説明

フォトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法

【課題】微細なパターンの形成においてもCDU等のリソグラフィー特性に優れるフォトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】[A]γ−ブチロラクトン環を含む構造単位を有するアダマンチル基及びアダマンタン環を含む酸解離性基含有重合体、及び[B]酸発生体を含有するフォトレジスト組成物であって、上記構造単位の含有割合が60モル%を超えることを特徴とするフォトレジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィー微細加工に用いられる化学増幅型のフォトレジスト組成物は、可視光や紫外線の照射により露光部に酸を生成させ、この酸を触媒とする化学反応により、露光部と未露光部の現像液に対する溶解速度に差を生じさせ、基板上にレジストパターンを形成させる組成物である。加工技術の微細化が線幅90nm以下のレベルで要求される今日では、KrFエキシマレーザーやArFエキシマレーザー等に代表される250nm以下の波長の遠紫外線の利用が進んでいる。また、液浸液を利用してさらなる微細加工を可能にする液浸露光においても上記エキシマレーザーが用いられている。
【0003】
上記遠紫外線の中でも、より短波長で微細加工が可能なArFエキシマレーザー(波長193nm)が注目されている。このArFエキシマレーザーを光源とするリソグラフィー材料としては、193nm領域に大きな吸収を有さず、かつドライエッチング耐性向上を目的として、脂環式炭化水素基を含む構造単位を有する重合体を含有するフォトレジスト組成物が用いられている。
【0004】
また、上記フォトレジスト組成物中の重合体への種々の極性基の導入が検討され、例えば、γ−ブチロラクトン環の導入により、感度や解像度等の良好性を維持しつつ、密着性を改善できることが知られている(特開平10−274852号公報、特開2004−46206号公報参照)。
【0005】
一方、リソグラフィープロセスにおいては、今後さらに加工技術の微細化が要求され、例えば40nm程度の微細なレジストパターンを精度良く形成できることが求められるが、上記従来のフォトレジスト組成物では、このような要求を満たすことが困難であり、かかる微細なパターンの形成においても優れたCDU(Critical Dimension Uniformity:CD均一性)特性を発揮するフォトレジスト組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−274852号公報
【特許文献2】特開2004−46206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、微細なパターンの形成においてもCDU等のリソグラフィー特性に優れるフォトレジスト組成物、及びレジストパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、特定の構造単位を有し、かつこの構造単位を特定の含有割合で有する重合体をフォトレジスト組成物の構成成分とすることによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
上記課題を解決するためになされた発明は、
[A]γ−ブチロラクトン環を含む構造単位(I)を有する酸解離性基含有重合体(以下、「[A]重合体」ともいう。)、及び
[B]酸発生体
を含有するフォトレジスト組成物であって、
[A]重合体における構造単位(I)の含有割合が60モル%を超えることを特徴とする。
【0010】
当該フォトレジスト組成物は、酸解離性基含有重合体である[A]重合体及び[B]酸発生体を含有し、[A]重合体がγ−ブチロラクトン環を含む構造単位(I)を有し、この構造単位(I)の含有割合が上記特定範囲であることで、微細なパターンの形成においてもCDU等のリソグラフィー特性に優れる。
【0011】
[A]重合体が、下記式(2−1)で表される構造単位(II−1)及び下記式(2−2)で表される構造単位(II−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位をさらに有することが好ましい。
【化1】

(式(2−1)及び(2−2)中、RB1及びRB2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rp1及びRp2は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。Rp3は、炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。Rp4は、炭素数2〜10の1価の鎖状炭化水素基である。Zは、Rp4が結合する炭素原子と共に炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基を形成する炭化水素基である。)
【0012】
当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体が上記特定構造の酸解離性基をさらに有することで、CDU等のリソグラフィー特性がより向上する。
【0013】
上記式(2−1)におけるRp3がアダマンチル基であり、上記式(2−2)におけるZが、Rp4が結合する炭素原子と共にアダマンタン環を形成する基であることがより好ましい。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体が有する酸解離性基がアダマンタン骨格を有することで、CDU等のリソグラフィー特性がさらに向上する。
【0014】
上記構造単位(I)が、下記式(1−1)で表される構造単位(I−1)及び下記式(1−2)で表される構造単位(I−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位であることが好ましい。
【化2】

(式(1−1)及び(1−2)中、RA1及びRA2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。)
【0015】
当該フォトレジスト組成物は、上記構造単位(I)が、エステル基とγ−ブチロラクトン環との結合が酸解離性でない上記特定構造を有することで、CDU等のリソグラフィー特性がさらに向上する。
【0016】
[A]重合体が、水酸基、シアノ基及びケトン性カルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む構造単位(III)をさらに有することが好ましい。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体が上記特定基を含む構造単位(III)をさらに有することで、CDU等のリソグラフィー特性がさらに向上する。
【0017】
[B]酸発生体は、下記式(B1)で表される化合物であることが好ましい。
【化3】

(式(B1)中、R31は、環構造を有する1価の有機基である。R32は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。Xは、1価のオニウムカチオンである。)
【0018】
当該フォトレジスト組成物は、[B]酸発生体が環構造を有する上記特定構造を有することで、CDU等のリソグラフィー特性がさらに向上する。
【0019】
当該フォトレジスト組成物は、上述のように、微細なパターンの形成においても優れたCDU等のリソグラフィー特性を発揮することができるので、微細なパターンの形成に使用される液浸露光において好適に用いられる。
【0020】
本発明のレジストパターン形成方法は、
(1)当該フォトレジスト組成物を基板上に塗布し、レジスト膜を形成する工程、
(2)上記レジスト膜上に液浸露光用液体を配置し、この液浸露光用液体を介して上記レジスト膜を液浸露光する工程、及び
(3)液浸露光された上記レジスト膜を現像する工程
を有する。当該レジストパターン形成方法によれば、上述の当該フォトレジスト組成物を用いているので、微細なパターンの形成においても、CDU等のリソグラフィー特性に優れるレジストパターンを形成することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のフォトレジスト組成物及びレジストパターン形成方法によれば、微細なパターンの形成においても、CDU等のリソグラフィー特性に優れ、今時又は今後要求される例えば40nm程度の微細なレジストパターンを形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
<フォトレジスト組成物>
本発明のフォトレジスト組成物は、[A]重合体及び[B]酸発生体を含有する。また当該フォトレジスト組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、任意成分として[C]重合体、[D]酸拡散制御体、[E]溶媒及び[F]添加剤等を含有してもよい。以下、各構成成分について順に説明する。
【0023】
<[A]重合体>
本発明における[A]重合体は、γ−ブチロラクトン環を含む構造単位(I)を有する酸解離性基含有重合体である。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体が構造単位(I)を有し、かつ構造単位(I)の含有割合が特定範囲であることで、微細なパターンの形成においても、CDU等のリソグラフィー特性に優れる。[A]重合体の含有する酸解離性基としては、構造単位(I)におけるγ−ブチロラクトン環(γ−ブチロラクトン環の結合部位の炭素が3級炭素となっている場合)であってもよく、それ以外の酸解離性基であってもよい。[A]重合体は、酸解離性基を1種又は複数種有していてもよい。
【0024】
[構造単位(I)]
構造単位(I)は、γ−ブチロラクトン環を含む構造単位である。ここで、「γ−ブチロラクトン環」とは、エステル性カルボニル基のγ位炭素が、エステル酸素原子と結合して形成される単環のラクトン環をいい、このラクトン環中の複数の炭素原子が互いに結合して形成される多環のラクトン環、例えば、ノルボルナンラクトン環等は除外される。
【0025】
構造単位(I)におけるγ−ブチロラクトン環の含有形態としては、特に限定されず、例えば、下記式(1A)で表されるように、γ−ブチロラクトン環が[A]重合体の分子鎖に直接又は連結基Eを介して結合していてもよく、また、下記式(1B)で表されるように、γ−ブチロラクトン環を構成する炭素原子が[A]重合体の分子鎖を形成する炭素原子となっていてもよい。また、γ−ブチロラクトン環を構成する水素原子は、その一部が置換されていてもよい。
【0026】
【化4】

