フォトレジストのパターン形成方法及び同方法を用いたプローブの製造方法、並びに電子デバイス検査用プローブ
【課題】製造効率の向上、ひいてはコスト低減を図ることのできるフォトレジストのパターン形成方法及び同方法を用いたプローブの製造方法、並びに電子デバイス検査用プローブを提供する。
【解決手段】基板上に第1のレジスト材料を積層する下部レジスト層積層工程と、前記下部レジスト層を第1のパターンで露光する第1の露光工程と、第1の露光工程に引き続き、前記下部レジスト層上に、第2のレジスト材料を積層する上部レジスト層積層工程と、前記下部レジスト層を露光するために用いた前記第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで前記上部レジスト層を露光する第2の露光工程と、不要なレジストを除去して開口部が形成されたレジスト層を形成する現像工程と、を有するフォトレジストのパターン形成方法とした。
【解決手段】基板上に第1のレジスト材料を積層する下部レジスト層積層工程と、前記下部レジスト層を第1のパターンで露光する第1の露光工程と、第1の露光工程に引き続き、前記下部レジスト層上に、第2のレジスト材料を積層する上部レジスト層積層工程と、前記下部レジスト層を露光するために用いた前記第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで前記上部レジスト層を露光する第2の露光工程と、不要なレジストを除去して開口部が形成されたレジスト層を形成する現像工程と、を有するフォトレジストのパターン形成方法とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストのパターン形成方法及び同方法を用いたプローブの製造方法、並びに電子デバイス検査用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIやVLSIなどの集積回路などの電子デバイスを製造する場合、ウェハ上に回路が形成されると、個々のチップに分割する前に、プローブカードを用いて検査を行っている。
【0003】
プローブカードは、電子デバイスに設けられた複数の検査用パッドに当接させる複数のプローブを備えており、これらプローブを検査用パッドに当接させることで、各プローブ及び検査用パッドを介してプローブカードと電子デバイスとの間で検査信号が授受できるようになっている。そして、かかるプローブカードに関し、電子デバイスの各検査用パッドに対応する個数のプローブを実装したものが提案されている。
【0004】
かかるプローブの製造方法として、薄板状のプローブ母材の両板面にマスクパターンをそれぞれ貼付した後に、一方の板面にエッチング光を照射するとともに、一方の板面に対する照射総量よりも少ない照射総量のエッチング光を他方の板面に照射することにより刃部(当接部)を形成するプローブの製造方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
しかし、近年では、各プローブの検査用パッドへの当接力を高めるために、プローブの当接部の面積を可及的に狭くすることが要求されてきている。そのためには、プローブの生産性を向上させる必要があるが、特許文献1のような板面の両側からエッチングする製法では生産性の向上が望めない。
【0006】
そこで、本出願人は、先端に形成される当接部の面積を可及的に狭くしたプローブを、高効率で可及的に廉価に製造することができる製造方法を提案した(例えば、特許文献2を参照。)。
【0007】
すなわち、所定形状の開口部を設けてなるレジスト層を導電性の基板上に形成し、該基板に通電して前記開口部内に金属材を堆積させる電鋳を用いて、先端部分及び該先端部分に連通するアーム部分を具備するプローブを形成した後、前記レジストを除去し、また前記プローブを前記基板から脱離させることによってプローブを製造する方法において、前記基板上に、所定形状の島状部を電鋳により形成する第1工程と、前記基板及び島状部上に、平面視が前記プローブに応じた形状の開口部を有するレジスト層を、前記開口部が前記島状部に対向する領域から島状部以外の部分に対向する領域に亘って位置するように形成する第2工程と、前記基板に通電することによって前記開口部に金属材を堆積させる第3工程とを実施する製造方法としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−311745号公報
【特許文献2】特開2009−14441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したブローブの製造方法では、確かに生産性の向上が望むことができる。すなわち、当接部の面積を可及的に狭くすることができ、かかる複数のプローブを、電鋳により一度に製造することができるため、製造効率が高くなり、しかも、後加工を要しないので、後加工に要する設備も不要となってコスト的にも有利にすることができる。しかしながら、市場からは、さらなる製造効率の向上、ひいてはコスト低減を望む声が極めて強い。
【0010】
本発明は、上述したような市場からの要望に十分に応えることのできるフォトレジストのパターン形成方法及び同方法を用いたプローブの製造方法、並びに電子デバイス検査用プローブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、基板上に第1のレジスト材料を積層する下部レジスト層積層工程と、前記下部レジスト層を第1のパターンで露光する第1の露光工程と、第1の露光工程に引き続き、前記下部レジスト層上に、第2のレジスト材料を積層する上部レジスト層積層工程と、前記下部レジスト層を露光するために用いた前記第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで前記上部レジスト層を露光する第2の露光工程と、不要なレジストを除去して開口部が形成されたレジスト層を形成する現像工程と、を有するフォトレジストのパターン形成方法とした。
【0012】
(2)本発明は、上記(1)に記載のフォトレジストのパターン形成方法において、前記開口部は、深さ方向に段差部を有することを特徴とする。
【0013】
(3)本発明は、上記(1)又は(2)に記載のフォトレジストのパターン形成方法において、前記第1、第2のレジスト材料をいずれもネガ型とし、前記第2の露光工程では、前記上部レジスト層に表れる第2の未露光部分の少なくとも一部が前記第1のパターンにより前記下部レジスト層に表れた第1の未露光部分と重合するように、当該上部レジスト層を第2のパターンで露光し、前記現像工程では、前記第1の未露光部分及び第2の未露光部分を除去することを特徴とする。
【0014】
(4)本発明は、上記(3)に記載のフォトレジストのパターン形成方法において、前記第2のパターンは、当該第2のパターンにより前記上部レジスト層に表れる第2の未露光部分の一部が、前記第1のパターンにより前記下部レジスト層に表れる第1の未露光部分の一部の内側に収まる一方、前記第2の未露光部分の他の一部は前記第1の未露光部分の他の一部を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0015】
(5)本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフォトレジストのパターン形成方法を用いたプローブの製造方法であって、前記上部レジスト層を前記下部レジスト層よりも厚膜に形成したレジストパターンの開口部を埋めるように金属層を形成するメッキ工程と、前記金属層が形成された基板表面にエッチング用レジストを積層するエッチング用レジスト積層工程と、前記エッチング用レジストに、プローブ先端部に対応する位置に開口が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程と、前記エッチング用レジストに前記開口を形成する現像工程と、前記開口が形成された前記エッチング用レジストを用いて、少なくとも前記プローブ先端部に対応する位置の金属層の上部をエッチングするエッチング工程と、前記フォトレジスト及びエッチング用レジストを除去するレジスト除去工程と、を有するプローブの製造方法とした。
【0016】
(6)本発明は、上記(5)に記載のプローブの製造方法において、前記メッキ工程は、前記開口部内に露出する前記基板上に第1の金属層を形成する第1のメッキ工程と、前記第1の金属層の上面であって、前記開口部全体を埋めるように第2の金属層を形成する第2のメッキ工程と、を有し、さらに、前記エッチング用レジスト積層工程の前に、前記第2の金属層表面と前記上部レジスト層表面とが面一となるように研磨する研磨工程を行うことを特徴とする。
【0017】
(7)本発明は、上記(6)に記載のプローブの製造方法において、前記第2の金属層は、前記第1の金属層とは組成が異なることを特徴とする。
【0018】
(8)本発明は、上記(6)に記載のプローブの製造方法において、前記第1、第2の金属層をNi層若しくはNi合金層としたことを特徴とする。
【0019】
(9)本発明は、上記(6)〜(8)のいずれかに記載のプローブの製造方法において、前記第1のメッキ工程と前記第2のメッキ工程との間に、前記第1の金属層上にストップ層を形成するためのメッキ工程を実行し、前記第2のメッキ工程では、前記段差部上面及び前記ストップ層上面の前記開口部全体を埋めるように前記第2の金属層を形成することを特徴とする。
【0020】
(10)本発明は、上記(9)に記載のプローブの製造方法において、前記ストップ層をAu層としたことを特徴とする。
【0021】
