説明

ビデオスキントーン補正のための輪郭フリーポイント動作

【課題】色調補正のための方法の提供。
【解決手段】(A)複数の第1の色成分を第1の理想的な色に向けてスケーリングすることによって、複数の第1の中間成分を生成するステップであって、第1の色成分が、(i)入力ビデオ信号における第1の複数の画素用であり、(ii)色空間の第1の領域の内側に入るステップと、(B)第1の中間成分を調整することによって、複数の第1の補正された成分を生成するステップであって、第1の補正された成分への第1の色成分の第1のマッピングが、(i)色空間において連続的であり、かつ(ii)色空間において重なり合わないように生成するステップと、(C)第1の補正された成分を複数の非変更色成分と結合することによって、出力ビデオ信号を生成するステップであって、非変更色成分が、(i)第2の複数の画素用であり、(ii)第1の領域に入らないステップと、が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にデジタルビデオ処理に関し、特に、ビデオスキントーン補正のための輪郭フリーポイント動作に関する。
【背景技術】
【0002】
表示されるビデオおよび画像においては、高飽和色が望ましいことが多い。不自然に過剰な飽和色でさえも、ビデオもしくは画像構成または鑑賞にとって望ましいと多くの人が見なす可能性が往々にある。したがって、補助情報を介して正確な色表示データが分かる場合であっても、一般に、ユーザの彩度調整つまみがディスプレイ装置に設けられる。
【0003】
過剰な飽和色に対する好みに関しては、例外が存在する。例えば、スキントーンまたは「シーシェルピンク」としてもまた知られている人肌の色は、過剰に飽和されると一般に嫌がられる。他の例外は、自然物であるが、自然物に対しては、基準飽和の範囲が、過剰な飽和に対する一般的な好みに優先する。したがって、大部分のビデオ内容にとって満足になり得る色調整設定は、人肌用の理想的で望ましい設定とは異なることが多い。また、いくつかの研究から、少なくともいくつかの文化(すなわち、日本文化、韓国文化)では、肌にとって最も自然で快い色であると知覚される「理想的」なスキントーンカラーが存在することがわかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スキントーンの調整に対する普通のアプローチには、スキントーンを含むピクチャの空間エリアを分割することが含まれる。次に、別個の色相/彩度調整を提供して、分割エリアを制御する。しかしながら、普通のアプローチは、ビデオにとって容認できない結果をもたらす。ピクチャが鑑賞される場合に、アーチファクトが、分割エリアに一時的に導入される。したがって、スキン色相調整によって作られたアーチファクトを低減するために、余分な輪郭低減ステップが一般に実行され、複雑さが加えられる。さらに、普通のアプローチは、ビデオの色成分を順次的に調整することも、固有の色空間(すなわちCrCb)で動作することもしない。したがって、普通のアプローチは、線形動作または単純なルックアップテーブルを用いて実行することができず、高価なカスタムシリコンに帰着する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、色調補正のための方法に関する。この方法には、一般に、(A)複数の第1の色成分を第1の理想的な色に向けてスケーリングすることによって、複数の第1の中間成分を生成するステップであって、第1の色成分が、(i)入力ビデオ信号における第1の複数の画素用であり、(ii)色空間の第1の領域の内側に入るステップと、(B)第1の中間成分を調整することによって、複数の第1の補正された成分を生成するステップであって、第1の補正された成分への第1の色成分の第1のマッピングが、(i)色空間において連続的であり、かつ(ii)色空間において重なり合わないように生成するステップと、(C)第1の補正された成分を複数の非変更色成分と結合することによって、出力ビデオ信号を生成するステップであって、非変更色成分が、(i)第2の複数の画素用であり、(ii)第1の領域に入らないステップと、が含まれる。
【0006】
本発明の目的、特徴および利点には、(i)色空間においてスキントーン補正を連続的にマッピングし、(ii)色空間においてマッピングされない領域を防ぎ、(iii)色空間において二重にマッピングされる領域を防ぎ、(iv)色成分を順次的に調整し、(v)入力信号の固有の色空間において動作し、(vi)線形動作だけで動作し、(vii)一次元ルックアップテーブルで動作し、かつ/または(viii)非線形マッピングを達成することが可能なビデオスキントーン補正からの輪郭フリーポイント動作を提供することが含まれる。
【0007】
