説明

ピラゾール化合物

本発明は、明細書に示す一群のピラゾール化合物に関する。これらの化合物は、カンナビノイド受容体媒介性障害の治療に用いられうる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
この出願は、2006年10月2日に出願された、米国仮特許出願第60/848,742号の利益を主張する。当該出願の内容は全体が参照により本明細書に引用される。
【0002】
背景
大麻(Cannabis sativa)から単離されたカンナビノイド類は、数世紀にわたって治療剤として認識されてきた。例えば、これらは、鎮痛、筋弛緩、食欲刺激、および抗けいれんなどの処置に用いられてきた。また、近年の研究から、これらについて、癌の治療や、リウマチおよび多発性硬化症などの慢性炎症疾患の兆候の緩和における潜在的な治療効果が立証されている。
【0003】
カンナビノイド類の作用は、少なくとも2つのタイプのカンナビノイド受容体(すなわち、CB1およびCB2)により媒介され、これらの受容体はいずれもGタンパク質共役受容体(GPCR)スーパーファミリーに属する。CB1受容体は脳に主に発現し、神経伝達物質の放出の阻害を媒介しており、CB2受容体は免疫細胞に主に発現し、免疫応答を調節している。Matsuda et al.,Nature(1990)346:561、および、Munro et al.,Nature(1993)365:61を参照。
【0004】
他のGPCRと比較して、CB1受容体は原則として高レベルで発現している。中枢神経系において、CB1は、大脳皮質、海馬、大脳基底核、および小脳に高度に発現しているが、視床下部および脊髄での発現は比較的低レベルである。例えば、Howlett et al.,Pharmacol Rev(2002)54:161を参照。CB1の機能は、気分、食欲、嘔吐制御、記憶、空間整合筋緊張、および鎮痛などの多くの神経学的および精神的な現象に影響を及ぼす。例えば、Goutopoulos et al.,Pharmacol Ther(2002)95:103を参照。中枢神経系以外にも、CB1受容体は、消化管、心臓、肺、子宮、卵巣、精巣、および扁桃腺などの種々の末梢器官にも存在する。例えば、Galiegue et al.,Eur J Biochem(1995)232:54を参照。
【0005】
CB2受容体のCB1との同一性は44%であり、膜貫通領域では68%の同一性を有する。Munro et al.,Nature(1993)365:61を参照。CB1受容体と比較して、CB2受容体は分布がより限られており、脾臓および扁桃腺で高発現しており、肺、子宮、膵臓、骨髄および胸腺では発現が低い。免疫細胞のなかでも、B細胞はCB2受容体を高レベルで発現しており、次いでナチュラルキラー細胞、単球、多形核好中球、およびTリンパ球の順である。Galiegue et al.,Eur J Biochem(1995)232:54を参照。
【0006】
CB2受容体の活性化は、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病)に関連した炎症モデルにおいて鎮痛効果をもたらし、骨密度の維持およびアテローム性動脈硬化症の進行に役割を担っていることが示されている。例えば、Malan et al.,Pain(2001)93:239;Benito et al.,J Neurosci(2003)23:11136;Ibrahim et al., Proc Natl Acad Sci USA(2003)100:10529;Idris et al.,Nat Med(2005)11:774;および、Steffens et al.,Nature(2005)434:782を参照。
【発明の概要】
【0007】
概要
本発明は、ある種のピラゾール化合物がカンナビノイド受容体媒介性障害の治療に有効であるという発見に基づいている。
【0008】
一形態において、本発明は、式(I)のピラゾール化合物を特徴とする。
【0009】
【化1】

