説明

ビニル不飽和基を含む水溶性ポリマー、それらの架橋、及びそれらの調製法

本発明は、複数の不飽和基を含む架橋剤を用いた、溶媒可溶性のポリマーの合成に関するものである。本発明は、2つの目的を果たす。すなわち、剛性及びさらなる変性用の官能基を付与する。この選択重合は、有機並びに水性媒体中で、油溶性/水溶性開始剤の存在下で、熱/光化学的のどちらかで、ビニルモノマーを架橋剤の包接複合体と共重合させることを含む。用いられる架橋剤は、アクリルアミド/メタクリルアミド誘導体である。架橋剤の包接複合体を、第一段階において所望のモノマーと重合させ、そして第二段階において架橋させることができる。上記架橋剤の含有率は、0.01〜99.99%であり、可溶性コポリマーが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビニル不飽和基(vinyl unsaturation)を含む水溶性ポリマー、それらの架橋生成物及びそれらの調製に関する。詳細には、本発明は、不飽和部位を含む水溶性コポリマーに関する。これらのポリマーは、親水性架橋剤の包接複合体、及びビニル不飽和基を一つのみ含む種々のビニルモノマーの選択共重合(selective copolymerization)により得られる。続いて、それらを、熱/又は光化学開始剤の存在下で架橋することができる。これらのコポリマーは、酵素の固定化、制御された薬物送達システム、センサー等の分野における用途を有する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、不飽和基を含む水溶性コポリマー及びそれらの調製方法に関する。
詳細には、本発明は、次の式:
[A(x)B(y)]n
(式中、Aは、不飽和基を1つ含む任意のビニルモノマーに基づき、Bは、複数の不飽和基を含むモノマーに基づき、そしてx=1〜15、y=1〜15であり、そしてn=5〜1000である。)のポリマーに関する。
同時係属出願である281NF2004では、本発明の発明者達は、環状高分子化合物の複数の不飽和基を含むモノマーとの包接複合体の調製方法を記載している。上記複合体とビニル置換モノマーとの重合により、水溶性であり、かつさらなる変性用の不飽和部位を有するポリマーを生じる。熱硬化性ポリマーは、溶融状態に転換させるか、あるいは溶媒中に溶解させることができない。これらの材料は、熱可塑性プラスチックを超える強い機械及び熱特性を与えるが、一般的に熱可塑性プラスチックの場合に用いられる処理技法を用いて、容易に最終製品に加工することはできない。同様に、熱可塑性プラスチックの特性は、樹脂を最終製品に転換させた後に大きく強化することはできない。というのは、重合が完了した後、上記ポリマー構造を化学的に変性する余地がないからである。
【0003】
ある種の熱硬化性ポリマーでは、主鎖に反応性基が導入されている。これらのポリマーは、格子状であることが多く、熱的、あるいは、イソシアネート、アミン又は金属イオン等の官能基を添加することによって、さらに架橋される。これらの樹脂は、網目構造により、それらの所望の特性、すなわち、大部分の有機溶媒への溶解性、良好な耐水性及び硬度を達成し、そしてコーティングとして用いられている(Van E.S.J.J,in Polymeric Dispersions:Principles and Applications.Asua,J.M.(Ed),Kluwer Publishers,1997,p.451;Ooka,M.,Ozawa,H.Progress in Organic Coatings.Vol 23,1994,p.325)。溶媒可溶性かつ熱可溶性であり、そして後に強化された耐機械/熱/溶媒性を有する製品に転換できるポリマーに対する必要性が、種々の分野におけるポリマー用途の成長と共に増加している。
【0004】
水に不溶の分子が、シクロデキストリン又は同様のホスト分子の水溶液を用いた処理に基づいて水溶性になる。これらの包接現象により、ゲスト分子の反応性及び溶液特性に大きな変化がもたらされる。疎水性モノマーの、β−シクロデキストリン又はその誘導体との包接複合体の形成が、報告されている。(Storsberg,J.,Ritter,H.のMacromolecular Rapid Communications,21,230,2000;Jeromin,J.,Ritter,H.のMacromolecular Rapid Communications,19,377,1998;Jeromin,J.,Noll,O.,Ritter,H.のMacromolecular Chemistry & Physics,199,2641,1998;Glockner,P.,Ritter,H.のMacromolecular Rapid Communications,20,602,1999)。複合体化されたモノマーの反応性比は、複合体化されていないモノマーの反応性比と大きく異なることが確認されている。
【0005】
シクロデキストリンは、疎水性化合物を水性媒体中に溶解させることができる周知の環状オリゴ糖である(Wenz,G.Angew Chem.106,851,1994)。上記可溶化は、水に不溶の種をシクロデキストリンの疎水性空洞内に複合体化させることで実施される。好適なモノマー中を水中に溶解させるためにシクロデキストリンを用いることが、文献に記載されている(Storsberg J.,Ritter,H.のMacromolecular Rapid Communications,21,236,2000;Jeromin,J.,Ritter,H.のMacromolecular Rapid Communications,19,377,1998;Jeromin,J.,Noll,O.,Ritter,H.のMacromolecular Chemistry & Physics 199,2641,1998;Glockner,P.,Ritter,H.のMacromolecular Rapid Communications 20,602,1999)。何件かの特許では、エマルション重合の収率を上げるために、シクロデキストリン(好ましくは触媒量)を用いることが記載されている(米国特許第6,225,299号明細書及び同5,521,266号明細書)。
【0006】
何点かのN−アルキルメタクリルアミドを、メチル化−β−シクロデキストリンの存在下、水中でt−ブチルメタクリレートと共重合させることが記載されている(Ritter H.,Schwarz−Barac S.,Stein P.,のMacromolecules,36(2),318−322,2003)。メチル化β−CDが用いられ、疎水性のモノマーであるイソボロニルアクリレート及びブチルアクリレートが複合体化し、水溶性のホスト−ゲスト複合体を生ずる。これらのモノマーの包接複合体が、水中で重合され、そして重合の反応速度論が調査された。複合体化されたモノマーの反応性比は、複合体化していないモノマーと大きく異なり、また、当該複合体化されたモノマーから得られるポリマーの分子量は、複合体化していないモノマーから得られるポリマーの分子量よりも大きいことが見出された(Glockner P.,Ritter H.,のMacromol.Rap.Comm.,20(11),602−605,1999)。
【0007】
任意のメチル化β−シクロデキストリンの存在下で、ラジカル開始剤として過硫酸カリウムを用いた、水中でのスチレン又はMMAのラジカル重合が記載されている。この方法により、モノマーの定量的な転化が得られ、そして界面活性剤を用いることなく、ほとんど単分散のポリマー粒子サイズ分布を有する安定なラテックスがもたらされる(Storsberg J.,van Aert H.,van Roost C.& Ritter H.のMacromolecules,36,50−53,2003)。
【0008】
疎水性のメタクリルモノマー、例えば、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレートが、メチル化β−シクロデキストリンと複合体化された。これらの複合体が、ラジカル開始剤を用いて、水性媒体中で重合された(Madison P.& Long T.のBiomacromolecules,1,615−621,2000)。
【0009】
非常に疎水性の高いモノマーを、エマルション重合で導入することは容易ではない。触媒濃度のデキストリンを用いることにより、非常に疎水性の高いモノマーを、エマルション重合中で用いることができ、ここでは、シクロデキストリンは、連続的に、疎水性モノマーを複合体化及び溶解させ、そしてそれらをポリマー粒子中に放出する相輸送(phase transport)触媒としてはたらく(Lau W.のMacromol.Symp.182,283−289,2000)。
【0010】
水性媒体中の重合の際の、鏡像体識別(enantiodiscrimination)に焦点を合わせた、N−メタクリロイル−D,L−フェニルアラニンメチルエステル誘導体の複合体のラジカル重合が記載されている(Schwarz−Barac S.,Ritter H.,Schollmeyer D.のMacromol.Rap.Comm.,24(4),325−330,2003)。ステアリルアクリレートのエマルション重合が、相転移剤としてシクロデキストリンを用いて実施された(Leyrer R.,Machtle W.,のMacromol.Chem.Phy.,201,1235−1243,2000)。
【0011】
第一の例として、フッ素化2−ビニルシクロプロパンのラジカル重合、及び水溶性開始剤である2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドを用いた任意のメチル化β−シクロデキストリンとのホスト−ゲスト複合体を経由した、フッ素化2−ビニルシクロプロパンのアルキル2−ビニルシクロプロパンとの共重合が記載されている(Choi S.W.,Kretschmann O.,Ritter H.,Ragnoli M.,Galli G.のMacromol.Chem.Phys.,204,1475−79,2003)。
【0012】
