説明

パワーモジュール用基板及びその製造方法並びにパワーモジュール

【課題】回路層の各回路同士が良好に絶縁されるとともに、小型化・低価格化が可能なパワーモジュール用基板及びその製造方法並びにパワーモジュールを提供することにある。
【解決手段】セラミックス基板1の表面に、その上に接合したアルミニウム層2のエッチングにより回路層2aを形成してなるパワーモジュール用基板であって、前記回路層2aは、その前記セラミックス基板1との接合界面6から200μm以内のSiの含有量が0.7wt%以上1.2wt%以下とされていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大電流、高電圧を制御する半導体装置に用いられるパワーモジュール用基板及びその製造方法並びにパワーモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体素子の中でも電力供給のためのパワーモジュールは発熱量が比較的高いため、パワーモジュール用基板としては、例えば、AlN、Al、Si、SiC等からなるセラミックス基板上にアルミニウム層をAl−Si系等のろう材料を介して接合させたものが用いられている。このアルミニウム層は、後工程のエッチングにおいて回路が形成されて、回路層となる。そして、エッチング後は、この回路層の表面にはんだ材を介して電子部品(半導体チップ等のパワー素子)が搭載されて、パワーモジュールとなされるようになっている。
【0003】
この回路層には、前記エッチングによって、導体パターン(回路)が形成されている。この導体パターンは、その各回路同士の間に溝状や穴状をなす間隙が設けられており、これらにより各回路同士を絶縁している。一般に、エッチングとしては、回路層の表面にレジスト膜で所定のパターンのマスクを施し、エッチング液に浸漬したり又はこの液を吹き付けたりしてこの回路層を溶解し所定の回路形状を形成する、所謂ウェットエッチングによる方法が知られている。
【0004】
ところで、近年、パワーモジュールには、種々の用途に合わせさらなる大電流・高電圧化が求められるとともに、装置の小型化・低価格化が求められており、いかにして、この回路層上に形成される各回路同士の間隙を狭められるかという点に着目がなされている。この回路層の各回路同士の間隔を狭めるためには、この間隙を形成する溝や穴の壁面を、この回路層の表面に対し極力垂直に形成させる必要がある。
【0005】
しかし実際には、ウェットエッチング時には、エッチング液が回路層をその積層される方向に溝状・穴状に溶解していくに連れ、漸次液の入り込み量が少なくなり液溜まりするため、溶解力が低下し、形成される溝や穴の壁面はその深部に行くに連れ傾斜が緩くなり、なだらかな勾配で形成される。
【0006】
前記壁面の深部が、傾斜が緩く勾配もなだらかに形成されると、隣り合うこれら壁面同士が互いに接触し、回路が絶縁不良となる虞がある。また、この絶縁不良を防止するための措置として各回路同士の間隔を必要以上に広く取ると、装置全体の寸法を小型化することが難しくなる。
【0007】
そこで、各回路同士の間隙を形成する前記壁面を極力垂直に形成させるための手段として、例えば特許文献1には、エッチング液を構成する混合液の成分に着目した方法が開示されている。この方法によれば、前記混合液の成分を特定することで前記壁面を垂直に近い形状に形成させることができる。そしてその壁面は、傾斜の水平方向の幅寸法が200μm以下、または、その傾斜の前記回路層の厚み寸法に対するこの水平方向の幅寸法の比が0.5以下となされている。
【特許文献1】特開2004−356502号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1の方法では、このエッチング液を構成する混合液の成分を常に特定の状態に維持させ続ける必要があり、製造時、連続して大量にエッチングを行うにあたっては、このエッチング液には回路層から溶け出す成分等、他の要素も混ざり合うため、この液を精度よく調整し維持し続けることは難しかった。また、前記壁面の傾斜についても、近年、前述の値以上にその垂直さが求められており、これらが課題とされていた。
