説明

ヒドロキシキノリン誘導体

X、Y、R1、R1'、R2、R3が請求項1で定義した通りである式Iの化合物は、細胞系増殖の阻害剤であり、腫瘍治療のために使用することができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式Iの化合物
【0002】
【化1】

【0003】
[式中、R1、R1'、R2は、それぞれ互いに独立して、H、OH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOAまたはCNを表し、
3は、A、Ar、Het、NR45またはCHR45を表し、基R4またはR5の少なくとも1つは(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
4、R5は、それぞれ互いに独立して、H、A、(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
Xは、存在しないか、CH2、NR6またはOを表し、
Yは、存在しないか、1個から3個のC原子を有するアルキレンを表し、
6は、HまたはAを表し、
A、A’は、それぞれ互いに独立して、1個から7個のH原子がF、Clおよび/またはBrによって置換されていてよい1個から10個のC原子を有する非分枝または分枝のアルキル、
3個から8個のC原子を有するシクロアルキル、または
4個から10個のC原子を有するシクロアルキルアルキレンを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
Arは、非置換であるか、OH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOA、COA、CHOまたはCNによって一、二または三置換された5個から14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表し、
Hetは、非置換であるか、OH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOA、CHO、COA、CN、=S、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)によって一、二または三置換されていてよい1個から4個のN、Oおよび/またはS原子を有する一、二または三環飽和、不飽和または芳香族複素環を表し、
nは、0、1または2を表す]
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体(tautomer)および立体異性体(stereoisomer)に関する。
【0004】
本発明は、利用価値のある特性を備えた新規化合物、特に、医薬品を調製するために使用できる新規化合物を発見するという目的に基づいている。
【0005】
式Iの化合物およびそれらの塩および/または溶媒和物は、非常に価値のある薬理学的特性を備えながら非常に許容性(tolerance)があることが発見された。
【0006】
特に、それらは、アンタゴニストまたはアゴニストとして細胞増殖を阻害する作用を示す。したがって、本発明の化合物は、腫瘍、腫瘍増殖および/または腫瘍転移を制御および/または治療するために使用することができる。
【0007】
この抗増殖作用は、HCT116増殖測定法で試験することができる。
【0008】
癌と闘うためのその他のキノリン誘導体は、例えば、米国特許第6030983号、第5712289号、第5646150号またはWO94/29308によって知られている。
【0009】
したがって、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩は、固形癌を含む癌、例えば、癌腫(solid carcinoma)(例えば、肺、膵臓、甲状腺、膀胱または結腸(colon))、骨髄疾患(myeloid diseases)(例えば、骨髄腫白血病)または腺腫(adenoma)(例えば、絨毛結腸腺腫(villous colon adenome))の治療のために投与される。
【0010】
さらに、腫瘍(tumor)には、単球白血病(monocytic leukaemia)、脳癌、泌尿生殖器(urogenital)癌、リンパ系癌、胃癌、咽頭癌、ならびに肺腺癌(lung adenocarcinoma)および小細胞肺癌(small-cell lung carcinoma)を含む肺癌(lung carcinoma)、膵臓癌(pancreatic carcinoma)および/または乳癌(breast carcinoma)が含まれる。
【0011】
さらに、この化合物は、HIV−1(ヒト免疫不全ウイルス1型)によって誘発された免疫不全の治療に有用である。
【0012】
癌様過剰増殖性疾患(cancer-like hyperproferative diseases)と見なされるのは、脳癌、肺癌、扁平上皮癌(squamous epithelial cencer)、膀胱癌、胃癌、膵臓癌、肝臓癌、腎臓癌、膀胱癌、結腸癌(colorectal cancer)、乳癌、頭部癌、頚部癌、食道癌、婦人科癌(gynaecological cancer)、甲状腺癌、リンパ腫、慢性白血病および急性白血病である。特に、癌様細胞増殖は、本発明の標的となる疾患である。したがって、本発明は、前記疾患の治療および/または予防における医薬品および/または医薬品として活性のある成分としての本発明の化合物、ならびに前記疾患の治療および/または予防のための薬剤を調製するための本発明の化合物の使用、ならびに本発明の1種または複数の化合物の、このような投与を必要とする患者への投与を含む前記疾患の治療方法に関する。
【0013】
本発明の化合物が抗増殖作用を有することを示すことが可能とされる。本発明の化合物は、例えば、腫瘍増殖を阻害するため、リンパ球増殖性疾患に関連した炎症を抑えるため、移植拒否または組織修復などによる神経障害(neurological damage)を阻害するために、過剰増殖性疾患を有する患者に投与される。本発明の化合物は、予防または治療目的に適している。本明細書で使用したように、「治療」とは、疾患の防御および既存の症状の治療の両方を意味するために使用される。増殖の防御は、例えば、腫瘍増殖を防御するために、明白な疾患が発症する前に本発明の化合物を投与することによって実施される。あるいは、この化合物は、患者の臨床症状を安定化または改善することによって進行している疾患を治療するために使用される。
【0014】
宿主または患者には、いかなる哺乳類、例えば、霊長類、特にヒト、マウス、ラットおよびハムスターを含む齧歯類、ウサギ、ウマ、ウシ、イヌ、ネコなどに属することができる。動物モデルは、ヒト疾患の治療のためのモデルであるならば、実験研究のために興味が持たれる。
【0015】
本発明の化合物による治療に対する特定の細胞の感受性は、in vitroの試験によって測定することができる。一般的に、培養細胞を、活性薬剤が細胞死を誘導するか、移動(マイグレーション)を阻害するのに十分な時間、通常約1時間と1週間の間、様々な濃度の本発明の化合物と一緒にする。in vitro試験は、生検試料から培養した細胞を使用して実施することができる。その後、処理後も残存する生細胞の数を計数する。
【0016】
使用した特定の化合物、特定の疾患、患者の状態などに応じて用量を変化させる。治療用量は一般的に、患者の生存能は維持される一方で、標的組織の望ましくない細胞集団を減少させるのに全く十分である量とされる。治療は一般的に、かなりの減少、例えば、負荷された細胞の少なくとも約50%の減少が生じるまで継続され、体内において望ましくない細胞が本質的に検出されなくなるまで継続してよい。
【0017】
細胞増殖の制御解除(deregulation)および細胞死(アポトーシス)に関連した多くの疾患がある。関心のある症状には、限定はしないが、以下のものが含まれる。本発明の化合物は、平滑筋細胞(smooth muscle)および/または炎症細胞が血管の内膜層(intimal layer)へ増殖かつ/または移動し、その血管を通る血流の制限を引き起こす様々な症状、例えば、新生内膜閉塞性病変(occlusive graft vascular disease)の場合の治療に適している。関心のある閉塞性の移植血管の疾患には、アテローム性動脈硬化(atherosclerosis)、移植後の冠状動脈血管疾患(coronary vascular disease)、血管移植の狭窄(vein graft stenosis)、人工器官吻合周囲の再狭窄(peri-anastomatic prosthetic restenosis)、血管形成(angioplasty)またはステント置換(stent placement)後の再狭窄などが含まれる。
【0018】
本発明はまた、これらの化合物の光学活性型(立体異性体)、鏡像異性体(enantiomers)、ラセミ体、ジアステレオマーおよび水和物および溶媒和物に関する。化合物の溶媒和物という用語は、相互引力によって生じる不活性溶媒分子のその化合物上への添加を意味するものとされる。溶媒和物は、例えば、一もしくは二水和物またはアルコキシドである。
【0019】
薬学的に使用できる誘導体という用語は、例えば、本発明による化合物の塩およびいわゆるプロドラッグ化合物も意味するものとされる。
【0020】
プロドラッグ誘導体という用語は、例えば、アルキルもしくはアシル基、糖もしくはオリゴペプチドによって修飾され、生体中で迅速に切断されて本発明による活性化合物を形成する式Iの化合物を意味するものとされる。
【0021】
これらは、例えば、Int.J.Pharm.115、61〜67(1995)に記載が参照できるように、本発明による化合物の生分解性高分子誘導体も含む。
【0022】
「有効量」という表現は、組織、系、動物またはヒトにおいて、例えば、研究者または医師によって求められるか、所望されている生物学的または医学的応答を引き起こす医薬品または薬学的に活性のある成分の量を意味する。
【0023】
さらに、「治療有効量」という表現は、この量を投与されなかった対応する対象と比較して、以下の結果、すなわち、疾患、症候群、症状、愁訴、障害もしくは副作用の、改善された治療、治癒、予防もしくは除去、または疾患、愁訴もしくは障害の進行の抑制ももたらす量を表す。
【0024】
「治療有効量」という表現はまた、正常な生理学的機能を増強するために有効な量を包含する。
【0025】
本発明はまた、式Iの化合物の混合物、例えば、2種のジアステレオマーの、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:10、1:100または1:1000の比の混合物に関する。
【0026】
これらは、立体異性体化合物の混合物が特に好ましい。
【0027】
本発明は式Iの化合物およびそれらの塩ならびに請求項1から13に記載の式Iの化合物およびそれらの薬学的に使用できる誘導体、塩、溶媒和物および立体異性体に関し、
a)Xが存在しないか、CH2を表す式Iの化合物の調製のために、
式IIの化合物
【0028】
【化2】

【0029】
(R1、R1'およびR2は、請求項1で示した意味を有する)
を、式IIIの化合物
【0030】
【化3】

【0031】
(Xは、存在しないか、CH2を表し、
YおよびR3は、請求項1で示した意味を有し、
Lは、Cl、Br、Iまたは遊離の、もしくは反応性が機能的に変更されたOH基を表す)
と反応させるか、あるいは、
b)XがNR6を表す式Iの化合物の調製のために、
式IIの化合物を、
式IVの化合物
【0032】
【化4】

【0033】
(YおよびR3は、請求項1で示した意味を有する)
と反応させるか、あるいは、
c)加溶媒分解剤(solvolysing agent)または水素化分解剤(hudrogenolysin agent)で処理することによって、それらを機能的誘導体の1つから遊離させるか、あるいは、
d)XがNR6またはOを表す式Iの化合物の調製のために、
式Vの化合物
【0034】
【化5】