【0010】
式中、Xは、C(R)またはN(R)(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)であり;Rは、H、ハロゲン、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルケニル、C−C20ヘテロシクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、またはNR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)であり;そして、R、R、およびRはそれぞれ独立して、H、ハロゲン、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルケニル、C−C20ヘテロシクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールである。
【0011】
式(I)を参照して、上述したピラゾール化合物のサブセットは、XがCHまたはNHであってもよく、Rがハロゲン置換アリール(例えば、2,4−ジクロロフェニル)であってもよく、Rがアリールまたはヘテロアリールであってもよく、RがC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはNR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)であってもよく、そして、RがH、ハロゲン、またはC−C10アルキルでありうるものである。
【0012】
「アルキル」との語は、−CHまたは−CH(CHなどの、飽和の、直鎖または分岐の炭化水素部位を意味する。「アルケニル」との語は、−CH=CH−CHなどの、少なくとも1つの二重結合を含む直鎖または分岐の炭化水素部位を意味する。「アルキニル」との語は、−C≡C−CHなどの、少なくとも1つの三重結合を含む直鎖または分岐の炭化水素部位を意味する。「シクロアルキル」との語は、シクロへキシルなどの、飽和の環状炭化水素部位を意味する。「シクロアルケニル」との語は、シクロへキセニルなどの、少なくとも1つの二重結合を含む、非芳香族の環状炭化水素部位を意味する。「ヘテロシクロアルキル」との語は、4−テトラヒドロピラニルなどの、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を有する、飽和の環状部位を意味する。「ヘテロシクロアルケニル」との語は、ピラニルなどの、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)および少なくとも1つの環二重結合を有する、非芳香族の環状部位を意味する。「アリール」との語は、1以上の芳香環を有する炭化水素部位を意味する。アリール部位の例としては、フェニル(Ph)、フェニレン、ナフチル、ナフチレン、ピレニル、アントリル、およびフェナントリルが挙げられる。「ヘテロアリール」との語は、少なくとも1つのヘテロ原子(例えば、N、O、またはS)を含む芳香環を1つ以上有する部位を意味する。ヘテロアリールの例としては、フリル、フリレン、フルオレニル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジニル、キナゾリニル、キノリル、イソキノリル、およびインドリルが挙げられる。
【0013】
そうでないと特記しない限り、本明細書に記載のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリールおよびヘテロアリールは、置換された部位および非置換の部位の双方を含むものである。シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリール上の可能な置換基としては、以下に制限されないが、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルケニル、C−C20ヘテロシクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルケニル、C−C10アルコキシ、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、アミノ、C−C10アルキルアミノ、C−C20ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、C−C10アルキルスルホンアミノ、アリールスルホンアミノ、C−C10アルキルイミノ、アリールイミノ、C1−C10アルキルスルホンイミノ、アリールスルホンイミノ、ヒドロキシル、ハロゲン、チオ、C−C10アルキルチオ、アリールチオ、C−C10アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アシルアミノ、アミノアシル、アミノチオアシル、アミジノ、グアニジン、ウレイド、シアノ、ニトロ、ニトロソ、アジド、アシル、チオアシル、アシルオキシ、カルボキシル、およびカルボン酸エステルが挙げられる。一方、アルキル、アルケニル、またはアルキニル上の可能な置換基としては、上述した置換基のうちC−C10アルキル以外のものすべてが挙げられる。また、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルケニル、アリール、およびヘテロアリールは、互いに融合していてもよい。
【0014】
さらに他の形態において、本発明は、カンナビノイド受容体媒介性障害の治療方法を特徴とする。当該方法は、上述した式(I)のピラゾール化合物の1つ以上の有効畳を、必要とする対象に投与することを含む。カンナビノイド受容体媒介性障害の例としては、肝線維症、脱毛、肥満、メタボリックシンドローム(例えば、シンドロームX)、脂質異常症、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、薬物依存症(例えば、アルコール依存症、もしくはニコチン依存症)、抑うつ、意欲欠如症、学習・記憶機能障害、鎮痛、出血性ショック、虚血、肝硬変、神経因性疼痛、悪心・嘔吐対策、高眼圧、気管支拡張、骨粗鬆症、癌(例えば、前立腺癌、肺癌、乳癌、もしくは頭頸部癌)、神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、もしくはパーキンソン病)、または炎症性疾患が挙げられる。
【0015】
「治療する」または「治療」との語は、治療効果を得る(例えば、上述した障害、その兆候、またはこれに対する素因を治癒させ、軽減し、変化させ、これに作用し、改善し、または予防する)ことを因的として、上述した障害、かような障害の兆候、またはかよう
な障害に対する素因を有する対象に、1以上のピラゾール化合物を投与することを意味する。
【0016】
また、上述したピラゾール化合物の少なくとも1つの有効量と、製薬上許容されうる担体とを含有する医薬組成物もまた、本発明に包含される。
【0017】
上述したピラゾール化合物は、当該化合物自体に加えて、適用可能である限り、その塩、プロドラッグ、および溶媒和物も含む。例えば、塩は、アニオンと、ピラゾール化合物上の正に荷電した基(例えば、アミノ基)との間で形成されうる。適当なアニオンとしては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、硫酸イオン、硝酸イオン、リン酸イオン、クエン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、酢酸イオン、リンゴ酸イオン、トシル酸イオン、酒石酸イオン、フマル酸イオン、グルタミン酸イオン、グルコン酸イオン、乳酸イオン、グルタル酸イオン、およびマレイン酸イオンが挙げられる。同様に、カチオンと、ピラゾール化合物上の負に荷電した基(例えば、カルポキシル基)との間でも形成されうる。適当なカチオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、および、テトラメチルアンモニウムイオンなどのアンモニウムイオンが挙げられる。また、ピラゾール化合物には、第4級窒素原子を含む塩も含まれる。プロドラッグの例としては、エステルのほか、対象への投与によって活性なピラゾール化合物をもたらしうる、製薬上許容されうる他の誘導体が挙げられる。溶媒和物とは、活性なピラゾール化合物と製薬上許容されうる溶媒との間で形成される複合体を意味する。製薬上許容されうる溶媒の例としては、水、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸、およびエタノールアミンが挙げられる。
【0018】
上述した障害の治療に用いられる、上述したピラゾール化合物の1つ以上を含有する組成物や、上述した治療のための医薬の製造のための当該組成物の使用もまた、本発明の範囲内のものである。
【0019】
以下、本発明の1以上の実施形態について、詳細に説明する。本発明の他の特徴、目的、および利点は、以下の説明および特許請求の範囲から明らかである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
上述したピラゾール化合物は、本技術分野において周知の手法(例えば、米国仮特許出願第60/819,147号に記載の手法に類似の手法)により調製されうる。合成されたピラゾール化合物は、カラムクロマトグラフイ、高速液体クロマトグラフイ、または再結晶などの適当な手法により精製されうる。
【0021】
本明細書に記載のピラゾール化合物は、非芳香族二重結合および1以上の非対称中心を含みうる。よって、当該化合物は、ラセミ化合物およびラセミ混合物、単一のエナンチオマー、単一のジアステレオマー、ジアステレオマー混合物、並びにシス−またはトランス異性体として存在しうる。これらの異性体はすべて本発明に包含される。
【0022】
上述したピラゾール化合物の1つ以上の有効量と、製薬上許容されうる担体とを含有する医薬組成物もまた、本発明の範囲内のものである。さらに、上述の「概要」の欄に記載の疾患を有する患者に、当該ピラゾール化合物の1つ以上の有効量を投与する方法も本発明に含まれる。「有効量」とは、処置された対象に治療効果をもたらすのに必要とされる活性ピラゾールの量を意味する。当業者には理解されるように、有効用量は、処置される疾患のタイプ、投与経路、賦形剤の使用、および他の治療法の併用の可能性に応じて変動しうる。
【0023】
本発明の方法を実施する際には、1以上のピラゾール化合物を含む組成物が、非経口で、経口で、経鼻で、経直腸で、局所に、または舌下に投与されうる。本明細書で用いられる場合、「非経口」との語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、動脈内、滑液嚢内、胸骨内、髄腔内、病巣内、または頭蓋内への注射のほか、適当な任意の注入技術を意味する。
【0024】
注射可能な滅菌組成物は、1,3−ブタンジオールなどの非毒性で非経口に許容されうる希釈剤または溶媒の溶液または懸濁液でありうる。用いられうる許容されうる媒体および溶媒としては、マンニトール、水、リンゲル溶液、および等張塩化ナトリウム溶液が挙げられる。また、溶媒または懸濁媒体として、従来、固定油が用いられている(例えば、合成モノグリセリド類または合成ジグリセリド類)。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸、天然の製薬上許容されうる油脂(例えば、オリーブ油またはヒマシ油、特にそのポリオキシエチレン化された形態)のように、注射液の調製に有用である。これらの油脂の溶液または懸濁液は、長鎖アルコールの希釈剤または分散剤、カルボキシメチルセルロース、または類似の分散剤をも含有しうる。慣用されている他の界面活性剤(例えば、トウィーン(Tween)類もしくはスパン(Span)類)、あるいは、製薬上許容されうる固体、液体または他の剤形の製造に慣用されている他の類似の乳化剤またはバイオアベイラビリティ向上剤もまた、製剤化の目的で用いられうる。
【0025】
経口投与用の組成物は、カプセル、錠剤、エマルションおよび水性懸濁液、分散液、並びに溶液などの任意の経口で許容されうる剤形でありうる。錠剤の場合、慣用の担体としては乳糖およびコーンスターチが挙げられる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、通常、添加される。カプセルの形態での経口投与について、有用な希釈剤としては、乳糖および乾燥コーンスターチが挙げられる。水性の懸濁液またはエマルションを経口投与する場合には、活性成分を、乳化剤または懸濁化剤を含む油相中に懸濁または溶解させればよい。必要であれば、特定の甘味料、矯味剤、または着色料を添加してもよい。
【0026】
医薬の製剤化の分野において周知の技術に従って、経鼻エアロゾルまたは吸入組成物が調製されうる。例えば、かような組成物は、ベンジルアルコールまたは他の適当な保存剤、バイオアベイラビリティを向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボン類、および/または、本技術分野において公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を用いて、生理食塩水中の溶液として調製されうる。
【0027】
また、活性ピラゾール化合物の1つ以上を含む組成物は、直腸投与の目的で坐薬の形態で投与されてもよい。
【0028】
医薬組成物中の担体は、組成物の活性成分と適合し(好ましくは、当該活性成分を安定化させ)、かつ、処置される対象に対して有害でないという意味で「許容されうる」ものでなくてはならない。且以上の感動が、油性ピラゾール化合物の輸送の目的で医薬賦形剤として用いられうる。他の担体の例としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、ラウリル硫酸ナトリウム、およびD&Cイエロー♯10が挙げられる。
【0029】
上述したピラゾール化合物については、予め、インビトロアッセイによって上述した疾患の治療における有効性をスクリーニングし、次いで、動物実験および臨床試験によってこれを確認してもよい。他の手法については、当業者に自明であろう。
【0030】
以下の具体的な実施例は、単に例示のためのものであって、開示された以外の部分をいかようにも制限するものではないと解釈されるべきである。当業者であれば、さらなる努力を必要とすることなく、本明細書の記載に基づき、本発明をその最も広い範囲で利用可能であると考えられる。本明細書で引用したすべての文献は参照によりその全体が引用される。
【0031】
本発明の化合物の例を、4つのクラスに分けて以下に示す。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
化学合成
化合物7を例として挙げて、化合物7〜16を合成する手順を以下のスキーム1に示す。また、化合物17を例として挙げて、化合物17〜32を合成する手順を以下のスキーム2に示す。
【0035】
【化2】

