説明

フィルタ装置および受信装置

【課題】回路素子数を低減し、回路面積の低減,回路電流の減少を実現する。
【解決手段】スイッチSW10は、増幅器51の反転出力端から増幅器50の反転入力端に至る経路に挿入され、スイッチSW11は、増幅器51の非反転出力端から増幅器50の非反転入力端に至る経路に挿入され、スイッチSW12は、増幅器50の非反転出力端から増幅器51の反転入力端に至る経路に挿入され、スイッチSW13は、増幅器50の反転出力端から増幅器51の非反転入力端に至る経路に挿入され、制御信号S14に応答してスイッチ(SW10,SW11,SW12,SW13)のON/OFFを制御し、当該経路を導通/遮断制御することにより、帯域制限すべき帯域をLow-IF方式の帯域またはZero-IF方式の帯域に切替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の復号方式(Low-IF方式とZero-IF方式)に対応可能なフィルタ装置と、このフィルタ装置を用いた受信装置に関するものである。本発明は、特に、Low-IF方式またはZero-IF方式の受信回路を備えるテレビジョン受信機や通信端末の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、日本のテレビジョン受信機は、従来のアナログ放送に替わり、1segや12segに代表されるディジタル放送に移行しつつある。日本のシステムはISDB-T(Integrated Services Digital Broadcasting - Terrestrial)と呼ばれ、Low-IF方式が採用されている。一方、欧州のシステムはDVB-T(Digital Video Broadcasting - Terrestrial)と呼ばれ、Low-IF方式またはZero-IF方式が採用されている。さらに、欧州の携帯電話向けのDVB-H(Digital Video Broadcasting - Handheld)では、Zero-IF方式が採用されている。
【0003】
このようなLow-IF方式やZero-IF方式の受信機においては、従来SAWフィルタ(表面弾性波フィルタ)によって実現されていたチャンネル選択フィルタの特性を、半導体内部のRC素子からなるアクティブフィルタによって実現している。これは、ローコスト化や小型化を図るためである。
【0004】
現在、世界のディジタル放送の受信機は、Low-IF方式またはZero-IF方式に分かれている。Low-IF方式の受信機では、受信回路と復号回路はLow-IF方式のみに対応している。Zero-IF方式の受信機では、受信回路と復号回路はZero-IF方式のみに対応している。同一の受信回路で両方式に対応することができれば世界のディジタル放送に対応することができ大きなメリットとなるため、そのようなシステムが求められている。
【0005】
Low-IF方式とZero-IF方式の両方式に対応することができる受信装置の従来例である特許第3700933号公報(特許文献1)について、図6を参照して説明する。ただし、この従来例は、テレビジョン受信機ではなく、通信端末に関するものである。受信装置は、大別して、アンテナ10で受信した高周波信号から希望のチャンネル周波数を選択し、ベースバンドの信号に変換するチューナ回路13aと、チューナ回路13aから出力されるベースバンドの信号より受信信号を復号する復号回路15とで構成されている。
【0006】
まず、アンテナ10で受信された高周波信号は、RFフィルタ回路11と低ノイズ増幅器12とを介して、チューナ回路13aに入力される。
【0007】
チューナ回路13aは、I信号用ミキサ回路20、Q信号用ミキサ回路21、フィルタ回路22、GCA回路23,24、移相器30、局部発振器31、ミキサ回路25、局部発振器32、フィルタ回路26、で構成されている。
【0008】
参照符号S20はI信号用ミキサ回路20の出力信号を示している。参照符号S21はQ信号用ミキサ回路21の出力信号を示している。参照符号S22I,S22Qはフィルタ回路22のI出力信号,Q出力信号を示している。参照符号S23,S24はGCA回路23,24の出力信号を示している。参照符号S25I,S25Qはミキサ回路25のI出力信号,Q出力信号を示している。参照符号S26I,S26Qはフィルタ回路26のI出力信号,Q出力信号を示している。参照符号S14は受信機モード設定部14の出力信号を示している。参照符号S15は復号回路15の出力信号を示している。
【0009】
Zero-IF方式では、直交ミキサ回路であるI信号用ミキサ回路20,Q信号用ミキサ回路21において、受信信号とほぼ同じ周波数の一対の直交した局部発振信号と低ノイズ増幅器12で増幅された受信信号とをミキシングすることにより、直交関係にあるベースバンドのI信号S20,Q信号S21が生成される。次に、チャンネル選択用フィルタ回路22でI信号S20,Q信号S21の帯域を制限することにより不要波を除去した後、GCA回路23,24で所定のレベルまで増幅する。Zero-IF方式では、切替えスイッチSW3,SW4は、受信機モード設定部14からの出力信号S14によって、GCA回路23,24の出力信号S23,S24を選択しているため、GCA回路23,24の出力信号S23,S24は復号回路15で復号されることになる。
【0010】
一方、Low-IF方式について、同じく図6を参照して説明する。Low-IF方式では、I信号用ミキサ回路20,Q信号用ミキサ回路21において、受信信号からチャンネル間隔の1/2に相当する周波数をオフセットした一対の直交した局部発振信号と低ノイズ増幅器12で増幅された信号とをミキシングすることにより、直交関係にあるベースバンドのI信号,Q信号のIF(中間周波)信号S20,S21が生成される。次に、チャンネル選択用フィルタ22でI信号S20,Q信号S21の帯域を制限することにより不要波を除去した後、GCA回路23,24で所定のレベルまで増幅する。
