説明

ヒートシンク

【課題】基板に対する仮止め操作において、実装された電子部品に対して安定した押圧力を作用させ、基板との間で位置ずれが起きることのないヒートシンクを提供する。
【解決手段】本発明のヒートシンクは、基板50の発熱部からの熱を放熱する平板部2を具備しており、平板部2には、基板に対して固定される基板係止部材10と、基板の発熱部に対して平板部を押圧させる押圧係止部材20が設けられている。基板係止部材10は、基板側に突出して基板と係合すると共に、基板と平板部との間隔を維持する位置決め部を有し、押圧係止部材20は、弾性を有する板材で構成されており、平板部2に面接固定される押圧部21と、押圧部21から平板部2の縁部外方に突出すると共に基板側に向けて屈曲形成され、基板に形成されている貫通孔に挿通、係止される連結部22と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体のような電子部品を実装した基板等の電子部品ユニットに装着され、電子部品からの発熱を放熱するヒートシンクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な電子部品を基板(プリント基板)の表面に実装し、これを半田付けした電子部品ユニット(表面実装部品;Surface Mounted device)が、様々な電子機器に広く用いられている。通常、このような電子部品ユニットは、予め基板にクリーム半田を印刷しておき、各種電子部品を実装した後、リフロー炉で加熱することにより半田付けが成される。
【0003】
上記のような電子部品ユニットは、実際の使用時に電子部品が発熱するため(以下、このような電子部品を「発熱部」とも称する)、安定した動作を確保するために、放熱を促すようヒートシンクを組み込むことが行われている。例えば、特許文献1、及び特許文献2には、基板に発熱部を実装した後、その表面にヒートシンクを熱的に接続させる構造が開示されている。この場合、ヒートシンクには、その上方側から略M字形のバネ部材を係合させており、これにより、ヒートシンクを発熱部側に密着させて熱伝導の効率を高めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−168562号
【特許文献1】特開平6−310632号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したような略M字形のバネ部材は、ヒートシンクを跨ぐようにして一端から他端まで帯状に延び、下方に湾曲した中央部分(押圧部)をヒートシンクに押し付ける構造であるため、バネ力の制御が困難となる。この場合、バネ力が弱いと基板との間で位置ずれが生じる可能性があり、逆にバネ力が強すぎると、電子部品に対して大きな応力がかかってしまい、動作に不具合が生じる可能性がある。特に、上記したようなヒートシンクを跨ぐ帯状のバネ部材では、リフロー炉への搬入前の組み付け操作(仮止め操作)において、ヒートシンクの基板に対する位置決め性が悪くなり易く、更には、内部に搬入された際の加熱によって応力が低下することから、ヒートシンクと基板と間で位置ずれが生じ易い。
【0006】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、基板に対する仮止め操作において、実装された電子部品に対して安定した押圧力を作用させ、基板との間で位置ずれが起きることのないヒートシンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係るヒートシンクは、発熱部を実装した基板に重合するように装着され、前記発熱部からの熱を放熱する平板部を具備しており、前記平板部には、前記基板に対して固定される基板係止部材と、前記基板の発熱部に対して平板部を押圧させる押圧係止部材が設けられており、前記基板係止部材は、前記基板側に突出して前記基板と係合すると共に、基板と平板部との間隔を維持する位置決め部を有し、前記押圧係止部材は、弾性を有する板材で構成されており、前記平板部に面接固定される押圧部と、前記押圧部から平板部の縁部外方に突出すると共に前記基板側に向けて屈曲形成され、前記基板に形成されている貫通孔に挿通、係止される連結部と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記した構成のヒートシンクは、基板に対する仮止め操作時において、平板部に設けられた基板係止部材の位置決め部によって、基板と平板部との間隔が維持され、かつ、弾性を有する板材で構成された押圧係止部材によって、平板部は基板側に押圧され、平板部は位置ずれすることなく、発熱部との間で熱的な接続状態が維持される。この場合、押圧係止部材は、平板部に面接固定される押圧部と、前記押圧部から平板部の縁部外方に突出すると共に基板側に向けて屈曲形成され、前記基板に形成されている貫通孔に挿通、係止される連結部を有していることから、前記位置決め部を有する基板係止部材の位置決め作用と相俟って、平板部は、基板側に安定して押圧されるようになる。すなわち、リフロー炉に搬入する前に基板に対して平板部を仮止めする際、基板に対して平板部が位置ずれを起こすことなく弾性力が作用することから、平板部に対して別途、荷重を掛けなくても、基板に対する安定した平板部の固定状態が維持される。
