説明

ファン組立体

【課題】コンパクトで外観がすっきりとしたファン組立体を提供する。
【解決手段】送風を生じさせるファン組立体(10)がスタンド(12)に取り付けられた空気出口(14)を有する。スタンド(12)は、ベース(38,40)と、ベース(38,40)に対して傾動可能な本体(42)と、本体をベース上で保持するインターロック手段(140,142,180,182)と、を有する。インターロック手段は、本体が非傾動位置にあるとき、ベース及び本体の外面によって包囲される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン又は扇風機組立体に関する。特に、本発明は、部屋、オフィス又は他の家庭環境において空気の循環及び送風を生じさせる家庭用ファン、例えば卓上扇風機に関する(なお、本明細書において、ファンと扇風機は、用語として区別なく用いられている)。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用ファンは、典型的には、軸を中心に回転する一組の羽根又は翼と、空気流を生成するために一組の羽根を回転させるための駆動装置とを有する。空気流の動き及び循環は、風速冷却又はそよ風を精製し、その結果、使用者は対流および蒸発によって熱が発散されるので、冷却効果を得られる。
【0003】
かかるファンは、種々の寸法形状で入手できる。例えば、天井ファンは、直径が少なくとも1mの場合があり、通常、天井から吊り下げられた状態で取り付けられていて、下向きの空気流を生じさせ、それにより部屋を冷やすようになっている。他方、卓上ファンは、直径が約30cmの場合が多く、通常は自立型且つ携帯可能である。他形式のファンは、床に取り付け可能であり又は壁に設置できる。米国意匠特許第103,476号明細書及び米国特許第1,767,060号明細書に開示されているファンは、机又はテーブル上に立てて置くのに適している。
【0004】
この種の構成の欠点は、回転翼又は羽根により生じる空気流が一般的に言って一様ではないということにある。これは、ファンの羽根表面又は外方に向いた表面全体におけるばらつきに起因している。これらばらつきの程度は、製品毎に様々な場合があり、1つの個別ファンヒータと別の個別ファンヒータとでも異なる場合がある。これらのばらつきの結果として、むらのある又は「風向きの変わりやすい」空気流が発生し、かかる空気流は、空気の一連のパルスとして感じられる場合があると共にユーザにとって不快な場合がある。もう1つの欠点は、ファンにより生じる冷却効果がユーザからの距離につれて減少することにある。このことは、ユーザがファンの冷却効果を体験するにはファンをユーザに近接して配置しなければならないということを意味している。
【0005】
ファンの出口を回転させて空気流が部屋の広い領域にわたってスイープ(弧を描いて放出)されるようにするために揺動又は首振り機構体が採用される場合がある。揺動機構体は、ユーザの感じる空気流の質及び一様性を幾分改良することができるが、特徴的な「風向きの変わりやすい」空気流が生じることに変わりはない。
【0006】
例えば上述したファンをユーザの近くに配置することは、ファンの形状及び構造が嵩張っていることがユーザの作業空間領域の相当な部分がファンによって占められるのでいつでも可能であるというわけではない。
【0007】
ファンの中には、ユーザに空気をファンから放出する方向を調節するオプションを提供する例えば米国特許第5,609,473号明細書に記載されているようなファンがある。米国特許第5,609,473号明細書の開示内容によれば、ファンは、ベース及び各々がベースのそれぞれ対応の端部から直立した1対のヨークを有している。ファンの外側本体は、モータ及び1組の回転翼又は羽根を収容している。外側本体は、ベースに対して回動可能であるようにヨークに固定されている。ファン本体は、ベースに対して、全体として垂直の非傾動位置から傾斜した傾動位置まで揺動可能である。このように、ファンから放出される空気流の方向を変えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国意匠特許第103,476号明細書
【特許文献2】米国特許第1,767,060号明細書
【特許文献3】米国特許第5,609,473号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
かかるファンでは、ベースに対するファンの本体の位置を固定するために固定機構体を採用するのが良い。固定機構体は、特に老人又は不器用なユーザにとって使用するのが困難な場合があるクランプ又は手動止めねじを有する場合がある。
【0010】
家庭環境では、電気器具は、スペースの制約によりできるだけ小型且つコンパクトであることが望ましい。これとは対照的に、ファン調節機構体は、嵩張っている場合が多く、しかも、ファン組立体の外面に取り付けられ、かかるファン調節機構体は、この外面から延びている場合が多い。かかるファンがデスク上に配置されると、調節機構体のフットプリントは、事務処理、コンピュータ又は他のオフィス機器に使える領域を減少させる場合があるので望ましくない。加うるに、電気器具の幾つかの部品が外方に突き出ることは、安全上の理由とかかる部品のクリーニングが困難な場合があるとの理由の両方で望ましくない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の観点において、本発明は、送風を生じさせるファン組立体であって、スタンドに取り付けられた空気出口を有し、スタンドは、ベースと、ベースに対して非傾動位置から傾動位置に傾動可能な本体とを有し、ベース及び本体の各々は、外面を有し、外面は、本体が非傾動位置にあるとき、外面の隣り合う部分が互いに実質的に面一をなすよう形作られていることを特徴とするファン組立体を提供する。
【0012】
これにより、スタンドに非傾動位置にあるときにこざっぱりとしていて且つ一様な外観を与えることができる。この種のごちゃごちゃしていないですっきりとした外観は、望ましく、ユーザ又は顧客にアピールする場合が多い。面一部分は又、ベース及び本体の外面を迅速且つ容易に拭き取ってきれいにすることができるという利点を有する。
【0013】
本体は、好ましくは、ベースに対して非傾動位置から傾動位置に傾動可能である。これにより、例えば本体をベースに対して傾動位置と非傾動位置との間で押し又は引くことにより本体をベースに対して容易に動かすことができる。
【0014】
好ましくは、スタンドは、ベースと本体との間に位置するインターフェイスを有し、インターフェイスに隣接して位置するベース及び本体の外面は、実質的に同一のプロフィールを有する。インターフェイスは、好ましくは、湾曲した、より好ましくは起伏のある外周部を有する。ベース及び本体の向かい合った表面は、好ましくは、同じ形をなして湾曲している。ベースは、好ましくは、湾曲した上面を有し、本体は、好ましくは、同じ形をなして湾曲した上面を有する。例えば、ベースの上面は、凸状であるのが良く、本体の下面は、凹状であるのが良い。