(11)本発明は、上記(5)〜(10)のいずれかに記載のプローブの製造方法により製造された電子デバイス検査用プローブであって、所定の膜厚を有するアーム部と、このアーム部の先端に突出して形成され、当該アーム部よりも薄膜に形成された当接部と、を有する電子デバイス検査用プローブとした。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1のパターンで下部レジスト層を露光する第1の露光工程と、この第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで上部レジスト層を露光する第2の露光工程とを連続して行った後に1回の現像工程を実行するようにしているため、第1のパターンと第2のパターンとを完全に位置合わせしなくても、所望する断面形状のフォトレジストパターンを得ることができる。特に、アスペクト比が大きい(幅が小さくて厚みが大きい)開口パターンを有するレジストパターンを得るのに有利である。したがって、かかるフォトレジストパターンを利用すれば、例えば、先端に形成される当接部の形状を可及的に小さくしたプローブを、より高効率に製造することができ、可及的なコスト削減の実現が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る電子デバイス検査用プローブの説明図である。
【図2】本実施形態に係るプローブの製造方法の工程を示す説明図であり、主に、フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図3】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図4】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図5】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図6】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図7】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図8】本実施形態に係るフォトレジストのパターンの説明図である。
【図9】本実施形態に係るプローブの製造方法を説明する工程図であり、主に、フォトレジストのパターン形成後の工程を示す説明図である。
【図10】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図11】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図12】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図13】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図14】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図15】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図16】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図17】電子デバイス検査用プローブの他の実施形態を示す説明図である。
【図18】プローブの製造方法の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(プローブ概要)
本実施形態に係る電子デバイス検査用プローブ(以下、単に「プローブ」という)10は、図1に示すように、検査用パッド(図示せず)に接触させる先端部11と、この先端部11に連続するアーム部12とから形成されており、先端部11の幅寸法d及び厚さ寸法tが、アーム部12の幅寸法D及び厚さ寸法Tよりも著しく小さく形成されている。
【0025】
また、本実施形態のプローブ10の針先となる先端部11は、図示するように、略四角柱状に形成されており、しかも、図1(b)に示すように、極めて薄膜状とした先端当接部11aと、この先端当接部11aから漸次厚膜状になってアーム部12に繋がる基部11bとから形成されている。
【0026】
かかる構成のプローブ10としたことにより、これらをプローブカード(図示せず)に適用すれば、狭いピッチで配列されているような検査用パッドに対し、当接部となるプローブ10の先端部11を各パッドに確実に当接させることができ、集積度合いがより高密度化した電子デバイスなどに十分に対応することが可能となる。
【0027】
ところで、本実施形態に係るプローブ10は、剛性やバネ性を有する材質、例えばNiやNiCoやAuCoなどの導電性の金属材からなる第1の金属層4(図9参照)の上に、耐エッチング性の高い材質、例えば、AuやPdなどからなるストップ層5(図10参照)を設け、このストップ層5上に、剛性やバネ性やエッチング性を有する第2の金属層6(図11参照)を設けた3層構造を有する構成となっている。ここで、ストップ層5は、第2の金属層6のみが選択的にエッチングできれば良いので、使用するエッチング材によって、種々に選択することができる。また、第2の金属層6の組成は、第1の金属層4と同質でも異質でも良い。
【0028】
そして、本実施形態に係るプローブ10は、電鋳により一度に多数製造することが可能となっている。以下、本実施形態に係るプローブ10の製造方法について説明する。
【0029】
(プローブの製造方法)
図2〜図16に本実施形態に係るプローブの製造方法の工程を示しているが、先ず、図2〜図8を参照しながら、後述するエッチング作業に用いるフォトレジストのパターンの形成方法について説明する。
【0030】
(フォトレジストのパターンの形成方法)
先ず、図2に示すように、SUSといった導電性金属材からなる基板13を用意する。図2(a)は、基板13の横断面を示しており、平面図である図2(b)の矢視断面図である。なお、図15に至るまで、全て(a)で示される図面は(b)で示す図面の横断面図を表す。
【0031】
次いで、下部レジスト積層工程を実行する。すなわち、図3に示すように、基板13の表面に、第1のレジスト材料である光硬化性樹脂を所要厚さ(例えば、10μm)になるようにラミネートして、アスペクト比が1〜2の高解像で薄型の下部レジスト層14を形成する。なお、基板1は必ずしもSUSに限定する必要はない。また、SUSなどのように十分な密着力が得難い材料の場合は、密着力を確保するために、光硬化性樹脂を塗布する前に例えばNiを用いたストライクメッキを施すとよい。
【0032】
次いで、第1の露光工程を実行する。すなわち、図4に示すように、第1のパターンを有するマスクを用いて下部レジスト層14を露光し、この下部レジスト層14上に、露光部分141と第1の未露光部分140をと形成する。この第1の未露光部分140は、プローブ10のアーム部12を形成するための略ホームベース形の未露光基部140aと、この未露光基部140aの先端部に連続し、後にプローブ10の先端部11となる未露光矩形端部140bとから形成される。なお、本実施形態における第1のレジスト材料は、露光部分141が残る、所謂「ネガ型」である。
【0033】
次いで、上部レジスト層積層工程を実行する。すなわち、図5に示すように、下部レジスト層14上に、第1のレジスト材料と同じく「ネガ型」の第2のレジスト材料を、下部レジスト層14よりも厚膜(例えば、60μm)となるようにラミネートして、上部レジスト層15を形成する。
【0034】
さらに、第2の露光工程を実行する。この第2の露光工程では、上部レジスト層15に表れる未露光部分の少なくとも一部が前記第1のパターンを有するマスクにより下部レジスト層14に表れた第1の未露光部分140と重合するように、上部レジスト層15を第2のパターンを有するマスクを用いて露光する。
【0035】
すなわち、図6に示すように、下部レジスト層14を露光するために用いた前記マスクの第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンを有するマスクを用いて上部レジスト層15を露光し、この上部レジスト層15上に露光部分151と第2の未露光部分150とを形成する。
【0036】
第2の未露光部分150は、第1の未露光部分140の一部である未露光基部140aの内側に収まる矩形状のアーム輪郭形成用未露光部150aと、第1の未露光部分140の他の一部である未露光矩形端部140bを覆うように形成されてアーム輪郭形成用未露光部150aに接し、かつ直角方向に伸延する矩形状の段差形成用未露光部150bとを有している。
【0037】
また、このとき、アーム輪郭形成用未露光部150aが未露光基部140aの内側に収まるように形成されるため、下部レジスト層14には、図示するように、未露光基部140a内には、第1の露光工程では未露光であったが今回の第2の露光工程で露光された後露光部142が形成されることになる。
【0038】
最後に現像工程を実行する。つまり、第1の露光工程の後、現像処理をすることなく第2の露光工程を行う2段露光を終えた後に現像工程を実行する。すなわち、所定の現像液を用いて、下部レジスト層14の後露光部142を含む露光部分141、及び上部レジスト層15の露光部分151を残して、第1の未露光部分140と第2の未露光部分150とを除去し、図7に示すように、深さ方向に段差部30を有する開口部3が形成されたレジスト層16を形成する。すなわち、レジスト層16は、積層された下部レジスト層14と上部レジスト層15とから形成されることになる。なお、不要部分を完全に除去するためには超純水などで所定回数リンスするとよい。
【0039】