【0009】
上記した構成では、前記押圧係止部材は、前記平板部の中心領域に対して、対称位置に配置されていることが好ましい。
このように押圧係止部材を、平板部に対して対称位置に配置することで、平板部の全面に亘って基板に対する応力バランスがとれ、安定した位置決め状態、及び安定した熱的な接続状態が得られる。
【0010】
前記平板部の形状については特に限定されることはないが、四隅を有する略矩形形状に形成されたものでも良く、このような形状では、四隅部分のそれぞれに、前記基板係止部材又は押圧係止部材を配置しておくことが好ましい。
このように、平板部が略矩形形状の場合、四隅に基板係止部材又は押圧係止部材を配置しておくことで、平板部全体として効率的に安定した位置決めが実現できると共に、前記押圧係止部材を対称位置に配置しておくことで、平板部の全面に亘って基板に対する応力バランスがとれ、安定した位置決め状態が得られる。
【0011】
また、平板部を略矩形形状とした構成では、前記平板部の四隅同士の中間部となる4箇所又は4箇所の内の対称となる2箇所に、それぞれ前記基板係止部材又は押圧係止部材を配置しておくことが好ましい。
このような構成では、四隅の領域以外にも、各隅部同士の中間部に基板係止部材又は押圧係止部材が配置される。この場合、各隅部同士の全ての中間部(4箇所となる)に配置しても良いし、4箇所の内、対称となる2箇所に配置しても良く、これにより、平板部に対する位置決め状態が更に安定する。また、それぞれの位置に前記押圧係止部材を配置することで、平板部に対する応力バランスの向上が図れ、より安定した位置決め、及び熱的な接続状態が実現できる。
【0012】
上記した構成では、前記押圧係止部材の連結部に、前記基板の貫通孔に対する挿入時に抜け止めを果たす抜け止め突起を形成しておくことが好ましい。
このような構成では、押圧係止部材が基板の貫通孔から外れることがなく、安定した押圧状態が維持できると共に、基板に対する押圧係止部材の係止操作を容易に行うことが可能となる。
【0013】
また、上記した押圧係止部材の連結部は、基板に係合する二本脚を具備し、各脚の対向側に、前記抜け止め突起をそれぞれ形成しておいても良い。
このような構成では、基板に対する押圧係止部材の係止操作を容易かつ、安全に行うことが可能となる。
【0014】
また、上記した押圧係止部材の連結部に、前記基板の貫通孔に対する挿入時に、挿入位置を規制する規制突起を形成しておくことが好ましい。
このような構成では、押圧係止部材の連結部が、基板に対して入り込み過ぎることがなくなり、基板(発熱部)に対して過度な圧力を掛けないようにすることが可能となる。
【0015】
また、上記した基板係止部材は、前記基板に形成された貫通孔に挿通され、半田付けされる外部接続端子として構成しても良く、これにより、ヒートシンクの部品点数の削減が図れるようになる。
【0016】
また、前記平板部に、別途、フィンを形成しておくことで、放熱効果をより高めることが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板に対する仮止め操作時において、基板に実装された電子部品に対して安定した押圧力を作用させ、基板との間で位置ずれが起きることのないヒートシンクが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係るヒートシンクの第1の実施形態を示す斜視図。
【図2】図1に示すヒートシンクの側面図。
【図3】押圧係止部材の構成を示す正面図。
【図4】図2の主要部の拡大図。
【図5】ヒートシンクを基板に組み込んだ状態を示す斜視図。
【図6】ヒートシンクと発熱部の拡大断面図。
【図7】本発明に係るヒートシンクの第2の実施形態を示す斜視図。
【図8】本発明に係るヒートシンクの第3の実施形態を示す斜視図。
【図9】図8に示すヒートシンクの側面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係るヒートシンクの実施形態について、添付図面を参照しながら具体的に説明する。
図1から図6は、ヒートシンクの第1の実施形態を示しており、図1は、斜視図、図2は、側面図、図3は、押圧係止部材の正面図、図4は、図2の主要部の拡大図、図5は、ヒートシンクを基板に組み込んだ状態を示す斜視図、そして、図6は、ヒートシンクと発熱部の拡大断面図である。
【0020】
本実施形態に係るヒートシンク1は、主に、TV内に組み込まれる基板に実装される発熱部からの熱を放熱するのに適した構造となっており、熱伝導性に優れた金属材料、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅等によって構成された略矩形形状の平板部2を備えている。前記平板部2は、図2及び図5に示すように、表面に半導体などの発熱部51を実装した基板50に、好ましくは放熱性を高める放熱シート60を介在して重合するように装着される。前記平板部2の表面には、板状のフィン5が隣接して多数枚配置されており、発熱部51からの熱は、放熱シート60を介して平板部2及び多数枚のフィンに伝導して放熱される。