メチル化β−シクロデキストリンを用い、疎水性モノマーであるn−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、及びシクロヘキシルアクリレートを複合体化し、対応する水溶性ホスト−ゲスト複合体を生成した(Bernhardt S.,Glockner P.,Ritter H.のPolymer bulletin,46,153−157,2001)。Jeromin及びRitterによって、フェニルメタクリレート及びシクロヘキシルメタクリレートの、メチル化β−シクロデキストリン複合体の重合機構が記載されている(Jeromin J.,Ritter H.のMacromol.Rap.Comm.,19,377−379,1998)
【0013】
シクロデキストリン含有複合体の重合分野における先行技術の調査によって、複数の不飽和基を含むモノマー及び環状化合物を含むホスト−ゲスト複合体の調製は、現在までに報告されていないことが明らかとなった。
【0014】
本特許出願は、複数の不飽和基を含むモノマーが、異なる化学量論性の、シクロデキストリンとの包接複合体(inclusion complex)を形成することを記載している。さらに、シクロデキストリンの空洞内でカプセル化された不飽和部位は、成長フリーラジカル鎖と反応しない。従って、複数の不飽和基を含むビニルモノマーの包接複合体を重合させることにより、未反応の反応部位を含む可溶性ポリマーがもたらされる。一度、シクロデキストリンが系から取り除かれると、第二段階では、未保護の不飽和部位が、重合に参加し、そして耐機械、熱及び溶媒性が強化された架橋生成物がもたらされる。従って、これらのポリマーは、熱可塑性プラスチックの加工容易性と、強化された熱硬化性とを与える。
【0015】
本発明では、シクロデキストリンは、モノマーを水中に溶解させるためだけでなく、物理的相互作用を用いて、架橋剤中に存在する不飽和部位のひとつをカプセル化するために用いられる。物理的相互作用は、それらが迅速に可逆化するため、化学的改質に対して常に好ましい。これらの包接複合体を、モノマーの溶解性を増し、かつ可溶性ポリマーを与える種々のモノマーと共重合させるために用いることができる。重合後に残る不飽和基を、さらに熱/光化学架橋させ、不溶性ポリマーを生成させることができる。また、上記方法を用い、種々の構造のポリマーを調製することができる。
【0016】
一般的な有機溶媒に関わる環境課題の認識が増加したため、環境に害のない工程に関する要求が増している。化学産業は、環境にやさしくない製品を生産するか、あるいは有毒の副生成物を生ずるかのいずれかである多くの従来型工程に関し、同一の生成物への新しい手段を探索することを促進している。最小のコストで、上記可能性のある障害を克服する努力において、環境にやさしくない化合物、例えば、二酸化炭素、生体分子及び水を伴う従来の有機溶媒の代替品にリサーチが直接向けられている。
【0017】
炭水化物誘導体との複合体化によって、疎水性モノマーの水性媒体中への溶解性が増し、そして水性媒体中での重合が可能になる。同時係属出願であるPCT/IB03/03593号では、水への溶解性がほとんどないアクリレート/メタクリレートとのシクロデキストリン複合体が記載されている。これらの複合体は疎水性であるため、それらは、通常、水溶性ポリマーを合成するためには好適ではない。よって、親水性モノマー並びに疎水性モノマーと共重合しうる親水性架橋剤を含む複合体を合成する必要がある。
【0018】
典型的な水溶性架橋剤は、メチレンビスアクリルアミド(MBAM)、エチレンビスメタクリルアミド(EBMA)又はフェニレンビスメタクリルアミドである。これらの架橋剤は、適用範囲が広い。MBAMは、酸化環境下での膜の安定性を改良し、MBAM架橋スチレン膜が、燃料電池の環境において良く作用すべきことを示している(Becker,W.;Schmidt−Naake,G.,Chemical Engg.& Technology,25(4)373−377,2002)。メタクリルアミド&MBAMの相互貫通網目が、Fe2+のイオン吸着及びCr6+のイオン放出における選択性のために用いられている(Chauhan,G.S.;Mahajan,S.のJ.Appl.Poly.Sc.,86(31),667−671,2002)。
【0019】
MBAM及びメタクリル酸カリウムの存在下で、ポリ(アクリルアミド−co−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)から生成させた超吸収剤は、より長期間、より水分を保持するので、農業及び園芸用途に対して水管理材料として用いられている(Raju,K.M.;Raju,M.P.;Mohan,Y.M.のJ.Appl.Poly.Sc.,85(8),1795−1801,2002)。
【0020】
MBAM及びベンゾフェノンの存在下で調製されたポリ(2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸)は、分子インプリント膜合成用に好適であることが見出された(Piletsky,S.A.;Matuschewski,H.;Schedler,U.;Wilpert,A.;Piletska,E.V.;Thiele,T.A.;Ulbricht,Macromolecules,33(8),3092−98,2000)。
【0021】
また、熱に安定な水膨潤ゲルが、石油製造における流体分流用に用いられている(Suda,Makoto;Kurata,Tooru;Fukai,Toshihiro;Maeda,KenichiroのJ.Pet.Sci Eng.,26(1−4),1−10,2000)。ポリアクリルアミドゲルが、MBAM、エチレングリコールジメタクリレート、1,4ブタンジオールジアクリレート/ジアリルフタレートの存在下で調製された場合であって、MBAMが架橋剤として用いられたときは、水吸収性が強化された(Raju,K.Mohana;Raju,M.Padmanabha;Mohan,Y.Murali,Polymer International,52(5),768−72,2003)。
【0022】
水溶性モノマー、例えば、アクリルアミド、アクリル酸又はN−ビニルピロリドンは、通常、酵素の固定化のため、そして他の多くの分野において、架橋剤の存在下で用いられている。MBAM、ベンジルジメチルケタールピロリドンカルボン酸の存在下で調製されたポリ(アクリル酸)は、電極と肌との間のインピーダンスが低い生体電極として用いられている(特開平09−038057号公報及び同09−038057号公報)。MBAMの存在下で合成されたポリ(アクリルアミド−co−Nアクリロイルパラアミノベンズアミジン)が、トリプシン用の分子インプリントポリマー受容体として用いられている(Vaidya A.A.;Lele,B.S.;Kulkarni,M.G.;Mashelkar,R.A.J.App.Poly.Sc.,81(5),1075−83,2001)。
【0023】
ポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−co−MBAM)は、核酸/たんぱく質のどちらかの濃縮用に用いられうる(Pichot,C;Elaisari,A.;Duracher,D.;Meunier,F.;Sauzedde,F.のMacromol.Symposia,175,285−397,2001)。MBAMの存在下で調製されたポリ(N−イソプロピルアクリルアミド−co−アクリル酸)ヒドロゲルが、バクテイリアの水洗分散液を濃縮するために用いられている(Champ,S.;Xue,W.;Huglin,M.B.のMacromol.Chem.& Phys.,201(17),2505−2509,2000)。
【0024】
MBAMの存在下で合成されたポリ(アクリルアミド−co−アクリル酸Na)が、Saccharomyces cerevisiae酵素の固定化に有用であることが見出された(Oztop,H.N.;Oztop,A.Y.;Karadag,E.;Isikver,Y.;Saraydin,D.のEnzyme & Microbial Technology,32(1),114−119,2003)。MBAMの存在下で調製されたポリ(N−イソプロピルアクリルアミドco−2−ヒドロキシエチルメタクリレート)が、酵素活性の制御、抽出&薬物送達システムに用いられている(Lee,W.F.;Huang,Y.L.のJ.App.Poly.Sc.,77(8),1769−1781,2000)。
【0025】
しかし、これら全てのケースでは、有毒である未反応の架橋剤を、これらの膨潤ゲルから取り除くことは難しい(George D.J.,Price J. C.,Marr C.M.,Myers B.C.,Schwetz A.B.及びHeindel J.J.のToxicological science 46(1),1998,124−133)。
【0026】
よって、ポリマーがMBAMを含む場合、未反応のMBAMを含まないポリマーは、目的とされる用途におけるこれらのポリマーの制限の一つを克服するであろう。上記コポリマーの合成を実証することが、本発明の目的である。同時係属出願である281NF2004では、本発明の発明者達は、シクロデキストリンの、複数の不飽和基を含むモノマーとの包接複合体の調製を記載している。これら複合体の重合により、さらに架橋させることができる不飽和部位を含む可溶性ホモポリマーが生じる。しかし、複数の不飽和基を有するモノマーのホモポリマーの用途は、制限されている。種々のモノマーの架橋剤との共重合により、広範囲の用途向けの最適な材料が生ずる。コモノマーの組成により、親水性、疎水性又は両親媒性ポリマーのいずれかを合成することができる。これらのコポリマーに不飽和基を導入すると、それらは、第二段階で架橋しうる。上記ポリマーには、酵素の固定化、エレクトロニクス、フォトレジスト、制御された放出搬送システム(controlled release delivery system)、微小電気機械システム(MEMS)等における用途が見出されるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