ところで、図8に示すように、レジスト層16に形成された開口部3は、段差形成用未露光部150b(図8(a))に対応する先端側矩形開口部31(図8(b))と、アーム輪郭形成用未露光部150a(図8(a))に対応する基部側矩形開口部32(図8(b))とにより平面視略T字状となっている。
【0040】
そして、下部レジスト層14の未露光矩形端部140bを覆うように、当該未露光矩形端部140bの外側よりも広範囲に形成された段差形成用未露光部150bに対応する先端側矩形開口部31には、第1の露光工程において形成された露光部分141が上部底面33を形成するとともに、未露光矩形端部140bに対応して穿設されて基板13が露出した底面34とから段差部30が形成されることになる。
【0041】
一方、基部側矩形開口部32は、未露光基部140aの内側に収まるように形成された矩形状のアーム輪郭形成用未露光部150aに対応しており、第1の露光工程で未露光であった部分も第2の露光工程で露光されて後露光部142となって現像後も残るため、下部レジスト層14及び上部レジスト層15の厚み分だけの深さを有する高い内壁面32aからなる矩形凹部が形成されることになる。
【0042】
このようにして、深さ方向に段差部30を有する開口部3が形成されたレジスト層16からなるフォトレジストのパターンが形成されるが、以下、かかるフォトレジストのパターンを用いて、図1に示したプローブ10を製造する方法について説明する。
【0043】
本実施形態に係るプローブ10の製造方法では、先ず、図9に示すように、第1のメッキ工程を実行する。すなわち、レジスト層16が形成された基板13をメッキ浴に浸漬させ、基板Sを陰極として所要の電流を通流させて前記開口部3内に、例えばNiあるいはNiCoといった導電性の金属材を堆積させる電鋳によって、段差部30を除く底面34(図8参照)に対応して開口部3内に露出する基板13上に第1の金属層4を形成する。このとき、第1の金属層4は、その表面が段差部30の上部表面よりも僅かに浅くなる厚みとなるようにする。
【0044】
かかる第1のメッキ工程が終了すると、図10に示すように、ストップ層5を形成するためのメッキ工程を実行する。すなわち、例えばAuなどのように、NiやNiCoなどよりもエッチング耐性が高い金属材料を第1の金属層4上に堆積させる電鋳を行い、段差部30と略面一となる厚みのストップ層5を形成する。
【0045】
次いで、図11に示すように、第2のメッキ工程を実行する。すなわち、第1の金属層4及びストップ層5の上面であって、開口部3全体を埋めるように、第1の金属層4と同材料からなる第2の金属層6を堆積させる電鋳を行う。
【0046】
そして、研磨工程を実行し、第2の金属層6の表面を図示しない研磨機などによって研磨することにより、当該第2の金属層6の表面とレジスト層16(上部レジスト層15)の表面とを面一にする。
【0047】
次いで、研磨工程により研磨された基板表面に、図12に示すように、エッチング用レジスト7を所定厚みにラミネートするエッチング用レジスト積層工程を実行する。このエッチング用レジスト7の材料としては適宜選択することができ、第1、第2のレジスト材料と同じものであっても構わない。
【0048】
そして、エッチング用レジスト7に、プローブ先端部である先端部11に対応する位置に矩形開口が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程を実行し、次いで現像工程を実行することにより、図13に示すように、エッチング用レジスト7に矩形開口70を形成する。なお、本実施形態では矩形開口70としているが、矩形以外の形状の開口であっても構わない。
【0049】
そして、エッチング工程として、かかる矩形開口70が形成されたエッチング用レジスト7を用いてウェットエッチングを実行する。このとき、エッチング深さが深くなるため、図14に示すように、ストップ層5までエッチングが進行すると、エッチング用レジスト7の裏面側まで腐食が進み、アンダーカット現象が生起して、プローブ10の先端当接部11aとアーム部12とを繋ぐ部分となる基部11bが孤状凹面となり、前述したように、アーム部12に向かって漸次厚膜状になる。なお、図中、60はエッチングにより第2の金属層6が侵食されて形成された空洞部である。
【0050】
このエッチング工程においては、エッチングの進行はストップ層5で確実に停止するため、エッチング面の荒れなどが生じる虞はない。また、ストップ層5を形成する金属を、Niと馴染みが良いAuとした場合は、アニールによりAuを拡散させると、AuはNiとの合金を形成するため、層間剥離が生じる問題の解消にもつながる。しかも、Auは導電性に優れているので、プロービング時の精度も向上させることができる。
【0051】
かかるエッチング工程を終えると、図15に示すように、レジスト層16及びエッチング用レジスト7を除去するレジスト除去工程を実行し、基板13上に、先端当接部11aの面積を可及的に狭くしたプローブ10が残る。
【0052】
そして、図16に示すように、最後にプローブ10を基板13から剥離することにより、所望のプローブ10を得ることができる。なお、理解を容易にするために、各図においてはプローブ10を単体で示しているが、電鋳を用いたことにより、前述の特性を有するプローブ10を一度に複数(多数)同時に製造することが可能となる。
【0053】
ところで、本実施形態では、第1のメッキ工程と第2のメッキ工程との間に、ストップ層5を形成するためのメッキ工程を行うようにしたが、かかるストップ層5を形成するためのメッキ工程は、必ずしも行わなくてもよい。
【0054】
例えば、ストップ層5を形成するためのメッキ工程を廃止した実施形態とすることもできる。かかる実施形態では、開口部3内に露出する基板13上に、第1の金属層8を形成する第1のメッキ工程の後に引き続いて、当該第1の金属層8の上面であって、開口部3全体を埋めるように、第2の金属層9を形成する第2のメッキ工程を行うのである。この場合、第1の金属層8は、剛性及び耐エッチング性を有する材質で形成することが望ましく、また、第1の金属層8と第2の金属層9とは組成を異ならせると良い。
【0055】
この場合、例えば、プローブ10の先端当接部11aを形成するために第1のメッキ工程により形成する第1の金属層8のエッチング耐性が、第2のメッキ工程により形成する第2の金属層9よりも大となるように、金属組成を異ならせると良い。なお、かかる金属層の組み合わせとしてはCuとNiがある。
【0056】
こうして製造されたプローブ10であっても、図17に示すように、先端当接部11aの面積を可及的に狭くした所望する形状となすことができる。
【0057】
また、さらなる他の実施形態として、第1の金属層4(8)及び第2の金属層6(9)というように、2層の金属層ではなく、図18に示すように、単一の金属層41によりプローブ10を製造することもできる。この場合、図示はしないが、先端部11及びアーム部12とからなるプローブ10全体が単一の金属材料から形成されることになる。
【0058】
すなわち、先の実施形態において、図8で示す開口部3を形成した後、当該開口部3を例えばNiやNiCoなどの金属材料を電鋳するメッキ工程により、単一の金属層41を厚膜形成するのである。
【0059】
そして、図12〜図16と同様な手順で、エッチング用レジスト積層工程と、エッチング用レジスト7に、プローブ10の先端部11に対応する位置に矩形開口70が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程と、エッチング用レジスト7に矩形開口70を形成する現像工程と、この矩形開口70が形成されたエッチング用レジスト7を用いて、少なくともプローブ10の先端部11の上部をエッチングするエッチング工程と、レジスト層16及びエッチング用レジスト7を除去するレジスト除去工程とを実行してプローブ10を得るのである。
【0060】
上述してきた実施形態では、以下のフォトレジストのパターン形成方法及び同方法を用いたプローブの製造方法、並びに電子デバイス検査用プローブが実現できる。
【0061】
基板13上に、光硬化性樹脂などからなる第1のレジスト材料を積層する下部レジスト層積層工程と、下部レジスト層14を第1のパターンで露光する第1の露光工程と、第1の露光工程に引き続き、下部レジスト層14上に、第1のレジスト材料と同質の第2のレジスト材料を積層する上部レジスト層積層工程と、下部レジスト層14を露光するために用いた前記第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで上部レジスト層15を露光する第2の露光工程と、不要なレジストを除去して開口部3が形成されたレジスト層16を形成する現像工程と、を有するフォトレジストのパターン形成方法。
【0062】
かかるフォトレジストのパターン形成方法としたため、第1のパターンと第2のパターンとを完全に位置合わせしなくても、所望するフォトレジストパターンを得ることができる。特に、アスペクト比が大きい、つまり、幅が小さくて厚みが大きい開口パターンを有するレジストパターンの形成に有利である。
【0063】
また、開口部3は、深さ方向に段差部30を有する断面形状としたフォトレジストのパターン形成方法。この方法によれば、細くて薄い部分と、比較的厚みのある部分とを有する構成物が容易に得られる。
【0064】
また、第1のレジスト材料及び第2のレジスト材料をいずれもネガ型とし、前記第2の露光工程では、上部レジスト層15に表れる第2の未露光部分150の少なくとも一部が前記第1のパターンにより下部レジスト層14に表れた第1の未露光部分140と重合するように、当該上部レジスト層15を第2のパターンで露光し、前記現像工程では、前記第1の未露光部分140及び第2の未露光部分150を除去するようにしたフォトレジストのパターン形成方法。
【0065】