【0027】
上記式(1A)中、Rは、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Eは、単結合又は2価の連結基である。
上記式(1B)中、RA’は、水素原子又はメチル基である。
【0028】
上記Rとしては、構造単位(1A)を与える単量体化合物の重合性の観点から、水素原子及びメチル基が好ましく、メチル基がより好ましい。
上記RA’としては、構造単位(1B)を与える単量体化合物の重合性の観点から、メチル基が好ましい。
【0029】
上記式(1A)におけるEで表される2価の連結基としては、例えば、エステル基、アミド基、カーボネート基、ウレタン基、ウレア基、エーテル基、イミノ基、カルボニル基、アルカンジイル基、シクロアルカンジイル基、アレーンジイル基、アレーンジイルアルカンジイル基、及びそれらを組み合わせた2価の基が挙げられる。この中で、構造単位(1A)を与える単量体化合物の重合性の観点から、エステル基、アミド基及びカルボニル基が好ましく、エステル基がさらに好ましい。
【0030】
上記式(1A)におけるEで表される単結合又は2価の連結基γ−ブチロラクトン環の結合部位としては、特に限定されず、下記式(1−α)で表されるα位、下記式(1−β)で表されるβ位、及び下記式(1−γ)で表されるγ位が挙げられる。この中で、得られるフォトレジスト組成物のCDU性能の観点から、α位及びβ位が好ましい。
【0031】
【化5】

【0032】
上記式(1−α)〜(1−γ)中、「*」は、上記式(1A)におけるγ−ブチロラクトン環のEへの結合部位を示す。
【0033】
構造単位(I)の好ましい例として、下記式(1−1)〜(1−6)でそれぞれ表される構造単位(I−1)〜(I−6)が挙げられる。
【0034】
【化6】

【0035】
上記式(1−1)〜(1−6)中、RA1〜RA5の定義は、上記式(1A)におけるRと同じである。RA1’の定義は、上記式(1B)におけるRA’と同じである。R及びRは、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。Rは、水素原子、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。R〜R24は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。
【0036】
上記R、R、R及びR〜R24で表される炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基としては例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。
【0037】
上記R、R、R及びR〜R24で表される炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基等の単環の炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基、トリシクロデシル基等の多環の炭化水素基等が挙げられる。
【0038】
上記R、R及びRとしては、γ−ブチロラクトン環の酸解離性の観点から、1価の鎖状炭化水素基が好ましく、メチル基、エチル基、n−プロピル基及びi−プロピル基がより好ましく、メチル基及びエチル基がさらに好ましく、メチル基が特に好ましい。
【0039】
上記R〜R24としては、得られるフォトレジスト組成物のCDU等のリソグラフィー特性の観点から、水素原子及び鎖状炭化水素基が好ましく、水素原子、メチル基及びエチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
【0040】
これらの中で、得られるフォトレジスト組成物のCDU等のリソグラフィー特性がより向上する観点から、エステル基とγ−ブチロラクトン環との結合が酸解離性でない上記式(1−1)及び(1−2)で表される構造単位が好ましく、上記式(1−2)で表される構造単位がより好ましい。
【0041】
上記式(1−1)〜(1−6)で表される構造単位の具体例としては、下記式(1−1−a)〜(1−6−c)で表される構造単位が挙げられる。
【0042】
【化7】

【0043】
上記式(1−1−a)〜(1−6−c)中、RA1〜RA5及びRA1’の定義は、上記式(1−1)〜(1−6)と同じである。
【0044】
これらの中で、得られるフォトレジスト組成物のCDU等のリソグラフィー特性をさらに向上させる観点から、上記式(1−1−a)及び(1−2−a)で表される構造単位が好ましく、上記式(1−2−a)で表される構造単位がさらに好ましい。
【0045】
また、上記構造単位(I−1)〜(I−6)以外の構造単位(I)の例として、上記式(1A)においてEが単結合であり、γ−ブチロラクトン環が[A]重合体の分子鎖に直接結合しているもの、及び上記式(1A)において、Eが2個のエステル基とアルカンジイル基との組合せ、又はエステル基とアルカンジイル基とエーテル基との組合せであるものとして、例えば、下記式で表される構造単位が挙げられる。
【0046】
【化8】

【0047】
上記式中、Rの定義は、上記式(1A)と同じである。
【0048】
[構造単位(I)の含有割合]
本発明においては、構造単位(I)の含有割合が、[A]重合体を構成する全構造単位に対し、60モル%を超えることを要する。構造単位(I)の含有割合が60モル%以下だと、当該フォトレジスト組成物は、微細なパターンの形成において、CDU等のリソグラフィー特性が顕著に低下する。構造単位(I)の含有割合の下限としては、62モル%が好ましい。[A]重合体が複数種の構造単位(I)を有する場合、構造単位(I)の含有割合は、これら複数種のそれぞれの含有割合の合計を意味する。
【0049】
構造単位(I)の含有割合の上限としては、80モル%が好ましく、76モル%がより好ましく、73モル%がさらに好ましく、70モル%が特に好ましい。構造単位(I)の含有割合が上記上限を超えると、パターン形成性が低下するおそれがある。
【0050】
[A]重合体は、構造単位(I)以外に、下記構造単位(II)を有することが好ましい。
【0051】
[構造単位(II)]
構造単位(II)は、酸解離性基を有する構造単位である(但し、構造単位(I)におけるγ−ブチロラクトン環が酸解離性基となる場合を除く。)。構造単位(II)における酸解離性基としては特に限定されず、例えば、エステル基に結合しているt−ブチル基、t−アミル基等の3級炭素を結合部位とする鎖状炭化水素基を挙げることができるが、好ましいものとして、上記式(2−1)で表される構造単位(II−1)及び上記式(2−2)で表される構造単位(II−2)が挙げられる。
【0052】
上記式(2−1)及び(2−2)中、RB1及びRB2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rp1及びRp2は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。Rp3は、炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。Rp4は、炭素数2〜10の1価の鎖状炭化水素基である。Zは、Rp4が結合する炭素原子と共に炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基を形成する炭化水素基である。
【0053】
上記Rp1及びRp2で表される炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基の例としては上記式(1−1)〜(1−6)におけるR、R、R及びR〜R24で表される炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基の例を挙げることができる。
【0054】
上記Rp1、Rp2及びRp3で表される炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基の例としては、上記式(1−1)〜(1−6)におけるR、R、R及びR〜R24で表される炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基の例を挙げることができる。
【0055】
上記Rp1及びRp2としては、形成される酸解離性基の解離容易性の観点から、炭素数1〜10の鎖状炭化水素基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
【0056】
上記Rp3としては、形成される酸解離性基の解離容易性及び得られるレジスト膜のエッチング耐性の観点から、多環の脂環式炭化水素基が好ましく、ノルボルニル基及びアダマンチル基がより好ましく、アダマンチル基がさらに好ましい。
【0057】
p4で表される炭素数2〜10の1価の鎖状炭化水素基としては、例えばエチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基等が挙げられる。この中で、形成される酸解離性基の解離容易性の観点から、エチル基及びi−プロピル基が好ましい。
【0058】
上記炭化水素基Zが、Rp4が結合する炭素原子と共に形成する炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、
シクロプロパンジイル基、シクロブタンジイル基、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロオクタンジイル基、シクロデカンジイル基等の単環のシクロアルカンジイル基;
ノルボルナンジイル基、アダマンタンジイル基、トリシクロデカンジイル基等の多環のシクロアルカンジイル基等が挙げられる。この中で、形成される酸解離性基の解離容易性の観点から、シクロペンタンジイル基、シクロヘキサンジイル基、シクロヘプタンジイル基、シクロオクタンジイル基、ノルボルナンジイル基及びアダマンタンジイル基が好ましく、シクロペンタンジイル基及びアダマンタンジイル基がより好ましい。
【0059】
構造単位(II−1)及び構造単位(II−2)の好ましい例としては、下記式で表される構造単位が挙げられる。
【0060】
【化9】

【0061】
【化10】

【0062】
上記式中、RB1及びRB2の定義は、上記式(2−1)及び式(2−2)と同じである。
【0063】
これらの構造単位の中で、得られるフォトレジスト組成物のCDU等のリソグラフィー特性がより向上し、また得られるレジスト膜のエッチング耐性も向上する観点から、上記式(2−1)におけるRp3がアダマンチル基である構造単位、及び上記式(2−2)における上記Zが、Rp4が結合する炭素原子と共にアダマンタン環を形成する基である構造単位が好ましく、それらの中でも、酸解離性基として、アダマンチルイソプロピリデン基又は2−エチル−2−アダマンチル基を有する構造単位がより好ましい。
【0064】
[A]重合体における構造単位(II)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10モル%以上40モル%未満が好ましく、15〜38モル%がより好ましく、25〜38モル%がさらに好ましい。構造単位(II)の含有割合が上記下限未満だと、露光部の現像液に対する溶解性が低くなり、解像度が低下したり、パターン形成が困難になったりするおそれがある。逆に、構造単位(II)の含有割合が上記上限を超えると、パターン形成性が低下するおそれがある。[A]重合体は構造単位(II)を1種又は2種以上有していてもよい。
【0065】
[A]重合体における酸解離性基を含む構造単位の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、10〜60モル%が好ましく、15〜50モル%がより好ましく、20〜40モル%がさらに好ましい。酸解離性基を含む構造単位の含有割合が下限未満だと、パターン形成が困難になるおそれがある。逆に、酸解離性基を含む構造単位の含有割合が上記上限を超えると、パターン形成性が低下するおそれがある。[A]重合体は酸解離性基を含む構造単位を1種又は2種以上有していてもよい。
【0066】
[構造単位(III)]
[A]重合体は、水酸基、シアノ基及びケトン性カルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む構造単位(III)をさらに有することが好ましい。当該フォトレジスト組成物は、[A]重合体が構造単位(III)をさらに有することで、CDU等のリソグラフィー特性がさらに向上する。
【0067】
水酸基を含む構造単位(III)の例としては、下記式で表される構造単位が挙げられる。
【0068】
【化11】