本発明の目的は、熱/光化学経路によって架橋する複数の不飽和基を含むビニルモノマーの水溶性コポリマー、並びに複数の不飽和基を含むポリマー及び架橋生成物の調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、複数の不飽和基を含む親水性コポリマーを記載し、当該親水性ポリマーは、複数のビニル不飽和基含むモノマーの包接複合体、及び種々の親水性モノマーの重合によって得ることができる。上記ポリマーの合成に用いられうる親水性コモノマーは、典型的には、アクリル酸、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、4−ビニルピリジン、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、アクリルアミド等である。これらポリマーの合成に用いられうる複数のビニル不飽和基を含むモノマーは、メチレンビスアクリルアミド(MBAM)、エチレンビスメタクリルアミド(EBMA)によって例示される。上記共重合は、上述の出願PCT/IB03/05070に記載されているように、ジメチルホルムアミド及び/又はジメチルスルホキシド等の極性有機溶媒よりはむしろ、水性媒体中で実施されうる。さらに、上記架橋剤は親水性であり、そして本質的に水溶性である。
【0029】
従って、本発明は、架橋剤の包接複合体及び親水性ビニルモノマーのコポリマーの調製法を記載している。これらのコポリマーは水溶性であり、そして不飽和基を含む。というのは、上記架橋剤中に存在する2つ又は3つ以上の不飽和部位のうちの1つのみが、重合反応に加わるからである。これらのコポリマーは、親水性溶媒、例えば、メタノール、N,N’ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド及び特に水に容易に溶解する。上記共重合を、有機溶媒、例えば、N,N’ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド又は油溶性又は水溶性開始剤のどちらかを用いて、水性媒体中で実施しうる。これらのコポリマーを、有機/水性媒体のどちらかの中で、熱及び/又は光化学開始剤を用いてさらに架橋させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
本発明は、下記一般式:
[A(x)(y)n
(式中、Aは、不飽和基を一つ含む任意のビニルモノマーに基づき、Bは、複数の不飽和基を含むモノマーに基づき、そしてx=1〜15、y=1〜15、そしてn=10〜1000である。)
を有する複数の不飽和基を含むビニルモノマーの水溶性コポリマーを提供する。
【0031】
本発明はまた、水溶性コポリマーの調製方法を提供し、当該方法には、
複数の不飽和基を含むモノマーの環状高分子化合物との包接複合体を、適切な溶媒中に溶解させる段階、
少なくとも一つのビニルモノマー及びラジカル開始剤を、この溶液に添加する段階、そして
レドックス、熱又は光重合等の一般法によって当該混合物を重合させる段階、
が含まれる。
【0032】
本発明の実施形態の一つでは、上記包接複合体を、特許請求の範囲に記載される方法、及び我々の同時係属出願である281NF2004に記載される方法により調製することができる。
別の実施形態では、複数の不飽和基を含む包接複合体の含有率を、0.01から99.9%まで変化させることができる。
【0033】
さらに別の実施形態では、複数の不飽和基を含むモノマーを、ビスアクリルアミド/メタクリルアミドの群から選択することができる。
別の実施形態では、上記包接複合体は、エチレンビスアクリルアミド/エチレンビスメタクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド/メチレンビスメタクリルアミド、プロピレンビスアクリルアミド/プロピレンビスメタクリルアミド、ブチレンビスアクリルアミド/ブチレンビスメタクリルアミド、フェニレンビスアクリルアミド/フェニレンビスメタクリルアミド、トリス(2−メタクリルアミドエチル)アミン/トリス(2−アクリルアミドエチル)アミン、2,4,6−トリスメタクリルアミド−1,3,5−トリアジン/2,4,6−トリスアクリルアミド−1,3,5−トリアジン、N,N’−(4,7,10−トリスオキサトリデカメチレン)−ビスアクリルアミド/N,N’−(4,7,10−トリスオキサトリデカメチレン)−ビスメタクリルアミド、N,N’−(4,9−ジオキサドデカメチレン)−ビスアクリルアミド/N,N’−(4,9−ジオキサドデカメチレン)−ビスメタクリルアミド、2,4,5,6テトラ−メタクリルアミドピリミジンスルフェート/2,4,5,6テトラ−アクリルアミドピリミジンスルフェート、4,5,6トリスアクリルアミドピリミジンスルフェート/4,5,6トリスメタクリルアミドピリミジンスルフェートによって例示されるような、ビス又はトリスアクリルアミド又はメタクリルアミド等の複数の不飽和基を含むモノマーでありうる。
【0034】
さらに別の実施形態では、不飽和基を1つ含むビニルモノマーは、疎水性又は親水性であってもよい。
さらに別の実施形態では、不飽和基を1つ含む親水性ビニルモノマーは、酸性、塩基性又は中性であってもよい。
さらに別の実施形態では、不飽和基を1つ含む酸性の親水性ビニルモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸等であってもよい。
【0035】
さらに別の実施形態では、塩基性の親水性ビニルモノマーは、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、4−ビニルピリジンであってもよい。
さらに別の実施形態では、中性の親水性ビニルモノマーは、N−ビニルピロリドン、2−ヒドロキシルプロピルメタクリルアミド、2−アミノエチルアクリレートヒドロクロリド、N−イソプロピルアクリルアミド、アクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド等であってもよい。
さらに別の実施形態では、包接複合体の溶液を調製するための溶媒は、極性溶媒、例えば、N,N’−ジメチルホルムアミド、N,N’−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム及び水から選択されうる。
【0036】
さらに別の特徴では、コポリマーの調製用に用いられる一般法は、熱、レドックス又は光重合であってもよい。
さらに別の実施形態では、重合用の上記熱/レドックス開始剤は、油溶性又は水溶性であってもよい。
さらに別の実施形態では、上記油溶性熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペロキシド、t−ブチルヒドロペロキシド、クミルペロキシドであってもよい。
【0037】
さらに別の実施形態では、上記水溶性の熱又はレドックス開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム又はメタ重亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウムであってもよい。
さらに別の実施形態では、共重合用の光開始剤は、油溶性又は水溶性であってもよい。
さらに別の実施形態では、用いられる水溶性の光開始剤は、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドであってもよい。
【0038】
さらに別の実施形態では、用いられる油溶性の光開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−メチルブチロニトリル)、2,2ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンであってもよい。
さらに別の実施形態では、共重合用の反応温度は、20℃〜65℃でありうる。
さらに別の実施形態では、上記コポリマーは、有機溶媒並びに水に可溶であり、そして不飽和基を含む。
【0039】
さらに別の実施形態では、調製された上記可溶性コポリマーを、不溶性ポリマーを与える一般的なラジカル重合法を用いて架橋させることができる。
さらに別の実施形態では、架橋を行うためのコポリマー溶液を調製するための溶媒を、極性溶媒、例えば、N,N’ジメチルホルムアミド、N,N’ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、クロロホルム及び水から選択することができる。
【0040】
さらに別の実施形態では、上記コポリマーを、熱/光化学開始剤の存在下で架橋させることができる。
さらに別の実施形態では、架橋用に用いられる上記熱/レドックス開始剤は、油溶性又は水溶性であってもよい。
さらに別の実施形態では、架橋用に用いられる油溶性の熱開始剤は、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペロキシド、t−ブチルヒドロペロキシドであってもよい。
【0041】
さらに別の実施形態では、架橋用に用いられる上記水溶性の熱又はレドックス開始剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム又は過硫酸カリウム−メタ重亜硫酸ナトリウムであってもよい。
さらに別の実施形態では、架橋用に用いられる光開始剤は、油溶性/水溶性であってもよい。
【0042】
さらに別の実施形態では、架橋用に用いられる水溶性光開始剤は、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドであってもよい。
さらに別の実施形態では、架橋用に用いられる油溶性の光開始剤は、1−ヒドロキシシクロヘキシルケトン、クメンヒドロペロキシド、2,2ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンであってもよい。
さらに別の実施形態では、架橋用の反応温度は、20℃〜65℃であることができる。
【0043】
