説明

パーキングブレーキ非常解除装置を備えたパーキングブレーキ装置、並びにパーキングブレーキ非常解除方法

本発明は、商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置(10)であって、制御装置(12)を備え、該制御装置(12)を介して、パーキングブレーキ(20,22)の締結及び解除を行うために、パーキングブレーキ操作装置(14,16,18)が制御可能であり、パーキングブレーキ非常解除装置(24)を備え、該パーキングブレーキ非常解除装置(24)がパーキングブレーキ操作装置(14,16,18)の故障時に、パーキングブレーキ(20,22)の解除のために働く、商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置に関する。本発明によれば、パーキングブレーキ非常解除装置(24)は、制御装置(12)から独立して制御可能であるようになっている。更に、本発明はパーキングブレーキ装置を制御する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置であって、制御装置を備えており、制御装置を介して、パーキングブレーキを締結及び解除するためにパーキングブレーキ操作装置を制御可能であり、パーキングブレーキ操作装置の故障時にパーキングブレーキの解除のために働く、パーキングブレーキ非常解除装置を備えている、パーキングブレーキ装置に関する。
【0002】
更に本発明は、商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置を制御する方法であって、パーキングブレーキの締結及び解除を行うために、パーキングブレーキ操作装置を制御する制御装置を備え、且つパーキングブレーキ操作装置の故障時にパーキングブレーキを解除するパーキングブレーキ非常解除装置を備えている、パーキングブレーキ装置を制御する方法に関する。
【0003】
昨今のブレーキシステムには、自動車のパーキングブレーキもしくは駐車ブレーキの操作のために働くパーキングブレーキ装置が使用される。従ってパーキングブレーキのばね負荷ブレーキシリンダにおける圧力の制御のために、いわゆるECPBモジュール(ECPB=Electronic Controlled Parking Brake)が使用される。ECPBモジュールは通常、制御装置を有している。制御装置を介してパーキングブレーキ操作装置と、パーキングブレーキ非常解除装置とが制御可能である。パーキングブレーキを締結するか又は解除するために、制御装置はパーキングブレーキ操作装置を制御する。パーキングブレーキ操作装置は制御に応じて、例えばばね負荷ブレーキシリンダのエア抜きをパーキングブレーキの締結のために行い、逆にパーキングブレーキの解除のためにばね負荷ブレーキシリンダの給気負荷を行う。この種のパーキングブレーキ操作装置の場合、パーキングブレーキ装置内、例えばパーキングブレーキのばね負荷ブレーキシリンダへの管路内でのリークに基づき、ばね負荷ブレーキシリンダの給気負荷、ひいてはパーキングブレーキの解除をもはや行うことはできない、という事態が発生することがある。従って、パーキングブレーキ操作装置はもはや作動可能ではなく、故障している。この理由からECPBモジュールはパーキングブレーキ非常解除装置を有している。パーキングブレーキ非常解除装置は、リークの発生時に制御装置によって制御され、その結果、パーキングブレーキ非常解除機能を発揮し、これによりパーキングブレーキを解除するためにばね負荷ブレーキシリンダの給気負荷が行われる。しかし更に場合によっては、制御装置が故障するという事態が更に発生することがある。これによりパーキングブレーキ操作装置もパーキングブレーキ非常解除装置も、非常解除機能を発揮するために制御可能ではなく、従ってパーキングブレーキは、全体的にもはや解除することはできない。
【0004】
従って本発明の課題は、上位概念部記載のパーキングブレーキ装置と、パーキングブレーキ装置を制御するための上位概念部記載の方法とを改良して、パーキングブレーキの解除のための非常解除機能を、制御装置が故障した場合であっても提供することができるパーキングブレーキ装置及びパーキングブレーキ装置を制御する方法を提供することである。