【0021】
前記平板部2には、基板50に対して固定される基板係止部材10と、基板50の発熱部51に対して平板部を押圧させる押圧係止部材20が設けられている。
【0022】
前記基板係止部材10は、基板50側に突出して基板と係合すると共に、基板50と平板部2との間隔を維持する位置決め部11を有している。本実施形態の基板係止部材10は、部品点数の削減が図れるように、基板50の外部接続端子としての機能を兼ね備えており、基板50に形成された貫通孔53に対して挿通され、その突出側が半田付けされるようになっている(図5参照)。具体的には、基板係止部材10は、全体として略L字形状に屈曲形成された板状の本体10Aを具備しており、屈曲した一端側10aが平板部2の縁部領域の表面にビス13等によって固定され、屈曲した他端側10bが下方側(基板側)に向けて垂下し、その先端側に前記位置決め部11が形成されている。
【0023】
前記位置決め部11は、本体10Aの他端側の先端に突出形成された突出部11aとして構成されており、突出部11aが基板に形成された貫通孔53に挿通されることで、突出部11aよりも幅広な板状体10Aが基板の表面に当て付いて入り込まないようになっている。本実施形態では、このような位置決め部11を有する基板係止部材10は、平板部2の四隅に配置されているため、リフロー炉に搬入する前に平板部2を基板50に装着する際、高さ方向の位置決め(平板部2と基板50の間隔)が容易に行えると共に、突出部11aの突出長さを調整することで、容易に間隔を調整することが可能となる。
【0024】
前記押圧係止部材20は、弾性を有する薄い板材20A、好ましくは熱伝導性の良好なアルミ等の金属板を、屈曲、切削加工することで構成されており、基板50の表面に対して、垂直方向となる弾性力(押圧力)を平板部2に付与できるように構成されている。本実施形態の押圧係止部材20は、略矩形の平板部2の四つの隅部(各隅部には前記基板係止部材10が配置されている)の中間部の内、対称となる2箇所に配置されている。すなわち、押圧係止部材20は、図1に示すように、略矩形形状の対向する短辺の中間部分の縁部領域に配置されており、平板部2の中心領域(発熱部と密着する領域)に対して対称位置に配置されている。
【0025】
具体的に、上記した位置に配置される押圧係止部材20は、平板部2の縁部領域の表面に面接固定される押圧部21と、押圧部21から平板部の縁部外方に突出すると共に基板50側に向けて屈曲形成され、基板50に形成されている貫通孔52に挿通、係止される連結部22と、を有しており、その屈曲形状によって、平板部2を基板50側に向けて弾性的に押圧できるよう構成されている。また、押圧係止部材20を平板部2の縁部領域に配置したことで、大きな圧力を作用させることなく、安定して平板部を押圧することが可能となる。
【0026】
前記押圧部21は、矩形形状で平板部2の縁部に沿うように配置され、リベット25のような固定手段によって平板部2の表面に固定されている。また、前記連結部22は、矩形の押圧部21から平板部2の縁部外方に向けて突出する連結アーム22aと、連結アーム22aの先端で基板側に向けて屈曲形成される連結脚部22bとを備えている。この場合、連結アーム22aは、押圧部21の両端側から斜め上方に向けて所定角度を持って突出すると共に、突出するにしたがって互いに接近する二本アームとして構成されており、各アームの先端を基板側に向けて所定角度で屈曲させることで、前記連結脚部22bを構成している。また、連結脚部22bは、図5に示すように、基板50に形成された一対の貫通孔55に係合する二本脚として構成されており、各脚には、好ましくは、貫通孔55に挿入操作した際、抜けないようにする抜け止め突起22cが形成されている。
【0027】
上記したように構成されるヒートシンク1は、平板部2に放熱シート60を介在して発熱部51に密着させた状態で基板50に仮止めされる。この際、平板部2の四隅に配置された基板係止部材10の突出部11aを基板50の貫通孔53に挿入すると、位置決め部11によって基板50と平板部2との間隔が維持され、同時に、上記した押圧係止部材20の一対の脚22bを基板50の貫通孔55に挿入すると、連結部22の屈曲形状によって、押圧部21を介して平板部2は基板側50に押圧され、平板部2は位置ずれすることなく、発熱部との間で熱的な接続状態が安定して維持される。すなわち、平板部2に設けられた押圧係止部材20を基板50に係合すると、弾性を有する板材20Aを屈曲した連結部22(連結アーム22aと連結脚部22b)によって、押圧部21を介して平板部2を基板50側に弾性的に押圧することが可能となる。この結果、リフロー炉に搬入する前に、平板部2に対して別途、荷重を掛けなくても、基板50に対して平板部2が位置ずれを起こすことなく基板50に対する安定した平板部2の固定状態が維持される。なお、上記した構成では、押圧係止部材20の連結部22(連結脚部22bを構成する一対の脚)に、基板の貫通孔55に対する挿入時に抜け止めを果たす抜け止め突起22cが形成されているため、押圧係止部材20が基板50の貫通孔から外れることがなく、安定した押圧状態が維持できると共に、基板に対する押圧係止部材20の係止操作を容易に行うことが可能となる。この場合、抜け止め突起22cは、各連結脚部22bの対向側にしておくことが好ましく、このように構成することで、基板50に対する押圧係止部材20の係止操作を容易かつ、安全に行うことが可能となる。
