説明

フォームチェックサービス用システム

【課題】実演者や指導者が、容易に実演者のフォームを撮影し、またその映像を再生、編集、比較することができる練習環境をユーザに提供し、また、このサービスの提供者がその撮影されたデータを実演者の意図しない他者に対して秘匿し、信頼性を確保して管理できるようにする。
【解決手段】実演者が撮像端末で撮像した撮像データファイルを、その実演者のID情報と関連付けて識別可能にして他者に対して非公開の状態でサーバに格納し、アクセス権限を付与されたID情報によりログイン認証された操作端末からアクセス可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゴルフや野球などのスポーツ、ダンス、舞踊、茶道、華道、陶芸、或は、化粧や調理などの実演者を撮像し、その撮像データの保存や、その撮像データの再生映像に基づいた実演者のフォーム指導を行うサービスを、ネットワークを介して実現するフォームチェックサービス用システムに関し、特にスポーツのフォーム、中でもゴルフや野球などのスイングフォームのフォームチェックサービスに好適なものに関する。
【背景技術】
【0002】
指導者等の実演者のフォームをビデオカメラ等で撮像し、これを再生して、練習生が参考にしたり、実演者自身が自らのフォームについて第三者からチェックを受けたりすることが広く行われている。また、実演者は、その撮像データを大切に保存し、自らの進歩を確認したり、思い出として記録に残したりすることも広く行われている。
【0003】
しかし、実演者が、単独でビデオカメラ等を用意して自分の実演を撮像したり、撮像データを指導者の元に届けて指導を受けたりすることは、手間やコストの負担が大きい。そこで、従来から、ネットワーク通信により、撮像データに基づいたフォームチェックを手軽に受けられるフォームチェックサービス用システムが提案されている。
【0004】
例えば、練習場に設置したカメラにより実演者であるゴルフ練習生のスイングフォームを撮像し、その撮像データをネットワーク経由でサーバに蓄積しておき、ゴルフ練習生は、アクセス用端末により、自分の撮像データと予めサーバに用意された模範映像とを並べて再生したり、指導員がアクセス用端末を用いて予めサーバに蓄積されたゴルフ練習生の撮像データに付加した指導内容を確認したりすることを実現できるようにしたフォームチェックサービス用システムがある(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−200206号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にかかるフォームチェックサービス用システムでは、撮像データが単にサーバ上の指導者がアクセス権限を有する記憶部に蓄積されるだけであり、その実演者であるゴルフ練習生ごとに識別されるものではなく、その撮像データの分類もされなかった。このため、複数のゴルフ練習生からの撮像データがサーバ上に蓄積されると、個人情報である上記撮像データが他のゴルフ練習生に閲覧される心配がある。このため特許文献1に記載のフォームチェックサービス用システムでは、上記撮像データの秘匿性が欠落しており、サービスの信頼性が十分に確保されてはいなかった。
【0007】
そこで、この発明の課題は、フォームチェックサービスの利用者にとって信頼性に優れたフォームチェックサービス用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、この発明は、実演者のフォームを撮像する撮像端末と、この撮像端末で作成された撮像データファイルを格納して管理するフォームチェック装置と、上記フォームチェック装置からネットワークを介して受信した上記撮像データファイルを画面に出力する複数の操作端末とを備えたフォームチェックサービス用システムを次のように構成した。
【0009】
すなわち、上記撮像端末が、上記撮像データファイルに上記実演者のID情報と関連付けて識別する撮像特定機能と、識別した上記撮像データファイルを上記フォームチェック装置に送信する機能とを有するようにした。ここで、ID情報は、撮像開始前に予め実演者ごとに固有に付与された識別情報である。これにより、上記撮像データファイルは、実演者ごとに、かつファイルごとに識別される。
【0010】
そして、上記フォームチェック装置は、上記情報蓄積手段に、受信した上記撮像データファイルを非公開の状態で格納するファイル管理機能を有するので、システム外部に対する撮像データファイルの秘匿性とサービスの信頼性が確保される。
【0011】
また、上記フォームチェック装置は、上記実演者のID情報と対応付けたログイン情報により操作端末を認証するログイン認証機能と、認証した操作端末にアクセス権限が認められた撮像データファイルの識別情報を表示させるファイル情報表示機能と、上記識別情報を表示させた操作端末から要求された撮像データファイルをその操作端末に送信する要求撮像送信機能とを有するので、格納された撮像データファイルにアクセスできるのはログイン認証され、かつアクセス権限を有する操作端末に限られる。
【0012】
上記の構成において、上記フォームチェック装置は、撮像データファイルと共に、この撮像データファイルの撮像に付随する情報をまとめた撮像固有情報ファイルを取り扱うようにすることもできる。
【0013】
また、上記構成においては、上記フォームチェック装置は、上記のログイン情報と対応付けられたID情報に関連付けられた上記撮像データファイルへのアクセス権限を、そのID情報により認証した操作端末から、他者のID情報ごとに設定させるアクセス制限機能を有する構成が好ましい。この構成によれば、実演者は、練習仲間の自宅や練習場等に設置された操作端末を利用してログイン情報を上記フォームチェック装置に送信するだけで上記フォームチェック装置に格納された撮像データファイルを出力し、フォームチェックを行うことができる。また実演者は、複数の操作端末にアクセス権限を設定することにより、特定の練習仲間への公開に限定しつつ、複数の練習仲間とフォームを同時に検討し合うことが可能になり、グループ学習を行うことができる。
【0014】
また、上記構成においては、上記フォームチェック装置は、撮像データファイルを送信した操作端末に対してその撮像データファイルの出力画面上で描画する描画機能を提供するチェック補助機能と、この描画機能による描画処理情報を描画対象の撮像データファイルと関連付けて記録するチェック情報記録機能と、描画対象の撮像データファイルへのアクセス権限を有する操作端末からの要求に応じて上記描画処理情報及び描画対象の撮像データファイルを送信するチェック情報提供機能とを有する構成が好ましい。この構成によれば、再生や編集、比較を行うためのソフトをあらかじめアクセス用端末に組み込んでおく必要が無くなるのでサービスを利用しやすくなる。特に、上記フォームチェック装置がアクセス制限機能を有する場合には、他人の操作する端末に撮像データファイルへのアクセス権限を認めれば、実演者が自宅にいながら、友人や指導者等から客観的な分析を受けることができる。
【0015】
また、上記構成においては、認証した操作端末からの要求に応じて、予め格納された参考映像ファイルを送信し、これを表示させる参考映像提供機能を有する構成を採用することができる。
【0016】
また、上記構成においては、上記フォームチェック装置は、上記撮像データファイルを送信した操作端末に対して、その撮像データファイルへの指導情報を入力させる指導情報入力機能を提供し、この操作端末から入力された指導情報をその撮像データファイルに関連付けて格納し、その撮像データファイルへのアクセス権限を有する操作端末からの要求に応じて上記指導情報をその操作端末に出力させる構成とすることができる。この構成によれば、指導を受けることができ、その指導内容を保存することができ、要求に応じていつでも見ることが出来る。
【0017】
特に、上記フォームチェック装置が、音声データを入力させる機能を提供すると、映像や文字だけでは伝えにくいことを、音声によってよりわかりやすく説明を受けることができる。
【0018】
また、上記フォームチェック装置は、ID情報ごとに設けられた個別格納部と、上記撮像端末から送信された撮像データファイルを保存する一時記憶部とを有し、上記ファイル管理機能は、一時記憶部に保存した撮像データファイルに関連付けられたID情報を識別し、保存した撮像データファイルを識別したID情報の個別格納部に振り分ける構成を採用することができる。この構成によれば、一時記憶部に一時的に記憶することで、ファイル形式の変更などの処理を確実に行うことができる。
【0019】
具体的には、上記フォームチェック装置が、上記一時記憶部に上記撮像データファイルを保存した後、この撮像データファイルより上記操作端末に提供される上記描画機能に対応するファイル形式に変換した映像データファイルを作成する変換ファイル作成機能と、この映像データファイル及び上記撮像データファイルを上記フォームチェック装置に設けられた振り分け部に移し、この振り分け部内の撮像データファイルと映像データファイルを対応付けてこの撮像データファイルと関連付けられたID情報の個別格納部に格納する振り分け機能を有する構成を採用することが出来る。この構成によれば、上記撮像端末から上記フォームチェック装置への撮像データファイルの送信が完了して、ファイル全てを一時記憶部に保存してから変換を行うため、ファイルの変換エラーが起きにくく、より確実に変換処理を行うことが出来る。また、ファイル形式の変換によりファイルサイズを小さくし、又は再生負荷を下げることができる。
【0020】
また、上記フォームチェック装置が、フォームチェックサービスを提供するサービス提供業者ごとに、利用可能な機能を選択して設定できる構成とすることができる。この構成によれば、システム提供業者は、複数のサービス提供業者に対してシステムを利用させることが出来る。また、サービス提供業者は独自に上記撮像端末や上記フォームチェック装置を設置する必要がなく、システム提供業者と契約するだけで、サービスを開始することが出来、かつ、任意の機能を選択することにより他のサービス提供業者との間で差別化を図ることができる。さらに、サービスの利用者は、多数のサービス提供業者の中から、気に入ったサービス提供業者を選んでサービスの提供を受けることが出来る。