【0015】
好ましい実施形態では、ベース及び本体の外面は、実質的に同一のプロフィールを有する。例えば、ベース及び本体の外面のプロフィールは、実質的に、円形、楕円形又は多面体であるのが良い。
【0016】
スタンドは、好ましくは、本体をベース上に保持するインターロック手段を有する。インターロック手段は、好ましくは、本体が非傾動位置にあるとき、ベース及び本体の外面によって包囲され、その結果、スタンドがそのこざっぱりとしていて且つ一様な外観を保つようになる。したがって、第2の観点では、本発明は、送風を生じさせるファン組立体であって、スタンドに取り付けられた空気出口を有し、スタンドは、ベースと、ベースに対して非傾動位置から傾動位置に傾動可能な本体と、本体をベース上に保持するインターロック手段とを有し、インターロック手段は、好ましくは、本体が非傾動位置にあるとき、ベース及び本体の外面によって包囲されることを特徴とするファン組立体を提供する。
【0017】
スタンドは、インターロック手段を互いに押圧して傾動位置からの本体の運動に抵抗する手段を有する。ベースは、好ましくは、本体を支持する複数個の支持部材を有し、これら支持部材も又、本体が非傾動位置にあるとき、ベース及び本体の外面によって包囲される。各支持部材は、好ましくは、本体を支持する転動要素を有し、本体は、転動要素を受け入れる複数個の湾曲したレースを有し、転動要素は、本体を非傾動位置から傾動位置に動かすと、これら湾曲レース内で動く。
【0018】
インターロック手段は、好ましくは、ベースに設けられた第1の複数個のロック部材と、本体に設けられた第2の複数個のロック部材とを有し、第2の複数個のロック部材は、第1の複数個のロック部材によって保持される。ロック部材の各々は、好ましくは、実質的にL字形である。ロック部材は、好ましくは、好ましくは湾曲したインターロックフランジを有する。ベースのロック部材のフランジの曲率は、好ましくは、本体のインターロック部材のフランジの曲率と実質的に同一である。これは、インターロックフランジ相互間に生じ、傾動位置からの本体の運動を止めるよう作用する摩擦力を最大にすることができる。
【0019】
好ましい実施形態では、ファン組立体の重心は、本体が完全傾動位置にあるとき、ベースのフットプリントの外部には位置せず、それにより、ファン組立体が使用中にひっくり返る恐れが減少する。スタンドは、好ましくは、完全傾動位置を越えるベースに対する本体の運動を阻止する手段を有する。運動阻止手段は、好ましくは、本体が完全傾動位置にあるとき、本体から垂下していて、ベースの一部に係合する停止部材を含む。好ましい実施形態では、停止部材は、完全傾動位置を越えるベースに対する本体の運動を阻止するようインターロック手段の一部、好ましくは、ベースのインターロック部材のフランジに係合するよう配置されている。
【0020】
ファン組立体は、好ましくは、羽根なしファン組立体の形態をしている。羽根なしファン組立体の使用により、羽根付きファンを用いないで送風を生じさせることができる。空気の流れをファン組立体から放出するための羽根付きファンを用いない場合、比較的一様な空気の流れを発生させて室内又はユーザに向かって案内することができる。空気の流れは、効率的に出口から出て行くことができ、失われるエネルギー及び速度が僅かであり、その結果、乱流が殆ど生じない。
【0021】
「羽根なし」という用語は、可動羽根を用いないで空気流をファン組立体から前方に放出し又は送り出すファン組立体を形容するために用いられている。それ故、羽根なしファン組立体は、空気流をユーザの方へ又は室内へ差し向ける可動羽根のない出力領域又は放出ゾーンを有するものであると考えることができる。羽根なしファン組立体の出力領域には、多種多様な源、例えば各種ポンプ、各種発生器、各種モータ又は各種流体輸送装置、例えばモータロータ及び(又は)空気流を発生させる羽根付きインペラのうちの1つによって生じる一次空気流を供給することができる。生じた一次空気流は、ファン組立体の外部に位置する室内空間又は他の環境からファン組立体に入り、そして出口を通って室内空間に送り出されて戻ることができる。
【0022】
それ故、ファン組立体を羽根なしとして説明することは、動力源及び例えば補助ファン機能に必要なコンポーネント、例えばモータの説明にまで及ぶものではない。補助ファン機能の例としては、ファン組立体の照明、調節及び揺動が挙げられる。
【0023】
スタンドは、好ましくは、ファン組立体中に空気流を生じさせる手段を有する。好ましくは、ファン組立体中を通る空気流を生じさせる手段は、羽根車及び羽根車を回転させるモータを有し、好ましくは更に、羽根車から下流側に設けられたディフューザを有する。羽根車は、好ましくは、混流型羽根車である。モータは、好ましくは、摩擦損失及び伝統的なブラシ付きモータで用いられているブラシからのカーボンデブリを回避するためにDCブラシレスモータである。カーボンデブリ及び排出物を減少させることは、清浄な又は汚染物に敏感な環境、例えば病院又はアレルギーのある人の周りでは有利である。一般にペデスタルファンに用いられる誘導モータも又、ブラシを備えていないが、DCブラシレスモータは、誘導モータよりも非常に広い動作速度範囲を提供することができる。
【0024】
ファン組立体中を通る空気流を生じさせる手段は、好ましくは、スタンドの本体内に配置される。空気流を生じさせる手段のコンポーネント、特にモータの重量は、本体が傾動位置にあるとき、本体をベース上に安定化させるよう働くことができる。本体は、好ましくは、少なくとも1つの空気入口を有し、空気は、空気流を生じさせる手段によってこの空気入口を通ってファン組立体中に引き込まれる。
【0025】
ベースは、好ましくは、ファン組立体を制御する制御手段を有する。安全上の理由及び使用しやすくするために、制御要素をノズルから遠ざけて配置して傾動作動中に、例えば揺動、傾動、照明又は速度設定の起動のような制御機能を作動させないようにすることが有利な場合がある。
【0026】
空気出口は、好ましくは、スタンドに取り付けられたノズルから成り、ノズルは、空気流を放出する口を有し、ノズルは、ノズルの外部から空気を口から放出された空気流によって引き込むように通す開口部周りに延びている。好ましくは、ノズルは、開口部を包囲する。ノズルは、環状ノズルであるのが良く、このノズルの高さは、好ましくは、200〜600mm、より好ましくは250〜500mmである。
【0027】