【0069】
上記式中、RC1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0070】
この中で、CDU等のリソグラフィー特性がより向上する観点から、アダマンタン骨格を有する構造単位が好ましく、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル基を有する構造単位、2−ヒドロキシ−2−アダマンチルメチル基を有する構造単位、3−(2−ヒドロキシエトキシ)−1−アダマンチル基を有する構造単位及び3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル基を有する構造単位がより好ましい。
【0071】
シアノ基を含む構造単位(III)の例としては、下記式で表される構造単位が挙げられる。
【0072】
【化12】

【0073】
上記式中、RC2は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0074】
この中で、CDU等のリソグラフィー特性がより向上する観点から、アダマンタン骨格を有する構造単位が好ましく、2−シアノメチル−2−アダマンチル基を有する構造単位がさらに好ましい。
【0075】
ケトン性カルボニル基を含む構造単位(III)の例としては、下記式で表される構造単位が挙げられる。
【0076】
【化13】

【0077】
上記式中、RC3は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。
【0078】
この中で、CDU等のリソグラフィー特性がより向上する観点から、アダマンタン骨格を有する構造単位が好ましく、4−ケト−1−アダマンチル基を有する構造単位がより好ましい。
【0079】
[A]重合体における構造単位(III)の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、30モル%以下が好ましく、5〜20モル%がより好ましく、10〜15モル%がさらに好ましい。構造単位(III)の含有割合が上記下限未満だと、レジスト膜と基板との密着性等を向上できないおそれがある。逆に、構造単位(III)の含有割合が上記上限を超えると、パターン形成性が低下するおそれがある。なお、[A]重合体は構造単位(III)を1種又は2種以上有していてもよい。
【0080】
[その他の構造単位]
[A]重合体は、本発明の効果を損しない範囲で、上記構造単位(I)、構造単位(II)及び構造単位(III)以外のその他の構造単位として、例えばノルボルナンラクトン環等のγ−ブチロラクトン環以外のラクトン環を有する構造単位、環状カーボネート環を有する構造単位、アルカリ解離性基を含む構造単位等の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位の含有割合としては、[A]重合体を構成する全構造単位に対して、通常30モル%以下であり、20モル%以下が好ましい。
【0081】
<[A]重合体の合成方法>
[A]重合体は、例えば、所定の各構造単位に対応する単量体化合物を、ラジカル重合体開始剤を使用し、適当な溶媒中で重合することにより製造できる。上記単量体化合物としては、構造単位(I)が上記式(1A)で表される場合は、例えば、γ−ブチロラクトン環を有する(メタ)アクリル化合物等の重合性化合物を用いることができ、構造単位(I)が上記式(1B)で表される場合は、例えば、メチレン基(炭素−炭素二重結合)を有するγ−ブチロラクトン化合物を用いることができる。
【0082】
上記ラジカル重合開始剤としては、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート等のアゾ系ラジカル開始剤;ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系ラジカル開始剤等を挙げることができる。この中で、AIBN及びジメチル2,2’−アゾビスイソブチレートが好ましい。これらのラジカル重合開始剤は単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
【0083】
上記重合に使用される溶媒としては、例えば
n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等のアルカン類;
シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、デカリン、ノルボルナン等のシクロアルカン類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素類;
クロロブタン類、ブロモヘキサン類、ジクロロエタン類、ヘキサメチレンジブロミド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素類;
酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、プロピオン酸メチル等の飽和カルボン酸エステル類;
アセトン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン類;
テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン類、ジエトキシエタン類等のエーテル類;
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール等のアルコール類等が挙げられる。これらの溶媒は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0084】
上記重合における反応温度としては、通常40℃〜150℃、50℃〜120℃が好ましい。反応時間としては、通常1時間〜48時間、1時間〜24時間が好ましい。
【0085】
[A]重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は特に限定されないが、1,000以上500,000以下が好ましく、2,000以上400,000以下がより好ましく、3,000以上300,000以下がさらに好ましい。[A]重合体のMwが上記下限未満であると、得られるレジスト膜の耐熱性が低下するおそれがある。一方、[A]重合体のMwが500,000を超えると、レジスト膜の現像性が低下するおそれがある。
【0086】
[A]重合体のGPCによるポリスチレン換算数平均分子量(Mn)に対するMwの比(Mw/Mn)は、通常、1以上5以下であり、1以上3以下が好ましく、1以上2以下がさらに好ましい。
【0087】
当該フォトレジスト組成物中の[A]重合体の含有量としては、固形分([E]溶媒を除く成分)全体に対して、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましい。このような含有量とすることで、当該フォトレジスト組成物の微細なパターンの形成におけるCDU等のリソグラフィー特性が向上する。
【0088】
<[B]酸発生体>
[B]酸発生体は、電磁波や荷電粒子線の露光により酸を発生する物質である。上記発生した酸が[A]重合体中に存在する酸解離性基を解離させることにより、カルボキシル基等の極性基を生成させ、その結果、[A]重合体は現像液に難溶性となる。ここで、上記電磁波としては、紫外線、可視光線、遠紫外線、X線、γ線等が挙げられ、上記荷電粒子線としては、電子線、α線等が挙げられる。当該フォトレジスト組成物における[B]酸発生体の含有形態としては、後述するような化合物の形態(以下、適宜「[B]酸発生剤」と称することがある)でも、重合体の一部として組み込まれた酸発生基の形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0089】
[B]酸発生剤としては、例えばオニウム塩化合物、スルホンイミド化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物等が挙げられる。この中で、オニウム塩化合物が好ましい。
【0090】
[B]酸発生体としては、上記式(B1)で表される化合物が好ましい。当該フォトレジスト組成物は、環構造を有する上記特定構造のオニウム塩化合物を用いても、より均一に分散したレジスト膜を形成することができ、その結果、酸拡散長の短い上記[B]酸発生体の性能がさらに発揮され、CDU等のリソグラフィー特性がさらに向上する。
【0091】
上記式(B1)中、R31は、環構造を有する1価の有機基である。R32は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。Xは、1価のオニウムカチオンである。
【0092】
上記R31で表される環構造を有する1価の有機基としては、
シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、シクロドデシル基等の単環の脂環式炭化水素基;
ノルボルニル基、アダマンチル基等の多環の脂環式炭化水素基;
フェニル基、ナフチル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられ、
また、これらの炭化水素基と、エステル基又はアミド基との組合せである基が挙げられる。
【0093】
上記R32で表される炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基としては、フルオロメタンジイル基、ジフルオロメタンジイル基、1,1−ジフルオロエタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロエタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロブタンジイル基、1,1,2,2−テトラフルオロヘキサンジイル基、パーフルオロブタンジイル基、パーフルオロヘキサンジイル基等が挙げられる。
【0094】
上記Xで表される1価のオニウムカチオンとしては、スルホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ジアゾニウムカチオン、ピリジニウムカチオン等が挙げられる。この中で、スルホニウムカチオンが好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオンがより好ましい。
【0095】
上記式(B1)で表される化合物の具体例として、下記式で表される化合物が挙げられる。
【0096】
【化14】

