説明

ピッキング装置と方法

【課題】物品の高さ方向位置をほとんど考慮することなく、最上段物品を取り出すことができ、これにより、安定してかつ短時間で物品を取り出すことができるようにする。
【解決手段】台3に積載された物品1を台3から取り出すピッキング装置10であって、台3には物品1が上下複数段に積まれており、上下複数段の物品1のうち最上段にある最上段物品1の高さが、所定の物品取出高さHに位置しているかを検出する高さ検出器5と、台3を昇降させ、台3の昇降中に最上段物品1の高さが物品取出高さHに位置することを高さ検出器5が検知すると、台3の昇降を停止する昇降装置7と、物品取出高さHに位置する最上段物品1を台3から取り出す取出装置9と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台に積載された物品を台から取り出すピッキング装置と方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ピッキング装置において、パレットなどの台に物品が上下複数段に積まれている場合には、最上段の物品(最上段物品という)を台から取り出して所定の場所に移載する。そのために、最上段物品の高さ方向位置を認識する必要がある。例えば、水平方向の複数箇所において物品が異なる段数で上下複数段に積まれている場合に、高い位置にある最上段物品も、低い位置にある最上段物品も、精度よく把握または認識して、これら最上段物品の取出動作を行う必要がある。
【0003】
そのための技術が、例えば下記特許文献1、2に記載されている。
特許文献1では、パレット上の物品を認識する撮像手段を複数設け、これら複数の撮像手段の焦点距離を互いに異なるようにしている。この構成で、最上段の箱体(物品)の高さに応じて、使用する撮像手段を切り換えている。これにより、最上段物品を精度よく把握または認識することができる。
特許文献2では、パレット上の物品を認識する撮像手段に自動ズーム機能を付加し、自動ズーム機能により最上段物品の撮像データの大きさを調整し一定としている。この構成で、正確な撮像データを得るようにしている。これにより、最上段物品を精度よく把握または認識することができる。
【特許文献1】特開平7−299782号公報
【特許文献2】特開2002−13913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、より多くの撮像手段を必要とするため、撮像手段のメンテナンス等に多くの時間を費やしてしまう。また、撮像手段を選択するために、ある程度精度ある物品の最上段高さデータを取得する必要がある。
【0005】
特許文献2の場合、自動ズーム機能を持つ撮像手段は高価であり、最上段物品を精度よく把握または認識するために、ズーム動作を含めた複数な処理を行う必要がある。
【0006】
このように、特許文献1、2では、物品の高さ方向位置を考慮して、最上段物品を取り出す処理を行っており、撮像手段選択処理や自動ズーム処理などに時間がかかる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、特許文献1、2との異なる手段により、物品の高さ方向位置をほとんど考慮することなく、最上段物品を取り出すことができ、これにより、安定してかつ短時間で物品を取り出すことができるピッキング装置と方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明によると、台に積載された物品を前記台から取り出すピッキング装置であって、
前記台には物品が上下複数段に積まれており、
前記上下複数段の物品のうち最上段にある最上段物品の高さが、所定の物品取出高さに位置しているかを検出する高さ検出器と、
前記台を昇降させ、前記台の昇降中に最上段物品の高さが前記物品取出高さに位置することを前記高さ検出器が検知すると、前記台の昇降を停止する昇降装置と、
前記物品取出高さに位置する最上段物品を前記台から取り出す取出装置と、を備える、ことを特徴とするピッキング装置が提供される。
【0009】
上述の本発明のピッキング装置では、台に上下複数段に積まれた物品のうち最上段物品を取り出す場合に、前記昇降装置が台を昇降させている時に、最上段物品の高さが前記物品取出高さに位置することを前記高さ検出器が検知すると、前記昇降装置は台の昇降を停止させ、この状態で取出装置9は最上段物品1の高さにある当該最上段物品1を取り出す。従って、取出装置は、物品の高さ方向位置をほとんど考慮することなく、最上段物品を取り出すことができ、これにより、安定してかつ短時間で物品を取り出すことができる。
例えば、取出装置が取出動作を行う取出動作実行装置を有する場合に、取出動作実行装置の上下方向に関する動作幅が狭くなるので、タスク速度が上がるとともに、取出機構を安価にすることができる。
【0010】
