説明

ビスフェノール基を有するポリウレタンポリマー及び該ポリマーを含有するフォトイメージング組成物

【課題】プリント配線板製造における酸を用いた電気メッキ、封孔処理(covering pores)、酸アルカリエッチング、金メッキ、無電解ニッケル浸漬金メッキ(ENIG)の各プロセスにおいてフォトレジストとして使用できる、新規ポリマー及び該ポリマーを含有するネガ型フォトイメージング組成物を提供する。
【解決手段】式(I):


(Rは水素又はメチル、RはC2〜4のアルコキシ、RはC3〜10のラクトン、RはC1〜20のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン、アリーレン環基、RはC2〜4のアルキレンオキシ、Rは水素かC1〜10のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、芳香環基、nは1より大の整数、aは1〜10の整数、bは0〜20の整数、cは0〜10の整数)で表される構造を有するポリマー及び上述の式(I)のポリマーを含み、プリント配線板製造に好適なネガ型フォトイメージング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書中に記載の式(I)で表される構造を有するポリマー及び、該ポリマーを含み、アルカリ水溶液で現像可能なネガ型フォトイメージング(photoimageable)組成物に関する。本発明のフォトイメージング組成物は、プリント配線板製造における酸を用いた電気メッキ、封孔処理(covering pores)、酸アルカリエッチング、金メッキ、無電解ニッケル浸漬金メッキ(ENIG)の各プロセスにおいてフォトレジストとして使用できる。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板に適用されるフォトイメージング組成物においては、フォトイメージング組成物の構成成分に応じて用途が異なる。良好な可撓性と靭性は、フォトイメージング組成物の引張特性と延性を向上させることができる。通常、プリント配線板は、基板の一方の面にある回路を他方の面の回路と接続できるオリフィス(孔)を有する。プロセス中、フォトイメージング組成物層はこれらオリフィスをカバーする必要があり、プリント配線板のオリフィスは次第に大きくなることから、そのカバー強度(covering strength)は益々重要となる。これまでに、フォトイメージング組成物は、電気メッキ耐性、引張特性、アルカリエッチング耐性、金メッキ耐性及びニッケルメッキ耐性の諸性能が不十分であり、プリント配線板における用途は制限されがちであった。特許文献1には、芳香環を有するアルコール化合物とジイソシアネートを重合させて生成したポリウレタンを弾性樹脂と混合すると、引張強度と延性を向上させることができることが記載されている。更なる研究の後、ビスフェノール基を有するポリウレタンが、フォトイメージング組成物の可撓性及び靭性の向上を可能とする重要な一成分であり、引張特性だけでなく、電気メッキ耐性、アルカリエッチング耐性、金メッキ耐性及びニッケルメッキ耐性の各性能を向上させ、プリント配線板の加工性を向上させることが見出された。
【0003】
更に、特許文献2には、フォトイメージング組成物が、少なくともアルコキシ官能基2基と開環ラクトン官能基1基とを有するポリウレタン(メタ)アクリレートを含有すると、プリント配線板におけるフォトイメージング組成物の可撓性が向上すると共に剥離性も向上することが見出されたことが記載されている。
【特許文献1】米国特許第4555552号明細書
【特許文献2】米国特許第6322951号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、様々な官能基を組合せることにより、各種官能基の各種性質を利用しフォトイメージング組成物の各性質を向上させる。例えば、アルコキシ官能基と開環ラクトン官能基をポリウレタン(メタ)アクリレートに加えて鎖長を増大させることによりフォトイメージング組成物の可撓性を向上させる;芳香環官能基をポリウレタン(メタ)アクリレートに加えて、芳香環の剛性によりフォトイメージング組成物の引張強度と延性を向上させる等である。異なる性質間の最も好ましいバランスをとって合成されたポリウレタン(メタ)アクリレートは、電気メッキ耐性、封孔処理、ニッケル/金メッキ耐性、酸アルカリエッチング耐性及び無電解ニッケル浸漬金メッキ耐性の各性能を向上させるためにフォトイメージング組成物に用いることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の主たる目的は新規ポリマーを提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、該ポリマーを含有するネガ型フォトイメージング組成物を提供することにあり、該組成物はプリント配線板製造プロセスにおいてフォトレジストとして使用できる。
【0007】
特に断りのない限り、本明細書において各構成成分の含有率は重量に基づくものとする。
【0008】
本発明のポリマーは次式(I):
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、
1は水素又はメチルを表し;
2はC2-4(好ましくはC2-3)のアルコキシを表し;
3はC3-10(好ましくはC3-7)のラクトンを表し;
4はC1-20(好ましくはC4-16)のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン又はアリーレン環基を表し;
5はC2-4(好ましくはC2-3)のアルキレンオキシを表し;
6は水素を表すか、又はC1-10(好ましくはC1-6)のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又は芳香環基を表し;
nは1より大の整数、好ましくは1より大であって且つ20までの整数であり;
aは1〜10の整数、好ましくは1〜7の整数であり;
bは0〜20の整数、好ましくは4〜15の整数であり;
cは0〜10の整数、好ましくは2〜7の整数である)
で表される構造を有する。
【0011】
