説明

ビスアルキルベンジルアミン

【課題】ビスアルキルベンジルアミンの提供。
【解決手段】式(1)
【化1】


(式中、
1は、水素原子;炭素原子数1ないし18のアルキル基;トリフルオロメチル基;炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;炭素原子数1ないし5のアルコキシ−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし、
2は、炭素原子数2ないし20のアルキル基;ヒドロキシ−炭素原子数1ないし20のアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;又はヘテロアリール−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わすか;又は、
1及びR2は、それらを結合する窒素原子と一緒になって、5ないし7員の単環のヘテロ環を形成する。)で表わされる化合物が記載される。
それらは、特にグラム陽性及びグラム陰性の細菌に対する抗菌活性成分として、表面の抗菌処理のために適当である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビスアルキルベンジルアミン、それら化合物の製造、及び、グラム陽性及びグラム陰性の細菌、酵母菌及び真菌に対する抗菌活性成分としての、表面の抗菌処理におけるそれらの使用、及び化粧品、家庭用品、布、プラスチックの保存におけるそれらの使用、及び殺菌剤におけるそれらの使用に関する。
【発明の開示】
【0002】
本発明に従ったビスアルキルベンジルアミンは、式(1)
【化1】

(式中、
1は、水素原子;炭素原子数1ないし18のアルキル基;トリフルオロメチル基;炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−モノ−又はアミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;炭素原子数1ないし5のアルコキシ−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし、
2は、炭素原子数2ないし20のアルキル基;ヒドロキシ−炭素原子数1ないし20のアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−モノ−又はアミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;又はヘテロアリール−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わすか;又は、
1及びR2は、それらを結合する窒素原子と一緒になって、5ないし7員の単環のヘテロ環を形成する。)で表わされるが、
但し、
a.R1が水素原子を表わし、かつR2がブチル基を表わす、
b.R1が水素原子を表わし、かつR2がシクロヘキシル基を表わす、
c.R1及びR2がブチル基を表わす、
d.R1及びR2がプロピル基を表わす、
e.R1及びR2が一緒になって、式
【化2】

