フィルムウェブを長手方向に引き抜く方法及び装置
【課題】
【解決手段】本発明は、速度V1にて駆動される少なくとも1つの被駆動ローラ2と、V1<V2である、速度V2にて駆動される少なくとも1つの第二の被駆動ローラ3とを備える、熱可塑性プラスチックで出来たフィルムウェブを引き抜く装置に関する。ローラ2、3は、2つのローラ2、3の間に引き抜き空隙4が具体化されるよう順次に、配置されている。引き抜き空隙4内にて長手方向に引き抜く間、フィルムウェブの幅が実質的に維持されるようフィルムウェブの両端縁を機械的に把持する幅維持装置が引き抜き空隙4内に配置されている。本発明は、上記装置によって引き抜いたフィルムを長手方向に引き抜く方法に更に関する。
【解決手段】本発明は、速度V1にて駆動される少なくとも1つの被駆動ローラ2と、V1<V2である、速度V2にて駆動される少なくとも1つの第二の被駆動ローラ3とを備える、熱可塑性プラスチックで出来たフィルムウェブを引き抜く装置に関する。ローラ2、3は、2つのローラ2、3の間に引き抜き空隙4が具体化されるよう順次に、配置されている。引き抜き空隙4内にて長手方向に引き抜く間、フィルムウェブの幅が実質的に維持されるようフィルムウェブの両端縁を機械的に把持する幅維持装置が引き抜き空隙4内に配置されている。本発明は、上記装置によって引き抜いたフィルムを長手方向に引き抜く方法に更に関する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムウェブを長手方向に引き抜く方法及び装置に関する。この方法は、二軸配向フィルムを引き抜くために、また、成形フィルム又はプレフィルムを引き抜くために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
二軸配向フィルムは現在の技術にて既知であり且つ、多くの異なる適用分野にて使用されている。特に、高温度にて1つ又は他の方向に向けて多少、強力に収縮する、二軸配向ポリプロピレンフィルムもまた、最近の数年間にて開発されている。収縮特性は、個々の層の組成に依存し且つ、フィルムを製造する間の条件に依存する。特に、引き抜く間の温度、引き抜き係数及びその後の固定が決定的である。これらの条件を変更することにより、二軸配向フィルムの収縮特性を、広範囲に亙って変更することができる。
【0003】
幾つかの適用例の場合、フィルムは、一方向にのみ大きい収縮率を示すと同時に、他の方向への収縮率は可能な限り小さいことが特に望ましい。かかる適用例は、例えば、汎用ラベル用のシュリンクラッピングフィルムである。例えば、汎用ラベルの場合、最初に平坦なフィルムがラベルを付すべき容器上を引っ張られるホース又はホース部分に形成される。その後、このホースは、高温度にて収縮させる。1つの代替的な方法に従い、フィルムの加工は、ロールから直接、行われる。このロールは、最初に、容器又は成形した本体の回りに巻かれ且つ、互いに接合する。その後の収縮工程の間、フィルムは、いわゆるロールオン・シュリンク・オンプロセス(「ROSO」)にて緊密に巻き付く。
【0004】
勿論、前者の方法の場合、横断方向に大きい収縮率を有するフィルムが必要とされる一方、ROSO法は、長手方向への大きい収縮を必要とする。この汎用ラベルに対するレタリング及び装飾部分が変形しないようにするため、それぞれの反対方向への収縮率は可能な限り零に等しくなければならない。
【0005】
かかるフィルムをポリプロピレンから製造することにより、実際上、著しい困難性が生ずる。通常の製造法(平坦フィルム法)によれば、フィルムは、最初に押出し成形し、冷却し、その後、二軸引抜きが行われる。異なる速度にて回転するローラにより長手方向に引き抜くことが一般に最初に行われる。その後、横断方向への配向がフレーム内にて行われる。この二軸引抜きは、機械的強度、剛性、透明度、均質の厚さプロフィール等のような重要な適用上の特徴を保証する。原理上、この方法により長手方向収縮が大きく、横断方向への収縮が小さいフィルムを製造することが可能である。しかし、引き抜き且つ固定する間、通常の製造装置、特に、フレームの幾何学的形態によって容易に実現することはできない極端な条件を維持しなければならない。通常、装置の改造が必要とされる。その結果、製造の切り換えは時間を消費し、最終的に、製品は不経済となり、又は品質は満足し得ないものとなり、特に、長手方向への収縮は過度に小さく、また、横断方向への寸法上の安定性は満足し得ないものとなる。
【0006】
現在の技術において、二軸配向フィルムの長手方向への収縮は、二軸引抜き後、更なる長手方向引き抜き(追加的な長手方向引き抜き)を実行することにより増大させることができることが知られている。しかし、本発明に関する研究の範囲内にて、この措置によって同時にフィルムの横断方向への収縮が零に等しいままであることを保証することはできないことが分かった。追加的な長手方向引き抜きの結果、横断方向へのフィルムの性質も著しく影響を受けることも分かった。第一に、フィルムの幅は、長手方向に引き抜く間、著しく減少し、横断方向への好ましくない収縮が生ずる、すなわち追加的に長手方向に引き抜いたフィルムは、高温度にて膨張する。長手方向への引き抜きの結果として幅が減少することは周知であり、フィルム技術の分野にてネッキングと称される。しかし、その後に、通常、行われる横断方向引き抜きの結果、このネッキングの好ましくない効果は補償される。しかし、追加的な長手方向引き抜く結果生じる「好ましくない」横断方向収縮(横断方向膨張)は、過剰な横断方向収縮として許容し得ない。その理由は、その結果、汎用ラベルの収縮付与する間、印刷した像に最終的に同様の歪みが生ずるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、本発明の目的は、高温度にて大きい長手方向収縮率を呈し、また、この温度の作用の下、横断方向にその寸法を変化させない配向ポリプロピレレンフィルムを製造することが可能な方法を提供することから成っている。この方法は、簡単で経済的に効率良く、しかも色々なフィルム材料、特に、二軸引抜きポリプロピレンフィルム対して使用することに適したものであることが必要とされる。更に、この方法は、その他の開始材料に対しても自由度の高い仕方にて適していなければならない。そのため、更に、成形したフィルム又はプレフィルムを長手方向に引き抜く方法を示すことが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、引き抜き装置の遅い速度で作動する部分にて引き抜く前、そのフィルムが引き抜きに適した温度まで加熱され且つ、引き抜き領域に進む熱可塑性ポリマーの少なくとも単一プライフィルム(1)を長手方向に引き抜く方法であって、被駆動ローラ(2)を保持する引き抜き装置の遅い速度で作動する部分、及び被駆動ローラ(3)及び対のローラ(2)/(3)を保持する引き抜き装置の速い速度で作動する部分は、これら2つのローラ(2)/(3)の間に引き抜き空隙(4)が形成され、また、フィルム(1)は引き抜き空隙(4)内に進むような要領にて配置される、方法において、周縁領域(10)内のローラ(2)/(3)の間の引き抜き空隙(4)の領域内にて引き抜く間、フィルム(1)は、固定装置により機械的に把持され且つ、フィルムが引き抜き空隙(4)に入るときに呈するフィルムの幅は、引き抜く間、顕著に変化しないような要領にてフィルムは固定されることを特徴とする方法によって実現される。
【0009】
図1には、幅を維持する装置が概略断面図にて示されている。フィルム(1)は、遅い速度で作動するローラ(2)と速い速度で作動するローラ(3)(引き抜きローラ)との間にて引き抜かれる。ローラ(2)へのフィルムのアクセス点(17´)と、ローラ(3)からの出口点(17´´)との間の領域は、引き抜き空隙(4)を形成する。引き抜き空隙(4)内にて、2つのキャリッジ(5a)及び(5b)は、フィルム(1)の上方及び下方に配置されている。キャリッジ(5)は、ポンチ又は圧力シリンダ(7a)、(7b)と、固定ロール(6a)、(6b)とを備えている。圧力シリンダ(7)により、キャリッジ(5)は、フィルムの表面の方向に向けて押される。この要領にて、フィルム(1)は、固定ロール(6a)、(6b)の間にて締め止めされ且つ固定される。構造に依存して、ロール(6)は、1つ又は幾つかの接触点(8)にてフィルム表面と接触する。
【0010】
図2には、フィルム(1)の2つの周縁領域(10)内に固定装置がある、フィルムウェブ(1)の頂面図が示されている。参照番号(9)は、フィルムウェブ(1)の前進方向である。フィルム(1)の上方に配置されたキャリッジ(5a)のロール(6a)がそれぞれ図示されている。ロール(6a)はフィルム(1)の周縁領域(10)内に配置された状態にて示されている。勿論、このことは、下方となるため図示されていないロール(6b)にも当て嵌まる。
【0011】
図3は、固定ロールが2列に配置された、フィルムウェブ(1)の概略頂面図である。理解し得るように、ロールは、側部(19a)、(19b)が並べて位置する2列に配置されており、各列の固定ロール(9)の位置は互いに向き合う状態に変位されている。
【0012】
図4には、固定ロールの直径が減少したならば、接触点(8)間の距離(11)が短くなる様子が概略図的に示されている。固定ロール(6)は、接触点(8);(8´);(8´´)にてフィルム(1)と接触している。ロール(6)の直径の結果、接触点(8)の間に空間的距離(11)が生ずる。ロール(6)の直径dがロール(6)の所定の直径dから開始して減少するならば(図4aと比較)、この距離は、(11a)から(11b)へと減少する(図4bと比較)。
【0013】
図5には、固定ロール(6)の直径の許容公差の場合の結果が示されている。概略図には、ロール(6)が全て正確に同一の寸法でないならば、ロール(6)をキャリッジ(5)に堅固に固定する方法の場合、全てのロール(6)がフィルム(1)と接触するとは限らない様子が示されている。
【0014】
図6/6aには、非堅固にすなわち可撓状に支持されたロール(6)を有する1つの好ましい実施の形態が示されており、この結果、図5に示した問題点が解決される。不均一な直径を有するロール(6)が反発し又は摺動する仕方にてキャリッジ(5)に装着される様子が示されている。より大きい直径を有するロールは、ばね(13)を圧縮する。この実施の形態において、全てのロール(6)は、フィルム(1)と接触しており、このため、各固定ロール(6)に対し、設計に起因する1つ又は幾つかの接触点が存在する。
【0015】
図7には、キャリッジ(5)と、可撓状に支持されたロール(6)と、引き抜きローラ(2)、(3)とを備える1つの配置が示されている。第一の固定ロール(6´a)、(6´b)の接触点(8´)とアクセス点(17´)との間に自由なままである領域(14´)が形成され、この領域内にてフィルム(1)は固定されないことが示されている。最後の固定ロール(6´´a)、(6´´b)と出口点(17´´)との間の領域にも同一のことが当て嵌まる。
【0016】
図7aには、図7に従って自由なままである領域(14´)又は(14´´)内に追加的な摺動バー(15)が配置された、図7と同様の1つの配置が示されている。この摺動バー(15)は、フィルム(1)が領域(14)内にてこの摺動バー(15)の上を進むような要領にて形成される。この目的のため、摺動バー(15)は、引き抜きローラ(2)/(3)に向けて及び第一の又は最後の固定ロールに向けてテーパーが付けられた端部を有している。自由なままである領域(14)は、図(7)と比較して著しく短い。
【0017】
図8には、図7aと同様の1つの配置が示される。この場合、追加的な固定ロール(18)がフィルムウェブ(1)の上方にて摺動バー(15)上方でキャリッジ(5a)上に配置され、該ロールは、フィルム(1)を摺動バー(15)に対して押し付け、これにより該フィルムがアクセス点又は出口点(17)から去った後、該フィルムを直接固定する。摺動バーは選択的な特徴であり、フィルムウェブの性質に依存して廃止してもよい。
【0018】
図9a及び図9bには、所定輪郭形状の面を有する固定ロールが頂面図及び断面図にて示されている。図示した実施の形態において、固定ロールは、それぞれ4つのOリング(19)により覆われており、その結果、隆起領域(20)及び凹部(21)をも備える輪郭形状部が形成される。図面には、所定輪郭形状のロールが隆起領域及び凹部が互いに係合するような要領にて(22)フィルムの上方及び下方に配置される様子が示されている。図10には、ロールの変位した位置決めと関係した所定輪郭形状の結果として、フィルムウェブが起伏のある形態にて所定輪郭形状部を取り囲む様子が示されている。
【0019】