【0011】
その後、ミキサ回路25で、IF周波数とほぼ同じ周波数の一対の直交した局部発振信号とI信号,Q信号のIF信号S23,S24とをミキシングすることにより、直交関係にあるベースバンドのI信号S25I,Q信号S25Qが生成される。次に、チャンネル選択用フィルタ回路26で不要波を除去する。Low-IF方式では、切替えスイッチSW3,SW4は、受信機モード設定部14からの出力信号S14によって、ミキサ回路25の出力信号S25I,S25Qを選択しているため、ミキサ回路25の出力信号S25I,S25Qは復号回路15で復号されることになる。なお、チャンネル選択用フィルタ回路26は、チャンネル選択用フィルタ回路22で不足している減衰量を補うものである。
【0012】
また、Low-IF方式とZero-IF方式を両立させるための各ブロックにおける特性切替えについて説明すると、チャンネル選択用フィルタ回路22,26は、LPFとHPFを組合せたGm−Cフィルタで構成されており、各Gmアンプの動作電流を制御することによって、フィルタのカットオフ周波数とQ値を変えている。
【0013】
また、従来例(特許文献1)においては、通信方式が、間欠受信動作を行うTDMA方式のときには、回路ブロック間に設けられたHPFの起動時間が長いためにZero-IF方式は不適であるため、Low-IF方式を採用している。一方、CDMA方式のときには、間欠受信動作を行わずかつ信号帯域が広いため、回路ブロック間に設けられたHPFのカットオフ周波数を比較的高く設定することができ、起動時間を短くすることができる。それゆえ、Zero-IF方式を採用している。
【特許文献1】特許第3700933号公報
【特許文献2】特開2006-157866号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上説明したように、図6に示した従来例(特許文献1)のチューナ回路13aにおいては、Low-IF方式とZero-IF方式の両方式に対応するために、ミキサ回路20,25、局部発振器31,32、フィルタ回路22,26がそれぞれ複数設けられている。
【0015】
本発明の目的は、回路素子数を低減し、それによって回路面積の低減,回路電流の減少を実現できるフィルタ装置および受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によるフィルタ装置は、
直交関係にある第1の差動信号および第2の差動信号を帯域制限するフィルタ装置であって、
前記第1の差動信号に対応した第1の反転入力端,第1の非反転入力端,第1の反転出力端および第1の非反転出力端と、前記第2の差動信号に対応した第2の反転入力端,第2の非反転入力端,第2の反転出力端および第2の非反転出力端とを有する複素アクティブフィルタ回路と、
前記第2の反転出力端から前記第1の反転入力端に至る経路に挿入され、外部からの制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第1の切替えスイッチと、
前記第2の非反転出力端から前記第1の非反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第2の切替えスイッチと、
前記第1の非反転出力端から前記第2の反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第3の切替えスイッチと、
前記第1の反転出力端から前記第2の非反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第4の切替えスイッチと、
を備え、
前記制御信号によって前記第1〜第4の切替えスイッチのON/OFFを制御することにより、帯域制限すべき帯域をLow-IF方式の帯域またはZero-IF方式の帯域に切替えることができるようにした、
ことを特徴とする。
【0017】
また、上記フィルタ装置において、
前記複素アクティブフィルタ回路は、
前記第1の反転入力端および前記第1の非反転入力端を入力とし、前記第1の反転出力端および前記第1の非反転出力端を出力とする第1の平衡増幅器と、
前記第1の非反転入力端と前記第1の反転出力端との間に設けられて第1の帰還路を形成する第1のCR回路と、
前記第1の反転入力端と前記第1の非反転出力端との間に設けられて第2の帰還路を形成する第2のCR回路と、
前記第2の反転入力端および第2の非反転入力端を入力とし、前記第2の反転出力端および前記第2の非反転出力端を出力とする第2の平衡増幅器と、
前記第2の非反転入力端と前記第2の反転出力端との間に設けられて第3の帰還路を形成する第3のCR回路と、
前記第2の反転入力端と前記第2の非反転出力端との間に設けられて第4の帰還路を形成する第4のCR回路と、
前記第1の反転入力端と前記第2の反転出力端との間に前記第1の切替えスイッチと直列に接続された第1の抵抗と、
前記第1の非反転入力端と前記第2の非反転出力端との間に前記第2の切替えスイッチと直列に接続された第2の抵抗と、
前記第2の反転入力端と前記第1の非反転出力端との間に前記第3の切替えスイッチと直列に接続された第3の抵抗と、
前記第2の非反転入力端と前記第1の反転出力端との間に前記第4の切替えスイッチと直列に接続された第4の抵抗と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0018】
本発明による受信装置は、
受信信号を直交関係にある第1の差動信号および第2の差動信号に直交変換するミキサ回路と、