本発明の好ましい一実施形態においては、本発明のポリマーは、重量平均分子量が4000〜20000、好ましくは5000〜8000である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のポリマーは、(a)ビスフェノール基を有する二価アルコール、(b)ジイソシアネート、(c)アクリレートアルコール化合物、の各モノマーを重合させることにより得る。
【0013】
本発明で使用するビスフェノール基を有する二価アルコールの構造は、式(II):
【0014】
【化2】

【0015】
(式中、R5、R6及びcはそれぞれ前述の意味である)で表される。本発明の好ましい一実施形態においては、R5はエトキシであってcは2〜7の整数である。本発明に適切なビスフェノール二価アルコールとしては、4−(4−ヒドロキシベンジル)フェノール、4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェノール、4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)プロピル)フェノール、4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロピル)フェノール、4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−2,2−ジメチルプロピル)フェノール、4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)ブチル)フェノール、4−(1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルブチル)フェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エテン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロピレン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブチレン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブチレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンテン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンテン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ペンタジエン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキシル−メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキシル−エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロヘキシル−プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロヘキシル−プロピレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロペンチル−メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロペンチル−エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−シクロペンチル−プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−シクロペンチル−プロピレン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−フェニル−メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニル−プロパン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニル−プロピレン、ビス(4−エチレングリコールフェニル)メタン、ビス(4−ジエチレングリコールフェニル)メタン、ビス(4−トリエチレングリコールフェニル)メタン、ビス(4−テトラエチレングリコールフェニル)メタン、ビス(4−ペンタエチレングリコールフェニル)メタン、2,2−ビス(4−エチレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ジエチレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−トリエチレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−テトラエチレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ペンタエチレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヘキサエチレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヘプタエチレングリコールフェニル)プロパン、ビス(4−プロピレングリコールフェニル)メタン、ビス(4−ジプロピレングリコールフェニル)メタン、ビス(4−トリプロピレングリコールフェニル)メタン、ビス(4−テトラプロピレングリコールフェニル)メタン、ビス(4−ペンタプロピレングリコールフェニル)メタン、2,2−ビス(4−プロピレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ジプロピレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−トリプロピレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−テトラプロピレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ペンタプロピレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヘキサプロピレングリコールフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヘプタプロピレングリコールフェニル)プロパン等を挙げることができるが、これらに限定されない。前述のビスフェノール二価アルコールは、主骨格としてのビスフェノールと、環状エーテル(例えば、エチレンオキシドやプロピレンオキシド)や環状エーテル化合物(例えば、エポキシテトラヒドロフランやテトラヒドロフラン)等の一以上との重合反応により調製することができる。