で表わされる単環を形成する、
f.R1及びR2が一緒になって、式
【化3】

で表わされる単環を形成する、
g.R1及びR2が一緒になって、式
【化4】

で表わされる単環を形成する場合の、式(1)で表わされる化合物は除外される。
【0003】
炭素原子数1ないし20のアルキル基は、直鎖状の又は枝分かれしたアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、第2ブチル基、第3ブチル基、アミル基、イソアミル基又は第3アミル基、ヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基又はエイコシル基である。
【0004】
炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基は、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基又はシクロオクチル基である。これらの基は、例えば、1つ以上の同一の又は異なる炭素原子数1ないし4のアルキル基によって、特にメチル基によって、及び/又はヒドロキシ基によって置換され得る。シクロアルキル基が1つ以上の置換基で置換される場合、それらは、好ましくは、1つ、2つ又は4つの、特に1つ又は2つの同一の又は異なる置換基によって置換される。
【0005】
炭素原子数1ないし5のアルコキシ基は、直鎖状の又は枝分かれした基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基又はペンチルオキシ基である。
【0006】
ヘテロアリール基は、未置換であるか、又は1つ以上の、例えば、1つ、2つ、3つ又は4つの同一の又は異なる置換基を有し得、そして該置換基はいすれの位置にも配置され得る。このような置換基の例は、例えば、炭素原子数1ないし4のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素原子数1ないし4のアルコキシ基、トリフルオロメチル基、シアノ基、ヒドロキシカルボニル基、炭素原子数1ないし4のアルコキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アミノ基、炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基、ジ−炭素原子数1ないし4のアルキルアミノ基及び炭素原子数1ないし4のアルキルカルボニルアミノ基である。
【0007】
ヘテロアリール基は、1つ、2つ、3つ又は4つの同一の又は異なる環ヘテロ原子を有するヘテロ環から、特に、1つ、2つ又は3つ、特に1つ又は2つの同一の又は異なるヘテロ原子を有するヘテロ環から誘導される。ヘテロ環は、単環又は多環、例えば単環、二環又は三環であり得る。それらは、好ましくは、単環又は二環、特に単環である。該環は、好ましくは、5、6又は7環員を含む。式(1)で表わされる化合物において見られる基が誘導され得る単環及び二環のへテロ環系の例は、例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリジンピリダジン、ピリミジン、ピラジン、ピラン、チオピラン、1,4−ジオキサン、1,2−オキサジン、1,3−オキサジン、1,4−オキサジン、インドール、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン及びチオモルホリンである。
【0008】
不飽和ヘテロ環は、例えば、1つ、2つ又は3つの不飽和二重結合を環系中に含み得る。単環及び多環のヘテロ環における5員環及び6員環はまた、特に芳香族でもあり得る。
【0009】
好ましいものは、
1が、水素原子;炭素原子数1ないし18のアルキル基;トリフルオロメチル基;炭
素原子数3ないし8のシクロアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;炭素原子数1ないし5のアルコキシ−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし、
2が、炭素原子数5ないし20のアルキル基;ヒドロキシ−炭素原子数1ないし20のアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;又はヘテロアリール−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わすか;又は、
1及びR2が、それらを結合する窒素原子と一緒になって、6又は7員の単環の芳香族ヘテロ環を形成する、式(1)で表わされるアルキルベンジルアミンである。
【0010】
特に好ましいものは、R1が、水素原子;炭素原子数1ないし8のアルキル基;ベンジル基を表わすか;又は、R2と一緒になって、5ないし7員の単環のヘテロ環を形成する式(1)で表わされる化合物、より特には、R1が、水素原子を表わす式(1)で表わされる化合物である。
【0011】
式(1)におけるR2は、好ましくは、炭素原子数2ないし12のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし2のアルキル基;ヒドロキシ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;ヘテロアリール−炭素原子数1ないし2のアルキル基を表わすか;又は、R2は、R1と一緒になって、5ないし7員の単環のヘテロ環を形成する。
【0012】
特に好ましいものは、R2が、枝分かれした炭素原子数3ないし8のアルキル基、特にイソプロピル基;イソブチル基、第3ブチル基;イソヘキシル基;又はイソオクチル基を表す式(1)で表わされる化合物である。
【0013】
特に好ましいものは、R1及びR2が同一の意味を有する式(1)で表わされる化合物である。
【0014】
これらの化合物のうち、好ましいものは、R1及びR2が直鎖状の炭素原子数2ないし12のアルキル基;又はベンジル基を表すものである。
【0015】
特に好ましいものは、R1が水素原子;又はメチル基を表わし、かつR2が炭素原子数2ないし12のアルキル基;又はフェニル−炭素原子数1ないし2のアルキル基を表わす式(1)で表わされる化合物、より特には、R1が水素原子を表わす式(1)で表わされる化合物である。
【0016】
非常に特に好ましいものは、R1が水素原子を表わし、かつR2がオクチル基を表わす式(1)で表わされる化合物である。
【0017】
本発明に従った化合物の製造は、以下の反応式
【化5】

(式中、R1及びR2は、式(1)において定義した通りである。)に従った本質的に既知の方法で行われる。
【0018】
4,4’−ビフェニルカルボキシアルデヒドと1ないし3当量のアミン、及び還元剤、例えば水素、及び金属触媒、蟻酸、金属水素化物、例えばボラン錯体、ボロハイドライド(borohydride)、水素化アルミニウム等を、適当な溶媒、例えばTHF、DMF、ジオキサン、トルエン、キシレン、メタノール又はエタノール中で、酸触媒作用(酢酸、TMOF)あり又はなしで、−10℃ないし150℃の温度で1ないし24時間反応させ、対応するアミン化合物を形成させる。
【0019】
更なる異なる製造方法においては、本発明に従ったビスアルキルベンジルアミンは、BCMDの直接アルキルアミン化によって、1つの反応工程のみで製造され得る。該方法は、本発明の更なる対象であり、以下のように行われ得る:
【化6】