本発明のこれらの、および他の目的、特徴および利点は、下記の詳細な説明ならびに添付された特許請求の範囲および図面から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の好ましい実施形態による例示的なシステムの図である。
【図2】合同色空間における例示的な領域の図である。
【図3】サンプルを処理するための例示的な補正方法の流れ図である。
【図4】マッパー回路の例示的な実施の詳細なブロック図である。
【図5】分離回路の例示的な実施の詳細な図である。
【図6】検出領域の例示的なセットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
他の内容とは対照的に、スキントーン用の別個の色再現/調整を可能にするために、スキントーンによって表現される色用のスキンカラー再現を別々に制御する方法および/またはアーキテクチャが、本発明によって提供される。本発明は、変形または色変換が一般に利用されないという点で、従来の方法と異なる。さらに、従来の別個の輪郭低減ステップは、一般に輪郭アーチファクトを防ぐ本発明の、不連続性のないカラーワープ技術として、排除してもよい。
【0010】
カラーワープ技術が、個別ピクセルの固有のクロマサンプルに直接基づいて動作し(例えば、YCbCr空間におけるCb成分およびCr成分を用いて動作する)、決して輝度データまたは周囲ピクセルに依存しないので、本発明のデータ処理基準および複雑さは、従来の方法と比較して低減可能である。複雑さの低減は、特にビデオに当てはまり、これは、サブサンプリングされたクロマフォーマットで表わされることが多い(例えば、消費者およびプロ用ビデオに対してそれぞれ4:2:0および4:2:2)。不連続性の欠如および/または高度な非線形マッピングならびにエリア分割の回避によって、一般に、本発明は、ビデオ補正にとって極めて安定的になる。いくつかの実施形態では、知覚的により均一なマッピングが、YCbCr空間の代わりにYu'v'空間において行い得る。
【0011】
図1を参照すると、本発明の好ましい実施形態に従って、例示的なシステム100の図が示されている。システム(またはアセンブリ)100は、色調変換システムと呼んでもよい。色調変換システム100には、一般に、回路(またはモジュール)102および回路(またはモジュール)104が含まれる。入力信号(例えばVIN)は、回路102によって受信してもよい。輝度信号(例えばY)は、回路102から回路104に転送してもよい。多数の色信号(例えば、Cb0、Cr0、Cb3およびCr3)もまた、回路102から回路104に転送してもよい。回路104は、出力信号(例えばVOUT)を生成し、提供してもよい。
【0012】
回路102は、補正回路と呼んでもよい。補正回路102は、色空間の1つまたは複数の領域を調整して、スキントーン、自然色および/または任意の自由な色領域を補正するように動作可能である。
【0013】
信号VINは、1つまたは複数のアナログビデオ信号および/または1つまたは複数のデジタルビデオ信号であってもよい。信号VINには、一般に、プログレッシブフォーマットフレームおよび/またはインターレースフォーマットフィールドのシーケンスが含まれる。信号VINには、ディスプレイをビデオ情報と同期させるのに適した同期信号を含んでもよい。信号VINは、限定するわけではないが、EIA770(例えば、YCrCb)信号としてアナログ形式で生成してもよい。デジタル形式では、信号VINは、限定するわけではないが、高解像度マルチメディアインタフェース(HDMI)信号、デジタルビデオインタフェース(DVI)信号、BT.601信号、および/またはBT.656信号として生成してもよい。
【0014】
信号VOUTは、1つまたは複数のアナログビデオ信号および/または1つまたは複数のデジタルビデオ信号であってもよい。信号VOUTには、一般に、プログレッシブフォーマットフレームおよび/またはインターレースフォーマットフィールドのシーケンスが含まれる。信号VOUTには、ディスプレイをビデオ情報と同期させるのに適した同期信号を含んでもよい。信号VOUTは、限定するわけではないが、RGB(赤、緑、青)信号、EIA770(例えば、YCrCb)信号、Sビデオ信号および/またはコンポジットビデオベースバンド信号(CVBS)としてアナログ形式で生成してもよい。デジタル形式では、信号VOUTは、限定するわけではないが、高解像度マルチメディアインタフェース(HDMI)信号、デジタルビデオインタフェース(DVI)信号、BT.601信号および/またはBT.656信号として生成してもよい。信号VOUTは、標準解像度信号または高解像度信号としてフォーマットしてもよい。
【0015】
