説明

フッ素置換オレフィンを含有する組成物

フッ素化されたアルケン、特定的にはHFO−1234及びHFCO−1233zdの、冷媒、フォーム、発泡剤、エアゾール、噴射剤、溶媒組成物、消火剤及び火炎抑制剤、抽出剤、及び触媒堆積物をはじめとする種々の用途における様々な使用を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、本明細書中に完全に示されているかのごとく各々を参照により本明細書中に援用する、2008年1月10日付けで出願された米国特許仮出願番号第61/020390号及び2008年4月30日付けで出願された米国特許仮出願番号第61/049393号の優先権の利益に関係し、これを請求する。また、本出願は、以下の米国特許出願:2003年10月27日付けで出願され現在係属している第10/694,273号;2003年10月27日付けで出願され現在放棄されている第10/695,212号の継続出願であり、2006年3月20日付けで出願され現在係属している第11/385,259号;2003年10月27日付けで出願された第10/694,272号;2004年4月29日付けで出願された第10/837,525号の分割であり、2007年8月29日付けで出願され現在係属している第10/847,192号;2004年4月29日付けで出願され現在係属している第10/475,605号;及び、2007年11月25日付けで出願された米国仮出願第60/989,997号及び2006年6月26日付けで出願され現在係属している米国出願第11/474,887号及び2007年3月21日付けで出願されたPCT出願第PCT/US07/645号の利益を請求し、2008年11月21日付けで出願され現在係属している第12/276,137号の利益に関係し、これを請求し、かつ参照により各々を援用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、特に、冷媒システムなどの熱伝達システム、発泡剤、発泡可能な組成物、フォーム、及び、フォームにより又はフォームから作られる物品、をはじめとする数多くの用途において有用性を有する組成物、方法、及びシステムに関する。特に好ましい側面において、本発明は、少なくとも1種の多フッ素化されたオレフィンと、別の多フッ素化されたオレフィンであるか又は多フッ素化されたオレフィンではない別の化合物のいずれかである少なくとも1種の追加の成分とを含む、そのような組成物に向けられる。
【背景技術】
【0003】
フルオロカーボンをベースとする流体は、空調システム、ヒートポンプシステム、及び冷却システムなどのシステムにおける作動流体として、エアゾール噴射剤として、発泡剤として、熱伝達媒体として、そして、気体誘電体として、多くの商業的及び工業的用途において幅広く使用されている。これらの用途においてこれまで使用されてきた組成物のうち一部のものの使用に関連した、比較的高い地球温暖化係数をはじめとする疑われている一定の環境上の問題のために、ハイドロフルオロカーボン(“HFC”)などのオゾン層破壊の可能性が低いか又はゼロである流体を使用することがますます望ましくなってきている。これゆえに、クロロフルオロカーボン(“CFC”)又はハイドロクロロフルオロカーボン(“HCFC”)を含有しない流体を使用することが望ましい。そのうえ、一部のHFC流体は、付随して比較的高い地球温暖化係数を有する場合があり、使用特性において所望の性能を維持しながら可能な限り低い地球温暖化係数を有するハイドロフルオロカーボン又は他のフッ素化された流体を使用することが望ましい。加えて、一定の状況においては、単一成分の流体、又は、沸騰及び蒸発時に実質的に分別されない共沸混合物様混合物の使用が望ましい。
【0004】
特定のフルオロカーボン類は、多くの適用において長年の間、冷媒などの多くの熱交換流体において好ましい成分のものであった。例えば、クロロフルオロメタンやクロロフルオロエタンの誘導体などのフルオロアルカン類は、それらの化学特性と物理特性の独特な組み合わせのために、空調や熱ポンプの適用を含む適用における冷媒として広範囲にわたる用途があった。蒸気圧縮装置において一般に利用される冷媒の多くのものは、単一成分の流体と共沸混合物のいずれかである。
【0005】
上記において示唆されるように、地球の大気と気候に害を与える可能性について近年関心が高まっていて、この点について特定の塩素をベースとする化合物が特に問題のあるものであることが確認されている。冷却システム及び空調システムなど熱伝達システムにおける作動流体としての塩素含有組成物(例えば、クロロフルオロカーボン(CFC)類、ヒドロクロロフルオロカーボン(HCFC)類など)の使用は、それら化合物の多くのものと関連するオゾン破壊性のために、嫌われるようになっている。これゆえに、これらの応用及び他の応用にこれまで使用された組成物に対して魅力ある代替品である新規なフルオロカーボン及びハイドロフルオロカーボン化合物及び組成物に対する必要性が増大している。例えば、塩素含有化合物を、ハイドロフルオロカーボン(HFC)類などのオゾン層を破壊しないであろう塩素非含有化合物で置き換えることによって、発泡剤系又は冷却系などの塩素含有系を更新するのが望ましくなっている。産業界一般及び特に産業界のうち発泡剤セグメントは、CFC類及びHCFC類の代替品を提供し、また、これらの環境的により安全な代用品と考えられる新規なフルオロカーボンをベースとする混合物を継続して求めている。しかし、多くの場合において、任意の潜在的な代用品は、すぐれた熱伝達特性、適切な化学安定性、低毒性又は無毒性、非燃焼性、及び/又は潤滑剤相溶性、とりわけ発泡剤として使用する場合の他の所望なフォーム特徴などの、かかる材料のうち最も広く使用されているもの多くにおいて存在するような特性も有していなければならないことが一般的に重要と考えられている。
【0006】