天然ポリマー、例えば、セルロース、たんぱく質、キトサン、グアールガム及び合成ポリマー、例えば、ポリビニルアルコールを、グルタルアルデヒドを用いて架橋することができる。しかし、ゲルの網目中の未反応の架橋剤の存在が、それらの用途を制限している。というのは、未反応の架橋剤は有毒だからである。よって、独立した段階において、ゲル網目からこれら未反応の架橋剤を取り除く必要がある。架橋剤(MBAM等)の存在下で調製されたポリマーは、ゲルを形成し、そして酵素の固定化及び薬物送達システムに有用である。しかし、同様の制限が欠点として存在する。
【0044】
架橋剤を、可溶性の状態のまま保持しているポリマーの一部とし、未反応の架橋剤、モノマーを、洗浄により完全に取り除き、次いで、有効成分(特に、酵素等の不安定なもの)のカプセル化の後に、架橋させることで、この課題を克服することができる。我々は、これら制限を、これらのゲルを2段階で合成して克服する。第一の段階では、架橋剤の不飽和部位の一つのみが重合に加わり、そしてペンダント型の不飽和基を有する溶媒可溶性ポリマーが得られる。未反応の架橋剤をこの段階で取り除くことができる。上記ポリマーは遊離の架橋剤を含まず、架橋させ、不溶性のゲルを得ることができる。さらに、上記ペンダント型不飽和基を用いて、種々のポリマー構造体を設計することができる。
【0045】
第一の重合段階の際、ジビニルモノマーの第二のビニル基を保護するため、上記ジビニルモノマーを、シクロデキストリンと複合体化させる。我々は、ジビニルモノマーとの包接複合体を生成させるためにシクロデキストリンを用いることを報告する。上記シクロデキストリンは、シクロデキストリン空洞に組込まれたビニル基の重合を防止する。第一の段階の重合の後、シクロデキストリンを取り除き、不飽和部位を脱保護化することができる。脱保護化されたビニル基を、第二段階において、種々のモノマーとの共重合又は架橋工程用に用いることができる。これまで、シクロデキストリンは、疎水性モノマーの溶解又はエマルション重合における界面活性剤として用いられてきた。
【0046】
ここで、モノマーの包接複合体を、ビニルモノマーと共重合させることができる。この共重合により、ペンダント型のビニル不飽和基を有する溶媒可溶性のコポリマーが得られ、一方、架橋剤の一般的な重合では、上記コポリマーは得られない。上記ペンダント型の不飽和基を、架橋用に、あるいは、種々のポリマー構造体を設計するために用いることができる。
【0047】
本発明に用いられる複数の不飽和基を有するモノマーの、シクロデキストリンホスト−ゲスト複合体は、現在まで報告されていない。本発明で言及するコポリマーを、シクロデキストリンホスト−ゲスト複合体から合成することができる。これを、本明細書の例1、3〜12、14〜17で、さらに詳しく説明する。
【実施例】
【0048】
本発明を、実例となる以下の例によって記載する(本発明の範囲を制限するものではない)。例中で得られるNMRデータによって、合成されたコポリマー中に不飽和基が存在することが示された。
【0049】
例1
この例は、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−エチレンビスメタクリルアミド)(NVP:EBMA 90:10)の調製を記載するものである。
1.331g(0.001モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体、1g(0.009モル)のNVPを、33.3mLの水に溶解させた。32.8mgの過硫酸カリウムを、これに添加し、そしてチューブを窒素でパージし、そして65℃に保持した水浴中に24時間入れた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーをメタノールに溶解させ、そしてβ−シクロデキストリンをろ過により分離することができるように、得られた溶液をメタノールに溶解させた。得られたろ過物を石油エーテル中で沈殿させた。沈殿物を、デシケーター中で、室温で乾燥させた。収率は86%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であることが分かった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。上記両方法によって、重合後でも、不飽和基が存在することが示され、一方、IR分析により、アミド官能基の存在が示された。重合後のポリマー中に不飽和基が存在すること、一般的な溶媒への溶解性とにより、架橋剤中のビニル基の一つが、NVPと選択重合したことが示された。
【0050】
1H NMR(D2O):3.44δ、CH2、5.44、5.65δ、2H、=CH2、1.95δ、EBMAのCH3、2.1−2.2δ、2.5δ、3.5δ、NVPのCH2&0.85,1.38δ、−CH2−CH。
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、−C=C−、2852、2926cm-1、−CH3、1458cm-1、EBMAの=CH2、1710cm-1、NVPのC=O。
固有粘度:[η]=0.17dl/g
【0051】
比較例2
1g(0.009モル)のN−ビニルピロリドン、0.1960g(0.001モル)のエチレンビスメタクリルアミド、及び1.1350g(0.001モル)の(0.009モル)のβ−シクロデキストリンを、33.3mLの水に溶解させた。32.8mgの過硫酸カリウムを添加し、そしてチューブを、10分間、窒素でパージした。65℃で20分間重合させた。不溶性ゲル状のポリマーを得た。
【0052】
上記2つの実験から、EBMAは、シクロデキストリンとの包接複合体を形成し、そして上記包接複合体の構造体中に含まれる不飽和基は、重合反応に参加しないことが確認された。
【0053】
例3
この例は、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート−co−エチレンビスメタクリルアミド)(DMAEMA:EBMA 90:10)の調製を記載するものである。
1.413g(0.009モル)のジメチルアミノエチルメタクリレート、1.331g(0.001モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体を、16.25mLのN,N’ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させた。32.8mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加し、そして試験チューブを、窒素で10分間パージした。65℃で24時間重合させた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーをメタノールに溶解させ、そしてβ−シクロデキストリンをろ過により分離することができるように、得られた溶液をメタノールに溶解させた。得られたろ過物を石油エーテル中で沈殿させた。上記ポリマーの収率は、50%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0054】
1H NMR(D2O):3.44δ、CH2、5.44、5.65δ、2H、=CH2、1.95δ、EBMAのCH3、2.3、2.65、4.3δ、DMAEMA、0.82、0.92δ、−CH−CH2
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、−C=C−、1458cm-1、EBMAの=CH2、1720cm-1、DMAEMAのC=O、2852、2926cm-1、−CH3
【0055】
例4
この例は、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−エチレンビスメタクリルアミド)(HEMA:EBMA 90:10)の調製を記載するものである。
1.1713g(0.009モル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1.331g(0.001モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体を、14.8mLのDMFに溶解させた。これに、32.8mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加し、そして試験チューブを窒素で10分間パージした。65℃で24時間重合させた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーをメタノールに溶解させ、そしてβ−シクロデキストリンをろ過により分離することができるように、得られた溶液をメタノールに溶解させた。得られたろ過物を石油エーテル中で沈殿させた。得られた収率は、65%だった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0056】
1H NMR(D2O):3.44δ、−OCH2、5.44、5.65δ、=CH2、1.95δ、EBMAの−CH3、3.8δ、4.5δ&1.95δ、HEMA、0.82、0.92δ、−CH−CH2
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、C=C、1435cm-1、EBMAの=CH2、1720cm-1、C=O、3450cm-1、HEMAのOH、2854、2926cm-1、CH3
固有粘度:[η]=0.1dl/g
【0057】
例5
この例は、ポリ(N−3ヒドロキシプロピルメタクリルアミド−co−エチレンビスメタクリルアミド)(N−3HPMA:EBMA 90:10)の調製を記載するものである。
1.2870g(0.009モル)のN−3ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、1.331g(0.001モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体を、15.5mLのDMFに溶解させた。これに、32.8mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。反応混合物を通して、約10分間、窒素ガスをパージし、65℃で24時間重合させた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーをメタノールに溶解させ、そしてβ−シクロデキストリンをろ過により分離することができるように、得られた溶液をメタノールに溶解させた。得られたろ過物を石油エーテル中で沈殿させた。収率は64%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0058】