信号Yは、一般に、信号VINにおける、ビデオの輝度成分を表わす。信号Cb0およびCb3は、ビデオの第1の色(例えば青)成分を運んでもよい。信号Cr0およびCr3は、ビデオの第2の色(例えば赤)成分を運んでもよい。一般に、信号Cb0およびCr0は、回路102によって修正されない色情報を表わす。信号Cb3およびCr3は、ビデオ用の補正された色情報を運んでもよい。
【0016】
図2を参照すると、合同色空間122の例示的な領域120の図が示されている。補正回路102によって実行される色調補正の基本的方法には、一般に、クロマサンプル(だけ)のプロセスが含まれる。スキントーンの認識は、合同色空間122(例えば、Cb、Cr色空間)において実行してもよい。この認識は、合同色空間122のスキントーン認識領域(またはゾーン)120内に入る色を有する画素に基づいて実行してもよい。領域120の形状には、限定するわけではないが、検出/認識ゾーンとして矩形(簡単にするために)を含んでもよい。楕円形、長円形および六角形などの他の領域形状を、代替検出動作のために実現してもよい。いくつかの実施形態において、領域120の形状、位置および数は、予め決定してもよい。他の実施形態において、領域120の形状、位置および/または数は、動作中に計算してもよい。
【0017】
補正回路102によって実行されるスキントーン処理は、一般に、認識されたサンプルのCb値およびCr値に対して一緒に行ってもよい。処理のために信号VINから利用される入力は、現在の(画素)サンプルのCb値およびCr値に制限して、現在のサンプル用の補正値を生成してもよい。隣接する画素の色は、現在のサンプル用の補正値を計算する際に、無視してもよい。
【0018】
単一の望ましい色ペア124(例えば、(mapCb、mapCr))は、検出領域120内の色を備えた全てのサンプル用の「理想的」で代表的な色点として識別してもよい。検出領域120内のサンプルのCb値およびCr値は、区分線形関数を介してマッピングしてもよく、これによって、実施が非常に単純化される。また、非線形関数は、特定用途の基準を満たすように実行してもよい。
【0019】
検出領域120の内側境界126内にあるサンプルは、固定割合だけ理想的な色ペア124に近くなるように移動してもよい。内側境界126は、中央領域128を画定してもよい。この移動は、元のCr値および元のCb値と比較して、Cr値およびCb値のそれぞれを、理想的な色値124に2倍接近して再配置してもよい。例えば、中央領域128内の元の(Cb、Cr)色サンプル130は、位置132に移動してもよい。中央領域128内の移動は、典型的には、1未満の線形傾斜を有する。
【0020】
境界領域134は、検出領域120の内側および中央領域128の外側に画定してもよい。境界領域134内に入るサンプル(例えば、サンプル136)は、出力色領域が入力色領域全体にまたがるように、検出領域120内の他のサンプルに連続的にマッピングしてもよい。
【0021】
遷移領域138は、検出領域120の周囲に沿って画定してもよい。遷移領域138は、一般に、検出領域120の内側から検出領域120の外側へと色空間122の連続的なブレンド(ワープ)を可能にする。
【0022】
再び図1を参照すると、補正回路102には、一般に、回路(またはモジュール)140、1つまたは複数の回路(またはモジュール)142a〜142n、および回路(またはモジュール)144が含まれる。信号VINは、回路140によって受信してもよい。回路140は、信号Y、Cb0およびCr0を変換回路104に転送してもよい。回路142a〜142nは、信号Cb3およびCr3を変換回路104に転送してもよい。回路142a〜142nのそれぞれは、回路140から信号ペアを受信してもよい(例えば、それぞれ、(Cb1a、Cr1a)から(Cb1n、Cr1n)まで)。回路144は、回路142a〜142nのそれぞれに情報を転送してもよい。
【0023】
回路140は、分離回路と呼んでもよい。分離回路140は、色空間122における位置に基づいて、信号VINで受信された画素を分離するように動作可能である。
【0024】
回路142a〜142nのそれぞれは、マッピング回路と呼んでもよい。マッピング回路142a〜142nのそれぞれは、異なる検出領域120内の分離回路140から受信されたサンプルをマッピングするように動作可能である。各異なる検出領域120、中央領域128、境界領域134および理想的な色点124は、回路144から提供される情報に基づいてもよい。
【0025】
回路144は、メモリ回路と呼んでもよい。メモリ回路144は、1つまたは複数の検出領域120を画定する情報を記憶(例えば、永久にまたは動的に)してもよい。いくつかの実施形態において、マッピング情報は、マッピング回路142a〜142nの中に設計してもよい。
【0026】