本発明の好ましい実施形態によると、前記取出装置は、
前記物品取出高さに位置する最上段物品を含む領域の画像データを取得する撮像装置と、
前記画像データに対して画像処理を行うことで、最上段物品の認識データを取得する物品認識装置と、
前記認識データに基づいて、最上段物品を前記台から取り出す取出動作実行装置と、を備える。
【0011】
このように、画像データから最上段物品の認識データを取得する場合に、画像データにおける最上段物品は一定の物品取出高さに位置しているので、次の(1)〜(5)の効果が得られる。
(1)画像処理のキャリブレーションにおいて、高さ方向をほとんど考慮する必要がなくなる。
(2)台上の物品の積載箇所が決まっている場合には、最上段物品の位置は常にほぼ同じ位置にあるので、画像処理を行う画像データの範囲をほぼ一定に定めることができ、これにより、画像処理時間を短縮することができる。
(3)一定の照明条件の下で、画像データを取得することができ、これにより、画像処理が安定する。
(4)撮像装置が前記台の上方から鉛直方向に前記領域を撮像することで、同一水平面内に複数の最上段物品が配置されている場合であっても、自動ズーム機能や複数の撮像装置を必要とせずに、画像データ内における複数の最上段物品を精度よく認識することができる。
(5)最上段物品の位置は常にほぼ同じ位置にあるので、取出動作実行装置が最上段物品を取り出すときに取出機構の位置がずれることで、最上段物品を取り損なうことがなくなるので、ピッキング装置の移動効率が向上する。
【0012】
また、本発明によると、上述のピッキング装置を用いた物品のピッキング方法であって、
(A)前記物品取出高さに位置する最上段物品を前記取出装置により前記台から取り出し、
(B)前記(A)が完了すると、前記昇降装置は、前記台を上昇させ、前記台の上昇中に新たな最上段物品の高さが前記物品取出高さに位置することを前記高さ検出器が検知すると、前記台の昇降を停止させ、
(C)前記取出装置が所望の個数だけ最上段物品を取り出すまで、前記(A)と(B)を順に繰り返す、ことを特徴とするピッキング方法が提供される。
【0013】
このように、前記(A)と(B)を順に繰り返すので、最上段物品を所望の数だけ取り出す場合に、常に一定の物品取出高さに位置する最上段物品を取り出すことができる。従って、安定した取出動作により、所望の数だけ最上段物品を取り出すことができる。
【発明の効果】
【0014】
上述した本発明によると、物品の高さ方向位置をほとんど考慮することなく、最上段物品を取り出すことができ、これにより、安定してかつ短時間で物品を取り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明を実施するための最良の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態によるピッキング装置10の構成図である。ピッキング装置10は、台3に積載された物品1を台3から取り出す装置である。台3は昇降可能であり、該台3には物品1が上下複数段に積まれている。
本実施形態では、水平方向に関する複数箇所において、物品1が上下複数段に台3に積まれている。図1において、左右方向の3箇所において物品1を上下複数段に積んだものを、紙面と垂直な方向に3列設けている。即ち、この例では、3×3=9箇所において、物品1が上下複数段に台3に積まれている。
ピッキング装置10は、高さ検出器5、昇降装置7および取出装置9を備える。
【0017】
高さ検出器5は、前記上下複数段の物品1のうち最上段にある物品(以下、最上段物品1という)の高さが、所定の物品取出高さHに位置しているかを検出する。
【0018】
昇降装置7は、台3を昇降させ、台3の昇降中に最上段物品1の高さが前記物品取出高さHに位置することを高さ検出器5が検知すると、台3の昇降を停止する。
【0019】
取出装置9は、高さ検出器5と昇降装置7により最上段物品1が物品取出高さHにされた状態において、当該最上段物品1を台3から取り出す。
【0020】
本実施形態によるピッキング装置10について、より詳細に説明する。
【0021】
高さ検出器5は、図1の例では、所定の物品取出高さHにおいて水平方向にレーザ光を照射するレーザ照射部5aと、このレーザ光が物品取出高さHにある物品1で反射した反射レーザ光を検知するレーザ検知部5bとを有する。レーザ照射部5aは、作動している状態では、鉛直軸の回りに高速で揺動するようになっており、これにより図1の紙面と垂直な方向の複数箇所において最上段物品1を検知できる。最上段物品1の高さが前記物品取出高さHより低い状態から台3が上昇し、この上昇中に前記反射レーザ光をレーザ検知部5bが検知した時に、高さ検出器5は、最上段物品1の高さが前記物品取出高さHに位置する旨の検知信号を出力する。
