説明

パーティクル発生要因判定システム、課金方法、及び記憶媒体

【課題】ユーザのパーティクル発生要因判定システムの利用に関するインセンティブを与えることができる課金方法を提供する。
【解決手段】ユーザがパーティクルマップを入力するユーザインターフェイス装置11と、サーバ装置13とを備えるパーティクル発生要因判定システム10において、サーバ装置13が、パーティクルマップに基づいて、複数のパーティクル発生要因の各々についての確度を算出し、ユーザインターフェイス装置11が、算出された各確度や、該確度に対応する各パーティクル発生要因に関する発生要因関連情報27の標題等を表示し、サーバ装置13が、発生要因関連情報27をユーザインターフェイス装置11に提供するとともに、少なくとも提供される発生要因関連情報27に対応するパーティクル発生要因の確度に基づいて決定された課金額を発生要因関連情報27の提供に対して課金する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーティクル発生要因判定システム、課金方法、及び記憶媒体に関し、特に、パーティクル発生要因判定システムにおいて、パーティクルの発生要因に関する情報の提供に課金する課金方法に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」という。)から半導体デバイスを製造する基板処理システムでは、ウエハにプラズマ処理を施す際やウエハを搬送する際にパーティクルが付着することがあり、付着したパーティクルは半導体デバイスの欠陥を招く。
【0003】
パーティクルは、ウエハと基板処理システムの構成部品との機械的な接触や、処理ガスと他の物質との化学的な反応等の様々な要因で発生するが、基板処理システムでは、多数のウエハにプラズマ処理を施して大量の半導体デバイスを量産するため、パーティクルの発生要因が解消されないと半導体デバイスの歩留まりが極度に低下する。したがって、基板処理システムにおいて、パーティクルの発生要因を判別し、該発生要因を根絶することが非常に重要である。
【0004】
そこで、本発明者は、パーティクルの発生要因に関する詳細な知識を殆ど有していない、基板処理システムのユーザであってもパーティクルの発生要因を正確に判別することができるパーティクル発生要因判定システムを開発した(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
このパーティクル発生要因判定システムは、パーティクルが付着したウエハの画像データを画像解析することにより、各パーティクル発生要因が本当の発生要因である可能性を数値(確度)としてユーザに提供し、ユーザによるパーティクル発生要因の判定に貢献する。
【0006】
そして、上述したパーティクル発生要因判定システムのような情報提供システムでは、情報の提供に対して課金し、ユーザから当該情報提供システムの利用料金を徴収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特願2008−056431号の明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、通常、情報提供システムでは、ユーザに提供された情報の数(種類)やユーザによる当該情報提供システムの利用回数に応じて当該情報提供システムの利用料金が算出されるのが一般的であり、提供された情報の質や、問題の解決に対する寄与度に応じて利用料金が算出されることがない。すなわち、ユーザは役に立たない情報の提供に対しても利用料金を支払う必要があるため、ユーザにとって情報提供システムの利用に関する費用対効果が分かりにくく、その結果、情報提供システムの利用に関するユーザにインセンティブを与えられず、情報提供システムの利用価値を下げている。
【0009】
本発明の目的は、ユーザのパーティクル発生要因判定システムの利用に関するインセンティブを与えることができるパーティクル発生要因判定システム、課金方法、及び記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1記載の課金方法は、表示部を有し、ユーザが基板に付着したパーティクルに関する第1の情報を入力するユーザインターフェイス装置と、複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を検討するサーバ装置とを少なくとも備えるパーティクル発生要因判定システムにおける課金方法であって、前記サーバ装置が、前記入力された第1の情報を受け取り、該受け取った第1の情報に基づいて、前記複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を点数として算出する点数算出ステップと、前記ユーザインターフェイス装置が、前記算出された各点数とともに該点数に対応する前記各パーティクル発生要因に関する第2の情報の一部を前記表示部に表示する情報表示ステップと、前記サーバ装置が、前記表示された第2の情報の一部の選択に応じて前記第2の情報を前記ユーザインターフェイス装置に提供するとともに、前記第2の情報の提供に課金する課金ステップとを有し、前記課金ステップでは、少なくとも前記提供される第2の情報に対応する前記パーティクル発生要因の点数に基づいて課金額が決定され、前記提供される第2の情報は、前記第2の情報の全体又は前記第2の情報におけるより詳細な情報であることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の課金方法は、請求項1記載の課金方法において、前記課金ステップでは、さらに、前記第2の情報の収益への寄与実績、前記第2の情報を以前に利用した他のユーザによる評価値、今までの前記第2の情報の提供回数、前記第2の情報が最後に提供されてからの経過時間の少なくとも1つに基づいて、前記課金額が決定されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の課金方法は、請求項1又は2記載の課金方法において、前記課金ステップでは、前記第2の情報の提供形態に応じて前記課金額が決定されることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の課金方法は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の課金方法において、前記課金ステップでは、前記第2の情報のカテゴリに応じて前記課金額が決定されることを特徴とする。
【0014】
請求項5記載の課金方法は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の課金方法において、前記第1の情報はパーティクルに関する画像データからなり、前記点数算出ステップでは、前記サーバ装置が、前記画像データの画像解析結果に基づいて前記点数を算出することを特徴とする。
【0015】
請求項6記載の課金方法は、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の課金方法において、前記サーバ装置が、前記複数のパーティクル発生要因の各々に関連する第1のキーワードを取得し、該取得された第1のキーワードに基づいて前記第2の情報を選択して取得することを特徴とする。