好ましくは、ノズルの口は、開口部周りに延び、かかる口は、好ましくは環状である。ノズルは、好ましくは、内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分を有し、これらケーシング区分は、ノズルの口を構成する。各区分は、好ましくは、それぞれ対応の環状部材で作られるが、各区分は、その区分を形成するよう互いに連結され又は違ったやり方で組み立てられた複数個の部材によって構成されるのが良い。外側ケーシング区分は、好ましくは、内側ケーシング区分と部分的にオーバーラップするよう形作られる。これにより、ノズルの内側ケーシング区分の外面とノズルの外側ケーシング区分の内面の互いにオーバーラップした部分相互間に口(マウス)の出口を構成することができる。出口は、好ましくは、幅が好ましくは0.5〜5mm、より好ましくは0.5〜1.5mmのスロットの形態をしている。ノズルは、ノズルの内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分の互いにオーバーラップした部分を互いに押し離す複数のスペーサを有するのが良い。これは、口部の周りに実質的に一様な出口幅を維持するのを助けることができる。スペーサは、好ましくは、出口に沿って等間隔に設けられる。
【0028】
ノズルは、好ましくは、スタンドから空気流を受け入れる内部通路を有する。内部通路は、好ましくは環状であり、好ましくは、空気流を開口部周りに互いに逆方向に流れる2つの空気部分流に分割するよう形作られている。また、内部通路は、好ましくは、ノズルの内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分で構成されている。
【0029】
ファン組立体は、好ましくは、送風を円弧にわたり、好ましくは60°〜120°にわたりスイープさせるようノズルを揺動させる手段を有する。例えば、スタンドのベースは、本体が連結された上側ベース部材を下側ベース部材に対して揺動させる手段を有するのが良い。
【0030】
ファン組立体により生じる送風の最大空気流量は、好ましくは、毎秒300〜800リットルであり、より好ましくは毎秒500〜800リットルである。
【0031】
ノズルは、口に隣接して位置するコアンダ(Coanda)面を有するのが良く、口は、この口から放出される空気流をかかるコアンダ面上でこれに沿って差し向けるよう配置されている。好ましくは、ノズルの内側ケーシング部分の外面は、コアンダ面を形成する。コアンダ面は、好ましくは、開口部の周りに延びる。コアンダ面は、表面に近接して位置する出力オリフィスを出た流体の流れがコアンダ効果を呈するようにする既知形式の表面である。流体は、表面上をこれに沿って密接し、ほぼ「くっついて」又は「貼りついて」流れようとする。コアンダ効果は、一次空気流をコアンダ面上でこれに沿って差し向ける既に証明されて調べが良くついている同伴方法である。コアンダ面の特徴及びコアンダ面上の流体の流れの効果に関する説明は、レバ(Reba)著,「サイエンティフィック・アメリカン(Scientific American)」,第214巻,1966年6月,p.84〜92の論文に見られる。コアンダ面の利用により、ファン組立体の外部からの増加した量の空気が、口から放出される空気によって開口部を通って引き込まれる。
【0032】
好ましくは、空気流は、スタンドからファン組立体のノズルに入る。以下の説明において、この空気流を一次空気流と称する。一次空気流は、ノズルの口から放出され、好ましくは、この一次空気流は、コアンダ面上をこれに沿って流れる。一次空気流は、ノズルの口の周りの空気を同伴し、これは、一次空気流と同伴空気の両方をユーザに送る空気増量手段(air amplifier )としての役目を果たす。かかる同伴空気を本明細書では二次空気流と称する。二次空気流は、ノズルの口の周りの室内空間、領域又は外部環境から引き込まれると共に押し退けによりファン組立体の周りの他の領域から引き込まれ、かかる二次空気流は、主として、ノズルによって構成された開口部を通過する。コアンダ面上でこれに沿って差し向けられた一次空気流と同伴二次空気流との組み合わせにより、ノズルにより構成された開口部から前方に放出され又は送り出される全空気流が得られる。好ましくは、ノズルの口の周りの空気の同伴は、主要空気流量が少なくとも5倍になり、より好ましくは少なくとも10倍になり、他方、滑らかな全体的出力が維持されるようなものである。
【0033】
好ましくは、ノズルは、コアンダ面の下流側に設けられたディフューザ面を有する。ノズルの内側ケーシング区分の外面は、好ましくは、ディフューザ面を構成するよう形作られる。
【0034】
第3の観点では、本発明は、ファン組立体用のスタンドであって、ベースと、ベースに対して傾動可能な本体とを有し、ベース及び本体は各々、外面を有し、外面は、本体が非傾動位置にあるとき、外面の隣り合う部分が互いに実質的に面一をなすよう形作られていることを特徴とするスタンドを提供する。第4の観点では、本発明は、スタンドであって、ベースと、ベースに対して非傾動位置から傾動位置に傾動可能な本体と、本体をベース上に保持するインターロック手段とを有し、インターロック手段は、本体が非傾動位置にあるとき、ベース及び本体の外面によって包囲されることを特徴とするスタンドを提供する。
【0035】
本発明の第1及び第2の観点と関連して上述した特徴は、本発明の第3及び第4の観点の各々に同じように適用でき、又その逆の関係が成り立つ。
【0036】
次に、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】ファン組立体の正面図である。
【図2】図1のファン組立体のノズルの斜視図である。
【図3】図1のファン組立体の断面図である。
【図4】図3の一部の拡大図である。
【図5(a)】図1のファン組立体の側面図であり、ファン組立体を非傾動位置で示す図である。
【図5(b)】図1のファン組立体の側面図であり、ファン組立体を第1の傾動位置で示す図である。
【図5(c)】図1のファン組立体の側面図であり、ファン組立体を第2の傾動位置で示す図である。
【図6】図1のファン組立体の上側ベース部材の平面側斜視図である。
【図7】図1のファン組立体の本体の背面側斜視図である。
【図8】図7の本体の分解組立て図である。
【図9(a)】ファン組立体が非傾動位置にあるときのベースに対する2つの断面の取り方を示す図である。
【図9(b)】図9(a)のA‐A線矢視断面図である。
【図9(c)】図9(a)のB‐B線矢視断面図である。
【図10(a)】ファン組立体が非傾動位置にあるときのスタンドに対する別の2つの断面の取り方を示す図である。
【図10(b)】図10(a)のC‐C線矢視断面図である。
【図10(c)】図10(a)のD‐D線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、ファン組立体10の正面図である。ファン組立体10は、好ましくは、スタンド12と、スタンド12に取り付けられると共にこれによって支持されたノズル14とを有する羽根なしファン組立体の形態をしている。スタンド12は、実質的に円筒形の外側ケーシング16を有し、この外側ケーシングは、外側ケーシング16に設けられている孔の形態をした複数個の空気入口18を有し、一次空気流は、外部環境からこれら空気入口を通ってスタンド12内に引き込まれる。スタンド12は、ファン組立体10の動作を制御する複数個のユーザにより操作可能なボタン20及びユーザにより操作可能なダイヤル22を更に有している。この例では、スタンド12の高さは、200〜300mmであり、外側ケーシング16の外径は、100〜200mmである。
