説明

ヒアルロン酸産生促進剤

【課題】抗老化、シワ形成に対する予防又は改善用に好適な新規なヒアルロン酸産生促進剤、並びに該成分を含有する皮膚外用剤の提供。
【解決手段】カンラン科ボスウェリア属フランキンセンス、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダン、バラ科バラ属ダマスクロ−ズ及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物エッセンスの混合物からなるヒアルロン酸産生促進剤、並びに該成分を含有する皮膚外用剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧料(但し、医薬部外品を含む)に好適な、新規なヒアルロン酸産生促進剤、該ヒアルロン酸産生促進剤を含有する皮膚外用剤に関し、詳しくは、植物エッセンスの混合物よりなるヒアルロン酸産生促進剤、該成分を含有する皮膚外用剤に関する。該ヒアルロン酸産生促進剤は、皮膚の老化防止、シワ形成に対する予防又は改善等に有効に適用される。
【背景技術】
【0002】
シワ、たるみ等の皮膚老化症状は、生まれながらに規定される遺伝的因子に、加齢、生活習慣、ストレス、活性酸素等の内的環境要因、更には、紫外線暴露や乾燥等の外的環境要因が複雑に絡み合うことにより、顕在化する。皮膚老化症状は、見た目にも判り易い皮膚外観の質的な低下であるため、自身の肌を健全に保つことに関心の高い中高年齢者には、肌トラブルに関するアンケ−トを実施した際には必ず上位にくる肌の悩みである。
【0003】
抗老化、シワ形成を予防又は改善する手段に対する注目・関心は非常に高く、長年に渡り様々な研究が盛んに行われている。この様な手段の内、皮膚老化、シワ形成に対する予防又は改善作用を有する化粧料等の使用は、費用を掛けることなく個人が簡単に実施し、その効果を実感出来るため、関心度が非常に高い。この様な抗老化、シワ形成に対する予防又は改善効果を有する成分としては、レチノイン酸(ビタミンA酸)がよく知られている。レチノイン酸は、その効果が実証されているものの、日本においては、肌に塗布した際の炎症や角層剥離、刺激感のため認可されていない(例えば、非特許文献1を参照)。また、レチノイン酸以外の皮膚老化、シワ形成に対する予防又は改善作用を有する成分としては、抗酸化作用を有するサガリバナより得られる植物抽出物(例えば、特許文献1を参照)、保湿作用を有するウブラリアセア化ツバメオモト属に属する植物より得られる植物抽出物(例えば、特許文献2を参照)などが知られている。さらに、シワの形成機序に関する研究成果を基に、コラ−ゲン産生促進剤(例えば、特許文献3を参照)、マトリックスメタロプロテア−ゼ阻害剤(例えば、特許文献4を参照)などが報告されている。しかしながら、前記の皮膚老化、シワ形成に対する予防又は改善作用を有する成分には、安定性又は安全性上の課題に加え、十分な有効性が認められないなどの課題が存在するものもあり、新たな皮膚老化、シワ形成に対する予防又は改善作用を有する成分の開発が望まれている。
【0004】
ヒアルロン酸は、N−アセチルグルコサミンとグルクロン酸の二糖単位が連結した構造を有し、関節、硝子体、皮膚、脳などの生体の様々な組織に分布していることが知られている。また、皮膚におけるヒアルロン酸は、細胞外マトリックスを構成する重要な成分として、水分保持、細胞構造の維持、組織の潤滑性及び柔軟性の維持、細菌感染防止など様々な機能を有することが報告されている。さらに、加齢と共に減少するヒアルロン酸は、肌のはり、シワ形成などの皮膚老化現象との関連性が明らかにされ、減少したヒアルロン酸を経口又は経皮的に補う食品、化粧料などが開発されている。また、間接液中に含まれるヒアルロン酸は、間節軟骨の表面を被服氏、間節機能を円滑にするのに重要な役割を果たしており、間接におけるヒアルロン酸量の低下は、化膿性間節炎、痛風性間節炎、間節リュウマチなどの疾患と深く関連していることが知られている。また、熱傷受傷後の治癒過程で肉芽中のヒアルロン酸量が減少することが報告されている。この様な疾患を対象に、前記のヒアルロン酸補充療法に加え、生体内におけるヒアルロン酸量を増加させる成分の開発も盛んに行われている。この様なヒアルロン酸産生促進作用を有する成分としては、クロマノ−ル誘導体(例えば、特許文献5を参照)、ウリ科植物の種子より得られた抽出物(例えば、特許文献6を参照)などが知られている。しかしながら、ヒアルロン酸量を増加させる作用を有する成分に付いても、十分な有効性が認められないなどの課題のため、今尚、新規なヒアルロン酸量の増加させる成分が切望され、素材の探索研究が盛んに行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−043012号公報
【特許文献2】特開2003−292416号公報
【特許文献3】特開2009−184997号公報
【特許文献4】特開2009−091280号公報
【特許文献5】特開2007−246421号公報
【特許文献6】特開2006−273815号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】老化防止・美白・保湿化粧品の開発技術、シ−エムシ−出版、鈴木正人 監修、第2章 抗老化(抗シワ)機能性化粧品