【0016】
請求項7記載の課金方法は、請求項6記載の課金方法において、前記第1の情報はパーティクルに関するドキュメントデータからなり、前記ユーザインターフェイス装置が前記ドキュメントデータからテキストマイニングによって第2のキーワードを抽出し、前記サーバ装置が、前記抽出された第2のキーワードに基づいて前記第2の情報を選択して取得することを特徴とする。
【0017】
請求項8記載の課金方法は、請求項6又は7記載の課金方法において、前記パーティクル発生要因判定システムはさらにデータベース装置を備え、前記第2の情報はドキュメントデータからなり、前記データベース装置に格納され、前記データベース装置は、前記第2の情報の選択に先立ち、前記各第2の情報からテキストマイニングによって第3のキーワードを抽出することを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するために、請求項9記載のパーティクル発生要因判定システムは、表示部を有し、ユーザが基板に付着したパーティクルに関する第1の情報を入力するユーザインターフェイス装置と、複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を検討するサーバ装置とを少なくとも備えるパーティクル発生要因判定システムにおいて、前記サーバ装置が、前記入力された第1の情報を受け取り、該受け取った第1の情報に基づいて、前記複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を点数として算出し、前記ユーザインターフェイス装置が、前記算出された各点数とともに該点数に対応する前記各パーティクル発生要因に関する第2の情報の一部を前記表示部に表示し、前記サーバ装置が、前記表示された第2の情報の一部の選択に応じて前記第2の情報を前記ユーザインターフェイス装置に提供するとともに、前記第2の情報の提供に課金し、前記第2の情報の提供に対する課金額は、少なくとも前記提供される第2の情報に対応する前記パーティクル発生要因の点数に基づいて決定され、前記提供される第2の情報は、前記第2の情報の全体又は前記第2の情報におけるより詳細な情報であることを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するために、請求項10記載の記憶媒体は、表示部を有し、ユーザが基板に付着したパーティクルに関する第1の情報を入力するユーザインターフェイス装置と、複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を検討するサーバ装置とを少なくとも備えるパーティクル発生要因判定システムにおける課金方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、前記課金方法は、前記サーバ装置が、前記入力された第1の情報を受け取り、該受け取った第1の情報に基づいて、前記複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を点数として算出する点数算出ステップと、前記ユーザインターフェイス装置が、前記算出された各点数とともに該点数に対応する前記各パーティクル発生要因に関する第2の情報の一部を前記表示部に表示する情報表示ステップと、前記サーバ装置が、前記表示された第2の情報の一部の選択に応じて前記第2の情報を前記ユーザインターフェイス装置に提供するとともに、前記第2の情報の提供に課金する課金ステップとを有し、前記課金ステップでは、少なくとも前記提供される第2の情報に対応する前記パーティクル発生要因の点数に基づいて課金額が決定され、前記提供される第2の情報は、前記第2の情報の全体又は前記第2の情報におけるより詳細な情報であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の課金方法、請求項9記載のパーティクル発生要因判定システム、及び請求項10記載の記憶媒体によれば、基板に付着したパーティクルに関する第1の情報に基づいて複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性が点数として算出され、各パーティクル発生要因に関する第2の情報の提供に対する課金額は、少なくとも提供される第2の情報に対応するパーティクル発生要因の点数に基づいて決定されるので、課金額の高い第2の情報に対応するパーティクル発生要因が本当の発生要因である可能性が高い。したがって、ユーザにとってパーティクル発生要因判定システムの利用に関する費用対効果が分かりやすくなり、その結果、パーティクル発生要因判定システムの利用に関するユーザのインセンティブを与えることができる。
【0021】
請求項2記載の課金方法によれば、さらに、第2の情報の収益への寄与実績、第2の情報を以前に利用した他のユーザによる評価値、今までの第2の情報の提供回数、第2の情報が最後に提供されてからの経過時間の少なくとも1つに基づいて、課金額が決定されるので、課金額に第2の情報の価値を反映させることができ、課金額をリーズナブルな額にすることができる。その結果、パーティクル発生要因判定システムの利用に関するユーザのインセンティブをより与えることができる。
【0022】
請求項3記載の課金方法によれば、第2の情報の提供形態に応じて課金額が決定されるので、課金額を第2の情報の使い勝手に見合った額にすることができる。
【0023】
請求項4記載の課金方法によれば、第2の情報のカテゴリに応じて課金額が決定されるので、課金額を第2の情報からユーザが得られる経済的メリットに見合った額にすることができる。
【0024】
請求項5記載の課金方法によれば、パーティクルに関する画像データの画像解析結果に基づいてパーティクル発生要因の点数が算出されるので、基板を撮影する等して画像データを準備するだけで第2の情報を得ることができ、ユーザの手間を省くことができる。
【0025】
請求項6記載の課金方法によれば、複数のパーティクル発生要因の各々に関連する第1のキーワードが取得され、該取得された第1のキーワードに基づいて第2の情報が選択されて取得されるので、各パーティクル発生要因と各第2の情報とを直接的にリンクさせておく必要がない。したがって、第2の情報の準備や更新を容易に行うことができる。
【0026】
請求項7記載の課金方法によれば、パーティクルに関するドキュメントデータからテキストマイニングによって第2のキーワードが抽出される。テキストマイニングではドキュメントデータが単語に分割され、分割された単語の出現頻度や相関関係によって主要なキーワードが抽出されるので、パーティクルに関するドキュメントデータの内容が整理されていなくても主要なキーワードを抽出することができる。
【0027】
請求項8記載の課金方法によれば、ドキュメントデータからなる第2の情報の選択に先立ち、各第2の情報からテキストマイニングによって第3のキーワードを抽出するので、第2の情報の選択の際には、各第2の情報に関連する第3のキーワードが存在する。その結果、第1のキーワード又は第2のキーワードと、抽出された第3のキーワードとを比較するだけで所望の第2の情報を容易且つ迅速に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態に係る課金方法を実行するパーティクル発生要因判定システムの構成を概略的に示す断面図である。
