説明

ファクシミリアダプタ

【課題】ファクシミリ装置から送信された相手先の電話番号を自動的に誤った相手であることを検出しつつ、操作者にも誤送信を確認させることにより、より精度の高い誤送信の防止を図ることができるファクシミリアダプタを提供する。
【解決手段】このファクシミリアダプタ10は、ファクシミリ装置Fから電話回線網PSTNへ発信された電話番号を監視して相手先の電話番号を検出するDTMF検出部13と、許可番号が格納されている記憶部17と、電話回線を電気的に切断するスイッチ部12と、電話番号検出部が検出した相手先の電話番号を表示パネル部14に表示し、スピーカ16bから音声にて報知すると共に、相手先の電話番号と許可番号とを比較して一致しないときにスイッチ部12に電話回線の切断を指示する制御部19とを備えている。また、制御部19は、操作ボタン16の押下を検出したときにも、スイッチ部12に電話回線の切断を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファクシミリ装置と電話回線網との間に接続され、ファクシミリ装置からの誤送信を防止することができるファクシミリアダプタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
相手先を誤ってファクシミリを送ると、ファクシミリの内容によっては大きな問題となる。また、ファクシミリの内容に問題がなくても、相手先に迷惑がかかる。ファクシミリの誤送信を防止する技術に関しては、例えば、特許文献1に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1には、メモリ部に蓄積されたファクシミリ装置からの相手先番号と、ファックス番号が記録されているバーコードで読み取った相手先番号とを照合し、照合結果が異なった場合に、ファクシミリからの送信を停止させるファクシミリ誤送信防止アダプタ及びその方法が記載されている。また、この特許文献1では、メモリ部へのダイヤル番号の蓄積を行わずに回線側にスルーをさせたままダイヤル番号を認識し、バーコードデータと異なっていたと判定した場合に、回線の接続を一時的に切断すればよいことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−28565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載の従来のファクシミリアダプタでは、相手先の電話番号をバーコードにて読み取っているため、読み取り操作を行う必要があり煩雑である。また、ファクシミリ装置から誤った相手先の電話番号をダイヤルし、誤った相手先のバーコードを読み込ませるおそれもあり、その場合には、相手先の電話番号が一致してしまうため、誤送信となってしまう。誤送信の防止は全てが自動的に行われればよいが、誤った情報の全てが一致してしまうと相手先にファクシミリが送信されてしまう。
【0006】
そこで本発明は、ファクシミリ装置から送信された相手先の電話番号を自動的に誤った相手であることを検出しつつ、操作者にも誤送信を確認させることにより、より精度の高い誤送信の防止を図ることができるファクシミリアダプタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ファクシミリを送信するファクシミリ装置と、電話回線網との間に接続されるファクシミリアダプタにおいて、前記ファクシミリ装置からの電話回線上の電話番号を監視してファクシミリの相手先の電話番号を検出する電話番号検出部と、許可する相手先の電話番号が許可番号として格納される記憶部と、前記電話回線を電気的に切断するスイッチ部と、前記電話番号検出部が検出した相手先の電話番号を表示または音声にて報知すると共に、当該相手先の電話番号と前記記憶部に格納された許可番号とを比較して一致しないとき、または操作ボタンの押下を検出したときに前記スイッチ部に前記電話回線の切断を指示する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明のファクシミリアダプタは、電話番号検出部がファクシミリの相手先の電話番号を検出すると、制御部が、その相手先の電話番号を表示または音声にて報知すると共に、記憶部に格納された許可番号を読みだして、相手先の電話番号と比較する。そして一致しないときに、スイッチ部に電話回線を電気的に切断するように指示する。また、相手先の電話番号を表示または音声にて報知することにより操作者が誤りに気が付き、操作ボタンを押下すると、制御部が、操作ボタンの押下を検出することで、スイッチ部に電話回線の切断を指示する。そうすることで、許可番号でない相手先であれば誤送信が自動的に検出され、送信を中止することができる。また、登録していた相手先であっても、相手先を取り違えていた場合には、相手先の電話番号を表示または音声にて操作者に報知するため、誤送信を認識させることができる。