変換回路104には、一般に、回路(またはモジュール)146および回路(またはモジュール)148が含まれる。回路146は、分離回路140から信号Y、Cb0およびCr0を受信してもよい。信号Cb3およびCr3は、マッピング回路142a〜142nから回路146によって受信してもよい。回路148は、信号VOUTを提供してもよい。回路146は、信号(例えばVOUT')を回路148に転送してもよい。
【0027】
回路146は、結合回路と呼んでもよい。結合回路146は、信号Y、Cb0、Cr0、Cb3およびCr3からのサンプルデータを結合することによって、信号VOUT'を生成するように動作可能である。信号VOUT'における各画素は、信号Yにおける輝度値と、信号Cb0、Cr0または(適切なマッピング回路142a〜142nからの)信号Cb3、Cr3からの2つの色値との結合であってもよい。したがって、信号VOUT'におけるサンプルは、信号VINにおけるサンプルとして、元の色空間(例えばYCbCr)にあってもよい。
【0028】
回路148は、色空間変換回路と呼んでもよい。色空間変換回路148は、信号VOUT'の色空間を変化させて、信号VOUTを生成するように動作可能である。いくつかの実施形態において、色空間変換回路148は、意図した出力色空間(例えばRGB色空間)を信号VOUTにおいて達成するために存在してもよい。他の実施形態において、色空間変換回路148は、YCbCr色空間が意図した出力色空間である場合(例えばVOUT=VOUT')には、なくてもよい。
【0029】
図3を参照すると、サンプルを処理するための例示的な補正方法150の流れ図が示されている。方法(またはプロセス)150は、補正方法と呼んでもよい。補正方法150には、一般に、ステップ(またはブロック)152、ステップ(またはブロック)154およびステップ(またはブロック)156が含まれる。ステップ154には、一般に、ステップ(またはブロック)160、ステップ(またはブロック)162、ステップ(またはブロック)164、ステップ(またはブロック)166、ステップ(またはブロック)168、ステップ(またはブロック)170、ステップ(またはブロック)172、ステップ(またはブロック)174、ステップ(またはブロック)176およびステップ(またはブロック)178が含まれる。補正方法150は、(i)単一の検出領域120の観点から説明してもよく、(ii)信号Cb1a〜Cb1nおよびCr1a〜Cr1nを、総称してCb1およびCr1と呼んでもよく、かつ(iii)代表的な例としてマッピング回路142aを用いてもよい。
【0030】
ステップ152において、分離回路140は、各個別の入力サンプルを、信号Yにおける輝度値、信号Cb1における青色値、および信号Cr1における赤色値に分離してもよい。ステップ154において、マッピング回路142aは、青色値および赤色値を、信号Cb3における新しい青色値および信号Cr3における新しい赤色値に補正してもよい。ステップ156において、結合回路146は、新しい青色値および新しい赤色値を輝度値と再結合して、マッピングされたサンプルを信号VOUT'において生成してもよい。
【0031】
より詳細には、スキントーン検出領域120には、Cb∈[olBND..orBND]およびCr∈[obBND..otBND]のようなサンプル(Cb、Cr)を含んでもよい。パラメータolBND、orBND、obBNDおよびotBNDは、スキントーン領域120の外側左境界、外側右境界、外側下部境界および外側上部境界をそれぞれ画定してもよい。
【0032】
中央領域128には、Cb∈[ilBND..irBND]およびCr∈[ibBND..itBND]のようなサンプル(Cb、Cr)を含んでもよく、ここで、(i)BND=16または24または32、かつ(ii)ilBND=olBND+BND、irBND=orBND−BND、ibBND=obBND+BND、およびitBND=otBND−BNDである。パラメータilBND、irBND、ibBNDおよびitBNDは、中央領域128の内側左境界、内側右境界、内側下部境界および内側上部境界をそれぞれ画定してもよい。
【0033】
遷移領域138には、スキントーン領域120の周囲距離内のサンプル(例えばTBND)を含んでもよい。パラメータTBNDは、16または24または32の典型的な値を有してもよい。「理想的」なスキントーンポイント124は、一般に、位置(mapCb、mapCr)で中央領域128内に含まれる。
【0034】
補正ステップ154には、一般に、図においてA1、A2、B1およびB2とラベル付けされた4つのステップグループが含まれる。グループA1には、一般に、ステップ160〜164が含まれる。グループA2には、一般に、ステップ166および168が含まれる。グループB1には、一般に、ステップ170〜174が含まれる。グループB2には、一般に、ステップ176および178が含まれる。
【0035】