【0097】
上記式中、Xの定義は、上記式(B1)と同じである。
【0098】
この中で、アダマンチル基を有する化合物が好ましく、2−アダマンチル−1,1−ジフルオロエタン−1−スルホネートアニオン及び6−アダマンチルカルボニルオキシ−1,1,2,2−テトラフルオロフルオロヘキサン−1−スルホネートアニオンを有する化合物がより好ましい。
【0099】
また、上記式(B1)で表される化合物以外の[B]酸発生剤の例としては、
オニウム塩として、
例えば、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−シクロヘキシルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、4−メタンスルホニルフェニルジフェニルスルホニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート等のスルホニウム塩;
1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(6−n−ブトキシナフタレン−2−イル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムトリフルオロメタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート等のテトラヒドロチオフェニウム塩;
ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ジフェニルヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムパーフルオロ−n−オクタンスルホネート等のヨードニウム塩等が挙げられる。
【0100】
また、スルホンイミド化合物としては、
例えば、N−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(ノナフルオロ−n−ブタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(パーフルオロ−n−オクタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル−1,1,2,2−テトラフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(2−(3−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル)−1,1−ジフルオロエタンスルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、N−(カンファースルホニルオキシ)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド等が挙げられる。
【0101】
当該フォトレジスト組成物における[B]酸発生体の含有量としては、[B]酸発生剤の場合には、[A]重合体100質量部に対して、通常、0.1質量部以上30質量部以下であり、1質量部以上20質量部以下が好ましく、3質量部以上15質量部以下がさらに好ましい。[B]酸発生剤の含有量が上記下限未満だと、感度及び現像性が低下するおそれがある。逆に、[B]酸発生剤の含有量が上記上限を超えると、レジスト膜の電磁波等に対する透明性が低下して、所望のレジストパターンを得られ難くなるおそれがある。
【0102】
<[C]重合体>
当該フォトレジスト組成物は、[C][A]重合体よりもフッ素原子含有率が高い重合体(以下、「[C]重合体」ともいう。)を含有していてもよい。当該フォトレジスト組成物が、[C]重合体を含有することで、レジスト膜を形成した際に[C]重合体の撥油性的特徴により、その分布がレジスト膜表層に偏在化する傾向があるため、液浸露光時において、膜中の酸発生剤や酸拡散制御剤等の液浸媒体への溶出を抑制することができる。また、この[C]重合体の撥水性的特徴により、レジスト膜と液浸媒体との前進接触角が所望の範囲に制御でき、バブル欠陥の発生を抑制できる。さらに、レジスト膜と液浸媒体との後退接触角を高くすることができ、その結果、水滴を残さず、高速でのスキャン露光が可能となる。このように当該フォトレジスト組成物が[C]重合体を含有することにより、液浸露光法に好適なレジスト膜を形成することができる。
【0103】
上記[C]重合体としては、上記[A]重合体よりフッ素原子含有率が高い重合体であれば特に限定されない。なお、[C]重合体及び[A]重合体の各フッ素原子含有率(質量%)は、13C−NMRにより測定することができる。[C]重合体は、通常、フッ素原子を構造中に含む単量体を1種類以上重合することにより形成することができる。フッ素原子を構造中に含む単量体としては、主鎖にフッ素原子を含むもの、側鎖にフッ素原子を含むもの、主鎖と側鎖とにフッ素原子を含むものが挙げられる。
【0104】
主鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えば、α−フルオロアクリレート化合物、α−トリフルオロメチルアクリレート化合物、β−フルオロアクリレート化合物、β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、α,β−フルオロアクリレート化合物、α,β−トリフルオロメチルアクリレート化合物、1種類以上のビニル部位の水素がフッ素原子あるいはトリフルオロメチル基等で置換された化合物等が挙げられる。
【0105】
側鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えば、ノルボルネンのような脂環式オレフィン化合物の側鎖がフッ素原子あるいはフルオロアルキル基やその誘導体であるもの、アクリル酸あるいはメタクリル酸とフルオロアルキルアルコールやその誘導体とから形成されるエステル化合物、1種類以上のオレフィンの側鎖(二重結合を含まない部位)がフッ素原子あるいはフルオロアルキル基やその誘導体であるもの等が挙げられる。
【0106】
主鎖と側鎖にフッ素原子を含む単量体としては、例えば、α−フルオロアクリル酸、β−フルオロアクリル酸、α,β−フルオロアクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸、β−トリフルオロメチルアクリル酸、α,β−ジトリフルオロメチルアクリル酸等とフルオロアルキルアルコールやその誘導体とから形成されるエステル化合物、1種類以上のビニル部位の水素がフッ素原子あるいはトリフルオロメチル基等で置換された化合物の側鎖をフッ素原子あるいはフルオロアルキル基やその誘導基で置換したもの、1種類以上の脂環式オレフィン化合物の二重結合に結合している水素をフッ素原子あるいはトリフルオロメチル基等で置換し、かつ側鎖がフルオロアルキル基やその誘導基であるもの等が挙げられる。なお、この脂環式オレフィン化合物とは、環の一部が二重結合である化合物を示す。
【0107】
上記[C]重合体において、フッ素原子を付与する構造単位は特に限定されるものではないが、下記式(C1)で表される構造単位(以下、「構造単位(C−I)」ともいう。)をフッ素原子付与構造単位として用いることが好ましい。
【0108】
【化15】

【0109】
上記式(C1)中、Ra1は、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Aは、単結合又は2価の連結基である。R41は、少なくとも1個のフッ素原子を有する炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基である。
【0110】
上記式(C1)におけるAは2価の連結基を表し、例えば、酸素原子、硫黄原子、カルボニルオキシ基、オキシカルボニル基、アミド基、スルホニルアミド基、ウレタン基等を挙げることができる。
【0111】
上記R41で表されるアルキル基又は脂環式炭化水素基の誘導基としては、例えば、上記アルキル基又は脂環式炭化水素基の水素原子の一部又は全部が、アルカリ解離性基が結合するエステル基等で置換されたものが挙げられる。[C]重合体がアルカリ解離性基を有することで、得られるレジスト膜の後退接触角を現像後に低下させることができ、その結果、形成されるレジストパターンにおける現像欠陥の発生を抑制することができる。
【0112】
上記構造単位(C−I)を与える好ましい単量体としては、トリフルオロメチル(メタ)アクリル酸エステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロエチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−プロピル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロn−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロi−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロt−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、2−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル)(メタ)アクリル酸エステル、パーフルオロシクロヘキシルメチル(メタ)アクリル酸エステル、1−(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシル)(メタ)アクリル酸エステル、1−(5−トリフルオロメチル−3,3,4,4,5,6,6,6−オクタフルオロヘキシル)(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸フッ素化アルキルエステル;4−(m−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル)−4,4−ジフルオロ−2−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、4−ベンジルオキシカルボニル−4,4−ジフルオロ−2−ブチル(メタ)アクリル酸エステル、4−エトキシカルボニル−4,4−ジフルオロ−2−ブチル(メタ)アクリル酸エステル等のアルカリ解離性基を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0113】
構造単位(C−I)の含有率としては、[C]重合体における全構造単位に対して、通常5モル%以上、好ましくは10モル%以上、さらに好ましくは15モル%以上である。構造単位(C−I)の含有率が5モル%未満であると、十分な後退接触角を達成できなかったり、レジスト膜からの酸発生剤等の溶出を抑制できないおそれがある。[C]重合体は構造単位(C−I)を1種のみ含有していてもよいし、2種以上含有していてもよい。
【0114】
[C]重合体には、上述のフッ素原子を構造中に有する構造単位以外にも、例えば、現像液に対する溶解速度をコントロールするために酸解離性基を有する構造単位や、ラクトン骨格や水酸基、カルボキシル基等を有する構造単位、又は脂環式化合物を有する構造単位や、基板からの反射による光の散乱を抑えるために、芳香族化合物に由来する構造単位等の「他の構造単位」を1種類以上含有させることができる。
【0115】
上記解離性基を有する構造単位としては、下記式(C2)で表される構造単位(以下、「構造単位(C−II)」ともいう。)が挙げられる。
【0116】
【化16】