【0009】
前記制御部は、前記電話番号検出部が相手先の電話番号を検出する前に、前記操作ボタンが押下されたことを検出したときに、前記記憶部に格納された許可番号との比較をしないのが望ましい。
許可番号として登録されていない相手先でも、ファクシミリを送信したい場合がある。その場合に、電話番号検出部により相手先の電話番号が検出される前であれば、操作者が操作ボタンを押下することで、制御部は記憶部に格納された許可番号との比較をしないので、任意の相手先にファクシミリを送信することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のファクシミリアダプタによれば、許可番号でない相手先であれば誤送信を自動的に検出して送信を中止することができ、相手先が登録されていても、相手先を取り違えていた場合には、相手先の電話番号を表示または音声にて操作者に報知するため、誤送信を認識させることができるので、ファクシミリ装置から送信された相手先の電話番号を自動的に誤った相手であることを検出しつつ、操作者にも誤送信を確認させることができる。従って、本発明のファクシミリアダプタは、より精度の高い誤送信の防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施の形態に係るファクシミリアダプタの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示すファクシミリアダプタの記憶部に格納される相手先の名称と許可番号を示す図である。
【図3】図1に示すファクシミリアダプタの動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態に係るファクシミリアダプタを図面に基づいて説明する。
図1に示すように、ファクシミリアダプタ10は、相手先の電話番号を発信し、ファクシミリを送信するファクシミリ装置Fと、電話回線網PSTN(Public Switched Telephone Networks)との間に接続されている。
ファクシミリアダプタ10は、オンフック/オフフック検出部11と、スイッチ部12と、DTMF検出部13と、LCDパネル部14と、音声再生部15と、操作ボタン16と、記憶部17と、ログ部18と、制御部19とを備えている。
【0013】
オンフック/オフフック検出部11は、ファクシミリ装置Fがオンフックまたはオフフックされたことを検出して、制御部19へ通知するものである。
スイッチ部12は、制御部19からの指示により、電話回線を電気的に切断する機能を備えている。スイッチ部12は、例えば、ワイヤである電話線の接続や切り離しを機械的に行うリレーとしたり、電気的に行うサイリスタやソリッドステートリレーなどの半導体リレーとしたりすることができる。
DTMF検出部13は、ファクシミリ装置Fからの電話回線上の電話番号を監視して、ファクシミリの相手先の電話番号を検出する電話番号検出部として機能するものである。DTMF検出部13と電話回線との接続は、DTMF検出部13に内蔵されたフォトカプラを介在させることで電話回線と電気的に分離されている。
【0014】
表示パネル部14は、制御部19からの相手先の電話番号を示す表示データに基づいて表示を行うことにより、相手先の電話番号を操作者に報知するものである。表示パネル部14は、例えば、LCDが使用できる。
音声再生部15は、アンプ部15aとスピーカ15bとから構成されている。制御部19からの相手先の電話番号を示す音声信号に基づいて発声を行うことにより、相手先の電話番号を操作者に報知するものである。
操作ボタン16は、ファクシミリアダプタ10の筐体(図示せず)に配置されたボタンである。操作ボタン16の押下状態や非押下状態は、制御部19から読み取ることができる。
【0015】
記憶部17は、許可する相手先の名称と、この相手先の電話番号である許可番号とが電話帳情報として格納されている。例えば、電話帳情報は、図2に示すようなデータとすることができる。電話帳情報は、記憶部17に予め登録しておく必要がある。こ登録は、3種類の方法により行うことができる。
(1)ファクシミリアダプタ10に通信部(例えば、RS−232CやUSB)を設け、通信ケーブルを介して通信部とパーソナルコンピュータとを接続して、パーソナルコンピュータ上で作成した電話帳情報を記憶部17内に送り込む方法。
(2)ファクシミリアダプタ10にテンキーパッド(番号キー)を設け、電話情報が記載された帳票に基づいて入力すると共に、また入力された電話番号や相手先の名称を表示部14に表示させて確認しながら入力する方法。