【図2】図1におけるユーザインターフェイス装置のディスプレイに表示される、入力しようとする画像データの確認用画像であり、図2(A)はウエハの撮影画像データの確認用画像であり、図2(B)はSEM画像データの確認用画像である。
【図3】図1におけるユーザインターフェイス装置のディスプレイに表示されるテキストデータの入力用画像である。
【図4】図1におけるサーバ装置が実行するパーティクル発生要因確度算出処理を示すフローチャートである。
【図5】テーパパッドとの接触に関する確度算出処理を示すフローチャートである。
【図6】パーティクルマップにおけるテーパパッド対応領域及びテーパパッド周辺領域を示す図であり、図6(A)はパーティクルマップにおける各テーパパッド対応領域の位置を示す平面図であり、図6(B)はパーティクルマップにおけるテーパパッド対応領域及びテーパパッド周辺領域を示す拡大平面図である。
【図7】フォーカスリングとのこすれに関する確度算出処理を示すフローチャートである。
【図8】フォーカスリングとのこすれに関する確度算出に用いるデータを説明するための図であり、図8(A)はパーティクルマップの周縁部において10等分された各領域を示す平面図であり、図8(B)は図8(A)の各領域におけるパーティクル数をプロットしたグラフであり、図8(C)はエッジ領域を示す平面図である。
【図9】図1におけるユーザインターフェイス装置のディスプレイに表示される解析結果表示画像である。
【図10】図1におけるユーザインターフェイス装置が出力する発生要因関連情報が印刷された用紙を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係る課金方法を実行するパーティクル発生要因判定システムの構成を概略的に示す断面図である。
【0031】
図1において、パーティクル発生要因判定システム10は、ユーザがデータの入出力を行う端末としてのユーザインターフェイス装置11と、該ユーザインターフェイス装置11や後述するデータベース装置12とデータを遣り取りするサーバ装置13と、データベース装置12とを備える。
【0032】
パーティクル発生要因判定システム10は、ユーザが入力した画像データ、例えば、パーティクルが付着したウエハの撮影画像データやパーティクルのSEM(Scanning Electron Microscope)画像データの画像分析やユーザが入力したパーティクルの付着状況に関するドキュメントデータの文言分析を通じて、パーティクル発生要因を判定するとともにそのパーティクル発生要因が本当の発生要因である可能性を数値で示す点数(以下、「確度」という。)を算出する。また、パーティクル発生要因判定システム10は、ユーザに各パーティクル発生要因に関する情報、例えば、発生メカニズムや当該パーティクル発生要因の解消方法を提供し、該情報の提供に対して課金する。
【0033】
パーティクル発生要因としては、例えば、テーパパッドとの接触、フォーカスリングとのこすれ、フォーカスリングの肩やられ(Attacked Shoulder)、ガス穴転写、周縁偏り、COP(Crystal Originated Particle)、析出ゴミ、水−フルオロカーボン系ガスの反応、及びメトロロジーユニットにおける発塵が主要な要因であると本発明者等によって実験や調査によって確認されており、本実施の形態に係るパーティクル発生要因判定システム10は、上述した各パーティクル発生要因について確度を算出する。
【0034】
ユーザインターフェイス装置11は、例えば、パーソナルコンピュータからなり、ユーザによるウエハの撮影画像データやパーティクルのSEM画像データ(第1の情報)の入力を受け付ける。また、ユーザインターフェイス装置11はディスプレイ14(表示部)を有し、ユーザはブラウザによってディスプレイ14に表示された画像15を通じ、入力しようとするウエハの撮影画像データやSEM画像データを確認、加工し、また、判定されたパーティクル発生要因の一覧をそれらの確度とともに確認することができる。ユーザインターフェイス装置11におけるブラウザとしては、市販のブラウザ、例えば、Internet Explorer(登録商標)を用いてもよく、または、ユーザインターフェイス装置11に専用のブラウザを用いてもよい。
【0035】
図2は、図1におけるユーザインターフェイス装置のディスプレイに表示される、入力しようとする画像データの確認用画像であり、図2(A)はウエハの撮影画像データの確認用画像であり、図2(B)はSEM画像データの確認用画像である。
【0036】
図2(A)の確認用画像16は、ウエハの撮影画像データを表示するフレーム17を有し、ユーザはフレーム17に表示された撮影画像データに対して所望の径の円を設定する等して取り込む画像データの範囲を決定する。該範囲の決定後、範囲内の画像データはパーティクルの分布状況を示す画像データ(以下、「パーティクルマップ」という。)としてサーバ装置13へ送信される。
【0037】
図2(B)の確認用画像18は、パーティクルのSEM画像データを表示するフレーム19と、パーティクルのサイズを設定するチェックボックス形式の選択肢20と、パーティクルの概略形状を設定するチェックボックス形式の選択肢21とを有する。ユーザはフレーム19に表示されたSEM画像を確認しながら、選択肢20,21によってパーティクルのサイズ及び形状を設定する。設定されたサイズや形状はSEM画像データとともにサーバ装置13へ送信される。
【0038】
また、ユーザインターフェイス装置11は、パーティクルの付着状況に関するドキュメントデータ、例えば、テキストデータ(第1の情報)の入力も受け付ける。
【0039】
図3は、図1におけるユーザインターフェイス装置のディスプレイに表示されるテキストデータの入力用画像である。
【0040】
図3の入力用画像22はテキスト入力ボックス23を有し、ユーザはパーティクルの付着状況に関するテキストデータとして、或る資料のテキストデータをコピーしてテキスト入力ボックス23へペーストして入力し、または、パーティクルの付着状況を説明する文を直接、テキスト入力ボックス23へ入力する。
【0041】
ユーザインターフェイス装置11は、テキストマイニング機能を有する。テキストマイニングではテキストデータが単語等に分割され、分割された単語の出現頻度や相関関係によって主要なキーワードが抽出される。したがって、ユーザインターフェイス装置11は、テキスト入力ボックス23へ入力されたテキストデータから主要なキーワード(第2のキーワード)を抽出し、該抽出されたキーワード(以下、「テキストキーワード」という。)をサーバ装置13へ送信する。
【0042】
ユーザインターフェイス装置11は、パーティクルの付着状況を説明するデータとしてテキスト入力ボックス23へ入力されるテキストデータだけでなく、市販の文書作成ソフトウェアで作成されたドキュメントデータも受け付けることができる。
【0043】
また、ユーザインターフェイス装置11は画像データやドキュメントデータの他に、グラフデータを受け付けることもでき、受け付けたグラフデータにおけるピークの数やデータ値の振幅値をキーワードとして抽出し、該抽出されたキーワードをサーバ装置13へ送信する。