BCMDのアルキルアミン化は、一般的に、過剰量のR1−NH2において行われ得る。溶媒(トルエン)及び過剰量のR1−NH2は、蒸留によって再利用され得る。反応時間は0.5ないし12、好ましくは1ないし3時間である。反応温度は50ないし120℃、好ましくは70ないし90℃である。好ましい溶媒は、トルエン、キシレン、又はガソリンからの画分である。
【0020】
本発明に従った化合物の例を表1に列挙する:
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【0021】
本発明に従って使用されるビスアルキルベンジルアミンは、特に、病原性のグラム陽性及びグラム陰性の細菌に対して、及びまた皮膚菌叢の細菌に対して著しい抗菌作用を示す。それ故、それらは、特に、肌及び粘膜の、及びまたは外皮付属物(毛)の殺菌処理、脱臭処理、一般処理及び抗菌処理のために、より特には手及び傷の殺菌のために、特に適当である。それ故、それらは、個人ケア用製品、例えば、シャンプー、バス添加剤、ヘアーケア製品、液体及び固体石鹸(合成界面活性剤と飽和及び/又は不飽和脂肪酸の塩に基づく)、ローション及びクリーム、脱臭剤、他の水性又はアルコール性溶液、例えば、肌のための清浄溶液、モイストクレンジングクロス(moist cleansing clote)、オイル又はパウダー中の抗菌活性成分及び保存薬として適当である。
【0022】
それ故、本発明はまた、少なくとも1つの式(1)で表わされる化合物、並びに化粧品的に許容できる担体又は補助剤を含む個人ケア用製品に関する。
【0023】
本発明に従った個人ケア用製品は、組成物の総重量に基づき、0.01ないし15重量%、好ましくは0.1ないし10重量%の式(1)で表わされるビスアルキルベンジルアミン、及び化粧品的に許容できる補助剤を含む。
【0024】
個人ケア用製品の形態に依存して、それは、式(1)で表わされるビスアルキルベンジルアミン化合物に加えて、更なる成分、例えば、金属イオン封鎖剤、着色剤、香油、増粘剤又は凝固剤(稠度調節剤)、皮膚軟化薬、紫外線吸収剤、肌保護剤、抗酸化剤、ジカルボン酸、及び/又は炭素原子数14ないし22の脂肪酸のAl、Zn、Ca及びMg塩のような機械的性質を改善する添加剤、及び所望により保存薬を含む。
【0025】
本発明に従った個人ケア用製品は、油中水又は水中油の乳状液として、アルコール性又はアルコール含有配合物として、イオン性又は非イオン性の両親媒性脂質の小胞性分散(vesicular dispersion)として、ゲル、固体スティックとして又はエーロゾル配合物として配合され得る。
【0026】
油中水又は水中油の乳状液として、化粧品的に許容できる補助剤は、好ましくは5ない
し50%の油状相、5ないし20%の乳化剤及び30ないし90%の水を含む。油状相は、化粧品配合物として適当ないずれかの油、例えば、1種以上の炭化水素油、ワックス、天然油、シリコーン油、脂肪酸エステル又は脂肪アルコールを含み得る。好ましいモノオール又はポリオールは、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール及びソルビトールである。
【0027】
本発明に従った化粧品配合物は、様々な分野で使用される。
特に、以下の製品が、例えば考慮される:
−スキンケア製品、例えば、タブレット形態又は液体石鹸、合成洗剤又は洗浄ペーストの形態の肌洗浄及び清浄製品、
−浴用製品、例えば、液状浴用製品(フォームバス、ミルク、シャワー用製品)又はバスキューブ及びバスソルト等の固形浴用製品、
−肌用乳液、多用途乳液又は肌用オイル等のスキンケア製品、
