施の形態に係るパネル固定具20は、パネル部材4の隅部を、その下側(図3中、奥側)から支持して、それを固定するようになっている。また、パネル固定具20は、角パイプ材等により構成され部屋40内に設置されたフレーム構造体48(図4参照)の上面上に、両面テープ、接着剤又は不図示のビス等により固定されている。ここで、図3においては、図面の複雑化を防止するため、パネル固定具20はその外形線のみを破線で示してある。
【0027】
パネル固定具20は、図4に示すように、その基板部材24の上面上に、パネル部材4の側板部4aの底面を載置させることにより、パネル部材4を支持するようになっている。また、パネル固定具20は、その高さ部材22の雌ネジ30がネジ部材43の雄ネジとネジ締結することにより、パネル部材4の隅部を基板部材24の上面上に固定するようになっている。パネル固定具20のそれぞれは、予めネジ部材43とネジ締結するために必要とする個数分だけの高さ部材22を、基板部材24の保持部32に設けたものが用いられている。
【0028】
例えば、図3に示すように、壁面44と、この壁面44の水平断面において直角方向に配置される角柱46の側面46aに挟まれて形成される隅部に配置されるパネル部材4Aの四隅のうち、壁面44と角柱46の側面46aとの間の隅部に最も近い1つの隅部を支持するパネル固定具20Aは、図3及び図4に示すように、そのパネル部材4Aの当該隅部を止めるネジ部材43とネジ締結するための1つの高さ部材22だけを設ければよく、他の3つの高さ部材22は設けなくともよいようになっている。
【0029】
また、図3に示すように、角柱46の側面46aの水平方向に沿う方向(図3中、左右方向)に、パネル固定具20Aと離れて隣に配置されるパネル固定具20Bは、パネル部材4Aと、上記側面46aの水平方向に沿う方向に、このパネル部材4Aと互いに隣り合って配置されるパネル部材4Bと、パネル部材4Aのそれぞれの、角柱46の近傍の、互いに隣り合って配置される隅部を支持するようになっている。
【0030】
このため、図3及び図4に示すように、これらを止める計2本のネジ部材43とネジ締結するための2つの高さ部材22だけを設ければよく、他の2つの高さ部材22は設けなくともよいようになっている。
【0031】
また、図3に示すように、角柱46の水平断面において、その側面46aと、この側面46aと直角方向に形成された角柱46の側面46bとに挟まれて形成される、角柱46の角部46cの近傍には、3枚のパネル部材4B,4C,4Dのそれぞれの隅部が集まって配置されている。
【0032】
この角柱46の角部46cの近傍に配置されるパネル部材4B,4C,4Dの隅部のうちの、パネル部材4B,4Cの隅部の下側(図中奥側)には、このパネル部材4B,4Cのそれぞれの隅部の両方を支持するパネル固定具20Cが配置されている。このパネル固定具20Cは、図3に示す2つのネジ部材43と同じ位置に、2つの高さ部材22だけを設ければよく、他の2つの高さ部材22は設けなくともよいようになっている。
【0033】
また、角柱46の角部46cの近傍に配置される上記3つのパネル部材のうちの、残りのパネル部材4Dだけの隅部の下側(図中奥側)には、このパネル部材4Dの隅部のみを支持するパネル固定具20Dが配置されている。このパネル固定具20Dは、図3に示す1つのネジ部材43と同じ位置に、1つの高さ部材22だけを設ければよく、他の3つの高さ部材22は設けなくともよいようになっている。
【0034】
このような本実施の形態に係るパネル固定具20によれば、パネル部材4の隅部を固定するネジ部材43とネジ締結するために必要な個数分の高さ部材22だけを、基板部材24の保持部32に設けるだけでよく、不要な個数分の高さ部材22は基板部材24に設けなくともよいので、パネル固定具2が配置される位置によって構造的かつコスト的に無駄が生じないようにすることができる。
【0035】
次に、図5から図9は、本発明の第2の実施の形態に係るパネル固定具50について説明するために参照する図である。前記第1の実施の形態に係るパネル固定具20と同様の部分には同じ符号を用いて説明し、同様の構成や使用法についての重複する説明はなるべく省略するものとする。
【0036】
本実施の形態に係るパネル固定具50は、図5及び図6に示すように、前記第1の実施の形態に係るパネル固定具20における4つの高さ部材22の代わりに、4つの高さ部材52と、この4つの高さ部材52それぞれの上端部に係合する4つのナット部材54とを備えている。