【0039】
更に図2を参照すると、ノズル14は、環状の形をしており、このノズルは、中央開口部24を画定又は構成している。ノズル14の高さは、200〜400mmである。ノズル14は、ファン組立体10の後部寄りに設けられていて、空気をファン組立体10から開口部24を通って放出する口(マウス)26を有している。口26は、開口部24周りに少なくとも部分的に延びている。ノズル14の内周部は、口26に隣接して設けられたコアンダ面28を有し、口26は、ファン10から放出された空気をコアンダ面28上でこれに沿って差し向け、ノズル14の内周部は更に、コアンダ面28の下流側に位置するディフューザ面30及びディフューザ面30の上流側に位置する案内面32を有している。ディフューザ面30は、ファン組立体10から放出される空気の流れを助けるために開口部24の中心軸線Xから遠ざかってテーパするよう配置されている。ディフューザ面30と開口部24の中心軸線Xとのなす角度は、5°〜25°であり、この例では約15°である。案内面32は、ファン組立体10からの冷却用空気流の効率的な送り出しを一段と助けるようディフューザ面30に対して角度をなして配置されている。案内面32は、好ましくは、実質的に平らで且つ実質的に滑らかなフェースを口26から放出された空気流に提供するよう開口部24の中心軸線Xに実質的に平行に配置されている。見栄えの良いテーパ付き表面34が、案内面32から見て下流側に設けられており、開口部24の中心軸線Xに実質的に垂直に位置する先端面36で終端している。テーパ面34と開口部24の中心軸線Xとのなす角度は、好ましくは約45°である。開口部24の中心軸線Xに沿って延びる方向におけるノズル24の全深さは、100〜150mmであり、この例では、約110mmである。
【0040】
図3は、ファン組立体10の断面図である。スタンド12は、下側ベース部材38及び下側ベース部材38に取り付けられた上側ベース部材40で形成されたベースと、ベースに取り付けられた本体42とで形成されている。かくして、図1及び図5に示されているように、本体42とベースとの間にはインターフェイスIが形成されている。インターフェイスIは、湾曲した、好ましくは起伏のある外周部を有する。かくして、少なくともインターフェイスに隣接して位置するベース及び本体42の外面は、実質的に同一のプロフィールを有し、この実施形態では、円形のプロフィールを有する。
【0041】
下側ベース部材38は、実質的に平らな底面43を有している。上側ベース部材40は、図1及び図2に示されたユーザにより操作可能なボタン20の押し下げ及び/又はユーザにより操作可能なダイヤル22の操作に応答してファン組立体10の動作を制御するコントローラ44を収容している。上側ベース部材40は、上側ベース部材40及び本体42を下側ベース部材38に対して揺動させる揺動機構体46を更に収容するのが良い。本体42の各揺動サイクルの範囲は、好ましくは60°〜120°であり、この例では、約90°である。この例では、揺動機構体46は、毎分約3〜5回の揺動サイクルを実施するよう構成されている。電源ケーブル48が、電力をファン組立体10に供給するために下側ベース部材38に形成された孔を貫通している。
【0042】
スタンド12の本体42は、ノズル14が例えばスナップ嵌め連結方式で連結された開放上端部を有する。本体42は、スタンド12の空気入口18を構成するよう孔のアレイが形成された円筒形グリル50を有している。
【0043】
本体42は、グリル50の孔を通って主要空気流量をスタンド12中に引き込むための羽根車52を収容している。好ましくは、羽根車52は、混流型羽根車の形態をしている。羽根車52は、モータ56から外方に延びる回転シャフト54に連結されている。この例では、モータ56は、ダイヤル22のユーザによる操作に応答して速度がコントローラ44によって変化するDCブラシレスモータである。モータ56の最大速度は、好ましくは、5,000〜10,000rpmである。モータ56は、モータバケット内に収容され、このモータバケットは、上側部分58を下側部分60に連結したものである。
【0044】
モータバケットの上側部分58及び下側部分60のうちの一方は、螺旋羽根を備えた静止円板の形態をしていて、羽根車52から見て下流側に配置されたディフューザ62を有する。
【0045】
モータバケットは、羽根車ハウジング64内に配置されると共にこれに取り付けられている。羽根車ハウジング64は、スタンド12の本体42内に配置されている複数個の角度間隔を置いた支持体66、この例では3つの支持体に取り付けられている。全体として切頭円錐形のシュラウド68が、羽根車ハウジング64内に設けられている。シュラウド68は、羽根車52の外縁部がシュラウド68の内面に密接するが、これには接触しないよう形作られている。実質的に環状の入口部材70が、一次空気流を羽根車ハウジング64内に案内するために羽根車ハウジング64の底部に連結されている。好ましくは、スタンド12は、スタンド12から出る騒音を減少させる消音化フォームを更に有する。この例では、スタンド12の本体42は、本体42のベース寄りに配置された円板形フォーム部材72及びモータバケット内に配置された実質的に環状のフォーム部材74を有している。
【0046】
図4は、ノズル14の断面図である。ノズル14は、環状の外側ケーシング区分80を有し、この外側ケーシング区分は、環状の内側ケーシング区分82に連結された状態でこの周りに延びている。これら区分の各々は、複数個の互いに連結された部品で形成されても良いが、この実施形態では、外側ケーシング区分80及び内側ケーシング区分82の各々は、それぞれ単一の成形部品で作られている。内側ケーシング区分82は、ノズル14の中央開口部24を構成し、この内側ケーシング区分は、コアンダ面28、ディフューザ面30、案内面32及びテーパ面34を備えるよう形作られた外周面84を備えている。
【0047】
外側ケーシング区分80と内側ケーシング区分82は一緒になって、ノズル14の環状内部通路86を構成している。かくして、内部通路86は、開口部24周りに延びている。内部通路86は、外側ケーシング区分80の内周面88及び内側ケーシング区分82の内周面90によって画定又は構成されている。外側ケーシング区分80は、例えばスナップ嵌め連結方式によってスタンド12の本体42の開放上端部に連結されると共にこれを覆っているベース92を有する。外側ケーシング区分80のベース92は、一次空気流がスタンドの12の本体42の開放上端部からノズル14の内部通路86に流入するようかかる一次空気流を通す孔を有している。
【0048】