本発明に従った装置は、基本的に、以下に、キャリッジ(5)と称する、2つの部分から成っており、これら2つの部分は、フィルム(1)に対向して、すなわちフィルム(1)の上方及び下方にて2つの周縁領域(10)内に配置されている。キャリッジ(5a)、(5b)の各々は、1列(図1)又は2列(図3)にて順次に配置された多数のロール(6a)、(6b)を呈する。列の長さは、引き抜き空隙(4)の長さにほぼ相応する。列内又は2列のロール(6)の間の距離は、可能な限り短くなければならない。ロール(6)の直径は、引き抜き空隙(4)内に幾つかのロール(6)を配置することができるような要領にて引き抜き空隙(4)の長さに対しある比となるように選ばれ、例えば、一側部当たり及びキャリッジ当たり少なくとも3つ、好ましくは、5ないし20のロール(6)が配置されるようにする。ロールの数は、2列の設計の場合、これに相応して2倍とする。ロール(6)は、引き抜き空隙(4)の全長に亙って均一に配分されるよう配置される。ロール(6)が2列に配置される実施の形態(図3)が好ましい。この配置の結果、1列の配置に向き合った接触点(8)の間の距離は半分となり、接触面、すなわち、接触点(8)の数は、全体として増大する、すなわちほぼ2倍となる。2列は、周縁(10)の幅が可能な限り小さいままであるようにするため、互いに可能な限り近接するよう配置する必要がある。
【0020】
列(6)に配置されたロールがフィルムの前進方向(9)に対し平行に整合され且つ、フィルムの周縁領域(10)と接触し、フィルム(1)が貫通して進むとき、ロール(6)がフィルムの前進方向(9)に向けて回転するような要領にて、2つのキャリッジ(5a)、(5b)は、フィルム(1)の上方及び下方にて引き抜き空隙(4)内に配置される。固定の効果が悪影響を受けることなく、ロールの平行な整合状態から±10°までの偏倚が可能である、すなわち、ロールはフィルムウェブに対して多少角度を成すように配置することもできる。例えば、圧力ポンチ(7)のような相応する装置を2つのキャリッジ(5a)、(5b)に配置することにより、(6a)、(6b)の上方及び下方に配置されたロールから成る対のロールがフィルム(1)を半締め止めする、すなわち固定し、長手方向への幅方向へのネッキングが全く生ぜず又は極く僅かだけ生ずるような要領にて2つのキャリッジ(5a)、(5b)の接触圧力を制御することができる。全体として、フィルム幅は、本発明に従った長手方向引き抜きの間、長手方向に引き抜く前の当初の幅と比較して、最大20%、好ましくは、0ないし15%、特に、2ないし12%だけ減少する。多数の対のロール(6a)、(6b)の結果、特に、フィルム(1)が上側ロール(6a)と下側ロール(6b)との間に保持される、2列の場合、相応する数の接触点(8)又は固定点が保証される。ロール(6)が小さければ小さい程、引き抜く間、引き抜き空隙(4)の長さに亙って可能な限り均一な固定を保証する接触点(8)は益々、増大する。構造的設計上の理由のため、ロール(6)の寸法の減少に関して限界があることは言うまでもない。
【0021】
フィルムウェブ(1)は、上側キャリッジ(5a)及び下側キャリッジ(5b)の対のロール(6a)、(6b)によりその周縁領域(10)内にて引き抜き空隙(4)の長さに亙って固定される。対のロール(6a)、(6b)のロール(6)は、その直径がその幅bgよりも全体として小さく、「ロール」という語の方が「ローラ」という語よりもこの要素をより正確に特徴付けるような要領にて寸法決めされる。しかし、適宜な寸法とされたローラが等価的な目的を満足させることも可能である。一層優れた側方向固定状態を実現するため、全ての幅の広いフィルムウェブを引き抜くべく、特に、かかる「ローラ」が使用される。固定ロールの設計及び幅に依存して、フィルムロールの幅を亙って伸びるロールとフィルムの周縁との間の接触に起因して接触領域が生じる。本発明の意味に従い、本明細書にて繰り返し言及した「接触点」は、ロール等の幅を亙って形成されるほぼライン型式の接触領域をも含む。
【0022】
当業者は、要素の寸法、すなわちロールの直径及びロールの幅をフィルムウェブの厚さ及び幅、引き抜き速度及び引き抜き倍数の数として、また、周縁領域の幅の関数として選ぶであろう。ロール(6)の直径は、特に、引き抜き装置の寸法、特に、引き抜き空隙(4)の寸法に依存する。引き抜き空隙(4)の長さと比較して、当業者は、接触点(8)の数を最大にし得るよう可能な限り小さい直径を選ぶであろう。ロールの幅は、フィルム(1)の厚さ及び幅並びに長手方向引き抜きのために加えるべき引き抜き力に依存する。引き抜き力が大きければ大きい程、良好な固定状態を保証するための接触面積は益々、増大する。当然に、ロール幅は、1列又は2列の設計が具体化されるかどうかにも依存する。2列の実施の形態は、当然に、小さいロールを有する。フィルムウェブ幅自体は、材料の型式及び所定の機械の寸法に依存し、従って広範囲内にて相違する可能性がある。一例として、フィルムウェブ(1)は、5m以下、好ましくは0.2ないし3mの幅を有するであろう。引き抜き空隙(4)は可能な限り短くなければならない。
【0023】
フィルムの周縁(10)を引き抜き空隙(4)の長さの全体に亙って均一に決定することを保証するため、ロール(6)を引き抜き空隙(4)の開始部分から終了部分まで配置し、また、全てのロール(6)が同一の直径を有するようにする必要がある。勿論、この場合、通常の製造許容公差により限界が課される。全体として、キャリッジ(5a)、(5b)内のロールの直径は、10%以上互いに偏倚してはならない。このことは、ロール自体に及び施されるであろう被覆を含むロールの全体の直径の双方に当て嵌まる。
【0024】
基本的に、ロール(6)は、必要条件を満足させる任意の所望の材料又は材料複合体にて形成することができる。表面は、フィルムウェブ(1)とロール表面との間に非滑り接続部が促進されるような要領にて設計する必要がある。材料ウェブとロール表面との間の相対的な動き(滑り)は回避すべきである。好ましくは、ロール(6)の表面には、滑りを回避するのに必要な接着摩擦を保証するゴムカバー(例えば、ゴムリング、図9及び図10を比較)を設ける必要がある。一例として、表面は、例えば、銅のような特殊な金属にて被覆してもよい。フィルムウェブに依存して、多岐に亙るロール型式の組み合わせ(ゴム上金属)を採用することが考えられる。
【0025】
更なる実施の形態に従い、ロールの表面及び(又は)形態は、ロール−フィルム−ロールの間の非滑り接続が更に向上するような要領にて設計される。この目的のため、所定輪郭形状の表面を有するロールであること、すなわちロール表面の各々はロールの幅に亙って均一に分配された凹状領域及び隆起領域を呈することが望ましいことが判明している。これと同時に、これらの所定輪郭形状のロールは、下方のロールの隆起領域が頂部に配置されたロールの凹状部分と対向し(又はその逆)、ロールに付与された接触圧力の下、こけらが互いに係合するような要領にてフィルムウェブの上方及び下方に配置される。その結果、フィルムの周縁は、この所定輪郭形状部を起伏のある要領にて取り囲み、増大した接触圧力を伴う接触面が形成される。その結果、フィルムの周縁領域に溝型パターンが形成される。この周縁領域は、その後に接続されるから、この「変形」は、不利益ではない。
【0026】
かかる実施の形態は、例えば、多数のOリングにて被覆された固定ロールから成っている。同様の効果は、金属又はゴムの厚いロール被覆を彫り込むことにより実現することも可能である。1つの代替例として、ナブ型被覆をロール表面に施すこともできる。かかる所定輪郭形状のロール表面の場合、ゴム又は合成樹脂表面とすることも好ましい。
【0027】
全体として、ロール(6)は、独立的な駆動装置を備えていない。これらのロールは、前進するフィルムウェブ(1)を介して駆動され、また、引き抜きと共にフィルムウェブ(1)のウェブ速度によって調節される周縁速度VRを有する。
【0028】
本発明に関する研究の範囲にて、引き抜き空隙(4)の全長に亙って変位した要領にて選択的に所定輪郭形状とされ且つ、配置されたロール対(6a)、(6b)により、フィルムの周縁(10)を均一に決定することが特に有益であることが判明した。理想的な場合、双方のフィルム周縁は、一定の力にて引き抜き空隙(4)の長さに亙って連続的に保持され、望ましくないネッキング及びその有害な効果を防止する必要がある。極めて小さい寸法の多数のロール(6)により決定に対する許容公差を可能な限り連続的に保ち、その結果、近接して配置された多数の接触点(8)が生ずるようにする(図3)。ロール(6)が小さければ小さい程、個々の接触点(8)(図4)の間の「自由なままである」領域(11)は益々、短くなる。しかし、極めて小さい多数のロール(6)となる結果、別の問題点が生ずることが分かった。フィルム(1)は、全ての接触点又は接触領域(8)にて同一の力にて固定することができない、すなわち、全てのロール(6)の均一な接触圧力が常に得られるとは限らない。原理上、全てのロール(6a)、(6b)を有するキャリッジ(5a)/(5b)の全体は、圧力シリンダ(7)を介してフィルム(1)に向けて下方に又は上方に押され、原理上、全てのロール(6)は、同一の力にてフィルムに及び(又は)互いに押されるが、ロールの直径の製造許容公差のため、また、例えば、ゴム被覆のような施されたロール被覆の厚さが変化する結果、全ての接触圧力ロールが同一の力にて互いに押し付けられるとは限らないことが分かった。その結果、フィルム(1)は、全ての領域にて非滑り状態に把持されず、又は個々の接触点(8)における接触圧力は各ロール対(6a)、(6b)に対して同一ではない(図5)。図6に従った好ましい実施の形態の場合、この不利益な点は解消することが可能である。この実施の形態(図6)において、ロールは、例えば、円筒状の摺動ボルト(12)を介して堅固ではなく可撓にキャリッジ(5)上に固定され、同時に、好ましくは、ばね式圧力要素に対して休止することが好ましい。このばね式圧力要素は、最も簡単な場合、その下方にばねが配置された無頭ねじによって実現することができる。ロール(6)の可撓性又はばね式支持体(13)は、ロール(6)の全てがフィルムの周縁(10)と非滑り式に接触するような程度までキャリッジ(5)の全体をフィルム周縁の全体に押し付けることを許容する。個々のロール(6)の過大な直径は、今や、その結果、全てのロール(6)が同一の力にてフィルム周縁(10)に押し付けられるような程度まで(図6a)、ロールがキャリッジ(5)の方向に向けてばね式に圧縮されることで補償することができる。
【0029】
図7a及び図8に従った更なる特に有益な実施の形態において、フィルム(1)の均一な連続的な決定が引き抜き空隙(4)の全長に亙って一層良く保証されるような要領にてキャリッジ(5)の設計が改変される。上述したように、引き抜き空隙(4)の長さに亙って配置された多数の小さいロール(6)は、接触点(8)間の領域(11)が可能な限り小さいままであることを保証する。この措置にも拘らず、フィルム(1)が引き抜き空隙(4)内に入り及び(又は)引き抜き空隙(4)から排出されるとき、「自由なままである」比較的大きい領域(14)を回避することはできないことが分かった。この問題点は、固定ロールの対(6a)、(6b)及び引き抜きローラ(2)/(3)の直径が異なることに起因する。引き抜き空隙(4)に入るとき、フィルム(1)は、遅い速度で回転するローラ(2)上を案内され且つ、距離(14´)の後にのみ、2つのキャリッジ(5a)、(5b)の第一の固定ロール対(6´a)、(6´b)と合わさる。第一のロール対(6´a)、(6´b)が引き抜きローラ(2)に最大限、接近したしたときでさえ、固定ロール(6´a)、(6´b)及び引き抜きローラの直径が異なる結果として、空隙(14´)が残る(図7)から、この距離は、構造的設計の観点から回避することはできない。このことは、同様の要領にて引き抜き空隙(4)から排出されるときにも当て嵌まる。フィルム(1)は、最後の固定されたロール対(62a)、(6´´b)から去り、また、該フィルムが速い速度で回転する引き抜きローラ(3)と合わさる迄、自由なままである。これらの空隙(14)の結果、入口及び排出領域内にて幅の減少を不満足な程度にしか防止することができない結果となる。この不利益な効果は、キャリッジ(5a)、(5b)の更なる好ましい実施の形態によってのみ、解消することができる。
【0030】
図7aに従ったキャリッジ(5)のこの好ましい設計の場合、入口及び排出領域内の第一及び最後のロール対(6´a/6´´a)、(6´b/6´´b)は、その上をフィルム(1)が案内される摺動バー(15)により補助を受ける。この摺動バー(15)は、固定ロール及び(又は)引き抜きローラの関連する形態の少なくとも一側部、好ましくは、両側部又は両端(16)にて調節され、摺動バー(15)が関連する接触点(8)に向けてテーパーが付けられ且つ(又は)アクセス点(17)が一側部又は両側部に向けてテーパーが付けられるようにする。その結果、フィルム(1)は、点(17)にてローラ(2)から去り且つ、フィルムは、最早、遅い速度で回転する引き抜きローラ(2)と接触しなくなった後、直接、摺動バー(15)の表面と合わさる。フィルム(1)は、該フィルムが第一の固定ロール対(6´a)、(6´b)により把持される迄、この摺動バー(15)上を進む。この要領にて、当初、自由のままであった領域(14´)は、図7aに従って数mmまで短くなる(14´´´)。領域(14´´´)は、摺動バー(15)のテーパー付きの一端(16)と引き抜きローラ(2)の排出点(17)との間の距離から得られる。引き抜き領域の端部にも同様の要領にて同一のことが当て嵌まる。この場合、摺動バーは、最後の固定ロール対(6´´a/6´´b)の接触点(8)と速い速度で回転する引き抜きローラ(3)のアクセス点(17´´)との間の距離を架橋する。