【0005】
上記課題は独立請求項記載の特徴により解決される。
【0006】
本発明に係るパーキングブレーキ装置は、商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置であって、制御装置を備えており、該制御装置を介して、パーキングブレーキの締結及び解除を行うために、パーキングブレーキ操作装置が制御可能であり、パーキングブレーキ非常解除装置を備えており、該パーキングブレーキ非常解除装置がパーキングブレーキ操作装置の故障時にパーキングブレーキの解除のために働く、商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置において、パーキングブレーキ非常解除装置が、制御装置から独立して制御可能である。
【0007】
本発明に係るパーキングブレーキ装置を制御する方法は、商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置を制御する方法であって、パーキングブレーキの締結及び解除を行うために、パーキングブレーキ操作装置を制御する制御装置を備え、且つパーキングブレーキ操作装置の故障時にパーキングブレーキを解除するパーキングブレーキ非常解除装置を備えている、パーキングブレーキ装置を制御する方法において、パーキングブレーキ非常解除装置を制御装置から独立して制御する。
【0008】
本発明の有利な形態及び改良形が、従属請求項から明らかになる。
【0009】
本発明に係るパーキングブレーキ装置は、好ましくは、パーキングブレーキ非常解除装置が、パーキングブレーキ非常解除制御装置によって制御可能であり、特に電気的に制御可能である。
【0010】
好ましくは、パーキングブレーキ非常解除装置が空気圧式に又は機械式に制御可能である。
【0011】
好ましくは、パーキングブレーキ非常解除装置が双安定的な磁石弁を有しており、磁石弁の状態が、パーキングブレーキ非常解除制御装置から磁石弁に供給される電流の極性反転により変更可能である。
【0012】
本発明に係るパーキングブレーキ装置を制御する方法は、好ましくは、パーキングブレーキ非常解除装置を、パーキングブレーキ非常解除制御装置によって制御する、特に電気的に制御する。
【0013】
好ましくは、パーキングブレーキ非常解除装置を空気圧式に又は機械式に制御する。
【0014】
好ましくは、パーキングブレーキ非常解除装置が双安定性の磁石弁を有しており、磁石弁の状態を、パーキングブレーキ非常解除制御装置から磁石弁に供給される電流の極性反転により変更する。
【0015】
本発明に係るパーキングブレーキ装置は上位概念部記載の先行技術を基にして、パーキングブレーキ非常解除装置が制御装置に依存せずに制御可能であることにより構成されている。従って制御装置が故障した場合、非常解除機能自体をパーキングブレーキ非常解除装置により発揮することができる。これにより非常解除機能を、パーキングブレーキ操作装置の故障時にも、制御装置の故障時にも実施することができることが保証される。
【0016】
本発明に係るパーキングブレーキ装置は、有利には、パーキングブレーキ非常解除装置が、パーキングブレーキ非常解除制御装置によって制御可能、特に電気的に制御可能であるように改良することができる。非常解除機能は、自由選択的に、パーキングブレーキ非常解除制御装置に連結された電気的な非常解除スイッチにより、運転者によって作動させることができる。例えば非常解除スイッチをパーキングブレーキスイッチ内に収納することができる。パーキングブレーキ非常解除制御装置は、例えばECU、メモリ等を備えた、有利には同様にECPBモジュール内に統合されている、別体の独立した制御装置である。パーキングブレーキ非常解除制御装置は、例えば制御装置に連結することができる。これによって制御装置の状態を推論することができ、これにより制御装置の考慮可能な故障を算出することができる。
【0017】
択一的には、本発明に係るパーキングブレーキ装置を、パーキングブレーキ非常解除装置が空気圧式又は機械式に制御可能であるように構成することができる。従ってパーキングブレーキ非常解除装置は、例えば作動部材により機械的に操作することができ、その結果、パーキングブレーキが解除される。また同様にパーキングブレーキ非常解除装置を空気圧式に制御するために設計することもできる。