さらに、前記第2のパターンは、当該第2のパターンにより上部レジスト層15に表れる第2の未露光部分150の一部(例えば、アーム輪郭形成用未露光部150a)が、前記第1のパターンにより下部レジスト層14に表れる第1の未露光部分140の一部(例えば、未露光基部140a)の内側に収まる一方、前記第2の未露光部分150の他の一部(例えば、段差形成用未露光部150b)は第1の未露光部分140の他の一部(例えば、未露光矩形端部140b)を覆うように形成されているフォトレジストのパターン形成方法。
【0066】
このように、第1のパターンと第2のパターンとを、あえて異なる形状及びサイズとしてそれらの一部を重合させるようにしたため、難しい位置合わせなどすることなく、所望する断面形状のフォトレジストパターンを具体的に得ることができる。
【0067】
上述してきた各フォトレジストのパターン形成方法を用いたプローブの製造方法であって、前記上部レジスト層15を下部レジスト層14よりも厚膜に形成したレジストパターンの開口部3を埋めるように金属層41(あるいは、第1の金属層4(8)及び第2の金属層6(9))を形成するメッキ工程と、前記金属層41が形成された基板表面にエッチング用レジスト7を積層するエッチング用レジスト積層工程と、エッチング用レジスト7に、プローブ先端部(例えば、先端部11)に対応する位置に矩形開口70が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程と、エッチング用レジスト7に前記矩形開口70を形成する現像工程と、矩形開口70が形成されたエッチング用レジスト7を用いて、少なくとも前記プローブ先端部の上部をエッチングするエッチング工程と、フォトレジスト(例えば、レジスト層16)及びエッチング用レジスト7を除去するレジスト除去工程と、を有するプローブの製造方法。
【0068】
かかる製造方法により、プローブ10の針先となる極めて薄い先端部11と、比較的厚みのあるプローブ10のアーム部12との作り込みが容易となり、形状が小さくて、先端当接部11aの面積が可及的に狭いプローブ10をより効率的に製造することができ、可及的なコスト削減が見込まれる。
【0069】
また、前記メッキ工程は、前記開口部内に露出する前記基板上に第1の金属層4(8)を形成する第1のメッキ工程と、前記第1の金属層の上面であって、前記開口部3全体を埋めるように第2の金属層6(9)を形成する第2のメッキ工程と、を有し、さらに、前記エッチング用レジスト積層工程の前に、第2の金属層6の表面と上部レジスト層15の表面とが面一となるように基板表面を研磨する研磨工程を行うプローブの製造方法。
【0070】
かかる製造方法によれば、例えば、先端当接部11aの寸法などをエッチング精度に依存する単一の金属層41からなるプローブ10よりも、先端当接部11aの寸法精度をより確実に保つことができる。
【0071】
また、前記第2の金属層9は、前記第1の金属層8とは組成が異なるプローブの製造方法。
【0072】
かかる製造方法によれば、エッチング耐性を異ならせることで、エッチング速度の差を利用することにより、先端当接部11aの寸法精度を確実に保つことができる。
【0073】
また、前記第1の金属層4と第2の金属層6とをNi系の金属層としたプローブの製造方法。かかる方法では、安価に入手できるNiを利用することでコスト低減を図ることができる。
【0074】
また、前記第1のメッキ工程と前記第2のメッキ工程との間に、第1の金属層4(8)上に段差部30と略面一となる厚みのストップ層5を形成するためのメッキ工程を実行し、前記第2のメッキ工程では、段差部30の上面及びストップ層5の上面に開口部3全体を埋めるように第2の金属層6(9)を形成するプローブの製造方法。
【0075】
ストップ層5を設けることで、エッチングの進行がこのストップ層5で確実に停止するため、先端部11を精度良く形成できるとともに、エッチング面の荒れなどが生じる虞がなくなる。
【0076】
また、前記ストップ層5をAu層としプローブの製造方法。このように、ストップ層5を形成する金属をAuとすれば、アニールによりこのAuを拡散させることで層間剥離が生じる問題の解消にも寄与することができる。
【0077】
上述した各プローブの製造方法により製造されており、所定の膜厚を有するアーム部12と、このアーム部12の先端に突出して形成され、当該アーム部12よりも薄膜に形成された当接部(先端当接部11a)と、を有する電子デバイス検査用プローブ10。
【0078】
以上、本発明を実施形態を通して説明したが、本発明の要旨を逸脱することのない限り、各構成は適宜変更することができる。例えば、ストップ層5をAuとして説明したが、AgやPt、あるいはRhであっても構わない。また、係る金属を用いれば、プロービングの際の導電性の向上に寄与できる。
【0079】
また、第1の金属層4及び第2の金属層6は、共にNi層として説明したが、Cu層とすることもできる。
【0080】
また、上述してきた実施形態では、2段露光により所望する断面形状のフォトレジストのパターンを形成する方法として、プローブ10の製造に適用する例として説明したが、かかるフォトレジストのパターン形成方法は、プローブ10のみならず、その他の半導体素子、電子デバイスなどに適用することが可能である。また、段差を有する断面形状とすることにより、上面と下面とで、若しくはその中途で開口形状が異なるメタルマスクに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0081】
3 開口部
4,8 第1の金属層
5 ストップ層
6,9 第2の金属層
7 エッチング用レジスト
10 プローブ
11 先端部
11a 先端当接部
12 アーム部
13 基板
14 下部レジスト層
15 上部レジスト層
16 レジスト層
30 段差部
70 矩形開口
140 第1の未露光部分
150 第2の未露光部分
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジストのパターン形成方法及び同方法を用いたプローブの製造方法、並びに電子デバイス検査用プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、LSIやVLSIなどの集積回路などの電子デバイスを製造する場合、ウェハ上に回路が形成されると、個々のチップに分割する前に、プローブカードを用いて検査を行っている。
【0003】
プローブカードは、電子デバイスに設けられた複数の検査用パッドに当接させる複数のプローブを備えており、これらプローブを検査用パッドに当接させることで、各プローブ及び検査用パッドを介してプローブカードと電子デバイスとの間で検査信号が授受できるようになっている。そして、かかるプローブカードに関し、電子デバイスの各検査用パッドに対応する個数のプローブを実装したものが提案されている。
【0004】
かかるプローブの製造方法として、薄板状のプローブ母材の両板面にマスクパターンをそれぞれ貼付した後に、一方の板面にエッチング光を照射するとともに、一方の板面に対する照射総量よりも少ない照射総量のエッチング光を他方の板面に照射することにより刃部(当接部)を形成するプローブの製造方法が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
しかし、近年では、各プローブの検査用パッドへの当接力を高めるために、プローブの当接部の面積を可及的に狭くすることが要求されてきている。そのためには、プローブの生産性を向上させる必要があるが、特許文献1のような板面の両側からエッチングする製法では生産性の向上が望めない。
【0006】
そこで、本出願人は、先端に形成される当接部の面積を可及的に狭くしたプローブを、高効率で可及的に廉価に製造することができる製造方法を提案した(例えば、特許文献2を参照。)。
【0007】
すなわち、所定形状の開口部を設けてなるレジスト層を導電性の基板上に形成し、該基板に通電して前記開口部内に金属材を堆積させる電鋳を用いて、先端部分及び該先端部分に連通するアーム部分を具備するプローブを形成した後、前記レジストを除去し、また前記プローブを前記基板から脱離させることによってプローブを製造する方法において、前記基板上に、所定形状の島状部を電鋳により形成する第1工程と、前記基板及び島状部上に、平面視が前記プローブに応じた形状の開口部を有するレジスト層を、前記開口部が前記島状部に対向する領域から島状部以外の部分に対向する領域に亘って位置するように形成する第2工程と、前記基板に通電することによって前記開口部に金属材を堆積させる第3工程とを実施する製造方法としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−311745号公報
【特許文献2】特開2009−14441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したブローブの製造方法では、確かに生産性の向上が望むことができる。すなわち、当接部の面積を可及的に狭くすることができ、かかる複数のプローブを、電鋳により一度に製造することができるため、製造効率が高くなり、しかも、後加工を要しないので、後加工に要する設備も不要となってコスト的にも有利にすることができる。しかしながら、市場からは、さらなる製造効率の向上、ひいてはコスト低減を望む声が極めて強い。
【0010】