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、この様な状況において為されたものであり、皮膚老化の予防又は改善用、シワ形成の予防又は改善用、間節炎等の治療又は予防用、熱傷の初期の治療用等に好適な、新規なヒアルロン酸産生促進作用を有する成分、並びに、該成分を含有する皮膚外用剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この様な実情に鑑みて、本発明者等は、皮膚老化の予防又は改善用、シワ形成の予防又は改善用、間節炎等の治療又は予防用、熱傷の初期の治療用等に好適なヒアルロン酸産生促進作用を有する成分を求め、鋭意努力を重ねた結果、カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物エッセンス、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンより得られる植物エッセンス、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物エッセンス及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物エッセンスよりなる植物エッセンスの混合物が優れたヒアルロン酸産生促進作用を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。本発明は、以下に示す通りである。
<1> カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物エッセンス、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンより得られる植物エッセンス、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物エッセンス及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物エッセンスからなるヒアルロン酸産生促進剤。
<2> 前記植物エッセンスが、植物精油であることを特徴とする、請求項1に記載のヒアルロン酸産生促進剤。
<3> <1>又は<2>に記載のヒアルロン酸産生促進剤を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
<4> <1>又は<2>に記載のヒアルロン酸産生促進剤を皮膚外用剤全量に対し0.000001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、<3>に記載の皮膚外用剤。
<5> シワ形成の予防又は改善用、皮膚老化の予防又は改善用であることを特徴とする、<3>又は<4>に記載の皮膚外用剤。
<6> 化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、<3>〜<5>の何れかに記載の皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は優れたヒアルロン酸産生促進作用を有し、皮膚老化予防又は改善用、シワ形成の予防又は改善用、間節炎等の治療又は予防用、熱傷の初期の治療用等に有効に適用される。また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、化粧料(但し、医薬部外品を含む)等に配合することによりヒアルロン酸の賛成を促進し、皮膚の老化を予防又は改善、シワの形成を予防又は改善し、若々しい肌状態を維持することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明のヒアルロン酸産生促進剤(植物エッセンスの混合物)のヒアルロン酸産生促進効果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<本発明の皮膚外用剤の必須成分であるヒアルロン酸産生促進剤>
本発明の皮膚外用剤は、カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物エッセンス、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンより得られる植物エッセンス、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物エッセンス及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物エッセンスの混合物よりなるヒアルロン酸産生促進剤である。ヒアルロン酸は、N−D−アセチルグルコサミン及びD−グルクロン酸により形成される高分子多糖類であり、生体の多様な組織に存在する細胞外マトリックスの構成成分である。特に、皮膚のヒアルロン酸には、水分保持、細胞構造の維持、組織の潤滑性及び柔軟性の維持、細菌感染防止など様々な機能が知られている。