【0117】
上記式(C2)中、Ra2は水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R42〜R44は、それぞれ独立して、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基又は炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。
【0118】
上記式(C2)のR42〜R44で表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタンや、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のシクロアルカン類等の脂環族環に由来する基;これらの脂環族環に由来する基の水素原子の一部又は全部を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又はシクロブチル基、シクロヘキシル基等の炭素数3〜10のシクロアルキル基の1種以上あるいは1個以上で置換した基等を挙げることができる。また、R42〜R44のうち、いずれか2つが互いに結合して、それぞれが結合している炭素原子と共に2価の脂環式炭化水素基若しくはその誘導基を形成してもよい。これらの脂環式炭化水素基のうち、ノルボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン、アダマンタン、シクロペンタン又はシクロヘキサンの脂環族環に由来する基や、これらの脂環族環に由来する基の水素原子を上記アルキル基で置換した基が好ましい。
【0119】
また、上記式(C2)のR42〜R44で表される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
【0120】
上記式(C2)において、好ましい酸解離性基、すなわち、エステル基の酸素原子に結合する基の例としては、t−ブチル基、1−n−(1−エチル−1−メチル)プロピル基、1−n−(1,1−ジメチル)プロピル基、1−n−(1,1−ジメチル)ブチル基、1−n−(1,1−ジメチル)ペンチル基、1−(1,1−ジエチル)プロピル基、1−n−(1,1−ジエチル)ブチル基、1−n−(1,1−ジエチル)ペンチル基、1−(1−メチル)シクロペンチル基、1−(1−エチル)シクロペンチル基、1−(1−n−プロピル)シクロペンチル基、1−(1−i−プロピル)シクロペンチル基、1−(1−メチル)シクロヘキシル基、1−(1−エチル)シクロヘキシル基、1−(1−n−プロピル)シクロヘキシル基、1−(1−i−プロピル)シクロヘキシル基、1−{1−メチル−1−(2−ノルボニル)}エチル基、1−{1−メチル−1−(2−テトラシクロデカニル)}エチル基、1−{1−メチル−1−(1−アダマンチル)}エチル基、2−(2−メチル)ノルボニル基、2−(2−エチル)ノルボニル基、2−(2−n−プロピル)ノルボニル基、2−(2−i−プロピル)ノルボニル基、2−(2−メチル)テトラシクロデカニル基、2−(2−エチル)テトラシクロデカニル基、2−(2−n−プロピル)テトラシクロデカニル基、2−(2−i−プロピル)テトラシクロデカニル基、1−(1−メチル)アダマンチル基、1−(1−エチル)アダマンチル基、1−(1−n−プロピル)アダマンチル基、1−(1−i−プロピル)アダマンチル基や、これらの脂環族環からなる基を、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜10の環状のアルキル基の1種以上あるいは1個以上で置換した基等を挙げることができる。
【0121】
上記構造単位(C−II)を与える好ましい単量体としては、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ヒドロキシアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチル−3−ヒドロキシアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−n−プロピルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−イソプロピルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−8−メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルエステル、(メタ)アクリル酸−8−エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−メチルテトラシクロ[6.2.13,6.02,7]ドデカン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸−4−エチルテトラシクロ[6.2.13,6.02,7]ドデカン−4−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(テトラシクロ[6.2.13,6.02,7]ドデカン−4−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1,1−ジシクロヘキシルエチルエステイル、(メタ)アクリル酸1,1−ジ(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,1−ジ(トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,1−ジ(テトラシクロ[6.2.13,6.02,7]ドデカン−4−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1,1−ジ(アダマンタン−1−イル)エチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステル等が挙げられる。
【0122】
これらの単量体のなかでも、(メタ)アクリル酸2−メチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルアダマンチル−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−2−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸1−(ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−(アダマンタン−1−イル)−1−メチルエチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロペンチルエステル、(メタ)アクリル酸1−メチル−1−シクロヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸1−エチル−1−シクロヘキシルエステルが好ましい。
【0123】
上記ラクトン骨格を有する構造単位としては、[A]重合体の構造単位(I)と同様のγ−ブチロラクトン環を有する構造単位、及び[A]重合体のその他の構造単位におけるγ−ブチロラクトン以外のラクトン環を有する構造単位が挙げられる。(以下、「構造単位(C−III)」ともいう。)
【0124】
上記脂環式基を有する構造単位(以下、「構造単位(C−IV)」ともいう。)としては、例えば、下記式(C4)で表される構造単位等を挙げることができる。
【0125】
【化17】

【0126】
上記式(C4)中、Ra3は、水素原子、フッ素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基である。Yは、炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基である。
【0127】
上記式(C4)のYで表される炭素数4〜20の1価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカン、トリシクロ[3.3.1.13,7]デカン等のシクロアルカン類の脂環族環に由来する炭化水素基が挙げられる。これらのシクロアルカン由来の脂環族環に由来する炭素水素基は、置換基を有していてもよく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、2−メチルプロピル基、1−メチルプロピル基、t−ブチル基等の炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基又は炭素数3〜10のシクロアルキル基の1種以上あるいは1個以上で置換してもよい。置換基は、これらアルキル基及びシクロアルキル基に限定されるものではなく、ヒドロキシル基、シアノ基、炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、酸素原子で置換されたものであってもよい。
【0128】
上記構造単位(C−IV)を与える好ましい単量体としては、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−7−イルエステル、(メタ)アクリル酸−テトラシクロ[6.2.1.13,6.02,7]ドデカ−9−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−1−イルエステル、(メタ)アクリル酸−トリシクロ[3.3.1.13,7]デカ−2−イルエステル等が挙げられる。
【0129】
また、上記芳香族化合物に由来する構造単位(以下、「構造単位(V)」ともいう。)を生じさせる好ましい単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メトキシスチレン、3−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、4−(2−t−ブトキシカルボニルエチルオキシ)スチレン2−ヒドロキシスチレン、3−ヒドロキシスチレン、4−ヒドロキシスチレン、2−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、3−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、4−ヒドロキシ−α−メチルスチレン、2−メチル−3−ヒドロキシスチレン、4−メチル−3−ヒドロキシスチレン、5−メチル−3−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレン、2,4,6−トリヒドロキシスチレン、4−t−ブトキシスチレン、4−t−ブトキシ−α−メチルスチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)スチレン、4−(2−エチル−2−プロポキシ)−α−メチルスチレン、4−(1−エトキシエトキシ)スチレン、4−(1−エトキシエトキシ)−α−メチルスチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、アセナフチレン、5−ヒドロキシアセナフチレン、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、2−ヒドロキシ−6−ビニルナフタレン、1−ナフチル(メタ)アクリレート、2−ナフチル(メタ)アクリレート、1−ナフチルメチル(メタ)アクリレート、1−アントリル(メタ)アクリレート、2−アントリル(メタ)アクリレート、9−アントリル(メタ)アクリレート、9−アントリルメチル(メタ)アクリレート、1−ビニルピレン等が挙げられる。
【0130】
[C]重合体が有する「他の構造単位」として、構造単位(C−II)、構造単位(C−III)、構造単位(C−IV)及び構造単位(C−V)を1種のみ有していてもよいし、2種以上を有していてもよい。[C]重合体において、これらの他の構造単位の含有率としては、[C]重合体を構成する全構造単位に対し、通常80モル%以下、好ましくは75モル%以下、さらに好ましくは70モル%以下である。
【0131】
当該フォトレジスト組成物における[C]重合体の含有量としては、[A]重合体100質量部に対して、0〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましく、2〜8質量部がさらに好ましい。[C]重合体の含有量を上記範囲とすることで、より良好なリソグラフィーパターン形成を行うことができる。
【0132】
<[C]重合体の合成方法>
[C]重合体は、上記[A]重合体の場合と同様、例えば所定の各構造単位に対応する単量体を、ラジカル重合開始剤を使用し適当な溶媒中で重合することにより合成できる。
【0133】
<[D]酸拡散制御体>
[D]酸拡散制御体は、露光により[B]酸発生体から生じる酸のレジスト膜中における拡散現象を制御し、非露光領域における好ましくない化学反応を抑制する効果を奏し、得られるフォトレジスト組成物の貯蔵安定性がさらに向上し、またレジストとしての解像度がさらに向上すると共に、露光から現像処理までの引き置き時間の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れた組成物が得られる。酸拡散制御体の当該組成物における含有形態としては、遊離の化合物の形態でも、重合体の一部として組み込まれた形態でも、これらの両方の形態でもよい。
【0134】
[D]酸拡散制御剤としては、例えばアミン化合物、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等が挙げられる。
【0135】
アミン化合物としては、例えばモノ(シクロ)アルキルアミン類;ジ(シクロ)アルキルアミン類;トリ(シクロ)アルキルアミン類;置換アルキルアニリン又はその誘導体;エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2−(3−アミノフェニル)−2−(4−アミノフェニル)プロパン、2−(4−アミノフェニル)−2−(3−ヒドロキシフェニル)プロパン、トリ(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−(4−アミノフェニル)−2−(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、1,3−ビス(1−(4−アミノフェニル)−1−メチルエチル)ベンゼン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジエチルアミノエチル)エーテル、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリジノン、2−キノキサリノール、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、N,N,N’,N’’N’’−ペンタメチルジエチレントリアミン等が挙げられる。この中で、トリ(2−ヒドロキシエチル)アミンが好ましい。
【0136】
アミド基含有化合物としては、例えばN−t−ブトキシカルボニル基含有アミノ化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−アセチル−1−アダマンチルアミン、イソシアヌル酸トリス(2−ヒドロキシエチル)等が挙げられる。
【0137】
ウレア化合物としては、例えば尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等が挙げられる。
【0138】
含窒素複素環化合物としては、例えばイミダゾール類;ピリジン類;ピペラジン類;ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペリジンエタノール、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、モルホリン、4−メチルモルホリン、1−(4−モルホリニル)エタノール、4−アセチルモルホリン、3−(N−モルホリノ)−1,2−プロパンジオール、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0139】
また上記含窒素有機化合物として、酸解離性基を有する化合物を用いることもできる。このような酸解離性基を有する含窒素有機化合物としては、例えば、N−(t−ブトキシカルボニル)ピペリジン、N−(t−ブトキシカルボニル)−4−ピロリジン、N−(t−ブトキシカルボニル)イミダゾール、N−(t−ブトキシカルボニル)ベンズイミダゾール、N−(t−ブトキシカルボニル)−2−フェニルベンズイミダゾール、N−(t−ブトキシカルボニル)ジ−n−オクチルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジエタノールアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジシクロヘキシルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)ジフェニルアミン、N−(t−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン、N−(t−ペンチルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン等が挙げられる。この中で、N−(t−ペンチルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン及びN−(t−ブトキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンが好ましく、N−(t−ペンチルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジンがより好ましい。
【0140】
また、酸拡散制御剤として、露光により感光し弱酸を発生する光崩壊性塩基を用いることもできる。光崩壊性塩基の一例として、露光により分解して酸拡散制御性を失うオニウム塩化合物がある。オニウム塩化合物としては、例えば下記式(D1)で示されるスルホニウム塩化合物、下記式(D2)で表されるヨードニウム塩化合物が挙げられる。
【0141】
【化18】