なお、本発明によると、高さ検出器5は、最上段物品1の高さが、所定の物品取出高さHに位置しているかを検出でき、前記検知信号を出力する装置であれば、他の構成であってもよい。例えば、高さ検出器5は、台3の上方に配置された3次元レーザ距離センサや2つの撮像装置を用いた装置であってもよい。3次元レーザ距離センサの場合には、物品1が凹凸のある上面を有していても、最上段物品1が物品取出高さHに位置しているかを精度よく検出できる。2つの撮像装置を用いた装置では、台3が視野に入るように同一水平面上に間隔をおいて2つの撮像装置が台3の上方に配置され、それぞれが撮像した画像内における最上段物品1の位置の差に基づいて、最上段物品1の高さを検出する。
【0022】
昇降装置7は、図1の例では、バネやシリンダを使用したパンタグラフ形式の装置であるが、他の構成のものであってもよい。例えば、サーボモータの回転運動を昇降運動に変換して台3を昇降させる装置や、空圧シリンダや油圧シリンダを用いて台3を昇降させる装置や、他の適切な装置であってもよい。昇降装置7は、台3を昇降させる動作を行い駆動源を含む昇降機構7aと、昇降機構7aの動作を制御する制御部7bとを有する。制御部7bは、高さ検出器5から前記検知信号を受けると、昇降機構7aの昇降(図1の例では、上昇)を停止する制御を行う。図1では、昇降機構7aは、台3が積載される昇降ステージ11を有する。
【0023】
取出装置9は、図1の例では、撮像装置13、物品認識装置15および取出動作実行装置17を有する。
撮像装置13は、前記物品取出高さHに位置する最上段物品1を含む領域の画像データを取得する。撮像装置13は、台3の上方において一定位置に固定され、かつ、鉛直方向に向けられ、上方から前記領域を撮像する。撮像装置13は、CCDカメラであってよい。
物品認識装置15は、前記画像データに対して画像処理を行うことで、最上段物品1の認識データを取得する。認識データは、前記物品取出高さHでの水平面における最上段物品1の位置および向き(姿勢)に関するデータである。撮像装置13と物品取出高さHとの鉛直方向の距離は一定であり、物品認識装置15は、画像データの一定範囲(例えば、台3の上面に相当する範囲)に対して前記画像処理を行う。この例では、台3に積載される複数の物品1は、同じ寸法と形状(例えば直方体)を有する。この場合、物品認識装置15は、前記画像処理により、前記画像データ内の最上段物品1の寸法と形状に関する寸法・形状データを抽出し、この寸法・形状データと照合用基準データとを照合することで、両者が一致すれば当該最上段物品1を認識し、その認識データを得る。照合用基準データは、物品取出高さHにある最上段物品1を含む前記画像データを撮像装置13が取得した場合に、この画像データでの当該最上段物品1の寸法と形状に関する基準データである。従って、画像データにおいて高さが異なる最上段物品1は寸法が異なるので、高さが異なる複数の最上段物品1が画像データに含まれている場合にも、物品取出高さHにある最上段物品1のみを認識することができる。なお、物品取出高さHに複数の最上段物品1が存在する場合には、当該各最上段物品1毎に認識データを取得する。
取出動作実行装置17は、前記認識データに基づいて、最上段物品1を台3から取り出す。この例では、取出動作実行装置17は制御部17aと、駆動源を含む取出機構17bとからなり、制御部17aは、前記認識データに基づいて、取出機構17bが最上段物品1を台3から所定の場所へ移載するように取出機構17bを制御する。なお、物品取出高さHに複数の最上段物品1が存在する場合には、制御部17aは、複数の前記認識データに基づいて、取出機構17bがこれら最上段物品1を台3から所定の場所へ1つずつ移載し又はこれら最上段物品1の複数個を同時に台3から所定の場所へ移載するように取出機構17bを制御する。なお、取出機構17bは、例えば、先端に最上段物品1を把持(例えば吸着)する把持部と、複数の関節とを有するロボットアームであってよい。
【0024】
台3は昇降装置7の昇降ステージ11へ積載されるパレットである。複数の物品1を載せたパレット3は、コンベヤ19で昇降ステージ11上へ搬送されてよい。図2は、この場合の構成を示す。図2(B)は図2(A)のB−B線矢視図である。図2に示すように、コンベヤ19は、間隔をおいて平行に配置される1対の駆動機構21を有し、各駆動機構21は、回転駆動される複数の歯車21aとこれら歯車21aに噛み合い歯車21aと連動して回転する無端状ベルト21bとを有する。昇降される昇降ステージ11は、1対の駆動機構21の間隔よりも小さい寸法を有し、1対の駆動機構21の間に位置する。コンベヤ19から昇降ステージ11へパレット3を引き渡す動作は次のように行われる。図2のように昇降ステージ11がコンベヤ19よりも下方へ下降させられ、かつ、昇降ステージ11の上方位置にパレット3をコンベヤ19により搬送する。この状態から昇降ステージ11を上昇させることで、パレット3がコンベヤ19から昇降ステージ11へ引き渡される。なお、コンベヤ19の高さは、物品取出高さHよりも低い。