【0031】
摺動バー(15)の表面は、適宜な被覆にて被覆されている。該被覆は、一方にて、フィルム材料と向き合って十分な接着力を提出するが、これと同時に、フィルム(1)がこの表面上を摺動するのを許容する。例えば、研磨したステンレス鋼又は合成樹脂被覆が使用される。摺動バー(15)の領域内にてフィルム幅の固定化が特に効果的であるようにするため、対向するキャリッジは、この領域内にて追加的な固定ロール(18)を呈し、このため、フィルム(1)は、摺動バー(15)と追加的なロール(18)との間にて固定され、その結果、この領域(図8)内での幅の減少は殆ど防止される。上述したのと同一の要領にて、これらのロール(18)は、好ましくは、ばね上に支持された要領にて摺動バー(15)に押し付けられて、制御され且つ、均一な接触圧力を形成する。
【0032】
フィルムウェブ(1)は、その周縁領域(10)内にて、その上側及び下側キャリッジ(5a)、(5b)のロール対(6a)、(6b)により長さ方向に引き抜かれる間、上述した装置によって固定される。該ロール対は、必要であるならば、選択的に、摺動バー(15)及び追加的なロール(18)と協働して、引き抜く間、フィルム(1)の幅が必ずしも変更しないよう仕方にて変位した要領で、主要輪郭形状とされ且つ、配置される。この目的のため、2つのキャリッジ(5a)、(5b)は、上方及び下方からフィルム表面に押し付けられ、相応するシリンダ(7)を介して接触圧力を制御することが可能である。この目的のため、フィルムの周縁(10)は、ロール対(6a)、(6b)の間及び(又は)摺動バー(15)とロール(18)との間にて、通常の幅ネッキング作用が効果的に防止されるような要領にて締め止めされる。これと同時に、2つのキャリッジ対(5b)の自由に回転するロール(6)は、フィルムウェブ(1)が前進方向(9)に向けて妨害されずに輸送されることを保証する。固定された周縁領域(10)は、ウェブの全幅と比較して通常、小さい。かかる周縁領域(10)の正確な幅は、材料の型式及びウェブの全幅に依存する。全体として、周縁領域(10)は、ウェブの外側領域であると理解すべきである。該ウェブの外側領域は、共に、全幅の20%を提供する、すなわち周縁領域(10)の各々は、フィルムウェブ(1)の全幅の1ないし10%を提供する。フィルムウェブ(1)の各々は、前進方向(9)に対し平行に伸びる2つの周縁領域(10)を有することは言うまでもない。本明細書にて「周縁領域(10)」に関する全てのデータは、当然に同一の要領にて対向する周縁にも当て嵌まる。
【0033】
本発明の意味に従った長手方向とは、フィルムウェブ(1)が前進する方向である。この方向は機械の前進方向とも称される。本発明の意味に従った横断方向とは、90°の角度の方向、すなわち機械の前進方向に対し横断する方向である。
【0034】
本発明に従った方法は、驚くべきことに、二軸配向フィルム、特に、それ以前に別個の製造過程にて製造されたポリプロピレンフィルムの追加的な長手方向への引き抜きに極めて良好に適している。すなわち、追加的に長手方向に引き抜くため、本発明に従った方法は、オフラインにて作動されることが好ましい。同様の要領にて、成形したフィルムを引き抜く装置はその製造後に使用される。成形したフィルムは、実質的に引き抜かない、すなわち押出し成形後、フィルムはフィルムを引き抜くための追加的な措置が行われずに、ローラから引き出される。別の可能な変形例において、長手方向引き抜きの間、幅維持装置を「インライン」にて使用することも可能である。この場合、本発明に従った長手方向引き抜き方法は、フィルムの製造方法と組み合わされ、そのときの要領は、本発明に従った製造及び引き抜きが本発明に従った方法における1つの工程ステップを形成する過程中の単一の連続的な工程にて、ネッキングを伴わずに、組み合わされるようなものとする。以下に、本発明に従った方法の実施について、更に詳細に説明する。
【0035】
長手方向に引き抜くため、フィルムウェブ(1)は、必要であるならば、巻き戻し且つ、少なくとも2つの被駆動引き抜きローラ(2)/(3)及び固定装置により本発明に従った長手方向引き抜き装置まで進める。回転するローラ(2)/(3)の間にて、フィルム(1)は、長手方向引き抜き比fにより引き抜かれ、また、この方法の間、同時に、上述した装置により幅が固定される。引き抜きローラ(2)/(3)の速度は、v1、v2である。速度は、一方にてフィルム(1)が工程を経て進む速度を決定し、他方にてフィルムウェブ(1)の長手方向に加えられる引き抜き張力を決定する。この導入された引き抜き張力を介して、成形したフィルム又はプレフィルムの配向又は既に二軸配向したフィルム(1)の追加的な配向は長手方向に向けて生じる(追加的な長手方向引き抜き)。
【0036】
長手方向引き抜き比fは、引き抜きローラ(2)/(3)とフィルム(1)とが非滑り接触する場合、ローラ(3)、(2)の速度v2、v1の比からほぼ得られる。長手方向引き抜き比fは、その他の条件の内、使用される開始材料に依存する。二軸配向フィルムを追加的に長手方向に引き抜く場合、長手方向引き抜き係数は>1ないし5以下、好ましくは、1、2、3である。成形フィルム又はプレフィルムの場合、引き抜き係数は、2ないし7の範囲、好ましくは、3ないし5の範囲にて変化する。引き抜く前、フィルムは、加熱したローラにより又は雰囲気加熱ボックスによって加熱する。引き抜き領域(14)に到達したとき、フィルム(1)は、上昇温度TSとなり、この温度にてフィルムは該当する引き抜き比にて引き抜くことができる。原材料、フィルムの厚さ、引き抜き速度及び引き抜き比に依存して、引き抜く間の温度TSは、関係するポリマーの融点よりも5ないし40℃だけ低く、好ましくは、80℃ないし160℃の範囲にあるものとする。引き抜き係数FSは、被駆動ローラ(2)とフィルム表面との間及び被駆動引き抜きローラ(3)の間の非滑り接触(接着摩擦)により、フィルム(1)まで伝達される。この力の伝達は、小さい固定ロールが例えば、約50ないし100ショア硬度Aのゴム硬度を持つゴム被覆を有するならば、特に効果的である。
【0037】
必要であれば、引き抜き装置は、フィルム(1)と引き抜きローラ(2)/(3)との間の非滑り接触を更に向上させることを目的とする機能を果たす追加的なニップローラを保持するものとする。ニップローラは、第一の遅い速度で作動するローラ及び(又は)第二のより速い速度で作動するローラ上に更に配置し且つ、それ自体にて駆動し又は駆動しなくてもよい。フィルム(1)は、該フィルムが引き抜きローラ(2)/(3)の表面にて平坦に位置し、また、良好な非滑り接触状態が保証されるような要領にて両側部が引き抜きローラ(2)/(3)及びニップローラにより把持される。
【0038】
本発明に従った方法におけるフィルムウェブ(1)のウェブ速度vFは、所望の加工速度によって決まる。通常のウェブ速度は、材料の型式に依存して、1ないし1500m/分、好ましくは、5ないし1000m/分の程度となる。熱可塑性ポリマーのフィルムの場合、一般に、10ないし500m/分の速度が使用される。
【0039】
本発明に従った長手方向引き抜きの後、フィルムは、通常の方法にて縁縫いして且つ巻き取る。全体として、フィルムは、該当する周縁領域の幅によって縁縫いされる。個々の場合、追加的な長手方向引き抜きは、例えば、コロナ又はフレーム又はプラズマによる表面処理のような更なる加工ステップと組み合わせることができる。
【0040】
追加的な長手方向引き抜きのための本発明に従った方法は、基本的に、合成樹脂、特に、熱可塑性合成樹脂で出来た全てのフィルムに適している。熱可塑性合成樹脂のフィルムは、例えば、ポリエステルとし、また、ポリエチレン、ポリプロピレン、サイクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド等のようなポリオレフィンのフィルムである。かかるフィルムは、単一プライ又は多数プライ構造を有することができる。この方法は、特に、5ないし100μm、好ましくは、2ないし80μmの厚さを有する上述した材料の二軸配向引き抜きフィルムウェブに適している。特に、20ないし100μmの厚さを有する二軸引抜きポリプロピレンフィルム、又は>50μm、特に80ないし200μmの厚さを有する非引き抜きポリプロピレン成形フィルムであることが好ましい。ポリプロピレンフィルムは、全体として、例えば、ポリプロピレン−エチレン共重合体又はエチレン−プロピレン−ブチレン三重ポリマー又はこれらのポリプロピレンポリマーの混合体を層又は複数の層に含むようなプロピレンホモポリマー又はプロピレン混合ポリマーを保持する。混合したポリマー中のモノマーの比率は、重量比にて1ないし10%に達する。これらのプロピレンポリマーは、通常、PP及びPP成形フィルムの双方にて使用される。
【0041】
全体として、二軸引抜きフィルムは、製造中、3ないし7の係数にて長手方向に引き抜かれ、また、5ないし10の係数にて横断方向に引き抜かれる。基本的に、単一プライ及び複数プライの実施の形態の双方に対して追加的な長手方向引き抜きを行うことができる。このような二軸引抜きポリプロピレンフィルム及びその製造方法並びにそれらの組成は、当該技術分野の当業者に既知である。
【0042】
本発明の方法に従って引き抜いた成形フィルム又はプレフィルムの場合、厚さは、全体として、20ないし500μm、好ましくは、30ないし200μmの範囲にある。これらの厚さのデータは、当然に、これらのフィルムが該方法に従って長手方向に引き抜かれる前のフィルムの厚さに関するものである。
【0043】
本発明に従った方法は、製造方法の一体的な部分とし(長手方向へのインライン引抜き)又は好ましくは、フィルムの製造及び巻き取りの後、別個の工程ステップにて実行することができる。
【0044】
基本的に、二軸引抜き開始材料は、通常の既知のフィルム製造方法に従って製造することができる。全体として、順序的な長手方向/横断方向引き抜きを伴なう平坦なフィルム法であることが好ましい。原理上、フィルムの開始材料は、二重泡法によって製造することもできる。かかる方法は、現在の技術にて既知であり、多数の特許明細書に及び専門文献に詳細に記載されている。同様に、成形フィルムを製造する方法も当該技術分野の知識の一部である。
【0045】
本発明は、長手方向に引き抜かれたフィルムを固定する簡単な方法を提供する。このようにして、幅方向のネッキングが防止され、横断方向への収縮特性を良好に制御することができる。本発明に従った方法は、極めて大きい長手方向収縮率を有し、また、これと同時に、横断方向への優れた寸法的安定性を維持することができるフィルムを製造することを許容する。その結果、該方法に従って製造された製品は、円筒状容器、成形物品又は使用物品の周囲に付される汎用レベルとして優れた要領にて使用することができる。
実験例1:
二軸引抜きポリプロピレンフィルムは、幅出し機(stenter)法に従って製造したものである。フィルムは、ポリプロピレンから単一プライにて構成され、また、75μmの厚さを有するものとした。フィルムは、その製造中、5倍、長手方向に引き抜き、また、9倍、横断方向に引き抜いた。引き抜いた後、フィルムの固定及びその後続の巻き取りを行った。このようにして製造したフィルムは、循環空気加熱炉内にて130℃/5分で両方向に3%以下の収縮率を示した。
【0046】
このフィルムは、請求項1の方法に従って長手方向に引き抜いた。フィルムの幅は、追加的な長手方向引き抜きの前、約490mmであった。追加的な長手方向引き抜きは、約100ないし120℃の温度及び2.1の引き抜き係数にて行った。フィルムは、引き抜く間、双方の周縁領域内にてキャリッジ(5a及び5b)への接触加圧によって固定した。
【0047】
この要領にて、約400mmの非縁縫い幅を有するフィルムウェブが得られた。このフィルムは、130℃/5分にて約30%の長手方向収縮率の値及び望ましくない1.5%の横断方向収縮率(膨張)を示した。
実験例2:
幅出し機法に従い二軸引抜きポリプロピレンフィルムを製造した。フィルムは、ポリプロピレンから3プライにて構成し、61μmの厚さを有するものとした。基部層は、実質的にプロピレンホモポリマーから成るものとした。約1μmの厚さを有する両側部における頂部被覆の各々は、実質的に重量比にて約4.5%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレン共重合体から成るものとした。フィルムは、その製造中、長手方向に5倍、引き抜き且つ横断方向に9倍、引き抜いた。引き抜いた後、フィルムを固定し、その後に巻き付けた。このようにして製造されたフィルムは、循環空気加熱炉内にて130℃/5分で両方向に約3%の収縮率を示した。