【0142】
上記式(D1)及び式(D2)中、R51〜R55は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基又はハロゲン原子である。G及びQは、それぞれ独立して、OH、R56−COO、R57−SO又はR58−N−R59である。但し、R56〜R59は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。
【0143】
上記G及びQで表されるアニオンの好ましい例としては、下記式(D3)〜(D5)でそれぞれ表されるアニオンが挙げられる。
【0144】
【化19】

【0145】
上記式(D3)中、R60は、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基、又は炭素数1〜12の直鎖状若しくは分岐状のアルコキシ基である。uは0〜2の整数である。
上記式(D5)中、R61は、炭素数1〜10のアルキル基である。R62は、炭素数1〜10のパーフルオロアルキル基である。
【0146】
当該フォトレジスト組成物における[D]酸拡散制御体の含有量としては、[D]酸拡散制御剤の場合、[A]重合体100質量部に対して、10質量部未満が好ましく、5質量部がより好ましい。[D]酸拡散制御剤の含有量が10質量部を超えると、レジストとしての感度が低下するおそれがある。[D]酸拡散抑制体は、1種単独でも2種以上を併用してもよい。
【0147】
<[E]溶媒>
当該フォトレジスト組成物は通常[E]溶媒を含有する。当該フォトレジスト組成物の調製に用いることができる[E]溶媒としては、少なくとも上記[A]重合体、[B]酸発生体及び必要に応じて含有される任意成分を均一に溶解又は分散できれば特に限定されない。[E]溶媒の具体例としては、例えばアルコール類、エーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類、芳香族炭化水素類、ケトン類、エステル類等を挙げることができる。
【0148】
アルコール類として、例えば、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等;
エーテル類として、例えば、テトラヒドロフランや、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジn−ペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル、ジn−ヘキシルエーテル等のジアルキルエーテル等;
ジエチレングリコールアルキルエーテル類として、例えばジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル等;
エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類として、例えばメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテル類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等;
プロピレングリコールモノアルキルエーテルプロピオネート類として、例えばプロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノブチルエーテルプロピオネート等;
【0149】
芳香族炭化水素類として、例えばトルエン、キシレン等;
ケトン類として、例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ヒドロキシ酢酸メチル、ヒドロキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、3−ヒドロキシプロピオン酸メチル、3−ヒドロキシプロピオン酸エチル、3−ヒドロキシプロピオン酸プロチル、3−ヒドロキシプロピオン酸ブチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸プロピル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、エトキシ酢酸プロピル、エトキシ酢酸ブチル、プロポキシ酢酸メチル、プロポキシ酢酸エチル、プロポキシ酢酸プロピル、プロポキシ酢酸ブチル、ブトキシ酢酸メチル、ブトキシ酢酸エチル、ブトキシ酢酸プロピル、ブトキシ酢酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸ブチル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。
【0150】
これらの溶媒の中でも、溶解性あるいは分散性が優れていること、各成分と非反応性であること、及び塗膜形成の容易性の観点から、ジアルキルエーテル等のエーテル類、ジエチレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ケトン類及びエステル類が好ましく、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、酢酸プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸ブチル、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチルがより好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びシクロヘキサノンがさらに好ましい。これらの溶媒は、単独で又は混合して用いることができる。
【0151】
上記した溶媒に加え、さらに必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、フェニルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート等の高沸点溶媒を併用することもできる。これらの中で、γ−ブチロラクトンが好ましい。
【0152】
<[F]添加剤>
当該フォトレジスト組成物は、上記の他、必要に応じ[F]添加剤として界面活性剤、脂環式骨格含有化合物、増感剤等を配合することができる。
【0153】
[界面活性剤]
界面活性剤は、塗布性、ストリエーション、現像性等を改良する効果を奏する。界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンn−オクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンn−ノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のノニオン系界面活性剤の他、以下商品名でKP341(信越化学工業社)、ポリフローNo.75、同No.95(以上、共栄社化学社)、エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、トーケムプロダクツ社)、メガファックF171、同F173(以上、大日本インキ化学工業社)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム社)、アサヒガードAG710、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−102、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC−106(以上、旭硝子工業社)等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0154】
[脂環式骨格含有化合物]
脂環式骨格含有化合物は、ドライエッチング耐性、パターン形状、基板との接着性等を改善する効果を奏する。
【0155】
脂環式骨格含有化合物としては、例えば
1−アダマンタンカルボン酸、2−アダマンタノン、1−アダマンタンカルボン酸t−ブチル等のアダマンタン誘導体類;
デオキシコール酸t−ブチル、デオキシコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、デオキシコール酸2−エトキシエチル等のデオキシコール酸エステル類;
リトコール酸t−ブチル、リトコール酸t−ブトキシカルボニルメチル、リトコール酸2−エトキシエチル等のリトコール酸エステル類;
3−〔2−ヒドロキシ−2,2−ビス(トリフルオロメチル)エチル〕テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン、2−ヒドロキシ−9−メトキシカルボニル−5−オキソ−4−オキサ−トリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン等が挙げられる。これらの脂環式骨格含有化合物は単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0156】
[増感剤]
増感剤は、[B]酸発生体からの酸の生成量を増加する作用を示すものであり、当該フォトレジスト組成物の「みかけの感度」を向上させる効果を奏する。
【0157】
増感剤としては、例えばカルバゾール類、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ナフタレン類、フェノール類、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン類、アントラセン類、フェノチアジン類等が挙げられる。これらの増感剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
【0158】
<フォトレジスト組成物の調製>
当該フォトレジスト組成物は、例えば、[A]重合体、[B]酸発生体、任意成分及び[F]溶媒を所定の割合で混合することにより調製できる。当該フォトレジスト組成物は、通常、全固形分濃度(組成物全体に占める[E]溶媒以外の成分の合計質量の割合)が1〜50質量%、好ましくは2〜20質量%となるように各成分を混合後、例えば、孔径0.02μm程度のフィルター等でろ過することによって調製される。
【0159】
<レジストパターン形成方法>
本発明のレジストパターン形成方法は、(1)当該フォトレジスト組成物を基板上に塗布し、レジスト膜を形成する工程(以下、「(1)工程」ともいう。)、(2)上記レジスト膜上に液浸露光用液体を配置し、上記液浸露光用液体を介して上記レジスト膜を液浸露光する工程(以下、「(2)工程」ともいう。)、及び(3)液浸露光された上記レジスト膜を現像する工程(以下、「工程(3)」ともいう。)を有する。当該レジストパターン形成方法によれば良好なパターン形状のレジストパターンを形成することができる。
【0160】
上記(1)工程では、本発明のフォトレジスト組成物の溶液を、回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の適宜の塗布手段によって、例えば、シリコンウェハ、アルミニウムで被覆されたウェハ等の基板上に塗布することにより、レジスト膜が形成される。具体的には、得られるレジスト膜が所定の膜厚となるようにフォトレジスト組成物を塗布したのち、ソフトベーク(SB)することにより塗膜中の溶媒を揮発させ、レジスト膜が形成される。
【0161】
上記レジスト膜の厚みは特に限定されないが、10〜5000nmであることが好ましく、10〜2000nmであることがさらに好ましい。
【0162】
また、プレベークの加熱条件は、フォトレジスト組成物の配合組成によって変わるが、30〜200℃程度であることが好ましく、より好ましくは50〜150℃である。
【0163】
上記(2)工程では、(1)工程で形成されたレジスト膜上に液浸露光用液体を配置し液浸露光用液体を介して、電磁波又は荷電粒子線を照射し、レジスト膜を液浸露光する。
【0164】
上記液浸露光用液体としては、例えば、純水、長鎖又は環状の脂肪族化合物等を用いることができる。
上記電磁波及び荷電粒子線としては、使用される酸発生剤の種類に応じて、電磁波としては、可視光線、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線としては、電子線、α線等から適宜選定されて使用されるが、ArFエキシマレーザー(波長193nm)或いはKrFエキシマレーザー(波長248nm)で代表される遠紫外線が好ましく、特にArFエキシマレーザー(波長193nm)が好ましい。
【0165】
また、露光量等の露光条件は、フォトレジスト組成物の配合組成や添加剤の種類等に応じて適宜選定することができる。
本発明においては、露光後に加熱処理(PEB)を行うことが好ましい。このPEBにより、樹脂成分中の酸解離性基の解離反応を円滑に進行させることができる。PEBの加熱条件は、フォトレジスト組成物の配合組成によって適宜調整されるが、通常、30〜200℃、好ましくは50〜170℃である。
【0166】
本発明においては、フォトレジスト組成物の潜在能力を最大限に引き出すため、例えば特公平6−12452号公報(特開昭59−93448号公報)等に開示されているように、使用される基板上に有機系又は無機系の反射防止膜を形成しておくこともできる。また、環境雰囲気中に含まれる塩基性不純物等の影響を防止するため、例えば、特開平5−188598号公報等に開示されているように、レジスト膜上に保護膜を設けることもできる。さらに、液浸露光においてレジスト膜からの酸発生剤等の流出を防止するため、例えば、特開2005−352384号公報等に開示されているように、レジスト膜上に液浸用保護膜を設けることもできる。また、これらの技術は併用することができる。
【0167】
なお、液浸露光によるレジストパターン形成方法においては、レジスト膜上に、上述の保護膜(上層膜)を設けることなく、本発明のフォトレジスト組成物を用いて得られるレジスト膜のみにより、レジストパターンを形成することもできる。このような上層膜フリーのレジスト膜によりレジストパターンを形成する場合、保護膜(上層膜)の製膜工程を省くことができ、スループットの向上を期待することができる。
【0168】
上記(3)工程では、露光されたレジスト膜を現像することにより、所定のレジストパターンが形成される。
この現像工程に使用される現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、けい酸ナトリウム、メタけい酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、エチルジメチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペリジン、コリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等のアルカリ性化合物の少なくとも1種を溶解したアルカリ性水溶液が好ましい。
【0169】
上記アルカリ性水溶液の濃度は、10質量%以下であることが好ましい。アルカリ性水溶液の濃度が10質量%を超える場合、非露光部も現像液に溶解するおそれがある。
【0170】
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、有機溶媒を添加することもできる。
上記有機溶媒としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルi−ブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、3−メチルシクロペンタノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン等のケトン類;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、1,4−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジメチロール等のアルコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸i−アミル等のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類や、フェノール、アセトニルアセトン、ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
これらの有機溶媒は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0171】
この有機溶媒の使用量は、アルカリ性水溶液100体積部に対して、100体積部以下であることが好ましい。有機溶媒の使用量が100体積部を超える場合、現像性が低下して、露光部の現像残りが多くなるおそれがある。
また、上記アルカリ性水溶液からなる現像液には、界面活性剤等を適量添加することもできる。
なお、アルカリ性水溶液からなる現像液で現像したのちは、一般に、水で洗浄して乾燥する。
【0172】
本発明のフォトレジスト組成物を用い上述のようにして得られるレジストパターンは、微細なパターンの形成においても、CDU等のリソグラフィー特性に優れている。
【実施例】
【0173】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。各種物性値の測定方法を以下に示す。
【0174】
[重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)]
東ソー社製のGPCカラム(商品名「G2000HXL」2本、商品名「G3000HXL」1本、商品名「G4000HXL」1本)を使用し、流量:1.0mL/分、溶出溶媒:テトラヒドロフラン、カラム温度:40℃の分析条件で、単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定した。また、分散度(Mw/Mn)は、Mw及びMnの測定結果より算出した。
【0175】
13C−NMR分析]:
日本電子社製の商品名「JNM−EX400」を使用し、測定溶媒としてDMSO−dを使用して分析を行った。
【0176】
<[A]重合体の合成>
[A]重合体は、以下の合成例に記載の方法で合成した。[A]重合体の合成に用いた単量体を以下に示す。(以下、下記式(M−1)で表される化合物を「化合物(M−1)」のように称することがある。)
【0177】
【化20】