【0025】
図3は、上述した実施形態によるピッキング装置10を用いたピッキング方法を示すフローチャートである。
ステップS1において、物品1が上下複数段に積まれている台3(パレット3)を昇降装置7の昇降ステージ11へ載せる。この動作は、例えば、上述した図2の構成で行われてよい。
ステップS2において、昇降装置7は、台3を昇降させ、台3の昇降中に最上段物品1の高さが前記物品取出高さHに位置することを高さ検出器5が検知すると、台3の昇降を停止させる。これにより、最上段物品1が物品取出高さHに位置する。なお、この例では、ステップS1の完了時点における最上段物品1の高さが、物品取出高さHよりも低いので、ステップS2において台3を上昇させるが、ステップS1の完了時点における最上段物品1の高さが物品取出高さHよりも高い場合にはステップS2において台3を下降させる。この場合コンベア19とパレット3とが干渉しない位置に移動させる必要が生じるので、コンベヤ19の高さは最上段物品1の高さ以下であることが望ましい。なお、台3の複数箇所に物品1が上下複数段に積まれている場合には、ステップS2において、複数の最上段物品1のうち最も高く位置する最上段物品1が前記物品取出高さHに位置することを高さ検出器5が検知すると、台3の昇降を停止させる。
ステップS3において、前記物品取出高さHに位置する最上段物品1を台3から所定の場所へ取り出す処理および動作を取出装置9が行う。具体的には、撮像装置13により前記画像データを取得し、該画像データから物品取出高さHに位置する最上段物品1の認識データを物品認識装置15により取得し、該認識データに基づいて、取出動作実行装置17が前記物品取出高さHに位置する最上段物品1を台3から所定の場所へ取り出す。なお、前記物品取出高さHに位置する最上段物品1が複数ある場合には、これら最上段物品1を台3から所定の場所へ1つずつ取り出し、または、これら最上段物品1の複数個を同時に台3から所定の場所へ取り出す。
ステップS4において、台3から取り出した最上段物品1の合計数が所望の数に達した場合には、ピッキング動作を終了する。一方、台3から取り出した最上段物品1の合計数が所望の数に達していない場合には、ステップS5へ進む。
ステップS5において、昇降装置7は、台3を上昇させ、台3の上昇中に新たな最上段物品1の高さが前記物品取出高さHに位置することを高さ検出器5が検知すると、台3の昇降を停止させる。これにより、次の最上段物品1が物品取出高さHに位置する。ステップS5が完了したらステップS3へ戻る。
このように、取出装置9が所望の個数だけ最上段物品1を取り出すまで、ステップ3とステップS5を順に繰り返す。
【0026】
なお、ステップS3〜S5を自動で行ってもよい。この場合、ステップS2が完了すると、その旨を示す信号が取出装置9へ入力される。これにより、取出装置9はステップS3を開始し、ステップS3が完了すると、ピッキング装置10の制御装置23が、前記所望の数とステップS3で取り出した最上段物品1の合計数とを比較することでステップS5の判断を行う。その結果、前記所望の数に達していないと判断した場合には、制御装置23はステップS5を行う旨の信号を昇降装置7へ出力する。これにより、ステップS5が開始され、ステップS5が完了すると、その旨を示す信号が取出装置9へ入力される。これにより、取出装置9はステップS3を再び開始する。以後、同様の処理・動作を繰り返す。なお、前記所望の数は制御装置23に記憶されており、前記合計数は、ステップS3での取出装置9の処理・動作に基づいて制御装置23により自動的にカウントされる。
一方、ステップS3〜S5の開始を手動で行ってもよい。この場合、ステップS2の完了後、人が所定の操作装置を操作することで、取出装置9はステップS3を開始し、ステップS4の完了後、人がステップS5の判断を行う。その結果、前記所望の数に達していない場合には、人が操作装置を操作することで、ステップS5が開始される。ステップS5の完了後、人が操作装置を操作することで、取出装置9はステップS3を再び開始する。以後、同様の処理・動作を繰り返す。
【0027】
上述の本発明の実施形態によるピッキング装置10では、台3に上下複数段に積まれた物品1のうち最上段物品1を取り出す場合に、昇降装置7が台3を昇降させている時に、最上段物品1の高さが前記物品取出高さHに位置することを高さ検出器5が検知すると、昇降装置7は台3の昇降を停止させ、この状態で取出装置9は最上段物品1の高さにある当該最上段物品1を取り出す。従って、取出装置9は、物品1の高さ方向位置をほとんど考慮することなく、最上段物品1を取り出すことができ、これにより、安定してかつ短時間で物品1を取り出すことができる。