スキントーン領域120における各サンプル(Cb、Cr)に対して、調整された出力(例えば、(Cb3、Cr3))は、下記のステップごとにマッピング回路142aによって計算してもよい。スキントーン領域120にない各サンプル(Cb、Cr)に対しては、出力は、入力と同じであってもよい(例えば、Cb3=Cb1およびCr3=Cr1)。一般に、輝度値は修正されないが、そうでなければスキンレース(skin race)が悪くなる可能性がある。
【0036】
ステップ160において、マッピング回路142aは、一般に、中央領域128内の青色値Cb1(例えば、Cb∈[ilBND..irBND])を、以下のように式1に従いスケール係数CbScaleによって、理想的なmapCbに向けてスケーリングする。
Cb2=(Cb1−mapCb)×CbScale+mapCb 式1
【0037】
いくつかの実施形態において、スケール係数CbScaleは、固定値(例えば、CbScale=0.5)を有してもよい。
【0038】
ステップ162において、境界領域134の左側内の青色値Cb1(例えば、Cb∈[olBND..ilBND])は、以下のように式2によって、マッピングが連続的になるようにスケーリングしてもよい。
Cb2=(Cb1−olBND)×(BND+(mapCb−ilBND)×CbScale)/BND+olBND 式2
【0039】
ステップ164において、境界領域134の右側内の青色値Cb1(例えば、Cb∈[irBND..orBND])もまた、以下のように式3によって、マッピングが連続的になるようにスケーリングしてもよい。
Cb2=(Cb1−orBND)×(BND+(irBND−mapCb)×CbScale)/BND+orBND 式3
【0040】
遷移領域138内において、マッピング遷移の漸進的ブレンドは、以下のように式4および5によって連続的方法で実行してもよい。
CbAdjust=min(TBND、min(otBND−Cr1、Cr1−obBND)) 式4
Cb3=(Cb2×CbAdjust+Cb1×(TBND−CbAdjust))/TBND 式5
【0041】
次に、補正された青色値は、結合回路146によって、輝度成分との再結合に備えてもよい(例えば、ステップ156)。
【0042】
ステップ170において、マッピング回路142aは、一般に、中央領域128内の赤色値Cr1(例えば、Cr∈[ibBND..itBND])を、以下のように式6に従いスケール係数CrScaleによって、理想的なmapCrに向けてスケーリングする。
Cr2=(Cr1−mapCr)×CrScale+mapCr 式6
【0043】
いくつかの実施形態において、スケール係数CrScaleは、0.5の固定値を有してもよい。
【0044】
ステップ172において、境界領域134の下部側内の赤色値Cr1(例えば、Cr∈[obBND..ibBND]は、以下のように式7によって、マッピングが連続的になるようにスケーリングしてもよい。
Cr2=(Cr1−obBND)×(BND+(mapCr−ibBND)×CrScale)/BND+obBND 式7
【0045】
ステップ174において、境界領域134の上部側内の赤色値Cr1(例えば、Cr∈[itBND..otBND]は、以下のように式8によって、マッピングを連続的に行うようにスケーリングしてもよい。
Cr2=(Cr1−otBND)×(BND+(itBND−mapCr)×CrScale)/BND+otBND 式8
【0046】
遷移領域138内において、マッピング遷移の漸進的ブレンドは、以下のように式9および10によって連続的な方法で実行してもよい。
CrAdjust=min(TBND、min(orBND−Cb3、Cb3−olBND)) 式9
Cr3=(Cr2*CrAdjust+Cr1*(TBND−CrAdjust))/TBND 式10
【0047】
完全に連続的であるために、式9は、一般に、Cb1の代わりにCb3を用いる。次に、補正された赤色値は、結合回路146によって、輝度成分および青色成分との再結合に備えてもよい(例えば、ステップ156)。
【0048】
いくつかの実施形態において、補正方法150は、青色値Cb3の処理を完了し、その後、赤色値Cr3の処理を完了してもよい。ステップグループA1およびB1は、ほぼ同時に並行して実行してもよい。しかしながら、ステップグループB2はCb3の値に依存するので、ステップグループA2は、ステップグループB2が開始する前に、完了すべきである。
【0049】
他の実施形態において、補正方法150は、青色値Cb3の前に赤色値Cr3の処理を完了するように実行してもよい。前述のように、ステップグループA1およびB1は、ほぼ同時に実行してもよい。しかしながら、式ペア(i)4および5、ならびに(ii)9および10は、(i)ステップグループA2が、Cb2およびCr3に依存し、(ii)ステップグループB2が、Cr2およびCb1に依存するように修正してもよい。かかるものとして、ステップグループB2は、ステップグループA2が開始する前に完了してもよい。