−化粧用個人ケア製品、例えば、日中用クリーム又はパウダークリーム形態のフェイスメイキャップ、フェイスパウダー(ルース及び固形)、口紅又はメイキャップクリーム、アイケア製品、例えば、アイシャドー製品、マスカラ、アイライナー、アイクリーム、アイフィックスクリーム、リップケア製品、例えば、リップスティック、リップグロス、リップペンシル、ネイルケア製品、例えば、ネイルマニキュア、ネイルマニキュアリムーバー、ネイルハードナー又はキューティクルリムーバー、
−個人的な衛生製品、例えば、個人的な洗浄ローション又は個人的なスプレー、
−フットケア製品、例えば、フットバス、フットパウダー、フットクリーム又は足用香膏、足用脱臭剤及び発汗抑制剤又はタコ除去製品、
−光保護製品、例えば、サンミルク、ローション、クリーム及びオイル、サンブロック(sun block)又は熱帯用日焼け止め剤(tropical)、日焼け前用製品又は日焼け後用製品、
−肌用日焼け製品、例えば、セルフタンニングクリーム、
−脱色製品、例えば、肌を漂白するための製品又はスキンライトニング製品、
−防虫剤、例えば、防虫オイル、ローション、スプレー又はスティック、
−脱臭剤、例えば、脱臭スプレー、ポンプ式スプレー、脱臭ゲル、スティック又はロールオン、
−発汗抑制剤、例えば、発汗抑制スティック、クリーム又はロールオン、
−汚れた肌を清浄及び処置するための製品、例えば、合成洗剤(固形又は液状)、剥離又はこすり洗いするための製品、又は剥離パック、
−薬剤形態の毛除去(脱毛)製品、例えば、脱毛パウダー、液状脱毛製品、クリーム状又はペースト状脱毛製品、ゲル状脱毛製品又はエーロゾルフォーム、
−シェービング製品、例えば、シェービングソープ、泡状シェービングクリーム、非泡状シェービングクリーム、フォーム及びゲル、ドライシェービングのためのプレシェービング製品、アフターシェーブ又はアフターシェーブローション、
−芳香製品、例えば、香剤(オーデコロン、オードトワレ、オードパルファム、パルファムドトワレ、香水)、香油または芳香クリーム;
・歯のケア、義歯のケア及び口腔のケア用調製品、例えば、練り歯磨き、ゲル状歯磨き、歯磨き粉、洗口濃縮液、抗プラーク性洗口液、義歯用洗浄剤または義歯用固定剤、
−化粧品毛髪用調製品、例えば、シャンプーの形態の毛髪洗浄用調製品、コンディショナー、ヘアケア用調製品、例えば、前処理用調製品、ヘアートニック、スタイリングクリーム、スタイリングゲル、ポマード、ヘアーリンス、トリートメントパック、集中的ヘアートリートメント、毛髪構成化用調製品、例えば、パーマネントウェーブ用ヘアーウェーブ用調製品(ホットウェーブ、マイルドウェーブ、コールドウェーブ)、直毛化用調製品、液体ヘアーセット用調製品、フォーム、ヘアースプレー、漂白用製品、例えば、過酸化水素溶液、ライトニングシャンプー、漂白クリーム、漂白パウダー、漂白ペースト又はオイル、一時的、半永久性又は耐久性毛髪着色料、自己酸化性染料を含む製品又はヘナもしく
はカモミールのような天然毛髪着色料。
【0028】
抗菌石鹸は、例えば、以下の組成を有する:
式(1)で表わされる化合物 0.01ないし5重量%
二酸化チタン 0.3ないし1重量%
ステアリン酸 1ないし10重量%
石鹸ベース、例えば、牛脂肪酸及び 100%まで
ココナッツ脂肪酸又はグリセロールのナトリウム塩
【0029】
シャンプーは、例えば、以下の組成を有する:
式(1)で表わされる化合物 0.01ないし5重量%
ラウレス−2−硫酸ナトリウム 12.0重量%
コカミドプロピルベタイン 4.0重量%
NaCl 3.0重量%、及び
水 100%まで
【0030】
脱臭剤は、例えば、以下の組成を有する:
式(1)で表わされる化合物 0.01ないし5重量%
エタノール 60重量%
香油 0.3重量%、及び
水 100%まで
【0031】
本発明はまた、組成物の総重量に基づき、0.01ないし15重量%の式(1)で表わされる化合物、及び経口的に許容できる補助剤を含む経口組成物に関する。
経口組成物の例:
ソルビトール 10重量%