本発明は、上述したような市場からの要望に十分に応えることのできるフォトレジストのパターン形成方法及び同方法を用いたプローブの製造方法、並びに電子デバイス検査用プローブを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明は、基板上に第1のレジスト材料を積層する下部レジスト層積層工程と、前記下部レジスト層を第1のパターンで露光する第1の露光工程と、第1の露光工程に引き続き、前記下部レジスト層上に、第2のレジスト材料を積層する上部レジスト層積層工程と、前記下部レジスト層を露光するために用いた前記第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで前記上部レジスト層を露光する第2の露光工程と、不要なレジストを除去して開口部が形成されたレジスト層を形成する現像工程と、を有するフォトレジストのパターン形成方法とした。
【0012】
(2)本発明は、上記(1)に記載のフォトレジストのパターン形成方法において、前記開口部は、深さ方向に段差部を有することを特徴とする。
【0013】
(3)本発明は、上記(1)又は(2)に記載のフォトレジストのパターン形成方法において、前記第1、第2のレジスト材料をいずれもネガ型とし、前記第2の露光工程では、前記上部レジスト層に表れる第2の未露光部分の少なくとも一部が前記第1のパターンにより前記下部レジスト層に表れた第1の未露光部分と重合するように、当該上部レジスト層を第2のパターンで露光し、前記現像工程では、前記第1の未露光部分及び第2の未露光部分を除去することを特徴とする。
【0014】
(4)本発明は、上記(3)に記載のフォトレジストのパターン形成方法において、前記第2のパターンは、当該第2のパターンにより前記上部レジスト層に表れる第2の未露光部分の一部が、前記第1のパターンにより前記下部レジスト層に表れる第1の未露光部分の一部の内側に収まる一方、前記第2の未露光部分の他の一部は前記第1の未露光部分の他の一部を覆うように形成されていることを特徴とする。
【0015】
(5)本発明は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のフォトレジストのパターン形成方法を用いたプローブの製造方法であって、前記上部レジスト層を前記下部レジスト層よりも厚膜に形成したレジストパターンの開口部を埋めるように金属層を形成するメッキ工程と、前記金属層が形成された基板表面にエッチング用レジストを積層するエッチング用レジスト積層工程と、前記エッチング用レジストに、プローブ先端部に対応する位置に開口が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程と、前記エッチング用レジストに前記開口を形成する現像工程と、前記開口が形成された前記エッチング用レジストを用いて、少なくとも前記プローブ先端部に対応する位置の金属層の上部をエッチングするエッチング工程と、前記フォトレジスト及びエッチング用レジストを除去するレジスト除去工程と、を有するプローブの製造方法とした。
【0016】
(6)本発明は、上記(5)に記載のプローブの製造方法において、前記メッキ工程は、前記開口部内に露出する前記基板上に第1の金属層を形成する第1のメッキ工程と、前記第1の金属層の上面であって、前記開口部全体を埋めるように第2の金属層を形成する第2のメッキ工程と、を有し、さらに、前記エッチング用レジスト積層工程の前に、前記第2の金属層表面と前記上部レジスト層表面とが面一となるように研磨する研磨工程を行うことを特徴とする。
【0017】
(7)本発明は、上記(6)に記載のプローブの製造方法において、前記第2の金属層は、前記第1の金属層とは組成が異なることを特徴とする。
【0018】
(8)本発明は、上記(6)に記載のプローブの製造方法において、前記第1、第2の金属層をNi層若しくはNi合金層としたことを特徴とする。
【0019】
(9)本発明は、上記(6)〜(8)のいずれかに記載のプローブの製造方法において、前記第1のメッキ工程と前記第2のメッキ工程との間に、前記第1の金属層上にストップ層を形成するためのメッキ工程を実行し、前記第2のメッキ工程では、前記段差部上面及び前記ストップ層上面の前記開口部全体を埋めるように前記第2の金属層を形成することを特徴とする。
【0020】
(10)本発明は、上記(9)に記載のプローブの製造方法において、前記ストップ層をAu層としたことを特徴とする。
【0021】
(11)本発明は、上記(5)〜(10)のいずれかに記載のプローブの製造方法により製造された電子デバイス検査用プローブであって、所定の膜厚を有するアーム部と、このアーム部の先端に突出して形成され、当該アーム部よりも薄膜に形成された当接部と、を有する電子デバイス検査用プローブとした。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、第1のパターンで下部レジスト層を露光する第1の露光工程と、この第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで上部レジスト層を露光する第2の露光工程とを連続して行った後に1回の現像工程を実行するようにしているため、第1のパターンと第2のパターンとを完全に位置合わせしなくても、所望する断面形状のフォトレジストパターンを得ることができる。特に、アスペクト比が大きい(幅が小さくて厚みが大きい)開口パターンを有するレジストパターンを得るのに有利である。したがって、かかるフォトレジストパターンを利用すれば、例えば、先端に形成される当接部の形状を可及的に小さくしたプローブを、より高効率に製造することができ、可及的なコスト削減の実現が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態に係る電子デバイス検査用プローブの説明図である。
【図2】本実施形態に係るプローブの製造方法の工程を示す説明図であり、主に、フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図3】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図4】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図5】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図6】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図7】同フォトレジストのパターン形成方法の工程を示す説明図である。
【図8】本実施形態に係るフォトレジストのパターンの説明図である。
【図9】本実施形態に係るプローブの製造方法を説明する工程図であり、主に、フォトレジストのパターン形成後の工程を示す説明図である。
【図10】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図11】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図12】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図13】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図14】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図15】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図16】同プローブの製造方法を説明する工程図である。
【図17】電子デバイス検査用プローブの他の実施形態を示す説明図である。
【図18】プローブの製造方法の他の実施形態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(プローブ概要)
本実施形態に係る電子デバイス検査用プローブ(以下、単に「プローブ」という)10は、図1に示すように、検査用パッド(図示せず)に接触させる先端部11と、この先端部11に連続するアーム部12とから形成されており、先端部11の幅寸法d及び厚さ寸法tが、アーム部12の幅寸法D及び厚さ寸法Tよりも著しく小さく形成されている。
【0025】
また、本実施形態のプローブ10の針先となる先端部11は、図示するように、略四角柱状に形成されており、しかも、図1(b)に示すように、極めて薄膜状とした先端当接部11aと、この先端当接部11aから漸次厚膜状になってアーム部12に繋がる基部11bとから形成されている。
【0026】
かかる構成のプローブ10としたことにより、これらをプローブカード(図示せず)に適用すれば、狭いピッチで配列されているような検査用パッドに対し、当接部となるプローブ10の先端部11を各パッドに確実に当接させることができ、集積度合いがより高密度化した電子デバイスなどに十分に対応することが可能となる。
【0027】
ところで、本実施形態に係るプローブ10は、剛性やバネ性を有する材質、例えばNiやNiCoやAuCoなどの導電性の金属材からなる第1の金属層4(図9参照)の上に、耐エッチング性の高い材質、例えば、AuやPdなどからなるストップ層5(図10参照)を設け、このストップ層5上に、剛性やバネ性やエッチング性を有する第2の金属層6(図11参照)を設けた3層構造を有する構成となっている。ここで、ストップ層5は、第2の金属層6のみが選択的にエッチングできれば良いので、使用するエッチング材によって、種々に選択することができる。また、第2の金属層6の組成は、第1の金属層4と同質でも異質でも良い。
【0028】
そして、本実施形態に係るプローブ10は、電鋳により一度に多数製造することが可能となっている。以下、本実施形態に係るプローブ10の製造方法について説明する。
【0029】
(プローブの製造方法)
図2〜図16に本実施形態に係るプローブの製造方法の工程を示しているが、先ず、図2〜図8を参照しながら、後述するエッチング作業に用いるフォトレジストのパターンの形成方法について説明する。