【0036】
【化3】

【0037】
中間体1a〜1dは、市販されているか、または公知の手法に従って調製可能である。中間体2a〜2d、3a〜3d、4a、4b、および5a〜5dの合成は、以下の1.1〜1.14に記載されている。化合物7〜16の化合物は、以下の1.15〜1.24に記載されている。化合物17〜32については、以下の2.1〜2.16に記載されている。
【実施例】
【0038】
1.1 エチル2,4−ジオキソ−4−(セレノフェン−2−イル)−ブタノエートのリチウム塩(2a)
【0039】
【化4】

【0040】
リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(20.3mL、20.35ミリモル)のジエチルエーテル(40mL)溶液をマグネティックスターラで撹拌したものに、−78℃にて、1−(セレノフェン−2−イル)エタノン(1a;3.2g、18.49ミリモル)のジエチルエーテル溶液(15mL)を添加した。同じ温度でさらに45分間撹拌した後、この混合物に、シュウ酸ジエチル(3.0mL、22.19ミリモル)を添加した。この反応混合物を室温まで温め、16時間撹拌した。沈殿物を濾過し、ジエチルエーテルを用いて洗浄し、減圧下で乾燥して、リチウム塩2a(3.5g、68%)を得た。
【0041】
1.2 エチル3−メチル−2,4−ジオキソ−4−(5−クロロチオフェン−2−イル)−ブタノエートのリチウム塩(2b)
【0042】
【化5】

【0043】
1.1に記載の手法に従って、1−(5−クロロチオフェン−2−イル)−プロパン−1−オン(1b)(3.0g、21.39ミリモル)とシュウ酸ジエチル(3.5mL、25.66ミリモル)とから化合物2bを収率65%(3.2g)で合成した。
【0044】
1.3 エチル2,4−ジオキソ−3−メチル−4−(4−クロロフェニル)−ブタノエートのリチウム塩(2c)
【0045】
【化6】

【0046】
1.1に記載の手法に従って、1−(4−クロロフェニル)−プロパン−1−オン(1c)(12.4g、73.80ミリモル)とシュウ酸ジエチル(12mL、89.16ミリモル)とから化合物2cを収率65%(13.2g)で合成した。
【0047】
1.4 エチル2,4−ジオキソ−3−メチル−4−チオフェン−2−イル−ブタノエートのリチウム塩(2d)
【0048】
【化7】

【0049】
1.1に記載の手法に従って、1−(チオフェン−2−イル)−プロパン−1−オン(1d)(2.6g、18.49ミリモル)とシュウ酸ジエチル(3.0mL、22.19ミリモル)とから化合物2dを収率65%(2.8g)で合成した。
【0050】
1.5 1−(2,4−ジクロロフェニル)−5−セレノフェン−2−イル−1H−ピラゾール−3−カルポン酸エチルエステル(3a)
【0051】
【化8】