【0048】
このフィルムは、請求項1の方法に従って追加的に長手方向に引き抜いた。追加的に長手方向に引き抜く前、フィルムの幅は、約580mmであった。追加的な長手方向引き抜きは、約90ないし110℃の温度及び1.3の引き抜き係数にて行った。フィルムは、引き抜く間、両周縁領域内にてキャリッジ(5a、5b)を接触加圧させることにより、固定した。この例により、2つのキャリッジは、各場合(図9a、図9b)にて4つのOリングにて覆った所定輪郭形状の固定ロールを呈した。キャリッジは、互いに向き合ってフィルムウェブの下方及び上方に配置し、上側キャリッジの凹部は、下側キャリッジの隆起領域に対面し、フィルムは、追加的な長手方向引き抜きの後、周縁領域内にて溝型パターンを呈するようにした。
【0049】
この要領にて、48μmの厚さ及び約575mmの非縁縫い幅を有するフィルムウェブが得られた。フィルムは、130℃/5分で約24.5%の長手方向収縮率の値及び0.4%の望ましくない横断方向収縮(膨張)率の値を示す。
実施例3:
非引き抜き3プライポリプロピレンの成形フィルムは、スリットダイを通して押出し成形機に進めることにより、通常の成形法に従って製造した。フィルムは、3プライとし且つ、約150μmの厚さを有するものとした。頂部層は、各々約30μmの厚さであり且つ、重量比にて実質的に約2%のエチレン含有量のプロピレン−エチレン共重合体から成るものとした。基部被覆は、重量比にて45%のポリプロピレンホモポリマーと、重量比にて55%の頂部層のプロピレン共重合体との混合体から成るものとした。フィルムは、製造する間、引き抜かなかった。このようにして製造されたフィルムは、循環空気加熱炉内にて150℃/5分で両方向に約0.5%の収縮率を示した。
【0050】
このフィルムは、請求項1の方法に従って長手方向に引き抜いた。長手方向に引き抜く前のフィルムの幅は、約580mmであった。追加的な長手方向引き抜きは、約118℃の温度及び3.2の引き抜き係数にて行った。フィルムは、引き抜く間、キャリッジ(5a)及び(5b)を両周縁領域内にて接触加圧させることにより固定した。この例において、2つのキャリッジは、各場合にて4つのOリング(図9a、図9b)にて被覆された所定輪郭形状の固定ロールを呈した。キャリッジは、各々が向き合って、上側キャリッジの凹部が下側キャリッジの隆起領域と対向する位置に配置され、フィルムは周縁領域内にて長手方向に引き抜いた後、溝型パターンを呈するような要領にてフィルムウェブの下方及び上方に配置した。
【0051】
このようにして、47μmの厚さ及び約570mmの非縁縫い幅を有するフィルムウェブが得られた。このフィルムは、130℃/5分で約27%の長手方向に収縮率の値及び0.2%の好ましくない横断方向収縮(膨張)率を呈した。
収縮率の測定:
長手方向及び横断方向への収縮率の値は、収縮工程前のフィルムのそれぞれの長さLo、Qoに関する。試験試料は、循環空気加熱炉内で5分間、130℃の温度にて収縮させる。その後、試験試料の残りの長さ及び幅はL1、Q1として決定される。試験試料の当初の長さとして決定された長さの変化は、長手方向及び横断方向への収縮率として表現される。
【0052】
長手方向収縮:Ls=(Lo−L1)/Lo
横断方向収縮:Qs=(Qo−Q1)/Qo
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムウェブを長手方向に引き抜く方法及び装置に関する。この方法は、二軸配向フィルムを引き抜くために、また、成形フィルム又はプレフィルムを引き抜くために使用することができる。
【背景技術】
【0002】
二軸配向フィルムは現在の技術にて既知であり且つ、多くの異なる適用分野にて使用されている。特に、高温度にて1つ又は他の方向に向けて多少、強力に収縮する、二軸配向ポリプロピレンフィルムもまた、最近の数年間にて開発されている。収縮特性は、個々の層の組成に依存し且つ、フィルムを製造する間の条件に依存する。特に、引き抜く間の温度、引き抜き係数及びその後の固定が決定的である。これらの条件を変更することにより、二軸配向フィルムの収縮特性を、広範囲に亙って変更することができる。
【0003】
幾つかの適用例の場合、フィルムは、一方向にのみ大きい収縮率を示すと同時に、他の方向への収縮率は可能な限り小さいことが特に望ましい。かかる適用例は、例えば、汎用ラベル用のシュリンクラッピングフィルムである。例えば、汎用ラベルの場合、最初に平坦なフィルムがラベルを付すべき容器上を引っ張られるホース又はホース部分に形成される。その後、このホースは、高温度にて収縮させる。1つの代替的な方法に従い、フィルムの加工は、ロールから直接、行われる。このロールは、最初に、容器又は成形した本体の回りに巻かれ且つ、互いに接合する。その後の収縮工程の間、フィルムは、いわゆるロールオン・シュリンク・オンプロセス(「ROSO」)にて緊密に巻き付く。
【0004】
勿論、前者の方法の場合、横断方向に大きい収縮率を有するフィルムが必要とされる一方、ROSO法は、長手方向への大きい収縮を必要とする。この汎用ラベルに対するレタリング及び装飾部分が変形しないようにするため、それぞれの反対方向への収縮率は可能な限り零に等しくなければならない。
【0005】
かかるフィルムをポリプロピレンから製造することにより、実際上、著しい困難性が生ずる。通常の製造法(平坦フィルム法)によれば、フィルムは、最初に押出し成形し、冷却し、その後、二軸引抜きが行われる。異なる速度にて回転するローラにより長手方向に引き抜くことが一般に最初に行われる。その後、横断方向への配向がフレーム内にて行われる。この二軸引抜きは、機械的強度、剛性、透明度、均質の厚さプロフィール等のような重要な適用上の特徴を保証する。原理上、この方法により長手方向収縮が大きく、横断方向への収縮が小さいフィルムを製造することが可能である。しかし、引き抜き且つ固定する間、通常の製造装置、特に、フレームの幾何学的形態によって容易に実現することはできない極端な条件を維持しなければならない。通常、装置の改造が必要とされる。その結果、製造の切り換えは時間を消費し、最終的に、製品は不経済となり、又は品質は満足し得ないものとなり、特に、長手方向への収縮は過度に小さく、また、横断方向への寸法上の安定性は満足し得ないものとなる。
【0006】
現在の技術において、二軸配向フィルムの長手方向への収縮は、二軸引抜き後、更なる長手方向引き抜き(追加的な長手方向引き抜き)を実行することにより増大させることができることが知られている。しかし、本発明に関する研究の範囲内にて、この措置によって同時にフィルムの横断方向への収縮が零に等しいままであることを保証することはできないことが分かった。追加的な長手方向引き抜きの結果、横断方向へのフィルムの性質も著しく影響を受けることも分かった。第一に、フィルムの幅は、長手方向に引き抜く間、著しく減少し、横断方向への好ましくない収縮が生ずる、すなわち追加的に長手方向に引き抜いたフィルムは、高温度にて膨張する。長手方向への引き抜きの結果として幅が減少することは周知であり、フィルム技術の分野にてネッキングと称される。しかし、その後に、通常、行われる横断方向引き抜きの結果、このネッキングの好ましくない効果は補償される。しかし、追加的な長手方向引き抜く結果生じる「好ましくない」横断方向収縮(横断方向膨張)は、過剰な横断方向収縮として許容し得ない。その理由は、その結果、汎用ラベルの収縮付与する間、印刷した像に最終的に同様の歪みが生ずるからである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このため、本発明の目的は、高温度にて大きい長手方向収縮率を呈し、また、この温度の作用の下、横断方向にその寸法を変化させない配向ポリプロピレレンフィルムを製造することが可能な方法を提供することから成っている。この方法は、簡単で経済的に効率良く、しかも色々なフィルム材料、特に、二軸引抜きポリプロピレンフィルム対して使用することに適したものであることが必要とされる。更に、この方法は、その他の開始材料に対しても自由度の高い仕方にて適していなければならない。そのため、更に、成形したフィルム又はプレフィルムを長手方向に引き抜く方法を示すことが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、引き抜き装置の遅い速度で作動する部分にて引き抜く前、そのフィルムが引き抜きに適した温度まで加熱され且つ、引き抜き領域に進む熱可塑性ポリマーの少なくとも単一プライフィルム(1)を長手方向に引き抜く方法であって、被駆動ローラ(2)を保持する引き抜き装置の遅い速度で作動する部分、及び被駆動ローラ(3)及び対のローラ(2)/(3)を保持する引き抜き装置の速い速度で作動する部分は、これら2つのローラ(2)/(3)の間に引き抜き空隙(4)が形成され、また、フィルム(1)は引き抜き空隙(4)内に進むような要領にて配置される、方法において、周縁領域(10)内のローラ(2)/(3)の間の引き抜き空隙(4)の領域内にて引き抜く間、フィルム(1)は、固定装置により機械的に把持され且つ、フィルムが引き抜き空隙(4)に入るときに呈するフィルムの幅は、引き抜く間、顕著に変化しないような要領にてフィルムは固定されることを特徴とする方法によって実現される。
【0009】
図1には、幅を維持する装置が概略断面図にて示されている。フィルム(1)は、遅い速度で作動するローラ(2)と速い速度で作動するローラ(3)(引き抜きローラ)との間にて引き抜かれる。ローラ(2)へのフィルムのアクセス点(17´)と、ローラ(3)からの出口点(17´´)との間の領域は、引き抜き空隙(4)を形成する。引き抜き空隙(4)内にて、2つのキャリッジ(5a)及び(5b)は、フィルム(1)の上方及び下方に配置されている。キャリッジ(5)は、ポンチ又は圧力シリンダ(7a)、(7b)と、固定ロール(6a)、(6b)とを備えている。圧力シリンダ(7)により、キャリッジ(5)は、フィルムの表面の方向に向けて押される。この要領にて、フィルム(1)は、固定ロール(6a)、(6b)の間にて締め止めされ且つ固定される。構造に依存して、ロール(6)は、1つ又は幾つかの接触点(8)にてフィルム表面と接触する。
【0010】
図2には、フィルム(1)の2つの周縁領域(10)内に固定装置がある、フィルムウェブ(1)の頂面図が示されている。参照番号(9)は、フィルムウェブ(1)の前進方向である。フィルム(1)の上方に配置されたキャリッジ(5a)のロール(6a)がそれぞれ図示されている。ロール(6a)はフィルム(1)の周縁領域(10)内に配置された状態にて示されている。勿論、このことは、下方となるため図示されていないロール(6b)にも当て嵌まる。
【0011】
図3は、固定ロールが2列に配置された、フィルムウェブ(1)の概略頂面図である。理解し得るように、ロールは、側部(19a)、(19b)が並べて位置する2列に配置されており、各列の固定ロール(9)の位置は互いに向き合う状態に変位されている。
【0012】
図4には、固定ロールの直径が減少したならば、接触点(8)間の距離(11)が短くなる様子が概略図的に示されている。固定ロール(6)は、接触点(8);(8´);(8´´)にてフィルム(1)と接触している。ロール(6)の直径の結果、接触点(8)の間に空間的距離(11)が生ずる。ロール(6)の直径dがロール(6)の所定の直径dから開始して減少するならば(図4aと比較)、この距離は、(11a)から(11b)へと減少する(図4bと比較)。
【0013】
図5には、固定ロール(6)の直径の許容公差の場合の結果が示されている。概略図には、ロール(6)が全て正確に同一の寸法でないならば、ロール(6)をキャリッジ(5)に堅固に固定する方法の場合、全てのロール(6)がフィルム(1)と接触するとは限らない様子が示されている。
【0014】
図6/6aには、非堅固にすなわち可撓状に支持されたロール(6)を有する1つの好ましい実施の形態が示されており、この結果、図5に示した問題点が解決される。不均一な直径を有するロール(6)が反発し又は摺動する仕方にてキャリッジ(5)に装着される様子が示されている。より大きい直径を有するロールは、ばね(13)を圧縮する。この実施の形態において、全てのロール(6)は、フィルム(1)と接触しており、このため、各固定ロール(6)に対し、設計に起因する1つ又は幾つかの接触点が存在する。
【0015】
図7には、キャリッジ(5)と、可撓状に支持されたロール(6)と、引き抜きローラ(2)、(3)とを備える1つの配置が示されている。第一の固定ロール(6´a)、(6´b)の接触点(8´)とアクセス点(17´)との間に自由なままである領域(14´)が形成され、この領域内にてフィルム(1)は固定されないことが示されている。最後の固定ロール(6´´a)、(6´´b)と出口点(17´´)との間の領域にも同一のことが当て嵌まる。