前記ミキサ回路からの第1の差動信号および第2の差動信号を帯域制限するフィルタ回路と、
前記フィルタ回路によって帯域制限された第1の差動信号および第2の差動信号のいずれか一方,または,両方を外部へ出力するスイッチ回路とを備えた受信装置であって、
前記ミキサ回路は、
外部からの制御信号がLow-IF方式を示すときは、前記受信信号に対してオフセットされた周波数の信号で前記受信信号を直交変換し、
前記制御信号がZero-IF方式を示すときは、前記受信信号と同じ周波数の信号で前記受信信号を直交変換し、
前記フィルタ回路は、
前記第1の差動信号に対応した第1の反転入力端,第1の非反転入力端,第1の反転出力端および第1の非反転出力端と、前記第2の差動信号に対応した第2の反転入力端,第2の非反転入力端,第2の反転出力端および第2の非反転出力端とを有する複素アクティブフィルタ回路と、
前記第2の反転出力端から前記第1の反転入力端に至る経路に挿入され、外部からの制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第1の切替えスイッチと、
前記第2の非反転出力端から前記第1の非反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第2の切替えスイッチと、
前記第1の非反転出力端から前記第2の反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第3の切替えスイッチと、
前記第1の反転出力端から前記第2の非反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第4の切替えスイッチと、
を備え、
前記制御信号がLow-IF方式を示すときは、前記第1〜第4の切替えスイッチのON/OFFを制御することにより、前記ミキサ回路からの第1の差動信号および第2の差動信号に含まれるイメージ信号と隣接チャンネルの信号とを除去するLow-IFの帯域を有する複素フィルタ回路を構成し、
前記制御信号がZero-IF方式を示すときは、前記第1〜第4の切替えスイッチのON/OFFを制御することにより、前記ミキサ回路からの第1の差動信号および第2の差動信号に含まれる隣接チャンネルの信号を除去するZero-IFの帯域を有するLPF回路を構成し、
前記スイッチ回路は、
前記制御信号がLow-IF方式を示すときは、前記フィルタ回路によって帯域制限された第1の差動信号および第2の差動信号のいずれか一方を外部へ出力し、
前記制御信号がZero-IF方式を示すときは、前記フィルタ回路によって帯域制限された第1の差動信号および第2の差動信号の両方を外部へ出力する、
ことを特徴とする。
【0019】
また、上記受信装置において、
Low-IF方式を示す前記制御信号またはZero-IF方式を示す前記制御信号を前記ミキサ回路,前記フィルタ回路,前記スイッチ回路に与えるモード設定部と、
前記スイッチ回路から出力される信号を復号する復号回路と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0020】
また、上記受信装置において、
Low-IF方式を示す前記制御信号を前記ミキサ回路,前記フィルタ回路,前記スイッチ回路に与えるモード設定部と、
前記スイッチ回路から出力される信号を復号するLow-IF用復号回路と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0021】
また、上記受信装置において、
Zero-IF方式を示す前記制御信号を前記ミキサ回路,前記フィルタ回路,前記スイッチ回路に与えるモード設定部と、
前記スイッチ回路から出力される信号を復号するZero-IF用復号回路と、
をさらに備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によるフィルタ装置では、第1〜第4の切替えスイッチを複素アクティブフィルタ回路の入力端と出力端の間に配置し、それらのON/OFFを制御することによって、Low-IF方式の帯域特性とZero-IF方式の帯域特性とを切替えることができる。帯域特性の切替えを実現するために必要な素子数は、1次のフィルタであれば、わずか4素子(第1〜第4の切替えスイッチ)であり、非常に容易に切替えが実現できる。
【0023】
また、このフィルタ装置を搭載した受信装置によれば、Low-IF方式とZero-IF方式の切替え機能をより少ない素子数で実現でき、回路面積の低減、ノイズの改善、回路電流の減少を図ることができる。さらに、スプリアスやIQミスマッチなどの特性改善を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳しく説明する。なお、図面においては実質的に同一の構成要素には同一の参照符号を付けている。
【0025】
まず、複素フィルタ回路について説明する。
【0026】
日本のISDB-TやヨーロッパのDVB-Tで採用されているLow-IF方式を採用している際には、図5(a)に示すような、隣接チャネルの信号を抑圧しイメージ信号を除去することができる複素フィルタ回路が有効である。一方、Zero-IF方式では、図5(b)に示すような、LPFの帯域を有するフィルタ回路でよい。
【0027】
このようなフィルタ装置は、先述したとおり、従来SAWフィルタによって実現されていた特性を半導体内部のRC素子からなるアクティブフィルタによって実現したものであり、通過域から阻止域への遮断特性の急峻度、さらに、群遅延特性やリップル特性が良好であることが求められる。これらの特性を実現するためのフィルタとしては、逆チェビシェフフィルタ、楕円(エリプティック)フィルタなどが考えられるが、そのいずれのフィルタであっても8次以上の次数の高次のフィルタが必要になってくる。そして、この高次のフィルタは、1次フィルタや2次フィルタのブロックカスケーディング構成(バイクァッドの多項式)、あるいは、素子感度を低くするためにリープフロッグフィルタによって実現され、設計がしやすいように低次のフィルタに何分割かにされている。