(3)パーソナルコンピュータ上で作成した電話帳情報を、可搬型のメモリ媒体に格納しし、そのメモリ媒体をファクシミリアダプタ10に装着することで、メモリ媒体自体を記憶部17として利用する方法。
【0016】
本実施の形態では、(3)の方法を採用している。この場合、メモリ媒体は後述するログ部18としても機能させることができる。そうすることで、メモリ媒体を取り出してパーソナルコンピュータからログデータを読み取れば、ログデータを保存したり参照したり加工したりするのが容易であるため、履歴管理を容易に行うことができる。
メモリ媒体は、例えば、USBメモリとしたり、不揮発性メモリが封入されたメモリカードとしたりすることができる。メモリカードであれば、例えば、SDカードやコンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリースティック(商標)などとすることができる。
ログ部18は、制御部19が処理を行うごとにログデータが記録されるメモリである。
【0017】
制御部19は、記憶部17から許可番号を読み出す機能と、スイッチ部へ電話回線の切断を指示する機能と、表示パネル部14に表示データを出力する機能と、音声再生部15に音声信号を出力する機能と、操作ボタン16の状態を読み取る機能と、ログ部18へログを記録する機能とを備えている。
【0018】
以上のように構成された本発明の実施の形態に係るファクシミリアダプタ10の動作および使用状態について、図3に基づいて説明する。
まず、制御部19は、操作ボタン16が押下されたか否かを判定する(ステップS10)。ファクシミリ装置Fがオフフックする前に操作ボタン16が押下されたことで、相手先のチェックを行わないモードとなる。本実施の形態では、制御部19は、操作ボタン16が2秒間の長押しをされたか否かを判定することで、誤操作の防止を図っている。操作ボタン16の押下が検出された場合には、全てのチェックをバイパスする。
【0019】
次に、制御部19は、オンフック/オフフック検出部11からのファクシミリ装置Fのオフフックの検出の有無を判定する(ステップS20)。ファクシミリ装置Fのオフフックが検出されれば、次に、DTMF検出部13からの相手先の電話番号の最初の番号の検出を待つ(ステップ30)
DTMF検出部13により相手先の電話番号が検出された場合に、制御部19はDTMF検出部13から通知された電話番号の一部となる数字を表示データとして、表示パネル部14に出力する。例えば、検出された相手先の電話番号が、まず「0」であれば「0」を表示する(ステップS40)。
【0020】
次に、制御部19は、DTMF検出部13から通知された電話番号の一部となる数字を音声にて操作者に報知するために、音声再生部15のアンプ部15aへ音声信号を出力することで、スピーカ15bから発声させる。例えば、検出された相手先の電話番号が、まず「0」であれば「ゼロ」と発声する(ステップS50)。
次に、制御部19は、記憶部17から許可する相手先の電話番号である許可番号を読み取り、DTMF検出部13が検出した相手先の電話番号と順次比較する(ステップS60)。
【0021】
そして、制御部19は、ファクシミリ装置Fから発信された電話番号が終了したか、否かを判定する。この判定は、ファクシミリ装置Fからの電話番号の発信が約4秒以内にあるかないかで決定される(ステップS70)。このように電話番号の一桁ずつを、逐次、監視して、表示したり発声したり比較したりすることで、電話番号を記憶部17に蓄積することなく判定することができる。
【0022】
ステップS60にて、順次比較された結果、ファクシミリ装置Fからの相手先の電話番号と、記憶部17に登録された許可番号とに、一致したものがあるか否かを判定する(ステップS80)。
ステップS80の結果が一致であれば、制御部19は、記憶部17から許可番号に対応する相手先の名称を読み出して表示パネル部14に表示する(ステップS90)。ステップS80の結果が一致していなければ、回線を切断するためにステップS110へ移行する。
【0023】
制御部19は、操作ボタン16が押下されたか否かを判定する。これは、表示パネル部14に表示された相手先の電話番号や、スピーカ16bから発声された相手先の電話番号を見たり、聞いたりして、操作者が登録されている相手であっても、間違った相手先にファクシミリを送信しようとしていることに気がついた場合に、操作者が操作ボタン16を押下して制御部19に通知することで、ファクシミリ装置Fの発信を取りやめさせるためのである。