【0016】
本発明において使用するジイソシアネートは式(III):
【0017】
【化3】

【0018】
(式中、R4は前述の意味である)で表される。本発明に適切なジイソシアネートは、C1-20(好ましくはC4-16)のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又は芳香環基である。好適なジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、2,2,4−又は2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネート(TMDI)、ビス(シクロヘキシル)メチレンジイソシアネート(H12MDI)及びテトラメチレンキシレンジイソシアネート(TMXDI)等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0019】
本発明に使用するアクリレートアルコール化合物は、式(IV):
【0020】
【化4】

【0021】
(式中、R1、R2、R3、a及びbは前述の意味である)で表される。このアクリレートアルコール化合物は、少なくとも2基のヒドロキシ基を有する化合物とアクリル酸とのエステル化を行い、ヒドロキシ基を有するアクリレートを生成させることにより合成できる。本発明に好適なアクリレートアルコール化合物としては、エチレングリコールアクリレート、エチレングリコールメタクリレート、1,2−プロパンジオールアクリレート、1,2−プロパンジオールメタクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,3−プロパンジオールメタクリレート、1,4−ブタンジオールアクリレート、1,4−ブタンジオールメタクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ジ(1,2−プロパンジオール)アクリレート、ジ(1,2−プロパンジオール)メタクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールメタクリレート、トリ(1,2−プロパンジオール)アクリレート、トリ(1,2−プロパンジオール)メタクリレート、テトラエチレングリコールアクリレート、テトラエチレングリコールメタクリレート、テトラ(1,2−プロパンジオール)アクリレート、テトラ(1,2−プロパンジオール)メタクリレート、ペンタエチレングリコールアクリレート、ペンタエチレングリコールメタクリレート、ペンタ(1,2−プロパンジオール)アクリレート、ペンタ(1,2−プロパンジオール)メタクリレート、ヘキサエチレングリコールアクリレート、ヘキサエチレングリコールメタクリレート、ヘキサ(1,2−プロパンジオール)アクリレート及びヘキサ(1,2−プロパンジオール)メタクリレート等を挙げることができるが、これらに限定されない。或いは、アクリレートアルコール化合物は、米国特許第6322951号の開示に従って、アクリレート構成成分を有するアルコールを少なくとも3個の炭素を有するラクトン(例えば、β−ラクトンやγ−ラクトン、ω−ラクトン、ε−ラクトンを挙げることができるが、これらに限定されない)と反応させることによりポリエステル鎖官能基を生成させ、次いで酸触媒(4−トルエンスルホン酸やカンファースルホン酸等)を用いてエステル交換反応及び開環反応を行い、所望のアルコール化合物を得ることにより合成できる。これらのアルコール化合物としては、ペンタエチレングリコールアクリレートやペンタエチレングリコールメタクリレート、ヘキサエチレングリコールアクリレート等を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0022】
本発明の式(I)で表されるポリマーは、米国特許第6322951号に一般に開示されているプロセスに従って合成できる。このプロセスによれば、まず、アクリレート(或いはメタクリレート)一価アルコール又は二価アルコールをジイソシアネートと反応させてプレポリマーを生成し、次に第二のステージにおいて、二価アルコール又はアクリレート(或いはメタクリレート)一価アルコールを反応物に添加する。該ポリマーの合成は、触媒(通常、有機金属化合物(例えば、ジブチルスズビストリデカノエートを挙げることができるが、これらに限定されない))、酸化防止剤(例えば、ジヒドロキノンやメチルヒドロキノンを挙げることができるが、これらに限定されない)及び溶媒(例えば、ブタノンやジブチルエーテル、ブチルアセテート、トルエンを挙げることができるが、これらに限定されない)の存在下にて、二種の方法により行うことができる。即ち、
(1)ビスフェノール構成成分を有する二価アルコールをジイソシアネートとオリゴ重合(Oligopolymerizing)させ、次いでアクリレート構成成分を有する一価アルコールと結合させる。
(2)アクリレート構成成分を有する一価アルコールをジイソシアネートと反応させ、次いでビスフェノール構成成分を有する二価アルコールと結合させる。
【0023】
本発明は更にフォトイメージング組成物を提供し、該組成物は次の成分:
(A)上に定義した式(I)で表されるポリマー;
(B)ポリマーバインダー;及び
(C)光開始剤
を含む。
【0024】
本発明の組成物において、成分(A)(即ち、式(I)のポリマー)の量は、全組成物の総重量に対して5〜50重量%であり、10〜40重量%であることが好ましい。
【0025】
本発明組成物の成分(B)は、酸官能性モノマーと非酸官能性モノマーとから誘導されるポリマーバインダーである。適切な酸官能性モノマーは特に限定されず当業者に知られたモノマーであり、例えば、アクリル酸やメタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クエン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、2−ヒドロキシプロピルアクリロイルホスフェート及び2−ヒドロキシ−α−アクリロイルホスフェートが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の具体的実施形態においては、酸官能性モノマーはアクリル酸とメタクリル酸が好ましい。本発明のポリマーバインダーは、これら酸官能性モノマーを一種以上含有することができる。