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、生体中のヒアルロン酸の存在量を増加させることが出来る成分であれば特段の限定なく適用することが出来、より好しいものとしては、皮膚中のヒアルロン酸の存在量を増加させる成分が好適に例示出来る。また、皮膚中のヒアルロン酸の存在量を増加させる成分の内、特に、真皮中のヒアルロン酸の存在量を増加させる成分が好ましい。また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤としては、ヒアルロン酸の存在量を増加させる作用を有する成分であれば特段の限定なく適用することが出来、かかる作用を有する成分としては、ヒアルロン酸産生促進作用を有する成分、ヒアルロン酸分解抑制作用を有する成分などが好適に例示出来る。かかる作用を有する成分は、標的とする組織中のヒアルロン酸の存在量を増加させることにより、優れた薬理作用、具体的には、皮膚の老化予防又は改善作用、シワ形成に対する予防又は改善作用、間節炎等の治療又は予防用、熱傷の初期の治療効果を発揮する。また、皮膚に存在するヒアルロン酸には、分子量が異なる低分子ヒアルロン酸、高分子ヒアルロン酸が存在が知られているが、本発明のヒアルロン酸産生促進剤としては、その何れのヒアルロン酸の存在量を増加させる成分であってもよい。低分子ヒアルロン酸及び高分子ヒアルロン酸は、詳細な作用機序は解明されていないが、共に皮膚に存在し、皮膚老化現象、シワ形成に関与することが示唆されている。さらに、本発明のヒアルロン酸産生促進剤の内、特に好ましいものを挙げれば、後述する実施例1に記載の「本発明のヒアルロン酸産生促進剤のヒアルロン酸産生促進作用評価」においてヒアルロン酸産生促進作用を示す成分が好ましい。本発明の「ヒアルロン酸産生促進作用評価」においてヒアルロン酸産生促進作用を示す成分としては、コントロ−ル群(被験物質非添加群)のヒアルロン酸産生量に比較し、被験物質添加群のヒアルロン酸産生量が増加している成分が、さらに好ましくは、前記のヒアルロン酸産生量の増加が統計的な有意差を持って増加している成分が好適に例示出来る。また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤の内、さらに好ましいものとしては、本発明のヒアルロン酸産生促進剤を構成する植物エッセンスを単独で使用した場合に比較し、ヒアルロン酸の存在量が増加している成分が好適に例示出来る。本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、優れたヒアルロン酸産生促進作用により、皮膚に適用した場合には、優れた老化予防又は防止、シワ形成に対する予防又は改善が期待出来る。
【0012】
本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、前記の4種類の植物エッセンスの混合物よりなることを特徴とする。かかる植物エッセンスの混合比率には特段の限定はないが、より好ましい混合比率としては、植物エッセンス全量に対し、カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物エッセンスが25〜35質量%、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダン(Sandalwood)より得られる植物エッセンスが35〜45質量%、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物エッセンスが0.1〜5質量%、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物エッセンスが18〜28質量%であることが好ましい。これは、前記比率の植物エッセンスの混合物が特に優れたヒアルロン酸産生促進作用を発揮するためである。また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、前記4種類の植物エッセンスを前記の比率で混合することによりヒアルロン酸産生促進作用における相加又は相乗的な効果が発揮され、優れたヒアルロン酸産生促進作用を示す。また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、4種類の植物エッセンスを作製後に混合することも出来るし、かかる植物を同時に処理し植物エッセンスを作製することも出来る。
【0013】
本発明のヒアルロン酸産生促進剤に含まれる各植物エッセンスに付いて述べる。本発明のヒアルロン酸産生促進剤である植物エッセンスの混合物を構成する植物としては、カンラン科ボスウェリア属フランキンセンス、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダン(Sandalwood)、バラ科バラ属ダマスクロ−ズ及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−が挙げられる。また、本発明の植物エッセンスとしては、溶剤による抽出物、当該抽出物の溶媒除去物、これらの分画精製物、精油成分などが好適に例示出来、かかる植物エッセンスの内、特に、精油成分が好ましい。本発明の「精油成分」とは、具体的には、植物由来の素材を、水蒸気蒸留法、油脂吸着法、溶剤抽出法、圧搾法等の製造方法、ノルマルヘキサン等の非極性溶媒を用いた薬剤抽出又は圧搾などにより得られる、特有の芳香を有する揮発成分を含む留出物の非水溶性分又はその画分成分等の総称を意味する。