【0050】
図4を参照すると、マッパー回路142(例えば、回路142a)の例示的な実施の詳細なブロック図が示されている。マッパー回路142には、一般に、回路(またはモジュール)200、回路(またはモジュール)202、回路(またはモジュール)204、回路(またはモジュール)206、回路(またはモジュール)208および回路(またはモジュール)210が含まれる。回路200は、青色成分信号Cb1(例えば、信号Cb1a)を受信してもよい。回路202および204は、赤色成分信号Cr1(例えば、信号Cr1a)を受信してもよい。回路206は、補正された青色成分信号Cb3を提供してもよい。回路208は、補正された赤色成分信号Cr3を提供してもよい。回路204は、青色調整値CbAdjustを回路206に提供してもよい。回路210は、赤色調整値CrAdjustを回路208に提供してもよい。
【0051】
回路200〜210のそれぞれは、個々に、ルックアップ回路と呼んでもよい。各ルックアップ回路200〜210は、ルックアップテーブル(LUT)のように動作可能である。ルックアップテーブルを用いて、上記の様々な値をスケーリングおよび調整してもよい。スケーリングおよび調整は、ルックアップテーブルにおける入力に依存して、線形および/または非線形であってもよい。しかしながら、上記の補正方法150の構造は、やはり遵守すべきである。設計は、最初にCr1またはCb1のいずれかを処理してもよい。下記は、一般性を失うことなく、Cb1が最初に処理されると仮定する。
【0052】
検出領域120内のサンプル(Cb、Cr)に対して、ルックアップ回路200、204および206における連続関数は、一般に、特定の範囲内におけるCb1値を、同じ全体的範囲におけるCb3値にマッピングする。マッピングは、(i)望ましい「理想的」なポイントを巡る範囲圧縮および(ii)(連続マッピングを維持するために)理想的なポイントから離れた範囲拡張を達成可能なように、設計してもよい。マッピングには、領域内ではなく、Cr値の境界における(例えば、遷移領域138における)ブレンドを含んでもよい。ブレンドは、上記のマッピングを受けるCb値と、受けないCb値(Cr境界により接近している)との間の連続的な遷移が生じるように、採用してもよい。
【0053】
同様に、類似のプロセスが、ルックアップ回路202、210および208を用いて、Cr値のために実行可能である。しかしながら、最終的なブレンド段階は、完全に連続的なマッピングを維持するために、既に処理されたCb3値を用いるべきである。例えば、グループA2はグループA1に続き、グループB1はグループA1(および恐らくA2)と並行して実行してもよく、グループB2はグループB1に続き、グループB2はグループA2に続く。
【0054】
図5を参照すると、分離回路140の例示的な実施の詳細図が示されている。分離回路140には、一般に、回路(またはモジュール)220、回路(またはモジュール)222、および1つまたは複数の回路(またはモジュール)224a〜224nが含まれる。回路220〜224nの全ては、信号CbおよびCrを受信してもよい。回路220は、制御信号(例えばK0)を回路222に提供してもよい。回路220はまた、1つまたは複数の制御信号(例えばKa〜Kn)を回路224a〜224nにそれぞれ提供してもよい。回路224a〜224nは、信号ペアCb1a〜Cb1nおよびCr1a〜Cr1nをそれぞれ生成してもよい。
【0055】
回路220は、選択ルックアップ回路と呼んでもよい。回路222および224a〜224nのそれぞれは、パスゲート(例えば、論理ANDゲート)と呼んでもよい。選択ルックアップ回路220は、色ペア(Cb、Cr)が、1つまたは複数の検出領域120のいずれかの内側に入るかどうかを判定するように動作可能である。もし入らなければ、制御信号K0は、アサートされて、パスゲート222に、信号CbおよびCrを信号Cb0およびCb0として通過させてもよい。色ペア(Cb、Cr)が、1つまたは複数の検出領域120の内側に入る場合には、それぞれのパスゲート224a〜224nが、適切なマッピング回路142a〜142nに色値を転送するように、適切な制御信号Ka〜Knをアサートしてもよい。
【0056】