【0030】
(フォトレジストのパターンの形成方法)
先ず、図2に示すように、SUSといった導電性金属材からなる基板13を用意する。図2(a)は、基板13の横断面を示しており、平面図である図2(b)の矢視断面図である。なお、図15に至るまで、全て(a)で示される図面は(b)で示す図面の横断面図を表す。
【0031】
次いで、下部レジスト積層工程を実行する。すなわち、図3に示すように、基板13の表面に、第1のレジスト材料である光硬化性樹脂を所要厚さ(例えば、10μm)になるようにラミネートして、アスペクト比が1〜2の高解像で薄型の下部レジスト層14を形成する。なお、基板1は必ずしもSUSに限定する必要はない。また、SUSなどのように十分な密着力が得難い材料の場合は、密着力を確保するために、光硬化性樹脂を塗布する前に例えばNiを用いたストライクメッキを施すとよい。
【0032】
次いで、第1の露光工程を実行する。すなわち、図4に示すように、第1のパターンを有するマスクを用いて下部レジスト層14を露光し、この下部レジスト層14上に、露光部分141と第1の未露光部分140をと形成する。この第1の未露光部分140は、プローブ10のアーム部12を形成するための略ホームベース形の未露光基部140aと、この未露光基部140aの先端部に連続し、後にプローブ10の先端部11となる未露光矩形端部140bとから形成される。なお、本実施形態における第1のレジスト材料は、露光部分141が残る、所謂「ネガ型」である。
【0033】
次いで、上部レジスト層積層工程を実行する。すなわち、図5に示すように、下部レジスト層14上に、第1のレジスト材料と同じく「ネガ型」の第2のレジスト材料を、下部レジスト層14よりも厚膜(例えば、60μm)となるようにラミネートして、上部レジスト層15を形成する。
【0034】
さらに、第2の露光工程を実行する。この第2の露光工程では、上部レジスト層15に表れる未露光部分の少なくとも一部が前記第1のパターンを有するマスクにより下部レジスト層14に表れた第1の未露光部分140と重合するように、上部レジスト層15を第2のパターンを有するマスクを用いて露光する。
【0035】
すなわち、図6に示すように、下部レジスト層14を露光するために用いた前記マスクの第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンを有するマスクを用いて上部レジスト層15を露光し、この上部レジスト層15上に露光部分151と第2の未露光部分150とを形成する。
【0036】
第2の未露光部分150は、第1の未露光部分140の一部である未露光基部140aの内側に収まる矩形状のアーム輪郭形成用未露光部150aと、第1の未露光部分140の他の一部である未露光矩形端部140bを覆うように形成されてアーム輪郭形成用未露光部150aに接し、かつ直角方向に伸延する矩形状の段差形成用未露光部150bとを有している。
【0037】
また、このとき、アーム輪郭形成用未露光部150aが未露光基部140aの内側に収まるように形成されるため、下部レジスト層14には、図示するように、未露光基部140a内には、第1の露光工程では未露光であったが今回の第2の露光工程で露光された後露光部142が形成されることになる。
【0038】
最後に現像工程を実行する。つまり、第1の露光工程の後、現像処理をすることなく第2の露光工程を行う2段露光を終えた後に現像工程を実行する。すなわち、所定の現像液を用いて、下部レジスト層14の後露光部142を含む露光部分141、及び上部レジスト層15の露光部分151を残して、第1の未露光部分140と第2の未露光部分150とを除去し、図7に示すように、深さ方向に段差部30を有する開口部3が形成されたレジスト層16を形成する。すなわち、レジスト層16は、積層された下部レジスト層14と上部レジスト層15とから形成されることになる。なお、不要部分を完全に除去するためには超純水などで所定回数リンスするとよい。
【0039】
ところで、図8に示すように、レジスト層16に形成された開口部3は、段差形成用未露光部150b(図8(a))に対応する先端側矩形開口部31(図8(b))と、アーム輪郭形成用未露光部150a(図8(a))に対応する基部側矩形開口部32(図8(b))とにより平面視略T字状となっている。
【0040】
そして、下部レジスト層14の未露光矩形端部140bを覆うように、当該未露光矩形端部140bの外側よりも広範囲に形成された段差形成用未露光部150bに対応する先端側矩形開口部31には、第1の露光工程において形成された露光部分141が上部底面33を形成するとともに、未露光矩形端部140bに対応して穿設されて基板13が露出した底面34とから段差部30が形成されることになる。
【0041】
一方、基部側矩形開口部32は、未露光基部140aの内側に収まるように形成された矩形状のアーム輪郭形成用未露光部150aに対応しており、第1の露光工程で未露光であった部分も第2の露光工程で露光されて後露光部142となって現像後も残るため、下部レジスト層14及び上部レジスト層15の厚み分だけの深さを有する高い内壁面32aからなる矩形凹部が形成されることになる。
【0042】
このようにして、深さ方向に段差部30を有する開口部3が形成されたレジスト層16からなるフォトレジストのパターンが形成されるが、以下、かかるフォトレジストのパターンを用いて、図1に示したプローブ10を製造する方法について説明する。
【0043】
本実施形態に係るプローブ10の製造方法では、先ず、図9に示すように、第1のメッキ工程を実行する。すなわち、レジスト層16が形成された基板13をメッキ浴に浸漬させ、基板Sを陰極として所要の電流を通流させて前記開口部3内に、例えばNiあるいはNiCoといった導電性の金属材を堆積させる電鋳によって、段差部30を除く底面34(図8参照)に対応して開口部3内に露出する基板13上に第1の金属層4を形成する。このとき、第1の金属層4は、その表面が段差部30の上部表面よりも僅かに浅くなる厚みとなるようにする。
【0044】
かかる第1のメッキ工程が終了すると、図10に示すように、ストップ層5を形成するためのメッキ工程を実行する。すなわち、例えばAuなどのように、NiやNiCoなどよりもエッチング耐性が高い金属材料を第1の金属層4上に堆積させる電鋳を行い、段差部30と略面一となる厚みのストップ層5を形成する。
【0045】
次いで、図11に示すように、第2のメッキ工程を実行する。すなわち、第1の金属層4及びストップ層5の上面であって、開口部3全体を埋めるように、第1の金属層4と同材料からなる第2の金属層6を堆積させる電鋳を行う。
【0046】
そして、研磨工程を実行し、第2の金属層6の表面を図示しない研磨機などによって研磨することにより、当該第2の金属層6の表面とレジスト層16(上部レジスト層15)の表面とを面一にする。
【0047】
次いで、研磨工程により研磨された基板表面に、図12に示すように、エッチング用レジスト7を所定厚みにラミネートするエッチング用レジスト積層工程を実行する。このエッチング用レジスト7の材料としては適宜選択することができ、第1、第2のレジスト材料と同じものであっても構わない。
【0048】
そして、エッチング用レジスト7に、プローブ先端部である先端部11に対応する位置に矩形開口が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程を実行し、次いで現像工程を実行することにより、図13に示すように、エッチング用レジスト7に矩形開口70を形成する。なお、本実施形態では矩形開口70としているが、矩形以外の形状の開口であっても構わない。
【0049】
そして、エッチング工程として、かかる矩形開口70が形成されたエッチング用レジスト7を用いてウェットエッチングを実行する。このとき、エッチング深さが深くなるため、図14に示すように、ストップ層5までエッチングが進行すると、エッチング用レジスト7の裏面側まで腐食が進み、アンダーカット現象が生起して、プローブ10の先端当接部11aとアーム部12とを繋ぐ部分となる基部11bが孤状凹面となり、前述したように、アーム部12に向かって漸次厚膜状になる。なお、図中、60はエッチングにより第2の金属層6が侵食されて形成された空洞部である。
【0050】
このエッチング工程においては、エッチングの進行はストップ層5で確実に停止するため、エッチング面の荒れなどが生じる虞はない。また、ストップ層5を形成する金属を、Niと馴染みが良いAuとした場合は、アニールによりAuを拡散させると、AuはNiとの合金を形成するため、層間剥離が生じる問題の解消にもつながる。しかも、Auは導電性に優れているので、プロービング時の精度も向上させることができる。
【0051】
かかるエッチング工程を終えると、図15に示すように、レジスト層16及びエッチング用レジスト7を除去するレジスト除去工程を実行し、基板13上に、先端当接部11aの面積を可及的に狭くしたプローブ10が残る。
【0052】
そして、図16に示すように、最後にプローブ10を基板13から剥離することにより、所望のプローブ10を得ることができる。なお、理解を容易にするために、各図においてはプローブ10を単体で示しているが、電鋳を用いたことにより、前述の特性を有するプローブ10を一度に複数(多数)同時に製造することが可能となる。
【0053】
ところで、本実施形態では、第1のメッキ工程と第2のメッキ工程との間に、ストップ層5を形成するためのメッキ工程を行うようにしたが、かかるストップ層5を形成するためのメッキ工程は、必ずしも行わなくてもよい。
【0054】