【0028】
また、上記した基板係止部材10及び押圧係止部材20は、平板部2の縁部領域に配置されていることから、平板部全体を基板との間で位置決めした状態で安定して基板側に押圧することができ、特に、本実施形態では、押圧係止部材20を平板部2の中心領域に対して、対称位置に配置したため、平板部2の全面に亘って基板50に対する応力バランスがとれ、安定した位置決め状態が得られるようになる。
【0029】
そして、上記したように平板部2が安定した状態で装着(仮止め)された基板50は、所定の位置に半田付けをするためにリフロー炉に搬入される。リフロー炉内では、各基板係止部材10の位置決め部11の突出部11a等が半田付けされることで、平板部2が固定され、平板部2の裏面側は、放熱シート60を介在した状態で発熱部51の表面に安定して密着し、発熱部51からの熱を伝導して放熱するヒートシンク構造となる。なお、上記した押圧係止部材20については、平板部2が、四隅で固定されることから半田付けはしなくても良い(もちろん、半田付けしても良い)。
【0030】
また、上記した押圧係止部材20の連結部22は、連結脚部22bが基板に係止されるようになっているが、各連結脚部22bに、基板50の貫通孔55に対する挿入時に、挿入位置を規制する規制突起22dを形成しておくことが好ましい。すなわち、このような規制突起22dを形成しておくことで、押圧係止部材20の連結部22が、基板50に対して入り込み過ぎることがなくなり、発熱部51に対して過度な圧力を付加することが防止される。
【0031】
前記基板係止部材10及び押圧係止部材20の配置箇所については、特に限定されることはなく、また、ヒートシンク1を構成する平板部2の形状についても特に限定されることはないが、上述したように四隅を有する略矩形形状に形成された構成である場合、四隅部分のそれぞれに、基板係止部材10又は押圧係止部材20を配置しておくことが好ましい(本実施形態では、四隅の全てに基板係止部材10を配置してある)。すなわち、平板部2が略矩形形状の場合、四隅に基板係止部材又は押圧係止部材を配置しておくことで、平板部全体として効率的に安定した位置決めが実現できるようになる。また、押圧係止部材20については、上記したように、平板部2を略矩形形状とした構成では、平板部の四隅同士の中間部となる4箇所又は4箇所の内の対称となる2箇所に、それぞれ配置しておくことが好ましい(本実施形態では、4箇所の内の対称となる2箇所に配置してある)。
【0032】
これにより、平板部2に対する位置決め状態が安定すると共に、それぞれの位置に押圧係止部材20を配置することで、平板部2に対する応力バランスの向上が図れ、より安定した位置決め、及び熱的な接続状態が実現可能となる。もちろん、そのような各隅部同士の中間部には、対称となるように基板係止部材10を配置しても良い。
【0033】
次に、本発明の別の実施形態について説明する。
なお、以下の実施形態では、上記した実施形態と同一の構成要素については、同一の参照符号を付し、その詳細な説明については省略する。
【0034】
図7は、ヒートシンクの第2の実施形態を示す斜視図である。
この実施形態では、平板部2の四隅の各中間部に押圧係止部材を配置するのではなく、各四隅の一部に押圧係止部材20を配置している。押圧係止部材20は、四隅の内の1箇所、或いは3箇所であっても良いし、図7に示すように、平板部2に対する応力バランスの向上が図れるように、平板部2の中心領域に対して、対称となる位置の2箇所に配置することが好ましい。
【0035】
また、押圧係止部材20については、上記した実施形態と同様、平板部2の縁部表面に面接固定される押圧部21と、押圧部21から平板部の縁部外方に突出し、基板50側に向けて屈曲形成される連結部22とを備えているものの、本実施形態の連結部22は、1枚の板材を屈曲することで、連結アーム22a及び連結脚部22bを形成しており、かつ連結脚部22bの先端に抜け止め用の突起22cを形成することで、構造を簡略化している。
【0036】
このような構造の押圧係止部材20でも、連結脚部22bを基板に係止すると、屈曲した連結部22によって、平板部2を基板50側に向けて弾性的に押圧することが可能となる。なお、このような押圧係止部材20の配置構成では、押圧係止部材20については、半田付けすることが好ましい。
【0037】