1H NMR(D2O):5.44δ、5.66δ、=CH2、3.44δ、−CH2、1.95δ、EBMA、1.88δ、3.28δ、3.6δ、N−3HPMA。
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、EBMAのC=C、3300−3500cm-1、N−3HPMAのOH、2856、2924cm-1、−CH3
固有粘度:[η]=0.05dl/g
【0059】
例6
この例は、ポリ(アクリル酸−co−エチレンビスメタクリルアミド)(AA:EBMA 90:10)の調製を記載するものである。
0.6480g(0.009モル)のアクリル酸、1.331g(0.001モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体を、11.7mLのDMFに溶解させた。これに、32.8mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。反応混合物を通して、窒素ガスを約10分間パージし、65℃で24時間重合させた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーをメタノールに溶解させ、そしてβ−シクロデキストリンをろ過により分離することができるように、得られた溶液をメタノールに溶解させた。得られたろ過物を石油エーテル中で沈殿させた。収率は67%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0060】
1H NMR(D2O):5.44δ、5.66δ、=CH2、3.44δ、−CH2、1.95δ、EBMAのCH3
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、EBMAのC=C、2900−3200cm-1、AAのOH、2856、2924cm-1、−CH3
【0061】
例7
この例は、ポリ(メチルメタクリレート−co−エチレンビスメタクリルアミド)(MMA:EBMA 80:20)の調製を記載するものである。
1g(0.01モル)のメチルメタクリレート、3.3275g(0.0025モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体を、25.6mLのDMFに溶解させた。41mgのアゾビスイソブチロニトリルを、これに添加した。反応混合物を通して、窒素ガスを約10分間パージし、65℃で24時間重合させた。ポリマーが沈殿し、かつシクロデキストリンが水に溶解するように、得られた固体を水に沈殿させた。沈殿したポリマーをろ過し、そして乾燥させた。収率は、72%であった。上記ポリマーは、クロロホルム、テトラヒドロフラン、N,N’ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0062】
1H NMR(CHCl3):5.44δ、5.66δ、=CH2、3.44δ、−CH2、1.95δ、EBMA、3.6δ、MMAの−OCH3
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、EBMAのC=C、1728cm-1、MMAのC=O、2856、2924cm-1、−CH3
【0063】
例8
この例は、ポリ(4−ビニルピリジン−co−エチレンビスメタクリルアミド)(4−VP:EBMA 90:10)の調製を記載するものである。
0.9462g(0.009モル)の4−ビニルピリジン、1.331g(0.001モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体を、13.5mLのDMFに溶解させた。これに、32.8mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。反応混合物を通して、窒素ガスを約10分間パージし、65℃で24時間重合させた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーをメタノール中に溶解させ、かつβ−シクロデキストリンを沈殿させるように、得られた固体をメタノールに溶解させた。次いで、ポリマー溶液を、石油エーテル中で沈殿させた。収率は、58%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0064】
1H NMR(D2O):5.44δ、5.66δ、=CH2、3.44δ、−CH2、1.95δ、EBMA、8.33δ、6.6δ、7.2δ、4−ビニルピリジンのCH2
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、EBMAのC=C、3300−3400cm-1、1600cm-1、1500cm-1、4−VP、2856、2924cm-1、−CH3
固有粘度:[η]=0.06dl/g
【0065】
例9
この例は、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−メチレンビスアクリルアミド)(NVP:MBAM 85:15)の調製を記載するものである。
1g(0.009モル)のN−ビニルピロリドン、2.0465g(0.0016モル)のβ−シクロデキストリン−メチレンビスアクリルアミド複合体を、18mLのDMFに溶解させた。これに、34.7mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。反応混合物を通して、窒素ガスを約10分間パージし、そして65℃で24時間重合させた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーが溶解し、かつβ−シクロデキストリンが沈殿するように、得られた固体をメタノールに溶解させた。得られたろ過物を石油エーテル中で沈殿させた。収率は74%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0066】
1H NMR(D2O):5.44δ、5.66δ、=CH2、4.5δ、MBAMの−CH2、2.1δ、2.5δ、3.5δ、NVPのCH2
IR(nujol):1660cm-1、C=O、1620cm-1、MBAMのC=C、1710cm-1、NVP。
【0067】
例10
この例は、ポリ(ジメチルアミノエチルメタクリレート−co−メチレンビスアクリルアミド)(DMAEMA:MBAM 85:15)の調製を記載するものである。
1g(0.0064モル)のジメチルアミノエチルメタクリレート、1.45g(0.0011モル)のβ−シクロデキストリン−メチレンビスアクリルアミド複合体を、14.5mLのDMFに溶解させた。これに、24.5mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。反応混合物を通して、約10分間、窒素ガスをパージし、そして65℃で24時間重合させた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーがメタノール中に溶解し、かつβ−シクロデキストリンが沈殿するように、得られた固体をメタノールに溶解させた。上記ポリマー溶液を石油エーテル中で沈殿させた。収率は69%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0068】
1H NMR(D2O):5.44δ、5.66δ、=CH2、4.5δ、MBAMの−CH2、2.3δ、2.6δ、4.3δ、DMAEMA。
IR(nujol):1660cm-1、C=O、1620cm-1、MBAMのC=C、1730cm-1、DMAEMAのC=O、2856、2924cm-1、−CH3
固有粘度:[η]=0.2dl/g
【0069】
例11
この例は、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート−co−メチレンビスアクリルアミド)(HEMA:MBAM 85:15)の調製を記載するものである。
1.1062g(0.0085モル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレート、1.9535g(0.0015モル)のβ−シクロデキストリン−メチレンビスアクリルアミド複合体を、18mLのDMFに溶解させた。これに、32.8mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。反応混合物を通して、窒素ガスを約10分間パージし、そして65℃で24時間重合させた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーがメタノール中に溶解し、かつシクロデキストリンが沈殿するように、得られた固体をメタノールに溶解させた。次いで、上記ポリマー溶液を、石油エーテル中に沈殿させた。収率は、74%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0070】
1H NMR(D2O):5.44δ、5.66δ、=CH2、4.5δ、−CH2、1.95δ、MBAMのCH3
IR(nujol):1660cm-1、C=O、1620cm-1、MBAMのC=C、1730cm-1、C=O、3300−3500cm-1、HEMAの−OH、2856、2924cm-1、−CH3
【0071】
例12
この例は、ポリ(メチルメタクリレート−co−メチレンビスアクリルアミド)(MMA:MBAM 80:20)の調製を記載するものである。