【0178】
[合成例1](重合体(A−1)の合成)
化合物(M−1)41.9g(35モル%)、化合物(M−5)17.1g(15モル%)及び化合物(M−12)41.0g(50モル%)を200gの2−ブタノンに溶解し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3.96g(単量体の合計に対して5モル%)を加えて単量体溶液を調製した。100gの2−ブタノンを入れた1000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し、調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。2000gのメタノール中に冷却した重合溶液を投入し、析出した白色粉末をろ別した。ろ別した白色粉末を300gのメタノールで2回洗浄した後ろ別し、50℃で17時間乾燥させて白色粉末の重合体(A−1)を得た(49.1g、収率49%)。得られた重合体(A−1)のMwは6,900であり、Mw/Mnは1.50であり、低分子量成分の含有割合は0.05質量%であった。また、13C−NMR分析の結果、重合体(A−1)における化合物(M−1)由来の構造単位:化合物(M−5)由来の構造単位:化合物(M−12)由来の構造単位の含有割合の比率は22:14:64(モル%)であった。
【0179】
[合成例2〜13](重合体(A−2)〜(A−11)並びに重合体(a−1)及び(a−2)の合成)
表1に示す種類及び仕込量の単量体を使用したこと以外は、合成例1と同様の方法によって、重合体(A−2)〜(A−11)並びに重合体(a−1)及び(a−2)を合成した。得られた重合体(A−2)〜(A−13)並びに重合体(a−1)及び(a−2)における各単量体化合物に由来する構造単位の含有割合、Mw及びMw/Mnの測定結果を表1に示す。なお、表1中の「−」は、該当する化合物を用いなかったことを示す。
【0180】
[合成例14](重合体(C−1)の合成)
化合物(M−3)71.67g(70モル%)、及び化合物(M−15)28.33g(30モル%)を100gの2−ブタノンに溶解し、ジメチル2,2’−アゾビスイソブチレート10.35gを添加して単量体溶液を調製した。100gの2−ブタノンを入れた1,000mLの三口フラスコを30分窒素パージした後、撹拌しながら80℃に加熱し調製した単量体溶液を滴下漏斗にて3時間かけて滴下した。滴下開始を重合反応の開始時間とし、重合反応を6時間実施した。重合反応終了後、重合溶液を水冷して30℃以下に冷却した。反応溶液を4L分液漏斗に移液した後、300gのn−ヘキサンでその重合溶液を均一に希釈し、1,200gのメタノールを投入して混合した。次いで、60gの蒸留水を投入し、さらに攪拌して30分静置した。その後、下層を回収し、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで置換して、重合体(C−1)を含む溶液とした(収率60%)。得られた重合体(C−1)のMwは7,200であり、Mw/Mnは2.00であり、低分子量成分含有量は0.07質量%であった。また、13C−NMR分析の結果、重合体(C−1)における化合物(M−3)由来の構造単位及び化合物(M−15)由来の構造単位の含有率はそれぞれ71.1モル%及び28.9モル%であった。また、重合体(C−1)のフッ素原子含有率は、9.6質量%であった。
【0181】
【表1】

【0182】
<フォトレジスト組成物の調製>
上記合成例において合成した重合体(A−1)〜(A−11)、(a−1)及び(a−2)並びに(C−1)以外のフォトレジスト組成物を構成する各成分([B]酸発生剤、[D]酸拡散制御剤及び[E]溶媒)について以下に示す。
【0183】
([B]酸発生剤)
(B−1)トリフェニルスルホニウム2−アダマンチル−1,1−ジフルオロエタン−1−スルホネート(下記式(B−1)で表される化合物)
(B−2)トリフェニルスルホニウム6−アダマンチルカルボニルオキシ−1,1,2,2−テトラフルオロフルオロヘキサン−1−スルホネート(下記式(B−2)で表される化合物)
【0184】
【化21】