【0052】
リチウム塩2a(3.5g、12.56ミリモル)のエタノール(40mL)溶液をマグネティックスターラで撹拌したものに、室温にて、2,4−ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩(2.9g、13.82ミリモル)を一度に添加した。得られた混合物を室温にて20時間撹拌した。沈殿物を濾過し、エタノールおよびジエチルエーテルで洗浄し、次いで減圧下で乾燥して、薄黄色の固体(4.0g、74%)を得た。この固体を酢酸(30mL)に溶解させ、還流下で24時間加熱した。この反応混合物を氷水中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。抽出液を合わせ、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、およびブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、エバポレーションした。n−ヘキサン/酢酸エチル(9:1)を用いたシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィにより精製して、エステル3a(3.0g、78%)を白色固体として得た。
【0053】
1.6 5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルポン酸エチルエステル(3b)
【0054】
【化9】

【0055】
1.5に記載の手法と同様にして、リチウム塩2b(3.2g、12.94ミリモル)および2,4−ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩(3.0g、14.23ミリモル)から、化合物3bを白色固体として収率52%(2.7g)で合成した。
【0056】
1.7 5−(4−クロロ−フェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(3c)
【0057】
【化10】

【0058】
1.5に記載の手法と同様にして、リチウム塩2c(13.2g、48.18ミリモル)および2,4−ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩(11.3g、52.99ミリモル)から、化合物3cを白色固体として収率50%(10.8g)で合成した。
【0059】
1.8 l−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−メチル−5−チオフェン−2−イル−1H−ビラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(3d)
【0060】
【化11】

【0061】
1.5に記載の手法と同様にして、リチウム塩2d(2.8g、11.37ミリモル)および2,4−ジクロロフェニルヒドラジン塩酸塩(2.6g、12.50ミリモル)から、化合物3dを白色固体として収率50%(10.8g)で合成した。
【0062】
1.9 4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−1-H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(4a)
【0063】
【化12】

【0064】
3a(1.0g、2.41ミリモル)のアセトニトリル溶液をマグネティックスターラで撹拌したものに、0℃にて、NBS(1.9g、7.23ミリモル)を小分けして添加した。得られた混合物を室温にて48時間撹拌した。沈殿物を濾過し、飽和硫酸ナトリウム水溶液、冷水で洗浄し、減圧下で乾燥して、化合物4a(1.9g、92%)を白色固体として得た。
【0065】
1.10 5−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(4b)
【0066】
【化13】

【0067】
1.9に記載の手法と同様にして、化合物3d(300mg、0.78ミリモル)およびNBS(277mg、1.56ミリモル)から、化合物4bを白色固体として収率93%(333mg)で合成した。
【0068】
1.11 4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(5a)
【0069】
【化14】

【0070】
4a(1.5g、3.62ミリモル)のメタノール(15mL)溶液をマグネティックスターラで撹拌したものに、水酸化カリウム(407mg、7.24ミリモル)のメタノール(7mL)溶液を添加した。この混合物を還流下で3時間加熱した。反応混合物を冷却し、水中に注ぎ、10%塩酸で酸性とした。沈殿物を濾過し、水で洗浄し、減圧下で乾燥して、対応する酸5a(1.3g、95%)を白色固体として得た。
【0071】
1.12 5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(5b)
【0072】
【化15】

【0073】
1.11に記載の手法と同様にして、エステル3b(1.0g、2.40ミリモル)から、化合物5bを白色固体として収率95%(882mg)で合成した。
【0074】
1.13 5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸(5c)
【0075】
【化16】

【0076】
1.11に記載の手法と同様にして、エステル3c(6.2g、15.07ミリモル)から、化合物5cを白色固体として収率97%(5.6g)で合成した。
【0077】
1.14 5−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(5d)
【0078】
【化17】

【0079】
1.11に記載の手法と同様にして、エステル4b(330mg、0.71ミリモル)から、化合物5dを由色固体として収率95%(294mg)で合成した。
【0080】
1.15 1−[4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル]−3−ピロリジン−1−イル−プロパン−1,3−ジオン(7)
【0081】
【化18】

【0082】
酸5a(60mg、0.11ミリモル)および塩化チオニル(0.1mL、1.36ミリモル)のトルエン(5mL)溶液を、3時間還流した。減圧下で溶媒を蒸発させて、粗カルポン酸塩化物(56mg、90%)を淡色固体として得た。1−ピロリジン−1−イル−エタノン(25mg、0.22ミリモル)のTHF溶液に、−78℃にて、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.3mL、0.3ミリモル)を添加した。同じ温度で、この混合物をさらに50分間撹拌した後、当該混合物に上記の粗カルボン酸塩化物を添加し、2時間撹拌を続けた。水で反応を停止させ、水層を分離して酢酸エチル(2×10mL)で抽出した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、エバポレーションした。粗生成物をn−ヘキサン/酢酸エチル(2:1)を用いたシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィにかけることにより、カルボキサミド7(39mg、55%)を白色固体として得た。-H−NMR(CDC1,ppm):7.54(brs,1H),7.50(brs,1H),7.41−7.39(m,2H),7.16(d,1H),6.98(d,1H),6.05(s,1H),3.59−3.46(m,4H),2.02−1.85(m,4H),1.33−1.25(m,2H),ESMS637.8(M+1)。
【0083】
1.16 1−[4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル]−3−ピペリジン−1−イル−プロパン−1,3−ジオン(8)
【0084】
【化19】

【0085】
1.15に記載の手法と同様にして、粗1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸塩化物(60mg、0.11ミリモル)を1−ピペリジン−1−イル−エタノン(30mg、0.23ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.3mL、0.27ミリモル)で処理して、化合物8(25mg、36%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):7.55(brs,1H),7.43−7.38(m,2H),7.17(d,1H),6.98(d,1H),6.21(s,1H),4.16(s,2H),3・58(t,2H),3.37(t,2H),1.72−1.50(m,4H),1.30−1.21(m,2H);ESMS651.8(M+1)。
【0086】
1.17 3−[4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル]−N,N−ジエチル−3−オキソ−プロピオンアミド(9)
【0087】
【化20】