多くの適用において潤滑剤適合性が特に重要であるということを、出願人は認識するに至った。特に、大部分の冷却装置において用いられる圧縮機ユニットにおいて利用される潤滑剤と適合することが、冷却流体について非常に望ましい。あいにくと、HFC類を含む多くの塩素非含有冷却流体は、CFC類及びHFC類とともに慣用的に用いられるタイプの潤滑剤(例えば鉱油、アルキルベンゼン又はポリ(アルファ−オレフィン))に比較的不溶性及び/又は不混和性である。圧縮冷却、空調、及び/又は、ヒートポンプのシステムの中で冷却流体/潤滑剤の組み合わせを望ましいレベルの効率で機能させるためには、潤滑剤は、広い範囲の操作温度にわたって冷却液に十分に溶解できるものでなければならない。そのような溶解性は潤滑剤の粘性を低下させ、そしてそれを装置の全体にわたって容易に流動させる。そのような溶解性が無い場合、潤滑剤は冷却システム、空調システム、又はヒートポンプシステムの蒸発器のコイルの中に留まりやすくなり、システムの他の部品においても同様であり、したがってシステムの効率を低下させる。
【0007】
使用効率に関して、冷媒の熱力学的性能又はエネルギー効率の低下は、電気エネルギーに対する需要が増大することから生じる化石燃料の使用の増大によって環境への二次的な影響をもたらすであろう、ということに注目することが重要である。
【0008】
さらに、CFC冷媒及び発泡剤の代替物については、蒸気圧縮技術及びフォーム発生システムなどの慣用的なシステムに対して大きな工学的設計変更を行なわずに有効であることが望ましいと一般に考えられる。
【0009】
例えば、熱可塑性材料及び熱硬化性材料などの、慣用的な発泡材料を製造するための方法及び組成物は長く知られている。これらの方法及び組成物は、典型的には、化学的及び/又は物理的な発泡剤を利用して、ポリマーマトリクス中に発泡構造を形成している。このような発泡剤としては、例えば、アゾ化合物、種々の揮発性有機化合物(VOC)、及びクロロフルオロカーボン(CFC)が挙げられる。化学的発泡剤は、典型的には、ポリマーマトリクスを形成する材料との化学反応(通常、所定の温度/圧力にて)を含む、ある形態の化学変化を経験し、これにより、窒素、二酸化炭素、又は一酸化炭素などの気体の放出を引き起こす。最も頻繁に使用される化学的発泡剤の一つは水である。物理的発泡剤は、典型的には、ポリマー中又はポリマー前駆体材料中に溶解し、次いで体積膨張して(再び、所定の温度/圧力にて)、発泡構造の形成に貢献する。物理的発泡剤は、熱可塑性フォームに関して使用されることが多いが、化学的発泡剤は、熱可塑性フォームに関して物理的発泡剤の代わりに、又は物理的発泡剤に加えて使用することができる。例えば、ポリ塩化ビニルをベースとするフォームを形成することに関して化学的発泡剤を使用することが知られている。熱硬化性フォームに関しては、化学的発泡剤及び/又は物理的発泡剤を使用することは一般的である。もちろん、一定の化合物及びこれらを含有する組成物が、すぐに化学的及び物理的発泡剤を構成し得ることが可能である。
【0010】
過去においては、硬質及び軟質ポリウレタンフォーム及びポリイソシアヌレートフォームなどの、イソシアネートをベースとするフォームの調製においてCFC類を標準的な発泡剤として使用することが一般的であった。例えば、CClF(CFC−11)などのCFC材料からなる組成物は、標準的な発泡剤となっていた。しかし、この材料の使用は、その大気中への放出が成層圏のオゾン層に損傷を与えるという理由で国際条約により禁止されている。結果として、イソシアネートをベースとするフォーム及びフェノール樹脂フォームなどの、熱硬化性フォームを形成するための標準的な発泡剤としてCFC−11をそのまま使用することはもはや一般的ではない。
【0011】
多くの適用について、可燃性はもう一つの重要な特性である。すなわち、特に熱伝達及び発泡剤への適用を含む多くの適用において、可燃性の低い又は不燃性である組成物を用いることが重要であり、また必須であるとも考えられる。したがって、不燃性の組成物や化合物を用いることがしばしば有益である。本明細書において、「不燃性」という用語は、2002年のASTM規格E−681(これは参照により本明細書中に援用される)に従って測定されて不燃性であると判定される化合物又は組成物を意味する。あいにくと、多くのHFC類は、その他の点では冷媒組成物又はフォーム発泡剤組成物において用いるのに望ましいかもしれないのであるが、不燃性ではない。例えば、フルオロアルカンジフルオロエタン(HFC−152a)とフルオロアルケン1,1,1−トリフルオロプロペン(HFO−1243zf)はそれぞれ可燃性であり、したがって多くの適用において用いるのに実行可能ではない。
【0012】
高級フルオロアルケン、すなわち少なくとも5個の炭素原子を有するフッ素置換アルケンが、冷媒として用いるために提案された。米国特許第4,788,352号(Smutny)(特許文献1)は、少なくともある程度の不飽和を有するフッ素化C〜C化合物の製造を対象とする。Smutny特許は、そのような高級オレフィンが、冷媒、農薬、絶縁性流体、熱伝達流体、溶剤、及び様々な化学反応における中間体として有用であることが知られることを確認している(第1欄、11〜22行を参照)。
【0013】
比較的可燃性の材料の別の例は、フッ素化されたエーテルである1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(HFE−254pc又は時にはHFE−254cbと呼ばれる)であり、約5.4%〜約24.4%の可燃限界(vol%)を有することが測定されている。この一般的なタイプのフッ素化されたエーテルは、参照により本明細書中に援用される米国特許第5,137,932号−Behemeら(特許文献2)に発泡剤としての使用について開示されている。
【0014】
米国特許第5,900,185号−Tapscott(特許文献3)においては、フォーム発泡剤をはじめとする一定の材料の可燃性を減少させるために臭素を含有するハロカーボン添加剤を使用することが示唆されている。この特許における添加剤は、効率が高く、大気寿命が短い、すなわち、オゾン破壊係数(ODP)が低く地球温暖化係数(GWP)が低いことを特徴とするといわれている。
【0015】
Smutny及びTapscottに記載されたオレフィンは一定の不都合を有すると考えられる。例えば、これらの化合物のうち一部は、基材、特に、アクリル樹脂やABS樹脂などの汎用プラスチックを攻撃する傾向があり得る。そのうえ、Smutnyに記載された高級オレフィン化合物も、Smutnyにおいて着目された殺虫剤活性の結果として生じ得るかかる化合物の潜在的なレベルの毒性のために、一定の応用において望ましくない場合がある。また、かかる化合物は、一定の応用において冷媒として有用なものとするには高すぎる沸点を有し得る。