【発明の効果】
【0021】
上記のように、この発明によれば、上記撮像データファイルが実演者ごとのID情報と関連付けて識別され、この撮像データファイルが未公開の状態で格納、管理され、この撮像データファイルへのアクセスがID情報によりログイン認証してアクセス権限を付与された操作端末に限られるので、フォームチェックサービスの利用者にとって信頼性に優れたフォームチェックサービス用システムを得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、この発明について、発明を実施するための最良の形態を、図面を用いて説明する。なお、各図にはこの発明に関する事項のみを概念的に示している。この発明にかかるシステムは、図1に示すように、実演者のフォームを撮像する撮像端末11と、この撮像端末11で作成された撮像データファイル41を格納する情報蓄積手段12及びこの情報蓄積手段12との間で上記撮像データファイル41を受け渡しするフォームチェックサーバ13を備えたフォームチェック装置14と、フォームチェックサーバ13からネットワーク10を介して受信した上記撮像データファイル41を画面に出力する複数の操作端末15とを備えたフォームチェックサービス用システムである。
【0023】
このフォームチェックシステムは、ゴルフや野球のスイングフォームのチェック用に構成されている。もちろん、他のスポーツのフォームチェックに利用することが出来るが、特にゴルフのように、実演者が特定の範囲にとどまってプレイするスポーツにおいて撮像が容易である。また、スポーツに限らず、ダンスや日本舞踊のような、身体的動作を伴う文化活動であっても適用可能であり、スポーツと同様に、実演者が特定の範囲にとどまる茶道、華道、陶芸などの文化活動において撮像が容易である。さらには、百貨店の化粧品売り場で実演する化粧手順や、厨房における包丁や鍋の使い方などの調理手順、職人による伝統工芸品やカスタムメイド工業製品の製造手順などを含めたフォームのチェックに用いられる。なお、フォームとは姿勢や動作を意味する。
【0024】
撮像端末11は、実演者のフォームを撮像して撮像データファイル41を作成し、撮像データファイル41と共に、この撮像に付随する情報をまとめた撮像固有情報ファイル42を作成するものであり、ゴルフ練習場やバッティングセンター等の実演が行われる場所に設置される。この撮像固有情報ファイル42は、テキストデータからなり、XML形式やコンマ区切りなどの形式であってもよい。
【0025】
この撮像端末11は、図1及び図2に示すように、スチルカメラ又はビデオカメラからなるカメラ部21を備えていることが必要である。特に、撮像するフォームを動画として撮像すると一連の動作が把握しやすいので、カメラ部21にはビデオカメラを用いることが好ましい。なお、カメラ部21が音声録音能力を有していると、プレイにおける発生音や声による解説等を撮像データファイル41に加えることができる。
【0026】
また、撮像端末11は、図2のように、撮像データファイル41に実演者を識別可能なID情報と関連付けた固有のファイル名を付与するか、又はID情報と直接に関連付けて、誰の撮像データであるのかを判別できる撮像特定機能を有する。ここで、「ID情報と関連付けた」とは、ID情報を直接ファイル名の一部として使うことの他に、ID情報を暗号化して名付けたり、変換用のデータテーブルを用いてID情報と対応させた記号や番号の羅列を名付けたり、又はデータベースを参照してファイルからID情報を呼び出したりするといったように、撮像を行った実演者のID情報を呼び出せるようにすることをいう。また、撮像固有情報ファイル42にも、撮像データファイル41と同様の方法によりファイル名を付与したり、データベースで関連付けたりすると、誰の撮像データの情報であるか判別可能になり、撮像固有情報ファイル42と撮像データファイル41との間に関連性を持たせて管理し易くなる。さらに、撮像固有情報ファイル42の内容としてもID情報を記録しておくとより管理しやすくなる。
【0027】
なお、例えば実演者が体験生である場合など、実演者にID情報が未だ付与されていない場合には、撮像端末11がID情報を仮に発行して撮像データファイル41を作成し、その実演者が後ほどそのID情報を正式に付与され得るようにするとよい。
【0028】
ID情報の付与は、図2のように、実演者にID情報を記録したIDカード26を発行することにより行われる。撮像端末11はIDカード26の読み取り装置22を有する。この読み取り装置22はIDカード26に対する書き込み機能を有していると、IDカード26に個々の実演者の詳細な利用履歴や利用回数等を記録でき、個々の実演者を管理しやすくなる。IDカード26としては、磁気カードやICカードなどを用いることが出来る。またもちろん、必ずしもカード型である必要はなく、ID発信可能な携帯端末を利用してID情報を通信するようにしてもよい。
【0029】
IDカード26に記録する情報としては、上記のID情報の他に、残存利用回数や、プリペイドした残金、使用履歴、IDカード26を発行したサービス提供者の識別情報等が挙げられる。ただし、残金や残存利用回数などは、IDカード26に記録するのではなく、サービス提供業者が管理する顧客管理サーバに記録して、利用するごとに利用内容を更新するようにしてもよい。
【0030】
なお、撮像端末11は、上記のIDカード26等によりID情報を確認して、利用限度を超えていたりした場合は、撮像処理を中断するようになっている。さらに撮像端末11が、IDカード26に入金情報を記録できるものであると、記録された残金の不足で撮像できなくなることを回避できる。
【0031】
上記の実演者に付与されたID情報は、その実演者の個人情報と関連付けてフォームチェック装置14内の管理データベース16に登録される。この管理データベース16は、後述する情報蓄積手段12に含まれていてもよいし、個別のハードウェアであってもよい。
【0032】
撮像端末11は、ID情報を確認する場合には、IDカード26を読み取り、ネットワーク10を介し、そのID情報が管理データベース16に登録されているか否かを判断する。もちろん、キーボードやタッチパネルのようなID情報の入力装置を設けても良いし、あらかじめ管理データベース16に登録された実演者の指紋や掌紋、虹彩等をセンサーで読み取る装置を設けて、各々の実演者を判別し、その管理データベース16からID情報を呼び出すようにしてもよい。
【0033】
撮像固有情報ファイル42には、ID情報との関連付け情報、撮像を行った日時、場所、角度、フォーム実践時の計測数値、フォームの解析数値、その他撮像データファイル41に付随して作成される情報を含む。この撮像固有情報ファイル42の情報は、撮像データファイル41を検索する際のキーとして用いることもできる。例えば、フォーム実践時の計測数値をキーとすれば、一定の計測数値以上を示したときの撮像データファイル41を抽出し、どのようなフォームの時に計測数値が高いかを知る。この計測数値としては、例えば、ゴルフのスイングスピードや推定飛距離等が挙げられる。さらに、撮像した実演者がコメント等を書き加えられるものであってもよい。
【0034】
なお、撮像固有情報ファイル42は、撮像データファイル41の一部に含めることも出来る。
【0035】
カメラ部21が、複数台のカメラからなる場合、カメラごとに作成される撮像データファイル41及び撮像固有情報ファイル42は、撮像方向又は撮像角度情報を有し、同時に撮像したファイルとの間で互いに関連付けがされる。
【0036】
なお、撮像した影像を連続して撮像データファイル41として保存していると、保存のための容量を無駄にしてしまうので、撮像データの中から、実演者のフォームとして必要な部分又は必要な瞬間の撮像データのみを保存するようにすることもできる。例えば、実演者の一連のフォームのうち、ビデオカメラであればトリガーとなる動作点の前、後、又は前後の一定時間をそのスポーツのフォームに適した時間だけ抜き出すようにする。
【0037】
具体的には、ゴルフのスイングフォームを撮像した場合、ゴルフクラブが設置した赤外線センサーの光線を遮った瞬間をトリガーとして、その前後を抜き出す方法がある。ゴルフクラブを振り上げて静止した瞬間の後数秒間や、振り切った瞬間の前数秒間、ボールにヒットする瞬間の前後数秒などである。また、ボールを支えるティーを、衝撃を感知するセンサーに繋いで、ヒットする瞬間をトリガーとして、その前後数秒を抜き出す方法もある。さらに、ボールを打った打球音をマイクで検出してトリガーとして、その前後数秒を抜き出す方法もある。
【0038】
上記撮像端末11は、図1及び図2に示すように、作成した撮像データファイル41のファイル形式を変換するエンコーダ23を備えていてもよい。特に、撮像データファイル41が動画である場合はファイルサイズが大きくなりやすく、無圧縮のままでは扱いにくいため、よりファイルサイズの小さいファイル形式に変換する。変換する形式は、例えばmpeg2や、mpeg4等の、無圧縮ビデオファイルよりもファイルサイズを圧縮でき、フォームを確認できるだけの高画質を維持でき、かつ再生ソフトが一般的に流通しているファイル形式である。
【0039】
なお、エンコーダ23の実現は、ソフトウェアとして変換機能を実行するものでもよい。また、撮像端末11には、エンコード処理に際し、一時的にファイルを保存したりするために、ローカルハードディスク24を備えている。
【0040】
さらに、撮像端末11には、撮像データファイル41を情報蓄積手段12に保存する必要があるか否かを実演者に確認させるため、撮像データファイル41を再生するディスプレイなどの再生装置と、保存するか否かの意思を入力するキーボードなどの入力装置を有する。実演者が撮像した撮像データファイル41をその再生装置で確認した上で、その撮像データファイル41を保存しないことを選択した場合には、撮像端末11内のローカルハードディスク24からファイルを消去して情報蓄積手段12に送信しないこととなる。例えば、明らかなミスプレイで保存する必要が無い影像を撮像した場合に、送信前に消去すると、その後の必要のない処理を省くことができる。