【0088】
1.15に記載の手法と同様にして、粗1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸塩化物(60mg、0.11ミリモル)をN,N−ジエチルアセトアミド(25mg、0.22ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.3mL、0.3ミリモル)で処理して、化合物9(30mg、43%)を由色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):7.54−7.50(m,1H),7.43−7.39(m,2H),7.16(d,1H),6.99−6.97(m,1H),6.15(s,1H),3.48−3.28(m,4H),1.28−1.11(m,6H),ESMS639.7(M+1)。
【0089】
1.18 3−[4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−イル]−N,N−ジイソブチル−3−オキソ−プロビオンアミド(10)
【0090】
【化21】

【0091】
1.15に記載の手法と同様にして、粗1一(2,4−ジクロロフェニル)−4−ブロモ−5−(5−ブロモセレノフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボン酸塩化物(60mg、0.11ミリモル)をN,N−ジイソブチルアセトアミド(31mg、0.22ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.3mL、0.3ミリモル)で処理して、化合物10(45mg、61%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):7.46(brs,1H),7.32(brs,2H),7.09(d,1H),6.91(d,1H),6.15(b,1H),3.20−3.04(m,4H),1.98−1.94(m,2H),0.91−0.70(m,12H),ESMS695.8(M+1)。
【0092】
1.19 1−[5−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−イル]−3−ピロリジン−1−イル−プロパン−1,3−ジオン(11)
【0093】
【化22】

【0094】
1.15に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロ−チオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸塩化物(100mg、0.26ミリモル)を1−ピロリジン−1−イル−エタノン(59mg、0.52ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.7mL、0.7ミリモル)で処理して、化合物11(44mg、35%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):7.51(brs,1H),7.47(m,2H),6.82(d,1H),6.66(d,1H),5.84(s,1H),4.11(s,2H),2.43−3.47(m,4H),2.41(s,3H),2.38(s,3H),2,00−1.85(m,4H);ESMS482.1(M+1)。
【0095】
1.20 1−[5−(5一クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−イル]−3−ピペリジン−1−イル−プロパン−1,3−ジオン(12)
【0096】
【化23】

【0097】
1.15に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロ−フェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸塩化物(100mg、0.26ミリモル)を1−ピペリジン−1−イル−エタノン(66mg、0.52ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.7mL、0.7ミリモル)で処理して、化合物12(53mg、41%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):7.51−7.50(m,1H),7.36−7.34(m,2H),6.81(d,1H),6.65(d,1H),6.04(s,1H),4.18(s,2H),3.61−3.58(m,2H),3.40−3.71(m,2H),2.41(s,3H),2.39(s,3H),1.63−1.57(m,4H),1.28−1.26(m,2H),ESMS496.1(M+1)。
【0098】
1.21 1−アゼパン−1−イル−3−[5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−イル]−プロパン−1,3−ジオン(13)
【0099】
【化24】

【0100】
1.15に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸塩化物(100mg、0.25ミリモル)を1−アゼパン−1−イル−エタノン(53μL、0.50ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.55mL、0.55ミリモル)で処理して、化合物13(104.6mg、82%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):7.46(brs,1H),7.40−7.26(m,2H),6.77(d,1H),6.62(d,1H),4.20−4.02(m,2H),3.51(t,2H),3.41(t,2H),2.38(s,3H),1.80−1.60(m,4H),1.60−1.40(m,4H);ESMS510.1(M+1)。
【0101】
1.22 3−[5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−イル]−N,N−ジイソプチル−3−オキソ−プロピオンアミド(14)
【0102】
【化25】

【0103】
1.15に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸塩化物(100mg、0.25ミリモル)をN,N−ジイソブチル−アセトアミド(55.0μL、0.50ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.55mL、0.55ミリモル)で処理して、化合物14(113.7mg、84%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):7.49(brs,1H),7.40−7.26(m,2H),6.80(d,1H),6.64(d,1H),4.20−4.02(m,2H),3.20(d,2H),3.09(d,2H),2.41(s,3H),2.05−1.94(m,2H),0,88(d,3H),0.88(d,3H);ESMS540.1(M+1)。
【0104】
1.23 N,N−ジアリル−3−[5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−イル]−3−オキソ−プロピオンアミド(15)
【0105】
【化26】

【0106】
1.15に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸塩化物(100mg、0.25ミリモル)をN,N−ジアリル−アセトアミド(52.0μL、0.50ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.55mL、0.55ミリモル)で処理して、化合物15(99.1mg、78%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):7.50(brs,1H),7.40−7.28(m,2H),6,82(d,1H),6.65(d,1H),5.90−5.70(m,2H),5.30−5.10(m,4H),4.20−4.10(m,2H),4.02(d,2H),3.92(d,2H),2.41(s,3H);ESMS508.0(M+1)。
【0107】
1.24 1−[5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−イル]−2−メチル−3−ピロリジン−1−イル−プロパン−1,3−ジオン(16)
【0108】
【化27】

【0109】
NaH(8.3mg、0.2ミリモル)のエタノール(2mL)溶液に、化合物11(20mg)のエタノール(2mL)溶液を滴下により添加した。反応混合物を室温にて撹拌した。1時間後、CH--I(0.1mL、1.6ミリモル)を添加して、化合物16(10mg、49%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):7.45(d,1H),7.30−7.14(m,2H),6.74(d,1H),6.56(d,1H),4.67−4.46(m,1H),3.68−3.56(m,1H),3.46−3.32(m,2H),2.33(s,3H),1.88−1.61(m,3H),1.36(d,1H);ESMS496.1(M+1)。
【0110】
2.1 N−(シクロヘキサンカルボニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(4−クロロフェニル)−1H−ビラゾール−3−カルボキサミド(17)
【0111】
【化28】