【0016】
ブロモフルオロメタンとブロモクロロフルオロメタンの誘導体、特にブロモトリフルオロメタン(Halon 1301)とブロモクロロジフルオロメタン(Halon 1211)は、航空機の室内やコンピューター室などの閉鎖空間において消火剤として広範囲にわたる用途を有している。しかし、様々なハロンの使用は、それらの高いオゾン破壊性のために、段階的に廃止されている。さらに、ハロンは人間が存在する領域においてしばしば用いられるので、炎を抑えるかまたは消すのに必要な濃度において適当な代替品を用いることが人間にとって安全なはずである。
【0017】
したがって出願人は、組成物、特に熱伝達組成物、消火用組成物または鎮火用組成物、発泡剤、溶剤組成物、及び相溶剤であって、蒸気圧縮加熱システムと冷却システム及びそのための方法を含む多くの適用において有用である可能性があり、その一方で上述の不利益のうちの一つ以上が避けられるものに対する必要性を認識するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】米国特許第4,788,352号
【特許文献2】米国特許第5,137,932号
【特許文献3】米国特許第5,900,185号
【発明の概要】
【0019】
出願人らは、一又はそれより多いC3−C6のフルオロアルケン、より好ましくは一又はそれより多いC3、C4、又はC5のフルオロアルケン、好ましくは以下の式I:
XCF3−z (I)
(式中、Xは、C2、C3、C4、又はC5の不飽和、置換又は非置換基であり、各Rは、独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、そしてzは1−3である)
を有する化合物を含む、熱伝達組成物、発泡剤組成物、フォーム及びフォームプレミックスをはじめとする組成物により、上述の必要性及び他の必要性を満たすことができることを見出した。一定の好ましい態様において、本発明のフルオロアルケンは、少なくとも4つのハロゲン置換基を有し、そのうち少なくとも3つはFである。好ましくは、一定の態様において、置換基はBrではない。一定の好ましい態様において、式Iの化合物は、化合物、好ましくは炭素数3の化合物を含み、各非末端不飽和炭素は少なくとも一つのハロゲン置換基を有し、より好ましくは 塩素及びフッ素から選択される少なくとも一つの置換基を有し、一定の態様においては、少なくとも三つのフッ素及び一つの塩素を有する化合物が特に好ましい。
【0020】
一定の好ましい態様、特に熱伝達組成物及び発泡剤組成物に関係する態様において、式Iの化合物は、炭素数3のオレフィンであり、zは1又は2である。これゆえに、式Iの化合物は、一定の態様、特に熱伝達組成物及び発泡剤組成物に関係する態様において、式(IA):
CF2−w=CR−CF3−z (IA)
(式中、各Rは、独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、wは1又は2であり、そしてzは1又は2である)
の化合物を含む。
【0021】
式IAの一定の好ましい化合物において、各RはF又はHであり、その例は:
CF=CF−CHF(HFO−1234yc)
CF=CH−CFH(HFO−1234zc)
トランス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(E))
シス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(Z))
である。
【0022】
一定の好ましい態様、特に発泡剤組成物において、組成物は、少なくとも一つの式(IA)の化合物を含み、少なくとも一つのR、更により好ましくは飽和末端炭素上の少なくとも一つのRはClである。
【0023】
少なくとも一つのBr置換基が存在する式(IA)の態様に関して、化合物は水素を含まないことが好ましい。かかる態様において、Br置換基は不飽和炭素上にあることが一般的に好ましく、更により好ましくは、Br置換基は非末端不飽和炭素上にある。このクラスにおける一つの特に好ましい態様は、CFCBr=CFでありその異性体のすべてを含む。
【0024】
一定の態様においては、式Iの化合物は、3〜5個のフッ素置換基を有し、他の置換基は存在するか又は存在しない、プロペン、ブテン、ペンテン、及びヘキセンを含むことが非常に好ましい。一定の好ましい態様においては、RはBrではなく、好ましくは、不飽和基はBr置換基を含有しない。プロペンの中では、テトラフルオロプロペン(HFO−1234)及びフルオロクロロプロペン(トリフルオロ,モノクロロプロペン(HFCO−1233)、及び更により好ましくは、CFCCl=CH(HFCO−1233xf)及びCFCH=CHCl(HFCO−1233zd))が一定の態様において特に好ましい。
【0025】
一定の態様においては、ペンタフルオロプロペンが好ましく、出願人らは、かかる化合物は少なくとも化合物CFCH=CF(HFO−1225zc)と比較して相対的に低い程度の毒性を有することを発見したことから、 CFCH=CF(HFO−1225ye及び/又はyz)などの末端不飽和炭素上に水素置換基が存在するペンタフルオロプロペンを特に含む。
【0026】
ブテンの中では、一定の態様においてフルオロクロロブテンが特に好ましい。