【0035】
(R1、R1'およびR2は、請求項1で示した意味を有し、
Zはヒドロキシル保護基を表す)
を、a)イソプロピリデンクロロホルメート、
b)p−ニトロフェニルクロロホルメート、
c)ジホスゲン、
d)トリホスゲン
の群から選択された結合試薬、
および式VIの化合物
H−X−Y−R3 VI
(Xは、NR6またはOを表し、
YおよびR3は、請求項1で示した意味を有する)
と反応させ、
その後、ヒドロキシル保護基Zを切断し、
及び/または、式Iの塩基または酸をその塩の1つに変換することにより特徴付けられる。
【0036】
上記および下記において、基X、Y、R1、R1'、R2およびR3は、特記していなければ、式Iで指示した意味を有する。
【0037】
Aは、アルキルを表し、非分岐(直鎖)または分岐であり、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10個のC原子を有する。Aは好ましくはメチル、さらに、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、さらにまた、ペンチル、1−、2−または3−メチルブチル、1,1−、1,2−または2,2−ジメチルプロピル、1−エチル−プロピル、ヘキシル、1−、2−、3−または4−メチルペンチル、1,1−、1,2−、1,3−、2,2−、2,3−または3,3−ジメチルブチル、1−または2−エチルブチル、1−エチル−1−メチルプロピル、1−エチル−2−メチルプロピル、1,1,2−または1,2,2−トリメチルプロピル、さらに好ましくは、例えば、トリフルオロメチルを表す。
【0038】
Aは、特に好ましくは、1、2、3、4、5または6個のC原子を有するアルキル、好ましくは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチルまたは1,1,1−トリフルオロエチルを表す。
【0039】
シクロアルキルは、好ましくは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルまたはシクロヘプチルを意味する。
【0040】
シクロアルキルアルキレンは、好ましくは、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチルまたはシクロヘプチルメチルを意味する。
【0041】
アルキレンは、好ましくは非分枝であり、好ましくはメチレン、エチレンまたはプロピレンを表す。
【0042】
5個から14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環は、好ましくは、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、ナフチル、ビフェニルまたはテトラヒドロナフチルを表す。
【0043】
Arは好ましくは、非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換された6個から14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表す。
【0044】
Arは、例えば、フェニル、o−、m−またはp−トリル、o−、m−またはp−エチルフェニル、o−、m−またはp−プロピルフェニル、o−、m−またはp−イソプロピルフェニル、o−、m−またはp−tert−ブチルフェニル、o−、m−またはp−トリフルオロメチルフェニル、o−、m−またはp−フルオロフェニル、o−、m−またはp−ブロモフェニル、o−、m−またはp−クロロフェニル、o−、m−またはp−ヒドロキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシフェニル、o−、m−またはp−メチルスルホニルフェニル、o−、m−またはp−ニトロフェニル、o−、m−またはp−アミノフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノフェニル、o−、m−またはp−ジメチルアミノフェニル、o−、m−またはp−アミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−メチルアミノスルホニルフェニル、o−、m−またはp−アミノカルボニルフェニル、o−、m−またはp−カルボキシフェニル、o−、m−またはp−メトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−エトキシカルボニルフェニル、o−、m−またはp−アセチルフェニル、o−、m−またはp−ホルミルフェニル、o−、m−またはp−シアノフェニルを表し、さらに好ましくは、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジフルオロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジクロロフェニル、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−または3,5−ジブロモフェニル、2,3,4−、2,3,5−、2,3,6−、2,4,6−または3,4,5−トリクロロフェニル、p−ヨードフェニル、4−フルオロ−3−クロロフェニル、2−フルオロ−4−ブロモフェニル、2,5−ジフルオロ−4−ブロモフェニルまたは2,5−ジメチル−4−クロロフェニルを意味する。
【0045】
Arは特に好ましくは、それぞれが非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換されたフェニル、ナフチルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを表す。
【0046】
他の置換に関係なく、Hetは、例えば、2−または3−フリル、2−または3−チエニル、1−、2−または3−ピロリル、1−、2、4−または5−イミダゾリル、1−、3−、4−または5−ピラゾリル、2−、4−または5−オキサゾリル、3−、4−または5−イソオキサゾリル、2−、4−または5−チアゾリル、3−、4−または5−イソチアゾリル、2−、3−または4−ピリジル、2−、4−、5−または6−ピリミジニルを意味し、さらにより好ましくは、1,2,3−トリアゾール−1−、−4−または−5−イル、1,2,4−トリアゾール−1−、−3−または5−イル、1−または5−テトラゾリル、1,2,3−オキサジアゾール−4−または−5−イル、1,2,4−オキサジアゾール−3−または−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−2−または−5−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−または−5−イル、1,2,3−チアジアゾール−4−または−5−イル、3−または4−ピリダジニル、ピラジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インドリル、4−または5−イソインドリル、1−、2−、4−または5−ベンズイミダゾリル、1−、2−、3−、4−、5−、6−または7−インダゾリル、1−、3−、4−、5−、6−または7−ベンゾピラゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾキサゾリル、3−、4−、5−、6−または7−ベンズイソオキサゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンゾチアゾリル、2−、4−、5−、6−または7−ベンズイソチアゾリル、4−、5−、6−または7−ベンズ−2,1,3−オキサジアゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−または8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−または8−イソキノリル、3−、4−、5−、6−、7−または8−シンノリニル、2−、4−、5−、6−、7−または8−キナゾリニル、5−または6−キノキサリニル、2−、3−、5−、6−、7−または8−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルを意味し、さらに好ましくは、1,3−ベンゾジオキソール−5−イル、1,4−ベンゾジオキサン−6−イル、2,1,3−ベンゾチアジアゾール−4または5−イルあるいは2,1,3−ベンゾキサジアゾール−5−イルを意味する。
【0047】
複素環基はまた、部分的に、または完全に水素化されていてよい。したがって、非置換のHetはまた、例えば、2,3−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または−5−フリル、2,5−ジヒドロ−2−、−3−、−4−または5−フリル、テトラヒドロ−2−または−3−フリル、1,3−ジオキソラン−4−イル、テトラヒドロ−2−または−3−チエニル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、2,5−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピロリル、1−、2−または3−ピロリジニル、テトラヒドロ−1−、−2−または−4−イミダゾリル、2,3−ジヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−または−5−ピラゾリル、テトラヒドロ−1−、−3−または−4−ピラゾリル、1,4−ジヒドロ−1−、−2−、−3−または−4−ピリジル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−または−6−ピリジル、1−、2−、3−または4−ピペリジニル、2−、3−または4−モルホリニル、テトラヒドロ−2−、−3−または−4−ピラニル、1,4−ジオキサニル、1,3−ジオキサン−2−、−4−または−5−イル、ヘキサヒドロ−1−、−3−または−4−ピリダジニル、ヘキサヒドロ−1−、−2−、−4−または−5−ピリミジニル、1−、2−または3−ピペラジニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−キノリニル、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−、−2−、−3−、−4−、−5−、−6−、−7−または−8−イソキノリル、2−、3−、5−、6−、7−または8−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ−1,4−オキサジニルを意味し、さらに好ましくは、2,3−メチレンジオキシフェニル、3,4−メチレンジオキシフェニル、2,3−エチレンジオキシフェニル、3,4−エチレンジオキシフェニル、3,4−(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3−ジヒドロベンゾフラン−5−または6−イル、2,3−(2−オキソメチレンジオキシ)フェニルまたは3,4−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−6−または−7−イル、さらに好ましくは2,3−ジヒドロベンゾフラニルまたは2,3−ジヒドロ−2−オキソフラニルを意味することができる。
【0048】
Hetは好ましくは、1個から3個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環芳香族複素環を表す。Hetは、特に好ましくは、ピリジル、ピリミジニル、チエニルまたはフリルを表す。
【0049】
1およびR1'は、好ましくはHを表す。
【0050】
2は好ましくはH、OAまたはHalを表す。
【0051】
Xは好ましくは存在しないか、CH2またはNHを表す。
【0052】
Yは存在しないことが好ましい。
【0053】
3は好ましくは、
【0054】
【化6】

【0055】
を表す。
【0056】
Halは、好ましくはF、ClまたはBrを表し、特に好ましくはFまたはClを表す。
【0057】
本発明を通して、複数回出現する基は全て、同一であるか、異なっており、すなわち、互いに独立している。
【0058】
式Iの化合物は、1個または複数の不斉中心を有してよく、したがって、様々な立体異性体型で生じることができる。式Iは、これらの型全てを包含する。
【0059】
したがって、本発明は特に、前記基の少なくとも1つが前記で示した好ましい意味の1つを有する式Iの化合物に関する。化合物のいくつかの好ましい群は、式Iと同様である以下の亜式(sub-formula)IaからIkであって、特に詳細には指定されていない基は式Iに示した意味を有する。
【0060】
Iaでは、R1、R1'はHを表し、
Ibでは、R2は、H、OAまたはHalを表し、
Icでは、Arは、非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二、または三置換された5個から14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表し、
Idでは、Hetは、1個から3個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環芳香族複素環を表し、
Ieでは、Xは存在しないか、CH2またはNHを表し、
Ifでは、Yは存在せず、
Igでは、Arは、それぞれが非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換されたフェニル、ナフチルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを表し、
Ihでは、Hetは、ピリジル、ピリミジニル、チエニルまたはフリルを表し、
Iiでは、R3は、
【0061】
【化7】