通常、植物精油成分は、多種類の化合物の混合物であり、モノテルペン、セスキテルペンなどの炭化水素化合物類、アルコ−ル化合物類、酸化合物類、カルボニル化合物類、フェノ−ル化合物類、ラクトン化合物類、エステル化合物類から構成され、一般に、水に不溶で、アルコ−ルなどに可溶である。前記の植物より得られる植物精油を製造するために使用される植物部位としては、植物体の全部、又は、花、葉、木部、果皮、樹皮、根、種などの一部であれば特段の限定なく適応することが出来る。また、前記植物エッセンスを得るために用いる植物部位としては特段の限定はないが、特に好ましい部位としては、カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスの樹木より分泌される樹脂、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンの木部、バラ科バラ属ダマスクロ−ズの花弁、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−の葉が好適に例示出来る。また、この様にして得られる植物エッセンス(植物精油)を皮膚外用剤に含有させることは、処方自由度が大きくなる点で好ましい。さらに、植物エッセンスの混合物は、その混合比率、更には、精油の場合には、その含有成分が季節ごとに変化する場合が存するので植物エッセンスのヒアルロン酸産生促進作用を後述する実施例に記載の方法に従いヒアルロン酸産生促進作用を評価し、明確にこの様な作用が認められた場合にのみ、当該精油を皮膚外用剤に含有せしめることが、その効果の安定性を保証する点で好ましい。
【0014】
本発明のヒアルロン酸産生促進剤を構成する植物に付いて述べる。カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスは、中東を原産地とする常緑高木であり、中国、エチオピア、イラン、レバノン、アラブ地域等の広い地域に生息する。また、カンラン科ボスウェリア属に属する樹木より分泌される樹脂のことを乳香(フランキンセンス、オリバナム)と呼ぶ。本発明のカンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物エッセンスの内、より好ましいものとしては、前記植物の精油成分が好ましく、さらに好ましくは、樹皮(乳香)を水蒸気蒸留し得られる植物精油が好ましい。乳香は、香又は香水等に利用する香料として利用されており、免疫向上作用、抗炎症作用等が知られている。また、乳香(フランキンセンス)より得られる精油には、主にα−ピネン等のピネン(pinene)類、ボスウェリア酸(boswellic acid)(例えば、H.G.M. Edward, et al., SpectroChimica Acta Part A53, 2393−2401(1997)を参照)、オリバノ−ルセン(olbanoresene)、ボスウェリディニック酸(boswellidinic acid)(例えば、Gerald Culioli et al.,Phytochemistry, 62, 537−541(2003))等の親油性成分が含まれている。バラは、バラ科バラ属に属する植物の総称を指し、潅木、低木又は木本性のつる植物であり、チベット周辺、中国、ミャンマ−等を原産地とし、日本においても本州、九州、四国等の広い地域で栽培されている。バラは、観賞用に用いられることが多いが、ダマスクロ−ズの花弁より得られる「ロ−ズオイル」は、香水の原料に利用される。ロ−ズオイルに含有される成分としては、l−シトロネロ−ル、フェネチルアルコ−ルの他、ゲラニオ−ル、ネロ−ル、リナロ−ル、フェルネソ−ル、ロ−ズオキサイト、ダマセノン、ダマスコン、ヨノン、ステアロブテン、メチルオイゲノ−ル等が含有される。
【0015】
ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンは、別名(英名)サンダルウッドとも呼ばれ、東南アジア原産の常緑樹であり、日本においては四国、九州以南に自生する。植物エッセンスは、心材を粗く粉末とし乾燥させたものを水蒸気蒸留することなどにより得られる。かかる植物エッセンスは、アロマテラピ−の処方のほか、香水などにも利用される。
【0016】
バラ科バラ属ダマスクロ−ズは、欧州を原産地とする落葉低木であり、バラ科の植物の中でも特に濃厚な香りを放つ品種として知られている。ダマスクロ−ズからは、ロ−ズオイル、ロ−ズウォ−タ−などが製造され、薬品や香水に利用される。
【0017】
シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−は、地中海沿岸地方を原産とする常緑性低木であり、江戸時代に日本に渡来した。生葉又は乾燥葉が香辛料として使用されるほか、精油は薬に用いられる。また、テルペノイド、フラボノイド、カフェタンニン類などの成分を含むことが知られている。
【0018】