0.8g(0.008モル)のメチルメタクリレート、2.578g(0.002モル)のβ−シクロデキストリン−メチレンビスアクリルアミド複合体を、21.2mLのDMFに溶解させた。これに、32.8mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加した。反応混合物を通して、窒素ガスを約10分間パージし、65℃で24時間重合させた。ポリマーが沈殿し、かつシクロデキストリンが水に溶解するように、得られた溶液を水に沈殿させた。沈殿したポリマーをろ過し、そして乾燥させた。収率は78%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
1H NMR(CDCl3):5.44δ、5.66δ、=CH2、4.5δ、MBAMの−CH2、3.6δ、MMAのOCH3
IR(nujol):1660cm-1、C=O、1620cm-1、MBAMのC=C、1728cm-1、MMAのC=O、2856、2924cm-1、−CH3
【0072】
例13
この例は、光重合によるポリ(N−ビニルピロリドン−co−エチレンビスメタクリルアミド)(NVP:EBMA 90:10)の調製を記載するものである。
1g(0.009モル)のN−ビニルピロリドンと、1.331g(0.001モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体とを、2mLのジメチルホルムアミドに溶解させた。5mgの1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンをこれに添加し、そして当該溶液に、室温で、UVを20分間照射した。メタノール中に溶解させ、次いで、石油エーテル中に沈殿させて、ポリマーを得た。収率は87%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0073】
1H NMR(D2O):3.44δ、CH2、5.44、5.65δ、=CH2、1.95δ、EBMAのCH3、2.1−2.2δ、2.5δ、3.5δ、NVPのCH2、0.85,1.03δ、−CH2−CH。
IR:1656cm-1、C=O、1616cm-1、−C=C−、EBMA、1458cm-1、=CH2、2852、2926cm-1、−CH3
【0074】
例14
この例は、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−エチレンビスメタクリルアミド(EBMA) 40:60)の調製を記載するものである。
7.9839g(0.006モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体、1g(0.009モル)のN−ビニルピロリドンを、39.9mLのN,Nジメチルホルムアミドに溶解させた。これに、36.9mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加し、そしてチューブを窒素でパージし、そして65℃に保持した水浴に24時間入れた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーがエタノールに溶解し、かつβ−シクロデキストリンが未溶解のまま残る(ろ過により分離する)ようにメタノール中に溶解させた。得られたろ過物を石油エーテル中に沈殿させた。沈殿物を、室温において、デシケーター中で乾燥させた。収率は、88%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。上記両方法によって、不飽和基が存在することが示され、一方、IRにより、アミド官能基の存在が示された。
【0075】
1H NMR(D2O):3.44δ、CH2、5.44、5.65δ、2H、EBMAの=CH2、2.1−2.2δ、2.5δ、3.5δ、NVPのCH2、1.95δ、s−CH3、0.85、1.03δ、−CH2−CH。
IR:1656cm-1、C=O、1616cm-1、−C=C−、2852、2926cm-1、−CH3、1458cm-1、EBMAの=CH2、1710cm-1、NVPのC=O。
【0076】
例15
この例は、ポリ(N−ビニルピロリドン−co−エチレンビスメタクリルアミド)(NVP:EBMA 85:15)の調製を記載するものである。
1.9965g(0.0015モル)のβ−シクロデキストリン−エチレンビスメタクリルアミド複合体、0.9447gのN−ビニルピロリドン(0.0085モル)を、17.4mLのN、Nジメチルホルムアミドに溶解させた。これに、32.8mgのアゾビスイソブチロニトリルを添加し、そしてチューブを窒素でパージし、そして65℃に保持した水浴に24時間入れた。得られた溶液を室温で濃縮し、次いで、ポリマーをメタノールに溶解させ、かつβ−シクロデキストリンをろ過により分離できるように、メタノール中に溶解させた。得られたろ過物を石油エーテル中に沈殿させた。沈殿物を、室温において、デシケーター中で乾燥させた。収率は68%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。上記両方法によって、不飽和基が存在することが示され、一方、IRにより、アミド官能基の存在が示された。
【0077】
1H NMR(D2O):3.44δ、CH2、5.44、5.65δ、2H、EBMAの=CH2、2.1−2.2δ、2.5δ、3.5δ、NVPのCH2、1.95δ、−CH3、0.85、1.03δ、−CH2−CH。
IR:1656cm-1、C=O、1616cm-1、−C=C−、2852、2926cm-1、−CH3、1458cm-1、EBMAの=CH2、1710cm-1、NVPのC=O。
【0078】
例16
この例は、ポリ(4−ビニルピリジン−co−メチレンビスアクリルアミド)(4−VP:MBAM 90:10)の調製を記載するものである。
0.4732g(0.0045モル)の、HClを用いて中和した4−ビニルピリジン、0.7427g(0.005モル)のメチル化シクロデキストリン−メチレンビスアクリルアミド複合体を、22mLの水に添加した。これに、27mgの過硫酸カリウムを添加した。反応混合物を通して、約10分間、窒素ガスをパージし、そして65℃で24時間重合させた。ポリマーが沈殿し、そしてメチル化シクロデキストリンが溶解したままであるように、得られた溶液をアセトンに注いだ。収率は69%であった。上記ポリマーは、メタノール、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0079】
1H NMR(D2O):5.44δ、5.66δ、=CH2、3.44δ、−CH2、1.95δ、EBMA、8.33δ、6.6δ、7.2δ、4−VPのCH2
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、EBMAのC=C、3300−3400cm-1、1600cm-1、1500cm-1、4−VP、2856、2924cm-1、−CH3
【0080】
例17
この例は、ポリ(アクリルアミド−co−メチレンビスアクリルアミド)(AM:MBAM 90:10)の調製を記載するものである。
1g(0.0141モル)のアクリルアミド、2.3245g(0.0016モル)のメチル化シクロデキストリン−メチレンビスアクリルアミド複合体を、100mLの水に溶解させた。これに、84.61mgの過硫酸カリウムを添加した。反応混合物を通して、約10分間、窒素ガスをパージし、そして65℃で24時間重合させた。ポリマーが沈殿し、そしてメチル化シクロデキストリンが溶解したままであるように、得られた溶液をアセトンに注いだ。収率は96%であった。上記ポリマーは、水、N,N’ジメチルホルムアミド及びジメチルスルホキシドに可溶であった。上記ポリマーを、1H NMR及びIR分光法で特徴付けた。
【0081】
1H NMR(D2O):5.44δ、5.66δ、=CH2、3.44δ、−CH2、1.95δ、EBMA。
IR(nujol):1656cm-1、C=O、1616cm-1、EBMAのC=C、3100cm-1、1640cm-1、AM。
固有粘度:[η]=1.85dl/g
【0082】
例18
この例は、ポリ(アクリルアミド−co−メチレンビスアクリルアミド)(AM:MBAM 90:10)の光架橋を記載するものである。
例17に従って調製された0.1gのポリ(アクリルアミド−co−メチレンビスアクリルアミド)を、4mLの水に溶解させ、そして10mgの2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド(光開始剤)を添加した。当該溶液に、UVを15分間照射した。上記ポリマーを架橋させ、そしてゲルを生成させた。これは、第一段階においてビニル基の一つが選択重合し、続く第二段階において、重合により架橋が生じたことに関する間接証拠である。架橋後のポリマーは、水、DMF、メタノール及びDMSOに不溶であることが分かった。得られたポリマーは、約15倍の水膨潤性を示した。
【0083】
例19
この例は、ポリ(4−ビニルピリジン−co−メチレンビスアクリルアミド)(4−VP:MBAM 90:10)の光架橋を記載するものである。
例16に従って調製された0.1gのポリ(4−ビニルピリジン−co−メチレンビスアクリルアミド)を、2mLの水に溶解させ、そして10mgの2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドを(光開始剤)添加した。当該溶液に、UVを15分間照射した。上記ポリマーを架橋させ、そしてゲルを生成させた。これは、第一段階において、ビニル基の一つが選択重合し、続く第二段階で、重合が起きたことに関する間接証拠である。架橋後のポリマーは、水、DMF、メタノール及びDMSOに不溶であることが分かった。得られたポリマーは、約10倍の水膨潤性を示した。
【0084】
本発明の優位性は、以下の通りである。
1.複数の不飽和基を有する溶媒可溶性のコポリマーの簡便な調製方法。
2.さらなる変性用に不飽和部位を付与すること。
3.架橋前の第一段階において、未反応の架橋剤を簡単に取り除くことができること。
4.反応媒体の多様性(versatility)を付与すること、すなわち、重合を行うために有機溶媒並びに水性媒体を用いることができること。
5.水溶性並びに油溶性の開始剤を、開始反応に用いることができること。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式:
[A(x)(y)n
(式中、Aは、不飽和基を1つ含むビニルモノマーに基づき、Bは、複数の不飽和基を含むモノマーに基づき、そしてx=1〜15、y=1〜15であり、そしてn=10〜1000である。)
を有するビニルモノマーの可溶性ポリマー。
【請求項2】
前記複数の不飽和基を含むモノマーの含有率が、0.01から99.9%まで変わる、請求項1に記載の前記ポリマーのポリマー組成物。
【請求項3】
有機溶媒及び水に可溶であり、そしてペンダント型ビニル不飽和基を含む、請求項1に記載のポリマー。
【請求項4】
前記不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、疎水性又は親水性である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項5】
前記不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、親水性で、かつ酸性、塩基性又は中性である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項6】
親水性かつ酸性である、前記不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、及び2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項7】
好ましい親水性かつ酸性である、前記不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、アクリル酸である、請求項1に記載のポリマー。
【請求項8】
親水性かつ塩基性である、前記不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、4−ビニルピリジン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレートである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項9】
好ましい親水性かつ塩基性である、前記不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、4−ビニルピリジンである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項10】
親水性かつ中性である、前記不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−2ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N−3ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミドである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項11】
好ましい親水性かつ中性である、前記不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−2ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N−3ヒドロキシプロピルメタクリルアミドである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項12】
前記複数の不飽和基を含むモノマーが、メチレンビスアクリルアミド/メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド/エチレンビスメタクリルアミド、プロピレンビスアクリルアミド/プロピレンビスメタクリルアミド、ブチレンビスアクリルアミド/ブチレンビスメタクリルアミド、フェニレンビスアクリルアミド/フェニレンビスメタクリルアミド、トリス(2−メタクリルアミドエチル)アミン/トリス(2−アクリルアミドエチル)アミン、2,4,6−トリメタクリルアミド−1,3,5−トリアジン/2,4,6−トリアクリルアミド−1,3,5−トリアジン、N,N’−(4,7,10−トリオキサトリデカメチレン)−ビスアクリルアミド/N,N’−(4,7,10−トリオキサトリデカメチレン)−ビスメタクリルアミド、N,N’−(4,9−ジオキサドデカメチレン)−ビスアクリルアミド/N,N’−(4,9−ジオキサドデカメチレン)−ビスメタクリルアミド、2,4,5,6テトラ−メタクリルアミドピリミジンスルフェート/2,4,5,6テトラ−アクリルアミドピリミジンスルフェート、4,5,6トリスアクリルアミドピリミジンスルフェート/4,5,6トリスアクリルアミドピリミジンスルフェートである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項13】
好ましい前記複数の不飽和基を含むモノマーが、メチレンビスアクリルアミド及びエチレンビスメタクリルアミドである、請求項1に記載のポリマー。
【請求項14】
次の各段階;
複数の不飽和基を含むモノマーと環状高分子化合物との包接複合体を、適切な溶媒中に溶解させる段階;
少なくとも1種のビニルモノマーとラジカル開始剤とを、この溶液に添加する段階;そして
一般的な方法で重合させて、生成物を得る段階:
を含む、請求項1に記載の可溶性コポリマーの調製法。
【請求項15】
前記包接複合体が、同時係属出願である281NF2004に記載され、そして特許請求の範囲に記載される方法により調製される、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項16】
前記複数の不飽和基を含むモノマーが、脂肪族、芳香族、又は複素環式化合物である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項17】
前記複数の不飽和基を含むモノマーが、ビスアクリルアミド/メタクリルアミドの群から選択される、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項18】
前記複数の不飽和基を含むモノマーが、メチレンビスアクリルアミド/メチレンビスメタクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド/エチレンビスメタクリルアミド、プロピレンビスアクリルアミド/プロピレンビスメタクリルアミド、ブチレンビスアクリルアミド/ブチレンビスメタクリルアミド、フェニレンビスアクリルアミド/フェニレンビスメタクリルアミド、トリス(2−メタクリルアミドエチル)アミン/トリス(2−アクリルアミドエチル)アミン、2,4,6−トリメタクリルアミド−1,3,5−トリアジン/2,4,6−トリアクリルアミド−1,3,5−トリアジン、N,N’−(4,7,10−トリオキサトリデカメチレン)−ビスアクリルアミド/N,N’−(4,7,10−トリオキサトリデカメチレン)−ビスメタクリルアミド、N,N’−(4,9−ジオキサドデカメチレン)−ビスアクリルアミド/N,N’−(4,9−ジオキサドデカメチレン)−ビスメタクリルアミド、2,4,5,6テトラ−メタクリルアミドピリミジンスルフェート/2,4,5,6テトラ−アクリルアミドピリミジンスルフェート、4,5,6トリスアクリルアミドピリミジンスルフェート/4,5,6トリスアクリルアミドピリミジンスルフェートである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項19】
好ましい前記複数の不飽和基を含むモノマーが、包接複合体の状態にあるメチレンビスアクリルアミド及びエチレンビスメタクリルアミドである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項20】
一つの不飽和基を含むビニルモノマーが、疎水性又は親水性である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項21】
一つの不飽和基を含むビニルモノマーが親水性で、かつ酸性、塩基性又は中性である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項22】
親水性かつ酸性である、一つの不飽和基を含むビニルモノマーが、アクリル酸、メタクリル酸、及び2−アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項23】
好ましい親水性かつ酸性である、不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、アクリル酸である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項24】
親水性かつ塩基性である、一つの不飽和基を含むビニルモノマーが、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、4−ビニルピリジン、2−ジメチルアミノエチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルアクリレートである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項25】
好ましい親水性かつ塩基性である、不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、2−ジメチルアミノエチルメタクリレート、4−ビニルピリジンである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項26】
親水性かつ中性である、一つの不飽和基を含むビニルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−2ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N−3ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N、N’ジメチルアクリルアミドである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項27】