ノズル14の口26は、ファン組立体10の後部寄りに配置されている。口26は、外側ケーシング区分80の内周面88及び内側ケーシング区分82の外周面84のそれぞれの互いにオーバーラップした又は向かい合った部分94,96によって画定されている。この例では、口26は、実質的に環状であり、図4に示されているように、この口は、ノズル14を直径方向に通る線に沿って見て実質的にU字形の断面を有する。この例では、外側ケーシング区分80の内周面88及び内側ケーシング区分82の外周面84の互いにオーバーラップした部分94,96は、口26が一次空気流をコアンダ面28上でこれに沿って差し向けるよう構成された出口98に向かってテーパするよう形作られている。出口98は、好ましくは0.5〜5mmの比較的一定の幅を有する環状スロットの形態をしている。この例では、出口98の幅は、約1.0mmである。外側ケーシング区分80の内周面88及び内側ケーシング区分82の外周面84の互いにオーバーラップした部分94,96を互いに押し離して出口98の幅を所望のレベルに維持するためのスペーサが口26の周りに間隔を置いて設けられるのが良い。これらスペーサは、外側ケーシング区分80の内周面88か内側ケーシング区分82の外周面84かのいずれかと一体であるのが良い。
【0049】
次に、図5(a)、図5(b)及び図5(c)を参照すると、本体42は、スタンド12のベースに対して、図5(b)に示されている第1の完全傾動位置と図5(c)に示されている第2の完全傾動位置との間で動くことができる。この軸線Xは、好ましくは、本体を図5(a)に示されている非傾動位置からこれら2つの完全傾動位置のうちの一方に動かすと、約10°の角度だけ傾けられる。本体42及び上側ベース部材40の外面は、本体42が非傾動位置にあるとき、本体42及びスタンド12のこれら外面の隣接部分が互いに実質的に面一をなすよう形作られている。
【0050】
図6を参照すると、上側ベース部材40は、下側ベース部材38に取り付けられた環状下面100、実質的に円筒形の側壁102及び湾曲した上面104を有している。側壁102は、複数個の孔106を有している。ユーザにより操作可能なダイヤル22は、孔106のうちの1つから突き出ており、これに対し、ユーザにより操作可能なボタン20は、他の孔106を介して接近可能である。上側ベース部材40の湾曲した上面104は、形状が凹状であり、全体として鞍形であると形容できる。モータ56から延びる電気ケーブル110(図3に示されている)を受け入れる孔108が、上側ベース部材40の上面104に形成されている。
【0051】
上側ベース部材40は、本体42を上側ベース部材40上に支持する4つの支持部材120を更に有している。支持部材120は、上側ベース部材40の上面104から上方に突き出ており、これら支持部材は、これらが互いに実質的に等距離を置くと共に上面104の中心から実質的に等距離を置いて位置するよう配置されている。第1の対をなす支持部材120は、図9(a)にB‐B線に沿って配置され、第2の対をなす支持部材120は、第1の対をなす支持部材120と平行である。さらに図9(b)及び図9(c)を参照すると、各支持部材120は、円筒形外壁122、開放上端部124及び閉鎖下端部126を有している。支持部材120の外壁122は、ボールベアリング(球状支承体)の形態の転動要素128を包囲している。転動要素128は、好ましくは、円筒形外壁122の半径よりも僅かに小さい半径を有し、従って、転動要素128は、支持部材120によって保持された状態でこの中で動くことができるようになっている。転動要素128は、支持部材120の閉鎖下端部126と転動要素128との間に設けられた弾性要素130により上側ベース部材40の上面104から押し離されており、その結果、転動要素128の一部が支持部材120の開放上端部124を越えて突き出るようになっている。この実施形態では、弾性部材130は、コイルばねの形態をしている。
【0052】
図6に戻ってこれを参照すると、上側ベース部材40は、本体42を上側ベース部材40上に保持する複数本のレールを更に有している。レールは又、上側ベース部材40に対する本体42の運動を案内するのに役立ち、従って、本体42を傾動位置から動かし又は傾動位置に動かしているときに、上側ベース部材40に対する本体42の捩り又は回転が実質的に生じないようになっている。レールの各々は、軸線Xに実質的に平行な方向に延びている。例えば、レールのうちの1本は、図10(a)に示されたD‐D線に沿って位置している。この実施形態では、複数本のレールは、1対の比較的短い外側レール142相互間に位置した1対の比較的長い内側レール140を有している。さらに図9(b)及び図10(b)を参照すると、内側レール140の各々は、逆L字形の形態の断面を有し、各内側レールは、それぞれの1対の支持部材120相互間に延び、上側ベース部材40の上面104に連結された状態でこれから直立した壁144を有している。内側レール140の各々は、壁144の長さに沿って延びると共に壁144の頂部から隣接の外側案内レール142に向かって直角に突き出た湾曲フランジ146を更に有している。外側レール142の各々も又、逆L字形の形態の断面を有し、各外側レールは、上側ベース部材40の上面に連結された状態でこれから直立した壁148及び壁148の長さに沿って延びると共に壁148の頂部から直角に隣接の内側案内レール140から突き出た湾曲フランジ150を有している。
【0053】
次に図7及び図8を参照すると、本体42は、実質的に円筒形の側壁160、環状の下端部162及び凹部を構成するよう本体42の下端部162から間隔を置いて位置した湾曲ベース164を有している。グリル50は、好ましくは、側壁160と一体である。本体42の側壁160は、上側ベース部材40の側壁102と実質的に同一の外径を有している。ベース164は、形状が凸状であり、一般に逆鞍形を有するものとして形容可能である。ケーブル110が本体42のベース164から延びることができるようにする孔166がベース164に形成されている。2対の停止部材168が、ベース164の周囲から上方に延びている(図8に示されている)。停止部材168の各対は、軸線Xに実質的に平行な方向に延びる線に沿って位置している。複数の対をなす停止部材168のうちの1対の停止部材は、図10(a)に示されたD‐D線に沿って位置している。
【0054】
凸状チルトプレート又は傾動板170が、本体42のベース164に連結されている。傾動板170は、本体42の凹部内に配置されており、この傾動板は、本体42のベース164と実質的に同一の曲率を有している。停止部材168の各々は、傾動板170の周囲に沿って設けられた複数個の孔172の各々からそれぞれ突き出ている。傾動板170は、上側ベース部材40の転動要素128に係合する1対の凸状レース174を構成するよう形作られている。各レース174は、軸線Xに実質的に平行な方向に延びており、各レースは、図9(c)に示されているように、対応のそれぞれ1対の支持部材120の転動要素128を受け入れるよう配置されている。
【0055】