本発明のカンラン科ボスウェリア属フランキンセンス、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダン、バラ科バラ属ダマスクロ−ズ及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物エッセンスは、乳香(フランキンセンス)、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンの木部、バラ科バラ属ダマスクロ−ズの花弁、シソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−の葉をそれぞれ水蒸気蒸留し、精油成分を水相から分離し、各精油を精製した後、混合することにより得た。。また、前記植物より得られる植物精油は、前述の通り、市販の植物精油を購入し、利用することも可能である。本発明においては、S&Dアロマ会社より購入した植物エッセンス(精油)を混合し使用した。
【0019】
本発明のヒアルロン酸産生促進剤の皮膚外用剤における好ましい含有量は、0.000001質量%〜10質量%、より好ましくは、0.00005質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.00001質量%〜3質量%である。これは、あまり濃すぎると効果が頭打ちになる傾向があり、少なすぎると有効濃度とならず目的とする効果が得られ難い傾向があるからである。また、かかる成分は、ヒアルロン酸産生促進作用に優れ、高い安全性及び安定性を有するため、化粧料、医薬部外品等への使用が好ましい。
【0020】
<本発明の皮膚外用剤>
本発明の皮膚外用剤は、カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物エッセンス、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダン(Sandalwood)より得られる植物エッセンス、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物エッセンス及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物エッセンスよりなるヒアルロン酸産生促進剤を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤は、前記の植物エッセンスの混合物をヒアルロン酸産生促進剤として含有する皮膚外用剤であり、前記ヒアルロン酸産生促進剤の優れたヒアルロン酸産生促進作用により、優れた皮膚の老化予防又は改善作用、シワ予防又は改善作用、間節炎等の治療又は予防用、熱傷の初期の治療効果を発揮する。
【0021】
本発明の皮膚外用剤は、前記のヒアルロン酸産生促進剤を含有することを特徴とする。本発明の皮膚外用剤としては、通常皮膚に外用で投与されるものであれば特段の限定なく適応することができ、医薬部外品を含有する化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨等が好ましく例示出来る。これらの中で特に好ましいものは、化粧料である。これは化粧料においては、真皮到達性が望まれて、且つ、該真皮到達が為されにくい有効成分が多いためである。かかる化粧料としては、例えば、化粧料などのロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗顔化粧料、クレンジング化粧料等が好ましく例示できる。更にその剤形としては、化粧料の領域で知られているものであれば特段の限定はなく、ロ−ション製剤、水中油乳化製剤、油中水乳化製剤、複合エマルション乳化製剤等に好ましく例示出来る。
【0022】
本発明の皮膚外用剤は、シワ予防又は改善用、皮膚の老化防止又は改善用、間節炎等の治療又は予防用、熱傷の初期の治療用の皮膚外用剤として好適である。かかる効果を奏するためには、前記のヒアルロン酸産生促進剤を、皮膚外用剤全量に対し総量で0.000001質量%〜10質量%、より好ましくは、0.000005質量%〜5質量%、さらに好ましくは、0.00001質量%〜3質量%含有されることが好ましい。また、本発明の皮膚外用剤においては、前記の植物エッセンスよりなるヒアルロン酸産生促進剤のヒアルロン酸産生促進作用を確認した上で含有させることが好ましい。ヒアルロン酸産生促進作用を評価する方法としては、後記の実施例1に記載の「本発明のヒアルロン酸産生促進剤のヒアルロン酸産生促進作用評価」が好適に例示出来る。該評価系において、ヒアルロン酸産生促進作用を有する成分とは、コントロ−ル群(被験物質非添加群)のヒアルロン酸の存在量に比較し、被験物質添加群のヒアルロン酸の存在量が増加している成分が、さらに好ましくは、前記のヒアルロン酸の存在量の増加が統計的な有意差を持って増加している成分が好適に例示出来る。また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤の内、さらに好ましいものとしては、本発明のヒアルロン酸産生促進剤を構成する植物エッセンスを単独で使用した場合に比較し、ヒアルロン酸の存在量が増加している成分が好適に例示出来る。これは、ヒアルロン酸産生促進作用が低いヒアルロン酸産生促進剤を皮膚外用剤に配合した場合には、期待されるシワ予防又は改善作用、皮膚の老化予防又は改善作用、関節炎等の治療又は予防用、熱傷の初期治療効果等の期待される効果が発揮されないためである。
【0023】