【0009】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、回路層の各回路同士が良好に絶縁されるとともに、小型化・低価格化が可能なパワーモジュール用基板及びその製造方法並びにパワーモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提案している。すなわち本発明は、セラミックス基板の表面に、その上に接合したアルミニウム層のエッチングにより回路層を形成してなるパワーモジュール用基板であって、前記回路層は、その前記セラミックス基板との接合界面から200μm以内のSiの含有量が0.7wt%以上1.2wt%以下とされていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係るパワーモジュール用基板によれば、前記回路層は、セラミックス基板と回路層との接合界面から200μm以内のSi含有量が0.7wt%以上1.2wt%以下とされているので、エッチングによってこの回路層を形成させる際、エッチング液が回路層の溝状や穴状をなす各回路同士の間隙をその積層方向に溶解して形成していくに連れて、その深部にSiを豊富に含む層が露出されるので、このエッチング液の溶解力を低下させることなく、深部まで溶解が良好に行われる。よって、前記間隙を形成する壁面の傾斜を、極力垂直に形成させることができる。
【0012】
また、本発明に係るパワーモジュール用基板は、前記回路層の回路間の壁面の傾斜は、前記接合界面方向の幅寸法が54μm以下、または、前記回路層の厚み寸法に対する前記幅寸法の比が0.09以下とされていることとしてもよい。また、本発明に係るパワーモジュールは、前述のパワーモジュール用基板の前記回路層の表面に電子部品が搭載されていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係るパワーモジュール用基板及びパワーモジュールによれば、回路層に形成される回路間の壁面の傾斜は、接合界面方向の幅寸法が54μm以下とされ、または、回路層の厚み寸法に対する前記幅寸法の比が0.09以下とされて、極力狭い幅になるよう形成されている。そして、この壁面は前記回路層の表面に対し極力垂直に近い形状に形成されている。よって、回路層の各回路同士の間隔を極力狭めることができるとともに、これら各回路同士を良好に絶縁させることができる。
【0014】
また本発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法は、前記セラミックス基板の表面に、純度99.99%以上のアルミニウム層を積層させ、これらセラミックス基板とアルミニウム層との間に、Al−10.5%Siからなる厚み15μm以上20μm以下のろう材料を介在させ、または、Al−7.5%Siからなる厚み25μm以上30μm以下のろう材料を介在させて、これらをろう付け接合した後、前記アルミニウム層をエッチングして前記回路層を形成することとしてもよい。
【0015】
この発明に係るパワーモジュール用基板の製造方法によれば、前記セラミックス基板とアルミニウム層との間にAl−10.5%Siの15μm以上20μm以下のろう材料を介在させ、または、Al−7.5%Siの25μm以上30μm以下のろう材料を介在させてろう付け接合するので、製造されたパワーモジュール用基板は、そのセラミックス基板と回路層との接合界面から回路層側の200μm以内の層のSi含有量を0.7wt%以上1.2wt%以下にすることができる。そして、エッチングの際、エッチング液が回路層の溝状や穴状をなす各回路同士の間隙をその積層方向に溶解して形成していくに連れて、その深部にSiを豊富に含む層が露出されるので、このエッチング液の溶解力を低下させることなく、深部まで溶解が良好に行われる。よって、前記間隙を形成する壁面の傾斜を、極力垂直に形成させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るパワーモジュール用基板及びその製造方法並びにパワーモジュールによれば、回路層の各回路同士が良好に絶縁されるとともに、小型化・低価格化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1乃至図5は本発明の一実施形態のパワーモジュール用基板の製造工程を示す概略図、図6は回路層の各回路同士の間隙を形成する壁面の拡大図である。
【0018】
図1、図2に示すように、このパワーモジュール用基板を製造するには、まず、AlN、Al、Si、SiC等からなる平板状のセラミックス基板1の表面に、純度99.99%以上のアルミニウムからなる平板状のアルミニウム層2を配置し、これらの間に、Al−10.5%Siの15μm以上20μm以下、または、Al−7.5%Siの25μm以上30μm以下のろう材箔3を介在させて、これらを積層方向に圧力をかけつつろう付け接合する。接合されたアルミニウム層2は、後工程のエッチングにおいてこのパワーモジュール用基板の回路を形成するための回路層2aとされる。