【0041】
一方で、撮像端末11は、撮像端末11と情報蓄積手段12とが、インターネットのような公共回線であるネットワーク10を介して繋がる場合には、それぞれをルータ25及びルータ31を介してネットワーク10に接続し、バーチャルプライベートネットワークを構築して、ネットワーク10からの認証のないアクセスを制限する。なお、回線で繋がるとは、有線で繋がっている状況のみではなく、無線で通信を送受信可能な状況をも含むものとする。
【0042】
撮像端末11は、作成した撮像データファイル41及び撮像固有情報ファイル42を、保存管理する情報蓄積手段12に送信する機能を有する。撮像端末11と情報蓄積手段12とが、専用の電気通信回線で直接に繋がる場合はそのまま送信するとよい。
【0043】
情報蓄積手段12は、撮像端末11から送信された撮像データファイル41を外部に対し非公開の状態で格納するファイル管理機能を有する。ここで外部とは、フォームチェック装置14以外の意味である。外部に対して非公開であるとは、フォームチェック装置14以外にアクセスを認めないだけでなく、ファイルの存在をも知られないようにすることを言う。
【0044】
また、情報蓄積手段12は、撮像データファイル41を格納する際に、撮像固有情報ファイル42とともに格納し、これらを互いに関連付ける。互いに関連付けるとは、一方からもう一方を呼び出し可能とすることをいい、例えば、撮像固有情報ファイル42に撮像した日付やID情報が含まれていた場合、その日付とID情報を調べることにより撮像データファイル41を捜索できるようにしたり、ファイル名に固有の共通部分を持たせたりすることをいう。
【0045】
ところで、撮像端末11で作成した撮像データファイル41及び撮像固有情報ファイル42は、撮像を行った実演者のID情報によってアクセス権限を制限して情報蓄積手段12に保存する必要があり(後述)、ファイルを保存する格納部48内にそのID情報ごとに設けられた個別格納部であるホームディレクトリ49に振り分ける具体的な方法の例を、図2を用いて説明する。
【0046】
撮像端末11では、撮像データファイル41と撮像固有情報ファイル42のファイル名を、ID情報と関連付けられて、どの実演者のファイルであるかを識別可能とし、また、撮像された日時を判別可能であるように作成する。例えば、撮像データファイル41のファイル名は、撮像者である実演者のID情報そのもの又はID情報に関連付けられた文字列であるアルファベットや数字、八桁からなる撮影日の西暦年月日、六桁からなる撮影した時分秒、撮影した角度を合わせたものとし、それにファイルの形式を示す拡張子を付したものとする。ここで撮影角度は、実演者の正面からのものをf、右側からのものをr、左側からのものをl、背面からのものをbとする。例えば、ID情報がA00003であり、撮影日が2004年10月31日であり、撮影時が12時34分50秒であり、正面から撮影したものである撮像データファイル41をmpeg圧縮したファイルのファイル名は、A0000320041031123450f.mpgとなる。ここで「mpg」は、mpeg圧縮された動画ファイルの一般的な拡張子である。また、撮像固有情報ファイル42は、撮影した角度の代わりに付記事項を設ける。例えば、上記の撮像データファイル41に付随する撮像固有情報ファイル42のファイル名は、A0000320041031123450xxxxxx.txtとなる。ここで、xxxxxxは任意の情報であり、「txt」はテキストファイルの一般的な拡張子である。
【0047】
これらのファイルを、撮像端末11から情報蓄積手段12に送信して保存する際、まず、情報蓄積手段12内の一時記憶部43に保存する。次に、この一時記憶部43に保存されたファイルのファイル名に関連付けられたID情報を識別する。そのID情報に対応するホームディレクトリ49が情報蓄積手段12の格納部48内に既に存在していれば、それらのファイルは格納部48内のそのID情報に対応するホームディレクトリ49に振り分ける。そのID情報に対応するホームディレクトリ49が格納部48内に存在していなければ、ID情報に対応するホームディレクトリ49を新たに作成し、そのホームディレクトリ49にそれらのファイルを振り分ける。なお、ホームディレクトリ49は、格納部48内においてファイルをID情報ごとに格納する場所である。
【0048】
また、情報蓄積手段12では、この振り分けの際に、撮像データファイル41に対してファイル形式の変換を行って、後述する操作端末15に提供される画面の描画機能に対応した形式の映像データファイル47を作成する。ここで画面の描画機能に対応した形式としては、直線や曲線を点の集合ではなくベクトル情報として扱え、かつ、操作端末15で再生する際に負担の小さい動画形式が好ましく、例えば、一般的に拡張子「swf」で表されるMacromedia社のFLASH形式が挙げられる。
【0049】
ファイル形式の変換を伴うファイルの振り分け機能を説明する。なお、ID情報(図2中、「A00003」)を有する実演者が、撮像端末11により撮像しており、撮像データファイル41と撮像固有情報ファイル42が作成され、情報蓄積手段12内の一時記憶部43に保存された状態にある。
【0050】
情報蓄積手段12は、一時記憶部43に保存されたファイルのうち、撮像データファイル41を情報蓄積手段12内の形式変換部44に、撮像固有情報ファイル42を情報蓄積手段12内の振り分け部46にそれぞれ移動する。この移動は、先にコピーを行った後で一時記憶部43に残ったファイルを消去することにより実現される。上記形式変換部44に送られた撮像データファイル41は、情報蓄積手段12内のエンコードソフト45、又はフォームチェックサーバ13により、上記のFLASH形式に変換し、映像データファイル47を新たに作成する。変換後、元の撮像データファイル41と新たに作成された映像データファイル47とを、振り分け部46に移し、ファイル名に関連付けられたID情報(図中「A00001」、「A00002」、「A00003」、「B00001」、「B00002」、「X00001」等。ここでは「A00003」。)ごとのホームディレクトリ49へ振り分ける。
【0051】
上記の振り分け部46や形式変換部44にファイルが移った際の処理は、常時行うものではなく、普段は情報蓄積手段12かフォームチェックサーバ13によって監視され、それらの場所にファイルが移されてきた際に処理を行うようになっている。これにより、全体の処理を軽減可能である。
【0052】
また、一時記憶部43に、例えば、操作端末15からデータを送信する等の方法により、撮像データファイル41と撮像固有情報ファイル42以外のファイルが送られてきた場合には、形式変換部44には送らずに振り分け部46に移動させて、同様のファイル名を用いた識別により振り分けるようにするとよい。このため、撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42以外のファイルも、ファイル名にはID情報、又はID情報に関連付けられた固有の文字列を付すとよい。
【0053】
なお、このような振り分けではなく、データベースである情報蓄積手段12にあらかじめ記録し、その属性を変換するものであってもよい。例えば、物理的にファイルをディレクトリに振り分ける手段に限定することなく、データベースを構築し、新規にファイルが追加された場合には、このデータベースにレコードを追加し、ファイルが変更された場合はデータベースレコードを変更する等といった形でファイルが物理的に振り分けられた場合と同様に、ファイル名とID情報を関連付ける操作をするようにしてもよい。
【0054】
次に、フォームチェック装置14を構成する上記のフォームチェックサーバ13について説明する。このフォームチェックサーバ13とは、情報蓄積手段12及び操作端末15との間で撮像データファイル41等のファイルやID情報を送受信し、また、この発明を用いる実演者をID情報ごとに管理するものである。情報蓄積手段12と一体に設けられていてもよいし、通信回線を介した別個のものであってもよい。
【0055】
フォームチェックサーバ13の機能について、図3を用いて説明する。まずフォームチェックサーバ13は、操作端末15から送信された実演者のID情報に対応するログイン情報(A)により、操作端末15を認証するログイン認証機能(B)を有する。フォームチェックサーバ13は、操作端末15からID情報を送信されると、そのID情報が登録されているID情報であるか、また登録されていればどのような機能を利用できる状態にあるかを、上記管理データベース16の記録を参照した上で、認証可能であればその操作端末15を認証し、ログイン状態にする。認証された操作端末15は、定められた範囲で、フォームチェックサーバ13より機能の提供を受ける。また、認証後、ログアウトを行った操作端末15は、再び認証されるまでフォームチェックサーバ13の機能を利用できない。長時間ログイン状態のままである操作端末15は、フォームチェックサーバ13により強制的にログアウトさせるようにしてもよい。
【0056】
なお、操作端末15は、ログイン情報に対する入力機能を有していることが必要である。ここで入力機能とは、キーボードなどによるテキスト入力機能だけではなく、IDカード26の読み取り装置22によってID情報を読み取り入力するものも含む。
【0057】
一方、操作端末15から送信された(A)というID情報が登録されていなければ、そのID情報により認証を試みた操作端末15からのアクセスを拒否する。なお、仮のID情報として仮登録を行えるようにし、機能の一部を利用させるようにしてもよい。また、ログイン認証することなく、限定的に機能の一部を利用できるようにしてもよい。
【0058】
なお、操作端末15は、上記のようなログイン認証をフォームチェックサーバ13に対して送信するログイン送信機能を有している必要がある。このログイン認証は、上記の撮像端末11が実演者のID情報を得る方法と同様の手段を用いることができる。
【0059】