図6を参照すると、検出領域の例示的なセットの図が示されている。本発明は、単なるスキントーン以外の色空間の領域に適用してもよい。特に、多数の(例えば3)並列マッピング回路142a〜142nを単一システム100に実現してもよい。分離回路140は、色相120a〜120fの多数の(例えば3)異なるゾーンを認識し、別個に補正するように構成してもよい。例えば、システム100は、スキントーン(例えば「シーシェルピンク」)、緑色色調(例えば、「若草色」および/または「緑の葉」)ならびに青色色調(例えば、「空色」および/または「ウォーターブルー」)に同時に対応してもよい。一般に、赤色、黄色、紫色および他の色は、多くの鑑賞者が強く判断する可能性がある自然との関連を持たない場合がある。したがって、多くの自然画像は、彩度が、スキン領域、緑色領域および/または青色領域に対して適切に調整されていない場合には、不自然に見える可能性がある。さらに、領域のそれぞれは、同じかまたは異なる形状(例えば、矩形、扇形、三角形、長円形、楕円形、六角形)を有してもよい。
【0057】
当業者には明らかであろうが、図1、3、4および5の図によって実行される機能は、本明細書の教示に従ってプログラムされた従来の汎用デジタルコンピュータを用いて実現してもよい。また当業者には明らかであろうが、適切なソフトウェアコーディングは、本開示の教示に基づき、熟練したプログラマによって容易に準備することができる。
【0058】
本発明はまた、ASIC、FPGAを準備することによって、または本明細書で説明するように、従来の要素回路の適切なネットワークを相互接続することによって実現してもよく、これらの修正は、当業者には容易に明らかになろう。
【0059】
したがって、本発明にはまた、コンピュータ製品を含んでもよいが、このコンピュータ製品は、コンピュータをプログラムして本発明によるプロセスを実行するために使用できる命令を含む記憶媒体であってもよい。記憶媒体には、限定するわけではないが、フロッピー(登録商標)ディスク、光ディスク、CD−ROM、光磁気ディスク、ROM、RAM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリ、磁気もしくは光カードを含む任意のタイプのディスク、または電子命令を記憶するのに適した任意のタイプの媒体、を含むことができる。本明細書で用いるように、用語「同時」は、ある共通の期間を共有するイベントを説明するように意味されているが、しかしこの用語は、同じ時点で始まるか、同じ時点で終了するか、または同じ期間を有するイベントに制限されるようには意味されていない。
【0060】
本発明を、その好ましい実施形態に関連して特に図示し説明したが、本発明の範囲から逸脱せずに、形態および詳細の様々な変更をなし得ることが、当業者によって理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)ビデオの複数の第1の色成分を理想的な色に向けてスケーリングすることによって、複数の中間成分を生成し、前記第1の色成分が、色空間の領域の内側に入り、(ii)前記中間成分を調整することによって、複数の補正された成分を生成する際に、前記補正された成分への前記第1の色成分のマッピングが、前記色空間において連続的であるように生成し、かつ(iii)前記補正された成分を前記領域に入らない前記ビデオの複数の第2の色成分と結合することによって、色調補正された画像を生成するように構成された回路を含むディスプレイ装置。
【請求項2】
前記ディスプレイ装置が、(i)テレビ、(ii)デジタルテレビ、(iii)ディスプレイ、(iv)デジタルディスプレイの少なくとも1つを含む請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項3】
前記回路が、前記中間成分を生成する前に、前記第1の色成分を前記第2の色成分から分離するようにさらに構成された請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項4】
前記第1の色成分が、前記ビデオの複数の青色成分と赤色成分とを含む請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記回路が、ユーザの調整に応じて、(i)前記領域の形状、(ii)前記色空間における前記領域の位置の少なくとも1つを計算するようにさらに構成された請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記ビデオが、(i)EIA770信号、(ii)高解像度マルチメディアインタフェース信号、(iii)デジタルビデオインタフェース信号、(iv)BT.601信号、(v)BT.656信号の少なくとも1つとしてフォーマットされた信号において受信される請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記回路が、(i)前記補正された成分の複数の補正された青色成分を生成し、(ii)前記補正された青色成分に応じて、前記補正された成分の複数の補正された赤色成分を生成するようにさらに構成された請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