【0037】
4つの高さ部材52のそれぞれは、前記第1の実施の形態に係るパネル固定具20における高さ部材22と同様に、基板部材24の4つの保持部32のそれぞれに、その底面開口部側から挿入又は抜出し自在に収納されるようになっている。高さ部材52と基板部材24とは、本実施の形態においては水平方向に相対移動ができないようになっているが、同方向に相対移動ができるようにしてもよい。
【0038】
図7から図9のそれぞれは、上記パネル固定具50が有する4つの高さ部材52の一つを示すその平面図、正面図、及び側面図である。
高さ部材52は、1枚の水平板部56、一対の立上り板部58,60、一対のフランジ板部62,64、及び1枚の底板部66を有している。この高さ部材52の一対の立上り板部58,60は、図7,8中左右方向に離れて互いに対向するように配置されている。
【0039】
この一対の立上り板部58,60のそれぞれには、図7から図9に示すように、その高さ方向の下端部寄りの位置に、互いの対向方向の外側に隆起する隆起部80が設けられ、この隆起部80は立上り板部58,60の幅方向(図9中左右方向)に互いに離れて2つずつ形成されている。
【0040】
また、図7及び図8に示すように、高さ部材52の水平板部56は、この高さ部材52の高さ上端部に配置されて、四辺形に形成され、互いに対向する2辺において直角に下方に折れ曲がって形成されている一対の立上り板部58,60の上端部に一体的に連続して形成されている。
【0041】
また、この水平板部56の中央部には、その厚さ方向に貫通する円形状の開口部68が形成されている。この開口部68はその円形状の直径が、後述するナット部材54の雌ネジ部76の最大の径(雌ネジ部76の谷の径)よりも大きくなるように形成されている。
【0042】
また、高さ部材52の一対のフランジ板部62,64のそれぞれは、一対の立上り板部58,60の下端部における互いの対向方向の両外側に折曲って、水平方向に突出するように形成されている。
【0043】
また、高さ部材52の底板部66は、図8に示すように、一対のフランジ板部62,64の間を渡すようにこれらの下側に水平に配置されている。この底板部66は、フランジ板部64の先端部に相当する部分において、180度折り返すように下側に曲げられた後水平方向に伸び、その曲げられた水平方向の先端部がフランジ板部62の下面に接触するように形成されている。
【0044】
また、ナット部材54は、図7に示すように、その平面形状が四辺形に形成されている。ナット部材54は、このような四辺形の平面形状の四隅のそれぞれに1つずつ形成された、計4つの係止部70を有している。
【0045】
このナット部材54の係止部70のそれぞれは、当初は、このナット部材54の四隅のそれぞれから図7中上下方向に突出して伸びるように形成されていた帯状板部を、その長さ方向(図7中上下方向)の途中で、図9に示すように、上側に折り返すように曲げて形成したものである。
【0046】
ナット部材54の上記4つの係止部70は、図7に示すように、これら4つのうち、図7中上下方向に互いに対向するように配置されている2つの係止部70aと70bとが一対を成しており、ナット部材54は、上記上下方向に対向するように配置されて一対を成す係止部70a,70bを、2組有していることになる。
【0047】
図8に示すように、ナット部材54の中央部は、高さ部材52の水平板部56の下側に配置され、図7に示すように、上記一対を成す係止部70a,70bの2組のそれぞれが、高さ部材52の水平板部56における外周の4辺のうちの、一対の立上り板部58,60と一体的に連続している2辺以外の2辺、すなわち、図7中左右方向に伸びる2辺のそれぞれの縁部に、図9に示すように隙間を介して係合している。このとき、水平板部56とその下側のナット部材54のテーパ部74の周囲の上面との間にも隙間を有している。
【0048】
すなわち、ナット部材54は、図9中左右方向の全体長さから、互いに対向する一対の係止部70a,70bのそれぞれの折り返し部の厚さ分を差し引いた長さ(図9中、寸法S)が、この長さ方向と同じ方向の、水平板部56の幅(図9中、寸法T)よりも大きくなるように形成されている。これによりナット部材54は、図9中左右方向に、(S−T)の長さ範囲内で水平板部56に対して自在に水平移動することができるようになっている。