“HFO−1234”という用語は、すべてのテトラフルオロプロペンを言うように本明細書中において使用する。テトラフルオロプロペンの中には、1,1,1,2−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yf)、シス−及びトランス−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234ze)の両方、CF=CF−CHF(HFO−1234yc)、CF=CH−CFH(HFO−1234zc)、トランス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(E))、及びシス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(Z))が含まれる。HFO−1234zeという用語は、それがシス−形態であるか又はトランス−形態であるかにかかわらず、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを総称して言うように本明細書中において使用する。“シスHFO−1234ze”及び“トランスHFO−1234ze”という用語は、それぞれ、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンのシス形態及びトランス形態を説明するために本明細書中において使用する。したがって、“HFO−1234ze”という用語は、シスHFO−1234ze、トランスHFO−1234ze、ならびにこれらのすべての組合せ及び混合物をその範囲内に含む。HFO−1234yeという用語は、それがシス−形態であるか又はトランス−形態であるかにかかわらず、1,2,3,3−テトラフルオロプロペン(CHF=CF−CFH)を総称して言うように本明細書中において使用する。
“シスHFO−1234ye”及び“トランスHFO−1234ye”という用語は、それぞれ、1,2,3,3−テトラフルオロプロペンのシス形態及びトランス形態を説明するために本明細書中において使用する。したがって、“HFO−1234ye”という用語は、シスHFO−1234ye、トランスHFO−1234ye、ならびにこれらのすべての組合せ及び混合物をその範囲内に含む。
【0027】
“HFO−1233”という用語は、すべてのトリフルオロ、モノクロロプロペンを言うように本明細書中において使用する。トリフルオロ、モノクロロプロペンの中には、1,1,1,トリフルオロ−2,クロロ−プロペン(HFCO1233xf)、及び、シス−及びトランス−1,1,1−トリフルオロ−3,クロロプロペン(HFCO−1233zd)の両方が含まれる。HFCO−1233zdという用語は、それがシス−形態であるか又はトランス−形態であるかにかかわらず、1,1,1−トリフルオロ−3,クロロ−プロペンを総称して言うように本明細書中において使用する。“シスHFCO−1233zd”及び“トランスHFCO−1233zd”という用語は、それぞれ、1,1,1−トリフルオロ,3−クロロプロペンのシス形態及びトランス形態を説明するために本明細書中において使用する。したがって、“HFCO−1233zd”という用語は、シスHFCO−1233zd、トランスHFCO−1233zd、ならびにこれらのすべての割合及び比率のすべての組合せ及び混合物をその範囲内に含む。
【0028】
“HFO−1225”という用語は、すべてのペンタフルオロプロペンを言うように本明細書中において使用する。かかる分子の中には、1,1,1,2,3ペンタフルオロプロペン(HFO−1225yez)、そのシス−及びトランス−形態の両方が含まれる。これゆえに、HFO−1225yezという用語は、それがシス−形態であるか又はトランス−形態であるかにかかわらず、1,1,1,2,3ペンタフルオロプロペンを総称して言うように本明細書中において使用する。したがって、“HFO−1225yez”という用語は、シスHFO−1225yez、トランスHFO−1225yez、ならびにこれらのすべての組合せ及び混合物をその範囲内に含む。
【0029】
一定の好ましい態様において、本組成物は、二種又はそれより多い式Iの化合物の組合せを含む。一つのそのような好ましい態様において、組成物は、少なくとも一つのテトラフルオロプロペン及び少なくとも一つのペンタフルオロプロペン化合物を含み、好ましくは、各化合物は、約20重量%〜約80重量%、より好ましくは約30重量%〜約70重量%、更により好ましくは約40重量%〜約60重量%の量で組成物中に存在する。一定のかかる態様において、テトラフルオロプロペンは、HFO−1234(最も好ましくは、HFO−1234yf)及びHFO−1225(最も好ましくは、HFO−1225yez)を含み、好ましくは本質的にこれらからなる。別のかかる好ましい態様において、組成物は、少なくとも一つのモノクロロトリフルオロプロペン化合物及びテトラフルオロプロペンをはじめとする少なくとも一つの他のフッ素化されたオレフィンを含み、各化合物は、約20重量%〜約80重量%、より好ましくは約30重量%〜約70重量%、更により好ましくは約40重量%〜約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0030】
また、本発明は、本発明の組成物を利用する方法及びシステムを提供する。一の側面において、本発明は、熱伝達のため、現存する熱伝達装置を更新するため、及び、現存する熱伝達システムにおける現存する熱伝達流体を置換するための、方法及びシステムを含む。他の側面においては、本組成物を、フォーム、フォーム発泡、フォーム及びフォームプレミックスの形成、溶媒和、香味及び芳香の抽出及び/又は送達、エアゾール生成、非エアゾール噴射剤に関して、また、膨張剤として使用する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
組成物
本発明の好ましい態様は、3〜6個の炭素原子、好ましくは3〜5個の炭素原子、一定の非常に好ましい態様においては3個の炭素原子と、少なくとも一つの炭素−炭素二重結合とを含有する少なくとも一つのフルオロアルケンを含む組成物に関する。本発明のフルオロアルケン化合物は、少なくとも一つの水素を含有する場合は、便宜のために、ハイドロフルオロ−オレフィン又は“HFO”と呼ぶ場合がある。本発明のHFOは二つの炭素−炭素二重結合を含有し得ることを企図しているが、かかる化合物は現時点では好ましいとは考えられていない。少なくとも一つの塩素原子を含有するHFOに関して、本明細書中でHFCOという表記を使用する場合がある。
【0032】
これまでに説明したように、本組成物は、これまでに具体的に示した化合物の各々をはじめとする式Iにしたがった一又はそれより多い化合物を含む。一定の好ましい態様において、組成物は以下の式II:
【0033】
【化1】

【0034】