例えば、ストップ層5を形成するためのメッキ工程を廃止した実施形態とすることもできる。かかる実施形態では、開口部3内に露出する基板13上に、第1の金属層8を形成する第1のメッキ工程の後に引き続いて、当該第1の金属層8の上面であって、開口部3全体を埋めるように、第2の金属層9を形成する第2のメッキ工程を行うのである。この場合、第1の金属層8は、剛性及び耐エッチング性を有する材質で形成することが望ましく、また、第1の金属層8と第2の金属層9とは組成を異ならせると良い。
【0055】
この場合、例えば、プローブ10の先端当接部11aを形成するために第1のメッキ工程により形成する第1の金属層8のエッチング耐性が、第2のメッキ工程により形成する第2の金属層9よりも大となるように、金属組成を異ならせると良い。なお、かかる金属層の組み合わせとしてはCuとNiがある。
【0056】
こうして製造されたプローブ10であっても、図17に示すように、先端当接部11aの面積を可及的に狭くした所望する形状となすことができる。
【0057】
また、さらなる他の実施形態として、第1の金属層4(8)及び第2の金属層6(9)というように、2層の金属層ではなく、図18に示すように、単一の金属層41によりプローブ10を製造することもできる。この場合、図示はしないが、先端部11及びアーム部12とからなるプローブ10全体が単一の金属材料から形成されることになる。
【0058】
すなわち、先の実施形態において、図8で示す開口部3を形成した後、当該開口部3を例えばNiやNiCoなどの金属材料を電鋳するメッキ工程により、単一の金属層41を厚膜形成するのである。
【0059】
そして、図12〜図16と同様な手順で、エッチング用レジスト積層工程と、エッチング用レジスト7に、プローブ10の先端部11に対応する位置に矩形開口70が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程と、エッチング用レジスト7に矩形開口70を形成する現像工程と、この矩形開口70が形成されたエッチング用レジスト7を用いて、少なくともプローブ10の先端部11の上部をエッチングするエッチング工程と、レジスト層16及びエッチング用レジスト7を除去するレジスト除去工程とを実行してプローブ10を得るのである。
【0060】
上述してきた実施形態では、以下のフォトレジストのパターン形成方法及び同方法を用いたプローブの製造方法、並びに電子デバイス検査用プローブが実現できる。
【0061】
基板13上に、光硬化性樹脂などからなる第1のレジスト材料を積層する下部レジスト層積層工程と、下部レジスト層14を第1のパターンで露光する第1の露光工程と、第1の露光工程に引き続き、下部レジスト層14上に、第1のレジスト材料と同質の第2のレジスト材料を積層する上部レジスト層積層工程と、下部レジスト層14を露光するために用いた前記第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで上部レジスト層15を露光する第2の露光工程と、不要なレジストを除去して開口部3が形成されたレジスト層16を形成する現像工程と、を有するフォトレジストのパターン形成方法。
【0062】
かかるフォトレジストのパターン形成方法としたため、第1のパターンと第2のパターンとを完全に位置合わせしなくても、所望するフォトレジストパターンを得ることができる。特に、アスペクト比が大きい、つまり、幅が小さくて厚みが大きい開口パターンを有するレジストパターンの形成に有利である。
【0063】
また、開口部3は、深さ方向に段差部30を有する断面形状としたフォトレジストのパターン形成方法。この方法によれば、細くて薄い部分と、比較的厚みのある部分とを有する構成物が容易に得られる。
【0064】
また、第1のレジスト材料及び第2のレジスト材料をいずれもネガ型とし、前記第2の露光工程では、上部レジスト層15に表れる第2の未露光部分150の少なくとも一部が前記第1のパターンにより下部レジスト層14に表れた第1の未露光部分140と重合するように、当該上部レジスト層15を第2のパターンで露光し、前記現像工程では、前記第1の未露光部分140及び第2の未露光部分150を除去するようにしたフォトレジストのパターン形成方法。
【0065】
さらに、前記第2のパターンは、当該第2のパターンにより上部レジスト層15に表れる第2の未露光部分150の一部(例えば、アーム輪郭形成用未露光部150a)が、前記第1のパターンにより下部レジスト層14に表れる第1の未露光部分140の一部(例えば、未露光基部140a)の内側に収まる一方、前記第2の未露光部分150の他の一部(例えば、段差形成用未露光部150b)は第1の未露光部分140の他の一部(例えば、未露光矩形端部140b)を覆うように形成されているフォトレジストのパターン形成方法。
【0066】
このように、第1のパターンと第2のパターンとを、あえて異なる形状及びサイズとしてそれらの一部を重合させるようにしたため、難しい位置合わせなどすることなく、所望する断面形状のフォトレジストパターンを具体的に得ることができる。
【0067】
上述してきた各フォトレジストのパターン形成方法を用いたプローブの製造方法であって、前記上部レジスト層15を下部レジスト層14よりも厚膜に形成したレジストパターンの開口部3を埋めるように金属層41(あるいは、第1の金属層4(8)及び第2の金属層6(9))を形成するメッキ工程と、前記金属層41が形成された基板表面にエッチング用レジスト7を積層するエッチング用レジスト積層工程と、エッチング用レジスト7に、プローブ先端部(例えば、先端部11)に対応する位置に矩形開口70が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程と、エッチング用レジスト7に前記矩形開口70を形成する現像工程と、矩形開口70が形成されたエッチング用レジスト7を用いて、少なくとも前記プローブ先端部の上部をエッチングするエッチング工程と、フォトレジスト(例えば、レジスト層16)及びエッチング用レジスト7を除去するレジスト除去工程と、を有するプローブの製造方法。
【0068】
かかる製造方法により、プローブ10の針先となる極めて薄い先端部11と、比較的厚みのあるプローブ10のアーム部12との作り込みが容易となり、形状が小さくて、先端当接部11aの面積が可及的に狭いプローブ10をより効率的に製造することができ、可及的なコスト削減が見込まれる。
【0069】
また、前記メッキ工程は、前記開口部内に露出する前記基板上に第1の金属層4(8)を形成する第1のメッキ工程と、前記第1の金属層の上面であって、前記開口部3全体を埋めるように第2の金属層6(9)を形成する第2のメッキ工程と、を有し、さらに、前記エッチング用レジスト積層工程の前に、第2の金属層6の表面と上部レジスト層15の表面とが面一となるように基板表面を研磨する研磨工程を行うプローブの製造方法。
【0070】
かかる製造方法によれば、例えば、先端当接部11aの寸法などをエッチング精度に依存する単一の金属層41からなるプローブ10よりも、先端当接部11aの寸法精度をより確実に保つことができる。
【0071】
また、前記第2の金属層9は、前記第1の金属層8とは組成が異なるプローブの製造方法。
【0072】
かかる製造方法によれば、エッチング耐性を異ならせることで、エッチング速度の差を利用することにより、先端当接部11aの寸法精度を確実に保つことができる。
【0073】
また、前記第1の金属層4と第2の金属層6とをNi系の金属層としたプローブの製造方法。かかる方法では、安価に入手できるNiを利用することでコスト低減を図ることができる。
【0074】
また、前記第1のメッキ工程と前記第2のメッキ工程との間に、第1の金属層4(8)上に段差部30と略面一となる厚みのストップ層5を形成するためのメッキ工程を実行し、前記第2のメッキ工程では、段差部30の上面及びストップ層5の上面に開口部3全体を埋めるように第2の金属層6(9)を形成するプローブの製造方法。
【0075】
ストップ層5を設けることで、エッチングの進行がこのストップ層5で確実に停止するため、先端部11を精度良く形成できるとともに、エッチング面の荒れなどが生じる虞がなくなる。
【0076】
また、前記ストップ層5をAu層としプローブの製造方法。このように、ストップ層5を形成する金属をAuとすれば、アニールによりこのAuを拡散させることで層間剥離が生じる問題の解消にも寄与することができる。
【0077】
上述した各プローブの製造方法により製造されており、所定の膜厚を有するアーム部12と、このアーム部12の先端に突出して形成され、当該アーム部12よりも薄膜に形成された当接部(先端当接部11a)と、を有する電子デバイス検査用プローブ10。
【0078】
以上、本発明を実施形態を通して説明したが、本発明の要旨を逸脱することのない限り、各構成は適宜変更することができる。例えば、ストップ層5をAuとして説明したが、AgやPt、あるいはRhであっても構わない。また、係る金属を用いれば、プロービングの際の導電性の向上に寄与できる。
【0079】
また、第1の金属層4及び第2の金属層6は、共にNi層として説明したが、Cu層とすることもできる。
【0080】
また、上述してきた実施形態では、2段露光により所望する断面形状のフォトレジストのパターンを形成する方法として、プローブ10の製造に適用する例として説明したが、かかるフォトレジストのパターン形成方法は、プローブ10のみならず、その他の半導体素子、電子デバイスなどに適用することが可能である。また、段差を有する断面形状とすることにより、上面と下面とで、若しくはその中途で開口形状が異なるメタルマスクに適用することも可能である。
【符号の説明】
【0081】
3 開口部
4,8 第1の金属層
5 ストップ層
6,9 第2の金属層
7 エッチング用レジスト
10 プローブ
11 先端部
11a 先端当接部
12 アーム部
13 基板
14 下部レジスト層