本発明の皮膚外用剤においては、前記必須成分以外に、通常化粧料や皮膚外用医薬で使用される任意成分を含有することが出来る。この様な任意成分としては、例えば、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリ−ブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワ−油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パ−ム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類;流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコ−ル、ステアリルアルコ−ル、イソステアリルアルコ−ル、ベヘニルアルコ−ル、オクチルドデカノ−ル、ミリスチルアルコ−ル、セトステアリルアルコ−ル等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコ−ル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコ−ル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロ−ルプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロ−ルプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコ−ン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノ−ルアミンエ−テル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレ−ト、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコ−ル脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコ−ル等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエ−テル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエ−ト、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレ−ト等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレ−ト等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコ−ルモノオレ−ト、POEジステアレ−ト等)、POEアルキルエ−テル類(POE2−オクチルドデシルエ−テル等)、POEアルキルフェニルエ−テル類(POEノニルフェニルエ−テル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエ−テル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエ−テル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコ−ル、グリセリン、1,3−ブチレングリコ−ル、エリスリト−ル、ソルビト−ル、キシリト−ル、マルチト−ル、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、ジグリセリン、イソプレングリコ−ル、1,2−ペンタンジオ−ル、2,4−ヘキサンジオ−ル、1,2−ヘキサンジオ−ル、1,2−オクタンジオ−ル等の多価アルコ−ル類;キサンタンガム、アラビアガム、マルメロ抽出物、クィーンシードガムなどの天然増粘剤;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパ−ル剤類;レ−キ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマ−等の有機粉体類;パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤;アントラニル酸系紫外線吸収剤;サリチル酸系紫外線吸収剤;桂皮酸系紫外線吸収剤;ベンゾフェノン系紫外線吸収剤;糖系紫外線吸収剤;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ル、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類;エタノ−ル、イソプロパノ−ル等の低級アルコ−ル類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテ−ト、ビタミンB6ジオクタノエ−ト、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロ−ル、β−トコフェロ−ル、γ−トコフェロ−ル、ビタミンEアセテ−ト等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類等;フェノキシエタノ−ル等の抗菌剤などが好ましく例示出来る。
【0024】