(式中、各Rは、独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、
R’は、(CRYであり、
YはCRFであり、そして
nは、0、1、2、又は3、好ましくは0又は1であるが、Brが化合物中に存在する場合は化合物中に水素が存在しないことが一般的には好ましい)
の化合物を含む。一定の態様において、Brは化合物中に存在しない。
【0035】
非常に好ましい態様において、YはCFであり、nは0又は1であり(最も好ましくは、0)、残りのRのうち少なくとも一つはFであり、好ましくは、RはBrではなく、Rが存在する場合は化合物中に水素は存在しない。
【0036】
一般に、上に示した式I及びIIの化合物ならびに特にこれまでに具体的に示した化合物は、特に冷媒組成物などの熱伝達組成物、発泡剤組成物、相溶剤、エアゾール、噴射剤、香味配合物、芳香配合物、溶剤組成物、及び膨張剤組成物をはじめとする、これまでに述べた応用の各々において、概ね効果的であり、そして有用であると出願人は考える。しかし出願人は、驚くべきことに、そして予期せざることに、上記の式に従う構造を有する化合物の特定のものは、そのような化合物の他のものと比較して、非常に望ましい低いレベルの毒性を示すことを見出した。容易に認識できるように、この発見は、冷媒組成物のみならず、上記の式を満足する特定の比較的毒性のある化合物であるいかなる全ての組成物の配合のためにも、非常に有利かつ有益である可能性がある。特に、比較的低い毒性レベルは式IIの化合物と関連していて、好ましくはYがCFであり、nが0又は1であり、不飽和末端炭素についた少なくとも一つのRがHであり、そして残りのRのうちの少なくとも一つはFであるときに、低い毒性レベルと関連している、と出願人は考える。好ましくは、不飽和末端炭素上の少なくとも一つのRがHである式IIのかかる好ましい態様において、残りのRの少なくとも一つはF又はClである。また、一定の態様において、特に毒性に特に関心がもたれる場合は、不飽和末端炭素上には、一より多いフッ素置換基は存在せず、更により好ましくは一より多いハロゲン置換基は存在しない。出願人はまた、そのような化合物の全ての構造異性体、幾何異性体、及び立体異性体は有効で有益な低い毒性を有する、と考える。
【0037】
一定の好ましい態様において、本発明の化合物は、一又はそれより多いC3〜C4のHFO、好ましくはC3のHFOを含む。一定の態様において、式Iにしたがい、式中、Xがハロゲン置換されたC3のアルキレンであり、Zが3である化合物をはじめとする、C4のHFOを使用することが好ましい。一定のそのような態様において、Xは、フッ素及び/又は塩素置換されたC3のアルキレンであり、一定の態様においては、以下のC3アルキレン基が好ましい:
【0038】
【化2】

【0039】
したがって、かかる態様は、以下の好ましい化合物:CF−CH=CF−CH;CF−CF=CH−CH;CF−CH−CF=CH;CF−CH−CH=CFH、及び、これら同士の組合せ及び/又はこれらと式Iにしたがった他の化合物との組合せを含む。
【0040】
非常に好ましい態様において、特に上記の低い毒性の化合物を含む態様において、nは0である。一定の非常に好ましい態様において、本発明の組成物は、HFO−1234yf、(シス)HFO−1234ze、及び(トランス)HFO−1234zeをはじめとする、一又はそれより多いテトラフルオロプロペンを含み、一般的には、HFO−1234zeが好ましい。
【0041】
(シス)HFO−1234ze及び(トランス)HFO−1234zeの特性は少なくとも幾つかの点で異なるが、これらの化合物の各々は、ここで説明している適用、方法および装置のそれぞれに関して、それ単独で用いるために、またはその立体異性体を含む他の化合物とともに用いるために適合可能であると考えられる。例えば、トランスHFO−1234zeは、その比較的低い沸点(−19℃)のために、一定のシステムにおいて用いるのに好ましいかもしれないが、沸点が+9℃である(シス)HFO−1234zeも他の応用に好ましい場合がある。もちろん、多くの態様においては、シス−及びトランス−異性体の組合せが許容可能であり、及び/又は、好ましい場合もある。したがって、“HFO−1234ze”という用語及び1,3,3,3−テトラフルオロプロペンは両方の立体異性体を指し、そしてこの用語の使用は、特に断らない限り、シス形とトランス形のそれぞれが、説明している目的のために適用され、及び/又は、有用であるということを示すことが意図されている、と理解されるべきである。
【0042】
HFO−1234化合物は公知の物質であり、ケミカルアブストラクツデータベースに載っている。様々な飽和および不飽和ハロゲン含有C化合物の接触蒸気相フッ素化によるCFCH=CHなどのフルオロプロペンの製造は、米国特許第2,889,379号、第4,798,818号、及び第4,465,786号に記載されていて、それらの各々は参照により本明細書中に援用される。同様に参照により本明細書中に援用される欧州特許(EP)第974,571号も、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)を、高温において蒸気相中でクロム系触媒と接触させることによって、あるいは液体相中でKOH、NaOH、Ca(OH)、又はMg(OH)のアルコール溶液と接触させることによって、1,1,1,3−テトラフルオロプロペンを調製することを開示している。さらに、本発明にしたがう化合物を製造するための方法は、「フルオロプロペンを製造するための方法」と題する係属中の米国特許出願(代理人整理番号(H0003789(26267))に関連して概略記載されていて、この文献も参照により本明細書中に援用される。
【0043】
本発明にしたがって使用するのに好ましい他の化合物としては、ペンタフルオロプロペン(そのすべての異性体(例えば、HFO−1225)を含む)、テトラ−及びペンタ−フルオロブテン(そのすべての異性体(例えば、HFO−1354及びHFO−1345)を含む)が挙げられる。もちろん、本組成物は、本発明の広い範囲内にあるか又は本発明の任意の好ましい範囲内にある、任意のふたつ又はそれより多い組合せを含有してもよい。
【0044】