【0062】
を表し、
Ijでは、R1、R1'はHを表し、
2は、H、OAまたはHalを表し、
3は、A、Ar、Het、NR45またはCHR45を表し、基R4またはR5の少なくとも1つは(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
4、R5はそれぞれ互いに独立して、H、A、(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
Xは、存在しないか、CH2またはNHを表し、
Yは存在せず、
Arは、非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換された5個から14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表し、
Hetは、1個から3個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環芳香族複素環を表し、
Aは、それぞれの場合において、互いに独立して、
1個から7個のH原子がF、Clおよび/またはBrによって置換されていてよい1個から10個のC原子を有する非分枝または分枝のアルキル、
3個から8個のC原子を有するシクロアルキル、あるいは
4個から10個のC原子を有するシクロアルキルアルキレンを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
nは、0、1または2を表し、
Ikでは、R1、R1'はHを表し、
2は、H、OAまたはHalを表し、
3は、A、Ar、Het、NR45またはCHR45を表し、基R4またはR5の少なくとも1つは(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
4、R5はそれぞれ互いに独立して、H、A、(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
Xは、存在しないか、CH2またはNHを表し、
Yは存在せず、
Arは、それぞれが非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換されたフェニル、ナフチルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを表し、
Hetは、ピリジル、ピリミジニル、チエニルまたはフリルを表し、
Aは、それぞれの場合において、互いに独立して、
1個から7個のH原子がF、Clおよび/またはBrによって置換されていてよい1個から10個のC原子を有する非分枝または分枝のアルキル、
3個から8個のC原子を有するシクロアルキル、あるいは
4個から10個のC原子を有するシクロアルキルアルキレンを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
nは、0、1または2を表す亜式、ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体によって表すことができる。
【0063】
式Iの化合物およびその調製のための開始物質も、さらに、文献に記載されたように(例えば、Houben−Weyl、Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの標準的参考書)、それ自体公知の方法によって、具体的には、公知かつ前記反応に適した反応条件下で調製される。本明細書で特に詳細には記載していない、それ自体公知の変種も本明細書で使用することができる。
【0064】
式Iの化合物は、好ましくは、式IIの化合物を式IIIの混合物と反応させることによって得ることができる。式IIおよび式IIIの化合物は、一般的に知られている。しかし、新たなものである場合、それ自体公知の方法によって調製することができる。
【0065】
この反応は、カルボジイミド、例えば、EDCI(N−エチル−N,N’−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)またはジシクロヘキシルカルボジイミドなどの存在下で、場合によって有機塩基、例えば、N−メチルモルホリンなどの存在下で、不活性溶媒中で実施される。
【0066】
活性化エステルはまた、反応系中(in situ)で、例えば、HOBt(ヒドロキシベンゾトリアゾール)またはN−ヒドロキシスクシンイミドを添加して有利に形成することができる。式IIIの化合物では、Lは、好ましくはCl、Br、Iまたは、遊離の、もしくは反応性が変更されたOH基、例えば、活性化エステル、イミダゾリドまたは1個から6個のC原子を有するアルキルスルホニルオキシ(好ましくは、メチルスルホニルオキシもしくはトリフルオロメチルスルホニルオキシ)または6個から10個のC原子を有するアリールスルホニルオキシ(好ましくはフェニルもしくはp−トリルスルホニルオキシ)を表す。
【0067】
一般的なアシル化反応におけるカルボキシル基活性化のためのこの種の基は、文献(例えば、Houben−Weyl、Methoden der Organischen Chemie[Methods of Organic Chemistry]、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgartなどの標準的参考書)に記載されている。
【0068】
使用した条件に応じて、反応時間は、数分から14日の間であり、反応温度は、約−15゜と150℃の間であり、通常は−5゜と90℃の間であり、特に好ましいのは20°と60℃との間である。
【0069】
適切な不活性溶媒は、例えば、炭化水素、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレン;塩素化炭化水素、例えば、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタン;アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノール;エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサン;グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム);ケトン、例えば、アセトンまたはブタノン;アミド、例えば、アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル、例えば、アセトニトリル;スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸、例えば、ギ酸または酢酸;ニトロ化合物、例えば、ニトロメタンまたはニトロベンゼン;エステル、例えば、酢酸エチル、または前記溶媒の混合物である。
【0070】
特に、THF、ジクロロメタンおよび/またはDMFが好ましい。
【0071】
式Iの化合物はさらに、式IIの化合物を式IVの化合物と反応させることによって得ることができる。
【0072】
式IVの化合物は、一般的に知られている。しかし、新たなものである場合、それ自体公知の方法によって調製することができる。
【0073】
この反応は一般的に、不活性溶媒中で、有機塩基、例えば、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンなどの存在下で実施される。使用した条件に応じて、反応時間は、数分から14日の間であり、反応温度は、約0゜と150℃の間であり、通常は15゜と90℃の間であり、特に好ましいのは15°と30℃との間である。適切な不活性溶媒は、前記のものである。
【0074】
エーテルの切断は、当業者に公知の方法によって実施される。
【0075】
エーテル、例えば、メチルエーテルの切断の標準的方法は、三臭化ホウ素を使用する。
【0076】
水素化分解によって除去可能な基、例えば、ベンジルエーテルの切断は、例えば、触媒(例えば、有利には支持体上、例えば、炭素上のパラジウムなどの貴金属触媒)の存在下で、水素で処理することによって行うことができる。本明細書で適切な溶媒は、前記に示した溶媒、特に、例えば、メタノールまたはエタノールなどのアルコール、またはDMFなどのアミドである。水素化分解は、一般的に、約0と100℃との間の温度、約1と200バールとの間の圧力、好ましくは20〜30℃および1〜10バールで実施される。
【0077】
エステルは、例えば、酢酸を使用して、または水に溶かしたNaOHもしくはKOH、水/THFもしくは水/ジオキサンを使用して、0と100℃との間の温度で鹸化することができる。
【0078】
式Iの化合物はさらに、加溶媒分解、特に加水分解、または水素化分解によって、機能的誘導体からそれらを遊離することによって得ることができる。
【0079】
加溶媒分解または水素化分解のための好ましい開始物質は、1個または複数の遊離アミノ基および/またはヒドロキシル基の代わりに対応する保護されたアミノ基および/またはヒドロキシル基を含有するもの、好ましくはN原子に結合したH原子の代わりにアミノ保護基を有するもの、例えば、式Iと同様であるが、NHR’基(R’がアミノ保護基、例えば、BOCまたはCBZを表す)を含有するものである。
【0080】
さらに、ヒドロキシル基のH原子の変わりにヒドロキシル保護基を有する開始物質、例えば、式Iと同様であるが、ヒドロキシフェニル基の代わりにR”O−フェニル基(R”はヒドロキシル保護基である)を含有するものが好ましい。
【0081】
開始物質の分子に、複数の、同一または異なった、保護アミノ基および/またはヒドロキシル基が存在することも可能である。存在する保護基が互いに異なるならば、多くの場合は選択的に切断することができる。
【0082】
「アミノ保護基」という用語は、一般的な用語で知られており、化学反応に対してアミノ基を保護(ブロック)するために適しているが、所望する化学反応が分子中のどこかで実施された後で容易に除去される基に関する。このような基の代表例は、特に、非置換であるか、置換されたアシル、アリール、アルアルコキシメチルまたはアルアルキル基である。アミノ保護基は、所望する反応(または反応系)の後で除去されるので、種類および大きさはあまり重大ではないが、1〜20個、特に1〜8個の炭素原子を有するものが好ましい。「アシル基」という用語は、この方法に関しては最も広い意味で理解されるべきである。脂肪族、アルアリファティック(araliphatic)、芳香族または複素環カルボン酸またはスルホン酸、特に、アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、特にアルアルコキシカルボニル基から得られたアシル基を含む。このようなアシル基の例は、アルカノイル、例えば、アセチル、プロピオニルおよびブチリル;アルアルカノイル、例えば、フェニルアセチル;アロイル、例えば、ベンゾイルおよびトリル;アリールオキシアルカノイル、例えば、POA;アルコキシカルボニル、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル、BOCおよび2−ヨードエトキシカルボニル;アルアルコキシカルボニル、例えば、CBZ(「カルボベンゾキシ」)、4−メトキシベンジルオキシカルボニルおよびFMOC;およびアリールスルホニル、例えば、Mtr、PbfおよびPmcである。好ましいアミノ保護基は、BOCおよびMtr、さらに、CBZ、Fmoc、ベンジルおよびアセチルである。
【0083】
「ヒドロキシル保護基」という用語は、同様に一般的な用語で知られており、化学反応に対してヒドロキシル基を保護するために適しているが、所望する化学反応が分子中のどこかで実施された後で容易に除去される基に関する。このような基の代表例は、前述の非置換であるか、置換されたアリール、アルアルキル基またはアシル基であり、さらにまた、アルキル基である。ヒドロキシル保護基は、所望する化学反応または反応系の後でまた除去されるので、その性質および大きさは重要ではないが、1〜20個、特に1〜10個の炭素原子を有する基が好ましい。ヒドロキシル保護基の例は、とりわけ、tert−ブトキシカルボニル、ベンジル、p−ニトロベンゾイル、p−トルエンスルホニル、tert−ブチルおよびアセチルで、ベンジルおよびtert−ブチルは、特に好ましい。アスパラギン酸およびグルタミン酸のCOOH基は、tert−ブチルエステル(例えば、Asp(OBut))の形態で保護されていることが好ましい。
【0084】
式Iの化合物は、使用した保護基に応じて機能的誘導体から、例えば、強酸を使用して、有利にはTFAまたは過塩素酸を使用して、またその他の強い無機酸、例えば、塩化水素酸または硫酸、強い有機カルボン酸、例えば、トリクロロ酢酸またはスルホン酸、例えば、ベンゼン−もしくはp−トルエンスルホン酸を使用して、遊離する。他の不活性溶媒が存在することは可能であるが、いつも必要とは限らない。適切な不活性溶媒は、好ましくは、有機、例えば、酢酸などのカルボン酸、テトラヒドロフランまたはジオキサンなどのエーテル、DMFなどのアミド、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、さらに、メタノール、エタノールまたはイソプロパノールなどのアルコールおよび水である。前述の溶媒の混合物もさらに適している。他の溶媒を添加せずにTFAを過剰に使用することが好ましく、過塩素酸は酢酸および70%過塩素酸の9:1の比の混合物の形態で使用することが好ましい。切断のための反応温度は、約0℃と約50℃との間が有利で、15℃と30℃の間(室温)が好ましい。
【0085】
例えば、BOC、OBut、Pbf、PmcおよびMtr基は、例えば、ジクロロメタンに溶かしたTFAを使用して、またはジオキサンに溶かした約3Nから5NのHClを使用して、15〜30℃で切断することが好ましく、FMOC基は、DMFに溶かしたジメチルアミン、ジエチルアミンまたはピペリジンの約5から50%溶液を使用して15〜30℃で切断することができる。
【0086】
トリチル基は、アミノ酸、ヒスチジン、アスパラギン、グルタミンおよびシステインを保護するために使用される。これらは、所望する最終生成物に応じて切断され、TFA/10%チオフェノールを使用するとトリチル基は前記アミノ酸全てから切断され、TFA/アニソールまたはTFA/チオアニソールを使用するとHis、AsnおよびGlnのトリチル基のみが切断され、Cys側鎖には残されたままになる。
【0087】
Pbf(ペンタメチルベンゾフラニル)基は、Argを保護するために使用される。これは、例えば、ジクロロメタンに溶かしたTFAを使用して切断される。
【0088】
水素化分解によって除去可能な保護基(例えば、CBZまたはベンジル)は、例えば、触媒(例えば、有利には支持体上、例えば、炭素上にあるパラジウムなどの貴金属触媒)の存在下で、水素で処理することによって切断することができる。本明細書で適切な溶媒は、前記に示した溶媒、特に、例えば、メタノールまたはエタノールなどのアルコール、またはDMFなどのアミドである。水素化分解は、一般的に、約0と100゜との間の温度、約1と200バールとの間の圧力、好ましくは20〜30゜および1〜10バールで実施される。CBZ基の水素化分解は、例えば、メタノール中の5から10%Pd/C、またはメタノール/DMF中のPd/C上のギ酸アンモニウム(水素の代わり)を使用して、20〜30℃でうまく成功する。
【0089】
XがNR6またはOを表す式Iの化合物は、好ましくは、式Vの化合物と、
a)イソプロピリデンクロロホルメート、
b)p−ニトロフェニルクロロホルメート、
c)ジホスゲン、
d)トリホスゲン
の群から選択されたカップリング試薬および式VIの化合物と反応させることによって得ることができる。この反応は好ましくは、1容器反応で実施される。
【0090】
この反応は一般的に、不活性溶媒中で実施される。
【0091】
使用した条件に応じて、反応時間は、数分と14日の間であり、反応温度は、約−15゜と150゜の間であり、通常は−5゜と90゜の間であり、特に好ましいのは20°と60℃との間である。
【0092】
適切な不活性溶媒は、例えば、炭化水素、例えば、ヘキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエンまたはキシレン;塩素化炭化水素、例えば、トリクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロホルムまたはジクロロメタン;アルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノールまたはtert−ブタノール;エーテル、例えば、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)またはジオキサン;グリコールエーテル、例えば、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム);ケトン、例えば、アセトンまたはブタノン;アミド、例えば、アセトアミド、ジメチルアセトアミドまたはジメチルホルムアミド(DMF);ニトリル、例えば、アセトニトリル;スルホキシド、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO);二硫化炭素;カルボン酸、例えば、ギ酸または酢酸;ニトロ化合物、例えば、ニトロメタンまたはニトロベンゼン;エステル、例えば、酢酸エチル、または前記溶媒の混合物である。
【0093】