グリセロール 10重量%
エタノール 15重量%
プロピレングリコール 15重量%
ナトリウムラウリルサルフェート 0.5重量%
ナトリウムメチルコシルタウレート 0.25重量%
(sodium methylcocyl taurate)
ポリオキシプロピレン/ポリオキシエチレン 0.25重量%
ブロックコポリマー
ペパーミント香味剤 0.10重量%
式(1)で表わされる化合物 0.1ないし0.5重量%
及び、
水 48.6重量%
【0032】
本発明に従った経口組成物は、例えば、ゲル、ペースト、クリー又は水性製品(口内洗浄剤)の形態であり得る。
【0033】
本発明に従った経口組成物はまた、カリエスの形成に対して効果的な弗素イオンを放出する化合物、例えば、無機弗化塩、例えば弗化ナトリウム、弗化カリウム、弗化アンモニウム又は弗化カルシウム、又は有機弗化塩、例えば、オラフルアー(Olafluor)の登録商標名で知られる弗化アミンを含み得る。
【0034】
本発明に従った式(1)で表わされるビスアルキルベンジルアミンはまた、織物繊維材料の処理、特に保存のために適当である。このような材料は、未染色の及び染色された又は印刷された繊維材料、例えば、絹、羊毛、ポリアミド又はポリウレタン、特に、全ての
種類のセルロース系繊維材料である。このような繊維材料は、例えば、綿、リネン、黄麻及び麻のような天然セルロース繊維、並びにセルロース及び再生セルロースである。好ましい適当な織物繊維材料は綿から作られる。
【0035】
本発明に従ったビスアルキルベンジルアミンはまた、プラスチックの処理のために、特にプラスチック、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ラテックス等に抗菌性を与えるために、又は該プラスチックを保存するために適当である。それ故、使用分野は、例えば、床材、プラスチックコーティング、プラスチック容器及び包装材料;台所用品及び浴室用品(例えば、ブラシ、シャワーカーテン;スポンジ、バスマット)、ラテックス、フィルター材料(空気及び水フィルター)、医療分野で使用されるプラスチック製品、例えば、外傷用医薬材料、注射器、カテーテル等、いわゆる‘‘医療装置’’、手袋及びマットレスである。
【0036】
紙、例えば衛生目的で使用される紙もまた、本発明に従ったビスアルキルベンジルアミンを使用して抗菌性を与え得る。
【0037】
不織布、例えば、ナプキン/おむつ、衛生タオル、パンティライナー及び衛生用布及び家庭用布もまた、本発明に従って抗菌性を与えることが可能である。
【0038】
式(1)で表わされるビスアルキルベンジルアミンはまた、洗浄及び清浄配合物中で、例えば、液体及び粉末洗剤中で又は柔軟剤中で使用される。
【0039】
ビスアルキルベンジルアミンはまた、硬質表面を清浄及び殺菌するための、家庭用及び汎用クレンザー中に特に使用され得る。清浄製品は、例えば、以下の組成を有する:
式(1)で表わされる化合物 0.01ないし5%
オクチルアルコール 4EO 3.0%
脂肪アルコール 炭素原子数8ないし10の 1.3%
ポリグルコシド
イソプロパノール 3.0%
水 100%まで
【0040】
化粧品及び家庭用品の保存に加えて、工業製品の保存及びこのような製品への抗菌性の付与並びに工業プロセス、例えば紙処理、特に紙処理液、澱粉の又はセルロース誘導体の印刷増粘剤(printing thickener)、表面コーティング及びペイントにおける殺生物剤としての使用もまた可能である。
【0041】
式(1)で表わされるビスアルキルベンジルアミンはまた、木材の抗菌処理及び革の抗菌処理、革の抗菌保存及び革に抗菌性を与えるために適当である。
【0042】
本発明に従った化合物はまた、細菌による損傷から化粧品及び家庭用品を保護するために適当である。
【0043】