本組成物、特にHFCO−1233及び/又はHFO−1234(HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、HFCO−1233xf、トランスHFCO−1233zd、及びシスHFCO−1233zdを含む)を含む組成物は、幾つかの重要な理由から、有利な特性を有していると考えられる。例えば、少なくとも一部は数学的モデル化に基づいて、本発明のフルオロオレフィンは、幾つかの他のハロゲン化種と比較してオゾンの破壊にはほとんど寄与しないために、大気の化学的性質には本質的に有害な影響を与えないだろうと、出願人は考える。したがって、本発明の好ましい組成物は、オゾンの破壊には実質上寄与しないという利点を有する。その好ましい組成物はまた、現在使用されている多くのヒドロフルオロアルカンと比較して、地球温暖化には実質上寄与しない。
【0045】
もちろん、組成物の特定の性質(例えばコストなど)を調節する他の化合物及び/又は成分も本組成物中に含めることができ、すべてのそのような化合物及び成分の存在は、本発明の広い範囲内にある。
【0046】
一定の好ましい形態において、本発明の組成物は、約1500以下の、より好ましくは約500以下の、そしてさらに好ましくは約150以下の地球温暖化係数(Global Warming Potential:GWP)を有する。一定の態様において、本組成物のGWPは約100以下であり、そしてさらに好ましくは約75以下である。本明細書において用いられている“GWP”は、二酸化炭素について100年の時間範囲で測定されたものであり、それは「オゾン破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の地球オゾン調査と監視プロジェクトの報告(The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002, a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project)」において定義されたものであり、この文献は参照により本明細書中に援用される。
【0047】
一定の好ましい形態において、本組成物はまた、好ましくは0.05以下の、より好ましくは0.02以下の、そしてさらに好ましくは約0のオゾン破壊係数(Ozone Depletion Potential:ODP)を有する。本明細書において用いられている“ODP”は、「オゾン破壊の科学的評価、2002年、世界気象協会の地球オゾン調査と監視プロジェクトの報告(The Scientific Assessment of Ozone Depletion, 2002, a report of the World Meteorological Association’s Global Ozone Research and Monitoring Project)」において定義されたものであり、この文献は参照により本明細書中に援用される。
【0048】
本組成物中に含まれる式Iの化合物(式IA及び式IIの化合物を含む)、特にHFCO−1233及びHFO−1234、更により好ましくはシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、HFCO−1233xf、シスHFC−1233zd、及びトランスHFC−1233zdのうち各々ひとつの量は、特定の適用に応じて広範囲に変化してもよく、この化合物を痕跡量よりも多く含む組成物と100%未満含む組成物は本発明の広い範囲内のものである。さらに、本発明の組成物は共沸性のもの、共沸性に類似のもの、あるいは非共沸性のものであってよい。好ましい態様において、本組成物、特定的には発泡剤組成物及び熱伝達組成物は、式Iの化合物、特にHFCO−1233及びHFO−1234、より好ましくはシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、HFCO−1233xf、シスHFC−1233zd、及びトランスHFC−1233zdを、約5重量%から約99重量%まで、さらに好ましくは約5%から約95%までの量で含む。
【0049】
潤滑剤、安定化剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、燃焼抑制剤、及び、組成物の特定の性質(例えばコストなど)を調節する他の化合物及び/又は成分をはじめとする、多くの追加の化合物が本組成物中に含まれていてもよく、全てのそのような化合物の存在は本発明の広い範囲内のものである。一定の好ましい態様において、本組成物は、式Iの化合物(特に、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、HFCO−1233xf、シスHFC−1233zd、及びトランスHFC−1233zdのうち任意の一つ又はそれより多くを含む)に加えて、下記のもののうち一つ又はそれより多くを含む:
トリクロロフルオロメタン(CFC−11)
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)
ジフルオロメタン(HFC−32)
ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
ジフルオロエタン(HFC−152a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)

CO
上記の成分のいずれの相対的な量、及び本組成物に含むことのできるいかなる追加の成分の相対的な量も、組成物についての特定の適用に従って、本発明の包括的な広い範囲内で広範囲に変えることができ、全てのそのような相対的な量が本発明の範囲内であると考えられる。
【0050】
したがって、出願人らは、本発明の一定の組成物を数多くの応用において非常に有利に使用できることを認識した。例えば、本発明に含まれるのは、熱伝達用途、フォーム及び発泡剤用途、噴射剤用途、噴霧可能な組成物の用途、滅菌用途、エアゾール用途、相溶化剤用途、香味及び芳香用途、溶媒用途、洗浄用途、膨張剤用途などに関する方法及び組成物である。当業者であれば、任意かつすべての係る用途において本組成物を使用するために過度な実験をすることなく容易に適合させることができると考えられる。