【0185】
([D]酸拡散制御剤)
(D−1)N−(tert−ペンチルオキシカルボニル)−4−ヒドロキシピペリジン(下記式(D−1)で表される化合物)
(D−2)トリ(2−ヒドロキシエチル)アミン(下記式(D−2)で表される化合物)
(D−3)トリフェニルスルホニウムカンファースルホネート(下記式(D−3)で表される化合物)
【0186】
【化22】

【0187】
([E]溶媒)
(E−1):プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(E−2):シクロヘキサノン
(E−3):γ−ブチロラクトン
【0188】
[実施例1]
合成例1で得られた重合体(A−1)100質量部、合成例14で得られた重合体(C−1)5質量部、酸発生剤(B−1)12質量部、酸拡散制御剤(D−1)1質量部、並びに溶媒(E−1)2,251質量部、(E−2)965質量部及び(E−3)200質量部を混合し、得られた混合溶液を孔径0.02μmのフィルターでろ過してフォトレジスト組成物(J−1)を調製した。
【0189】
(実施例2〜11並びに比較例1及び2)
実施例1において、表2に示す各成分及び配合量にしたこと以外は、実施例1と同様にして実施例2〜11のフォトレジスト組成物(J−2)〜(J−11)並びに比較例1及び2のフォトレジスト組成物(CJ−1)及び(CJ−2)を調製した。
【0190】
<評価>
【0191】
上記得られた実施例1〜11並びに比較例1及び2のフォトレジスト組成物について、ArFエキシマレーザーを光源として、以下の方法によりLS(ラインアンドスペース)パターンを形成し、Critical Dimension Uniformity(CDU)評価を行った。40nm及び75nmLSについてそれぞれ得られたCDUの測定値を表2に示す。
【0192】
[40nmLS(ラインアンドスペース)レジストパターンの形成]
[実施例1]
膜厚105nmの下層反射防止膜(「ARC66」、日産化学社製)を形成した12インチシリコンウェハ上に、実施例1のフォトレジスト組成物(J−1)によって、膜厚90nmのレジスト膜を形成し、120℃で60秒間ソフトベーク(SB)を行った。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー液浸露光装置(「NSR S610C」、NIKON社製)を用い、NA=1.3、ratio=0.800、Dipoleの条件により、40nmLine80nmPitchのマスクパターンを介して露光した。露光後、95℃で60秒間ポストベーク(PEB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、40nmLine80nmPitch(40nmLS)のマスクパターンを介して露光したLineが40nmを形成する露光量を最適露光量(Eop(40nm))とした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(「CG−4000」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0193】
[実施例3〜7、9及び11並びに比較例1及び2]
上記実施例3〜7、9及び11並びに比較例1及び2のフォトレジスト組成物(J−3)〜(J−7)、(J−9)及び(J−11)並びに(CJ−1)及び(CJ−2)のそれぞれについて、SB及びPEBをそれぞれ表2に示す温度で行った以外は上記実施例1と同様の方法により、40nmLSレジストパターンを形成した。
【0194】
[実施例2、8及び10]
上記実施例1において、レジスト膜を形成した後に、レジスト膜上にLithius Pro−i(東京エレクトロン製)を用い、TCX041(JSR製)をスピンコートにより塗布し、ホットプレート上にて90℃でSBを行い、膜厚90nmのトップコート膜を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例2、8及び10のフォトレジスト組成物(J−2)、(J−8)及び(J−10)のそれぞれについて40nmLSレジストパターンを形成した。
【0195】
[40nmLSにおけるCDUの評価]
上記実施例1〜11並びに比較例1及び2で得られたそれぞれのレジストパターンについて、上記Eop(40nm)にて形成された線幅40nmのLineをパターン上部から観察し任意の500点ポイントで線幅を測定した。線幅の測定値の3シグマ値(ばらつき)を40nmLSにおけるCDUとした。この値は小さいものほど好ましく、4.0nm未満であれば「良好」、4.0nm以上であれば「不良」と判断することができる。
【0196】
[75nmLS(ラインアンドスペース)レジストパターンの形成]
[実施例1〜11並びに比較例1及び2]
膜厚77nmの下層反射防止膜(「ARC29A」、日産化学社製)を形成した8インチシリコンウェハ上に、実施例1〜11並びに比較例1及び2のそれぞれのフォトレジスト組成物によって、膜厚120nmのレジスト膜を形成し、表2に示す温度で60秒間ソフトベーク(SB)を行った。次に、このレジスト膜を、ArFエキシマレーザー露光装置(「NSR S306C」、NIKON社製)を用い、NA=0.78、Center Sigma=0.75、Radius Sigma=0.15、Dipoleの条件により、75nmLine150nmPitchのマスクパターンを介して露光した。露光後、表2に示す温度で60秒間ポストベーク(PEB)を行った。その後、2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液により現像し、水洗し、乾燥して、ポジ型のレジストパターンを形成した。このとき、75nmLine150nmPitch(75nmLS)のマスクパターンを介して露光したLineが75nmを形成する露光量を最適露光量(Eop(75nm))とした。なお、測長には走査型電子顕微鏡(「S−9380」、日立ハイテクノロジーズ社製)を用いた。
【0197】
[75nmLSにおけるCDUの評価]
上記実施例1〜11並びに比較例1及び2で得られたそれぞれのレジストパターンについて、上記Eop(75nm)にて形成された線幅75nmのLineをパターン上部から観察し任意の500点ポイントで線幅を測定した。線幅の測定値の3シグマ値(ばらつき)を75nmLSにおけるCDUとした。この値は小さいものほど好ましく、7.0nm未満であれば「良好」、7.0nm以上であれば「不良」と判断することができる。
【0198】
【表2】

【0199】
表2に示されるように、本発明のフォトレジスト組成物によれば、ArFエキシマレーザー液浸露光装置を用いて形成される微細な40nmLSレジストパターンにおいても良好なCDUを実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0200】
本発明のフォトレジスト組成物は、以上説明したように、微細なパターンを形成する際にも、良好なCDUを実現することができるので、ArFエキシマレーザー液浸露光装置を使用するリソグラフィーの材料として好適に用いることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
[A]γ−ブチロラクトン環を含む構造単位(I)を有する酸解離性基含有重合体、及び
[B]酸発生体
を含有するフォトレジスト組成物であって、
[A]重合体における構造単位(I)の含有割合が60モル%を超えることを特徴とするフォトレジスト組成物。
【請求項2】
[A]重合体が、下記式(2−1)で表される構造単位(II−1)及び下記式(2−2)で表される構造単位(II−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位をさらに有する請求項1に記載のフォトレジスト組成物。
【化1】

(式(2−1)及び(2−2)中、RB1及びRB2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。Rp1及びRp2は、それぞれ独立して、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。Rp3は、炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。Rp4は、炭素数2〜10の1価の鎖状炭化水素基である。Zは、Rp4が結合する炭素原子と共に炭素数3〜10の2価の脂環式炭化水素基を形成する炭化水素基である。)
【請求項3】
上記式(2−1)におけるRp3がアダマンチル基であり、上記式(2−2)におけるZが、Rp4が結合する炭素原子と共にアダマンタン環を形成する基である請求項2に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項4】
上記構造単位(I)が、下記式(1−1)で表される構造単位(I−1)及び下記式(1−2)で表される構造単位(I−2)からなる群より選ばれる少なくとも1種の構造単位である請求項1、請求項2又は請求項3に記載のフォトレジスト組成物。
【化2】

(式(1−1)及び(1−2)中、RA1及びRA2は、それぞれ独立して、水素原子、フッ素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基である。R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の1価の鎖状炭化水素基又は炭素数3〜10の1価の脂環式炭化水素基である。)
【請求項5】
[A]重合体が、水酸基、シアノ基及びケトン性カルボニル基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基を含む構造単位(III)をさらに有する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項6】
[B]酸発生体が、下記式(B1)で表される化合物である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【化3】

(式(B1)中、R31は、環構造を有する1価の有機基である。R32は、炭素数1〜10のフッ素化アルカンジイル基である。Xは、1価のオニウムカチオンである。)
【請求項7】
液浸露光に用いられる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のフォトレジスト組成物。
【請求項8】
(1)請求項7に記載のフォトレジスト組成物を基板上に塗布し、レジスト膜を形成する工程、
(2)上記レジスト膜上に液浸露光用液体を配置し、この液浸露光用液体を介して上記レジスト膜を液浸露光する工程、及び
(3)液浸露光された上記レジスト膜を現像する工程
を有するレジストパターン形成方法。

【公開番号】特開2012−215694(P2012−215694A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80889(P2011−80889)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】