特に、THF、ジクロロメタン、ピリジンおよび/またはDMFが好ましい。
【0094】
この反応は一般的に、酸結合剤、好ましくは有機塩基、例えば、DIPEA、トリエチルアミン、ジメチルアニリン、ピリジンまたはキノリンなどの存在下で実施する。
【0095】
アルカリまたはアルカリ土類金属水酸化物、アルカリまたはアルカリ土類金属、好ましくは、カリウム、ナトリウム、カルシウムまたはセシウムの炭酸塩または重炭酸塩または他の弱酸塩を添加することも好ましい。
【0096】
保護基は、その後上記のように切断される。
【0097】
薬学的塩およびその他の形態
本発明の前記化合物は、最終的に非塩形態で使用することができる。他方、本発明はまた、当業界で公知の方法によって、様々な有機および無機の酸および塩基から得ることができる薬学的に許容される塩の形態のこれらの化合物の使用を包含する。式Iの化合物の薬学的に許容される塩の形態は、ほとんどの部分が従来の方法によって調製される。式Iの化合物がカルボキシル基を含有するならば、その適切な塩の1種は、その化合物と、対応する塩基付加塩を得るために適した塩基とを反応させることによって形成することができる。このような塩基は、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化リチウムを含むアルカリ金属水酸化物、水酸化バリウムおよび水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物、カリウムエトキシドおよびナトリウムプロポキシドなどのアルカリ金属アルコキシド、およびピペリジン、ジエタノールアミンおよびN−メチル−グルタミンなどの様々な有機塩基である。式Iの化合物のアルミニウム塩も、同様に含まれる。式Iのある種の化合物の場合、酸付加塩は、これらの化合物を薬学的に許容される有機酸および無機酸、例えば、ハロゲン化水素、例えば、塩化水素、臭化水素またはヨウ化水素、その他の無機酸および対応するそれらの塩、例えば、硫酸塩、硝酸塩またはリン酸塩など、およびアルキルおよびモノアリールスルホン酸、例えば、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸およびベンゼンスルホン酸、およびその他の有機酸および対応するそれらの塩、例えば、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、酒石酸塩、マレイン酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、安息香酸塩、サリチル酸塩、アスコルビン酸塩などで処理することによって形成することができる。したがって、式Iの化合物の薬学的に許容される酸添加塩には、以下のものが含まれる。酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アルギニン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸塩)、重硫酸塩、亜硫酸水素塩、臭化物、ブチラート、カンホラート(camphorate)、カンホスルホン酸塩(camphorulfonate)、カプリル酸塩、塩化物、クロロ安息香酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、リン酸2水素塩、ジニトロ安息香酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、ガラクテレート(粘液酸由来)、ガラクツロン酸塩、グルコヘプタン酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミコハク酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヒプル酸塩(hippurate)、塩化水素化物、臭化水素化物、ヨウ化水素化物、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、イソブチル酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、マンデル酸塩、メタリン酸塩、メタンスルホン酸塩、メチル安息香酸塩、リン酸1水素塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、オレイン酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニル酢酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸塩、フタル酸塩、しかしこれは限定を意味しない。
【0098】
さらに、本発明による化合物の塩基塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)、マンガン(II)、カリウム、ナトリウムおよび亜鉛塩が含まれるが、これは限定を意味するものではない。前述の塩のうち、好ましいのは、アンモニウム、アルカリ金属塩、ナトリウムおよびカリウム、ならびにアルカリ土類金属塩、カルシウムおよびマグネシウムである。薬学的に許容される有機非毒性塩基から得られた式Iの化合物の塩には、一級、二級および三級アミン、天然に生じる置換アミンを含めた置換アミン、環式アミンおよび塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、クロロプロカイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン(ベンザチン)、ジシクロヘキシルアミン、ジエタノールアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リドカイン、リシン、メグルミン、N−メチル−D−グルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミンおよびトリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン(トロメタミン)も含まれるが、これは限定を意味するものではない。
【0099】
塩基性窒素含有基を含有する本発明の化合物は、ハロゲン化(C1〜C4)アルキル、例えば、塩化、臭化およびヨウ化メチル、エチル、イソプロピルおよびtert−ブチル、ジ(C1〜C4)アルキル硫酸塩、例えば、硫酸ジメチル、硫酸ジエチルおよび硫酸ジアミル;ハロゲン化(C10〜C18)アルキル、例えば、塩化、臭化およびヨウ化デシル、ドデシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル、ならびにハロゲン化アリール(C1〜C4)アルキル、例えば、塩化ベンジルおよび臭化フェネチルなどの薬剤を使用して四級化することができる。本発明の水溶性および油溶性化合物は、このような塩を使用して調製することができる。
【0100】
前述の好ましい医薬品の塩には、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、ベシル酸塩、クエン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、ヘミコハク酸塩、馬尿酸塩(hippurate)、塩化水素化物、臭化水素化物、イセチオン酸塩、マンデル酸塩、メグルミン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、リン酸ナトリウム、ステアリン酸塩、硫酸塩、スルホサリチル酸塩、酒石酸塩、チオリンゴ酸塩、トシル酸塩およびトロメタミンが含まれるが、限定を意味するものではない。
【0101】
式Iの塩基性化合物の酸付加塩は、遊離塩基型を、所望の酸の十分量と接触させることによって調製し、従来の方法で塩の形成を引き起こす。遊離塩基は、塩型を塩基と接触させ、従来の方法で遊離塩基を単離することによって再生することができる。遊離塩基型は、ある点に関して、それらの対応する塩形態とは極性溶媒中における溶解性などのある種の物理学的特性に関して異なるが、本発明のために、これらの塩は、他の点では、それらそれぞれの遊離塩基型に対応する。
【0102】
このように、式Iの化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、金属またはアミン、例えば、アルカリ金属およびアルカリ土類金属または有機アミンで形成される。好ましい金属は、ナトリウム、カリウム、マグネシウムおよびカルシウムである。好ましい有機アミンは、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、N−メチル−D−グルカミンおよびプロカインである。
【0103】
本発明による酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸型を所望する塩基の十分量と接触させることによって調製され、従来の方法で塩の形成を引き起こす。遊離酸は、塩型を酸と接触させ、従来の方法で遊離酸を単離することによって再生することができる。遊離酸型は、ある点に関して、それらの対応する塩形態とは極性溶媒中での溶解性などのある種の物理学的特性に関して異なるが、本発明のために、これらの塩は、その他の点では、それらそれぞれの遊離酸型に対応する。
【0104】
本発明による化合物がこの種の薬学的に許容される塩を形成できる複数の基を含有するならば、本発明はまた、多重塩を包含する。一般的な多重塩型には、例えば、重酒石酸塩、二酢酸塩、二フマル酸塩、二メグルミン酸塩、二リン酸塩、二ナトリウムおよび三塩化水素が含まれるが、これは限定を意味するものではない。
【0105】
前記に関して、本発明の関係では、「薬学的に許容される塩」という表現は、特にその塩型が、活性成分の遊離型または、この塩の形となる前に使用した活性成分のその他のいかなる塩型と比較しても、活性成分に薬物動態学的特性の改善を付与するならば、その塩の1つの形態の式Iの化合物を含む活性成分を意味するものとされる。この活性成分の薬学的に許容される塩型は、また、この塩の形となる前にまではなかった、さらには体内における治療効果に関してこの活性成分の薬物動態に有益な影響を及ぼすこともできる所望とする薬物動態学的特性を、この活性成分に初めてもたらすことができるものである。
【0106】
さらに、本発明は、式Iの化合物、及び/または、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体の少なくとも1種(全ての比のそれらの混合物も含む)と、場合によって賦形剤および/または補助剤と、を含む医薬品に関する。
【0107】
医薬製剤は、単位用量当たり予め決定された量の活性成分を含む投与単位の形態で投与することができる。このような単位には、治療する状態、投与方法および患者の年齢、体重および状態に応じて、例えば、本発明の化合物を0.5mgから1g、好ましくは1mgから700mg、特に好ましくは5mgから100mg含めることができ、あるいは、医薬製剤は、投与単位当たり予め決定された量の活性成分を含む投与単位の形態で投与することができる。好ましい投与単位製剤は、前記に示したような1日用量または部分用量、あるいは活性成分のそれらの対応する画分を含む製剤である。さらに、この種の医薬製剤は、医薬業界で一般的に知られている方法を使用して調製することができる。
【0108】
医薬製剤は、任意の所望する適切な方法によって、例えば、経口(頬側または舌下を含む)、経直腸、経鼻、局所(頬側、舌下または経皮を含む)、経膣または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を含む)法によって投与するために適応させることができる。このような製剤は、医薬業界で公知の方法全てを使用して、例えば、活性成分と賦形剤または補助剤を一緒にして調製することができる。
【0109】
経口投与に適応した医薬製剤は、分離した単位として、例えば、カプセルまたは錠剤、粉末または顆粒、水性または非水性液体に溶かした溶液または懸濁液、食用泡または発泡食品、あるいは水中油型液状エマルジョンまたは油中水型液状エマルジョンなどとして投与することができる。
【0110】
したがって、例えば、錠剤またはカプセルの形態で経口投与する場合、活性成分要素を経口非毒性の薬学的に許容される不活性賦形剤、例えば、エタノール、グリセロール、水などと一緒にすることができる。粉末は、化合物を適切な微細な大きさに粉末化し、それを同様の方法で粉末化した医薬賦形剤、例えば、食用炭水化物、例えば、澱粉またはマンニトールなどと共に混合することによって調製する。香料、保存剤、分散剤および色素は、同様に存在させてよい。
【0111】
カプセルは、粉末混合物を前述のように調製し、成形したゼラチン型に充填することによって製造する。流動促進剤および潤沢剤、例えば、高分散珪酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムまたは固形ポリエチレングリコールなどを充填操作前に粉末混合物に添加することができる。崩壊剤または可溶化剤、例えば、寒天(agar-agar)、炭酸カルシウムまたは炭酸ナトリウムなどを、医薬品の利用性を高めるためにカプセル形成後に同様に添加することができる。
【0112】
さらに、所望するならば、または必要ならば、適切な結合剤、潤沢剤および崩壊剤および色素を同様に混合物に組み入れることができる。適切な結合剤には、澱粉、ゼラチン、天然の糖類、例えば、グルコースまたはベータ−ラクトースなど、トウモロコシから製造された甘味料、天然および合成ゴム、例えば、アカシアゴム、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウムなど、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、蝋(ワックス)などが含まれる。これらの剤形で使用した潤沢剤には、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどが含まれる。崩壊剤には、これらに限定はしないが、澱粉、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、キサンタンガムなどが含まれる。錠剤は、例えば、粉末混合物を調製して、この混合物を顆粒化するか、乾燥圧縮して、潤沢剤および崩壊剤を添加し、錠剤にするために混合物全体を圧縮することによって製剤化される。粉末混合物は、適切な方法で粉末化された化合物と前述した通りの希釈剤または塩基、および場合によっては結合剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチンまたはポリビニルピロリドンなど、分解遅延剤、例えば、パラフィンなど、吸収促進剤、例えば、四級塩など、および/または吸収剤、例えば、ベントナイト、カオリンまたはリン酸二カルシウムなどと混合することによって調製される。粉末混合物は、結合剤、例えば、シロップ、澱粉ペースト、アラビアゴム粘液(acadia mucilage)またはセルロース溶液またはポリマー材料で湿潤させ、篩に押し通すことによって顆粒化することができる。顆粒化の代替方法としては、粉末混合物を錠剤形成装置に投入し、不均一な形状の塊を形成し、顆粒を形成するために粉砕することができる。顆粒は、錠剤成形型に粘着するのを防止するためにステアリン酸、ステアリン酸塩、タルクまたは鉱油を添加することによって滑らかにすることができる。その後、滑らかになった混合物を圧縮して錠剤を形成する。本発明による化合物はまた、易流動性不活性賦形剤と一緒にして、その後顆粒化または乾燥圧縮段階を実施することなく直接圧縮して錠剤を形成することができる。シェラック密封層、糖またはポリマー材料の層および蝋の光沢層からなる透明な、または不透明な保護層を存在させてよい。様々な投薬単位を区別できるように、これらのコーティング剤に色素を添加することができる。
【0113】
経口用液体、例えば、溶液、シロップおよびエリキシル(elixir)は、所与の量が予め指定した量の化合物を含むように、投与単位の形態に調製することができる。シロップは、適切な香料を含む水性溶液に化合物を溶解することによって調製することができ、一方エリキシルは、非毒性アルコール性媒体を使用して調製する。懸濁液は、化合物を非毒性媒体に分散することによって製剤化することができる。可溶化剤および乳化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテル、保存剤、香料添加物、例えば、ペパーミント油もしくは天然甘味料もしくはサッカリン、またはその他の人工甘味料などは、同様に添加することができる。
【0114】
経口投与用の投与単位製剤は、所望するならば、マイクロカプセルにカプセル化することができる。製剤はまた、放出を延長するか、遅延させる様な方法で、例えば、微粒子状物質をポリマー、蝋などでコーティングするか、それらに埋め込むことによって調製することができる。
【0115】
式Iの化合物およびそれらの塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体はまた、リポソーム送達系の形態、例えば、小さな単層リポソーム、大きな単層リポソームおよび多重膜リポソームなどで投与することができる。リポソームは、様々なリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどから形成することができる。
【0116】