【0044】
さらに、ユーザは、ユーザインターフェイス装置11において、パーティクル発生要因の一覧を確認した後、所望のパーティクル発生要因についてその発生メカニズムや解消方法に関する情報を入手することができる。この情報の入手方法については後に詳述する。
【0045】
サーバ装置13は、ユーザインターフェイス装置11から送信されたパーティクルマップやテキストキーワードを受信する。また、サーバ装置13のメモリは画像解析プログラム24を格納する。画像解析プログラム24は各パーティクル発生要因の確度を算出するDLL(Dynamic Link Library)からなる。なお、画像解析プログラム24を構成するDLLはサーバ装置13のメモリに格納されているものに限られず、他のサーバ装置から提供されるDLLが画像解析プログラム24の一部を構成してもよい。また、画像解析プログラム24を構成するDLLの種類も固定されておらず、例えば、基板処理システムの仕様等に応じて画像解析プログラム24を構成するDLLの種類も変更される。
【0046】
画像解析プログラム24は、サーバ装置13のRAMやCPUを用い、パーティクルマップ、SEM画像、並びにパーティクルの形状及びサイズに基づいて各パーティクル発生要因の確度を算出する(点数算出ステップ)。
【0047】
図4は、図1におけるサーバ装置が実行するパーティクル発生要因確度算出処理を示すフローチャートである。本処理は、画像解析プログラム24に応じてサーバ装置13のCPUが実行する。
【0048】
図4において、まず、ユーザインターフェイス装置11からパーティクルマップを取得し(ステップS401)、パーティクルマップの入手先である基板処理システムの名称を取得し(ステップS402)、さらに、パーティクルの形状及びサイズを取得する(ステップS403)。
【0049】
次いで、画像解析プログラム24におけるテーパパッドとの接触に関する確度算出のDLLを使用してパーティクルマップや各パーティクルの形状及びサイズのデータから、テーパパッドとの接触に関する確度を算出する(ステップS404)。以下、同様に、フォーカスリングとのこすれに関する確度を算出し(ステップS405)、フォーカスリングの肩やられに関する確度を算出し(ステップS406)、ガス穴転写に関する確度を算出し(ステップS407)、周縁偏りに関する確度を算出し(ステップS408)、COPに関する確度を算出し(ステップS409)、析出ゴミに関する確度を算出し(ステップS410)、水−CF系ガスの反応に関する確度を算出し(ステップS411)、及びメトロロジーユニットにおける発塵に関する確度を算出する(ステップS412)。
【0050】
次いで、算出された各パーティクル発生要因に関する確度を一旦、サーバ装置13のメモリに格納後、本処理を終了する。
【0051】
以下、上述した各パーティクル発生要因の確度算出処理のうち、例として、「テーパパッドとの接触に関する確度の算出処理」及び「フォーカスリングとのこすれに関する確度の算出処理」について詳述する。
【0052】
図5は、テーパパッドとの接触に関する確度算出処理を示すフローチャートである。ウエハ搬送用の搬送フォークに設けられた凸状のテーパパッド及びウエハの接触によって発生するパーティクルはウエハにおけるテーパパッドと接触する部位に主として付着する。したがって、図5の処理では、ウエハにおけるテーパパッドと接触する部位のパーティクルの分布密度に基づいて確度が算出される。
【0053】
図5において、まず、基板処理システムの種類によって搬送フォークの形状や該搬送フォーク上のテーパパッドの配置位置、数が異なるため、図4のステップS402で取得した基板処理システムの名称等に基づいてテーパパッドのタイプ(配置位置、数)を特定する(ステップS51)。
【0054】
次いで、特定されたテーパパッドの配置位置や数からウエハにおけるテーパパッドとの接触部位を特定し、パーティクルマップにおいて該特定された接触部位に対応する領域をテーパパッド対応領域25として設定し、該テーパパッド対応領域25にパーティクルが存在するか否かを判別する(ステップS52)。
【0055】
テーパパッド対応領域25は、図6(A)において斜線部で示すように、各テーパパッドとの接触部位からパーティクルマップの中心を回転中心とする場合の回転角度で±5°、パーティクルマップの周縁から内側へ30mmに亘る領域である。なお、図6(A)は搬送フォークが8つのテーパパッドを有する場合に該当する。
【0056】
ステップS52の判別の結果、テーパパッド対応領域25にパーティクルが存在する場合、パーティクルマップからテーパパッド対応領域内割合、テーパパッド周辺領域内割合、及びテーパパッド対応領域内集中度を算出する。テーパパッド周辺領域26は、各テーパパッド対応領域25を囲う領域であり、各テーパパッドとの接触部位からパーティクルマップの中心を回転中心とする場合の回転角度で±10°、パーティクルマップの周縁から内側へ50mmに亘る領域であって、該領域からテーパパッド対応領域25を除外した領域である(図6(B))。
【0057】
テーパパッド対応領域内割合、テーパパッド周辺領域内割合、及びテーパパッド対応領域内集中度はそれぞれ下記式で示される。
・テーパパッド対応領域内割合 = テーパパッド対応領域25内におけるパーティクル分布密度/パーティクルマップにおける半径200mm〜300mmの間(外側)におけるパーティクル分布密度
・テーパパッド周辺領域内割合 = テーパパッド周辺領域26内におけるパーティクル分布密度/パーティクルマップにおける半径200mm〜300mmの間(外側)におけるパーティクル分布密度
・テーパパッド対応領域内集中度 = テーパパッド対応領域25内のパーティクル数/(テーパパッド対応領域25内のパーティクル数+テーパパッド周辺領域26内のパーティクル数)×100
さらに、確度を下記式から算出し(ステップS53)、ステップS55に進む。
確度 = テーパパッド対応領域内割合+テーパパッド周辺領域内割合×テーパパッド対応領域内集中度
続くステップS55では、算出された確度が0より大きいか否かを判別し、算出された確度が0である場合、本処理を終了し、算出された確度が0より大きい場合、該確度にパーティクルの形状及びサイズから算出された確度を加算し(ステップS56)、本処理を終了する。
【0058】
ステップS56では、メモリに格納された、テーパパッドとの接触によって発生するパーティクルの代表的な形状及びサイズのデータと、図4のステップS403で取得した各パーティクルの形状及びサイズのデータとを比較する。形状及びサイズの一致度がある閾値以上であれば、テーパパッドとの接触がパーティクル発生要因である可能性が高いとし、確度として5を算出する。
【0059】
ステップS52の判別の結果、テーパパッド対応領域25にパーティクルが存在しない場合、確度を0に設定し(ステップS54)、本処理を終了する。
【0060】
図7は、フォーカスリングとのこすれに関する確度算出処理を示すフローチャートである。フォーカスリング及びウエハのこすれによって発生するパーティクルは、ウエハの周縁部に主として付着する。また、こすれとはウエハがフォーカスリングと局所的に接触する現象であるため、パーティクルはウエハの周縁部において局所的且つ比較的内側に分布する。したがって、図7の処理では、ウエハの周縁部におけるパーティクルの分布密度に基づいて確度が算出される。