【0112】
酸5c(80mg、0.21ミリモル)および塩化チオニル(0.88mL、1.2ミリモル)のトルエン(5mL)溶液を、3時間還流した。減圧下で溶媒を蒸発させて、粗カルボン酸塩化物(56mg、90%)を淡色固体として得た。シクロヘキサンカルボキサミド(0.06g、0.44ミリモル)のTHF(3mL)溶液に、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.48mL、0.53ミリモル)を−78℃にて添加した。この混合物を同じ温度でさらに50分間撹拌した後、当該混合物に上述したカルボン酸塩化物のTHF(5mL)溶液を滴下により添加した。この反応混合物を−10℃まで温め、さらに2時間撹拌した。水で反応を停止させ、酢酸エチル(3×15mL)を用いた抽出に供した。抽出液を合わせてブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、エバポレーションした。n−ヘキサン/酢酸エチル(4:1)を用いたシリカゲルでのフラッシュカラムクロマトグラフィにかけることにより、カルボキサミド17(99mg、収率97%)を白色固体として得た。9.33(brs,1H),7.44(d,1H),7.34−7.25(m,4H),7.08(d,2H),3.28−3.21(m,1H),2.38(s,3H),2.01(d,2H),1.83(d,2H),1.73(d,1H),1,54−1.32(m,5H);ESMS512.2(M+23)。
【0113】
2.2 N−(ピペリジン−1−カルポニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(18)
【0114】
【化29】

【0115】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(104mg、0.26ミリモル)を1−ピペリジンカルボキサミド(74mg、0.58ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.64mL、0.70ミリモル)で処理して、化合物18(134mg、98%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl、ppm):8.60(br,1H),7.42(s,1H),7.32−7.26(m,4H),7.08(d,2H),3.58−3.42(m,4H),2.35(s,3H),1.72−1.58(m,6H);ESMS491.2(M+1)。
【0116】
2.3 N−(4−クロロベンゾイル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(4一クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(19)
【0117】
【化30】

【0118】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(55mg、0.12ミリモル)を4−クロロベンズアミド(47mg、0.30ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.34mL、0.37ミリモル)で処理して、化合物19(71mg、95%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):10.10(br,1H),7.84(d,2H),7.50−7.42(m,3H),7.38−7.28(m,4H),7.10(d,2H),2.39(s,3H);ESMS491.2(M+1)。
【0119】
2.4 N−(2,2−ジメチルプロピオニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5一(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(20)
【0120】
【化31】

【0121】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(55mg、0.12ミリモル)をトリメチルアセトアミド(31mg、0.30ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.34mL、0.37ミリモル)で処理して、化合物20(68mg、99%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):9.81(br,1H),7.46(d,1H),7.34−7.25(m,4H),7.08(d,2H),2.37(s,3H),1.29(s,9H);ESMS464.0(M+1)。
【0122】
2.5 N−(ヘキサノイル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(21)
【0123】
【化32】

【0124】
2.1に記載の手接と同様にして、粗5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(55mg、0.12ミリモル)をヘキサノアミド(35mg、0.30ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.34mL、0.37ミリモル)で処理して、化合物21(33mg、48%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):9.36(brs,1H),7.45(d,1H),7.35−7.24(m,4H),7.08(d,2H),2.96(t,2H),2.37(s,3H),1.78−1.65(m,2H),1.45−1.31(m,4H),0.91(t,2H);ESMS478.0(M+1)。
【0125】
2.6 N−(シクロプロパンカルボニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(22)
【0126】
【化33】

【0127】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(55mg、0.12ミリモル)をシクロプロパンカルボキサミド(33mg、0.39ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.42mL、0.46ミリモル)で処理して、化合物22(57mg、96%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):9.43(brs,1H),7.44(d,1H),7.34−7.26(m,4H),7.09(d,2H),3.03−2.97(m,1H),2.39(s,3H),1.23−1.18(m,2H),1.05−0.94(m,2H);ESMS470.0(M+23)。
【0128】
2,7 N−(4−メチルベンゾイル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(23)
【0129】
【化34】

【0130】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(55mg、0.12ミリモル)をp−トルアミド(53mg、0.39ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.42mL、0.46ミリモル)で処理して、化合物23(62mg、94%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):10.15(br,1H),7.80(d,2H),7.46(s,1H),7.38−7.23(m,6H),7.10(d,2H),2.40(s,3H),2.40(s,3H);ESMS520.0(M+23)。
【0131】
2.8 N−(シクロヘキサンカルボニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(5−クロロクロロチオフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(24)
【0132】
【化35】

【0133】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(57mg、0.14ミリモル)をシクロヘキサンカルボキサミド(38mg、0.30ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.34mL、0.37ミリモル)で処理して、化合物24(68mg、96%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):9.29(br,1H),7.52(d,1H),7.40−7.27(m,2H),6.84(d,1H),6.69(d,1H),3.26−3.18(m,1H),2.47(s,3H),2.00(d,2H),1.83(d,2H),1.72(d,1H),1.54−1.19(m,5H);ESMS518.0(M+23)。
【0134】
2.9 N−(ピペリジン−1−カルボニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(25)
【0135】
【化36】

【0136】
2.lに記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(57mg、0.14ミリモル)を1−ピペリジンカルボキサミド(38mg、0.30ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.34mL、0.37ミリモル)で処理して、化合物25(66mg、94%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):8.47(brs,1H),7.51(d,1H),7.40−7.26(m,2H),6.83(d,1H),6.69(d,1H),3.58−3.42(m,4H),2.45(s,3H),1.69−1.56(m,6H);ESMS497.3(M+1)。
【0137】
2.10 N−(4一クロロベンゾイル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(26)
【0138】
【化37】

【0139】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(57mg、0.14ミリモル)を4−クロロベンズアミド(47mg、0.30ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.34mL、0.37ミリモ
ル)で処理して、化合物26(68mg、99%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):10.05(brs,1H),7,82(d,2H),7.54(d,1H),7.47−7.35(m,4H),6.85(d,1H),6,72(d,1H),2.48(s,3H);ESMS546.0(M+23)。
【0140】
2.11 N−(2,2−ジメチルプロピオニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(27)
【0141】
【化38】

【0142】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(62mg、0.15ミリモル)をトリメチルアセトアミド(33mg、0.33ミリ
モル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.36mL、0.39ミリモル)で処理して、化合物27(73mg、99%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):9.76(brs,1H),7.53(d,1H),7.41−7.32(m,2H),6.84(d,1H),6.69(d,1H),2.46(s,3H),1.26(s,9H);ESMS470.0(M+1)。
【0143】
2.12 N−(ヘキサノイル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(28)
【0144】
【化39】