式Iの化合物およびそれらの塩、溶媒和物および生理学的に機能のある誘導体はまた、化合物分子を結合させた個々の担体としてモノクローナル抗体を使用して送達することができる。この化合物はまた、標的化医薬品担体としての可溶性ポリマーに結合させることができる。このようなポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミドフェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミドフェノールまたはポリエチレンオキシドポリリシン、(これらはパルミトイルラジカルによって置換されている)を包含することができる。さらに、この化合物は、医薬品の制御放出を実現するために適した生分解性ポリマーの一種、例えば、ポリ乳酸、ポリ−エプシロン−カプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロキシピラン、ポリシアノアクリル酸エステルおよびヒドロゲルの架橋結合した、または両親媒性ブロックコポリマーと結合させることができる。
【0117】
経皮投与に適した医薬製剤は、受容者の表皮と長時間、密接に接触するために、独立した膏薬として投与することができる。したがって、例えば、Pharmaceutical Research、3(6)、318(1986)の一般用語で記載されているように、イオン泳動によって、活性成分を膏薬から送達することができる。
【0118】
局所投与に適合した医薬化合物は、軟膏、クリーム、懸濁液、ローション、粉末、溶液、ペースト、ジェル、スプレー、エアロゾルまたは油として製剤化することができる。
【0119】
目またはその他の外部組織、例えば、口および皮膚の治療のためには、製剤を局所用軟膏またはクリームとして塗布することが好ましい。軟膏を生成するための製剤の場合、活性成分はパラフィンまたは水混和性クリームベースのいずれかと共に使用することができる。あるいは、活性成分は、水中油型クリーム基剤または油中水型基剤でクリームを形成するために製剤化することができる。
【0120】
目への局所適用に適合した医薬製剤には、活性成分を適切な担体、特に水性溶媒に溶解または懸濁した点眼薬が含まれる。
【0121】
口内での局所投与に適合した医薬製剤には、ロゼンジ(lozenge)、トローチ(pastille)および口内洗浄剤が包含される。
【0122】
直腸投与に適合した医薬製剤は、座剤または浣腸の形態で投与することができる。
【0123】
担体物質が固形である経鼻投与に適応した医薬製剤は、粒径が、例えば、20から500ミクロンの範囲であり、鼻吸入を行う方法で、すなわち、鼻の近くに保持した粉末含有容器から鼻経路を介して迅速に吸入されることによって投与される粗い粉を含む。担体物質として液体と共に経鼻スプレーまたは点鼻薬として投与するために適した製剤は、活性成分の水溶液または油溶液を包含する。
【0124】
吸入によって投与するために適合した医薬製剤は、微粒子化粉末または噴霧を包含し、エアロゾル、ネブライザーまたは注入器を備えた様々な種類の加圧ディスペンサーによって発生させることができる。
【0125】
膣投与に適合した医薬製剤は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ジェル、ペースト、泡状製剤またはスプレー製剤として投与することができる。
【0126】
非経口投与に適合した医薬製剤には、抗酸化剤、緩衝液、静菌剤ならびに治療する受容対象の血液で製剤を等張にするために利用する溶質を含む水性および非水性滅菌注射溶液、ならびに懸濁媒体および増粘剤を含むことができる水性および非水性滅菌懸濁液が含まれる。製剤は、単回用量または多用量容器、例えば、密封したアンプルおよびバイアルに入れて投与することができ、使用直前に、滅菌担体液体、例えば注射用の水を添加することのみが必要とされるように、凍結乾燥(凍結乾燥)状態で保存することができる。この製法で調製される注射溶液および懸濁液は、滅菌粉末、顆粒および錠剤から調製することができる。
【0127】
言うまでもないことであるが、前記で詳述した構成要素に加えて、これらの製剤はまた、特定の種類の製剤に関して当業界で使用されるその他の薬剤を含むことができ、したがって、例えば、経口投与に適した製剤は、香料を含むことができる。
【0128】
式Iの化合物の治療有効量は、例えば、動物の年齢および体重、治療を必要とする正確な症状およびその重症度、製剤の性質および投与方法を含むいくつかの要素に左右され、治療医または獣医によって最終的に決定される。しかし、腫瘍増殖、例えば、結腸癌または乳癌を治療するための本発明による化合物の有効量は一般的に、1日当たり0.1mgから100mg/kg受容体(哺乳類)の体重の範囲、特に一般的には、1日当たり1mgから10mg/kg体重の範囲である。したがって、重量70kgの成体哺乳類の1日当たりの実際量は、通常70mgと700mgとの間で、この量は、1日当たりの単回用量として、または通常、1日当たり一連の部分用量(例えば、2、3、4、5または6回)で投与することができ、したがって、総1日用量は同じである。それらの塩または溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体の有効量は、本発明による化合物の有効量の画分自体の割合として測定することができる。類似の用量が、前述のその他の症状の治療に適していると考えることができる。
【0129】
さらに、本発明は、式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、(全ての比のそれらの混合物を含む)の少なくとも1種と、少なくとも1種の他の医薬品活性成分を含む医薬品に関する。
【0130】
本発明はまた、
(a)式Iの化合物および/またはそれらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体、(全ての比のそれらの混合物を含む)の少なくとも1種の有効量、ならびに
(b)他の医薬品活性成分の有効量の別個の容器からなるセット(キット)に関する。
【0131】
このセットは、適切な容器、例えば、箱、個々の瓶、バッグまたはアンプルを含む。このセットは、例えば、式Iの化合物の有効量および/または全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物および立体異性体の有効量、ならびに溶解した形態、または凍結乾燥した形態の他の医薬品活性成分の有効量をそれぞれ含有する別個のアンプルを含んでよい。
【0132】
用途
本発明の化合物は、癌疾患の治療および制御における哺乳類、特にヒトのための薬剤活性成分として適している。
【0133】
本発明には、癌の治療または予防のための医薬品を調製するための、式Iの化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および溶媒和物の使用が包含される。治療に好ましい癌は、脳癌、尿生殖器癌、リンパ系の癌、胃癌、喉頭癌および肺癌の群に由来する。好ましい癌の形態の他の群は、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫および乳癌である。
【0134】
哺乳類における腫瘍誘発性の疾患の治療または制御のための医薬品を調製するための、式Iの化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および溶媒和物の使用も包含され、この方法では、本発明による化合物の治療有効量は、このような治療を必要とする病気の哺乳類に投与される。治療のための量は、特定の疾患によって変化し、当業者があまり苦労せずに決定することができる。
【0135】
固形癌である疾患を治療するための使用が特に好ましい。
【0136】
固形癌は、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭部および頚部、食道、子宮頚部(cervix)、甲状腺、小腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群から選択されることが好ましい。
【0137】
さらに、この固形癌は、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、神経膠芽腫、結腸癌および乳癌の群から選択されることが好ましい。
【0138】
さらに、血液および免疫系の癌の治療、好ましくは急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群から選択された腫瘍の治療のための使用が好ましい。
【0139】
本発明はさらに、骨肉腫、骨粗鬆症およびくる病から生じる骨の病変の治療のための、本発明による化合物の使用に関する。
【0140】
式Iの化合物はまた、治療する症状に対して特定の有用性のために選択されたその他の周知の治療薬と同時に投与してよい。
【0141】
本発明の化合物はまた、公知の抗癌剤との組み合わせに適している。これら公知の抗癌剤には、以下のエストロゲン受容体調節因子、アンドロゲン受容体調節因子、レチノイド受容体調節因子、細胞毒性剤、増殖抑制剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤および他の血管形成抑制剤が含まれる。本発明の化合物は、放射線療法と同時に投与するのに特に適している。
【0142】
「エストロゲン受容体調節因子」とは、機序に関係なく、エストロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を意味する。エストロゲン受容体調節因子の例には、タモキシフェン、ラロキシフェン、イドキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]フェニル−2,2−ジメチルプロパノエート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニルヒドラゾンおよびSH646が含まれるが、これらだけに限定されない。
【0143】
「アンドロゲン受容体調節因子」とは、機序に関係なく、アンドロゲンの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を意味する。アンドロゲン受容体調節因子の例には、フィナステリドおよびその他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾルおよびアビラテロンアセタートが含まれる。
【0144】
「レチノイド受容体調節因子」とは、機序に関係なく、レチノイドの受容体への結合を妨害または阻害する化合物を意味する。レチノイド受容体調節因子の例には、ベキサロテン、トレチノイン、13−cis−レチノイン酸、9−cis−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチナミドおよびN−4−カルボキシフェニルレチナミドが含まれる。
【0145】
「細胞毒性剤」とは、主に細胞機能に直接作用することにより細胞死を引き起こすか、あるいは細胞における減数分裂を阻害または妨害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、挿入剤(インターカレーター)、微小管(microtubulin)阻害剤およびトポイソメラーゼ阻害剤が含まれる。
【0146】
細胞毒性剤の例には、チラパジミン、セルテネフ、カケクチン、イホスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトル、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキサリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、トシル酸イムプロスルファン、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチルピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルフォスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジニルスペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アンルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アンナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755および4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニルダウノルビシンが含まれるが、これらに限定されない(WO00/50032参照)。
【0147】
微小管阻害剤の例には、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオネート、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258およびBMS188797が含まれる。
【0148】
トポイソメラーゼ阻害剤は、例えば、トポテカン、ヒカプタミン、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソベンジリデンチャルトレウシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスフェート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシエトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクリン、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソル−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2−(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジエチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オンおよびジメスナである。
【0149】
「増殖抑制剤」には、アンチセンスRNAおよびDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231およびINX3001、ならびに抗代謝薬、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキサート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクホスファート、フォステアビンナトリウム水和物、ラルトリトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジン、N−[5−(2,3−ジヒドロベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクテインアスシジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソル、デキラゾキサン、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシンおよび3−アミノピリジン−2−カルボキサルデヒドチオセミカルバゾンが含まれる。「増殖抑制剤」には、トラスツズマブなどの「血管形成阻害剤」に挙げられている化合物の他に、増殖因子に対するモノクローナル抗体、組換えウイルス媒介遺伝子転移により送達することができるp53などの腫瘍抑制遺伝子(例えば、米国特許第6069134号参照)も含まれる。
【0150】
in vitroにおける腫瘍細胞増殖に対する薬理学阻害剤の作用の証拠
1.0 背景
本発明の実験の記載では、活性成分による腫瘍細胞増殖の阻害を説明する。
【0151】
細胞増殖は、ヨウ化プロピジウムの取り込みを測定することによって概算される。溶解した、遊離状態では、ヨウ化プロピジウムは無色で、蛍光を発しない。健康な細胞に進入することは妨害されている。しかし、細胞が界面活性剤NP40の添加によって死滅すると、細胞膜および核膜が透過性になる。PIは、それ自体が細胞核のDNAに結合し、この複合体は蛍光を発する。この蛍光を蛍光計で測定する。
2.0 実験方法
2.1 細胞培養
市販の結腸癌細胞系(colon carcinoma cell line)
2.1.1 接着型(継代培養)で増殖した細胞の脱着
2.1.2 細胞数および生命力の測定
2.2 実験用細胞の接種
ウェル当たり細胞10000個を180μlの量で96穴プレートに播種する。外周の行、A1〜12、1A〜H、12A〜HおよびH1〜12には、培地または緩衝液200μlのみを充填する。
2.2.1 細胞の予備インキュベーション
細胞を、37℃で10%CO2を通気して24時間インキュベートする。
2.3 プレートの計画および物質の添加
活性物質を試験するために、対応する希釈をまず作製し、ウェルに割り当てなければならない。ここに1例として示した1:3希釈のスキームは、所望に対応して変化させることができる。説明したスキームは、4種類の試験物質について設計されている。
【0152】
この配置は、1提案にすぎない。対象に応じて、別の区分も選択できる。
【0153】
【表1】