フォームチェックサーバ13は、情報蓄積手段12に格納されたファイルへのアクセス権限を管理する機能を有する。情報蓄積手段12に格納された撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42等は、各々の実演者の個人情報でもあるため、無制限なアクセスを許可することは好ましく無い。一方で、格納されたこれらのファイルを、実演者が他者に閲覧させたり編集させたりしたいと望む場合もある。
【0060】
そこで、フォームチェックサーバ13には、ログイン認証を行った実演者が、自身のID情報に関連付けられたファイルへのアクセス権限を、他者のID情報ごとに設定できるアクセス制限機能(C)が設けられている。ここで、実演者は自身のID情報でログイン認証を行った操作端末15からフォームチェック装置14に対して設定を行う。
【0061】
このアクセス制限機能(C)には、例えば、ホームディレクトリ機能を用いて、実演者がアクセスすると各々の実演者ごとのホームディレクトリ49内へのファイルの読み書きができるようにディレクトリ単位でアクセス権限を付与する処理を実行するものや、データベースを用いて、各々のファイルをデータベースにレコードする際に個別に設定することにより各々のファイル単位でアクセス権限を付与するもの、インターネットサーバにファイルを登録(アップロード)してそのファイルにアクセスするためのURLを生成させ、そのURLを知得した限られた者のみアクセスを可能にすることでアクセス権限を付与するものなどがある。なお、ディレクトリとは、ファイルを分類するために情報蓄積手段12の格納部48中を階層化可能に区切った記憶領域である。
【0062】
上記のホームディレクトリ機能とは、ユーザごとのディレクトリを設定し、ユーザがサーバにアクセスした際に、ルートディレクトリではなく、そのディレクトリ内で作業を行うこととする機能をいう。このユーザごとに設定されたホームディレクトリ49の中には、さらに細かい子ディレクトリが設けられ、各々アクセス権限を個別に設定することが出来る。この子ディレクトリとしては、例えば、個々の撮像固有情報ファイル42や後述する指導情報のファイル、撮像された月ごとに格納されたファイル群などのように、ディレクトリ中で任意に設定された各ファイルやファイル群を設定することができる。具体的には、Windows(登録商標)に実装されているホームディレクトリ機能により実現できる。
【0063】
上記のデータベースを用いる際のデータベースは、上記の管理データベース16を拡張し、ユーザである実演者のID情報ごとに、どのファイル、どのディレクトリにアクセス可能であるかを記録し、その記録に基づいてアクセスが可能であるか否かをチェックすることでアクセス権限を付与するものである。
【0064】
さらに、ホームディレクトリ機能やデータベースを用いる方法では、上記の設定の方法を基本として、実演者自身が他の一部の実演者のID情報を選択し、そのID情報により認証された操作端末15から、自身の撮像データファイル41にアクセスできるように、ホームディレクトリ49内の子ディレクトリ単位や、個々のファイル単位でアクセス権限を変更できる。なお、選択する際に、実演者が他の一部の実演者のID情報を選択するのではなく、その他の実演者が設定したニックネームを選択することによりアクセス権限を変更できるようにすると、相互に機密性を高めることができる。URLを生成させる方法では、ファイルにアクセスすることを可能とさせたい他の一部の実演者にURLを連絡することでアクセス権限を変更できる。なお、そのURLが上記ID情報と無関係なものであると、他人が偶然にアクセスできる可能性を低下させることができ、秘匿性が増す。また、ID情報と無関係なものでも、実演者自身や他の実演者のニックネームをURLに使用すると、教えるべき相手にはわかりやすくできる。
【0065】
もちろん、操作端末15は、入力機能として、実演者が指示や選択を入力し、その内容をフォームチェックサーバ13に送信する権限変更送信機能を有する。
【0066】
また、フォームチェックサーバ13は、認証した操作端末15に対して、操作端末15を操作している実演者が、自身にアクセス権限が認められたファイルを確認するための情報を送信し、操作端末15にそれらのファイルを識別可能に提示させるファイル情報表示機能(G)を有する。ここで、「アクセス権限が認められた」とは、実演者が自分の有するID情報を操作端末15からフォームチェックサーバ13に送信して認証された上で、そのID情報によるアクセスが許可されたことをいう。
【0067】
また、「識別可能に提示する」とは、撮像データファイル41のファイル名を一覧させる他に、撮像データファイル41の一部を画像として一覧させたり、撮像固有情報ファイル42に含まれる撮影日や撮影場所のデータを一覧させたりすることも含むものである。このように閲覧できるファイルの一覧を提示されることにより、実演者は自身が閲覧したいファイルを選択して、再生させたり、編集したりすることができる。さらに、撮像データファイル41以外にも、撮像固有情報ファイル42や、その他のファイルを取り出せるようにしてもよい。
【0068】
フォームチェックサーバ13は、上記のファイルの情報を提示した操作端末15からの要求(D)に応じて撮像データファイル41を操作端末15に送信する要求撮像送信機能(H)を有する。このように操作端末15に送信することによって、実演者は自身の操作する操作端末15に撮像データファイル41等を保存しておく必要なく、必要なときに呼び出して再生させることができる。
【0069】
フォームチェックサーバ13は、操作端末15に、撮像データファイル41及び撮像固有情報ファイル42を編集する機能を提供するチェック補助機能(J)を有する。ここで編集とは、撮像データファイル41のような映像の一部をカットするだけでなく、映像上に見た際の補助となる基準線や位置囲み、あるいは軌跡の線などを書き込んだりする描画機能や、撮像固有情報ファイル42に、撮像データファイル41を解析した数値などを追記したりすることも含む。
【0070】
これにより、操作端末15は、フォームチェックサーバ13から機能を与えられることで、撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42の編集が可能となる。そのため、操作端末15にあらかじめ専用ソフトをインストールしておくといった手間が不要になる。また、例えば携帯電話のように機能の制限された携帯端末を、操作端末15として用い易くなり、いつでもどこでもフォームを確認し、また映像を見ることが出来るようになる。
【0071】
なお、映像に上記の基準線や位置囲み、あるいは軌跡の線などを書き込む上記の描画機能を利用したり、携帯端末で映像を再生させたりするのは、撮像データファイル41の通常の形式では難しい場合がある。そのため撮像データファイル41を情報蓄積手段12に保存する際に、上記の作業を容易にできるファイル形式に変換した映像データファイル47を別に作成して保存しておくとよい。このようなファイル形式としては、例えばMacromedia社のFLASH形式が挙げられる。このような映像データファイル47は、上記の描画機能を用いる際に、撮像データファイル41の代わりとして用いることができる。
【0072】
フォームチェック装置14は、上記のチェック補助機能によって提供された上記描画機能で描画、編集することにより作成された描画処理情報を、これらの編集や描画を行う前の、元の撮像データファイル41又は上記映像データファイル47と関連付けて記録するチェック情報記録機能(K)を有する。撮像データファイル41を編集及び描画した描画処理情報を、元の撮像データファイル41又は上記映像データファイル47と関連付けることなく保存しておくと、編集や描画をする前の元の姿を参照することが難しくなったり、大本の撮像者がわからなくなってしまったり、一度編集及び描画されたファイルが存在するにもかかわらず同様の処理をして新たなファイルを作成してしまったりする可能性がある。このため、上記描画処理情報と撮像データファイル41又は上記映像データファイル47とを、互いに参照できるようにしておくとよい。
【0073】
フォームチェック装置14は、このように保存された描画処理情報を、描画対象である元の撮像データファイル41又は上記映像データファイル47とともに、操作端末15に送信するチェック情報提供機能(I)を有する。これらを同時に画面に出力することにより、元のフォームと解析した結果とを並べて検討することができる。
【0074】
フォームチェック装置14には、実演者が撮像した撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42以外にも、実演者が参照する参考映像ファイルを格納しておき、この参考映像ファイルを、実演者が情報蓄積手段12にアクセスすることによって、操作端末15に出力させる参考映像提供機能(L)を有すると好ましい。この参考映像ファイルは、サービス提供業者が用意する映像をいう。上級者のフォーム映像を実演者が閲覧することで、自分の撮像データファイル41に記録されたフォームと比較して、自分のフォームをより良くする参考とすることができる。また上記サービス提供業者は、参考映像ファイルとしてそのスポーツにおいて著名な選手を選び、その映像を提供することで、実演者をより満足させることができ、他のサービス提供業者との差別化を図ることが出来る。
【0075】
上記の参考映像ファイルを、サービス提供業者が用意する方法としては、例えば、レッスンや講義を行う指導者が実演者として撮像端末11によりフォームを撮像して、撮像データファイル41のアクセス権限とは異なる参考映像ファイル用のアクセス権限を付与してフォームチェック装置14に格納する方法や、撮像端末11とは別のビデオカメラ、テレビカメラなどで撮影した指導者やその他の上級者のフォーム映像を、ケーブルを用いてそのままサーバに取り込んだり、DVD等に記録してそのDVDをサーバに入れて読み出し、参考映像ファイル用のアクセス権限を付与してサーバ内に格納したりする方法などがある。
【0076】