【0018】
有利には、本発明に係るパーキングブレーキ装置は、パーキングブレーキ非常解除装置が双安定的な磁石弁を有しているように構成される。磁石弁の状態は、パーキングブレーキ非常解除制御装置によって磁石弁に供給される電流の極性反転により可変である。特に双安定的な磁石弁の使用は、特にパーキングブレーキ非常解除制御装置による電気的な制御との関連で適している。なぜならば制御を大きな手間を掛けずに行うことができるからである。従って制御はパーキングブレーキ非常解除制御装置の電気的な経路に直接施すことができる。
【0019】
本発明に係る、パーキングブレーキ非常解除制御装置を制御する方法は、上位概念部記載の先行技術に基づいて、パーキングブレーキ非常解除装置を制御装置に依存せずに制御する、ということにより構成される。これにより本発明に係るパーキングブレーキ装置に関連して説明した特性及び利点が、同じ又は同様にもたらされるので、繰返しを避けるために、本発明に係るパーキングブレーキ装置に関する対応する実施の形態が参照される。
【0020】
同じことが、有利には、本発明に係る方法の以下の有利な実施の形態に当てはまる。これに関しても繰返しを回避するために、本発明に係るパーキングブレーキ装置に関する対応する実施の形態が参照される。
【0021】
本発明に係る方法は、有利には、パーキングブレーキ非常解除装置が、パーキングブレーキ非常解除制御装置によって制御、特に電気的に制御されるように構成することができる。
【0022】
択一的には、本発明に係る方法は、パーキングブレーキ非常解除装置を空気圧式又は機械的に制御されるように変更することができる。
【0023】
有利には、本発明に係る方法は、パーキングブレーキ非常解除装置を、双安定的な磁石弁を有しているように構成する。磁石弁の状態を、パーキングブレーキ非常解除制御装置によって磁石弁に供給される電流の極性反転により変更する。
【0024】
以下に、本発明の有利な実施の形態を図面に基づき例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】単に部分的に示したブレーキシステムにおける、本発明に係るパーキングブレーキ装置の簡略図である。
【図2】本発明に係るパーキングブレーキ装置を詳細に示した図である。
【0026】
図1には、自動車の単に部分的に示されたブレーキシステムにおける、本発明に係るパーキングブレーキ装置10が簡略的に記載されている。更に本発明に係るパーキングブレーキ装置10が図2において詳細に記載されている。パーキングブレーキ装置10はとりわけパーキングブレーキ操作装置14,16,18を制御するための制御装置12を有している。パーキングブレーキ操作装置14,16,18は、自動車の左右のパーキングブレーキ操作装置14,16,18の解除及び締結のために働く。このことについては以下でより詳細に述べる。更にパーキングブレーキ装置10は、パーキングブレーキ非常解除装置24の制御のためにパーキングブレーキ非常解除制御装置26を有している。パーキングブレーキ非常解除装置24は、制御装置12及び/又はパーキングブレーキ操作装置14,16,18の故障時に、左右のパーキングルレーキ20,22の解除のために働く。両制御装置12,26は互いにほぼ独立していて、特に一方の制御装置の故障時の他方の制御装置の機能性についてである。両制御装置12,26はそれぞれ当業者にとって公知の構成要素、例えばECU又はプロセッサを備えた制御器、メモリ等を有している。更にパーキングブレーキ非常解除制御装置26は、制御装置12に連結されている。その結果、制御装置12の状態に関する推論を行うことができ、ひいては制御装置12の考えられ得る故障を算出することができる。更にパーキングブレーキ非常解除制御装置26は、電気的な線路68を介して非常解除スイッチ70に連結することができる。非常解除スイッチ70は、例えば自動車の運転者による、左右のパーキングブレーキ20,22の手動による解除のために働く。同様に制御装置12,26は、相互の監視機能及びバックアップ機能を担うことができる。パーキングブレーキ非常解除制御装置を車両の他の制御ユニット内、例えば電子的なブレーキシステム(EBS)の制御ユニット内に統合することも可能である。