【0145】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(5−クロロチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(62mg、0.15ミリモル)をヘキサノアミド(38mg、0,33ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.36mL、0.39ミリモル)で処理して、化合物28(63mg、85%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):9.32(brs,1H),7.52(d,1H),7.39−7.30(m,2H),6.84(d,1H),6.69(d,1H),2.94(t,2H),2.46(s,3H),1.77−1.67(m,2H),1.43−1.30(m,4H),0.91(t,2H);ESMS506.0(M+23)。
【0146】
2.13 N−(シクロヘキサンカルボニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(29)
【0147】
【化40】

【0148】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(62mg、0.15ミリモル)をシクロヘキサンカルボキサミド(37mg、0.29ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.32mL、0.35ミリモル)で処理して、化合物29(65mg、88%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):9.28(brs,1H),7.52(d,1H),7.40−7.25(m,2H),6.97(d,1H),6.66(d,1H),3.27−3.15(m,1H),2.47(s,3H),1.99(d,2H),1.83(d,2H),1.73(d,1H),1.55−1.20(m,5H);ESMS540.1(M+1)。
【0149】
2.14 N−(シクロプロパンカルボニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(30)
【0150】
【化41】

【0151】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(62mg、0.15ミリモル)をシクロプロパンカルボキサミド(25mg、0.29ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.32mL、0.35ミリモル)で処理して、化合物30(66mg、97%)を白色固体として得た。H−NMR(CDCl,ppm):9.39(br,1H),7.52(d,1H),7.40−7.25(m,2H),6.98(d,1H),6.67(d,1H),3.05−2.92(m,1H),2.48(s,3H),1.24−1.15(m,2H),1.07−0.95(m,2H);ESMS498.0(M+1)。
【0152】
2.15 N−(2−ジメチルアミノ−2−メチルプロピオニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(4−クロロフェニル)−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド(31)
【0153】
【化42】

【0154】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(60mg、0.15ミリモル)を2−ジメチルアミノ−2−メチルプロピオアミド(63mg、0.49ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.53mL、0.58ミリモル)で処理して、化合物31(59mg、80%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):11.37(br,1H),7.46(d,1H),7,35−7.21(m,4H),7.070(d,2H),2.38(s,3H),2.23(s,6H),1.24(s,6H);ESMS493.1(M+1)。
【0155】
2.16 N−[2−(エチルメチルアミノ)−2−メチルプロピオニル]−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−5−(4−クロロフェニル)−lH−ピラゾール−3−カルボキサミド(32)
【0156】
【化43】

【0157】
2.1に記載の手法と同様にして、粗5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボニルクロリド(55mg、0.12ミリモル)を2−(エチルメチルアミノ)−2−メチルプロピオンアミド(56mg、0.39ミリモル)およびリチウムビス(トリメチルシリル)アミド(0.42mL、0.46ミリモル)で処理して、化合物32(46mg、75%)を白色固体として得た。H−NMR(CDC1,ppm):11.46(brs,1H),7.45(d,1H),7.33−7.24(m,4H),7.09(d,2H),2.38(s,3H),2.33(q,2H),2.20(s,3H),1.25(s,6H),1.07(t,3H);ESMS530.0(M+23)。
【0158】
生物学的アッセイ
CB1受容体およびCB2受容体に対する、本発明の試験化合物の親和性を、インビトロでの競合的放射性リガンドアッセイにより評価した。この方法では、受容体特異的な放射性リガンドを置換する能力によって化合物間の結合強度を区別する。放射性リガンドよりも高い親和性を有する化合物は当該リガンドを置換して受容体に結合するのに対し、親和性を有しないか当該放射性リガンドよりも低い親和性しか有しない化合物は、リガンドを置換せず受容体にも結合しない。残存した放射能を測定することで、受容体結合をさらに分析することが可能となり、試験化合物の薬理活性を予測する助けとなる。
【0159】
上述したアッセイにおいて、CB1受容体はラット脳またはCB1安定発現細胞株由来であり、CB2受容体はラット脾臓またはCB2安定発現細胞株由来である。体重175〜200gの雄のSDラットを用い、食餌および水を随時摂取可能な標準的な飼育条件下で飼育した。この動物を屠殺し、そこから小脳を除去した脳および脾臓を解剖した。取り出した脳および脾臓の組織をそれぞれ、10体積倍の、プロテアーゼ阻害剤を含む氷冷緩衝液A(50mMトリス、5mM MgC1、2.5mM EDTÅ、pM7.4、10%スクロース)中で、ポリトロンホモジサイザーによりホモジナイズした。得られたホモジネートを、4℃にて15分間、2000×gで遠心分離した。得られた上清を再度、4℃にて30分間、43000×gで遠心分離した。最終ペレットを緩衝液Aに再懸濁させ、−80℃にて貯蔵した。CB1またはCB2安定発現細胞株の膜豊富画分の精製については、培養皿から細胞を掻き取った。ソニケーションした後、同様の遠心分離・貯蔵の手法に従って、膜豊富画分を精製した。精製された膜のタンパク質濃度を、バイオ−ラッド ラボラトリーズ,インコーポレイテッド(ハーキュリーズ、カリフォルニア州)により提供されているマニュアルに記載されているブラッドフォード法により測定した。
【0160】
上述の受容体結合実験では、0.2〜8μgの膜画分を、50mMトリス−塩酸、5mM MgC1、1mM EDTA、0.3%BSA、pH7.4のインキュベーションバッファ中で、0.75nM[H]CP55940および試験化合物とともにインキュベートした。非特異的結合については、1μMのCP55940を用いて測定した。混合物を、マルチスクリーンマイクロプレート(ミリポア、ビルリカ、マサチューセッツ州)中で、30℃にて1.5時間インキュベートした。インキュベーションが終了した時点で、マニホールド濾過により反応を停止させ、氷冷洗浄バッファ(50mMトリス、pH7.4、0.25%BSA)で4回洗浄した。フィルタに結合した放射能については、トップカウント(パーキン エルマー インコーポレイテッド)により測定した。[H]CP55940の結合を50%阻害するのに必要な試験化合物の濃度に基づき、IC50値を算出した。
【0161】
DELFIA GTP結合キット(パーキン エルマー インコーポレイテッド、ボス
トン、マサチューセッツ州)により、各試験化合物の薬効を測定した。このDELFIA GTP結合アッセイは、Gタンパク質サブユニット上でのGDP−GTP交換とそれに続くアゴニストによるGタンパク質共役受容体の活性化に基づく時間分解蛍光アッセイである。本アッセイでは、Gタンパク質のアゴニスト依存的な活性化をモニタリングできるようにする目的で、Eu−GTPを用いた。なお、CP55940によってCB1受容体が刺激されると、Gタンパク質のαサブユニット上のGDPがGTPにより置換される。生成するGTP−Gα複合体は、Gタンパク質の活性体に相当する。GTPの加水分解されない類似体であるEu−GTPは、活性化Gタンパク質の量を定量するのに用いられうる(Peltonen et al.,Eur. J. Pharmacol.(1998)355:275)。
【0162】
ヒトCB1発現HEK293細胞の細胞膜をアッセイバッファ(50mM HEPES、pH7.4、100mM NaCl、100μg/mLサポニン、5mM MgC1、2μM GDP、0.5%BSA)に再懸濁した。膜の一部をアクロプレート(ポール ライフ サイエンセズ、アナーバー、ミシガン州)の各ウェルに添加した。試験化合物(0.1%DMSO中、種々の濃度)およびCP55940(アッセイバッファ中、20nM)を添加した後、アッセイプレートをゆっくり振盪しながら30℃にて60分間、暗所でインキュベートした。各ウェルにEu−GTPを添加し、プレートをさらに35分間、30℃にて暗所でインキュベー卜した。アッセイキットに付属の洗浄液でプレートを4回洗浄することにより、アッセイを終了させた。ビクター2マルチ−ラベルリーダーからの蛍光信号に基づき、Eu−GTPの結合を測定した。各試験化合物のIC50値(すなわち、CP55940により刺激されたEu−GTP結合の50%阻害)を、非線形回帰を用いた濃度−応答曲線により算出した(プリズム;グラフパッド、サン ディェゴ、カリフォルニア州)。
【0163】
試験化合物7〜32のすべてが、CB1受容体結合アッセイおよび/またはCB2受容体結合アッセイにおいて0.1nM〜30μMの1C50値を示した。Eu−GTP結合アッセイについても行なったが、その結果は上述した放射性リガンド結合アッセイにより得られたものと同程度であった。
【0164】
他の実施形態
本明細書に開示された全ての特徴は、任意の組み合わせで組み合されうる。本明細書に開示されたそれぞれの特徴は、同一の、等価な、または類似の目的に資する他の特徴により置換されうる。よって、そうでないと明記しない限り、開示されたそれぞれの特徴は、等価な、または類似の上位概念の一連の特徴の例示にすぎない。
【0165】
上述の記載から、当業者は、本発明の本質的な特徴を容易に把握することができ、その思想および範囲から逸脱することなく、本発明を種々の用途および条件に適合させる目的で種々の変更および修飾を加えることが可能である。よって、他の実施形態もまた、後述する特許請求の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】