【0028】
また、半導体内部のRC素子を用いたアクティブフィルタによってこの複素フィルタ装置を作成する際のアクティブフィルタ構成としては、一般に、演算増幅器とCRとから構成されるフィルタ網と、トランスコンダクタンスおよび容量からなるGm−Cフィルタ網とが考えられる。複素フィルタ装置が演算増幅器とCRで構成されるフィルタ網で構成される場合には、回路面積が比較的大きくなりがちであるが、歪み特性は良好になる傾向にある。一方、Gm−Cフィルタ網で構成される場合には、回路面積が比較的小さい反面、歪み特性は劣化する傾向にある。
【0029】
また、特開2006-157866号公報(特許文献2)に記載されているように、複素フィルタ装置における同相(I)信号処理系と直交(Q)信号処理系との間で相対する素子のミスマッチがある場合は、位相やゲインのIQミスマッチが増大し、複素フィルタ装置のイメージ除去比が劣化する。このため、IQミスマッチを低減することが重要である。例えば、ISDB-Tの12seg用フィルタ特性を満足させるためには、イメージ除去比はおおよそ50dB必要であり、フィルタの回路設計手法にもよるが、許容されるIQミスマッチは、ゲイン差については約0.5%以下、位相差については約0.5°以下が必要である。このIQミスマッチは、Low-IF方式だけではなく、Zero-IF方式においても同様に重要である。
【0030】
また、これらの高次のフィルタを構成する際には、デバイス数が多く、回路電流も低減する必要があるため、ノイズ特性も課題となってくる。このため、一般的に、フィルタの前段、段間、後段には利得制御回路としてGCA(Gain Control Amp)回路が設けられており、復調回路での復調時にS/Nや歪が最も良好に保たれるようにあらかじめ各利得制御回路のゲイン配分や自動利得制御が機能し始めるポイントが設定されている。例えば、信号レベルが小さい際は、歪みは問題ないためゲインを大きくとってS/Nを良くすればよい。一方、信号レベルが大きい際は、S/Nは問題ないためゲインを小さくとって歪みを良くすればよい。また、各利得制御回路のゲイン配分に関しては、前段のゲインを高くして後段のゲインが低くなるように設定すればS/Nは良好になる。
【0031】
次に、本発明の実施形態によるフィルタ回路について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態によるフィルタ回路の構成を示す回路図である。このフィルタ回路27は、帯域制限すべき帯域をLow-IF方式の帯域またはZero-IF方式の帯域に切替えることができるフィルタ回路であり、例えば図2に示す受信装置におけるIFフィルタ回路27として用いられるものである。
【0032】
図1に示すフィルタ回路27は、演算増幅器50,51と、抵抗R20〜R23,R30〜R33,R40〜R43と、コンデンサC20〜C22と、切替えスイッチSW10〜SW13とを備える。
【0033】
演算増幅器50は、反転入力端および非反転入力端に差動信号S20が入力され、反転出力端および非反転出力端から差動信号S27Iを出力する平衡増幅器である。演算増幅器50の入力路には抵抗R20,R21が挿入されている。演算増幅器50の非反転入力端と反転出力端との間の帰還路には、抵抗R30およびコンデンサC20の並列回路が挿入接続されている。演算増幅器50の反転入力端と非反転出力端との間の帰還路には、抵抗R31およびコンデンサC21の並列回路が挿入接続されている。
【0034】
演算増幅器51は、反転入力端および非反転入力端に差動信号S21が入力され、反転出力端および非反転出力端から差動信号S27Qを出力する平衡増幅器である。演算増幅器51の入力路には抵抗R22,R23が挿入されている。演算増幅器51の非反転入力端と反転出力端との間の帰還路には、抵抗R32およびコンデンサC22の並列回路が挿入接続されている。演算増幅器51の反転入力端と非反転出力端との間の帰還路には、抵抗R33およびコンデンサC23の並列回路が挿入接続されている。
【0035】
演算増幅器50の反転入力端と演算増幅器51の反転出力端との間には、抵抗R40と切替えスイッチSW10とが直列接続されている。演算増幅器50の非反転入力端と演算増幅器51の非反転出力端との間には、抵抗R41と切替えスイッチSW11とが直列接続されている。演算増幅器51の反転入力端と演算増幅器50の非反転出力端との間には、抵抗R42と切替えスイッチSW12とが直列接続されている。演算増幅器51の非反転入力端と演算増幅器50の反転出力端との間には、抵抗R43と切替えスイッチSW13とが直列接続されている。
【0036】
切替えスイッチSW10〜SW13は、外部からの制御信号S14によりON/OFFが制御される。切替えスイッチSW10〜SW13は、ON抵抗の低いNMOSトランジスタやPMOSトランジスタで実現されることが望ましい。
【0037】
なお、本構成ではオペアンプとRCから構成されるアクティブフィルタ網を用いたが、トランスコンダクタンスおよび容量からなるGm−Cフィルタ網を用いてもよい。
【0038】
ここで、演算増幅器50,51の入力路に挿入された抵抗R20〜R23の抵抗値をRiとする。また、演算増幅器50,51の帰還路に設けられた抵抗R30〜R33の抵抗値をRf,コンデンサC20〜C23の容量値をCfとする。また、演算増幅器50,51の入力端と出力端との間に配置された抵抗R40〜R43の抵抗値をRcとする。
【0039】