【0061】
基板処理システムの種類によってフォーカスリングの種類が異なり、基板処理システムの種類によってはフォーカスリング及びウエハのこすれが発生しないことがある。そこで、図7において、まず、図4のステップS402で取得した基板処理システム等の名称に基づいてフォーカスリングとのこすれがパーティクル発生要因に該当するか否かを判別する(ステップS701)。
【0062】
ステップS701の判別の結果、フォーカスリングとのこすれがパーティクル発生要因に該当する場合、テーパパッドとの接触に関する確度が50以下であるか否かを判別する(ステップS702)。
【0063】
ステップS702の判別の結果、テーパパッドとの接触に関する確度が50以下である場合、確度を下記式から算出し(ステップS703)、ステップS705に進む。
確度 = 安定度×100
ここで、安定度は下記式から算出される。
安定度 = ベクトル平均/スカラー平均
但し、ベクトル平均は、パーティクルマップにおける半径250mm以上の領域に存在する全てのパーティクルのパーティクルマップの中心からの距離の平均値であり、スカラー平均は、パーティクルマップの中心を原点とした場合のパーティクルマップにおける半径250mm以上の領域に存在する全てのパーティクルの位置ベクトルのx成分及びy成分をそれぞれの平均した平均x成分及び平均y成分に対応するポイントの座標の原点からの距離である。
【0064】
ステップS702の判別の結果、テーパパッドとの接触に関する確度が50より大きい場合、確度を下記式から算出し(ステップS704)、ステップS705に進む。
確度 = テーパパッド対応領域を除外した場合の安定度×100
テーパパッド対応領域を除外した場合の安定度は、パーティクルマップにおける半径250mm以上の領域であって、テーパパッド対応領域が除外された領域に存在する全てのパーティクルに関する安定度である。この安定度も上記式から算出される。
【0065】
次いで、ウエハの周縁部におけるピークの数が1か否かを判別する(ステップS705)。ここでは、パーティクルマップにおける半径200mm以上の領域を週方向に10等分した場合(図8(A))における各領域(1,2,3...)に存在するパーティクルの数をグラフ(図8(B))にプロットしたとき、該グラフにおいて、或る領域のパーティクルの数と、隣接する他の領域のパーティクルの数との差が全領域におけるパーティクルの数の標準偏差より大きい場合、当該或る領域を上記ピークとする(図8(B)では領域9がピークに該当する。)。
【0066】
ステップS705の判別の結果、ピークの数が1である場合、確度に20を加算して(ステップS706)ステップS707に進み、ピークの数が1でない場合はそのままステップS707に進む。
【0067】
次いで、エッジ領域の角度が45°以下であるか否かを判別し(ステップS707)、エッジ領域の角度が45°以下である場合、ステップS711に進み、エッジ領域の角度が45°より大きい場合、ステップS708に進む。
【0068】
ここで、エッジ領域は、図8(B)におけるピーク(領域9)を挟む2つの谷(領域7,領域4)に挟まれた領域のうち、該領域に存在する全パーティクルの90%以上が分布する領域(図8(C)における濃色部分が該当する。)である。
【0069】
続く、ステップS708では、エッジ領域の角度が90°以下であるか否かを判別し、エッジ領域の角度が90°以下である場合、さらに、パーティクルマップの中心からパーティクルマップにおける半径200mm以上の領域に存在する全パーティクルまでの距離の平均(以下、「パーティクル平均距離」という。)が270mmより小さいか否かを判別し(ステップS709)、パーティクル平均距離が270mmよりも小さい場合、ステップS711に進む。
【0070】
ステップS708の判別の結果、エッジ領域の角度が90°より大きい場合、及びステップS709の判別の結果、パーティクル平均距離が270mm以上である場合、確度を3で除算し(ステップS710)、ステップS711に進む。
【0071】
続くステップS711では、算出された確度が0より大きいか否かを判別し、算出された確度が0である場合、本処理を終了し、算出された確度が0より大きい場合、ステップS706と同様に、確度に、パーティクルの形状及びサイズから算出されたパーティクル発生要因に関する確度を加算し(ステップS713)、本処理を終了する。
【0072】
また、ステップS701の判別の結果、フォーカスリングとのこすれがパーティクル発生要因に該当しない場合、確度を0に設定し(ステップS712)、本処理を終了する。
【0073】
なお、「テーパパッドとの接触に関する確度の算出処理」及び「フォーカスリングとのこすれに関する確度の算出処理」以外の確度の算出処理は、特願2008−056431号の明細書に詳細に記載されている。
【0074】
また、サーバ装置13はメモリに各パーティクル発生要因に関連するキーワードを格納し、算出された確度が高いパーティクル発生要因に関連するキーワード(第1のキーワード)をメモリから取得し、該取得されたキーワード(以下、「画像キーワード」という。)をデータベース装置12へ送信する。なお、メモリがキーワードを格納することなく、キーワードが各パーティクル発生要因の確度を算出するDLLによって実行されるプログラムに記述され、サーバ装置13が記述されたキーワードを取得するようにしてもよい。
【0075】
サーバ装置13が取得するキーワードとしては、「テーパパッドとの接触に関する確度の算出処理」に関しては、例えば、「テーパパッド」や「搬送フォーク」が該当し、「フォーカスリングとのこすれに関する確度の算出処理」に関しては、例えば、「フォーカスリング」、「周縁部」や「局所的」が該当する。
【0076】
また、サーバ装置13が送信するキーワードは、画像キーワードに限られず、ユーザインターフェイス装置11がサーバ装置13へ送信したテキストキーワードも含まれる。
【0077】
さらに、サーバ装置13は、算出された確度が高いパーティクル発生要因の略称(例えば、「テーパパッドとの接触」の場合には「テーパパッド」のみ、また、「ガス穴転写」の場合には「ガス穴」のみ)及びその確度をユーザインターフェイス装置11へ送信する。そして、サーバ装置13は、後述するように、データベース装置12から発生要因関連情報27を受信し、該受信した発生要因関連情報27における標題、パーティクル源、カテゴリ等をユーザインターフェイス装置11へ送信し、ユーザインターフェイス装置11へ発生要因関連情報27を提供する際、その提供に対する課金額を算出する。
【0078】
データベース装置12は、各パーティクル発生要因に関する多数の情報(第2の情報)(以下、「発生要因関連情報」という。)をドキュメントデータとして格納している。発生要因関連情報27としては、基板処理システムの開発者の知見が記載されたドキュメントデータや、パーティクル発生に関する文献等のドキュメントデータが該当する。また、データベース装置12はテキストマイニング機能を有し、図4の処理に先立って各発生要因関連情報27からそれぞれに対応する主要なキーワード(第3のキーワード)を抽出し、格納する。各発生要因関連情報27は、テキストマイニングによって抽出されるキーワードの他、標題、パーティクル源、カテゴリをキーワードとして有する。標題は発生要因関連情報27の内容を簡潔に示し、パーティクル源は発生要因関連情報27が取り扱うパーティクルの発生源を示し、カテゴリは発生要因関連情報27の内容の種別、例えば、単なる発生メカニズムかパーティクル発生要因の解消方法かを示す。これらのキーワードは、ハイエンドユーザやシステム管理者が発生要因関連情報27に関連付けて設定する。以下、各発生要因関連情報27が有するキーワードを「関連情報キーワード」と称する。