またこの他に、上記参考映像ファイルとして、例えば、上記スポーツに関するスポーツ用品の紹介広告や、撮像端末11を設置した練習場の紹介広告等といった、サービス提供者が契約により送信を希望する映像を格納し、実演者に提供してもよい。これにより、サービス提供業者は広告収入を得たり、自己の関連スポーツ事業の広告を行ったりすることが出来る。
【0077】
主に上記の指導者が使う機能として、フォームチェック装置14は、操作端末15に対して、指導情報を入力させる指導情報入力機能(E)を提供し、その操作端末15により入力された指導情報を情報蓄積手段12に格納する機能(F)を有する。より具体的には、認証した操作端末15に対して、実演者の撮像データファイル41に関する内容を含むアドバイスなどの指導情報を、テキスト入力させる上記指導情報入力手段を提供するようになっている。この指導情報入力手段により、その操作端末15から入力された指導情報は、撮像データファイル41に関連付けて、情報蓄積手段12に格納される。指導情報を格納する際には、その指導情報と関連付けられた撮像データファイル41とアクセス権限を共通化させ、撮像データファイル41へのアクセス権限を認証により有する操作端末15からの要求に応じてアクセス可能として(D)、その操作端末15に出力させる(H)ようになっている。
【0078】
上記の指導者がこのような認証を行うためには、指導者が自己のID情報を予め管理データベース16に登録しておき、操作端末15から、登録されたID情報とパスワードを使って認証し、指導者としての機能を用いることが出来るようにする。また、予め指導者としてIDカード26を付与されており、読み取り装置22を有する端末にIDカード26を挿入することで指導者として認証できるようにしてもよい。指導者として登録すると、指導を担当する実演者のホームディレクトリ49やファイルへのアクセスが可能となり、それらのファイルを閲覧し、意見や指導情報を書き加えたりするアクセス権限を有することになる。
【0079】
上記の指導者が書き加える上記の指導情報としては、撮像データファイル41のフォームに関する指導の他、撮像データファイル41とは直接関係なく、専門の指導者による多くの実演者が利用できる通信教育の授業内容、各々の実演者に対する個別のアドバイスとなるテキストや音声、実演者が撮像した撮像データファイル41を上記チェック補助機能やチェック情報記録機能により編集してコメント等を加えたり基準線などを描画したりした映像等を利用することも出来る。
【0080】
また、指導者が使う機能として、フォームチェックサーバ13は、指導情報として、テキストデータだけではなく、音声データが扱えるようになっている。これにより、指導の内容を理解しやすく、また口頭での指導をそのまま再生することができる。具体的には、フォームチェックサーバ13が上記指導情報入力手段として録音ソフトを提供するようになっており、操作端末15が物理的な音声入力装置を備えている。
【0081】
なお、撮像端末11と操作端末15とを一体のものとした場合、実演者のフォームを撮像し、撮像データファイル41を作成したその場の端末で、そのフォームについて実演者に直接口頭で指導した内容を録音、記録して上記の指導情報として入力し、その撮像データファイル41と関連付けて格納するものであると、フォームと指導内容とを同時に呼び出すことができる。この場合、撮像端末11のカメラ部21が録音装置を有しており、その録音装置を用いて上記指導者の発言を録音するものであるとよい。
【0082】
フォームチェックサーバ13は、操作端末15にテキスト、音声又はそれらの両方を記録する入力機能(N)を提供し、情報蓄積手段12に実演者が操作端末15から記録した上記のテキスト、音声、又はそれらの両方を格納させ、その実演者がアクセスを許可した他のID情報により認証された操作端末15からそのテキスト、音声又はそれらの両方を閲覧可能とした、意見交換機能(M)を有していてもよい。ここで、操作端末15がキーボードを有さない場合にテキスト文章を記録するのであれば、フォームチェックサーバ13は入力機能として文字入力ソフトを操作端末15に提供する。
【0083】
このテキストを他のID情報により認証した実演者が見る場合、フォームチェックサーバ13は、操作端末15の有するディスプレイに表示させる。一方、音声を記録する場合、フォームチェックサーバ13は操作端末15に録音ソフトを提供する。もちろん操作端末15は音声入力機能を有する必要があり、音声を再生する場合は、操作端末15が音声出力機能を有する必要がある。
【0084】
この意見交換機能(M)により、実演者が選んだ他の実演者にメッセージを送ることができる。また、上記のアクセス制限機能(D)により相手の実演者がアクセスを許可した撮像データファイル41について、コメント、意見、指導を加えることができる。これにより、実演者同士が、互いのフォームを撮影した撮像データファイル41を参照し合い、お互いにそれぞれのフォームを批評し、改善点を指摘したりすることができる。
【0085】
さらに、記録したテキストや音声へのアクセスを許可する他のID情報を複数にすることで、グループ内での雑談、意見交流、会合や競技会の打ち合わせなどを行うことができ、その許可された複数のID情報を有する実演者同士の結束を高め、引いてはサービスの利用を促進させることができる。
【0086】
これらの他に、図2に記載のグループA,グループBのように、実演者をグループとしてまとめたグループ管理機能をフォームチェック装置14に持たせることもできる。具体的には、1つのグループ単位でアクセス権限を認めることを可能とし、指導情報を共有させる。
【0087】
また、実演者の中で、自身の撮像固有情報ファイル42の一部又は全部を公開している者の記録を比較し、順位を付けて実演者が見られるようにすると、実演者同士の向上心を高めることができる。
【0088】
また上記したように、操作端末15は、上記ログイン送信機能や上記権限変更送信機能を用いたり、撮像データファイル41等の映像の編集や描画を行ったり、フォームチェック装置14から提示された撮像データファイル41や、上記指導情報を選択したりするための入力機能を有する。この入力機能としては、キーボード、テンキー、タッチパネル、マウス、トラックボール等が挙げられる。
【0089】
さらに、フォームチェック装置14は、操作端末15に、撮像データファイル41や上記描画処理情報、上記指導情報である映像ファイルを複数並べて同時に再生できる機能を提供できるものであるとより好ましい。二つの映像を同時に再生させることで、例えば、撮像データファイル41や上記描画処理情報を並べて再生し比較することで、過去の自分のフォームと現在の自分のフォームとを比較したり、上級者である実演者や上記指導者から示された映像と自分のフォームとを比較したりして、自身のフォームの改善すべき点をより明確に見出す助けとすることができる。また、一つのフォームを複数の方向から撮像した場合に、二つの方向から撮像した映像を同時に再生できると、フォームの立体的把握を助けることができる。また、三つ以上の映像を並べると、より多面的にフォームを把握したり、同時に複数の映像と比較したりすることもできる。
【0090】
このようなシステムを構成するフォームチェック装置14は、複数のサービス提供業者ごとに、利用可能な機能が別個に設定される。上記のIDカード26や撮像端末11、操作端末15はサービス提供業者間で共有し、映像の保存と再生に関する部分を複数の業者が提供すると、使用料金や指導者の質、用意した指導情報の内容などによって各サービス提供業者が競い合い、実演者はその中から最適と思うサービス提供業者を選ぶことができる。例えば、上記指導情報として、そのスポーツの著名なプロの映像を用意したりすると、実演者にとってそのサービス提供業者を選択する魅力の一つとなりうる。
【0091】
このように、複数のサービス提供業者が存在し、上記のフォームチェック装置14がそのサービス提供業者ごとに利用可能なように設定されている場合は、撮像端末11から送信された撮像データファイル41は、認証されたIDカード26などのID情報に予め指定されたフォームチェック装置14の情報蓄積手段12中に設定されたサービス提供業者ごとの格納部48のホームディレクトリ49に格納する。ここで、予め指定された、とは、そのID情報を発行したサービス提供業者が提供するフォームチェック装置14に自動的に指定されたりする場合や、実演者が新たなサービス提供業者と契約して、自ら指定する場合などが挙げられる。
【0092】
一方、上記のIDカード26や撮像端末11、操作端末15をインフラとして設置すれば、新規参入しようとするサービス提供業者は、フォームチェック装置14の設置業者(管理者)からIDカード26や端末の利用権を取得することで、フォームチェック装置14に必要なファイルや設定を用意するだけで事業に参入することができ、参入後も端末の管理などの手間を省くことが出来る。
【0093】
また、別の方法として、スポーツ練習場、競技場などを運営する業者が、フォームチェック装置14の管理を他者に委託し、IDカード26の発行と端末を設置する場の提供により収益を上げることもできる。
【0094】
上記の映像データファイル47について描画を行う描画処理情報の具体的描画方法の例について、図4を用いて説明する。
フォームチェックサーバ13から操作端末15に提供された、又は操作端末15があらかじめ有している画面出力機能である動画の再生プレイヤーソフトの画面上(a)に、仮想的な透明キャンバスを重ねる(b)。この透明キャンバス上に描画を行うことにより、元の撮像データファイル41そのものの情報を損なうことなく、撮像データファイル41の映像に手を加えることが可能となる。また、透明キャンバスを複数重ねて(c)、複数の線を描画することもできる。これにより、より柔軟な描画が可能になる。
【0095】
また、描画に失敗した場合は描画がされた透明キャンバスを削除することにより元の状態に戻すことができる(c→b、b→a)。そのためこの機能を実現する再生プレイヤーには、この透明キャンバスを削除する機能を持たせる。透明キャンバスのうちの選択された一枚を削除する場合と、全ての透明キャンバスを削除して元の撮像データファイル41の映像に戻す場合とがあり、両方の機能を有する。