切替えスイッチSW10〜SW13がONのとき、フィルタ回路27は、Low-IF方式の帯域特性を有する複素フィルタとして機能する。このときの伝達関数H(s)は[数1]のようになる。ここで、切替えスイッチSW10〜SW13のON抵抗値はゼロとする。ωoは正規化周波数であり、ωcは図5に示すバンドパスのセンター周波数である。sはラプラス演算子である。
【0040】
[数1]
(s)=−(Rf/Ri)・{ωo/(j(ω−ωc)+ωo)}
【0041】
[数2]
ωo=1/(Rf・Cf)
【0042】
[数3]
ωc=1/(Rc・Cf)
【0043】
一方、DVB-Tで採用されているZero-IF方式の際は、隣接チャネルの信号を抑圧する必要はあるが、イメージ信号が存在しないためイメージ信号を除去する必要はない。フィルタ回路27は、直交位相関係にあるI信号処理系とQ信号処理系のそれぞれに、LPFの帯域特性を有するフィルタを配置すればよい。切替えスイッチSW10〜SW13がOFFのとき、フィルタ回路27は、Zero-IF方式の帯域特性を有するフィルタとして機能する。このときの伝達関数H(s)を[数1]〜[数3]と同様に求めると[数4]〜[数6]のようになる。ここでは切替えスイッチSW10〜SW13の抵抗値を無限大とする。このため、等価的に抵抗R40〜R43の抵抗値Rcを無限大として求めればよい。
【0044】
[数4]
(s)=−(Rf/Ri)・(ωo/(s+ωo))
【0045】
[数5]
ωo=1/(Rf・Cf)
【0046】
[数6]
ωc=0
【0047】
このように、本実施形態のフィルタ回路27では、切替えスイッチSW10〜SW13を演算増幅器50,51の入力端と出力端の間に配置し、それらのON/OFFを制御することによって、Low-IF方式の帯域特性とZero-IF方式の帯域特性とを切替えることができる。また、帯域特性の切替えを実現するために必要な素子数は、1次のフィルタであれば、わずか4素子であり、非常に容易に切替えが実現できる。
【0048】
あらゆる型の伝達関数は、積分器と加算器を含む回路で実現することができる。本実施形態では1次のLPFを例として説明したが、本発明は、高次のリープフロッグ回路やバイクァッド回路などの差動入力積分器のみを使用したフィルタ回路に展開できる。
【0049】
また、本実施形態では、差動信号を扱うフィルタ回路を示したが、シングル方式の信号を扱う回路にも本発明のフィルタ装置を適用可能である。
【0050】
欧州のDVB-TにおけるLow-IF方式とZero-IF方式では、信号帯域や、通過域から阻止域への遮断特性は同じであるため、欧州のDVB-TにおけるLow-IF方式とZero-IF方式との切替えは、単純に切替えスイッチSW10〜SW13のON/OFFを切替えれば実現できる。このため、Gm−Cフィルタで構成された従来例(特許文献1)のように、各Gmアンプの動作電流を制御することによってフィルタのカットオフ周波数とQ値を変える必要がなく、容易に実現が可能である。
【0051】
一方、DVB-TとISDB-Tでは正規化周波数ωoやセンター周波数ωcが数MHz程度異なるため、DVB-TとISDB-Tとの切替えの際には、上記[数1]〜[数6]に従って抵抗値や容量値を切替えて、図5に示す正規化周波数ωoやセンター周波数ωcを変更できるようにすればよい。
【0052】
次に、図1のフィルタ回路27を搭載した受信装置について説明する。この受信装置は例えばテレビジョン受信機に内蔵される。受信装置の概略構成を図2に示す。なお、図2では、従来例(図6)と実質的に同一の部分には同一の参照符号を付けている。
【0053】
図2に示すように、テレビジョン受信機に内蔵された受信装置は、大別して、アンテナ10で受信したテレビジョン高周波信号から希望のチャンネル周波数を選択しLow-IFの信号またはベースバンドの信号に変換するチューナ回路13bと、チューナ回路13bから出力されるLow-IFの信号またはベースバンドの信号から映像信号と音声信号とを復号する復号回路16とで構成されている。復号回路16は、テレビジョン受信機がLow-IF方式であるときはLow-IF用の復号回路が用いられ、Zero-IF方式であるときはZero-IF用の復号回路が用いられる。
【0054】
アンテナ10で受信されたテレビジョン高周波信号は、RFフィルタ回路11と低ノイズ増幅器12とを介して、チューナ回路13bに入力される。チューナ回路13bは、I信号用ミキサ回路20と、Q信号用ミキサ回路21と、IFフィルタ回路27と、GCA回路23,24と、移相器30と、局部発振器31とを備えている。IFフィルタ回路27の内部構成は図1に示したものと同じである。局部発振器31は、受信機モード設定部14からの制御信号S14に応じた周波数fLOCALの局部発振信号を出力する。
【0055】
図2において、参照符号S20はI信号用ミキサ回路20の出力信号を示している。参照符号S21はQ信号用ミキサ回路21の出力信号を示している。参照符号S27I,S27Qはそれぞれフィルタ回路27のI出力信号,Q出力信号を示している。参照符号S23,S24はそれぞれGCA回路23,24の出力信号を示している。参照符号S14は受信機モード設定部14の出力信号を示している。参照符号S16は復号回路16の出力信号を示している。
【0056】
次に、図1のフィルタ回路27を搭載した受信装置がLow-IF方式のテレビジョン受信機に内蔵される場合の例を説明する。この場合の受信装置の概略構成を図3に示す。この受信装置では、Low-IF用の復号回路16aが用いられ、また、受信機モード設定部14からは、Low-IF方式であることを示す制御信号S14が出力される。
【0057】