【0079】
発生要因関連情報27は、関連情報キーワードの他、発生要因関連情報27の価値を表す指標を有する。該指標は当該発生要因関連情報27を用いたときに得られる経済的メリットを金額で表したものであり、以下、「ROK(Return on Knowledge)」と称する。ROKは、ハイエンドユーザやシステム管理者が設定する初期値と、当該発生要因関連情報27を用いたユーザが実際に得られた経済的メリットを考慮して設定するフィードバック値(第2の情報を以前に利用した他のユーザによる評価値)とからなる。
【0080】
データベース装置12は、サーバ装置13から画像キーワードやテキストキーワードを受信すると、画像キーワードやテキストキーワードと関連情報キーワードとを比較し、画像キーワードやテキストキーワードと一致度の高い関連情報キーワードに対応する発生要因関連情報27を選択してサーバ装置13へ送信する。このとき、データベース装置12は発生要因関連情報27に付随して該発生要因関連情報27に対応する標題、パーティクル源、カテゴリを送信し、さらに、ROKも送信する。
【0081】
発生要因関連情報27はデータベース装置12そのものに格納されている必要はなく、データベース装置12と接続された外部のデータベース装置に格納されていてもよい。但し、この場合には、外部のデータベース装置に格納されている発生要因関連情報27からもテキストマイニングにより、図4の処理に先立って主要なキーワードを抽出し、データベース装置12が該抽出されたキーワードを格納する必要がある。
【0082】
データベース装置12はテキストマイニング機能を有するので、過去に蓄積されたが内容が整理されていない文献等のドキュメントデータも発生要因関連情報27として活用することができる。
【0083】
サーバ装置13は、データベース装置12から発生要因関連情報27、該発生要因関連情報27に対応する標題、パーティクル源、カテゴリ、及びROKを受信すると、まず、受信した発生要因関連情報27に対応するパーティクル発生要因の略称、該パーティクル発生要因の確度、受信した発生要因関連情報27の標題、パーティクル源、カテゴリ等をユーザインターフェイス装置11へ送信する。
【0084】
ユーザインターフェイス装置11は、サーバ装置13から発生要因関連情報27等を受信すると、これらを解析結果としてディスプレイ14に表示する(情報表示ステップ)。
【0085】
図9は、図1におけるユーザインターフェイス装置のディスプレイに表示される解析結果表示画像である。
【0086】
図9の解析結果表示画像28は、パーティクルマップを表示するフレーム29と、受信したパーティクル発生要因の略称及び確度を一覧表示する確度リスト30と、受信した発生要因関連情報27の標題、パーティクル源、カテゴリ(第2の情報の一部)を一覧表示する関連情報リスト31とを有する。ここで、関連情報リスト31に標題が表示される発生要因関連情報27は、確度が高いパーティクル発生要因の画像キーワードに基づいて選択されているので、ユーザには確度が高いパーティクル発生要因に関連する発生要因関連情報27が提供されることになる。また、関連情報リスト31は各標題に対応するダウンロードボタン32を有する。
【0087】
ユーザが関連情報リスト31のダウンロードボタン32をマウス等で選択すると、該ダウンロードボタン32に対応する標題の発生要因関連情報27が、ドキュメントデータ、例えば、pdf形式のデータとしてサーバ装置13からユーザインターフェイス装置11に送信されて提供される。
【0088】
ユーザインターフェイス装置11は、提供された発生要因関連情報27をプリンタ(不図示)等によって出力する際、出力したユーザが特定できるように、例えば、ユーザインターフェイス装置11のIPアドレスやユーザの個人特定情報、例えば、メールアドレス等を背景として発生要因関連情報27とともに出力される用紙に印刷する(図10)。これにより、出力された発生要因関連情報27の無断転用を防止することができる。
【0089】
パーティクル発生要因判定システム10では、ユーザが所望する発生要因関連情報27のユーザインターフェイス装置11への提供に対して課金が行われる(課金ステップ)。課金額は以下の式(1)に基づいて算出される。
課金額 = ROK(初期値、フィードバック値の両方を含む)×ROK係数×提供される発生要因関連情報27に関連するパーティクル発生要因の確度×当該発生要因関連情報27の今までの選択頻度 … (1)
「ROK係数」は、課金額を適切な額に調整するためにハイエンドユーザやシステム管理者が設定する係数であり、「発生要因関連情報27の今までの選択頻度」は、今までパーティクル発生要因の判定が行われた回数に対する、当該発生要因関連情報27が画像キーワードやテキストキーワードに基づいて今まで選択された回数の割合である。
【0090】
例えば、ROKの初期値が1000万円、ROKのフィードバック値が1000万円、ROK係数が0.1、確度が0.90、選択頻度が0.5(1000回の判定において当該発生要因関連情報27が500回選択された)である場合、課金額は90万円となる。
【0091】
上述した課金額の算出方法は一例であり、この他、発生要因関連情報27が半導体デバイスの製造ラインの収益に寄与した実績や基板処理システムの開発に寄与した実績(第2の情報の収益への寄与実績)、今までの発生要因関連情報27の提供回数、発生要因関連情報27が最後に提供されてからの経過時間のうちの少なくとも1つを課金額の算出要素として用いてもよい。但し、確度は課金額の算出要素として必ず用いる必要がある。
【0092】
ユーザインターフェイス装置11は発生要因関連情報27の提供の際、ユーザのレベル、例えば、情報入手許可レベルに応じて発生要因関連情報27の提供形態を変更する。例えば、通常のユーザであれば、発生要因関連情報27のドキュメントデータに記載された全ての内容を用紙に印刷して提供するが、情報入手許可レベルが低いユーザであれば、ドキュメントデータに記載された内容の概要のみを用紙に印刷して提供し、また、パーティクル発生要因判定システム10を試しているユーザであれば、ドキュメントデータに記載された内容を用紙に印刷せず、ユーザインターフェイス装置11のディスプレイ14に表示するのみである。また、パーティクル発生要因判定システム10は、発生要因関連情報27の提供形態によっても課金額を変更する。例えば、上記式(1)で算出された課金額に提供形態に応じた係数、例えば、ドキュメントデータに記載された全ての内容を提供する場合には1.0を係数とし、ドキュメントデータに記載された内容の概要のみを提供する場合には0.3を係数とし、ドキュメントデータに記載された内容の標題(タイトル)をディスプレイ14に表示するのみの場合には0.0を係数とする。