図8及び図9は、本発明に係るヒートシンクの第3の実施形態を示す図であり、図8は、斜視図、図9は、図8に示すヒートシンクの側面図である。
【0038】
本発明においては、ヒートシンクにおける具体的な放熱手段については、適宜、変形することが可能である。例えば、上述した実施形態では、平板部2の表面に、放熱性を高めるように、板状のフィン5を隣接して多数枚配置したが、本実施形態のように、各フィン5の頂部同士を連結板(渡り板)5Aで連結することで、放熱面積をより広く確保し、放熱効果を高めるようにしても良い。また、図に示すような板状のフィンにも、ピン状に構成する等、放熱フィンについては適宜変形することが可能である。さらに、上記したような基板係止部材10及び押圧係止部材20が設けられる平板部2については、フィン5を設けない構成であっても良い。
【0039】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されることはなく、種々変形することが可能である。例えば、上記した押圧係止部材20については、平板部2を基板50に仮止めする際、基板の表面に対して、垂直方向となる弾性力を平板部2に付与できるように構成されたものであれば良い。この場合、板材20Aの形状、屈曲態様、肉厚等を変えることで、仮止めする際に作用する弾性力を最適な状態に設定することが可能である。また、そのような押圧係止部材20や基板係止部材10の配置位置や構成材料についても、適宜、変形することが可能である。さらに、平板部の形状については、矩形以外であっても良く、そのような形状では、押圧バランス等を考慮して、基板係止部材10、及び押圧係止部材20の位置を特定すれば良い。
【符号の説明】
【0040】
1 ヒートシンク
2 平板部
10 基板係止部材
20 押圧係止部材
21 固定部
22 連結部
50 基板
51 発熱部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱部を実装した基板に重合するように装着され、前記発熱部からの熱を放熱する平板部を具備したヒートシンクにおいて、
前記平板部には、前記基板に対して固定される基板係止部材と、前記基板の発熱部に対して平板部を押圧させる押圧係止部材が設けられており、
前記基板係止部材は、前記基板側に突出して前記基板と係合すると共に、基板と平板部との間隔を維持する位置決め部を有し、
前記押圧係止部材は、弾性を有する板材で構成されており、前記平板部に面接固定される押圧部と、前記押圧部から平板部の縁部外方に突出すると共に前記基板側に向けて屈曲形成され、前記基板に形成されている貫通孔に挿通、係止される連結部と、を有することを特徴とするヒートシンク。
【請求項2】
前記押圧係止部材は、前記平板部の中心領域に対して、対称位置に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
前記平板部は、四隅を有する略矩形形状に形成され、前記四隅部分のそれぞれには、前記基板係止部材又は押圧係止部材が配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記平板部の四隅同士の中間部となる4箇所又は4箇所の内の対称となる2箇所には、それぞれ前記基板係止部材又は押圧係止部材が配置されていることを特徴とする請求項3に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記押圧係止部材の連結部には、前記基板の貫通孔に対する挿入時に抜け止めを果たす抜け止め突起が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記押圧係止部材の連結部は、基板に係止される二本脚を具備しており、各脚の対向側に、前記抜け止め突起がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項5に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記押圧係止部材の連結部には、前記基板の貫通孔に対する挿入時に、挿入位置を規制する規制突起が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記基板係止部材は、前記基板に形成された貫通孔に挿通され、半田付けされる外部接続端子であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のヒートシンク。
【請求項9】
前記平板部には、フィンが形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のヒートシンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−4642(P2013−4642A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132835(P2011−132835)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】