【0027】
パーキングブレーキ操作装置14,16,18は、双安定性の3ポート2位置制御弁14と、2ポート2位置制御弁16と、リレー弁18とにより形成される。この場合、制御のために制御装置12は、3ポート2位置制御弁14と、2ポート2位置制御弁16とに電気的な線路を介して連結されている。双安定性の3ポート2位置制御弁14は、第1の接続部aによって逆止弁44を介して、ブレーキシステムの第1の圧力媒体供給管路30に連結されている。第1の圧力媒体供給管路30を、例えば圧縮空気調達のために、図示されていない圧縮空気調製装置(EACモジュール)に連結することができる。図示の実施の形態の場合、圧力媒体流において双安定性の3ポート2位置制御弁14の方向で逆止弁44は開放し、圧力媒体の反対の流れ方向の場合には閉鎖する。更に双安定性の3ポート2位置制御弁14は第2の接続部bで、2ポート2位置制御弁16の第1の接続部aに連結されている。図2に記載されている、双安定性の3ポート2位置制御弁14の切換え位置Iにおいて、双安定性の3ポート2位置制御弁14の第1及び第2の接続部a,bとは互いに接続されている。双安定性の3ポート2位置制御弁14の第2の切換え位置IIでは、第1の接続部aは閉鎖されている。この場合、双安定性の3ポート2位置制御弁14の第2の接続部bは、出口(第3の接続部c)を介して大気に接続されている。2ポート2位置制御弁16は、図示の切換え位置Iでは、2ポート2位置制御弁16の接続部aを第2の接続部bに接続している。これに対して2ポート2位置制御弁16の第1,2の接続部a,bは、2ポート2位置制御弁16の切換え位置IIにおいて閉鎖されている。2ポート2位置制御弁16の第2の接続部は、リレー弁18の制御入口48に連結されている。電気的な線路の規定の極性がある場合、双安定性の3ポート2位置制御弁14は制御装置12により(図示のように)切換え位置Iを占めるように制御可能である。これに対して双安定性の3ポート2位置制御弁14は、電気的な線路の極性反転が制御装置12により行われる場合、切換え位置IIを占めるように制御可能である。2ポート2位置制御弁16は、通電していない状態において切換え位置Iを占め、その逆に通電状態においては切換え位置IIを占める。逆止弁44と双安定性の3ポート2位置制御弁14との間の分岐個所において、ブレーキ管路50が圧力媒体供給管路30に連結されている。ブレーキ管路50はリレー弁18の接続部aに連結されている。ブレーキ管路50はリレー弁18の接続部bから引き続き延在している。更にリレー弁18には、大気に接続しているリレー弁出口56が設けられている。制御入口48における圧力媒体の圧力に基づき、リレー弁18は、リレー弁18の接続部aと接続部bの間の接続を形成するか、又は接続部bとリレー弁出口56との間の接続を形成する。このことに関しては、以下でより詳細に述べる。リレー弁18の接続部bの後で、ブレーキ管路50は最終的に分岐個所においてブレーキ管路34,38に分岐する。ブレーキ管路34,38は各々、シャトル弁52,54を介して左右のパーキングブレーキ20,22の左右のばね負荷ブレーキシリンダ28に連結されている。更に。圧力センサ46がリレー弁18とブレーキ管路34,38への分岐個所との間において、圧力検出のために設けられている。択一的には圧力センサ46は、1つ又は2つのブレーキ管路において対応するシャトル弁52,54と、各パーキングブレーキ20,22のばね負荷ブレーキシリンダ28との間に設けられていてもよい。
【0028】
双安定性の3ポート2位置制御弁24により形成されるパーキングブレーキ非常解除装置24は、他のもしくは第2の圧力媒体供給管路32内に設けられていて、既述のようにパーキングブレーキ非常解除制御装置26により電気的な線路を介して制御される。第2の圧力媒体供給管路32は、この場合、第1の圧力媒体供給管路30と同様に、圧縮空気調製装置に連結されていてよい。特に、第2の圧力媒体供給管路32は双安定性の3ポート2位置制御弁24の第1の接続部aに連結されている。双安定性の3ポート2位置制御弁24の第1の接続部aは、図示の切換え位置Iにおいて、双安定性の3ポート2位置制御弁24の第2の接続部bに連結されている。