【0093】
また、発生要因関連情報27のドキュメントデータに記載された全ての内容がユーザに提供される場合であっても、発生要因関連情報27のカテゴリに応じてユーザが得られる経済的メリットが異なる。例えば、発生メカニズムが提供される場合、ユーザは容易にパーティクル発生の解消に至ることができないので、ユーザが得られる経済的メリットは小さいが、パーティクル発生要因の解消方法が提供される場合、ユーザは容易にパーティクル発生の解消に至ることができるので、ユーザが得られる経済的メリットは大きい。そこで、パーティクル発生要因判定システム10は発生要因関連情報27のカテゴリに応じても課金額を変更する。例えば、上記式(1)で算出された課金額にカテゴリに応じた係数、例えば、発生要因関連情報27が発生メカニズムである場合には0.3を係数とし、発生要因関連情報27がパーティクル発生要因の解消方法である場合には1.0を係数とする。
【0094】
本実施の形態に係る課金方法を実行するパーティクル発生要因判定システム10によれば、パーティクルマップに基づいて複数のパーティクル発生要因の各々について確度が算出され、発生要因関連情報27の提供に対する課金額は、少なくとも提供される発生要因関連情報27に対応するパーティクル発生要因の確度に基づいて決定されるので、課金額の高い発生要因関連情報27に対応するパーティクル発生要因が本当の発生要因である可能性が高い。したがって、ユーザにとってパーティクル発生要因判定システム10の利用に関する費用対効果が分かりやすくなり、その結果、パーティクル発生要因判定システム10の利用に関するユーザのインセンティブを与えることができる。
【0095】
上述したパーティクル発生要因判定システム10では、半導体デバイスの製造ラインの収益に寄与した実績や基板処理システムの開発に寄与した実績、当該発生要因関連情報27を用いたユーザが実際に得られた経済的メリットを考慮して設定するフィードバック値、今までの発生要因関連情報27の提供回数、発生要因関連情報27が最後に提供されてからの経過時間の少なくとも1つに基づいて、課金額が決定されるので、課金額に発生要因関連情報27の価値を反映させることができ、課金額をリーズナブルな額にすることができる。
【0096】
また、上述したパーティクル発生要因判定システム10では、発生要因関連情報27の提供形態に応じて課金額が決定されるので、課金額を発生要因関連情報27の使い勝手に見合った額にすることができる。
【0097】
さらに、上述したパーティクル発生要因判定システム10では、発生要因関連情報27のカテゴリに応じて課金額が決定されるので、課金額をユーザが得られる経済的メリットに見合った額にすることができる。
【0098】
上述したパーティクル発生要因判定システム10では、パーティクルマップの画像解析結果に基づいてパーティクル発生要因の確度が算出され、確度の高いパーティクル発生要因に関連する発生要因関連情報27が提供されるので、ユーザはウエハを撮影する等してウエハの画像データを準備するだけで発生要因関連情報27を得ることができ、ユーザの手間を省くことができる。
【0099】
上述したパーティクル発生要因判定システム10では、画像キーワードが取得され、該取得された画像キーワードに基づいて発生要因関連情報27が選択されて取得されるので、各パーティクル発生要因と各発生要因関連情報27とを直接的にリンクさせておく必要がない。したがって、発生要因関連情報27の準備や更新を容易に行うことができる。
【0100】
上述したパーティクル発生要因判定システム10では、テキスト入力ボックス23へ入力されたテキストデータからテキストマイニングによってテキストキーワードが抽出されるので、テキスト入力ボックス23へ入力されたテキストデータの内容が整理されていなくてもテキストキーワードを抽出することができる。
【0101】
また、上述したパーティクル発生要因判定システム10では、図4の処理、少なくとも発生要因関連情報27の選択に先立ち、各発生要因関連情報27からテキストマイニングによって関連情報キーワードを抽出するので、発生要因関連情報27の選択の際には、関連情報キーワードが存在する。その結果、画像キーワード又はテキストキーワードと、抽出された関連情報キーワードとを比較するだけで所望の発生要因関連情報27を容易且つ迅速に得ることができる。
【0102】
上述したパーティクル発生要因判定システム10では、ユーザが直接課金額を知ることがないが、発生要因関連情報27の提供の前、具体的には、ユーザがダウンロードボタン32を選択した際、そのダウンロードボタン32に対応する標題の発生要因関連情報27の提供に対する課金額を算出してユーザに提示してもよい。これにより、ユーザは事前に入手しようとする発生要因関連情報27の価値を知ることができ、発生要因関連情報27を入手するか否かについて適切に判断することができる。
【0103】
また、パーティクル発生要因判定システム10において、各発生要因関連情報27についての課金実績を記録してもよい。これにより、発生要因関連情報27をパーティクル発生要因判定システム10へ提供した基板処理システムの開発者等の収益への貢献度が明確になり、該開発者のパーティクル発生要因判定システム10への情報提供に対するインセンティブを向上することができる。
【0104】
本発明の目的は、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記録した記憶媒体を、サーバ装置13等に供給し、サーバ装置13のCPUが記憶媒体に格納されたプログラムを読み出して実行することによっても達成される。
【0105】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施の形態の機能を実現することになり、プログラム及びそのプログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0106】
また、プログラムを供給するための記憶媒体としては、例えば、RAM、NV−RAM、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD(DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW)等の光ディスク、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、他のROM等の上記プログラムを記憶できるものであればよい。或いは、上記プログラムは、インターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続される不図示の他のコンピュータやデータベース等からダウンロードすることによりサーバ装置13に供給されてもよい。
【0107】
また、サーバ装置13のCPUが読み出したプログラムを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、CPU上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0108】
更に、記憶媒体から読み出されたプログラムが、サーバ装置13に挿入された機能拡張ボードやサーバ装置13に接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0109】