アンテナ10で受信されたテレビジョン高周波信号は、バンドパス特性を有するRFフィルタ回路11によってフィルタ処理が行われ、次に、低ノイズ増幅器(LNA)12によって増幅される。低ノイズ増幅器12によって増幅された受信信号は、I信号用ミキサ回路20とQ信号用ミキサ回路21に入力される。
【0058】
受信機モード設定部14からの制御信号S14に応答して、局部発振器31および移相器30は、受信信号の周波数からチャンネル間隔の1/2に相当する周波数だけオフセットされた周波数を有する一対の直交した局部発振信号を出力する。この一対の局部発振信号は、それぞれ、ゼロ位相シフトの信号,90°位相シフトの信号としてI信号用ミキサ回路20,Q信号用ミキサ回路21に供給される。そしてI信号用ミキサ回路20,Q信号用ミキサ回路21において、上記局部発振信号と低ノイズ増幅器12からの信号とがミキシングされ、直交関係にあるベースバンド信号のI信号S20とQ信号S21が生成される。
【0059】
この結果、アンテナ10で受信された受信信号は、図5(a)に示すように、例えばISDB-Tであれば、4MHzを中心周波数としたLow-IFの信号にダウンコンバートされつつ直交復調が行われ、互いに90度位相がずれた同位相信号(I信号)S20および直交位相信号(Q信号)S21が生成される。
【0060】
IFフィルタ回路27においては、受信機モード設定部14からの制御信号S14に応答して切替えスイッチSW10〜SW13(図1参照)がONになっている。これにより、IFフィルタ回路27は、図5(a)に示す特性を有するフィルタとして動作する。つまり、チャンネル選択フィルタの特性を有し、さらに所望信号のイメージバンド内(すなわち、0Hz以下)に存在する干渉を除去するイメージ除去フィルタ(IRフィルタ)として動作する。
【0061】
結果的に、ミキサ回路20,21から出力されたI信号S20,Q信号S21(Low-IF信号)がIFフィルタ回路27に入力され、IFフィルタ回路27においてイメージ信号と隣接の妨害信号とを減衰させることにより、所望信号のみを、例えばISDB-Tであれば4MHz±3MHz(1MHz〜7MHz)帯域の周波数を通過させることができる。
【0062】
このように、イメージ干渉が除去され、さらに隣接チャンネルの信号も抑圧された信号S27I,S27Qは、この後の信号処理では、実信号として取り扱うことができる。すなわち、I信号S27IおよびQ信号S27Qのいずれか一方のみを処理すればよいことになる。
【0063】
受信機モード設定部14からの制御信号S14に応答して、切替えスイッチSW1はOFF,切替スイッチSW2はONになっている。したがって、GCA回路23の出力信号S23がチューナ回路13bより出力され、Low-IFの信号を処理するLow-IF用復号回路16aに与えられる。Low-IF用復号回路16aにおいては、AD変換が行われ、ディジタル変換後のデータをもとにしたさまざまな処理が続いて行われる。
【0064】
また、Low-IF用復号回路16aは、入力信号であるGCA回路23の出力信号S23の強度に応じた信号S16aを出力しており、この信号S16aがGCA回路23にフィードバックして供給される。GCA回路23は、この信号S16aに応じて利得制御を行い、チューナ回路13bの出力信号であるGCA回路23の出力信号S23のレベルを一定にするような動作をしている。
【0065】
次に、図1のフィルタ回路27を搭載した受信装置がZero-IF方式のテレビジョン受信機に内蔵される場合の例を説明する。この場合の受信装置の概略構成を図4に示す。この受信装置では、Zero-IF用の復号回路16bが用いられ、また、受信機モード設定部14からは、Zero-IF方式であることを示す制御信号S14が出力される。
【0066】
アンテナ10で受信されたテレビジョン高周波信号は、バンドパス特性を有するRFフィルタ回路11によってフィルタ処理が行われ、次に、低ノイズ増幅器(LNA)12によって増幅される。低ノイズ増幅器12によって増幅された受信信号は、I信号用ミキサ回路20とQ信号用ミキサ回路21に入力される。
【0067】
受信機モード設定部14からの制御信号S14に応答して、局部発振器31および移相器30は、受信信号とほぼ同じ周波数の一対の直交した局部発振信号を出力する。この一対の局部発振信号は、それぞれ、I信号用ミキサ回路20,Q信号用ミキサ回路21に供給される。そしてI信号用ミキサ回路20,Q信号用ミキサ回路21において、上記局部発振信号と低ノイズ増幅器12からの信号とがミキシングされ、直交関係にあるベースバンド信号のI信号S20とQ信号S21が生成される。
【0068】
IFフィルタ回路27においては、受信機モード設定部14からの制御信号S14に応答して切替えスイッチSW10〜SW13(図1参照)がOFFになっている。これにより、IFフィルタ回路27は、図5(b)に示す特性を有する複素フィルタとして動作する。Zero-IF方式ではイメージ信号が存在しないため、IFフィルタ回路27はイメージ信号を除去する必要はなく、LPFの特性を有するチャンネル選択フィルタとして動作する。
【0069】
この結果、I信号用ミキサ回路20,Q信号用ミキサ回路21の出力信号S20,S21は、IFフィルタ回路27によって不要波を除去された後、GCA回路23,24で所定のレベルまで増幅される。
【0070】
受信機モード設定部14からの制御信号S14に応答して、切替えスイッチSW1,SW2はともにONになっている。したがって、GCA回路23の出力信号S23とGCA回路24の出力信号S24とがチューナ回路13bより出力され、Zero-IFの信号を処理するZero-IF用復号回路16bに与えられる。Zero-IF用復号回路16bにおいては、AD変換が行われ、ディジタル変換後のデータをもとにしたさまざまな処理が続いて行われる。
【0071】