【0026】
本発明によれば、酸官能性モノマーと共重合させる非酸官能性モノマーとしては、メチルアクリレートやメチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、2−エトキシエチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカンジオールアクリレート、デカンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロパンジオールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブタンジオールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート及び1,4−ベンゼンジオールジメタクリレート等のアクリレート類;2−メチルスチレンやビニルトルエン等の置換又は非置換スチレン類;ビニルアクリレートやビニルメタクリレート等のビニルエステル類を挙げることができる。本発明の具体的実施形態によれば、非酸官能性モノマーは、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート及びオクチルメタクリレートが好ましい。
【0027】
本発明組成物において、成分(B)(即ち、ポリマーバインダー)の量は、全組成物の総重量に対して30〜80重量%であり、45〜75重量%であることが好ましい。
【0028】
本組成物の成分(C)は光開始剤であり、露光に際しフリーラジカルを生成し、フリーラジカルの移動によって重合を開始させることができる。光開始剤の種類は、当業者によく知られている。本発明に好適な光開始剤としては、N−フェニルグリシンや9−フェニルアクリジン、ベンゾイン類、ベンジルジメチルケタール、4,4’−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体(例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体や2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メチルメルカプトフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体)等を挙げることができるが、これらに限定されない。更に、適切な9−フェニルアクリジンホモログ、例えば、米国特許第5217845号(該特許の開示内容を本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する)に開示のホモログもまた本発明の光開始剤として好適である。
【0029】
具体的には、光開始剤の量は1.5〜20重量%であり、2〜15重量%であることが好ましい。
【0030】
本発明の組成物は、当業者によく知られた添加剤、即ち成分(D)を任意に含有することができる。この例としては、溶媒(例えば、アセトンやブタノン、イソプロパノール)、染料(例えば、マラカイトグリーンやクリスタルバイオレット、ビクトリアブルー)、安定化剤(例えばトリフェニルホスフィン)、補助剤(例えばカルボキシベンゾトリアゾール)、発色剤、可撓性付与剤、フィラー又はそれらの組合せを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0031】
本発明のフォトイメージング組成物は、プリント配線板製造においてフォトレジストとして使用できる。例えば、液体組成物を用いて或いはドライフィルムの転写形成によりフォトイメージング組成物層を銅張板の銅表面に形成する。次いでフォトマスクでカバーする。フォトイメージング組成物層を化学線露光することにより、露光領域のモノマーが重合し、現像液に対して耐性を有する架橋構造が形成される。また、未露光領域は希アルカリ水溶液、例えば、1%炭酸ナトリウム水溶液で現像される。ポリマーバインダーに含有されるカルボキシル基の塩形成はアルカリ水溶液により促進されるため、バインダーは溶解除去可能となる。現像後、非被覆銅膜はアルカリ性エッチャント、例えば、銅−アミン錯塩とアンモニア水との混合溶液、によってエッチング除去され、プリント配線が形成される。最後に、残留するフォトレジスト層を水酸化ナトリウム等のストリッパーで除去する。
【実施例】
【0032】
以下、実施例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0033】
ポリウレタンポリマーAの合成
2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物(14.69g)、メチルヒドロキノン(0.0724g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.0335g)及びトルエン(10.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、エチレングリコールメタクリレート(9.47g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1時間とした。エチレングリコールメタクリレートの添加終了後、温度を2時間48〜52℃に維持した。次にジブチルスズビストリデカノエート(0.09g)を添加し、エトキシ基を10基有するビスフェノール(21.40g)を1時間かけて反応フラスコに滴下した。添加終了後、トルエン(2.00g)を添加した。この添加中、反応温度をゆっくりと53〜57℃に上昇させた。温度を53〜57℃に4時間維持した後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。反応物にイソプロパノール(5.00g)を添加することにより急冷し、30分攪拌しつつ反応物の温度を低下させ、コロイド状流体Aを得た。