上記プログラムの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
【符号の説明】
【0110】
10 パーティクル発生要因判定システム
11 ユーザインターフェイス装置
12 データベース装置
13 サーバ装置
16,18 確認用画像
22 入力用画像
27 発生要因関連情報
28 解析結果表示画像
31 関連情報リスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有し、ユーザが基板に付着したパーティクルに関する第1の情報を入力するユーザインターフェイス装置と、複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を検討するサーバ装置とを少なくとも備えるパーティクル発生要因判定システムにおける課金方法であって、
前記サーバ装置が、前記入力された第1の情報を受け取り、該受け取った第1の情報に基づいて、前記複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を点数として算出する点数算出ステップと、
前記ユーザインターフェイス装置が、前記算出された各点数とともに該点数に対応する前記各パーティクル発生要因に関する第2の情報の一部を前記表示部に表示する情報表示ステップと、
前記サーバ装置が、前記表示された第2の情報の一部の選択に応じて前記第2の情報を前記ユーザインターフェイス装置に提供するとともに、前記第2の情報の提供に課金する課金ステップとを有し、
前記課金ステップでは、少なくとも前記提供される第2の情報に対応する前記パーティクル発生要因の点数に基づいて課金額が決定され、
前記提供される第2の情報は、前記第2の情報の全体又は前記第2の情報におけるより詳細な情報であることを特徴とする課金方法。
【請求項2】
前記課金ステップでは、さらに、前記第2の情報の収益への寄与実績、前記第2の情報を以前に利用した他のユーザによる評価値、今までの前記第2の情報の提供回数、前記第2の情報が最後に提供されてからの経過時間の少なくとも1つに基づいて、前記課金額が決定されることを特徴とする請求項1記載の課金方法。
【請求項3】
前記課金ステップでは、前記第2の情報の提供形態に応じて前記課金額が決定されることを特徴とする請求項1又は2記載の課金方法。
【請求項4】
前記課金ステップでは、前記第2の情報のカテゴリに応じて前記課金額が決定されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の課金方法。
【請求項5】
前記第1の情報はパーティクルに関する画像データからなり、
前記点数算出ステップでは、前記サーバ装置が、前記画像データの画像解析結果に基づいて前記点数を算出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の課金方法。
【請求項6】
前記サーバ装置が、前記複数のパーティクル発生要因の各々に関連する第1のキーワードを取得し、該取得された第1のキーワードに基づいて前記第2の情報を選択して取得することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の課金方法。
【請求項7】
前記第1の情報はパーティクルに関するドキュメントデータからなり、
前記ユーザインターフェイス装置が前記ドキュメントデータからテキストマイニングによって第2のキーワードを抽出し、
前記サーバ装置が、前記抽出された第2のキーワードに基づいて前記第2の情報を選択して取得することを特徴とする請求項6記載の課金方法。
【請求項8】
前記パーティクル発生要因判定システムはさらにデータベース装置を備え、
前記第2の情報はドキュメントデータからなり、前記データベース装置に格納され、
前記データベース装置は、前記第2の情報の選択に先立ち、前記各第2の情報からテキストマイニングによって第3のキーワードを抽出することを特徴とする請求項6又は7記載の課金方法。
【請求項9】
表示部を有し、ユーザが基板に付着したパーティクルに関する第1の情報を入力するユーザインターフェイス装置と、複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を検討するサーバ装置とを少なくとも備えるパーティクル発生要因判定システムにおいて、
前記サーバ装置が、前記入力された第1の情報を受け取り、該受け取った第1の情報に基づいて、前記複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を点数として算出し、
前記ユーザインターフェイス装置が、前記算出された各点数とともに該点数に対応する前記各パーティクル発生要因に関する第2の情報の一部を前記表示部に表示し、
前記サーバ装置が、前記表示された第2の情報の一部の選択に応じて前記第2の情報を前記ユーザインターフェイス装置に提供するとともに、前記第2の情報の提供に課金し、
前記第2の情報の提供に対する課金額は、少なくとも前記提供される第2の情報に対応する前記パーティクル発生要因の点数に基づいて決定され、
前記提供される第2の情報は、前記第2の情報の全体又は前記第2の情報におけるより詳細な情報であることを特徴とするパーティクル発生要因判定システム。
【請求項10】
表示部を有し、ユーザが基板に付着したパーティクルに関する第1の情報を入力するユーザインターフェイス装置と、複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を検討するサーバ装置とを少なくとも備えるパーティクル発生要因判定システムにおける課金方法をコンピュータに実行させるプログラムを格納するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、前記課金方法は、
前記サーバ装置が、前記入力された第1の情報を受け取り、該受け取った第1の情報に基づいて、前記複数のパーティクル発生要因の各々についての可能性を点数として算出する点数算出ステップと、
前記ユーザインターフェイス装置が、前記算出された各点数とともに該点数に対応する前記各パーティクル発生要因に関する第2の情報の一部を前記表示部に表示する情報表示ステップと、
前記サーバ装置が、前記表示された第2の情報の一部の選択に応じて前記第2の情報を前記ユーザインターフェイス装置に提供するとともに、前記第2の情報の提供に課金する課金ステップとを有し、
前記課金ステップでは、少なくとも前記提供される第2の情報に対応する前記パーティクル発生要因の点数に基づいて課金額が決定され、
前記提供される第2の情報は、前記第2の情報の全体又は前記第2の情報におけるより詳細な情報であることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−9343(P2011−9343A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149697(P2009−149697)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】