【0019】
次に、図3に示すように、セラミックス基板1上の回路層2a(アルミニウム層2)の表面に、所定の導体パターン(回路)の形状を有するレジスト膜4を形成する。そして、この回路層2aにエッチング液として塩化第二鉄液(FeCl濃度44%以上、FeCl濃度0.13%以下、HCL(遊離酸)濃度0.15%以下、比重(ボーメ度)47±2°)を用いて吹き付け、エッチングにより溶解を行い回路を形成させる。図4に示すように、このエッチングで形成される溝状や穴状の各回路同士の間隙5は、レジスト膜4の表面側からセラミックス基板1の表面側へと、これらの積層方向に向けて形成されていく。
【0020】
そして、このエッチングによる溶解は、図5に示すように、セラミックス基板1と回路層2aとの接合界面6の位置まで進行していく。この溶解では、まず回路層2aの表面側から延びる壁面5aが形成され、壁面5aが積層方向の深部へ向かうに連れ、傾斜の異なる壁面5bが形成されていき、壁面5bが接合界面6に到達して、この間隙5が形成されるようになっている。そしてこの間隙5は、その両脇に配置される回路7aと回路7bとを電気的に分断し、これらを絶縁している。エッチング後は、レジスト膜4は除去されて、パワーモジュール用基板10が得られる。
【0021】
図6に示すように、壁面5a,5bは、夫々の面の傾斜が異なっている。壁面5aは、面の傾斜が比較的急であり、回路層2aの表面に対し垂直に近い傾斜で形成されている。また、壁面5bは、エッチング時にエッチング液が間隙5の深部に入り込むに連れ、若干その溶解力が低下するために、面の傾斜が壁面5aに比べ緩やかに形成されている。
【0022】
ここで、回路層2aの、接合界面6に近接する層Aには、前述のろう付け時にろう材箔3から拡散されたSiが、0.7wt%以上1.2wt%以下含有されている。本実施形態では、回路層2aの厚み寸法tが600μmで、この層Aが200μmとされている。そして、連続して形成される壁面5a,5bは、その接合界面6方向の幅寸法W1が、54μm以下とされている。また、壁面5a,5bは、その傾斜が回路層2aの厚み寸法tに対する幅寸法W1の比で0.09以下とされて形成されている。
【0023】
ところで、従来のパワーモジュール用基板では、回路層2aの接合界面6に近接する層Aには、Siが本実施形態ほど多くは含有されておらず、一般に0.7wt%未満とされていた。また、図6の2点鎖線で示すように、エッチングにより形成される壁面5bの面の傾斜も、本実施形態の壁面5b(実線)と比較し緩やかな勾配で形成されていた。そして、連続する壁面5a,5bの、接合界面6方向の幅寸法W2が、本実施形態の幅寸法W1に比べて大きく形成されていた。
【0024】
本発明の実施形態によれば、セラミックス基板1の表面に、純度99.99%以上のアルミニウムからなるアルミニウム層2を積層させ、これらセラミックス基板1とアルミニウム層2との間に、Al−10.5%Siからなる厚み15μm以上20μm以下のろう材箔3を介在させ、または、Al−7.5%Siからなる厚み25μm以上30μm以下のろう材箔3を介在させてろう付け接合している。そして、製造されたパワーモジュール用基板10の回路層2aの接合界面6から200μm以内の層AにおけるSi含有量を0.7wt%以上1.2wt%以下としている。
【0025】
そして、エッチングの際、エッチング液が回路層2aの溝状や穴状をなす各回路同士の間隙5をその積層方向に溶解し形成していくに連れて、その深部にSiを豊富に含む層Aが露出されてくるので、このエッチング液の溶解力を低下させることなく深部まで溶解が良好に行われる。詳しくは、その回路層2aに形成される各回路同士を絶縁する間隙5の壁面5a,5bの傾斜が、接合界面6方向の幅寸法W1が54μm以下とされ、または、回路層2aの厚み寸法tに対する前記接合界面6方向の幅寸法W1の比が0.09以下とされて、極力狭い幅になるよう形成されている。
【0026】
よって、この壁面5a,5bは、回路層2aの表面に対し極力垂直に近い形状に形成されている。これにより、回路層2aのこれら各回路同士の間隔5を極力狭めて形成させることができるとともに、各回路同士を良好に絶縁させることができ、装置の小型化・低価格化が可能となる。
【0027】