【0034】
ポリウレタンポリマーBの合成
2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物(36.73g)、メチルヒドロキノン(0.16g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.07g)及びトルエン(40.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、エトキシ基を4基有するビスフェノール(53.50g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1.5時間とした。エトキシ基を4基有するビスフェノールの添加終了後、トルエン(4.00g)を添加し、温度を48〜52℃に1.5時間維持した後、35〜40℃に低下させた。次にエチレングリコールメタクリレート(25.95g)を反応フラスコに1.5時間かけて添加し、その後トルエン(1.00g)を添加した。温度を35〜40℃に4時間維持した後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。反応物にイソプロパノール(5.00g)を添加することにより急冷した。反応物を30分間攪拌し、コロイド状流体Bを得た。
【0035】
ポリウレタンポリマーCの合成
2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物(36.73g)、メチルヒドロキノン(0.16g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.07g)及び酢酸ブチル(50.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、エトキシ基を10基有するビスフェノール(59.66g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1.5時間とした。エトキシ基を10基有するビスフェノールの添加終了後、酢酸ブチル(4.00g)を添加し、温度を48〜52℃に1.5時間維持した後、35〜40℃に低下させた。6基のエトキシ基を有するメタクリレート(61.90g)を反応フラスコに1.5時間かけて添加した後、酢酸ブチル(1.00g)を添加した。温度を35〜40℃に6時間維持した後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。反応物にイソプロパノール(5.00g)を添加することにより急冷した。反応物を30分間攪拌し、コロイド状流体Cを得た。
【0036】
ポリウレタンポリマーDの合成
2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物(36.73g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.07g)及び酢酸ブチル(20.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、エトキシ基を6基有するメタクリレートとε−ラクトンとの反応生成物(205.49g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1.5時間とした。この化合物の添加終了後、温度を48〜52℃に1時間維持し、次いで35〜40℃に低下させた。次にジブチルスズビストリデカノエート(0.24g)と酢酸ブチル(1.00g)を添加し、10基のエトキシ基を有するビスフェノール(59.66g)を1.5時間かけて反応フラスコに滴下した。この添加後、酢酸ブチル(4.00g)を添加し、反応温度をゆっくりと68〜72℃に上昇させた。温度を68〜72℃に8時間維持した後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。温度を低下させ、反応物にメチルヒドロキノン(0.18g)とイソプロパノール(5.00g)を添加することにより急冷した。反応物を30分間攪拌し、コロイド状流体Dを得た。
【0037】
ポリウレタンポリマーEの合成
2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートと2,4,4−トリメチル−ヘキサメチレンジイソシアネートとの混合物(36.75g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.08g)及び酢酸ブチル(20.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、エトキシ基を4基有するビスフェノール(59.66g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1.5時間とした。エトキシ基を4基有するビスフェノールの添加終了後、酢酸ブチル(5.00g)を添加し、温度を48〜52℃に1.5時間維持した後、35〜40℃に低下させた。次にジブチルスズビストリデカノエート(0.24g)と酢酸ブチル(1.00g)を添加し、6基のエトキシ基を有するメタクリレートとε−ラクトンとの反応生成物(251.74g)を2時間かけて反応フラスコに滴下した。この添加後、反応温度をゆっくりと58〜62℃に上昇させた。4時間後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。温度を低下させ、反応物にメチルヒドロキノン(0.18g)とイソプロパノール(5.00g)を添加することにより急冷した。反応物を30分間攪拌し、コロイド状流体Eを得た。
【0038】
ポリウレタンポリマーFの合成