これに対して、第1の接続部aは切換え位置IIにおいて閉鎖されていて、その一方で双安定性の3ポート2位置制御弁24の第2の接続部bは、出口(第3の接続部c)を介して大気に接続されている。規定の極性がある場合、双安定性の3ポート2位置制御弁24は切換え位置Iを占める。双安定性の3ポート2位置制御弁24に反対の極性が加えられる場合、双安定性の3ポート2位置制御弁24は切換え位置IIを占める。双安定性の3ポート2位置制御弁24の第2の接続部bは、分岐個所を介してブレーキ管路36,40に連結されている。ブレーキ管路36,40は、ブレーキ管路34,38と同様に、それぞれシャトル弁52,54を介して左右のパーキングブレーキ20,22のばね負荷ブレーキシリンダ28に連結されている。
【0029】
更にリレー弁18の上流側でトレーラブレーキテスト管路(Anhaengertestleitung)60が、分岐個所においてブレーキ管路50に連結されている。トレーラブレーキテスト管路60は、3ポート2位置制御弁64の第3の接続部cに連結されている。更にリレー弁18の下流側でトレーラブレーキテスト管路62は、分岐個所においてブレーキ管路50に連結されている。この場合、トレーラブレーキテスト管路62は、3ポート2位置制御弁64の第1の接続部aに連結されている。3ポート2位置制御弁64の切換え位置Iにおいて、第1の接続部aは第2の接続部bに接続されている。第2の接続部bはトレーラブレーキテスト管路42を介して、図1に示されている、トレーラブレーキ66の制御弁ユニットに連結されている。これに対して第3の接続部cは、3ポート2位置制御弁64の切換え位置Iでは閉鎖されている。切換え位置IIでは第1の接続部aは閉鎖されていて、これに対して3ポート2位置制御弁64の第3,2の接続部c,bは互いに接続されている。前記位置制御弁14,16のように、3ポート2位置制御弁64は制御装置12に電気的な線路を介して連結されている。トレーラブレーキテスト管路42及び3ポート2位置制御弁64は、特に、パーキングブレーキ20,22のエア抜き運転中にトレーラブレーキ66の制動作用を、制御装置12による3ポート2位置制御弁64の適切な制御を介して解除させるために働く。これにより、パーキングブレーキ20,22がトレーラブレーキ66の制動作用なしでも、連結されているトレーラを備えた自動車のための制動作用を十分に提供することができるかどうか、検証することができる。
【0030】
以下ではまずパーキングブレーキ20,22の解除作動及び締結作動について記載する。次いでパーキングブレーキ20,22の非常解除作動について述べる。
【0031】
解除作動及び締結作動時に3ポート2位置制御弁24は、その切換え位置IIを占めるようにパーキングブレーキ非常解除制御装置26により制御される。これにより圧力媒体供給は第2の圧力媒体供給管路32により遮断される。従って非常ブレーキ管路36,40は、3ポート2位置制御弁24の接続部cを介して大気に接続されている。この場合、ブレーキ管路34,38のエア抜きが各シャトル弁52,54により遮断される。
【0032】
パーキングブレーキ20,22の解除作動時には、パーキングブレーキ20,22の制動作用を解除するために、各パーキングブレーキ20,22のばね負荷ブレーキシリンダ28を給気負荷する必要がある。第1の圧力媒体供給管路30によって提供された圧縮空気が、パーキングブレーキ20,22のばね負荷ブレーキシリンダ28に到達できるように、双安定性の3ポート2位置制御弁14と、2ポート2位置制御弁16とは、制御装置12による制御によって双安定性の3ポート2位置制御弁14と2ポート2位置制御弁16との切換え位置Iに切り換えられる。しかし2ポート2位置制御弁16は、リレー弁18の制御入口48への圧力媒体流の調節のために、切換え位置I,IIの間で交番的に切り換えることができる。これによりリレー弁18はその接続部a,bは、制御入口48への圧力媒体流の調節に応じて、上昇する圧力媒体流流量に互いに関連させられる。これにより、安定したもしくは連続的、又は段階的な、パーキングブレーキ20,22の制動作用の減衰がもたらされる。従って、ブレーキ管路50の圧力媒体はリレー弁18を通ってブレーキ管路34,38へと流れることができる。ブレーキ管路34,38を介して圧力媒体はシャトル弁52,54に各々到達し、次いで対応する左右のパーキングブレーキ20,22のばね負荷ブレーキシリンダ28に達する。これによりパーキングブレーキ20,22の制動作用は、連続的に解除される。