記領域が、(i)スキントーン領域、(ii)草領域、(iii)水領域、(iv)空領域の少なくとも1つを含む請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記領域が、(i)矩形形状、(ii)三角形状、(iii)長円形状、(iv)扇形状、(v)六角形状、(vi)楕円形状の少なくとも1つを含む形状を有する請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記回路は、前記色調補正中に変更されない前記ビデオの複数の輝度成分を維持するようにさらに構成された請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
(A)ビデオの複数の第1の色成分を理想的な色に向けてスケーリングすることによって、複数の中間成分を生成するステップであって、前記第1の色成分が、色空間の領域の内側に入るステップと、
(B)前記中間成分を調整することによって、複数の補正された成分を生成するステップであって、前記補正された成分への前記第1の色成分のマッピングが、前記色空間において連続的であるように生成するステップと、
(C)前記補正された成分を前記領域に入らない前記ビデオの複数の第2の色成分と結合することによって、色調補正された画像を生成するステップと、
を含むディスプレイ装置における色調補正のための方法。
【請求項12】
前記ディスプレイ装置が、(i)テレビ、(ii)デジタルテレビ、(iii)ディスプレイ、(iv)デジタルディスプレイの少なくとも1つを含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記中間成分を生成する前に、前記第1の色成分を前記第2の色成分から分離するステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の色成分が、前記ビデオの複数の青色成分と赤色成分とを含む請求項11に記載の方法。
【請求項15】
ユーザの調整に応じて、(i)前記領域の形状、(ii)前記色空間における前記領域の位置の少なくとも1つを計算するステップをさらに含む請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記ビデオが、(i)EIA770信号、(ii)高解像度マルチメディアインタフェース信号、(iii)デジタルビデオインタフェース信号、(iv)BT.601信号、(v)BT.656信号の少なくとも1つとしてフォーマットされた信号において受信される請求項11に記載の方法。
【請求項17】
ステップ(B)が、
前記補正された成分の複数の補正された青色成分を生成するサブステップと、
前記補正された青色成分に応じて、前記補正された成分の複数の補正された赤色成分を生成するサブステップと、
を含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記領域が、(i)スキントーン領域、(ii)草領域、(iii)水領域、(iv)空領域の少なくとも1つを含む請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記領域が、(i)矩形形状、(ii)三角形状、(iii)長円形状、(iv)扇形状、(v)六角形状、(vi)楕円形状の少なくとも1つを含む形状を有する請求項11に記載の方法。
【請求項20】
ビデオの複数の第1の色成分を理想的な色に向けてスケーリングすることによって、複数の中間成分を生成するための手段であって、前記第1の色成分が、色空間の領域の内側に入る手段と、
前記中間成分を調整することによって、複数の補正された成分を生成するための手段であって、前記補正された成分への前記第1の色成分のマッピングが、前記色空間において連続的であるように生成する手段と、
前記補正された成分を前記領域に入らない前記ビデオの複数の第2の色成分と結合することによって、色調補正された画像を生成するための手段と、
を含むディスプレイ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−118534(P2012−118534A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−281046(P2011−281046)
【出願日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【分割の表示】特願2009−524648(P2009−524648)の分割
【原出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【出願人】(591007686)エルエスアイ コーポレーション (93)
【Fターム(参考)】