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明を制限しない。
実施例
実施例1:オクチル−(4’−オクチルアミノメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−アミン(式(3)で表わされる化合物)の製造
4,4’−ビフェニルジカルボキサルデヒド4.20g(20mmol)を窒素下で無水THF50mL中に溶解した。酢酸4.80g(80mmol)及びオクチルアミン5.69g(44mmol)をそこに滴下添加し、その混合物を60℃で1時間加熱した。氷浴で冷却後、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(sodium triac
etoxyborohydride)10.17g(48mmol)を少しづつ添加した。反応混合物を室温で一晩攪拌した。水100mLを容器に入れ、反応混合物をピペットを使用して添加した。pHを、6N 塩酸を用いて1に調整した。THFを留去し、生成物を濾去し、水900mLで洗浄した。
その後、生成物を酢酸エチル中に懸濁させ、水酸化ナトリウム溶液を用いてpHを13に調整し、その後、再度濾去した。
生成物を水300mLで洗浄した。過剰のオクチルアミンを高真空下で留去した。
収率:84%(GC純度:88%)
NMR(メタノール):0.8ppm(6H);1.2ppm(20H);1.45ppm(4H);2.5ppm(4H);3.7ppm(4H);7.3ppm(4H);7.5ppm(4H)
【0044】
実施例2:オクチル−(4’−オクチルアミノメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−アミン(式(3)で表わされる化合物)の製造
冷却間、トルエン(2600mL)中BCMD(1.00mol)の懸濁液を、低温のうちに過剰のn−オクチルアミン(5.00mol)を用いて処理した。80℃で1時間の反応後、転化は完了した。
反応懸濁液を水(1000mL)及び50%NaOH(200g)で洗浄した。溶媒(トルエン/n−オクチルアミン)を真空下で留去した(60ないし120℃/20ミリバール)。油状残渣を温かい酢酸エチル(1200mL)中に取り出し、減圧フィルター(BCMDポリマー)上で清澄化し、35℃まで冷却し、種晶を入れた。0℃まで更に冷却した後、結晶生成物を濾去し、溶媒で洗浄し、乾燥させた。
【0045】
実施例3:マイクロタイタープレートにおける最小阻害濃度(MIC値)の決定
栄養培地:
試験細菌及び酵母の前培養の準備のためのカゼイン/大豆粉末ペプトンブイヨン。
試験生物の例:
細菌:大腸菌 ATCC10536(=EC)
黄色ブドウ球菌 ATCC6538(=SA)。
手順:
試験物質をジメチルスルホキシド(DMSO)中に前溶解し、1:2の連続希釈において試験した。
細菌及び酵母は、CASOブイヨン中で一晩培養した。
試験生物の全懸濁液を、0.85%塩化ナトリウム溶液を用いて、1.5×106CFU/mLの生物数に調整した。
試験物質を、液溜(well)当り8μLの量で、マイクロタイタープレート中にピペットで移した。
予め調整した生物懸濁液を、CASOブイヨン中で1:100に希釈し、液溜当り192μLの量で試験物質へ添加した。
試験バッチを37℃で48時間培養した。
培養後、成長を、マイクロプレートリーダー中での620nmにおける試験バッチの濁り度(光密度)を参照することによって決定した。
最小阻害濃度(MIC値)は、試験生物の成長の明確に認識し得る阻害(対照物の成長と比較して20%以下の成長)が確かめられるところにおける物質の濃度である。
3つのマイクロタイタープレートを各試験生物及び物質濃度において使用した。
微生物試験の結果を、表2にまとめる:
【表10】