ヘキサメチレンジイソシアネート(11.10g)、メチルヒドロキノン(0.07g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.05g)及び酢酸ブチル(30.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、エチレングリコールメタクリレート(9.47g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中は発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1時間とした。エチレングリコールメタクリレートの添加終了後、酢酸ブチル(2.00g)を添加し、温度を48〜52℃に2時間維持した。続いて、10基のエトキシ基を有するビスフェノール(21.40g)を1時間かけて反応フラスコに滴下した。この間に反応温度をゆっくりと78〜82℃に上昇させた。この添加後、酢酸ブチル(5.00g)を添加し、温度を78〜82℃に2時間維持した後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。反応物にイソプロパノール(5.00g)を添加することにより急冷し、温度を低下させた。反応物を30分間攪拌し、ワックス状固体Fを得た。
【0039】
ポリウレタンポリマーGの合成
ヘキサメチレンジイソシアネート(29.42g)、メチルヒドロキノン(0.16g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.07g)及び酢酸ブチル(50.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、10基のエトキシ基を有するビスフェノール(59.66g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1.5時間とした。10基のエトキシ基を有するビスフェノールの添加終了後、酢酸ブチル(40.00g)を添加し、温度を48〜52℃に1.5時間維持した後、35〜40℃に低下させた。続いて、6基のエトキシ基を有するメタクリレート(67.42g)を1.5時間かけて反応フラスコに滴下した後、酢酸ブチル(15.00g)を添加し、温度を35〜40℃に4時間維持した。その後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。反応物にイソプロパノール(15.00g)を添加することにより急冷した。反応物を30分間攪拌し、ワックス状固体Gを得た。
【0040】
ポリウレタンポリマーHの合成
ヘキサメチレンジイソシアネート(29.42g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.08g)及び酢酸ブチル(20.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、6基のエトキシ基を有するメタクリレートとε−ラクトンとの反応生成物(205.49g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1.5時間とした。この化合物の添加終了後、温度を48〜52℃に1.5時間維持し、次いで35〜40℃に低下させた。続いて、ジブチルスズビストリデカノエート(0.24g)と酢酸ブチル(1.00g)を添加し、10基のエトキシ基を有するビスフェノール(59.66g)を1.5時間かけて反応フラスコに滴下した。その後、酢酸ブチル(4.00g)を添加し、反応温度をゆっくりと48〜52℃に上昇させ、その温度に5時間維持した後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。温度を低下させ、反応物にメチルヒドロキノン(0.18g)とイソプロパノール(5.00g)を添加することにより急冷した。反応物を30分間攪拌し、コロイド状流体Hを得た。
【0041】
ポリウレタンポリマーIの合成
ヘキサメチレンジイソシアネート(29.42g)、ジブチルスズビストリデカノエート(0.08g)及び酢酸ブチル(20.00g)を四つ首丸底フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、4基のエトキシ基を有するビスフェノール(59.66g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を48〜52℃未満に調整し、添加時間を1.5時間とした。4基のエトキシ基を有するビスフェノールの添加終了後、酢酸ブチル(4.00g)を添加し、温度を48〜52℃に1.5時間維持し、次いでゆっくりと78〜82℃に上昇させた。続いて、ジブチルスズビストリデカノエート(0.24g)と酢酸ブチル(21.00g)を添加し、6基のエトキシ基を有するメタクリレートとε−ラクトンとの反応生成物(231.96g)を1時間かけて反応フラスコに滴下した。その後、反応温度を58〜62℃に1.5時間維持した後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。温度を低下させ、反応物にメチルヒドロキノン(0.18g)とイソプロパノール(35.00g)を添加することにより急冷した。反応物を30分間攪拌し、ワックス状固体Iを得た。
【0042】
比較例
ポリウレタンポリマーJの合成
ヘキサメチレンジイソシアネート(73.20g)とジブチルスズビストリデカノエート(0.60g)を反応フラスコに入れ、次いで酢酸ブチル(36.00g)を添加し希釈して相互に溶解させた。このフラスコに乾燥空気を導入し、反応温度を30〜35℃に調整し、反応物を15分間攪拌した。更に、ポリプロピレングリコール(207.30g)を三角フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。このポリプロピレングリコールを攪拌下2.30g/分の速度で反応フラスコに滴下した。この添加中、反応フラスコの温度は徐々に上昇し、温度を68℃以上にならないよう調整した。温度が急速に上昇しすぎる場合は、添加を一時的に停止して反応物を冷却することができる。添加時間は90分とした。ポリプロピレングリコールの添加終了後、この三角フラスコの内壁を酢酸ブチル(5.60g)で洗浄し、得られた溶液を反応フラスコに滴下した。反応フラスコの温度は62〜64℃未満(68℃を越えないこと)に調整し、1.5時間反応させた後、温度を30〜35℃に低下させた。続いて、ステアリル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート(0.88g)と、6基のエトキシ基を有するメタクリレートとε−ラクトンとの反応生成物(6.90g)とを相互に溶解し、次いで反応フラスコに滴下した。