制御部19は、操作ボタン16の押下を検出すると、スイッチ部12に電話回線の切断を指示する。また、ステップS80から移行してきた場合には、許可番号にない相手先へファクシミリを送信しようとしているケースであるため、この場合も、制御部19は、スイッチ部12に電話回線の切断を指示することで、ファクシミリ装置Fの発信を取りやめさせる(ステップS110)。
【0024】
ステップS100にて、操作ボタン16の押下が検出されない場合には、ファクシミリ装置Fが発信するファクシミリの送信相手のことを、操作者は問題ないと判定していると思われるので、そのままファクシミリの送信を継続する。ファクシミリは電話回線網PSTNへ送信される。
次に、制御部19は、通話が完了したか否かを判定する(ステップS120)。通話が完了していなければ、制御部19はステップS100へ移行して、操作ボタン16の監視を行う。
ステップS120にてファクシミリ装置Fによる通信が完了すれば、制御部19は、相手先の電話番号や名称と、終了時間をテキスト形式のログデータとしてログ部18へ記録し、ステップS10へ移行する(ステップS130)。また、ステップS10にて、相手先のチェックを行わないモードと判定された場合にも、終了時間をテキスト形式のログデータとしてログ部18へ記録し、ステップS10へ移行する。このとき、ログデータはCSV形式としてもよい。
【0025】
このように、ファクシミリアダプタ10は、許可番号でない相手先であれば誤送信を自動的に検出するので、送信を中止することができる。また、登録されている相手先であっても、相手先を取り違えていた場合には、相手先の電話番号を表示または音声にて操作者に報知するため、誤送信を認識させることができる。
また、ファクシミリアダプタ10では、DTMF検出部13に内蔵されたフォトカプラを介在させて、電話回線と電気的に分離された状態で、ファクシミリ装置Fからの電話番号を取り込んでいるので、DTMF信号の劣化を最小限に抑えることができる。また、万が一にファクシミリアダプタ10が故障しても電話回線へ影響を与えないようにすることができる。更に、電話番号をファクシミリアダプタ10へ取り込むことなく、ファクシミリの送信を中止させるので、ファクシミリアダプタ内へ取り込みメモリ等に格納することで発生する誤動作を防止することができる。
【0026】
また、ファクシミリ装置Fからファクシミリを送信する前に、操作ボタン16を押下することで、許可番号のチェックを行いわないモードとすることができるので、任意の相手先にファクシミリを送信することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明は、ファクシミリ装置と電話回線網との間に接続されるファクシミリアダプタに好適である。特に、本発明は、誤送信防止機能の付いてないファクシミリ装置に接続するファクシミリアダプタに最適である。
【符号の説明】
【0028】
10 ファクシミリアダプタ
11 オンフック/オフフック検出部
12 スイッチ部
13 DTMF検出部
14 表示パネル部
15 音声再生部
16a アンプ部
16b スピーカ
16 操作ボタン
17 記憶部
18 ログ部
19 制御部
F ファクシミリ装置
PSTN 電話回線網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファクシミリを送信するファクシミリ装置と、電話回線網との間に接続されるファクシミリアダプタにおいて、
前記ファクシミリ装置からの電話回線上の電話番号を監視してファクシミリの相手先の電話番号を検出する電話番号検出部と、
許可する相手先の電話番号が許可番号として格納される記憶部と、
前記電話回線を電気的に切断するスイッチ部と、
前記電話番号検出部が検出した相手先の電話番号を表示または音声にて報知すると共に、当該相手先の電話番号と前記記憶部に格納された許可番号とを比較して一致しないとき、または操作ボタンの押下を検出したときに前記スイッチ部に前記電話回線の切断を指示する制御部とを備えたことを特徴とするファクシミリアダプタ。
【請求項2】
前記制御部は、前記電話番号検出部が相手先の電話番号を検出する前に、前記操作ボタンが押下されたことを検出したときに、前記記憶部に格納された許可番号との比較をしない請求項1記載のファクシミリアダプタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2012−205010(P2012−205010A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66532(P2011−66532)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(510037721)株式会社シーエスイー (1)
【出願人】(508351015)株式会社ソフトアンドハード (3)
【Fターム(参考)】