式中、
Xは、C(R)またはN(R)(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)であり;
は、H、ハロゲン、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルケニル、C−C20ヘテロシクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、またはNR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)であり;そして、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、ハロゲン、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルケニル、C−C20ヘテロシクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールである。
【請求項2】
XがCHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
がC−C20ヘテロシクロアルキルまたはNR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)である、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
XがNHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、またはアリールである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
がハロゲン置換されたアリールである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
が2,4−ジクロロフェニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がハロゲン置換されたアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
が2,4−ジクロロフェニルである、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
がアリールまたはヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項11】
がC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはNR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)である、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
がハロゲンまたはC−C10アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
式(I)の化合物:
【化2】

式中、
Xは、C(R)またはN(R)(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)であり;
は、H、ハロゲン、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルケニル、C−C20ヘテロシクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、ヘテロアリール、またはNR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)であり;そして、
、R、およびRはそれぞれ独立して、H、ハロゲン、C−C10アルキル、C−C10アルケニル、C−C10アルキニル、C−C20シクロアルキル、C−C20シクロアルケニル、C−C20ヘテロシクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールである。
の有効量を、必要とする対象に投与することを含む、カンナビノイド受容体媒介性障害の治療方法。
【請求項14】
XがCHまたはNHである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
がC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはNR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
がハロゲン置換されたアリールである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
が2,4−ジクロロフェニルである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
が2,4−ジクロロフェニルである、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
がアリールまたはヘテロアリールである、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
がC−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはNR(ここで、RおよびRはそれぞれ独立して、H、C−C10アルキル、C−C20シクロアルキル、C−C20ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである)である、請求項13に記載の方法。
【請求項21】
がハロゲンまたはC−C10アルキルである、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記カンナビノイド受容体媒介性障害が、肝線維症、肥満、メタボリックシンドローム、脂質異常症、2型糖尿病、アテローム性動脈硬化症、薬物依存症、抑うつ、意欲欠如症、学習・記憶機能障害、鎮痛、出血性ショック、虚血、肝硬変、神経因性疼痛、悪心・嘔吐対策、高眼圧、気管支拡張、骨粗鬆症、癌、神経変性疾患、または炎症性疾患である、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記カンナビノイド受容体媒介性障害が、肥満、メタボリックシンドローム、薬物依存症、神経因性疼痛、または炎症性疾患である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記カンナビノイド受容体媒介性障害が癌である、請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記癌が、前立腺癌、肺癌、乳癌、または頭頸部癌である、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2010−505867(P2010−505867A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−531560(P2009−531560)
【出願日】平成19年10月2日(2007.10.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/080199
【国際公開番号】WO2008/060771
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(509093370)ナショナル ヘルス リサーチ インスティテューツ (6)
【Fターム(参考)】