【0154】
表1中:

100%値、溶媒対照または陽性対照(列B〜G、ウェル10+11):
培地、溶媒希釈液または陽性対照(IC50)の対応する希釈液20μlをこれらの穴にピペットで入れる。
物質群(列B〜G、ウェル2〜9):
物質希釈液20μlをこれらの穴にピペットで入れる。
【0155】
物質の希釈系列をその他のプレート(例えば、1:3希釈)に入れる。
【0156】
培地147μlを列1、2、3、4の他のプレートの行Bの各ウェルに入れ、試験物質3μlを添加する(=300μM)。培地100μlを行C〜G、列1〜4に入れる。次に、マルチチャンネルピペットを使用して、50μlを行Cに移し、8回混合して、その後この行から行Dに50μlを移す。行Gに到達するまで、混合後、希釈液50μlを取り出し、廃棄することを同様に繰り返す。今度は所望する希釈液各100μlを他のプレートに配置し、試験プレートに直接20μlを移すことのみが必要となる。
【0157】
【表2】

【0158】
2.4 細胞のインキュベーション
プレートを37℃で10%CO2を通気して、3日間インキュベートする。この時点での細胞倍率は、ヨウ化プロピジウムによって測定する。
2.5 ヨウ化プロピジウムによる細胞増殖の測定
2.5.1 PIおよびNP40の添加
ウェル当たりPI保存溶液20μlおよびNP40保存溶液10μlが必要である。各プレートにはPIおよびNP40が満たされたウェルが72個あるので、プレート当たりPI保存溶液1440μl、NP保存溶液720μlが必要である。ピペッティングによる損失を考慮すると、PI保存溶液1.8mlを採取して、ピペッティング直前にNP40保存溶液0.9mlと混合する。PI/NP40混合物30μlを、培地200μlがウェルそれぞれに入ったプレートの各ウェルにピペットで入れる。その後、プレートをインキュベーターに2時間入れる。
2.5.2 測定および計算
プレートは、蛍光光度計によって、波長Ex.520nmおよびEm620nmで測定する。全値から背景(=培地+PI)を差し引いて、その後平均して(2つの値)、対照の%で表すか、計算する。
【0159】
計算:
100*(個々の値の平均−背景の平均)/(100%の個々の値の平均−背景の平均)
IC50(最大作用の半分)は、例えば、RS1などの統計学的プログラムを使用して計算することができる。
【0160】
本発明のいくつかの化合物のIC50を表1に示す。
3.0 材料、試薬および溶液
3.1 材料:会社/カタログ番号
Ascent Fluoroskan:Labsystems/S No.:374 009−751
8チャンネルピペット(例、フィンピペット、5〜50μl):Kuehn u. Bayer/4142407
8チャンネルピペット(例、フィンピペット、50〜300μl):Kuehn u. Bayer/4142417
12チャンネルピペット(例、フィンピペット、5〜50μl):Kuehn u. Bayer/4172307
12チャンネルピペット(例、フィンピペット、50〜300μl):Kuehn u. Bayer/4172317
マルチピペット4780:Eppendorf/4780
Varipette200〜1000μl:Eppendorf/4810
Varipette10〜100μl:Eppendorf/4810
Varipette0.5〜10μl:Eppendorf/4810
滅菌シリンジ、標準チップ10μl:Eppendorf/22195
滅菌シリンジ、標準チップ1000μl:Eppendorf/35443
滅菌シリンジ、BR−38 100μl:BioRad/223−9038
ポリプロピレンチューブ、50ml、滅菌:Falcon/2070
ポリプロピレンチューブ、6ml、滅菌:Falcon/2063
ポリプロピレンチューブ、14ml、滅菌:Falcon/2059
組織培養用96ウェルマイクロタイタープレート、滅菌:Nunc/167008
試薬容器、滅菌:Costar/4870
反応容器、1.5mlポリプロピレン:Eppendorf/3810
滅菌フィルター(ボトルトップフィルター)0.22μm:Falcon/7105
3.2 試薬および保存溶液:会社/カタログ番号
培養培地:
MEM ALPHA培地:Gibco/22571−020
(+4℃で保存)
ウシ胎児血清(FCS)、滅菌:Gibco/011−06290M
(小瓶:50mlポリプロピレンチューブで50ml、−20℃で保存)
ペニシリン/ストレプトマイシン:Gibco/15140−114
(−20℃で保存)
L−グルタミン(200mM):Gibco/25030−024
(−20℃で保存)
Nonidet(登録商標)P40:Bio Chemika/74385
[ノニルフェニルポリエチレングリコール]
ヨウ化プロピジウム:Sigma/P4170
分光器用DMSO(ジメチルスルホキシド):Merck/2950
3.3 溶液の調製
3.3.1 培養培地
アルファ−MEM500ml(1瓶)
+FCS50ml=10%
+ペニシリン/ストレプトマイシン5ml
+グルタミン5ml=2mM
+4℃で保存
3.3.2 試験物質:
DMSOに溶かした15μMの所望する保存溶液を調製した。培養培地で希釈することによって、細胞培養(前述)で試験する濃度の10倍に調節する。
3.3.3 ヨウ化プロピジウム保存溶液
PI20mgをPBS20mlに溶解し、試験管を遮光して(アルミニウムホイルで包む)4℃で保存する。
3.3.4 NP40保存溶液
水で11%に溶解し、4℃で保存する。
【0161】
上記および下記において、温度は全て℃で示す。以下の実施例において、「従来の後処理」とは、最終生成物の構成に応じて、必要ならば水を添加し、必要ならばpHを2と10との間の値に調節し、混合物を酢酸エチルまたはジクロロメタンで抽出し、相を分離し、有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、留去して、生成物をシリカゲルのクロマトグラフィーおよび/または結晶化によって精製することを意味する。シリカゲルでのRf値;溶出液:酢酸エチル/メタノール9:1。
質量分析(MS):
−EI(電子衝撃イオン化)M+
−FAB(高速原子衝撃)(M+H)+
−ESI(エレクトロスプレーイオン化)(M+H)+
APCI−MS(大気圧化学イオン化−質量分析)(M+H)+
HPLC勾配系
カラム:
ChromolithPerformanceRP−18e(Merck KGaA、Cat.1.02129.0001)
溶出液:
溶出液A:0.1M NaH2PO4水溶液
溶出液B:アセトニトリル+水10%
流速:4ml/分
勾配:
0分 Bの1%
1分 Bの1%
7分 Bの99%
8分 Bの99%
【0162】
実施例1
N−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3,3−ジフェニルプロピオンアミド(「A1」)の調製は、以下のスキームに添って実施する。
【0163】
【化8】