【0049】
また、ナット部材54のそれぞれは、図8中左右方向の長さ(図8中、寸法U)が、高さ部材52における一対の立上り板部58,60間の内側の長さ(図8中、寸法V)よりも短い長さとなるように形成されている。
これによりナット部材54は、水平板部56に対して、図8中左右方向に、(V−U)の長さ範囲内で自在に水平移動することができるようになっている。
【0050】
したがって、ナット部材54のそれぞれは、結局、水平板部56に対して水平方向の所定範囲内で、任意の方向に移動自在となっている。このとき、水平板部56とその下側のナット部材54のテーパ部74の周囲の上面との間にも隙間を有しているので、水平板部56に対するナット部材54の水平移動を円滑にすることができる。
【0051】
また、ナット部材54の中央部には、図9に示すように、高さ部材52の底板部66側に向かって突出する筒状部72が、テーパ部74を介して形成されている。このような筒状部72は、例えば、絞り加工等により形成することができる。
【0052】
また、このナット部材54の筒状部72には、その内周部に雌ネジ部76が形成されている。このナット部材54の雌ネジ部76は、図7及び図9に示すように、水平板部56の開口部68と略同軸上に連通するように形成されている。
【0053】
このような本実施の形態に係るパネル固定具50によれば、高さ部材52が基板部材24に着脱自在となっているため、前記第1の実施の形態に係るパネル固定具20と同様に、パネル部材4の隅部を固定するネジ部材43とネジ締結するために必要な個数分の高さ部材52だけを基板部材24に設けるだけでよく、不要な個数分の高さ部材52は基板部材24に設けなくともよいので、パネル固定具50が配置される位置によって構造的かつコスト的に無駄が生じないようにすることができる。
【0054】
また、本実施の形態に係るパネル固定具50によれば、そのナット部材54が水平方向の任意の方向に移動自在になっているので、パネル部材4の取り付け位置がパネル固定具50に対して水平方向に多少ずれていても、ナット部材54がそのずれを無くす方向に水平移動することにより、パネル部材4の隅部を止めるネジ部材43の雄ネジ部は、確実に、ナット部材54の雌ネジ部76にネジ締結することができる。
【0055】
また、本実施の形態に係るパネル固定具50によれば、図6に示すように、その高さ部材52における一対の立上り板部58,60の下端側の隆起部80が、基板部材24における保持部32の角孔36の内周面と基板部材24の上面との間の角部に引っ掛かるようになっているので、高さ部材52がこの保持部32から図中下方に容易に脱落するのを防止することができる。
【0056】
なお、上記第2の実施の形態に係るパネル固定具50においては、そのナット部材54の筒状部72が、高さ部材52の水平板部56の下側に配置されるようになっていたが、その筒状部72が水平板部56の上側に配置されるように、ナット部材54を裏返しにした状態でその係止部70を水平板部56に上下逆にした状態で係合させるようにしてもよい。
【0057】
また、前記第1及び第2の実施の形態に係るパネル固定具20,50においては、図1及び図5に示すように、高さ部材22,52が、基板部材24における保持部32に、この基板部材24の裏面側から装着されるようになっていたが、他の実施例として、例えば、図1及び図5に示す基板部材24における保持部32の収納部34及び角孔36のそれぞれの平面形状の、同図中上下方向における外側寄りの辺(図中横方向に伸びてる)が、基板部材24における図中横方向に伸びてる辺と一致するように、収納部34及び角孔36の同図中上下方向に伸びてる辺が延長されて、収納部34及び角孔36の断面が基板部材24の側面に露出するように形成してもよい。
【0058】
このような他の実施例によれば、高さ部材22,52を基板部材24の側面の外側から水平方向に、基板部材24の中央側の突当り面(収納部34及び角孔36の図中横方向に伸びてる、基板部材24の中央側の辺と一致する面)に当たるまでスライドさせることにより、装着させることができる。
【0059】