これらの必須成分、任意成分を常法に従って処理し、ロ−ション、乳液、エッセンス、クリ−ム、パック化粧料、洗浄料などに加工することにより、本発明の皮膚外用剤は製造できる。皮膚に適応させることの出来る剤型であれば、いずれの剤型でも可能であるが、有効成分が皮膚に浸透して効果を発揮することから、皮膚への馴染みの良い、ロ−ション、乳液、クリ−ム、エッセンスなどの剤型がより好ましい。
【0025】
尚、本発明の膚外用剤としては、一般的に広く使用される、化粧料や医薬部外品に適用するのが好ましい。本発明の皮膚外用剤としては、皮膚に外用で適用されるものであれば特段の限定はなく応用でき、例えば、医薬部外品を含む化粧料、皮膚外用医薬、皮膚外用雑貨等が好ましく例示できる。これは本発明の植物精油及び植物精油を含有した皮膚外用剤の安全性が高いため、連続的に使用することが可能であるためである。
【0026】
また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤を含有する皮膚外用剤には、皮膚の老化予防又は改善、シワ形成の予防又は改善作用、関節炎等の関節炎等の治療又は予防用、熱傷の初期治療効果以外の作用を奏するものも存在する。その様な作用の発現を目的として本発明の皮膚外用剤を使用する場合であっても、前記効果が発揮されている場合には、本発明の効果を利用するものであるので、本発明の技術範囲に属する。本発明の皮膚外用剤が有する前記の作用以外の作用としては、皮膚のしみ、肌荒れ、アトピ−性皮膚炎、乾癬、魚鱗癬の予防又は改善作用等の作用が好適に例示出来る。
【0027】
本発明の皮膚外用剤は、前記の任意成分や必須成分を常法に従って処理することにより製造することが出来る。
【0028】
以下に、実施例をあげて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみ、限定されないことは言うまでもない。
【実施例1】
【0029】
<試験例1: 本発明のヒアルロン酸産生促進剤のヒアルロン酸産生促進作用評価>
本発明のヒアルロン酸産生促進剤であるカンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物精油、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンより得られる植物精油、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物精油及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−よりなる植物精油の混合物に関し、以下の手順に従いヒアルロン酸産生促進作用評価を実施した。被験物質として使用したヒアルロン酸産生促進剤のカンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物精油、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンより得られる植物精油、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物精油及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物精油は、市販の植物精油(S&Dアロマ会社)より購入し、混合することにより作製した。前記の植物精油の混合物を含有するジメチルスルホキシド溶液は、被験物質を含有する投与溶液全量に対し0.1質量%の植物精油混合物を含有し、各精油成分の混合割合(質量%)は、61:91:1:47(カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物精油:ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンより得られる植物精油:バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物精油:シソ科マンネンゾウ属ロ−ズマリ−より得られる植物精油)であった。また、同様に、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られた植物精油(ロ−ズ精油)に関し、同様にヒアルロン酸産生促進作用を評価した。
正常ヒト真皮ファイブロブラスト(ccd-1113sk、ATCC)を24 well plateに1.25×10(cell/well)播種し、10% FBS/DMEM(FBS:株式会社ハナ・ネスコバイオ製、DMEM:株式会社シグマアルドリッチ社製)で3日間培養した。培養後、ジメチルスルホキシド(コントロ−ル、DMSO、シグマアルドリッチ社製)又はジメチルスルホキシドにより溶解された被験物質(0.0001質量%ロ−ズ精油、0.0001質量%精油混合物)を添加した。48時間培養後、無血清DMEMに培地を交換し、2時間後に培養上清を回収し、培地中のヒアルロン酸量をヒアルロン酸測定キット(生化学バイオビジネス社製)を用いて測定した。尚、被験物質投与によるヒアルロン酸産生促進作用は、ジメチルスルホキシド(コントロ−ル)添加によるヒアルロン酸産生量を100%とした場合に、コントロ−ルに対する被験物質添加により増加したヒアルロン酸産生量の割合(%)として表示した。結果を図1に示す。
【0030】