【0016】
図7aには、図7に従って自由なままである領域(14´)又は(14´´)内に追加的な摺動バー(15)が配置された、図7と同様の1つの配置が示されている。この摺動バー(15)は、フィルム(1)が領域(14)内にてこの摺動バー(15)の上を進むような要領にて形成される。この目的のため、摺動バー(15)は、引き抜きローラ(2)/(3)に向けて及び第一の又は最後の固定ロールに向けてテーパーが付けられた端部を有している。自由なままである領域(14)は、図(7)と比較して著しく短い。
【0017】
図8には、図7aと同様の1つの配置が示される。この場合、追加的な固定ロール(18)がフィルムウェブ(1)の上方にて摺動バー(15)上方でキャリッジ(5a)上に配置され、該ロールは、フィルム(1)を摺動バー(15)に対して押し付け、これにより該フィルムがアクセス点又は出口点(17)から去った後、該フィルムを直接固定する。摺動バーは選択的な特徴であり、フィルムウェブの性質に依存して廃止してもよい。
【0018】
図9a及び図9bには、所定輪郭形状の面を有する固定ロールが頂面図及び断面図にて示されている。図示した実施の形態において、固定ロールは、それぞれ4つのOリング(19)により覆われており、その結果、隆起領域(20)及び凹部(21)をも備える輪郭形状部が形成される。図面には、所定輪郭形状のロールが隆起領域及び凹部が互いに係合するような要領にて(22)フィルムの上方及び下方に配置される様子が示されている。図10には、ロールの変位した位置決めと関係した所定輪郭形状の結果として、フィルムウェブが起伏のある形態にて所定輪郭形状部を取り囲む様子が示されている。
【0019】
本発明に従った装置は、基本的に、以下に、キャリッジ(5)と称する、2つの部分から成っており、これら2つの部分は、フィルム(1)に対向して、すなわちフィルム(1)の上方及び下方にて2つの周縁領域(10)内に配置されている。キャリッジ(5a)、(5b)の各々は、1列(図1)又は2列(図3)にて順次に配置された多数のロール(6a)、(6b)を呈する。列の長さは、引き抜き空隙(4)の長さにほぼ相応する。列内又は2列のロール(6)の間の距離は、可能な限り短くなければならない。ロール(6)の直径は、引き抜き空隙(4)内に幾つかのロール(6)を配置することができるような要領にて引き抜き空隙(4)の長さに対しある比となるように選ばれ、例えば、一側部当たり及びキャリッジ当たり少なくとも3つ、好ましくは、5ないし20のロール(6)が配置されるようにする。ロールの数は、2列の設計の場合、これに相応して2倍とする。ロール(6)は、引き抜き空隙(4)の全長に亙って均一に配分されるよう配置される。ロール(6)が2列に配置される実施の形態(図3)が好ましい。この配置の結果、1列の配置に向き合った接触点(8)の間の距離は半分となり、接触面、すなわち、接触点(8)の数は、全体として増大する、すなわちほぼ2倍となる。2列は、周縁(10)の幅が可能な限り小さいままであるようにするため、互いに可能な限り近接するよう配置する必要がある。
【0020】
列(6)に配置されたロールがフィルムの前進方向(9)に対し平行に整合され且つ、フィルムの周縁領域(10)と接触し、フィルム(1)が貫通して進むとき、ロール(6)がフィルムの前進方向(9)に向けて回転するような要領にて、2つのキャリッジ(5a)、(5b)は、フィルム(1)の上方及び下方にて引き抜き空隙(4)内に配置される。固定の効果が悪影響を受けることなく、ロールの平行な整合状態から±10°までの偏倚が可能である、すなわち、ロールはフィルムウェブに対して多少角度を成すように配置することもできる。例えば、圧力ポンチ(7)のような相応する装置を2つのキャリッジ(5a)、(5b)に配置することにより、(6a)、(6b)の上方及び下方に配置されたロールから成る対のロールがフィルム(1)を半締め止めする、すなわち固定し、長手方向への幅方向へのネッキングが全く生ぜず又は極く僅かだけ生ずるような要領にて2つのキャリッジ(5a)、(5b)の接触圧力を制御することができる。全体として、フィルム幅は、本発明に従った長手方向引き抜きの間、長手方向に引き抜く前の当初の幅と比較して、最大20%、好ましくは、0ないし15%、特に、2ないし12%だけ減少する。多数の対のロール(6a)、(6b)の結果、特に、フィルム(1)が上側ロール(6a)と下側ロール(6b)との間に保持される、2列の場合、相応する数の接触点(8)又は固定点が保証される。ロール(6)が小さければ小さい程、引き抜く間、引き抜き空隙(4)の長さに亙って可能な限り均一な固定を保証する接触点(8)は益々、増大する。構造的設計上の理由のため、ロール(6)の寸法の減少に関して限界があることは言うまでもない。
【0021】
フィルムウェブ(1)は、上側キャリッジ(5a)及び下側キャリッジ(5b)の対のロール(6a)、(6b)によりその周縁領域(10)内にて引き抜き空隙(4)の長さに亙って固定される。対のロール(6a)、(6b)のロール(6)は、その直径がその幅bgよりも全体として小さく、「ロール」という語の方が「ローラ」という語よりもこの要素をより正確に特徴付けるような要領にて寸法決めされる。しかし、適宜な寸法とされたローラが等価的な目的を満足させることも可能である。一層優れた側方向固定状態を実現するため、全ての幅の広いフィルムウェブを引き抜くべく、特に、かかる「ローラ」が使用される。固定ロールの設計及び幅に依存して、フィルムロールの幅を亙って伸びるロールとフィルムの周縁との間の接触に起因して接触領域が生じる。本発明の意味に従い、本明細書にて繰り返し言及した「接触点」は、ロール等の幅を亙って形成されるほぼライン型式の接触領域をも含む。
【0022】
当業者は、要素の寸法、すなわちロールの直径及びロールの幅をフィルムウェブの厚さ及び幅、引き抜き速度及び引き抜き倍数の数として、また、周縁領域の幅の関数として選ぶであろう。ロール(6)の直径は、特に、引き抜き装置の寸法、特に、引き抜き空隙(4)の寸法に依存する。引き抜き空隙(4)の長さと比較して、当業者は、接触点(8)の数を最大にし得るよう可能な限り小さい直径を選ぶであろう。ロールの幅は、フィルム(1)の厚さ及び幅並びに長手方向引き抜きのために加えるべき引き抜き力に依存する。引き抜き力が大きければ大きい程、良好な固定状態を保証するための接触面積は益々、増大する。当然に、ロール幅は、1列又は2列の設計が具体化されるかどうかにも依存する。2列の実施の形態は、当然に、小さいロールを有する。フィルムウェブ幅自体は、材料の型式及び所定の機械の寸法に依存し、従って広範囲内にて相違する可能性がある。一例として、フィルムウェブ(1)は、5m以下、好ましくは0.2ないし3mの幅を有するであろう。引き抜き空隙(4)は可能な限り短くなければならない。
【0023】
フィルムの周縁(10)を引き抜き空隙(4)の長さの全体に亙って均一に決定することを保証するため、ロール(6)を引き抜き空隙(4)の開始部分から終了部分まで配置し、また、全てのロール(6)が同一の直径を有するようにする必要がある。勿論、この場合、通常の製造許容公差により限界が課される。全体として、キャリッジ(5a)、(5b)内のロールの直径は、10%以上互いに偏倚してはならない。このことは、ロール自体に及び施されるであろう被覆を含むロールの全体の直径の双方に当て嵌まる。
【0024】
基本的に、ロール(6)は、必要条件を満足させる任意の所望の材料又は材料複合体にて形成することができる。表面は、フィルムウェブ(1)とロール表面との間に非滑り接続部が促進されるような要領にて設計する必要がある。材料ウェブとロール表面との間の相対的な動き(滑り)は回避すべきである。好ましくは、ロール(6)の表面には、滑りを回避するのに必要な接着摩擦を保証するゴムカバー(例えば、ゴムリング、図9及び図10を比較)を設ける必要がある。一例として、表面は、例えば、銅のような特殊な金属にて被覆してもよい。フィルムウェブに依存して、多岐に亙るロール型式の組み合わせ(ゴム上金属)を採用することが考えられる。
【0025】
更なる実施の形態に従い、ロールの表面及び(又は)形態は、ロール−フィルム−ロールの間の非滑り接続が更に向上するような要領にて設計される。この目的のため、所定輪郭形状の表面を有するロールであること、すなわちロール表面の各々はロールの幅に亙って均一に分配された凹状領域及び隆起領域を呈することが望ましいことが判明している。これと同時に、これらの所定輪郭形状のロールは、下方のロールの隆起領域が頂部に配置されたロールの凹状部分と対向し(又はその逆)、ロールに付与された接触圧力の下、こけらが互いに係合するような要領にてフィルムウェブの上方及び下方に配置される。その結果、フィルムの周縁は、この所定輪郭形状部を起伏のある要領にて取り囲み、増大した接触圧力を伴う接触面が形成される。その結果、フィルムの周縁領域に溝型パターンが形成される。この周縁領域は、その後に接続されるから、この「変形」は、不利益ではない。
【0026】
かかる実施の形態は、例えば、多数のOリングにて被覆された固定ロールから成っている。同様の効果は、金属又はゴムの厚いロール被覆を彫り込むことにより実現することも可能である。1つの代替例として、ナブ型被覆をロール表面に施すこともできる。かかる所定輪郭形状のロール表面の場合、ゴム又は合成樹脂表面とすることも好ましい。
【0027】
全体として、ロール(6)は、独立的な駆動装置を備えていない。これらのロールは、前進するフィルムウェブ(1)を介して駆動され、また、引き抜きと共にフィルムウェブ(1)のウェブ速度によって調節される周縁速度VRを有する。
【0028】
本発明に関する研究の範囲にて、引き抜き空隙(4)の全長に亙って変位した要領にて選択的に所定輪郭形状とされ且つ、配置されたロール対(6a)、(6b)により、フィルムの周縁(10)を均一に決定することが特に有益であることが判明した。理想的な場合、双方のフィルム周縁は、一定の力にて引き抜き空隙(4)の長さに亙って連続的に保持され、望ましくないネッキング及びその有害な効果を防止する必要がある。極めて小さい寸法の多数のロール(6)により決定に対する許容公差を可能な限り連続的に保ち、その結果、近接して配置された多数の接触点(8)が生ずるようにする(図3)。ロール(6)が小さければ小さい程、個々の接触点(8)(図4)の間の「自由なままである」領域(11)は益々、短くなる。しかし、極めて小さい多数のロール(6)となる結果、別の問題点が生ずることが分かった。フィルム(1)は、全ての接触点又は接触領域(8)にて同一の力にて固定することができない、すなわち、全てのロール(6)の均一な接触圧力が常に得られるとは限らない。原理上、全てのロール(6a)、(6b)を有するキャリッジ(5a)/(5b)の全体は、圧力シリンダ(7)を介してフィルム(1)に向けて下方に又は上方に押され、原理上、全てのロール(6)は、同一の力にてフィルムに及び(又は)互いに押されるが、ロールの直径の製造許容公差のため、また、例えば、ゴム被覆のような施されたロール被覆の厚さが変化する結果、全ての接触圧力ロールが同一の力にて互いに押し付けられるとは限らないことが分かった。その結果、フィルム(1)は、全ての領域にて非滑り状態に把持されず、又は個々の接触点(8)における接触圧力は各ロール対(6a)、(6b)に対して同一ではない(図5)。図6に従った好ましい実施の形態の場合、この不利益な点は解消することが可能である。この実施の形態(図6)において、ロールは、例えば、円筒状の摺動ボルト(12)を介して堅固ではなく可撓にキャリッジ(5)上に固定され、同時に、好ましくは、ばね式圧力要素に対して休止することが好ましい。このばね式圧力要素は、最も簡単な場合、その下方にばねが配置された無頭ねじによって実現することができる。ロール(6)の可撓性又はばね式支持体(13)は、ロール(6)の全てがフィルムの周縁(10)と非滑り式に接触するような程度までキャリッジ(5)の全体をフィルム周縁の全体に押し付けることを許容する。個々のロール(6)の過大な直径は、今や、その結果、全てのロール(6)が同一の力にてフィルム周縁(10)に押し付けられるような程度まで(図6a)、ロールがキャリッジ(5)の方向に向けてばね式に圧縮されることで補償することができる。
【0029】