また、前述の層AのSi含有量が、従来のように0.7wt%未満の場合はエッチング液の溶解力を低下させてしまうため十分な効果が得られず、逆に1.2wt%を超える場合はこのパワーモジュール用基板10の熱サイクル時の接合信頼性を低下させる虞がある。よって、Si含有量の範囲は、本発明の0.7wt%以上1.2wt%以下とされるのが好ましい。そして、このSi含有量の範囲によれば、これらSi成分が接合界面6の微細組織の転位の動きを妨げ、結晶粒の微細化を防止するので、結晶粒界に沿ってクラックが発生するのを防止し、よって、セラミックス基板1と回路層2aとの熱サイクル時における接合信頼性も向上させることができる。
【0028】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば、本実施形態ではパワーモジュール用基板10の製造方法について説明したが、その後工程において、このパワーモジュール用基板10の表面に半導体チップ等の電子部品を搭載して、パワーモジュールとしてもよい。
【0029】
また、本実施形態のパワーモジュール用基板10では、セラミックス基板1の表面に回路層2aが接合されるのみの構成としたが、これに限らず、例えばこのセラミックス基板1の表面に回路層2aを接合し、裏面に放熱のための金属層を接合する構成として、セラミックス基板1の両面に層を形成してもよい。
【0030】
また、本実施形態では、ろう材箔3として、Al−10.5%Siからなる厚み15μm以上20μm以下、または、Al−7.5%Siからなる厚み25μm以上30μm以下のものを用いたが、同様のSiを含むろう材料であれば、ろう材箔3に限らず、例えばペースト状のろう材料であっても構わない。
【0031】
また、本実施形態では回路層2aの厚み寸法tを600μmとしたが、これに限らず、その厚み寸法tを増減させてもよい。そして、間隙5を形成する壁面5a,5bが、その回路層2aの厚み寸法tに対する幅寸法W1の比で0.09以下とされて形成されていればよい。
【0032】
また、本実施形態ではエッチング液として塩化第二鉄液(FeCl濃度44%以上、FeCl濃度0.13%以下、HCL(遊離酸)濃度0.15%以下、比重(ボーメ度)47±2°)を用いて、吹き付けにより溶解して回路を形成させるとしたが、同等の効果を持つエッチング液であればこれに限らず、他のエッチング液を使用してもよい。また、エッチングの方法を吹き付けによらず、浸漬によって行っても構わない。
【0033】
また、本実施形態では、説明の便宜上、間隙5の壁面をその積層方向の浅部と深部とで夫々傾斜の異なる壁面5a,5bとして説明したが、これに限らず、これら連続する壁面5a,5bの断面形状が、緩やかにカーブする円弧状であってもよい。
【実施例】
【0034】
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
まず、AlNからなるセラミックス基板1を用意し、この表面に純度99.99%のアルミニウムからなるアルミニウム層2を配置し、Al−10.5%Siの厚み20μmのろう材箔3を間に介在させて接合した。このろう付けは、これらセラミックス基板1、ろう材箔3、アルミニウム層2からなる積層体を積層方向に加圧した状態で、560℃にて90分加熱した後、645℃にて45分間加熱して行った。そしてろう付け後の回路層2aの厚み寸法tが600μmであるパワーモジュール用基板10を得た。
【0035】
そして、パワーモジュール用基板10の回路層2a(アルミニウム層2)の表面にレジスト膜4を形成し、この回路層2aに塩化第二鉄液(FeCl濃度44%以上、FeCl濃度0.13%以下、HCL(遊離酸)濃度0.15%以下、比重(ボーメ度)47±2°)を、温度55±1℃、処理時間3分〜20分の条件下で吹き付けてエッチングを行い、回路を形成させた。
【0036】
エッチング後、レジスト膜4を除去し、このパワーモジュール用基板10の回路層2aの表面の状態をレーザー顕微鏡を用いて観察し、画像処理を行って、その形成された各回路同士の間隙5の壁面5a,5bの幅寸法Wを測定した。また、回路層2aの厚み寸法tに対する幅寸法Wの比を算出した。また、回路層2aの接合界面6から200μm以内の層Aに含まれるSi含有量を分析した。これらの結果を、表1として示す。
【0037】
[実施例2]
ろう材箔3を、Al−7.5%Siの厚み26μmとした以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
[比較例]
従来例として、ろう材箔を、Al−7.5%Siの厚み17μmとした以外は、実施例1と同様にして評価を行った。