図1の結果より、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、優れたヒアルロン酸産生促進作用を有することが判った。
【実施例2】
【0031】
<製造例1: 本発明のヒアルロン酸産生促進剤を含有する皮膚外用剤の製造方法1>
表1に記載の処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料(クリ−ム)を作製した。即ち、イ及びハの成分をそれぞれ80に加温し、イの中にロを加えて溶解させ、混練りしてゲルを形成させ、これに攪拌下徐々にハを加えて乳化し、攪拌冷却し、これにニを加え中和した後、ホを加え攪拌し、本発明の皮膚外用剤である、クリ−ム剤形の化粧料(化粧料1)を作製した。また、表1の処方成分中、「本発明のヒアルロン酸産生促進剤」を「水」に置換した比較例1を作製した。また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、実施例1に記載の精油混合物を使用した。
【0032】
【表1】

【実施例3】
【0033】
<製造例2: 本発明のヒアルロン酸産生促進剤を含有する皮膚外用剤の製造方法2>
表2に記載の処方に従って、本発明の皮膚外用剤である化粧料(美容液)を作製した。即ち、イ及びロの成分よりなる化粧料(美容液、化粧料3)を作製した。また、表2の処方成分中、「本発明のヒアルロン酸産生促進剤」を「水」に置換した比較例2を作製した。また、本発明のヒアルロン酸産生促進剤は、実施例1に記載の精油混合物を使用した。
【0034】
【表2】

【実施例4】
【0035】
<試験例2: 本発明の皮膚外用剤のシワ改善作用評価1>
実施例2に記載の方法に従い製造した化粧料1及び2、比較例1に付いて、以下の方法に従いシワ改善作用を評価した。シワ改善効果を調べた。即ち、目尻のシワが気になるパネラ−24名(女性、年齢層40〜60歳)を8名ずつ3群に分け、1群には化粧料1を、1群には化粧料2を、残りの1群には比較例1を渡し、1日朝晩2回、連日8週間使用してもらい、試験の前後の目尻のレプリカの比較からシワ改善効果を調べた。レプリカは、光を透過させない白色のものを用い、これに皮膚表面形態を写しとり、このレプリカを実体顕微鏡の標本台に固定し、45度の角度で光を照射し、レプリカを回転させて、皮溝の陰影が強く観察される方向の陰影画像(1×1cm2)を画像解析装置に取り込んだ。この画像はシワの凹凸に従って、シワの深いところは輝度が低く、シワのないところは輝度が高く、陰影を形成する。陰影画像における輝度の分布を求め、輝度のメジアン値を境に、メジアン値以上の輝度の輝点は最大輝度に、メジアン値未満の輝度の輝点は輝度0に変換して、二値化を行い、陰影部分(輝度0の部分)の面積率を求めた。(試験前の陰影の面積率−試験後の陰影の面積率)/(試験前の陰影の面積率)×100でシワ改善度(%)を求めた。結果を各群8名の平均値±標準偏差として表3に示す。これより本発明の皮膚外用剤はシワ改善効果に優れることがわかる。これは、本発明の皮膚外用剤に含有されるヒアルロン酸産生促進剤の作用によるものである。
【0036】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、シワ形成の予防又は改善用の化粧料等に応用出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カンラン科ボスウェリア属フランキンセンスより得られる植物エッセンス、ビャクダン科ビャクダン属ビャクダンより得られる植物エッセンス、バラ科バラ属ダマスクロ−ズより得られる植物エッセンス及びシソ科マンネンロウ属ロ−ズマリ−より得られる植物エッセンスからなるヒアルロン酸産生促進剤。
【請求項2】
前記植物エッセンスが、植物精油であることを特徴とする、請求項1に記載のヒアルロン酸産生促進剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のヒアルロン酸産生促進剤を含有することを特徴とする、皮膚外用剤。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のヒアルロン酸産生促進剤を皮膚外用剤全量に対し0.000001質量%〜10質量%含有することを特徴とする、請求項3に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
シワ形成の予防又は改善用、皮膚老化の予防又は改善用であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
化粧料(但し、医薬部外品を含む)であることを特徴とする、請求項3〜5の何れか1項に記載の皮膚外用剤。

【図1】
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【公開番号】特開2013−23437(P2013−23437A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156241(P2011−156241)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000113470)ポーラ化成工業株式会社 (717)
【Fターム(参考)】