また、Zero-IF用復号回路16bは、入力信号であるGCA回路23,24の出力信号S23,S24の強度に応じた信号S16bを出力しており、この信号S16bがGCA回路23,24にフィードバックして供給される。GCA回路23,24は、この信号S16bに応じて利得制御を行い、チューナ回路13bの出力信号であるGCA回路23,24の出力信号S23,S24のレベルを一定にするような動作をしている。
【0072】
なお、日本のISDB-T,欧州のDVB-T,アメリカ合衆国のATSCのテレビジョン受信機では、従来例(特許文献1)に示す通信方式のような間欠受信動作はしておらず、連続受信動作である。このため、テレビジョン受信機でのZero-IF方式では、通信方式のZero-IF方式のように各ブロック間をHPFで結合していたとしても、起動時間が長くて問題になるようなことはない。また、HPFの代わりに、DCオフセット除去のためのオフセット電圧除去回路を用いた構成も有効である。
【0073】
以上のように、図1のフィルタ回路27を搭載した受信装置では、Low-IF方式のテレビジョン受信機に内蔵される場合(図3)もZero-IF方式のテレビジョン受信機に内蔵される場合(図4)もチューナ回路13bの構成自体は同じである。受信機モード設定部14からの制御信号S14に応じてチューナ回路13b内の所定部分(局部発振器31の出力信号の周波数,切替えスイッチSW1,SW2のON/OFF,フィルタ回路27内の切替えスイッチSW10〜SW13のON/OFF)が切り替わることにより、Low-IF方式,Zero-IF方式の両方に対応できるようになっている。
【0074】
また、図6に示した従来例(特許文献1)のチューナ回路13aでは、ミキサ回路(20,21),25、局部発振器31,32、フィルタ回路22,26がそれぞれ複数設けられているのに対して、本実施形態のチューナ回路13bによればそれぞれ1つでよい。したがって、回路面積の低減、ノイズの改善、回路電流の減少を実現できる。さらに、スプリアスやIQミスマッチなどの特性改善を実現できる。
【0075】
なお、上記実施形態では、図1のフィルタ回路27の適用例として、受信信号を映像信号と音声信号に復調するディジタルTV用受信装置を例に挙げて説明したが、Low-IF方式とZero-IF方式の切替え機能を有するあらゆる受信装置(通信分野など)に適用できることは言うまでもない。
【0076】
また、上記実施形態の受信装置では、受信信号がアンテナ10から入力される例を示したが、受信信号がケーブルを介して入力される場合に対しても適用できることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0077】
以上説明したように、本発明は、Low-IF方式とZero-IF方式の切替えを、素子数が非常に少ない構成によって実現することができ、例えば、テレビジョン受信機や通信端末の分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施形態によるフィルタ回路の内部構成を示す回路図である。
【図2】図1のフィルタ回路を搭載した受信装置の概略構成を示す図である。
【図3】Low-IF方式の受信装置の構成を示す図である。
【図4】Zero-IF方式の受信装置の構成を示す図である。
【図5】(a)Low-IF方式のフィルタ帯域特性の一例を示す図である。(b)Zero-IF方式のフィルタ帯域特性の一例を示す図である。
【図6】従来の受信装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
10 アンテナ
11 RFフィルタ
12 LNA
13a,13b チューナ回路
14 受信機モード設定部
15 復号回路
16 Low-IF用またはZero-IF用の復号回路
16a Low-IF用復号回路
16b Zero-IF用復号回路
20 I信号用ミキサ回路
21 Q信号用ミキサ回路
22 フィルタ回路
23,24 GCA回路
25 ミキサ回路
26 フィルタ回路
27 IFフィルタ回路
30 移相器
31,32 局部発振器
50,51 コモンモードフィードバックを備えた演算増幅器
SW1〜SW4,SW10〜SW13 切替えスイッチ
R20〜R23 入力抵抗
C20〜C23 帰還容量
R30〜R33 帰還抵抗
R40〜R43 抵抗

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交関係にある第1の差動信号および第2の差動信号を帯域制限するフィルタ装置であって、
前記第1の差動信号に対応した第1の反転入力端,第1の非反転入力端,第1の反転出力端および第1の非反転出力端と、前記第2の差動信号に対応した第2の反転入力端,第2の非反転入力端,第2の反転出力端および第2の非反転出力端とを有する複素アクティブフィルタ回路と、
前記第2の反転出力端から前記第1の反転入力端に至る経路に挿入され、外部からの制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第1の切替えスイッチと、
前記第2の非反転出力端から前記第1の非反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第2の切替えスイッチと、
前記第1の非反転出力端から前記第2の反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第3の切替えスイッチと、
前記第1の反転出力端から前記第2の非反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第4の切替えスイッチと、
を備え、
前記制御信号によって前記第1〜第4の切替えスイッチのON/OFFを制御することにより、帯域制限すべき帯域をLow-IF方式の帯域またはZero-IF方式の帯域に切替えることができるようにした、