【0164】
a)5−クロロキノリン−8−オール10gを濃H2SO456mlに溶解し、HNO32.8ml+H2O0.5mlの100%の混合物を、上限0℃に冷却して撹拌しながら滴下し、その後この混合物を冷却せずにさらに2時間撹拌する。
【0165】
後処理:この混合物を氷/H2O300ml中で撹拌して、得られた沈殿物を分離し、H2Oで数回洗浄して、少量の冷MeOH中で撹拌して、吸引濾過し、エーテルで洗浄して、5−クロロ−7−ニトロキノリン−8−オール10.2g(81%)を得る。m.p.201〜202°;HPLC:RT 5.36分。
【0166】
b)N2フラッシュした500mlの3つ口フラスコ内において、5−クロロ−7−ニトロキノリン−8−オール10.135gをMeOH150mlおよびH2O150mlの混合物中に懸濁し、亜ジチオン酸ナトリウム40.54gを撹拌しながら少しずつ添加し、この混合物をRTでさらに16時間撹拌すると、その間に懸濁液の色は濃いオレンジ色から淡黄色に変化する。
【0167】
生成物を吸引濾過して、多量のH2Oで洗浄して、70℃で乾燥させる。
収率:5−クロロ−7−アミノキノリン−8−オール 8.16g(93%)m.p.165〜166°;
HPLC:RT 4.77分。
【0168】
c)1つ口フラスコ100ml内に入れた無水THF10mlに最初に3,3−ジフェニルプロピオン酸1.131gを導入し、1,1’−カルボニルジイミダゾール0.892gを添加し、この混合物をRTで2時間撹拌して、その後5−クロロ−7−アミノキノリン−8−オール0.973gを添加し、この混合物を還流下で20時間撹拌する。
【0169】
この混合物をH2O50mlで希釈し、10分間激しく撹拌し、得られた沈殿を吸引濾過して、少量のMeOHで洗浄して、シリカゲル50gでクロマトグラフィーを行い、「A1」1.155.g(57%)、m.p.206〜207°を得る。
1H NMR(250MHz,DMSO−d6)δ10.451(SB,1H)、9.710(S,1H)。8.930(D,1H)、8.426(D,1H)、8.243(S,1H)、7.631(Q,1H)、7.375(M,4H)、7.292(M,4H)、7.170(T,2H)、4.604(T,1H)、3.335(D,2H)。
【0170】
以下の化合物は同様に得られる。
【0171】
【表3】

【0172】
Compound No.:化合物番号
Structure/name:構造/名
Analytical data/分析データ
A2 N−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−2,2−ジフェニル−アセトアミド
A3 N−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−2−フェニル−3−ピリジン−2−イルプロピオンアミド
A4 N−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−2−(4−トリフルオロメチルフェニル)アセトアミド
【0173】
【表4】

【0174】
A5 2−シクロペンチル−N−(8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−アセトアミド
A6 N−(8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−2−(4−トリフルオロメチル−フェニル)アセトアミド
A7 N−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3,3−ジメチル−ブチルアミド
A8 N−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−2−シクロペンチルアセトアミド
A9 N−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−2−(4−クロロ−フェニル)アセトアミド
【0175】
【表5】

【0176】
A10 2−(ベンジルフェニルアミノ)−N−(5−クロロ−8−ヒドロキシ−キノリン−7−イル)アセトアミド
A11 N−(8−メトキシキノリン−7−イル)−3,3−ジフェニルプロピオン−アミド
A12 N−(8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3,3−ジフェニルプロピオン−アミド[BI3を用いるエーテル切断により「A11」から]
A13 N−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−2−(フェニル−ピリジン−2−イルアミノ)アセトアミド
【0177】
実施例2
1−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3−(フェニルピリジン−2−イルメチル)ウレア(「A14」)の調製は、以下のスキームに添って実施する。
【0178】
【化9】

【0179】
Di-tert-butyl dicarbonate:ジ−tert−ブチルジカルボネート
Pyridine:ピリジン
4-Nitrophenyl chloroformate:4−ニトロフェニルクロロホルメート
4N HCl in dioxian:ジオキサン中の4規定HCl
dihydrochloride:ジヒドロクロリド
2.1a)ジ−tert−ブチルジカルボネート480mg(2.20mmol)およびピリジン179μlをTHF5mlに溶かした7−アミノ−5−クロロキノリン−8−オール389mg(2.00mmol)の溶液に添加し、この混合物を室温で18時間撹拌する。次に、4−ニトロフェニルクロロホルメート403mg(2.00mmol)を添加し、この混合物を室温で1時間撹拌する。
【0180】
2.1b)次に、C−フェニル−C−ピリジン−2−イルメチルアミン368mg(2.00mmol)を添加し、この混合物を室温で5日間撹拌する。この溶媒を蒸留し、残渣をジクロロメタンに溶解し、0.1NHClおよび0.1NaOHで洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、留去して、残渣についてシリカゲルカラムでクロマトグラフィーを行う。
【0181】
tert−ブチル5−クロロ−7−[3−(フェニルピリジン−2−イルメチル)ウレイド]キノリン−8−イルカルボキシレートを褐色の粘度の高い油状物として得る。ESI505。
【0182】
2.2 tert−ブチル5−クロロ−7−[3−(フェニルピリジン−2−イルメチル)ウレイド]キノリン−8−イルカルボキシレート550mg(0.523mmol)をジオキサンに溶かした塩化水素の4N溶液10mlに溶解し、この混合物を室温で18時間撹拌する。溶媒を蒸留し、残渣についてクロマトグラフィーを行う。1−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3−(フェニル−ピリジン−2−イルメチル)ウレアジヒドロクロリドを褐色の結晶として得る。ESI405。
1H−NMR(d6−DMSO):δ=6.02(d,J=6.5Hz,1H)、7.30(t,J=7.3Hz,1H)、7.38(t,J=7.5Hz,2H)、7.49(d,J=7.5Hz,2H)、7.56(m,1H)、7.60(dd,J1=16Hz,J2=8.5Hz,1H)、7.81(d,J=7.5Hz,1H)、8.12(t,J=6.5Hz,1H)、8.44(d,J=6.5Hz,1H)、8.47(d,J=8.5Hz,1H)、8.63(s,1H)、8.68(d,J=4.5Hz)、8.92(d,J=3Hz,1H)、9.08(s,1H)、10.6(bs,1H)。
【0183】
以下の化合物も同様に得られる。
【0184】
【表6】

【0185】
Compound No.:化合物番号
Structure/name:構造/名称
A15 1−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3−(フェニル−ピリジン−2−イルメチル)尿素
A16 1−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3−((S)−1−シクロヘキシルエチル)尿素
【0186】
【表7】

【0187】
A17 1−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3−(2−エトキシ−フェニル)尿素
A18 1−(8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)尿素
A19 1−(8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3−(4−トリフルオロメチル−フェニル)尿素
A20 1−(2−エトキシフェニル)−3−(8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−尿素
A21 1−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)尿素
【0188】
【表8】

【0189】
A22 1−ベンジル−3−(5−クロロ−8−ヒドロキシキノリン−7−イル)尿素
【0190】
実施例3
1−(2−ヒドロキシフェニル)−3−(8−ヒドロキシキノリン−7−イル)ウレア(「A24」)の調製は、以下のスキームに添って実施する。
【0191】
【化10】

【0192】
4-Nitrophenyl chloroformate:4−ニトロフェニルクロロホルメート
【0193】
実施例4
1−(2−トリフルオロメチルフェニル)−3−(8−ヒドロキシキノリン−7−イル)ウレア(「A26」)の調製は、以下のスキームに添って実施する。
【0194】
【化11】