また、前記第1及び第2の実施の形態においては、パネル固定具20,50の使用法として、このパネル固定具20,50をフレーム構造体48上に固定する場合について説明したが、パネル固定具20,50は、このような使用法に限定されず、例えば、部屋内の下地床面上に設置される支持脚の高さ調整台等の上に固定されるようになっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るパネル固定具20を示す平面図である。
【図2】図1に示すパネル固定具20のA−A線矢視の断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るパネル固定具20の使用法を説明するためのフリーアクセスフロア42の平面図である。
【図4】図3に示すパネル部材4及びパネル固定具20のB−B線矢視の断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るパネル固定具50を示す平面図である。
【図6】図5に示すパネル固定具50のA矢視図である。
【図7】図5に示す高さ部材52及びナット部材54の平面図である。
【図8】図7に示す高さ部材52及びナット部材54のA矢視図である。
【図9】図8に示す高さ部材52及びナット部材54のB矢視図である。
【図10】従来のパネル固定具2、パネル部材4、及びネジ部材6を示す断面図である。
【図11】図10におけるパネル固定具2だけを示す平面図である。
【図12】従来のパネル固定具2の使用法を説明するためのパネル部材4の平面図である。
【符号の説明】
【0061】
2 パネル固定具
4 パネル部材
4A〜4D パネル部材
4a 側板部
6 ネジ部材
6a 雄ネジ部
8 段付き孔部
10 キャップ部材
12 雌ネジ部
20 パネル固定具
20A〜20D パネル固定具
22 高さ部材
24 基板部材
26 垂直部
28 フランジ板部
30 雌ネジ
32 保持部
34 収納部
36 角孔
40 部屋
42 フリーアクセスフロア
43 ネジ部材
44 壁面
46 角柱
46a、46b 壁面
48 フレーム構造体
50 パネル固定具
52 高さ部材
54 ナット部材
56 水平板部
58,60 立上り板部
62,64 フランジ板部
66 底板部
68 開口部
70 係止部
72 筒状部
74 テーパ部
76 雌ネジ部
80 隆起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さを有するように形成され、上端面に開口する雌ネジが形成された高さ部材と、
前記高さ部材の下端部を着脱自在に保持する保持部が複数形成された基板部材と
を備えたことを特徴とするパネル固定具。
【請求項2】
高さを有するように形成され、中央部に開口部が形成された四辺形の水平板部を上端部に有し、この水平板部の2辺に一体的に連続する一対の立上り板部を有する高さ部材と、
前記水平板部に水平移動自在に係合され、前記開口部と略同軸上に連通するように形成された雌ネジを有するナット部材と、
前記高さ部材の下端部を着脱自在に保持する保持部が複数形成された基板部材と
を備えたことを特徴とするパネル固定具。
【請求項3】
前記ナット部材が複数の係止部を有し、
前記係止部のそれぞれが、前記水平板部の前記立上り板部に一体的に連続している2辺以外の2辺のそれぞれに隙間を介して係合することによって、
前記ナット部材を水平移動自在にすることができることを特徴とする請求項2に記載のパネル固定具。
【請求項4】
前記ナット部材が複数の係止部を有し、
前記水平板部の前記一対の立上り板部と一体的に連続する2辺の互いに対向する方向における前記一対の立上り板部間の内側の長さを、同方向における前記ナット部材の長さより大きくすることによって、
前記ナット部材を水平移動自在にすることができることを特徴とする請求項2に記載のパネル固定具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−191475(P2009−191475A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31464(P2008−31464)
【出願日】平成20年2月13日(2008.2.13)
【出願人】(000233239)日立機材株式会社 (225)
【出願人】(591201217)大滝成形工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】