図7a及び図8に従った更なる特に有益な実施の形態において、フィルム(1)の均一な連続的な決定が引き抜き空隙(4)の全長に亙って一層良く保証されるような要領にてキャリッジ(5)の設計が改変される。上述したように、引き抜き空隙(4)の長さに亙って配置された多数の小さいロール(6)は、接触点(8)間の領域(11)が可能な限り小さいままであることを保証する。この措置にも拘らず、フィルム(1)が引き抜き空隙(4)内に入り及び(又は)引き抜き空隙(4)から排出されるとき、「自由なままである」比較的大きい領域(14)を回避することはできないことが分かった。この問題点は、固定ロールの対(6a)、(6b)及び引き抜きローラ(2)/(3)の直径が異なることに起因する。引き抜き空隙(4)に入るとき、フィルム(1)は、遅い速度で回転するローラ(2)上を案内され且つ、距離(14´)の後にのみ、2つのキャリッジ(5a)、(5b)の第一の固定ロール対(6´a)、(6´b)と合わさる。第一のロール対(6´a)、(6´b)が引き抜きローラ(2)に最大限、接近したしたときでさえ、固定ロール(6´a)、(6´b)及び引き抜きローラの直径が異なる結果として、空隙(14´)が残る(図7)から、この距離は、構造的設計の観点から回避することはできない。このことは、同様の要領にて引き抜き空隙(4)から排出されるときにも当て嵌まる。フィルム(1)は、最後の固定されたロール対(62a)、(6´´b)から去り、また、該フィルムが速い速度で回転する引き抜きローラ(3)と合わさる迄、自由なままである。これらの空隙(14)の結果、入口及び排出領域内にて幅の減少を不満足な程度にしか防止することができない結果となる。この不利益な効果は、キャリッジ(5a)、(5b)の更なる好ましい実施の形態によってのみ、解消することができる。
【0030】
図7aに従ったキャリッジ(5)のこの好ましい設計の場合、入口及び排出領域内の第一及び最後のロール対(6´a/6´´a)、(6´b/6´´b)は、その上をフィルム(1)が案内される摺動バー(15)により補助を受ける。この摺動バー(15)は、固定ロール及び(又は)引き抜きローラの関連する形態の少なくとも一側部、好ましくは、両側部又は両端(16)にて調節され、摺動バー(15)が関連する接触点(8)に向けてテーパーが付けられ且つ(又は)アクセス点(17)が一側部又は両側部に向けてテーパーが付けられるようにする。その結果、フィルム(1)は、点(17)にてローラ(2)から去り且つ、フィルムは、最早、遅い速度で回転する引き抜きローラ(2)と接触しなくなった後、直接、摺動バー(15)の表面と合わさる。フィルム(1)は、該フィルムが第一の固定ロール対(6´a)、(6´b)により把持される迄、この摺動バー(15)上を進む。この要領にて、当初、自由のままであった領域(14´)は、図7aに従って数mmまで短くなる(14´´´)。領域(14´´´)は、摺動バー(15)のテーパー付きの一端(16)と引き抜きローラ(2)の排出点(17)との間の距離から得られる。引き抜き領域の端部にも同様の要領にて同一のことが当て嵌まる。この場合、摺動バーは、最後の固定ロール対(6´´a/6´´b)の接触点(8)と速い速度で回転する引き抜きローラ(3)のアクセス点(17´´)との間の距離を架橋する。
【0031】
摺動バー(15)の表面は、適宜な被覆にて被覆されている。該被覆は、一方にて、フィルム材料と向き合って十分な接着力を提出するが、これと同時に、フィルム(1)がこの表面上を摺動するのを許容する。例えば、研磨したステンレス鋼又は合成樹脂被覆が使用される。摺動バー(15)の領域内にてフィルム幅の固定化が特に効果的であるようにするため、対向するキャリッジは、この領域内にて追加的な固定ロール(18)を呈し、このため、フィルム(1)は、摺動バー(15)と追加的なロール(18)との間にて固定され、その結果、この領域(図8)内での幅の減少は殆ど防止される。上述したのと同一の要領にて、これらのロール(18)は、好ましくは、ばね上に支持された要領にて摺動バー(15)に押し付けられて、制御され且つ、均一な接触圧力を形成する。
【0032】
フィルムウェブ(1)は、その周縁領域(10)内にて、その上側及び下側キャリッジ(5a)、(5b)のロール対(6a)、(6b)により長さ方向に引き抜かれる間、上述した装置によって固定される。該ロール対は、必要であるならば、選択的に、摺動バー(15)及び追加的なロール(18)と協働して、引き抜く間、フィルム(1)の幅が必ずしも変更しないよう仕方にて変位した要領で、主要輪郭形状とされ且つ、配置される。この目的のため、2つのキャリッジ(5a)、(5b)は、上方及び下方からフィルム表面に押し付けられ、相応するシリンダ(7)を介して接触圧力を制御することが可能である。この目的のため、フィルムの周縁(10)は、ロール対(6a)、(6b)の間及び(又は)摺動バー(15)とロール(18)との間にて、通常の幅ネッキング作用が効果的に防止されるような要領にて締め止めされる。これと同時に、2つのキャリッジ対(5b)の自由に回転するロール(6)は、フィルムウェブ(1)が前進方向(9)に向けて妨害されずに輸送されることを保証する。固定された周縁領域(10)は、ウェブの全幅と比較して通常、小さい。かかる周縁領域(10)の正確な幅は、材料の型式及びウェブの全幅に依存する。全体として、周縁領域(10)は、ウェブの外側領域であると理解すべきである。該ウェブの外側領域は、共に、全幅の20%を提供する、すなわち周縁領域(10)の各々は、フィルムウェブ(1)の全幅の1ないし10%を提供する。フィルムウェブ(1)の各々は、前進方向(9)に対し平行に伸びる2つの周縁領域(10)を有することは言うまでもない。本明細書にて「周縁領域(10)」に関する全てのデータは、当然に同一の要領にて対向する周縁にも当て嵌まる。
【0033】
本発明の意味に従った長手方向とは、フィルムウェブ(1)が前進する方向である。この方向は機械の前進方向とも称される。本発明の意味に従った横断方向とは、90°の角度の方向、すなわち機械の前進方向に対し横断する方向である。
【0034】
本発明に従った方法は、驚くべきことに、二軸配向フィルム、特に、それ以前に別個の製造過程にて製造されたポリプロピレンフィルムの追加的な長手方向への引き抜きに極めて良好に適している。すなわち、追加的に長手方向に引き抜くため、本発明に従った方法は、オフラインにて作動されることが好ましい。同様の要領にて、成形したフィルムを引き抜く装置はその製造後に使用される。成形したフィルムは、実質的に引き抜かない、すなわち押出し成形後、フィルムはフィルムを引き抜くための追加的な措置が行われずに、ローラから引き出される。別の可能な変形例において、長手方向引き抜きの間、幅維持装置を「インライン」にて使用することも可能である。この場合、本発明に従った長手方向引き抜き方法は、フィルムの製造方法と組み合わされ、そのときの要領は、本発明に従った製造及び引き抜きが本発明に従った方法における1つの工程ステップを形成する過程中の単一の連続的な工程にて、ネッキングを伴わずに、組み合わされるようなものとする。以下に、本発明に従った方法の実施について、更に詳細に説明する。
【0035】
長手方向に引き抜くため、フィルムウェブ(1)は、必要であるならば、巻き戻し且つ、少なくとも2つの被駆動引き抜きローラ(2)/(3)及び固定装置により本発明に従った長手方向引き抜き装置まで進める。回転するローラ(2)/(3)の間にて、フィルム(1)は、長手方向引き抜き比fにより引き抜かれ、また、この方法の間、同時に、上述した装置により幅が固定される。引き抜きローラ(2)/(3)の速度は、v1、v2である。速度は、一方にてフィルム(1)が工程を経て進む速度を決定し、他方にてフィルムウェブ(1)の長手方向に加えられる引き抜き張力を決定する。この導入された引き抜き張力を介して、成形したフィルム又はプレフィルムの配向又は既に二軸配向したフィルム(1)の追加的な配向は長手方向に向けて生じる(追加的な長手方向引き抜き)。
【0036】
長手方向引き抜き比fは、引き抜きローラ(2)/(3)とフィルム(1)とが非滑り接触する場合、ローラ(3)、(2)の速度v2、v1の比からほぼ得られる。長手方向引き抜き比fは、その他の条件の内、使用される開始材料に依存する。二軸配向フィルムを追加的に長手方向に引き抜く場合、長手方向引き抜き係数は>1ないし5以下、好ましくは、1、2、3である。成形フィルム又はプレフィルムの場合、引き抜き係数は、2ないし7の範囲、好ましくは、3ないし5の範囲にて変化する。引き抜く前、フィルムは、加熱したローラにより又は雰囲気加熱ボックスによって加熱する。引き抜き領域(14)に到達したとき、フィルム(1)は、上昇温度TSとなり、この温度にてフィルムは該当する引き抜き比にて引き抜くことができる。原材料、フィルムの厚さ、引き抜き速度及び引き抜き比に依存して、引き抜く間の温度TSは、関係するポリマーの融点よりも5ないし40℃だけ低く、好ましくは、80℃ないし160℃の範囲にあるものとする。引き抜き係数FSは、被駆動ローラ(2)とフィルム表面との間及び被駆動引き抜きローラ(3)の間の非滑り接触(接着摩擦)により、フィルム(1)まで伝達される。この力の伝達は、小さい固定ロールが例えば、約50ないし100ショア硬度Aのゴム硬度を持つゴム被覆を有するならば、特に効果的である。
【0037】
必要であれば、引き抜き装置は、フィルム(1)と引き抜きローラ(2)/(3)との間の非滑り接触を更に向上させることを目的とする機能を果たす追加的なニップローラを保持するものとする。ニップローラは、第一の遅い速度で作動するローラ及び(又は)第二のより速い速度で作動するローラ上に更に配置し且つ、それ自体にて駆動し又は駆動しなくてもよい。フィルム(1)は、該フィルムが引き抜きローラ(2)/(3)の表面にて平坦に位置し、また、良好な非滑り接触状態が保証されるような要領にて両側部が引き抜きローラ(2)/(3)及びニップローラにより把持される。
【0038】
本発明に従った方法におけるフィルムウェブ(1)のウェブ速度vFは、所望の加工速度によって決まる。通常のウェブ速度は、材料の型式に依存して、1ないし1500m/分、好ましくは、5ないし1000m/分の程度となる。熱可塑性ポリマーのフィルムの場合、一般に、10ないし500m/分の速度が使用される。
【0039】
本発明に従った長手方向引き抜きの後、フィルムは、通常の方法にて縁縫いして且つ巻き取る。全体として、フィルムは、該当する周縁領域の幅によって縁縫いされる。個々の場合、追加的な長手方向引き抜きは、例えば、コロナ又はフレーム又はプラズマによる表面処理のような更なる加工ステップと組み合わせることができる。
【0040】
追加的な長手方向引き抜きのための本発明に従った方法は、基本的に、合成樹脂、特に、熱可塑性合成樹脂で出来た全てのフィルムに適している。熱可塑性合成樹脂のフィルムは、例えば、ポリエステルとし、また、ポリエチレン、ポリプロピレン、サイクロオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド等のようなポリオレフィンのフィルムである。かかるフィルムは、単一プライ又は多数プライ構造を有することができる。この方法は、特に、5ないし100μm、好ましくは、2ないし80μmの厚さを有する上述した材料の二軸配向引き抜きフィルムウェブに適している。特に、20ないし100μmの厚さを有する二軸引抜きポリプロピレンフィルム、又は>50μm、特に80ないし200μmの厚さを有する非引き抜きポリプロピレン成形フィルムであることが好ましい。ポリプロピレンフィルムは、全体として、例えば、ポリプロピレン−エチレン共重合体又はエチレン−プロピレン−ブチレン三重ポリマー又はこれらのポリプロピレンポリマーの混合体を層又は複数の層に含むようなプロピレンホモポリマー又はプロピレン混合ポリマーを保持する。混合したポリマー中のモノマーの比率は、重量比にて1ないし10%に達する。これらのプロピレンポリマーは、通常、PP及びPP成形フィルムの双方にて使用される。
【0041】
全体として、二軸引抜きフィルムは、製造中、3ないし7の係数にて長手方向に引き抜かれ、また、5ないし10の係数にて横断方向に引き抜かれる。基本的に、単一プライ及び複数プライの実施の形態の双方に対して追加的な長手方向引き抜きを行うことができる。このような二軸引抜きポリプロピレンフィルム及びその製造方法並びにそれらの組成は、当該技術分野の当業者に既知である。
【0042】
本発明の方法に従って引き抜いた成形フィルム又はプレフィルムの場合、厚さは、全体として、20ないし500μm、好ましくは、30ないし200μmの範囲にある。これらの厚さのデータは、当然に、これらのフィルムが該方法に従って長手方向に引き抜かれる前のフィルムの厚さに関するものである。
【0043】
本発明に従った方法は、製造方法の一体的な部分とし(長手方向へのインライン引抜き)又は好ましくは、フィルムの製造及び巻き取りの後、別個の工程ステップにて実行することができる。
【0044】
基本的に、二軸引抜き開始材料は、通常の既知のフィルム製造方法に従って製造することができる。全体として、順序的な長手方向/横断方向引き抜きを伴なう平坦なフィルム法であることが好ましい。原理上、フィルムの開始材料は、二重泡法によって製造することもできる。かかる方法は、現在の技術にて既知であり、多数の特許明細書に及び専門文献に詳細に記載されている。同様に、成形フィルムを製造する方法も当該技術分野の知識の一部である。