15 上部レジスト層
16 レジスト層
30 段差部
70 矩形開口
140 第1の未露光部分
150 第2の未露光部分
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1のレジスト材料を積層する下部レジスト層積層工程と、
前記下部レジスト層を第1のパターンで露光する第1の露光工程と、
第1の露光工程に引き続き、前記下部レジスト層上に、第2のレジスト材料を積層する上部レジスト層積層工程と、
前記下部レジスト層を露光するために用いた前記第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで前記上部レジスト層を露光する第2の露光工程と、
不要なレジストを除去して開口部が形成されたレジスト層を形成する現像工程と、
を有することを特徴とするフォトレジストのパターン形成方法。
【請求項2】
前記開口部は、深さ方向に段差部を有することを特徴とする請求項1記載のフォトレジストのパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1、第2のレジスト材料をいずれもネガ型とし、
前記第2の露光工程では、
前記上部レジスト層に表れる第2の未露光部分の少なくとも一部が前記第1のパターンにより前記下部レジスト層に表れた第1の未露光部分と重合するように、当該上部レジスト層を第2のパターンで露光し、
前記現像工程では、
前記第1の未露光部分及び第2の未露光部分を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトレジストのパターン形成方法。
【請求項4】
前記第2のパターンは、
当該第2のパターンにより前記上部レジスト層に表れる第2の未露光部分の一部が、前記第1のパターンにより前記下部レジスト層に表れる第1の未露光部分の一部の内側に収まる一方、前記第2の未露光部分の他の一部は前記第1の未露光部分の他の一部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項3記載のフォトレジストのパターン形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトレジストのパターン形成方法を用いたプローブの製造方法であって、
前記上部レジスト層を前記下部レジスト層よりも厚膜に形成したレジストパターンの開口部を埋めるように金属層を形成するメッキ工程と、
前記金属層が形成された基板表面にエッチング用レジストを積層するエッチング用レジスト積層工程と、
前記エッチング用レジストに、プローブ先端部に対応する位置に開口が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程と、
前記エッチング用レジストに前記開口を形成する現像工程と、
前記開口が形成された前記エッチング用レジストを用いて、少なくとも前記プローブ先端部に対応する位置の金属層の上部をエッチングするエッチング工程と、
前記フォトレジスト及びエッチング用レジストを除去するレジスト除去工程と、
を有することを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項6】
前記メッキ工程は、
前記開口部内に露出する前記基板上に第1の金属層を形成する第1のメッキ工程と、
前記第1の金属層の上面であって、前記開口部全体を埋めるように第2の金属層を形成する第2のメッキ工程と、を有し、
さらに、前記エッチング用レジスト積層工程の前に、前記第2の金属層表面と前記上部レジスト層表面とが面一となるように研磨する研磨工程を行うことを特徴とする請求項5記載のプローブの製造方法。
【請求項7】
前記第2の金属層は、前記第1の金属層とは組成が異なることを特徴とする請求項6記載のプローブの製造方法。
【請求項8】
前記第1、第2の金属層をNi層若しくはNi合金層としたことを特徴とする請求項6記載のプローブの製造方法。
【請求項9】
前記第1のメッキ工程と前記第2のメッキ工程との間に、前記第1の金属層上にストップ層を形成するためのメッキ工程を実行し、
前記第2のメッキ工程では、
前記段差部上面及び前記ストップ層上面の前記開口部全体を埋めるように前記第2の金属層を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【請求項10】
前記ストップ層をAu層としたことを特徴とする請求項9記載のプローブの製造方法。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれかに記載のプローブの製造方法により製造された電子デバイス検査用プローブであって、
所定の膜厚を有するアーム部と、
このアーム部の先端に突出して形成され、当該アーム部よりも薄膜に形成された当接部と、
を有することを特徴とする電子デバイス検査用プローブ。
【請求項1】
基板上に第1のレジスト材料を積層する下部レジスト層積層工程と、
前記下部レジスト層を第1のパターンで露光する第1の露光工程と、
第1の露光工程に引き続き、前記下部レジスト層上に、第2のレジスト材料を積層する上部レジスト層積層工程と、
前記下部レジスト層を露光するために用いた前記第1のパターンと少なくとも一部が重合する第2のパターンで前記上部レジスト層を露光する第2の露光工程と、
不要なレジストを除去して開口部が形成されたレジスト層を形成する現像工程と、
を有することを特徴とするフォトレジストのパターン形成方法。
【請求項2】
前記開口部は、深さ方向に段差部を有することを特徴とする請求項1記載のフォトレジストのパターン形成方法。
【請求項3】
前記第1、第2のレジスト材料をいずれもネガ型とし、
前記第2の露光工程では、
前記上部レジスト層に表れる第2の未露光部分の少なくとも一部が前記第1のパターンにより前記下部レジスト層に表れた第1の未露光部分と重合するように、当該上部レジスト層を第2のパターンで露光し、
前記現像工程では、
前記第1の未露光部分及び第2の未露光部分を除去することを特徴とする請求項1又は2に記載のフォトレジストのパターン形成方法。
【請求項4】
前記第2のパターンは、
当該第2のパターンにより前記上部レジスト層に表れる第2の未露光部分の一部が、前記第1のパターンにより前記下部レジスト層に表れる第1の未露光部分の一部の内側に収まる一方、前記第2の未露光部分の他の一部は前記第1の未露光部分の他の一部を覆うように形成されていることを特徴とする請求項3記載のフォトレジストのパターン形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフォトレジストのパターン形成方法を用いたプローブの製造方法であって、
前記上部レジスト層を前記下部レジスト層よりも厚膜に形成したレジストパターンの開口部を埋めるように金属層を形成するメッキ工程と、
前記金属層が形成された基板表面にエッチング用レジストを積層するエッチング用レジスト積層工程と、
前記エッチング用レジストに、プローブ先端部に対応する位置に開口が形成されたパターンで露光するエッチング用露光工程と、
前記エッチング用レジストに前記開口を形成する現像工程と、
前記開口が形成された前記エッチング用レジストを用いて、少なくとも前記プローブ先端部に対応する位置の金属層の上部をエッチングするエッチング工程と、
前記フォトレジスト及びエッチング用レジストを除去するレジスト除去工程と、
を有することを特徴とするプローブの製造方法。
【請求項6】
前記メッキ工程は、
前記開口部内に露出する前記基板上に第1の金属層を形成する第1のメッキ工程と、
前記第1の金属層の上面であって、前記開口部全体を埋めるように第2の金属層を形成する第2のメッキ工程と、を有し、
さらに、前記エッチング用レジスト積層工程の前に、前記第2の金属層表面と前記上部レジスト層表面とが面一となるように研磨する研磨工程を行うことを特徴とする請求項5記載のプローブの製造方法。
【請求項7】
前記第2の金属層は、前記第1の金属層とは組成が異なることを特徴とする請求項6記載のプローブの製造方法。
【請求項8】
前記第1、第2の金属層をNi層若しくはNi合金層としたことを特徴とする請求項6記載のプローブの製造方法。
【請求項9】
前記第1のメッキ工程と前記第2のメッキ工程との間に、前記第1の金属層上にストップ層を形成するためのメッキ工程を実行し、
前記第2のメッキ工程では、
前記段差部上面及び前記ストップ層上面の前記開口部全体を埋めるように前記第2の金属層を形成することを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載のプローブの製造方法。
【請求項10】
前記ストップ層をAu層としたことを特徴とする請求項9記載のプローブの製造方法。
【請求項11】
請求項5〜10のいずれかに記載のプローブの製造方法により製造された電子デバイス検査用プローブであって、
所定の膜厚を有するアーム部と、
このアーム部の先端に突出して形成され、当該アーム部よりも薄膜に形成された当接部と、
を有することを特徴とする電子デバイス検査用プローブ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2011−43731(P2011−43731A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192897(P2009−192897)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【出願人】(000164461)九州日立マクセル株式会社 (338)
【Fターム(参考)】
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