【0096】
この再生プレイヤーソフトの画面上で描画を効率よく行うために、再生させる映像データファイル47はベクトル情報としての線や円、曲線を扱うことが出来る上記のFLASH形式とする。画面上で描画すべき図形の種類を選び、画面上の描画の始点をマウスなどのポインティングデバイスを用いて指定して、座標情報を記録する。また同様に終点を、ポインティングデバイスを用いて指定して、この始点と終点の間に線を引いたり、始点を中心とする円を描いたり、さらに一点を指定して曲線を描いたりする。
【0097】
これにより、上記のスイングプレーンやスウェイの他、ゴルフクラブヘッドの軌跡をなぞったりして、線を保存し、その線に別の映像を重ねて再生させることで比較を容易にすることができる。この他、再生プレイヤーは早送りや巻き戻しの他、コマ送りや一時停止機能を備えて、フォームの各点における比較を容易にする。
【実施例1】
【0098】
以下、図5に基づき、この発明にかかるシステムを用いてゴルフのスイングフォームチェックサービスを提供する際の処理の流れを、実演者であるゴルファーと、サービス提供業者である管理者と事業者との間に関して説明する。ここで、管理者とはサーバの処理やメンテナンス、IDカード26の作成などを行う設備の管理や運用を行う者であり、事業者とはゴルフ場やゴルフ練習場、ゴルフショップ、ゴルフ学校などを運営しており、それらの場所に撮影端末を導入している者をいう。
【0099】
まず、ゴルファーが会員として未登録な状態で利用する場合の例について説明する。管理者はIDカード26を作成し(101)、そのIDカード26に記録するID情報を、フォームチェック装置14中の管理データベース16に登録する(102)。このとき、管理者はそのIDカード26の初期状態でシステムを利用できる回数をあらかじめ決定しておくと、無制限な利用を防ぐことができる。
【0100】
管理者は作成したIDカード26を事業者に配布する(103)。事業者は、受領した(104)IDカード26を、撮影を希望するゴルファーからの申し込み(105)に応じて発行する(106)。このとき、IDカード26を有償で発行するか無償で発行するかは任意である。無償で配布する場合には、システム利用回数に制限のあるIDカード26をゴルファーに発行してシステムを体験させるように使うことができる。有償で配布する場合には、支払う金額に応じて、発行するIDカード26のシステム利用回数を変えることもできる。
【0101】
IDカード26を受け取った(107)ゴルファーは、事業者が運営して撮像端末11を設置している場に赴き、受け取ったIDカード26を撮像端末11の読み取り装置22に挿入し(108)、撮像端末11で撮像できるようにして、スイングを行う(109)。撮像端末11は、撮像した映像から撮像データファイル41を作成するとともに(110)、IDカード26のID情報、撮像した日時、スイングを行った場所名とそれを提供した事業者名、撮像した角度の他、その場で併設されたスイングスピード計測器で計測されたスイングスピードと、推定飛距離を撮像固有情報ファイル42として作成し、これらのファイルを管理者の管理する情報蓄積手段12に送信して保存させる(111)。ここで、図1に記載のシステムのように、送信する前に映像の形式をエンコーダ23により変換してもよい。
【0102】
一回の撮像又は一回の保存により、システムを一回利用したこととなり、IDカード26に利用回数が制限されている場合は、その回数が一回減じられる。この処理はIDカード26に書き込んでもよいし、情報蓄積手段12にファイルを保存する際に、フォームチェックサーバ13がID情報ごとに記録している回数を内部処理して減じてもよい。
【0103】
撮像が終わったゴルファーは、続けて撮像を行っても良いし(109)、それで止めるのならばIDカード26を読み取り装置22から取り出して撮像を終了する。
【0104】
撮像後、ゴルファーは、事業者の設置している操作端末15か、又はゴルファー自身の所有するパソコンや携帯電話である操作端末15を用いて、管理者の運営するインターネット上にあるフォームチェック装置14のサーバにアクセスし(121)、ログインを行う(122)。なお、このサーバは、フォームチェックサーバ13そのものでもよいし、フォームチェックサーバ13とともにフォームチェック装置14を構成するWWWサーバとすることもできる。
【0105】
ゴルファーは、IDカード26に記録されたID情報及びパスワードを入力してログイン認証を行う。フォームチェックサーバ13は、ログイン認証を行い(123)、認証結果をフォームチェックサーバ13に送信し(124)、フォームチェックサーバ13は認証結果を表示する(125)。ID情報やパスワードが正しく無かったり、決められた利用回数を超過していたりしたら、ログインは失敗し(125)、ログイン認証を改めて行う(122)。
【0106】
ログイン認証するID情報とパスワードが正しく、また、決められた利用回数を過ぎていたりしなければログインが成功し(125)、ゴルファーはフォームチェック装置14を利用する(126)。フォームチェック装置14は、基本的な機能としては、操作端末15に、そのIDカード26をもって撮像された撮像データファイル41やそれに付随する撮像固有情報ファイル42を一覧として表示させるようデータを送信し(127)、ゴルファーはその中から閲覧したいファイルを選択して、フォームチェックサーバ13に送信する。
【0107】
ゴルファーがこのようにシステムを利用することにより、事業者はIDカード26を有償で配布することで収益をあげることができる。管理者はゴルファーの利用ログから(141)、撮像回数、閲覧回数、転送されたデータ量、又はこれらのうちの複数の要素に応じて、事業者に対して利用料を請求し(142、143)、料金を受け取る(144,145)ことでこのシステムをサービスとして運用できる。また、ゴルファーがこのシステムを更に利用しようとする場合に、毎回IDカード26の発行を申請したり、使用料を払ってIDカード26に入金するのではなく、そのIDカード26を会員登録して、口座からの自動引き落とし等より柔軟な使用ができるようにしてもよい(131,132)。
【0108】
次に、ゴルファーが会員として事業者の運営するゴルフ教室の生徒である場合の例について、図6を用いて説明する。
【0109】
まず、事業者は開講するゴルフ教室の受講生数に応じたIDカード26を作成するように、管理者に申請する(201)。管理者は指定された数のIDカード26を作成し(202,203)、そのIDカード26のID情報による認証でシステムが利用できるように設定する(204)。設定が終わったIDカード26を事業者に送り(205)、枚数や設定に応じて事業者に利用料を請求する(210〜213)。事業者は、管理者からIDカード26を受領し(206)、受講希望者からの受講申し込み(207)に対して、IDカード26を発行する(208、209)。また、事業者が恒常的にゴルフ教室を開いており、常時会員が増えている場合は、あらかじめ管理者に大量のIDカード26を注文して自己で保管し、必要に応じて新たな受講者に渡す(208)ようにしてもよい。
【0110】
ゴルフ教室において事業者と契約した指導者は、レッスンを行う(222)際に、受講生であるゴルファー(221)のIDカード26を各々の受講生がスイングを行う場に設けた撮像端末11の読み取り装置22に挿入し(223)、受講生のスイングを撮像する(224,225)。ここで、撮像端末11と一体化した操作端末15において、撮像した映像を分析して受講生に対する指導を行う(226,227)。この指導としては撮像データファイル41に関して口頭による解説を録音して付加する他、撮像データファイル41に頭の位置やスイングプレーン(ボールと両肩とを結んだ仮想平面)、スウェイ(身体の左右への傾斜)などを描いた基準線等を描画した新たな描画処理情報を作成し、受講生が自分のスイングフォームの映像をより明確に理解するようにすることも含む。元の撮像データファイル41と撮像固有情報ファイル42の他、音声を加えた映像や、描画処理情報等を、管理者の管理する情報蓄積手段12に送信して、保存する(228)。なお、この保存の際には、IDカード26の読み取りにより(223)、フォームチェックサーバ13へのログイン認証は済んでいる。なお、受講中は指導者がIDカード26を管理し、撮像又は受講の終了時にIDカード26を取り出して(230)、受講生に返却(231)するようにする。
【0111】
レッスン後に受講生は、事業者の用意した操作端末15又は自身の操作端末15から、IDカード26に記録されたID情報とパスワードにより、事業者のフォームチェック装置14のサーバにアクセスし(241)、自身のID情報によりログイン認証を行う(242、243)。IDが正しく、利用回数の制限にも抵触しなければ(244,245)、ログインが認証されて、システムを利用することができる(246)。利用の内容としては、まず、受講生は自分がアクセス権限を有する映像の一覧を操作端末15に送信させて、それらを閲覧することができる。ここで閲覧できるのは、撮像データファイル41と撮像固有情報ファイル42だけではなく、指導者の音声が付加された映像や、指導者が描画した描画処理情報も含み、受講生は授業の内容を反芻することができる。また、過去の撮影時期の異なる自分の撮像データファイル41同士を比較して同時再生し、自身の上達具合を見て実感することもできる。
【0112】
この他に、指導者が直接指導するだけでなく、指導カリキュラム情報を作成して、情報蓄積手段12に記録しておき、IDカード26で認証された受講生が操作端末15からその指導カリキュラムを見て練習する通信教育サービスを実現することもできる。この指導カリキュラム情報は音声と映像からなっていてもよいし、テキスト文章からなっていてもよい。テキスト文章からなる場合、携帯電話のような携帯端末からでも容易に閲覧することができるが、フォームチェックサーバ13は携帯電話でも文章を読みやすいように、携帯電話特有のHTMLに変換して送信する機能を有していてもよい。
【実施例2】