【0051】
本組成物は、冷媒、エアゾール、及び他の応用における、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)などのCFC、クロロジフルオロメタン(HCFC−22)などのHCFC、テトラフルオロエタン(HFC−134a)などのHFC、及び、CFC−12と1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)の組合せ(R−500として知られる73.8:26.2の質量比のCFC-12:HFC−152aの組合せ)などのHFCとCFCの組合せの代替として一般的には有用である。
【0052】
熱伝達組成物
本発明の組成物は、一般的には、熱伝達用途、すなわち、気化冷却剤を含む加熱及び/又は冷却媒体として使用するために適合可能である。
【0053】
気化冷却用途に関して、本発明の組成物を、直接又は間接的に、冷却すべき物体に接触させて、その後に接触させながら蒸発又は沸騰させ、好ましい結果として、本組成物にしたがった沸騰ガスが冷却すべき物体から熱を吸収する。かかる用途において、液体を冷却すべき物体に噴霧又は他の方法で適用することにより、本発明の組成物を好ましくは液体形態で利用することが好ましい場合がある。他の気化冷却用途において、本発明にしたがった液体組成物を比較的高圧の容器から比較的低圧の環境に逃がし、そこで、好ましくは、逃がしたガスを回収又は再圧縮することなく、冷却すべき物体を本発明の液体組成物を閉じ込めた容器と直接又は間接的に接触させることが好ましい場合がある。このタイプの態様の一つの特定の応用は、飲料、食品アイテム、ノベルティアイテムなどの自己冷却である。本明細書中に説明する発明の前は、HFC−152a及びHFC−134aなどの従来の組成物がかかる用途に使用された。しかし、かかる組成物は、これらの材料を大気に放出することに起因する環境への負の影響のために、最近ではかかる用途において否定的に見られている。例えば、合衆国EPAは、かかる従来の化学物質のこの用途における使用は、これらの化学物質の高い地球温暖化特性とそれらの使用により結果として生じ得る環境への悪影響のために許容されないことを決定している。本発明の組成物は、本明細書中に説明するように、それらの低い地球温暖化係数及び低いオゾン破壊係数のためにこの点に関して明確な利点を有している。加えて、本組成物は、製造の間又は加速寿命試験の間に電気又は電子部品を冷却することに関して、実質的な有用性があると期待される。加速寿命試験においては、部品の使用をシミュレートするために部品が連続して素早く繰り返して加熱及び冷却される。したがって、かかる使用は、半導体及びコンピュータ基板製造産業において特に有利であると考えられる。この点に関する本組成物の別の利点は、そのような用途に関して使用した場合に有害な電気特性を示すことと期待される。別の気化冷却用途は、導管を通る流体の流れを一次的に停止させる方法を含む。好ましくは、かかる方法は、水が流れる水道管などの導管を本発明にしたがった液体組成物と接触させて、その中に含まれる液体を凍らせるように導管と接触させながら本発明の液体組成物を蒸発させ、それにより導管を通る流体の流れを一次的に停止させることを含むであろう。かかる方法は、本組成物が適用される場所の下流の場所にて、かかる導管に関してサービス又は他の仕事を実施できるようにすることに関して明確な利点を有する。
【0054】
本発明の組成物は、幅広い範囲の量で本発明の化合物を含むことができると企図しているが、本発明の冷媒組成物は、式Iにしたがった化合物、より好ましくは、式IA及び/又は式IIにしたがった化合物、更により好ましくは、 HFO−1234(シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)の任意の一つ又はそれより多くを含む)、又はHFCO−1233(HFCO−1233xf、シスHFCO−1233zd、及びトランスHFCO−1233zdのうち任意の一つを含む)を、組成物の少なくとも約50重量%、更により好ましくは少なくとも約70重量%の量で含むことが一般的には好ましい。
【0055】
一定の態様において、本発明の熱伝達組成物は、トランスHFO−1234ze、より好ましくは少なくとも約90重量%のトランスHFO−1234ze、より好ましくは少なくとも約95重量%のトランスHFO−1234ze、更により好ましくは少なくとも約99重量%のトランスHFO−1234zeを含むことが好ましい。一定の好ましい態様において、本発明の熱伝達組成物は、少なくとも約80%、更により好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−1234、更により好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより多くを含むことが好ましい。
【0056】
本発明の熱伝達組成物は、一定の態様において、シスHFO−1234zeとトランスHFO−1234zeの組合せを含む。一定の態様において、シス:トランスの重量比は、1:99以下であり、更により好ましくは0.1:99以下である。一定の好ましい態様において、シス:トランスの重量比は、約0.1:99〜約10:99、1:99〜約10:99、より好ましくは約1:99〜約5:95、更により好ましくは約1:99〜約3:97である。
【0057】
一定の態様において、本発明の熱伝達組成物は、HFCO−1233zd、より好ましくは少なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、より好ましくは少なくとも約95重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは少なくとも約99重量%のHFCO−1233zdを含むことが好ましい。一定の好ましい態様において、本発明の熱伝達組成物は、少なくとも約80重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは少なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは、シス−HFCO−1233zd及びトランス−HFCO−1233zdのうち任意の一つ又はそれより多くを含むことが好ましい。