好ましい親水性かつ中性である、不飽和基を1つ含むビニルモノマーが、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、アクリルアミド、N−ビニルピロリドン、N−2ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、N−3ヒドロキシプロピルメタクリルアミドである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項28】
重合用の有機溶媒が、N、N’ジメチルホルムアミド又はN、N’ジメチルスルホキシド、N,N’ジメチルアセトアミドである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項29】
好ましい重合用の有機溶媒が、N,N’ジメチルホルムアミドである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項30】
重合用の前記溶媒が水である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項31】
重合用の前記開始剤が、熱開始剤、レドックス開始剤又は光開始剤である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項32】
用いられる熱開始剤が、油溶性又は水溶性のどちらかである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項33】
重合用に用いられる油溶性の熱開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペロキシド、t−ブチルペロキシド、クミルペロキシド、1,1’アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項34】
好ましい油溶性の熱開始剤が、アゾビスイソブチロニトリルである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項35】
重合用に用いられる水溶性の熱開始剤が、2,2’アゾビスアミジノプロパンジヒドロクロリド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスシアノ吉草酸である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項36】
好ましい水溶性の熱開始剤が、2、2’アゾビスアミジノプロパンジヒドロクロリド及び過硫酸カリウムである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項37】
レドックス開始剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウムである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項38】
好ましいレドックス開始剤が、メタ重亜硫酸ナトリウム−過硫酸カリウムである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項39】
重合用に用いられる光開始剤が、油溶性又は水溶性である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項40】
水溶性開始剤が、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、アゾビスシアノ吉草酸である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項41】
好ましい水溶性の光開始剤が、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項42】
油溶性の光開始剤が、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項43】
好ましい油溶性の光開始剤が、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項44】
重合温度が20℃〜65℃である、請求項14に記載のポリマーの調製法。
【請求項45】
請求項1に記載のポリマーを、ラジカル重合法で架橋させて得られる架橋ポリマー。
【請求項46】
下記一般式:
[A(x)(y)n
(式中、Aは、不飽和基を1つ含むビニルモノマーに基づき、Bは、複数の不飽和基を含むモノマーに基づき、そしてx=1〜15、y=1〜15であり、そしてn=10〜1000である。)
を有するビニルモノマーの架橋ポリマー。
【請求項47】
前記複数の不飽和基を有するモノマーの含有率が、0.01から99.9%まで変わる、請求項46に記載の架橋ポリマー。
【請求項48】
可溶性コポリマーから、請求項46に記載の架橋ポリマーを調製する方法であって、次の各段階;
コポリマーを、適切な溶媒中に溶解させる段階;
ラジカル開始剤を、この溶液に添加する段階;そして
一般的な方法で架橋させて、生成物を得る段階:
を含む方法。
【請求項49】
架橋用の前記溶媒が有機である、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
架橋用の有機溶媒が、N,N’ジメチルホルムアミド、N,N’ジメチルスルホキシド、N,N’ジメチルアセトアミドである、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
架橋用の好ましい有機溶媒が、N,N’ジメチルホルムアミドである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
架橋用の前記溶媒が水である、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
架橋ポリマーの調製において、開始反応が、熱、レドックス又は光重合のいずれかである、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
架橋用の熱開始剤が、水溶性又は油溶性である、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項55】
水溶性の熱開始剤が、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、アゾビスシアノ吉草酸である、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項56】
好ましい水溶性の熱開始剤が、過硫酸カリウム及び2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドである、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項57】
油溶性の熱開始剤が、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペロキシド、t−ブチルペロキシド及びクミルペロキシドである、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項58】
好ましい油溶性の熱開始剤が、アゾビスイソブチロニトリルである、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項59】
重合用に用いられる光開始剤が、水溶性又は油溶性のどちらかである、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項60】
水溶性の光開始剤が、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、アゾビスシアノ吉草酸である、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項61】
好ましい水溶性光開始剤が、2,2’アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリドである、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項62】
油溶性の光開始剤が、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)である、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項63】
好ましい油溶性の光開始剤が、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンである、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項64】
重合温度が、20℃〜65℃である、請求項48に記載の架橋ポリマーを調製する方法。
【請求項65】
下記一般式:
[A(x)(y)n
(式中、Aは、各例、添付の明細書に関連してここに実質的に記載されるようなビニルモノマーに基づく。)
を有するビニルモノマーの可溶性ポリマー。

【公表番号】特表2008−518074(P2008−518074A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538615(P2007−538615)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【国際出願番号】PCT/IN2004/000378
【国際公開番号】WO2006/046254
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(506341906)カウンシル オブ サイエンティフィク アンド インダストリアル リサーチ (3)
【出願人】(307027290)
【出願人】(307028596)
【Fターム(参考)】