【0113】
アクセス制限機能について、表1に記載の人物がシステムを利用する場合を例とし、図7乃至図9を用いて説明する。個人A乃至Cはこの発明における実演者であり、指導者A及び指導者Bはこの発明における指導者であり、管理者はこの発明にかかるシステムの管理者である。初期状態において、実演者は他者の撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42にアクセスする権限を有さない。指導者は自身が担当する実演者の撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42を受信して閲覧し、手を加えて新たなファイルとして保存することはできるが、上書きや削除はできない。管理者は全ての人物のファイルにアクセスする権限を有し、閲覧だけではなく削除も可能である。また、全ての人物は、自分のファイルを閲覧だけでなく削除も可能なアクセス権限を有する。
【0114】
【表1】

【0115】
初期状態における、各々の人物のアクセス権限は表2のようになる。表中「×」はアクセスが不可能であることを意味する。また、「○○のファイル」とは、撮像データファイル41と撮像固有情報ファイル42とを意味し、さらに、映像データファイル47を含む。ただし、参考映像ファイルは含まない。ここで「アクセス可」とは呼び出して送信させ、それを加工し、意見を書き込むことまで可能であり、削除が不可であることを意味し、「フルアクセス可」とは送信、加工、意見の書き込みだけでなく、上書き、削除まで可能であることを意味する。
【0116】
【表2】

【0117】
各々の人物は、基本的に自分の撮像したファイルへのアクセスは可能であり、他者のファイルへの自由なアクセスは認められない。例えば、図7のように、個人Aが撮影し(301)、送信して(302)、保存した撮像データファイル41は(303)、個人Aがログイン認証(304〜307)して利用(308,309)するには制限が無い。しかし無関係な指導者Bがログイン認証して(311〜314)個人Aのファイルを利用しようとしても(315)、個人Aのファイルに対するアクセスは認められないために、拒否される(316)。
【0118】
このようなアクセス制限機能は、例えばWindows(登録商標)やUNIX(登録商標)におけるホームディレクトリ機能により実現される。このホームディレクトリ機能とは、各々のID情報に対応したホームディレクトリ49を作成し、ログインした際にはそのホームディレクトリ49の中でファイルの読み書きが可能となる。ただし、管理者以外の者は、他者のファイルは読むこともできないように初期設定がされる。
【0119】
これに加えて、管理データベース16に登録されたID情報を拡張したデータベースを構築し、初期設定において各個人が読み書き可能な自身のホームディレクトリ49以外に、各々のユーザIDでアクセスできるホームディレクトリ49又は子ディレクトリを個々に設定する。ここで、指導者AはスクールAで受講する個人Aの指導員であり、個人Aのファイルを閲覧する必要がある。そこで予め、フォームチェック装置14のデータベースに、個人Aのホームディレクトリ49にアクセスして個人Aの撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42を送信させるよう、個人AのID情報を設定しておく(300)。これにより、指導者Aがログイン認証して(331〜324)、個人Aのファイルの送信を要求すると(325)、データベースは指導者AのID情報の設定を確認してアクセスを許可し(326)、ファイルを送信する(327)。これで指導者Aは自分の教える個人Aのファイルを閲覧することができる(328)。
【0120】
ここで、他者に付与されるアクセス権限は、基本的にはフォームチェック装置14からの送信を可能とするのみであり、ファイルの削除は不可能である。ただし、指導者Aは個人Aを指導するために指導情報を提供することが必要である。これを実現するために、指導者Aは個人Aのホームディレクトリ49の中にある特定の子ディレクトリに対しては、送信させるのみではなく、書き込みを加えることができるように、データベースにおいて指導者AのID情報に個人A内の特定の子ディレクトリに書き込み可能と設定する。すなわち、指導者Aは個人Aのホームディレクトリ49にある撮像データファイル41を送信させることが許可されるが、さらに、これを編集した映像データファイル47を、個人Aのホームディレクトリ49内の特定の子ディレクトリに保存することも許可される。
【0121】
また、これらのような子ディレクトリごとに制限するのではなく、撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42を個々のファイルとして管理するデータベースと、管理データベース16とを、関係データベースとして構築し、個々のファイルのアクセス権限を設定する方法でも実現できる。この方法では撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42は、データベースにレコードとして記録される。
【0122】
なお、実演者や指導者のアクセス権限について子ディレクトリごとに管理する場合でも、関係データベースを構築してファイルごとに管理する場合でも、管理者は特別な設定をしなくても全てのファイルにアクセス可能である。この権限は、Windows(登録商標)においては「Administrator」権限、UNIXにおいては「root」権限を有することで実現される。
【0123】
このような初期設定は、さらに状況に応じてデータベースの設定により変更可能とする。ファイルごとにアクセス権を変更する例を、図8を用いて説明する。表2の状態にある通常の実演者である個人Bが撮影したファイルは(351〜353)、個人Bがログイン認証して(354〜357)見ることができる(358,359)が、この時点で無関係な指導者Bは、ログイン認証しても(361〜364)、そのファイルを見ることが出来ない(365,366)。
【0124】
次に、個人Bが、インターネットに公開されたフォームチェック装置14のwebサイトに設けられた申し込み画面から、自身のID情報と、指導を受けたい自身のフォームを撮影した撮像データファイル41を指定して、ネットレッスンを申し込む(371)。このとき、撮像データファイル41とともに、個人Bの悩みや相談事項を送信する(372)。この申し込みによりフォームチェック装置14が、データベースにある「指導者B」の「自身のID情報に対応するファイル以外にアクセスできるファイル」の項目中に、「個人B」のID情報と指定された撮像データファイル41のファイル名とを、ファイルへのアクセス可とする内容とともに記録する(373)。さらに、個人Bはネットレッスンを申し込んであるので、指導者Bは単にファイルを閲覧するだけではなく、特定のファイルに指導情報を書き込んだり、音声データを入力したりして、そのファイルへの批評を加えられるように、書き込みも可能であるようにデータベースに記録する(373)。
【0125】
これにより、指導者Bは個人Bのファイルを閲覧できるようになり、すなわち、個人Bの指導者としてアクセスできるようになる。このときのアクセス権限は表3のようになる。表3のようにアクセス権限を設定した後に、指導者Bが改めてログイン認証し(381〜384)、個人Bのホームディレクトリ49にある撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42の送信を要求する(385)と、データベースの設定に従い指導者Bによるアクセスが許可され(386)、ファイルが送信されて(387)、指導者Bは個人Bのファイルを閲覧することができる(388)。ここでのファイルは、個人Bが送信した悩みや相談事項を含む。指導者Bはこれらを閲覧して、悩みに対する返答や、撮像データファイル41を見て理解できた改善点、撮像データファイル41を編集した出来た映像データファイル47などを書き込む。
【0126】
【表3】

【0127】
さらに、知人友人にファイルを公開して、意見交換を可能にする例を、図9を用いて説明する。初期状態では、個人Aが撮影して保存した(401〜403)撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42は、個人Aがアクセスすることはできるのみで(404〜408)、図7の場合と同様に、無関係な人間はアクセスできない。
【0128】
そこで、個人Aが知人である個人Cに、自身の撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42を見てもらい、意見交換機能を利用できるようにするには、まず、個人Aは個人Cから、個人CのID情報を教えてもらう(421、422)。次に、個人Aはインターネットに公開されたフォームチェック装置14のwebサイトに設けられた申し込み画面から、アクセスを許可したい相手である個人CのID情報、個人Cにアクセスを許可したい撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42のファイル名、個人Cにアクセスを許可したい公開期間等の情報を送信する(423)。
【0129】
フォームチェック装置14は、データベースに記録した、「個人C」の「自身のID情報に対応するファイル以外にアクセスできるファイル」の項目中に、個人Aから指定されたファイルを閲覧可能として記録する。ただし、個人Cは閲覧した撮像データファイル41を編集して映像データファイル47として記録することはできず、個人Aの意見交換のためのファイルに記録できるのは、音声データやテキストデータからなる、コメント、意見、指導等のメッセージのみである。これにより、アクセス権限は表4のように変更される。
【0130】
【表4】

【0131】
さらに、個人Cが同様の手順により、個人AのID情報を教えてもらい、個人Cの撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42を個人Aがアクセスできるように設定すると、相互の情報公開と、情報交換とが可能になる。