例えば、取出機構17bの上下方向に関する動作幅が狭くなるので、タスク速度が上がるとともに、取出機構17bを安価にすることができる。
【0028】
また、撮像装置13により得られた画像データから最上段物品1の認識データを取得する場合に、画像データにおける最上段物品1は常に一定の物品取出高さHに位置しているので、次の(1)〜(5)の効果が得られる。
(1)画像処理のキャリブレーションにおいて、高さ方向をほとんど考慮する必要がなくなる。
(2)台3上の物品の積載箇所が決まっている場合には、最上段物品1の位置は常にほぼ同じ位置にあるので、画像処理を行う画像データの範囲をほぼ一定に定めることができ、これにより、画像処理時間を短縮することができる。
(3)一定の照明条件の下で、画像データを取得することができ、これにより、画像処理が安定する。
(4)撮像装置13が台3の上方から鉛直方向に前記領域を撮像することで、同一水平面内に複数の最上段物品1が配置されている場合であっても、自動ズーム機能や複数の撮像装置13を必要とせずに、画像データ内における複数の最上段物品1を精度よく認識することができる。
(5)最上段物品1の位置は常にほぼ同じ位置にあるので、取出動作実行装置17が最上段物品1を取り出すときに取出機構17bの位置がずれることで、最上段物品1を取り損なうことがなくなるので、ピッキング装置10の移動効率が向上する。
【0029】
さらに、ステップS3とステップS5を順に繰り返すので、最上段物品1を所望の数だけ取り出す場合に、常に一定の物品取出高さHに位置する最上段物品1を取り出すことができる。従って、安定した取出動作により、所望の数だけ最上段物品1を取り出すことができる。
【0030】
本発明は上述した実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更を加え得ることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態によるピッキング装置の構成図である。
【図2】コンベヤでパレットを搬送する場合の構成図である。
【図3】本発明の実施形態によるピッキング方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0032】
1 物品、3 台(パレット)、5 高さ検出器、5a レーザ照射部、5b レーザ検知部、7 昇降装置、7a 昇降機構、7b 制御部、9 取出装置、10 ピッキング装置、11 昇降ステージ、13 撮像装置、15 物品認識装置、17 取出動作実行装置、17a 制御部、17b 取出機構、19 コンベヤ、21 駆動機構、21a 歯車、21b 無端状ベルト、23 制御装置、H 物品取出高さ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
台に積載された物品を前記台から取り出すピッキング装置であって、
前記台には物品が上下複数段に積まれており、
前記上下複数段の物品のうち最上段にある最上段物品の高さが、所定の物品取出高さに位置しているかを検出する高さ検出器と、
前記台を昇降させ、前記台の昇降中に最上段物品の高さが前記物品取出高さに位置することを前記高さ検出器が検知すると、前記台の昇降を停止する昇降装置と、
前記物品取出高さに位置する最上段物品を前記台から取り出す取出装置と、を備える、ことを特徴とするピッキング装置。
【請求項2】
前記取出装置は、
前記物品取出高さに位置する最上段物品を含む領域の画像データを取得する撮像装置と、
前記画像データに対して画像処理を行うことで、最上段物品の認識データを取得する物品認識装置と、
前記認識データに基づいて、最上段物品を前記台から取り出す取出動作実行装置と、を備える、請求項1に記載のピッキング装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のピッキング装置を用いた物品のピッキング方法であって、
(A)前記物品取出高さに位置する最上段物品を前記取出装置により前記台から取り出し、
(B)前記(A)が完了すると、前記昇降装置は、前記台を上昇させ、前記台の上昇中に新たな最上段物品の高さが前記物品取出高さに位置することを前記高さ検出器が検知すると、前記台の昇降を停止させ、
(C)前記取出装置が所望の個数だけ最上段物品を取り出すまで、前記(A)と(B)を順に繰り返す、ことを特徴とするピッキング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−6510(P2010−6510A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−166067(P2008−166067)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】