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複素アクティブフィルタ回路は、
前記第1の反転入力端および前記第1の非反転入力端を入力とし、前記第1の反転出力端および前記第1の非反転出力端を出力とする第1の平衡増幅器と、
前記第1の非反転入力端と前記第1の反転出力端との間に設けられて第1の帰還路を形成する第1のCR回路と、
前記第1の反転入力端と前記第1の非反転出力端との間に設けられて第2の帰還路を形成する第2のCR回路と、
前記第2の反転入力端および第2の非反転入力端を入力とし、前記第2の反転出力端および前記第2の非反転出力端を出力とする第2の平衡増幅器と、
前記第2の非反転入力端と前記第2の反転出力端との間に設けられて第3の帰還路を形成する第3のCR回路と、
前記第2の反転入力端と前記第2の非反転出力端との間に設けられて第4の帰還路を形成する第4のCR回路と、
前記第1の反転入力端と前記第2の反転出力端との間に前記第1の切替えスイッチと直列に接続された第1の抵抗と、
前記第1の非反転入力端と前記第2の非反転出力端との間に前記第2の切替えスイッチと直列に接続された第2の抵抗と、
前記第2の反転入力端と前記第1の非反転出力端との間に前記第3の切替えスイッチと直列に接続された第3の抵抗と、
前記第2の非反転入力端と前記第1の反転出力端との間に前記第4の切替えスイッチと直列に接続された第4の抵抗と、
を備える、
ことを特徴とするフィルタ装置。
【請求項3】
受信信号を直交関係にある第1の差動信号および第2の差動信号に直交変換するミキサ回路と、
前記ミキサ回路からの第1の差動信号および第2の差動信号を帯域制限するフィルタ回路と、
前記フィルタ回路によって帯域制限された第1の差動信号および第2の差動信号のいずれか一方,または,両方を外部へ出力するスイッチ回路とを備えた受信装置であって、
前記ミキサ回路は、
外部からの制御信号がLow-IF方式を示すときは、前記受信信号に対してオフセットされた周波数の信号で前記受信信号を直交変換し、
前記制御信号がZero-IF方式を示すときは、前記受信信号と同じ周波数の信号で前記受信信号を直交変換し、
前記フィルタ回路は、
前記第1の差動信号に対応した第1の反転入力端,第1の非反転入力端,第1の反転出力端および第1の非反転出力端と、前記第2の差動信号に対応した第2の反転入力端,第2の非反転入力端,第2の反転出力端および第2の非反転出力端とを有する複素アクティブフィルタ回路と、
前記第2の反転出力端から前記第1の反転入力端に至る経路に挿入され、外部からの制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第1の切替えスイッチと、
前記第2の非反転出力端から前記第1の非反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第2の切替えスイッチと、
前記第1の非反転出力端から前記第2の反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第3の切替えスイッチと、
前記第1の反転出力端から前記第2の非反転入力端に至る経路に挿入され、前記制御信号に応答して当該経路を導通/遮断する第4の切替えスイッチと、
を備え、
前記制御信号がLow-IF方式を示すときは、前記第1〜第4の切替えスイッチのON/OFFを制御することにより、前記ミキサ回路からの第1の差動信号および第2の差動信号に含まれるイメージ信号と隣接チャンネルの信号とを除去するLow-IFの帯域を有する複素フィルタ回路を構成し、
前記制御信号がZero-IF方式を示すときは、前記第1〜第4の切替えスイッチのON/OFFを制御することにより、前記ミキサ回路からの第1の差動信号および第2の差動信号に含まれる隣接チャンネルの信号を除去するZero-IFの帯域を有するLPF回路を構成し、
前記スイッチ回路は、
前記制御信号がLow-IF方式を示すときは、前記フィルタ回路によって帯域制限された第1の差動信号および第2の差動信号のいずれか一方を外部へ出力し、
前記制御信号がZero-IF方式を示すときは、前記フィルタ回路によって帯域制限された第1の差動信号および第2の差動信号の両方を外部へ出力する、
ことを特徴とする受信装置。
【請求項4】
請求項3において、
Low-IF方式を示す前記制御信号またはZero-IF方式を示す前記制御信号を前記ミキサ回路,前記フィルタ回路,前記スイッチ回路に与えるモード設定部と、
前記スイッチ回路から出力される信号を復号する復号回路と、
をさらに備えることを特徴とする受信装置。
【請求項5】
請求項3において、
Low-IF方式を示す前記制御信号を前記ミキサ回路,前記フィルタ回路,前記スイッチ回路に与えるモード設定部と、
前記スイッチ回路から出力される信号を復号するLow-IF用復号回路と、
をさらに備えることを特徴とする受信装置。
【請求項6】
請求項3において、
Zero-IF方式を示す前記制御信号を前記ミキサ回路,前記フィルタ回路,前記スイッチ回路に与えるモード設定部と、
前記スイッチ回路から出力される信号を復号するZero-IF用復号回路と、
をさらに備えることを特徴とする受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−147526(P2009−147526A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320929(P2007−320929)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】