【0033】
パーキングブレーキ20,22の締結作動において、制御装置12は位置制御弁14,16を、双安定性の3ポート2位置制御弁14がその切換え位置IIを占め、2ポート2位置制御弁16がその切換え位置Iを占めるように制御する。従って制御入口48にある圧縮空気は、2ポート2位置制御弁16を通って戻り、次いで3ポート2位置制御弁14の出口(接続部c)を介して大気へと流れる。これによりリレー弁18は、リレー弁18の接続部a,bの間の接続を分離するものの、接続部bを大気に接続しているリレー弁出口56に接続する。これによりブレーキ管路50の下流側の部分、ひいてはブレーキ管路34,38は、リレー弁出口56を介して大気に接続されていて、エア抜きされる。これに応じてパーキングブレーキ20,22のばね負荷ブレーキシリンダ28はエア抜きされる。これによりパーキングブレーキの制動作用が形成される。
【0034】
パーキングブレーキ非常解除装置24の非常解除作動は、パーキングブレーキ20,22をパーキングブレーキ操作装置14,16,18によりもはや解除することができない場合に必要である。例えばリークがブレーキ管路50,34又は38に発生すると、この事例が発生する。通常このことが事実であれば、リークによりブレーキ管路50における圧力は、パーキングブレーキ20,22の解除作動中には適度に形成されない。制御装置12は圧力センサ46により、例えば圧力センサ46によって送信される圧力勾配に基づきリークを推論することができる。この場合、制御装置12はパーキングブレーキ非常解除制御装置26に連絡している。パーキングブレーキ非常解除制御装置26は、この場合、必要な手段、つまり非常解除作動を以下で説明するように講じる。制御装置12の全損を考慮して、圧力センサ46によって送信された制御装置12の信号と、パーキングブレーキ非常解除制御装置26とを接続するか、又はパーキングブレーキ非常解除制御装置26に圧力センサの信号を直接供給することは有利である。制御装置12の故障時には、パーキングブレーキ操作装置14,16,18をもはや操作することはできず、その結果、パーキングブレーキ20,22のエア抜きは一般的にはもはや可能ではない。制御装置12の故障は、パーキングブレーキ非常解除制御装置26との連結により測定できる。2つの事例、つまりリークがある場合にも、制御装置12の故障の場合にも、パーキングブレーキ非常解除制御装置26は3ポート2位置制御弁24を、3ポート2位置制御弁24がその切換え位置Iを占め、パーキングブレーキ20,22が非常解除ブレーキ管路36,40を介して第2の圧縮媒体供給管路32に連結されているように制御する。これにより各ばね負荷ブレーキシリンダ28の給気負荷がもたらされる。これによりパーキングブレーキ20,22は制御装置12及び/又はパーキングブレーキ操作装置14,16,18の機能性から独立して給気負荷することができる。択一的には、各ばね負荷ブレーキシリンダ28の給気負荷は、手動で非常解除スイッチ70により行うこともできる。非常解除スイッチ70は自動車の運転者により、リークがある場合にも、制御装置12の故障時にも操作される。
【0035】
前記説明、図面及び請求項において開示された本発明の特徴は、本発明の実施にとって個別にも任意に組み合わせても実質的であり得る。
【符号の説明】
【0036】
10 パーキングブレーキ装置、 12 制御装置、 14 3ポート2位置制御弁、 16 2ポート2位置制御弁、 18 リレー弁、 20 左側のパーキングブレーキ、 22 右側のパーキングブレーキ、 24 3ポート2位置弁、 26 パーキングブレーキ非常解除制御装置、 28 ばね負荷ブレーキシリンダ、 30 第1の圧力媒体供給管路、 32 第2の圧力媒体供給管路、 34 左側のパーキングブレーキのためのブレーキ管路、 36 左側のパーキングブレーキのための非常解除ブレーキ管路、 38 右側のパーキングブレーキのためのブレーキ管路、 40 右側のパーキングブレーキのための非常解除ブレーキ管路、 42 トレーラブレーキ管路、 44 逆止弁、 46 圧力センサ、 48 制御入口、 50 ブレーキ管路、 52,54 シャトル弁、 56 