更に、ジブチルスズビストリデカノエート(0.55g)と、6基のエトキシ基を有するメタクリレートとε−ラクトンとの反応生成物(6.90g)とを相互に溶解し、次いで反応フラスコに滴下した。6基のエトキシ基を有するメタクリレートとε−ラクトンとの反応生成物(464.57g)を供給用フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入し、温度30〜35℃(38℃を越えないこと)にて攪拌下3.87g/分の速度で2時間かけて反応フラスコに滴下した。添加終了後、この三角フラスコの内壁をブタノン(10.70g)で洗浄し、得られた溶液を反応フラスコに滴下した。反応は30〜35℃で1.5時間行った。トリエチルアミン(0.90g)を反応フラスコに添加し、その容器の内壁をブタノン(2.60g)で洗浄し、得られた溶液を反応フラスコに注いだ。続いて、蒸留水(0.90g)を反応フラスコに添加し、その容器の内壁をブタノン(2.60g)で洗浄し、この内容物を反応フラスコに注ぎ、次いで反応フラスコの温度を50〜54℃に上昇させた。反応は乾燥空気の導入下、機械的に攪拌しながら8.5時間行った。赤外スペクトロメーターによる測定で、イソシアネートの吸収シグナルは検出されなかった。反応フラスコの温度を30〜35℃未満に調整した。イソプロパノール(33.00g)を攪拌下1時間添加し、コロイド状流体Jを得た。
【0043】
ポリウレタンポリマーKの合成
イソホロンジイソシアネート(IPDI)(80.00g)、メチルヒドロキノン(0.33g)及びジブチルスズビストリデカノエート(0.17g)を四つ首反応フラスコに入れ、そこへ乾燥空気を導入した。更に、2−ヒドロキシエチルアクリレート(45.99g)を攪拌下室温にて反応フラスコに滴下した。添加中発熱したので、反応温度を45〜50℃未満に調整した。2−ヒドロキシエチルアクリレートの添加終了後、温度を45〜50℃に1時間維持した。続いて、エトキシ鎖を有するトリメチロールプロパントリアクリレート(115.37g)を添加した。ジブチルスズビストリデカノエート(0.50g)と、分子量1000と2000のポリプロピレングリコール(それぞれ93.06g、186.12g)を均一に混合し、ゆっくりと加熱した後、反応フラスコに滴下した。添加後、反応温度を68〜72℃に5時間上昇させた後、反応物を赤外スペクトロメーターによる検出手続に付したところ、イソシアネートの吸収シグナルがないことを確認した。2−ヒドロキシエチルアクリレート(2.72g)とトリメチロールプロパントリアクリレート(20.00g)を均一に混合し、68〜72℃で反応物に添加した。この温度に1.5時間維持した後、温度を低下させてコロイド状流体Kを得た。
【0044】
【表1】

【0045】
特性試験:
次の構成成分を有するフォトイメージング組成物を調製した(表2参照)。
【0046】
【表2】

【0047】
フォトイメージング組成物用混合物はいずれも固形分約45〜60%に調製した。各コロイド状流体をポリエステルフィルム(二軸延伸配向80タクティシティ)にコーティングし、溶媒残量が約1%以下となるまで乾燥させた。その後、コーティングしたフォトイメージング組成物を、1オンス/FR−4/1オンスの銅被覆複合プレート(機械的スワブにより前処理済み)上に、ホットローラーラミネーター(110℃、速度1.5m/分で使用)でラミネートした。上述の処理後、ラミネート後の複合プレートをUV露光機に載置し、該プレートを、適切な光学機器を用いて強度調節したエネルギーに曝露することによりイメージングを行い、ストーファー(Stouffer)(21ウェッジで測定可能な各銅ステップを得た。次に、コンベア駆動式スプレーコーティング現像機を用いて、0.85%炭酸ナトリウム溶液を28℃でスプレー(約24〜26psi)することにより曝露後の複合プレートを現像した。保持時間は、複合プレートを50〜55%現像する点に調整した。その後、このプレートを水道水と脱イオン水で数回スプレー洗浄した。
【0048】
サイズの異なるオリフィス(孔)を有する多数の銅被覆複合プレートを引張特性試験に用いた。コーティングしたフォトイメージング組成物を、上述の条件で、銅被覆複合プレートの上面及び下面の両面にホットローラーラミネーターでラミネートし、強度調節したエネルギーに曝露して、Stouffer(41ウェッジにて測定される銅ステップ22のイメージング物を得た。各プレートを上述のように現像した後、力:0.1N、速度:100mm/分の条件で試験した。
【0049】
アルカリエッチング試験においては、コーティングしたフォトイメージング組成物を、1オンス/FR−4/1オンスの銅被覆複合プレート(機械的スワブにより前処理済み)上に、上述の条件でホットローラーラミネーターを用いてラミネートした。次いで、ラミネート後の複合プレートをUV露光機に載置し、適切な光学機器を用いて強度調節したエネルギーに曝露させることによりイメージングを行い、Stouffer(41ウェッジにて測定される銅ステップ22のイメージング物を得た。続いて、プレートを上述の現像処理に付した後、所望の試験片にカットした。次に、銅エッチング用アルカリエッチング溶液のpHをアンモニア水で9.5に調整し、この溶液に、カットされた試験片を温度50℃で2分間浸漬し、次いでこれら試験片をすばやく取出し大量の水で洗浄してブロー乾燥させた。その後、銅表面に残存した最も微細なフォトレジスト回路を顕微鏡で観察した。
【0050】
金メッキ試験においては、コーティングしたフォトイメージング組成物を、1オンス/FR−4/1オンスの銅被覆複合プレート(化学的マイクロエッチング及び機械的スワブにより前処理済み)上に、上述の条件でホットローラーラミネーターを用いてラミネートした。次いで、ラミネート後の複合プレートをUV露光機に載置し、適切な光学機器を用いて強度調節したエネルギーに曝露させることによりイメージングを行った。続いて、プレートを上述の現像処理に付した後、所望の試験片にカットした。次に、カット試験片について金メッキ試験を6分間(pH=6.0、温度65℃)行った。使用した金メッキ溶液(NT−1000、オーロメックス社(Auromex Co.)提供)は、金濃度[Au+]=4g/L(電流密度:約15ASF)とした。
【0051】