【表11】

【0046】
実施例4:より広範囲の生物に関する式(3)で表わされる化合物の最小阻害濃度の決定
式(3)で表わされる化合物(表1参照;GC純度88%;実施例1に従って製造)を表3に示した微生物で試験した。
最小阻害濃度を決定するための試験は、寒天配合試験(agar incorporation test)において行われた。
【表12】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中、
1は、水素原子;炭素原子数1ないし18のアルキル基;トリフルオロメチル基;炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−モノ−又はアミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;炭素原子数1ないし5のアルコキシ−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし、
2は、炭素原子数2ないし20のアルキル基;ヒドロキシ−炭素原子数1ないし20のアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−モノ−又はアミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;又はヘテロアリール−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わすか;又は、
1及びR2は、それらを結合する窒素原子と一緒になって、5ないし7員の単環のヘテロ環を形成する。)で表わされるが、
但し、
a.R1が水素原子を表わし、かつR2がブチル基を表わす、
b.R1が水素原子を表わし、かつR2がシクロヘキシル基を表わす、
c.R1及びR2がブチル基を表わす、
d.R1及びR2がプロピル基を表わす、
e.R1及びR2が一緒になって、式
【化2】

で表わされる単環を形成する、
f.R1及びR2が一緒になって、式
【化3】

で表わされる単環を形成する、
g.R1及びR2が一緒になって、式
【化4】

で表わされる単環を形成する場合の、式(1)で表わされる化合物は除外されるアルキルベンジルアミン。
【請求項2】
式(1)
【化5】

(式中、
1は、水素原子;炭素原子数1ないし18のアルキル基;トリフルオロメチル基;炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;炭素原子数1ないし5のアルコキシ−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし、
2は、炭素原子数5ないし20のアルキル基;ヒドロキシ−炭素原子数1ないし20のアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;又はヘテロアリール−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わすか;又は、
1及びR2は、それらを結合する窒素原子と一緒になって、6ないし7員の単環の芳香族ヘテロ環を形成する。)で表わされるアルキルベンジルアミン。
【請求項3】
1が、水素原子;炭素原子数1ないし8のアルキル基;ベンジル基を表わすか;又は、R2と一緒になって、5ないし7員の単環のヘテロ環を形成する請求項1記載の化合物。
【請求項4】
1が、水素原子を表わす請求項1又は3記載の化合物。
【請求項5】
2が、炭素原子数2ないし12のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし2のアルキル基;ヒドロキシ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;ヘテロアリール−炭素原子数1ないし2のアルキル基を表わすか;又は、R1と一緒になって、5ないし7員の単環のヘテロ環を形成する請求項1、3及び4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
2が、枝分かれした炭素原子数3ないし8のアルキル基を表わす請求項1及び3ないし5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
2が、イソプロピル基;イソブチル基、第3ブチル基;イソヘキシル基;又はイソオクチル基を表す請求項6記載の化合物。
【請求項8】
1が水素原子を表わし、かつR2がオクチル基を表わす請求項5記載の化合物。
【請求項9】
1及びR2が同一の意味を有する請求項1、3及び5ないし7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
1及びR2が直鎖状の炭素原子数2ないし12のアルキル基;又はベンジル基を表す請求項9記載の化合物。
【請求項11】
1が水素原子;又はメチル基を表わし、かつR2が炭素原子数2ないし12のアルキル
基;又はフェニル−炭素原子数1ないし2のアルキル基を表わす請求項1記載の化合物。
【請求項12】
1が水素原子を表わす請求項11記載の化合物。
【請求項13】
1が、水素原子;炭素原子数1ないし18のアルキル基;トリフルオロメチル基;炭素原子数3ないし8のシクロアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;炭素原子数1ないし5のアルコキシ−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わし、
2が、炭素原子数2ないし20のアルキル基;ヒドロキシ−炭素原子数1ないし20のアルキル基;フェニル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルキル基;フェニル−炭素原子数1ないし5のアルコキシ基;モノ−又はジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;アミノ−ジ−N−炭素原子数1ないし5のアルキルアミノ−炭素原子数1ないし5のアルキル基;又はヘテロアリール−炭素原子数1ないし5のアルキル基を表わすか;又は、
1及びR2が、それらを結合する窒素原子と一緒になって、5ないし7員の単環のヘテロ環を形成する式(1)で表わされる化合物の、表面の抗菌処理における使用。
【請求項14】
前記化合物が肌、粘膜及び毛の脱臭及び殺菌において使用される請求項13記載の使用。
【請求項15】
前記化合物が紡織繊維材料の処理において使用される請求項13記載の使用。
【請求項16】
工業製品の保存及び抗菌処理における式(1)で表わされる化合物の使用。
【請求項17】
前記化合物が、プラスチック、紙、不織布、木材又は革のために使用される請求項16記載の使用。
【請求項18】
洗浄及び清浄配合物中の抗菌活性成分としての式(1)で表わされる化合物の使用。
【請求項19】
工業プロセスにおける殺生物剤としての式(1)で表わされる化合物の使用。
【請求項20】
組成物の総重量に基づき、0.01ないし15重量%の式(1)で表わされる化合物、及び化粧品的に許容できる補助剤を含む個人ケア用製品
【請求項21】
組成物の総重量に基づき、0.01ないし15重量%の式(1)で表わされる化合物、及び経口的に許容できる補助剤を含む経口組成物。
【請求項22】
以下の反応式
【化6】

(式中、R1及びR2は、式(1)において定義した通りである。)に従って製造される、式(1)で表わされる化合物の製造方法。
【請求項23】
以下の反応式
【化7】

(式中、R1は、式(1)において定義した通りである。)に従って製造される、式(1)で表わされる化合物の製造方法。


【公表番号】特表2006−503907(P2006−503907A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−501291(P2005−501291)
【出願日】平成15年10月14日(2003.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2003/011384
【国際公開番号】WO2004/035521
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【出願人】(396023948)チバ スペシャルティ ケミカルズ ホールディング インコーポレーテッド (530)
【氏名又は名称原語表記】Ciba Specialty Chemicals Holding Inc.
【Fターム(参考)】