【0045】
本発明は、長手方向に引き抜かれたフィルムを固定する簡単な方法を提供する。このようにして、幅方向のネッキングが防止され、横断方向への収縮特性を良好に制御することができる。本発明に従った方法は、極めて大きい長手方向収縮率を有し、また、これと同時に、横断方向への優れた寸法的安定性を維持することができるフィルムを製造することを許容する。その結果、該方法に従って製造された製品は、円筒状容器、成形物品又は使用物品の周囲に付される汎用レベルとして優れた要領にて使用することができる。
実験例1:
二軸引抜きポリプロピレンフィルムは、幅出し機(stenter)法に従って製造したものである。フィルムは、ポリプロピレンから単一プライにて構成され、また、75μmの厚さを有するものとした。フィルムは、その製造中、5倍、長手方向に引き抜き、また、9倍、横断方向に引き抜いた。引き抜いた後、フィルムの固定及びその後続の巻き取りを行った。このようにして製造したフィルムは、循環空気加熱炉内にて130℃/5分で両方向に3%以下の収縮率を示した。
【0046】
このフィルムは、請求項1の方法に従って長手方向に引き抜いた。フィルムの幅は、追加的な長手方向引き抜きの前、約490mmであった。追加的な長手方向引き抜きは、約100ないし120℃の温度及び2.1の引き抜き係数にて行った。フィルムは、引き抜く間、双方の周縁領域内にてキャリッジ(5a及び5b)への接触加圧によって固定した。
【0047】
この要領にて、約400mmの非縁縫い幅を有するフィルムウェブが得られた。このフィルムは、130℃/5分にて約30%の長手方向収縮率の値及び望ましくない1.5%の横断方向収縮率(膨張)を示した。
実験例2:
幅出し機法に従い二軸引抜きポリプロピレンフィルムを製造した。フィルムは、ポリプロピレンから3プライにて構成し、61μmの厚さを有するものとした。基部層は、実質的にプロピレンホモポリマーから成るものとした。約1μmの厚さを有する両側部における頂部被覆の各々は、実質的に重量比にて約4.5%のエチレン含有率を有するプロピレン−エチレン共重合体から成るものとした。フィルムは、その製造中、長手方向に5倍、引き抜き且つ横断方向に9倍、引き抜いた。引き抜いた後、フィルムを固定し、その後に巻き付けた。このようにして製造されたフィルムは、循環空気加熱炉内にて130℃/5分で両方向に約3%の収縮率を示した。
【0048】
このフィルムは、請求項1の方法に従って追加的に長手方向に引き抜いた。追加的に長手方向に引き抜く前、フィルムの幅は、約580mmであった。追加的な長手方向引き抜きは、約90ないし110℃の温度及び1.3の引き抜き係数にて行った。フィルムは、引き抜く間、両周縁領域内にてキャリッジ(5a、5b)を接触加圧させることにより、固定した。この例により、2つのキャリッジは、各場合(図9a、図9b)にて4つのOリングにて覆った所定輪郭形状の固定ロールを呈した。キャリッジは、互いに向き合ってフィルムウェブの下方及び上方に配置し、上側キャリッジの凹部は、下側キャリッジの隆起領域に対面し、フィルムは、追加的な長手方向引き抜きの後、周縁領域内にて溝型パターンを呈するようにした。
【0049】
この要領にて、48μmの厚さ及び約575mmの非縁縫い幅を有するフィルムウェブが得られた。フィルムは、130℃/5分で約24.5%の長手方向収縮率の値及び0.4%の望ましくない横断方向収縮(膨張)率の値を示す。
実施例3:
非引き抜き3プライポリプロピレンの成形フィルムは、スリットダイを通して押出し成形機に進めることにより、通常の成形法に従って製造した。フィルムは、3プライとし且つ、約150μmの厚さを有するものとした。頂部層は、各々約30μmの厚さであり且つ、重量比にて実質的に約2%のエチレン含有量のプロピレン−エチレン共重合体から成るものとした。基部被覆は、重量比にて45%のポリプロピレンホモポリマーと、重量比にて55%の頂部層のプロピレン共重合体との混合体から成るものとした。フィルムは、製造する間、引き抜かなかった。このようにして製造されたフィルムは、循環空気加熱炉内にて150℃/5分で両方向に約0.5%の収縮率を示した。
【0050】
このフィルムは、請求項1の方法に従って長手方向に引き抜いた。長手方向に引き抜く前のフィルムの幅は、約580mmであった。追加的な長手方向引き抜きは、約118℃の温度及び3.2の引き抜き係数にて行った。フィルムは、引き抜く間、キャリッジ(5a)及び(5b)を両周縁領域内にて接触加圧させることにより固定した。この例において、2つのキャリッジは、各場合にて4つのOリング(図9a、図9b)にて被覆された所定輪郭形状の固定ロールを呈した。キャリッジは、各々が向き合って、上側キャリッジの凹部が下側キャリッジの隆起領域と対向する位置に配置され、フィルムは周縁領域内にて長手方向に引き抜いた後、溝型パターンを呈するような要領にてフィルムウェブの下方及び上方に配置した。
【0051】
このようにして、47μmの厚さ及び約570mmの非縁縫い幅を有するフィルムウェブが得られた。このフィルムは、130℃/5分で約27%の長手方向に収縮率の値及び0.2%の好ましくない横断方向収縮(膨張)率を呈した。
収縮率の測定:
長手方向及び横断方向への収縮率の値は、収縮工程前のフィルムのそれぞれの長さLo、Qoに関する。試験試料は、循環空気加熱炉内で5分間、130℃の温度にて収縮させる。その後、試験試料の残りの長さ及び幅はL1、Q1として決定される。試験試料の当初の長さとして決定された長さの変化は、長手方向及び横断方向への収縮率として表現される。
【0052】
長手方向収縮:Ls=(Lo−L1)/Lo
横断方向収縮:Qs=(Qo−Q1)/Qo
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引き抜き装置の遅い速度で作動する部分にて引き抜く前、そのフィルムが引き抜きに適した温度まで加熱され且つ、引き抜き領域(10)へ進行された熱可塑性ポリマーの少なくとも単一プライフィルム(1)を長手方向に引き抜く方法であって、
少なくとも1つの被駆動ローラ(2)を保持する引き抜き装置の遅い速度で作動する部分、及び被駆動ローラ(3)及び対のローラ(2)/(3)を保持する引き抜き装置の速い速度で作動する部分は、これら2つのローラ(2)/(3)の間に引き抜き空隙(4)が形成され、また、フィルム(9)は引き抜き空隙(4)内に進行されるような要領にて配置される、方法において、
周縁領域(10)内のローラ(2)/(3)の間の引き抜き空隙(4)の領域内にて引き抜く間、フィルム(1)は、固定装置により機械的に把持され且つ、フィルムが引き抜き空隙(4)に入るときに呈するフィルムの幅が引き抜く間、顕著に変化しないような要領にて、フィルムは固定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
速度をV1にて駆動される少なくとも1つの被駆動ローラ(2)と、V1よりも速い速度V2にて駆動される少なくとも1つの第二の被駆動ローラ(3)とを備え、ローラ(2)/(3)は、2つのローラ(2)/(3)の間に引き抜き空隙(4)が形成されるような要領にて配置される、熱可塑性ポリマーのフィルムウェブを引き抜く装置において、
2つのローラ(2)/(3)の間にて、フィルムウェブの幅が引き抜き空隙(4)内にて長手方向に引き抜く間、実質的に不変のものであるような要領にて、フィルムウェブの周縁領域の双方を機械的に把持する幅維持装置が配置されることを特徴とする、熱可塑性ポリマーのフィルムウェブを引き抜く装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
幅維持装置は、2対のキャリッジ(5a)、(5b)すなわち、合計4つのキャリッジから成っており、
1対のキャリッジ(5a)、(5b)は1つのフォイルの周縁に配置され、
4つのキャリッジの各々は、順次に配置された幾つかのロール(6a)、(6b)を呈し、
1つのキャリッジは、フィルムウェブの上方にて各フィルムの周縁上に配置され、反対側の1つのキャリッジは、フィルムウェブの下方に配置され、フィルム周縁の上方及び下方に配置されたキャリッジ(5a)、(5b)は、互いに向き合うように配置され、
ロール(6a)、(6b)は、フィルムの前進方向(9)に向けて整合され、対のロール(6a)、(6b)は、周縁領域(10)内にてその間に位置するフィルムウェブを互いに把持し/接触する状態で対向する位置に位置することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の装置において、
ロールの列の長さは、引き抜き空隙(4)の長さにほぼ相応し、キャリッジ(7)のロール(6)は、引き抜き空隙の長さに亙って配置されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか1つに記載の装置において、
キャリッジ(5)の各々は、二重列の配置のロール(6)を呈し、
二重列の2列は、互いに変位した状態に配置され、
フィルムとの接触点(8)の間の距離は、同一の構造的設計の1列の配置と比較して半分とされることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れか1つの項に記載の装置において、
ロール(6)は、自由に回転可能であり且つ、駆動されないことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項2ないし5の何れか1つの項に記載の装置において、
ロール(6)には、その表面にゴム又は金属の被覆が設けられることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項2ないし7の何れか1つの項に記載の装置において、
キャリッジ(5a)、(5b)は、圧力シリンダによりフィルムウェブから離れ又はフィルムウェブに向けた方向に動かすことができ、
フィルムウェブの上方及び下方に配置され対のロール(6a)、(6b)の固定圧力を圧力シリンダを介して調節することができることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項2ないし8の何れか1つの項に記載の装置において、
ロール(6)は、キャリッジ(5)と可動に接続されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
ロール(6)は、円筒状の摺動ボルト(12)を介してキャリッジ(5)と接続されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
ロール(6)は、ばね型式の圧力片に対して配置されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項2ないし11の何れか1つの項に記載の装置において、
各対のキャリッジ(5a)、(5b)の1つのキャリッジは、各場合にて、追加的に摺動レール(15)を更に呈し、
1対のキャリッジは、摺動レール(15)を有するキャリッジと、摺動レール(15)が無いキャリッジとを備え、
該キャリッジは、フィルムウェブの上方及び下方にて互いに対向して配置されることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
摺動レール(15)は、引き抜き領域内の第一のロールと遅い速度で作動するローラ(2)との間の領域内に配置され、
第二の摺動レール(15)は、引き抜き領域内の最後のロールとより速い速度にて作動するローラ(3)との間に配置されることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の装置において、
摺動レールは、ロール(6)及びローラ(2)及び(又は)(3)に向けたテーパー付き端部を呈することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の装置において、
摺動レール(15)が無いキャリッジは、摺動レール(15)に対向して配置された追加的なロール(18)を呈することを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項3ないし15の何れか1つの項に記載の装置において、
ロール(6)は、所定輪郭形状の表面を呈することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、
所定輪郭形状のロールは、金属又はゴムのOリングにて被覆されることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項16に記載の装置において、
ロールの表面は、彫り込むことにより所定輪郭形状とされることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、