【0132】
また、このように変更しても、閲覧できるのは指定した個人Cのみであり、無関係な個人Bがログイン認証して(431〜434)、個人Aのファイルを閲覧しようとしても(435)拒否される(436)。なお、これと同様に個人Cも、個人Aが個人Cに閲覧可能とするように設定していない個人Aのファイルを閲覧しようとすると、拒否されることになる。
【0133】
このような、限定された知人への公開は、データベースに記録する方法の他に、公開したい撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42をインターネット上に、ID情報から類推困難な文字列を有するURLを付与して、アップロード又は公開することでも実現可能である。個人Aは、撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42に付与されたURLを、公開したい相手である個人Cに伝えることで、個人Cにのみ自分のファイルを閲覧させることができる。この場合、個人CのID情報を教えてもらう必要がない。また、フォームチェック装置14が、そのURLを1ファイルごとに分けるものではなく、複数のファイルを追加登録可能なページとしておくと、個人AからURLを伝えられた個人Cは、自分が公開しても良い撮像データファイル41や撮像固有情報ファイル42をそのページにアップロードして、個人Aと共有することができる。
【0134】
なお、個人A乃至個人Cのファイル以外の、参考映像ファイル等のファイルへのアクセス権限は、指導者Aや指導者Bではなく、管理者が設定、変更して、容易には変更されないようにする。そのアクセス権限は、表5のようになる。
【0135】
【表5】

【0136】
指導者Aが所属するスクールAの運営事業者が提供するファイルには、所属する指導者Aと、その指導を受けている個人Aが閲覧することができ、個人BやC、指導者Bなどは閲覧することが出来ない。逆に指導者Bが提供したファイルは、ネットレッスンを申し込んだ後の個人Bが閲覧することが出来るが、個人AやC,指導者Aなどは閲覧することができない。一方、指導を提供する業者ではなく、システムの運営事業者が提供するファイルには、システムを利用する者全てが閲覧することができる。
【0137】
これらのファイルのうち、システムの運営事業者が提供するファイルのあるディレクトリは、ログイン認証した者であれば全てアクセスできるので、データベース中に各々のID情報の閲覧可能なディレクトリとして記録する必要なく、全てアクセス可能とする。一方で、各々の運営事業者が提供するファイルのあるディレクトリへのアクセスは、データベース中に各々のID情報の閲覧可能なディレクトリとして記録し、そのディレクトリが記録されていないID情報からのアクセスは拒否する。
【0138】
それらの参考映像ファイルは、指導者Aや指導者Bが撮影、登録した映像を、管理者がアクセス権限を指導者Aや指導者B(の事業者)の指定通りに設定して保存する。又は、フォームチェック装置14がログイン認証した者に公開したインターネットページから、指導者Aや指導者Bが必要な情報とともに送信して登録する。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】システムの概略図
【図2】ファイルの振り分けのフロー図
【図3】フォームチェック装置と操作端末との送受信を示すフロー図
【図4】この発明における透明キャンバスの概念図
【図5】未登録状態でのシステムの利用を示したフロー図
【図6】会員登録された状態でのシステムの利用を示したフロー図
【図7】個人のファイルに指導者がアクセスする場合のフロー図
【図8】レッスン登録した場合に指導者が個人のファイルにアクセスする場合のフロー図
【図9】個人が知人にファイルを公開する場合のフロー図
【符号の説明】
【0140】
10 ネットワーク
11 撮像端末
12 情報蓄積手段
13 フォームチェックサーバ
14 フォームチェック装置
15 操作端末
16 管理データベース
21 カメラ部
22 読み取り装置
23 エンコーダ
24 ローカルハードディスク
25,31 ルータ
26 IDカード
41 撮像データファイル
42 撮像固有情報ファイル
43 一時記憶部
44 形式変換部
45 エンコードソフト
46 振り分け部
47 映像データファイル
48 格納部
49 ホームディレクトリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実演者のフォームを撮像する撮像端末と、この撮像端末で作成された撮像データファイルを格納して管理するフォームチェック装置と、上記フォームチェック装置からネットワークを介して受信した上記撮像データファイルを画面に出力する複数の操作端末とを備えたフォームチェックサービス用システムであって、
上記撮像端末が、上記撮像データファイルを上記実演者のID情報と関連付けて識別する撮像特定機能と、識別した上記撮像データファイルを上記フォームチェック装置に送信する機能とを有し、
上記フォームチェック装置は、受信した上記撮像データファイルを非公開の状態で格納するファイル管理機能と、上記実演者のID情報と対応付けたログイン情報により操作端末を認証するログイン認証機能と、認証した操作端末にアクセス権限が認められた撮像データファイルの識別情報を表示させるファイル情報表示機能と、上記識別情報を表示させた操作端末から要求された撮像データファイルをその操作端末に送信する要求撮像送信機能とを有し、
上記操作端末は、上記ログイン情報に対する入力機能とを有するフォームチェックサービス用システム。
【請求項2】
上記フォームチェック装置は、上記撮像データファイルと共に、この撮像データファイルの撮像に付随する情報をまとめた撮像固有情報ファイルを取り扱うことを特徴とする請求項1に記載のフォームチェックサービス用システム。
【請求項3】
上記フォームチェック装置は、上記のログイン情報と対応付けられたID情報に関連付けられた上記撮像データファイルへのアクセス権限を、そのID情報により認証した操作端末から、他者のID情報ごとに設定させるアクセス制限機能を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のフォームチェックサービス用システム。
【請求項4】
上記フォームチェック装置は、撮像データファイルを送信した操作端末に対してその撮像データファイルの出力画面上で描画する描画機能を提供するチェック補助機能と、この描画機能による描画処理情報を描画対象の撮像データファイルと関連付けて記録するチェック情報記録機能と、描画対象の撮像データファイルへのアクセス権限を有する操作端末からの要求に応じて上記描画処理情報及び描画対象の撮像データファイルを送信するチェック情報提供機能とを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のフォームチェックサービス用システム。
【請求項5】
上記フォームチェック装置は、認証した操作端末からの要求に応じて、予め格納された参考映像ファイルを送信し、これを表示させる参考映像提供機能を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のフォームチェックサービス用システム。
【請求項6】
上記フォームチェック装置は、上記撮像データファイルを送信した操作端末に対して、その撮像データファイルへの指導情報を入力させる指導情報入力機能を提供し、この操作端末から入力された指導情報をその撮像データファイルに関連付けて格納し、その撮像データファイルへのアクセス権限を有する操作端末からの要求に応じて上記指導情報をその操作端末に出力させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のフォームチェックサービス用システム。
【請求項7】
上記フォームチェック装置は、上記指導情報として音声データを入力させる機能を提供することを特徴とする請求項6に記載のフォームチェックサービス用システム。
【請求項8】
上記フォームチェック装置は、ID情報ごとに設けられた個別格納部と、上記撮像端末から送信された撮像データファイルを保存する一時記憶部とを有し、上記ファイル管理機能は、一時記憶部に保存した撮像データファイルに関連付けられたID情報を識別し、保存した撮像データファイルを識別したID情報の個別格納部に振り分けることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のフォームチェックサービス用システム。
【請求項9】
上記フォームチェック装置は、上記一時記憶部に上記撮像データファイルを保存した後、この撮像データファイルより上記操作端末に提供される上記描画機能に対応するファイル形式に変換した映像データファイルを作成する変換ファイル作成機能と、この映像データファイル及び上記撮像データファイルを上記フォームチェック装置に設けられた振り分け部に移し、この振り分け部内の撮像データファイルと映像データファイルを対応付けてこの撮像データファイルと関連付けられたID情報の個別格納部に格納する振り分け機能とを有することを特徴とする請求項8に記載のフォームチェックサービス用システム。
【請求項10】
上記フォームチェック装置は、フォームチェックサービスを提供するサービス提供業者ごとに、利用可能な機能を選択して設定できることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のフォームチェックサービス用システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−130079(P2006−130079A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−322670(P2004−322670)
【出願日】平成16年11月5日(2004.11.5)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】