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示す通り、実施例1・実施例2においては、幅寸法W、及び幅寸法Wの厚み寸法tに対する比、ともに非常に小さい値に形成されており、その壁面5a,5bは垂直に近い状態とされ良好な結果と言える。そして、層Aに含まれるSi量は、0.7wt%以上1.2wt%以下であった。一方、比較例においては、幅寸法W、及び幅寸法Wの厚み寸法tに対する比、ともに実施例1・実施例2に比較し大きい値となり、その壁面5a,5bは間隙5の深部において傾斜の緩い裾野状に形成された。また、層Aに含まれるSi量は、0.7wt%未満であった。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造工程を示す概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造工程を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造工程を示す概略図である。
【図4】本発明の一実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造工程を示す概略図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るパワーモジュール用基板の製造工程を示す概略図である。
【図6】回路層の各回路同士の間隙を形成する壁面を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0041】
1 セラミックス基板
2 アルミニウム層
2a 回路層
3 ろう材箔
5a,5b 壁面
6 接合界面
10 パワーモジュール用基板
A 接合界面近傍の回路層側の層
t 回路層の厚み寸法
W1,W2 各回路同士の間隙に形成される壁面の接合界面方向の幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セラミックス基板の表面に、その上に接合したアルミニウム層のエッチングにより回路層を形成してなるパワーモジュール用基板であって、
前記回路層は、その前記セラミックス基板との接合界面から200μm以内のSiの含有量が0.7wt%以上1.2wt%以下とされていることを特徴とするパワーモジュール用基板。
【請求項2】
請求項1記載のパワーモジュール用基板であって、
前記回路層の回路間の壁面の傾斜は、前記接合界面方向の幅寸法が54μm以下、または、前記回路層の厚み寸法に対する前記幅寸法の比が0.09以下とされていることを特徴とするパワーモジュール用基板。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載のパワーモジュール用基板の前記回路層の表面に電子部品が搭載されていることを特徴とするパワーモジュール。
【請求項4】
請求項1または請求項2記載のパワーモジュール用基板を製造するための製造方法であって、
前記セラミックス基板の表面に、純度99.99%以上のアルミニウム層を積層させ、
これらセラミックス基板とアルミニウム層との間に、Al−10.5%Siからなる厚み15μm以上20μm以下のろう材料を介在させてこれらをろう付け接合した後、
前記アルミニウム層をエッチングして回路層を形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1または請求項2記載のパワーモジュール用基板を製造するための製造方法であって、
前記セラミックス基板の表面に、純度99.99%以上のアルミニウム層を積層させ、
これらセラミックス基板とアルミニウム層との間に、Al−7.5%Siからなる厚み25μm以上30μm以下のろう材料を介在させてこれらをろう付け接合した後、
前記アルミニウム層をエッチングして回路層を形成することを特徴とするパワーモジュール用基板の製造方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−306106(P2008−306106A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−153948(P2007−153948)
【出願日】平成19年6月11日(2007.6.11)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】