傾動板170は、複数個のランナを更に有し、これらランナの各々は、上側ベース部材40のそれぞれ対応のレールの下に少なくとも部分的に配置され、かくして、そのレールと協働して本体42を上側ベース部材40上に保持すると共に上側ベース部材40に対する本体42の運動を案内するよう構成されている。かくして、ランナの各々は、軸線Xに実質的に平行な方向に延びている。例えば、ランナのうちの1つは、図10(a)に示されたD‐D線に沿って位置している。この実施形態では、複数個のランナは、1対の比較的短い外側ランナ182相互間に位置した1対の比較的長い内側ランナ180を含む。さらに図9(b)及び図10(b)を参照すると、内側ランナ180の各々は、逆L字形の形態の断面を有し、各内側ランナは、実質的に垂直の壁184及び壁184の頂部の一部から直角に且つ内方に突き出た湾曲フランジ186を有している。各内側ランナ180の湾曲フランジ186の曲率は、各内側レール140の湾曲フランジ146の曲率と実質的に同一である。外側ランナ182の各々も又、逆L字形の形態の断面を有し、各外側ランナは、実質的に垂直な壁188及び湾曲フランジ190を有し、この湾曲フランジは、壁188の長さに沿って延びると共に壁188の頂部から直角に且つ内方に突き出ている。この場合も又、各外側ランナ182の湾曲フランジ190の曲率は、各外側レール142の湾曲フランジ150の曲率と実質的に同一である。傾動板170は、ケーブル110を受け入れる孔192を更に有している。
【0056】
本体42を上側ベース部材40に連結するために、傾動板170を図7及び図8に示された向きから逆さまにし、傾動板170のレース174を上側ベース部材40の支持部材120の真後ろにこれと一線をなして配置する。本体42の孔166を通って延びている電気ケーブル110を傾動板170及び上側ベース部材40のそれぞれの孔108,192に通し、次に図3に示されているようにコントローラ44に接続するのが良い。次に、傾動板170を上側ベース部材40上でこれに沿って滑らせて転動要素128が図9(b)及び図9(c)に示されているようにレース174に係合するようにし、各外側ランナ182の湾曲フランジ190が図9(b)及び図10(b)に示されているようにそれぞれの外側レール142の湾曲フランジ150の下に配置し、各内側ランナ180の湾曲フランジ186を図9(b)、図10(b)及び図10(c)に示されているようにそれぞれの内側レール140の湾曲フランジ146の下に配置するようにする。
【0057】
傾動板170を上側ベース部材40上の中央に位置決めした状態で、本体42を傾動板170上に下降させ、停止部材168が傾動板170の孔172内に配置されると共に傾動板170が本体42の凹部内に収容されるようにする。次に、上側ベース部材40及び本体42を逆さまにし、ベース部材40を軸線Xの方向に沿って変位させて傾動板170に設けられている第1の複数個の孔194aが現われるようにする。これら孔194aの各々を本体42のベース164に設けられている管状突出部196aに位置合わせする。セルフタッピンねじを孔194aの各々にねじ込んでこれが下に位置する突出部196aに入るようにし、それにより傾動板170を本体42に部分的に連結する。次に、上側ベース部材40を逆方向に変位させて傾動板170に設けられている第2の複数個の孔194bが現われるようにする。これら孔194bの各々も又、本体42のベース164に設けられている管状突出部196bに位置合わせする。セルフタッピンねじを孔194bの各々にねじ込んでこれが下に位置する突出部196に入り、それにより本体42に対する傾動板170の連結を完了させる。
【0058】
本体42を上側ベース部材40に取り付け、下側ベース部材38の底面43を支持面上に位置決めすると、本体42は、支持部材120の転動要素128によって支持される。支持部材120の弾性要素130は、本体42を傾動させたときに、上側ベース部材40の上面の擦りを阻止するのに十分な距離だけ転動要素128を支持部材120の閉鎖下端部126から押し離す。例えば、図9(b)、図9(c)、図10(b)及び図10(c)の各々に示されているように、本体42の下端部162は、本体42を傾動させたときに、上側ベース部材40の上面104との接触が阻止されるようかかる上面から押し離される。さらに、弾性要素130の作用により、ランナの湾曲フランジ186,190の凹状上面がレールの湾曲フランジ146,150の凸状下面に押し付けられる。
【0059】
本体42を上側ベース部材40に対して傾動させるため、ユーザは、本体42を軸線Xに平行な方向に滑らせて本体42を図5(b)及び図5(c)に示された完全傾動位置のうちの一方に向かって動かし、それにより転動要素128がレース174に沿って動くようにする。本体42がいったん所望の位置になると、ユーザは、本体42を解除し、この本体は、ランナの湾曲フランジ186,190の凹状上面と重力の作用で図5(a)に示された非傾動位置に向かう本体42の運動に抵抗するよう作用するレールの湾曲フランジ146,150の凸状下面との間の接触により生じた摩擦力によって所望の位置に保持されている。本体42の完全傾動位置は、各対の停止部材168のうちの1つと対応の内側レール140の相互当接によって定められる。
【0060】
ファン組立体10を作動させるため、ユーザは、スタンド12のボタン20のうちの適当な1つを押し、これに応答して、コントローラ44は、モータ56を作動させて羽根車52を回す。羽根車52の回転により、一次空気流が空気入口18を通ってスタンド12内に引き込まれる。一次空気流は、モータの速度に応じて、毎秒20〜30リットルであるのが良い。一次空気流は、羽根車ハウジング64及び本体42の開放上端部を順次通ってノズル14の内部通路86に入る。ノズル14内において、一次空気流は、ノズル14の中央開口部24周りに互いに逆方向に進む2つの部分空気流に分割される。部分空気流は、内部通路86を通過する際、空気は、ノズル14の口26に流入する。口26内への空気流は、好ましくは、ノズル14の開口部24周りにおいて実質的に均等である。口26の各区分内において、部分空気流の一部分の流れ方向が実質的に逆になる。部分空気流の一部分は、口26のテーパ付き区分により絞られ、出口98を通って放出される。
【0061】
口26から放出された一次空気流は、ノズル14のコアンダ面28上でこれに沿って差し向けられ、それにより外部環境からの、特に口26の出口98周りの領域及びノズル14の後部周りからの空気の同伴によって二次空気流が生じる。この二次空気流は、ノズル14の中央開口部24を通り、ここで、二次空気流は、一次空気流と合流し、それによりノズル14から前方に放出される全空気流又は風が生じる。モータ56の速度に応じて、ファン組立体10から前方に放出される空気の流れの質量流量は、毎秒最大400リットル、好ましくは毎秒最大600リットルになる場合があり、送風の最大速度は、2.5〜4m/sになる場合がある。