【0195】
4-Nitrophenyl chloroformate:4−ニトロフェニルクロロホルメート
【0196】
【表9】

【0197】
以下の実施例は、医薬品に関する。
【0198】
実施例A:注射バイアル
2回蒸留した水3lに溶かした式Iの活性成分100gおよびリン酸水素二ナトリウム5gの溶液を、2N塩酸を使用してpH6.5に調節し、滅菌濾過し、注射バイアルに移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各注射バイアルには、活性成分5mgが含まれる。
【0199】
実施例B:座薬
式Iの活性成分20gおよびダイズレシチン100gおよびカカオ脂1400gの混合物を融解し、型に注いで、冷却する。各座剤には、活性成分20mgが含まれる。
【0200】
実施例C:液剤
溶液は、2回蒸留した水940mlに溶かした式Iの活性成分1g、NaH2PO4・2H2O、9.38g、Na2HPO4・12H2O、28.48g、および塩化ベンザルコニウム0.1gから調製する。pHを6.8に調節し、この溶液を1lにして、照射によって滅菌する。この溶液は、点眼薬の形態で使用することができる。
【0201】
実施例D:軟膏
式Iの活性成分500mgを無菌条件下でワセリン99.5gと混合する。
【0202】
実施例E:錠剤
式Iの活性成分1kg、ラクトース4kg、馬鈴薯澱粉1.2kg、タルク0.2kgおよびステアリン酸マグネシウム0.1kgの混合物を従来の方法で圧縮して、各錠剤が活性成分10mgを含有するように錠剤を形成する。
【0203】
実施例F:糖衣錠
実施例Eと同様にして錠剤を圧縮し、その後スクロース、馬鈴薯澱粉、タルク、トラガカントおよび色素のコーティングで従来の方法でコーティングする。
【0204】
実施例G:カプセル
各カプセルが活性成分20mgを含有するように、式Iの活性成分2kgを硬ゼラチンカプセルに従来の方法で入れる。
【0205】
実施例H:アンプル
2回蒸留した水60リットルに溶かした式Iの活性成分1kgの溶液を滅菌濾過し、アンプルに移し、滅菌条件下で凍結乾燥し、滅菌条件下で密封する。各アンプルは、活性成分10mgを含有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[式中、R1、R1'、R2は、それぞれ互いに独立して、H、OH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOAまたCNを表し、
3は、A、Ar、Het、NR45またはCHR45を表し、基R4またはR5の少なくとも1つは(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
4、R5は、それぞれ互いに独立して、H、A、(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
Xは、存在しないか、CH2、NR6またはOを表し、
Yは、存在しないか、1個から3個のC原子を有するアルキレンを表し、
6は、HまたはAを表し、
A、A’は、それぞれ互いに独立して、1個から7個のH原子がF、Clおよび/またはBrによって置換されていてよい1個から10個のC原子を有する非分枝または分枝のアルキル、
3個から8個のC原子を有するシクロアルキルまたは
4個から10個のC原子を有するシクロアルキルアルキレンを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
Arは、非置換であるか、OH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOA、COA、CHOまたはCNによって一、二または三置換された5個から14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表し、
Hetは、非置換であるか、OH、OA、SH、SA、SOA、SO2A、Hal、NO2、NH2、NHA、NAA’、A、SO2NH2、SO2NHA、SO2NAA’、CONH2、CONHA、CONAA’、NACOA’、NASO2A’、COOH、COOA、CHO、COA、CN、=S、=NH、=NAおよび/または=O(カルボニル酸素)によって一、二または三置換されていてよい1個から4個のN、Oおよび/またはS原子を有する一、二または三環飽和、不飽和または芳香族複素環を表し、
nは、0、1または2を表す]
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項2】
1、R1'がHを表す、請求項1に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項3】
2が、H、OAまたはHalを表す、請求項1または2に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項4】
Arが非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換された5個から14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表す、請求項1、2または3に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項5】
Hetが、1個から3個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環芳香族複素環を表す、請求項1から4の一項または複数項に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項6】
Xが、存在しないか、CH2またはNHを表す、請求項1から5の一項または複数項に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体。
【請求項7】
Yが存在しない、請求項1から6の一項または複数項に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体。
【請求項8】
Arが、それぞれが非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換されたフェニル、ナフチルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを表す、請求項1から7の一項または複数項に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項9】
Hetが、ピリジル、ピリミジニル、チエニルまたはフリルを表す、請求項1から8の一項または複数項に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体。
【請求項10】
3が、
【化2】

を表す、請求項1から9の一項または複数項に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、互変異性体、塩、溶媒和物および立体異性体。
【請求項11】
1、R1'が、Hを表し、
2が、H、OAまたはHalを表し、
3が、A、Ar、Het、NR45またはCHR45を表し、基R4またはR5の少なくとも1つが、(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
4、R5が、それぞれ互いに独立して、H、A、(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
Xが、存在しないか、CH2またはNHを表し、
Yが存在せず、
Arが、非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換された5個から14個のC原子を有する飽和、不飽和または芳香族炭素環を表し、
Hetが、1個から3個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環芳香族複素環を表し、
Aが、それぞれの場合、互いに独立して、1個から7個のH原子がF、Clおよび/またはBrによって置換されていてよい非分枝または分枝のアルキル、
3個から8個のC原子を有するシクロアルキル、または
4個から10個のC原子を有するシクロアルキルアルキレンを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
nは、0、1または2を表す、請求項1から10の一項または複数項に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項12】
1、R1'が、Hを表し、
2が、H、OAまたはHalを表し、
3が、A、Ar、Het、NR45またはCHR45を表し、基R4またはR5の少なくとも1つが、(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
4、R5が、それぞれ互いに独立して、H、A、(CH2nArまたは(CH2nHetを表し、
Xが存在しないか、CH2またはNHを表し、
Yが存在せず、
Arが、それぞれが非置換であるか、OH、OA、Halおよび/またはAによって一、二または三置換されたフェニル、ナフチルまたは1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンを表し、
Hetが、ピリジル、ピリミジニル、チエニルまたはフリルを表し、
Aが、それぞれの場合、互いに独立して、1個から7個のH原子がF、Clおよび/またはBrによって置換されていてよい1個から10個のC原子を有する非分枝または分枝のアルキル、
3個から8個のC原子を有するシクロアルキル、または
4個から10個のC原子を有するシクロアルキルアルキレンを表し、
Halは、F、Cl、BrまたはIを表し、
nは、0、1または2を表す、請求項1から1の一項または複数項に記載の化合物、
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項13】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

の群から選択される、請求項1に記載の化合物
ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、溶媒和物、塩、互変異性体および立体異性体。
【請求項14】
請求項1から13に記載の式Iの化合物、ならびにそれらの薬学的に使用できる誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体の調製方法であって、
a)Xが存在しないか、CH2を表す式Iの化合物の調製のために、
式IIの化合物
【化3】

(R1、R1'およびR2は、請求項1で示した意味を有する)
を、式IIIの化合物
【化4】

(Xは、存在しないか、CH2を表し、
YおよびR3は、請求項1で示した意味を有し、
Lは、Cl、Br、Iまたは遊離の、もしくは反応性が機能的に変更されたOH基を表す)
と反応させるか、あるいは、
b)XがNR6を表す式Iの化合物の調製のために、
式IIの化合物を、
式IVの化合物
【化5】

(YおよびR3は、請求項1で示した意味を有する)
と反応させるか、あるいは、
c)加溶媒分解剤または水素化分解剤で処理することによって、それらを機能的誘導体の1つから遊離させるか、あるいは、
d)XがNR6またはOを表す式Iの化合物の調製のために、
式Vの化合物
【化6】

(R1、R1'およびR2は、請求項1で示した意味を有し、
Zはヒドロキシル保護基を表す)
を、a)イソプロピリデンクロロホルメート、
b)p−ニトロフェニルクロロホルメート、
c)ジホスゲン、
d)トリホスゲン
の群から選択された結合試薬、
および式VIの化合物
H−X−Y−R3 VI
(XはNR6またはOを表し、
YおよびR3は、請求項1で示した意味を有する)
と反応させ、
その後、ヒドロキシル保護基Zを切断し、
かつ/または式Iの塩基または酸をその塩の1つに変換することを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1から13に記載の式Iの化合物の少なくとも1種および/または全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体、ならびに場合によって賦形剤および/または補助剤を含む医薬品。
【請求項16】
腫瘍、腫瘍増殖、腫瘍転移および/またはAIDSの治療のための医薬品を調製するための、請求項1から13に記載の化合物、ならびに全ての比のそれらの混合物を含む、それらの薬学的に使用できる誘導体、塩、溶媒和物、互変異性体および立体異性体の使用。
【請求項17】
腫瘍が、扁平上皮、膀胱、胃、腎臓、頭部および頚部、食道、子宮頚部、甲状腺、小腸、肝臓、脳、前立腺、尿生殖器、リンパ系、胃、喉頭および/または肺の腫瘍の群由来である、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
腫瘍が、単球性白血病、肺腺癌、小細胞肺癌、膵臓癌、結腸癌、神経膠芽腫および/または乳癌由来である、請求項16に記載の使用。
【請求項19】
腫瘍が血液および免疫系の腫瘍である、請求項16に記載の使用。
【請求項20】
腫瘍が、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病および/または慢性リンパ性白血病の群由来である、請求項16に記載の使用。
【請求項21】
式Iの化合物の治療有効量を1)エストロゲン受容体修飾因子、2)アンドロゲン受容体修飾因子、3)レチノイド受容体修飾因子、4)細胞毒性剤、5)抗増殖剤、6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写酵素阻害剤および10)他の血管形成阻害剤の群の化合物と併用して投与する、腫瘍の治療のための医薬品を調製するための、請求項1から13に記載の式Iの化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および溶媒和物の使用。
【請求項22】
式Iの化合物の治療有効量を、放射線療法および1)エストロゲン受容体調節因子、2)アンドロゲン受容体調節因子、3)レチノイド受容体調節因子、4)細胞毒性剤、5)抗増殖剤、6)プレニルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、7)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、8)HIVプロテアーゼ阻害剤、9)逆転写阻害剤および10)他の血管形成阻害剤の群の化合物と併用して投与する、腫瘍の治療のための医薬品を調製するための、請求項1から13に記載の式Iの化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および溶媒和物の使用。

【公表番号】特表2009−521411(P2009−521411A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−544780(P2008−544780)
【出願日】平成18年11月14日(2006.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/010902
【国際公開番号】WO2007/068316
【国際公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】