無電解ニッケル浸漬金メッキ試験においては、コーティングしたフォトイメージング組成物を、1オンス/FR−4/1オンスの銅被覆複合プレート(化学的マイクロエッチング及び機械的スワブにより前処理済み)上に、上述の条件でホットローラーラミネーターを用いてラミネートした。次いで、ラミネート後の複合プレートをUV露光機に載置し、適切な光学機器を用いて強度調節したエネルギーに曝露させることによりイメージングを行い、上述の現像処理後、所望の試験片にカットした。試験は次の2パートを含む。即ち、(a)無電解ニッケルメッキ:上でカットした試験片について、無電解ニッケルメッキバス溶液(NIMUDEM NPR−4、カミムラ社(KAMIMURA Co.)提供)を用いて、温度85℃で60分間行った;(b)浸漬金メッキ:浸漬金メッキ試験は、無電解ニッケルメッキ試験にて試験済みの試験片について、浸漬金メッキバス溶液(AURICAL TTT−24、カミムラ(KAMIMURA Co.)社提供)を用いて15分間行った。
【0052】
これらの試験結果を表3に示す。
【0053】
【表3】

【0054】
試験結果からコロイド状流体ii〜xのアルカリエッチング耐性及び金メッキ耐性の各性能はコロイド状流体i、コロイド状流体xi及びコロイド状流体xiiよりも良好であり、アルカリ耐性が良好であることによりアルカリ水溶液で現像した時に、より良好な解像度が得られることが示される。一方、物性に関する試験結果から分かるように、フォトイメージング組成物は、ビスフェノール構成成分を有するポリウレタンを含有する場合に金メッキ耐性及び無電解ニッケル浸漬金メッキ耐性の各性能が良好となり、本発明のフォトイメージング組成物は、ベンゼン環構造の存在により良好なアルカリエッチング耐性を示すと結論付けることができ、更にポリウレタンがポリエステル鎖構成成分を含有する場合には、本発明のフォトイメージング組成物は良好な引張性能を示す。試験結果から明らかなように、引張特性、金メッキ耐性、無電解ニッケル浸漬金メッキ耐性及びアルカリエッチング耐性の各性能において、コロイド状流体v及びコロイド状流体ix〜xiはいずれもポリエステル鎖構成成分を含有しないポリウレタンコロイド状流体よりも良好であり、一方、コロイド状流体xiiは、ビスフェノールとポリエステル鎖の各構成成分を含有しないことからこれらの性能が劣る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
1は水素又はメチルを表し;
2はC2-4のアルコキシを表し;
3はC3-10のラクトンを表し;
4はC1-20のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン又はアリーレン環基を表し;
5はC2-4のアルキレンオキシを表し;
6は水素を表すか、又はC1-10のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又は芳香環基を表し;
nは1より大の整数であり;
aは1〜10の整数であり;
bは0〜20の整数であり;
cは0〜10の整数である)で表されるポリマー。
【請求項2】
aは1〜7の整数である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項3】
bは4〜15の整数である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
cは2〜7の整数である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
nは1〜20の整数である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
2はC2-3のアルコキシである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
3はC3-7のラクトンである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
4はC4-16のアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、シクロアルキレン又はアリーレン環基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
5はC2-3のアルキレンオキシである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
6は水素であるか、又はC1-6のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル又は芳香環基である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
平均分子量が4000〜20000である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項12】
次の各成分:
(A)請求項1に定義の式(I)で表されるポリマー;
(B)ポリマーバインダー;及び
(C)光開始剤
を含む、フォトイメージング組成物。
【請求項13】
前記ポリマーは、フォトイメージング組成物の総重量の約5%〜約50%を構成する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記ポリマーバインダーは、フォトイメージング組成物の総重量の約30%〜約80%を構成する、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記光開始剤は、フォトイメージング組成物の総重量の約1.5%〜約20%を構成する、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】
前記ポリマーバインダーは、酸官能性モノマーと非酸官能性モノマーを重合単位として含む、請求項12に記載の組成物。

【公開番号】特開2007−308686(P2007−308686A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−79765(P2007−79765)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(598170187)エターナル ケミカル シーオー.,エルティーディー. (13)
【氏名又は名称原語表記】ETERNAL CHEMICAL CO.,LTD.
【Fターム(参考)】