リレー弁入口、 60,62 トレーラブレーキ管路、 64 3ポート2位置制御弁、 66 トレーラブレーキ、 68 電気的な線路、 70 非常解除スイッチ、 a,b,c 位置制御弁及びリレー弁の接続部、 I,II 位置制御弁の切換え位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置(10)であって、制御装置(12)を備えており、該制御装置(12)を介して、パーキングブレーキ(20,22)の締結及び解除を行うために、パーキングブレーキ操作装置(14,16,18)が制御可能であり、パーキングブレーキ非常解除装置(24)を備えており、該パーキングブレーキ非常解除装置(24)がパーキングブレーキ操作装置(14,16,18)の故障時にパーキングブレーキ(20,22)の解除のために働く、商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置において、
パーキングブレーキ非常解除装置(24)が、制御装置(12)から独立して制御可能であることを特徴とする、パーキングブレーキ装置。
【請求項2】
パーキングブレーキ非常解除装置(24)が、パーキングブレーキ非常解除制御装置(26)によって制御可能であり、特に電気的に制御可能である、請求項1記載のパーキングブレーキ装置。
【請求項3】
パーキングブレーキ非常解除装置(24)が空気圧式に又は機械式に制御可能である、請求項1記載のパーキングブレーキ装置。
【請求項4】
パーキングブレーキ非常解除装置(24)が双安定的な磁石弁(24)を有しており、該磁石弁(24)の状態が、パーキングブレーキ非常解除制御装置(26)から磁石弁(24)に供給される電流の極性反転により変更可能である、請求項2記載のパーキングブレーキ装置。
【請求項5】
商用車の空気圧式のブレーキシステムのためのパーキングブレーキ装置(10)を制御する方法であって、パーキングブレーキ(20,22)の締結及び解除を行うために、パーキングブレーキ操作装置(14,16,18)を制御する制御装置(12)を備え、且つパーキングブレーキ操作装置(14,16,18)の故障時にパーキングブレーキ(20,22)を解除するパーキングブレーキ非常解除装置(24)を備えている、パーキングブレーキ装置を制御する方法において、
パーキングブレーキ非常解除装置(24)を制御装置(12)から独立して制御することを特徴とする、パーキングブレーキ装置を制御する方法。
【請求項6】
パーキングブレーキ非常解除装置(24)を、パーキングブレーキ非常解除制御装置(26)によって制御する、特に電気的に制御する、請求項5記載の方法。
【請求項7】
パーキングブレーキ非常解除装置(24)を空気圧式に又は機械式に制御する、請求項5記載の方法。
【請求項8】
パーキングブレーキ非常解除装置(24)が双安定性の磁石弁(24)を有しており、該磁石弁(24)の状態を、パーキングブレーキ非常解除制御装置(26)から磁石弁(24)に供給される電流の極性反転により変更する、請求項6記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2010−510127(P2010−510127A)
【公表日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−537558(P2009−537558)
【出願日】平成19年11月26日(2007.11.26)
【国際出願番号】PCT/EP2007/010249
【国際公開番号】WO2008/061799
【国際公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願人】(597007363)クノル−ブレムゼ ジステーメ フューア ヌッツファールツォイゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (110)
【氏名又は名称原語表記】Knorr−Bremse Systeme fuer Nutzfahrzeuge GmbH
【住所又は居所原語表記】Moosacher Strasse 80, D−80809 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】