【0062】
ノズル14の口26に沿う一次空気流の均等な分布により、空気流は、ディフューザ面30上でこれに沿って一様に流れるようになる。ディフューザ面30により、空気流が膨張の制御された領域を通って動くようになるので空気流の平均速度が減少する。開口部24の中心軸線Xに対するディフューザ面30の比較的浅い角度により、空気流の膨張は、徐々に起こることができる。もしそうでなければ、強烈な又は迅速な広がりにより空気流は、乱れて膨張領域中に渦が生じる。かかる渦により、空気流中に生じる乱流及び関連の騒音が増大する場合があり、このことは、特に家庭用製品、例えばファンでは望ましくない場合がある。ディフューザ面30を越えて前方に放出された空気流は、引き続き広がる傾向がある。開口部30の中心軸線Xに実質的に平行に延びる案内面32が設けられているので、空気流は一段と収斂又は集中する。その結果、空気流は、効率的にノズル14から出て行くことができ、それによりファン組立体10から数メートルの距離を置いたところで空気流を迅速に受けることができる。
【0063】
本発明は、上述の詳細な説明には限定されない。当業者には変形例が明らかであろう。
【0064】
例えば、スタンド12は、ファン組立体以外の種々の電気器具に使用できる。ベースに対する本体42の運動を電動化し、ユーザがボタン20のうちの1つを押すことによって作動されても良い。
【0065】
本発明は、以下のような態様であってもよい。
(1)送風を生じさせるファン組立体であって、スタンドに取り付けられた空気出口を有し、前記スタンドは、ベースと、前記ベースに対して非傾動位置から傾動位置に傾動可能な本体とを有し、前記ベース及び前記本体の各々は、外面を有し、前記外面は、前記本体が前記非傾動位置にあるとき、前記外面の隣り合う部分が互いに実質的に面一をなすよう形作られている、ファン組立体。
(2)前記本体は、前記ベースに対して前記非傾動位置と前記傾動位置との間で摺動可能である。
(3)前記スタンドは、前記ベースと前記本体との間に位置するインターフェイスを有し、前記インターフェイスに隣接して位置する前記ベース及び前記本体の前記外面は、実質的に同一のプロフィールを有する。
(4)前記ベース及び前記本体の前記外面は、実質的に同一のプロフィールを有する。
(5)前記空気出口は、前記スタンドに取り付けられたノズルから成り、前記ノズルは、前記空気流を放出する口を有し、前記ノズルは、前記ノズルの外部からの空気を前記口から放出された前記空気流によって引き込むよう通す開口部の周りに延びている。
(6)前記ノズルは、前記口に隣接して位置するコアンダ面を有し、前記口は、前記口から放出された前記空気流を前記コアンダ面上でこれに沿って差し向けるよう配置されている。
(7)前記ベース及び前記本体の向かい合った表面は、同じ形をなして湾曲している。
(8)ファン組立体用のスタンドであって、ベースと、前記ベースに対して傾動可能な本体とを有し、前記ベース及び前記本体は各々、外面を有し、前記外面は、前記本体が非傾動位置にあるとき、前記外面の隣り合う部分が互いに実質的に面一をなすよう形作られている、スタンド。
(9)送風を生じさせるファン組立体であって、スタンドに取り付けられた空気出口を有し、スタンドは、ベースと、ベースに対して非傾動位置から傾動位置に傾動可能な本体とを有し、ファン組立体は、本体をベース上に保持するインターロック手段を有し、インターロック手段は、本体が非傾動位置にあるとき、ベース及び本体の外面によって包囲されるとともに、ベースに連結された第1の複数個のインターロックフランジと、本体に連結された第2の複数個のインターロックフランジとを含む、ファン組立体。
(10)インターロック手段を互いに押圧して傾動位置からの本体の運動に抵抗する付勢手段を有する。
(11)インターロック手段は、ベースに設けられた第1の複数個のロック部材と、本体に設けられた第2の複数個のロック部材とを有し、第2の複数個のロック部材は、第1の複数個のロック部材によって保持され、ロック部材は、インターロックフランジを含む。
(12)第1の複数個のロック部材は、ベースの湾曲上面に連結している。
(13)ベースの上面は、凹状である。
(14)第2の複数個のロック部材は、本体の湾曲したベースに連結している。
(15)本体の前記湾曲したベースは、凸状である。
(16)インターロックフランジは、湾曲している。
(17)スタンドは、完全傾動位置においてベースを本体に接触させることにより、完全傾動位置を越えるベースに対する本体の運動を阻止する手段を有する。
(18)運動阻止手段は、本体が完全傾動位置にあるとき、本体から垂下していて、ベースの一部に係合する停止部材を含む。
(19)停止部材は、インターロック手段の一部に係合して、完全傾動位置を越えるベースに対する本体の運動を阻止するように構成されている。
(20)停止部材は、第1の複数個のインターロックフランジの一つに係合するように構成されている。
(21)スタンドは、ファン組立体中に空気流を生じさせる手段を有する。
(22)ファン組立体中に空気流を生じさせる手段は、スタンドの本体内に配置されている。
(23)本体は、空気流を生じさせる手段によってファン組立体中に空気が引き込まれる少なくとも1つの空気入口を含む。
(24)スタンドのベースは、ファン組立体を制御する制御手段を有する。
(25)ベース及び本体の外面は、実質的に円筒形である。
【0066】
本発明は、また、以下のような態様であってもよい。
(1)ベースは、本体が連結される上側ベース部材と、下側ベース部材と、上側ベース部材を下側ベース部材に対して揺動させる手段と、を有する。
(2)ノズルは、口に隣接して位置するコアンダ面を有し、口は、口から放出された空気流をコアンダ面上でこれに沿って差し向けるよう配置されている。
(3)口は、開口部の周りに延びている。
(4)ノズルは、内側ケーシング区分と、口を構成する外側ケーシング区分とを有する。
(5)各区分は、それぞれ対応の環状部材で作られる。
(6)口の出口は、内側ケーシング区分の外面と外側ケーシング区分の内面とのオーバーラップした部分の間に構成される。
(7)ノズルは、内側ケーシング区分及び外側ケーシング区分のオーバーラップした部分を互いに押し離す複数のスペーサを有する。
を有し、前記ファン組立体は、前記ベースに設けられた第1の複数個のロック部材と、前記本体に設けられるとともに、前記本体を前記ベース上に保持するように、前記第1の複数個のロック部材によって保持される第2の複数個のロック部材とを有し、前記ロック部材は、前記本体が前記非傾動位置にあるとき、前記ベース及び前記本体の外面によって包囲され、前記第1の複数個のロック部材は、前記本体を前記ベース上に保持する複数のレールを有する、ファン組立体。
【0067】
本発明は、さらに、以下のような態様であってもよい。