ロールは、所定輪郭形状のゴム被覆を呈することを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置によってフィルムウェブを長手方向に引き抜く方法において、
フィルムは最初に、遅い速度で回転するローラ(2)上を案内され、その後、引き抜き空隙(4)を通って進み、次に、速い速度で作動するローラ(3)の上を通る方法であって、
引き抜き空隙(4)内にて引き抜く間、フィルムの双方の周縁が2対のキャリッジのロール(6)の間にて固定されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
フィルムは、請求項3ないし19の何れか1つの項に記載の装置によって引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の方法において、
二軸引抜きフィルムは、長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20ないし22の何れか1つの項に記載の方法において、
二軸引抜きフィルムは、その製造中、3ないし6の範囲の係数にて長手方向に引き抜かれ、5ないし12の範囲の係数にて横断方向に引き抜いたことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20ないし23の何れか1つの項に記載の方法において、
フィルムは、>1ないし5の係数にて長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20ないし24の何れか1つの項に記載の方法において、
フィルムは、22ないし100μmの厚さを呈する二軸引抜きポリプロピレンフィルムであることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項20又は21に記載の方法において、
成形した(cast)フィルムは、長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項20又は21に記載の方法において、
プレフィルムは、長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26又は27に記載の方法において、
フィルムは、2ないし7の係数にて長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項1】
引き抜き装置の遅い速度で作動する部分にて引き抜く前、そのフィルムが引き抜きに適した温度まで加熱され且つ、引き抜き領域(10)へ進行された熱可塑性ポリマーの少なくとも単一プライフィルム(1)を長手方向に引き抜く方法であって、
少なくとも1つの被駆動ローラ(2)を保持する引き抜き装置の遅い速度で作動する部分、及び被駆動ローラ(3)及び対のローラ(2)/(3)を保持する引き抜き装置の速い速度で作動する部分は、これら2つのローラ(2)/(3)の間に引き抜き空隙(4)が形成され、また、フィルム(9)は引き抜き空隙(4)内に進行されるような要領にて配置される、方法において、
周縁領域(10)内のローラ(2)/(3)の間の引き抜き空隙(4)の領域内にて引き抜く間、フィルム(1)は、固定装置により機械的に把持され且つ、フィルムが引き抜き空隙(4)に入るときに呈するフィルムの幅が引き抜く間、顕著に変化しないような要領にて、フィルムは固定されることを特徴とする方法。
【請求項2】
速度をV1にて駆動される少なくとも1つの被駆動ローラ(2)と、V1よりも速い速度V2にて駆動される少なくとも1つの第二の被駆動ローラ(3)とを備え、ローラ(2)/(3)は、2つのローラ(2)/(3)の間に引き抜き空隙(4)が形成されるような要領にて配置される、熱可塑性ポリマーのフィルムウェブを引き抜く装置において、
2つのローラ(2)/(3)の間にて、フィルムウェブの幅が引き抜き空隙(4)内にて長手方向に引き抜く間、実質的に不変のものであるような要領にて、フィルムウェブの周縁領域の双方を機械的に把持する幅維持装置が配置されることを特徴とする、熱可塑性ポリマーのフィルムウェブを引き抜く装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置において、
幅維持装置は、2対のキャリッジ(5a)、(5b)すなわち、合計4つのキャリッジから成っており、
1対のキャリッジ(5a)、(5b)は1つのフォイルの周縁に配置され、
4つのキャリッジの各々は、順次に配置された幾つかのロール(6a)、(6b)を呈し、
1つのキャリッジは、フィルムウェブの上方にて各フィルムの周縁上に配置され、反対側の1つのキャリッジは、フィルムウェブの下方に配置され、フィルム周縁の上方及び下方に配置されたキャリッジ(5a)、(5b)は、互いに向き合うように配置され、
ロール(6a)、(6b)は、フィルムの前進方向(9)に向けて整合され、対のロール(6a)、(6b)は、周縁領域(10)内にてその間に位置するフィルムウェブを互いに把持し/接触する状態で対向する位置に位置することを特徴とする装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の装置において、
ロールの列の長さは、引き抜き空隙(4)の長さにほぼ相応し、キャリッジ(7)のロール(6)は、引き抜き空隙の長さに亙って配置されることを特徴とする装置。
【請求項5】
請求項2ないし4の何れか1つに記載の装置において、
キャリッジ(5)の各々は、二重列の配置のロール(6)を呈し、
二重列の2列は、互いに変位した状態に配置され、
フィルムとの接触点(8)の間の距離は、同一の構造的設計の1列の配置と比較して半分とされることを特徴とする装置。
【請求項6】
請求項2ないし5の何れか1つの項に記載の装置において、
ロール(6)は、自由に回転可能であり且つ、駆動されないことを特徴とする装置。
【請求項7】
請求項2ないし5の何れか1つの項に記載の装置において、
ロール(6)には、その表面にゴム又は金属の被覆が設けられることを特徴とする装置。
【請求項8】
請求項2ないし7の何れか1つの項に記載の装置において、
キャリッジ(5a)、(5b)は、圧力シリンダによりフィルムウェブから離れ又はフィルムウェブに向けた方向に動かすことができ、
フィルムウェブの上方及び下方に配置され対のロール(6a)、(6b)の固定圧力を圧力シリンダを介して調節することができることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項2ないし8の何れか1つの項に記載の装置において、
ロール(6)は、キャリッジ(5)と可動に接続されることを特徴とする装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
ロール(6)は、円筒状の摺動ボルト(12)を介してキャリッジ(5)と接続されることを特徴とする装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置において、
ロール(6)は、ばね型式の圧力片に対して配置されることを特徴とする装置。
【請求項12】
請求項2ないし11の何れか1つの項に記載の装置において、
各対のキャリッジ(5a)、(5b)の1つのキャリッジは、各場合にて、追加的に摺動レール(15)を更に呈し、
1対のキャリッジは、摺動レール(15)を有するキャリッジと、摺動レール(15)が無いキャリッジとを備え、
該キャリッジは、フィルムウェブの上方及び下方にて互いに対向して配置されることを特徴とする装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
摺動レール(15)は、引き抜き領域内の第一のロールと遅い速度で作動するローラ(2)との間の領域内に配置され、
第二の摺動レール(15)は、引き抜き領域内の最後のロールとより速い速度にて作動するローラ(3)との間に配置されることを特徴とする装置。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の装置において、
摺動レールは、ロール(6)及びローラ(2)及び(又は)(3)に向けたテーパー付き端部を呈することを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項13又は14に記載の装置において、
摺動レール(15)が無いキャリッジは、摺動レール(15)に対向して配置された追加的なロール(18)を呈することを特徴とする装置。
【請求項16】
請求項3ないし15の何れか1つの項に記載の装置において、
ロール(6)は、所定輪郭形状の表面を呈することを特徴とする装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、
所定輪郭形状のロールは、金属又はゴムのOリングにて被覆されることを特徴とする装置。
【請求項18】
請求項16に記載の装置において、
ロールの表面は、彫り込むことにより所定輪郭形状とされることを特徴とする装置。
【請求項19】
請求項18に記載の装置において、
ロールは、所定輪郭形状のゴム被覆を呈することを特徴とする装置。
【請求項20】
請求項1に記載の装置によってフィルムウェブを長手方向に引き抜く方法において、
フィルムは最初に、遅い速度で回転するローラ(2)上を案内され、その後、引き抜き空隙(4)を通って進み、次に、速い速度で作動するローラ(3)の上を通る方法であって、
引き抜き空隙(4)内にて引き抜く間、フィルムの双方の周縁が2対のキャリッジのロール(6)の間にて固定されることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、
フィルムは、請求項3ないし19の何れか1つの項に記載の装置によって引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項20又は21に記載の方法において、
二軸引抜きフィルムは、長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項20ないし22の何れか1つの項に記載の方法において、
二軸引抜きフィルムは、その製造中、3ないし6の範囲の係数にて長手方向に引き抜かれ、5ないし12の範囲の係数にて横断方向に引き抜いたことを特徴とする方法。
【請求項24】
請求項20ないし23の何れか1つの項に記載の方法において、
フィルムは、>1ないし5の係数にて長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項20ないし24の何れか1つの項に記載の方法において、
フィルムは、22ないし100μmの厚さを呈する二軸引抜きポリプロピレンフィルムであることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項20又は21に記載の方法において、
成形した(cast)フィルムは、長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項20又は21に記載の方法において、
プレフィルムは、長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【請求項28】
請求項26又は27に記載の方法において、
フィルムは、2ないし7の係数にて長手方向に引き抜かれることを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図6a】
【図7】
【図7a】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図6a】
【図7】
【図7a】
【図8】
【図9a】
【図9b】
【図10】
【公表番号】特表2007−523767(P2007−523767A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−549996(P2006−549996)
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000385
【国際公開番号】WO2005/070653
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(504422379)トレオファン・ジャーマニー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年1月17日(2005.1.17)
【国際出願番号】PCT/EP2005/000385
【国際公開番号】WO2005/070653
【国際公開日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(504422379)トレオファン・ジャーマニー・ゲーエムベーハー・ウント・コンパニー・カーゲー (17)
【Fターム(参考)】
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