(1)ファン組立体は、ベースに設けられた第1の複数個のロック部材と、本体に設けられるとともに、本体を前記ベース上に保持するように、第1の複数個のロック部材によって保持される第2の複数個のロック部材とを有し、ロック部材は、本体が非傾動位置にあるとき、ベース及び本体の外面によって包囲され、第1の複数個のロック部材は、本体をベース上に保持する複数のレールを有する。
(2)レールの各々は、ベースに対する本体の移動方向に延びる。
(3)複数のレールは、一対の比較的短い外側レールの間に位置する一対の比較的長い内側レールを含む。
(4)第2の複数個のロック部材は、各々がベースのそれぞれのレールの下に少なくとも部分的に位置する複数のランナを含む。
(5)ランナの各々は、ベースに対する本体の移動方向に延びる。
(6)ファン組立体中に空気流を生じさせる手段は、スタンドの本体内に配置されている。
【符号の説明】
【0068】
10 ファン組立体
12 スタンド
14 空気出口又はノズル
24 開口部
26 口又はマウス
28 コアンダ面
30 ディフューザ面
32 案内面
38,40 スタンドベース
42 スタンド本体
46 揺動機構体
52 羽根車
56 モータ
86 内部通路
I インターフェイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送風を生じさせるファン組立体であって、スタンドに取り付けられた空気出口を有し、前記スタンドは、ベースと、前記ベースに対して非傾動位置から傾動位置に傾動可能な本体と、前記本体を前記ベース上に保持するインターロック手段とを有し、前記インターロック手段は、前記本体が非傾動位置にあるとき、前記ベース及び前記本体の外面によって包囲され、前記スタンドの前記本体は、前記ファン組立体中に空気流を生じさせる手段を有し、前記空気流を生じさせる手段は、羽根車と、前記羽根車を駆動するためのモータとを有し、前記空気出口は、前記スタンドの前記本体に取り付けられたノズルで構成され、前記ノズルは、前記空気流を放出する口を有し、前記ノズルは、前記ノズルの外部からの空気を前記口から放出された前記空気流によって引き込むよう通す開口部の周りに延びている、ファン組立体。
【請求項2】
前記インターロック手段を互いに押圧して前記傾動位置からの前記本体の運動に抵抗する付勢手段を有する、請求項1に記載のファン組立体。
【請求項3】
前記インターロック手段は、前記ベースに設けられた第1の複数個のロック部材と、前記本体に設けられるとともに、前記第1の複数個のロック部材によって保持される第2の複数個のロック部材とを有する、請求項1または請求項2に記載のファン組立体。
【請求項4】
前記第1の複数個のロック部材は、前記ベースの湾曲上面に連結している、請求項3に記載のファン組立体。
【請求項5】
前記ベースの前記上面は、凹状である、請求項4に記載のファン組立体。
【請求項6】
前記第2の複数個のロック部材は、前記本体の湾曲したベースに連結している、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項7】
前記本体の前記湾曲したベースは、凸状である、請求項6に記載のファン組立体。
【請求項8】
前記スタンドは、完全傾動位置を越える前記ベースに対する前記本体の運動を阻止する手段を有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項9】
前記運動阻止手段は、前記本体が完全傾動位置にあるとき、前記本体から垂下していて、前記ベースの一部に係合する停止部材を含む、請求項8に記載のファン組立体。
【請求項10】
前記停止部材は、前記インターロック手段の一部に係合して、前記完全傾動位置を越える前記ベースに対する前記本体の運動を阻止するように構成されている、請求項9に記載のファン組立体。
【請求項11】
空気流を生じさせる前記手段は、前記羽根車から下流側に設けられたディフューザを有する、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項12】
前記羽根車は、混流型羽根車である、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項13】
前記本体は、少なくとも1つの空気入口を有し、空気は、空気流を生じさせる前記手段によってこの空気入口を通って前記ファン組立体中に引き込まれる、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項14】
前記スタンドの前記ベースは、前記ファン組立体を制御する制御手段を有する、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項15】
前記ベース及び前記本体の前記外面は、実質的に円筒形である、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項16】
前記ノズルは、前記口に隣接して位置するコアンダ面を有し、前記口は、前記口から放出された前記空気流を前記コアンダ面上でこれに沿って差し向けるよう配置されている、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項17】
前記口は、前記開口部の周りに延びている、請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項18】
前記ノズルは、内側ケーシング区分と、前記口を構成する外側ケーシング区分とを有する、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のファン組立体。
【請求項19】
各区分は、それぞれの環状部材で作られる、請求項18に記載のファン組立体。
【請求項20】
前記口の出口は、前記内側ケーシング区分の前記外面と前記外側ケーシング区分の前記内面とのオーバーラップした部分の間に構成される、請求項18または請求項19に記載のファン組立体。
【請求項21】
前記ノズルは、前記内側ケーシング区分及び前記外側ケーシング区分の前記オーバーラップした部分を互いに押し離す複数のスペーサを有する、請求項20に記載のファン組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図9(c)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図10(c)】
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【公開番号】特開2012−177376(P2012−177376A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−136900(P2012−136900)
【出願日】平成24年6月18日(2012.6.18)
【分割の表示】特願2012−70007(P2012−70007)の分割
【原出願日】平成22年3月2日(2010.3.2)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】