【0058】
本発明の熱伝達組成物は、一定の態様において、シスHFCO−1233zd及びトランスHFCO−1233zdの組合せを含む。一定の態様において、シス:トランスの重量比は、約30:70〜約5:95、更により好ましくは約20:80〜約5:95であり、一定の態様において10:90の比が特に好ましい。
【0059】
本発明にしたがって使用されるハイドロフルオロオレフィンの相対量は、好ましくは、必要とされる熱伝達性能、特に冷却能力を有し、好ましくは同時に不燃性である熱伝達流体を生成するように選択される。本明細書中で使用するように、不燃性という用語は、ASTM E−681により測定して空気中ですべての割合において不燃性である流体を言う。
【0060】
本発明の組成物は、組成物に特定の機能性を与えるかまたはそれを高める目的で、あるいは、ある場合には組成物のコストを下げるために、他の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明に従う冷媒組成物、特に蒸気圧縮装置において用いられる組成物は、潤滑剤を、一般に組成物の約30〜約50重量%の量で含む。さらに、本組成物は、共冷媒、又は相溶剤(例えばプロパン)を、潤滑剤の相溶性および/または溶解性を高める目的で含んでいてもよい。プロパン、ブタンおよびペンタンを含むそのような相溶剤は、好ましくは組成物の約0.5〜約5重量%の量で存在する。油の溶解性を高めるために、界面活性剤と可溶化剤を組み合わせたものを本組成物に添加してもよく、このことは米国特許第6,516,837号に開示されていて、その開示は本明細書中に参考文献として援用される。一般に用いられる冷却潤滑剤でヒドロフルオロカーボン(HFC)冷媒とともに冷却機械類において用いられるポリオールエステル(POE)、ポリアルキレングリコール(PAG)、PAG油、シリコーン油、鉱油、アルキルベンゼン(AB)およびポリ(アルファ−オレフィン)(PAO)などを、本発明の冷媒組成物とともに用いてもよい。商業的に入手可能な鉱油としては、WitcoからのWitco LP 250(登録商標)、Shrieve ChemicalからのZerol 300(登録商標)、WitcoからのSunisco 3GS、及びCalumetからのCalumet R015が挙げられる。商業的に入手可能なアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)が挙げられる。商業的に入手可能なエステルとしては、Emery 2917(登録商標)及びHatcol 2370(登録商標)として入手可能なネオペンチルグリコールジペラルゴネートが挙げられる。他の有用なエステルとしては、リン酸エステル、二塩基酸エステル、及びフルオロエステルが挙げられる。一部の場合において、炭化水素をベースする油は、ヨードカーボンから構成される冷媒に対して充分な溶解性を有し、ヨードカーボンと炭化水素油の組合せは、他のタイプの潤滑剤よりも安定である。したがって、かかる組合せは有利である。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコール及びエステルが挙げられる。一定の態様においては、これらは現在、自動車用空調などの特定の応用において使用されていることからポリアルキレングリコールが非常に好ましい。もちろん、異なるタイプの潤滑剤の異なる混合物を使用してもよい。
【0061】
一定の好ましい態様において、熱伝達組成物は、約10重量%〜約95重量%の式Iの化合物、より好ましくは式IA及び/又は式IIの化合物、更により好ましくは一つ又はそれより多いHFO−1234化合物と、約5重量%〜約90重量%の補助剤、特に一定の態様においては、共冷媒(HFC−152、HFC−125、及び/又はCFIなど)を含む。共冷媒という用語の使用は、当該化合物の式Iの化合物との相対的な性能に関して限定する意味で本明細書中において使用することを意図するものではないが、代わりに、所望の用途について組成物の所望の熱伝達特徴に寄与する、冷媒組成物中の他の成分を一般的に示すために使用する。かかる一定の態様において、共冷媒は、一つ又はそれより多いHFC及び/又はトリフルオロヨードメタンなどの一つ又はそれより多いフルオロヨードC1〜C3化合物、及びこれら同士や他の成分との組合せを含み、好ましくは本質的にこれらからなる。
【0062】
共冷媒がHFC、好ましくは、HFC−125を含む好ましい態様において、組成物は、熱伝達組成物全体の約50重量%〜約95重量%、より好ましくは約60重量%〜約90重量%、更により好ましくは約70重量%〜約90重量%の量でHFCを含む。かかる態様において、本発明の化合物は、好ましくは、熱伝達組成物全体の約5重量%〜約50重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは、約10重量%〜約30重量%の量の、HFO−1234、HFCO−1233、及びこれらの組合せ、更により好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、シスHFCO−1233zd、及びトランスHFCO−1233zdのうち一つ又はそれより多くを含み、更により好ましくは本質的にこれらからなる。
【0063】
共冷媒がフルオロヨードカーボン、好ましくは、CFIを含む好ましい態様において、組成物は、熱伝達組成物全体の約15重量%〜約50重量%、より好ましくは約20重量%〜約40重量%、更により好ましくは約25重量%〜約35重量%の量でフルオロヨードカーボンを含む。かかる態様において、本発明の化合物は、好ましくは、熱伝達組成物全体の約50重量%〜約90重量%、より好ましくは約60重量%〜約80重量%、更により好ましくは、約65重量%〜約75重量%の量の、HFO−1234、HFCO−1233、及びこれらの組合せ、更により好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、シスHFCO−1233zd、及びトランスHFCO−1233zdのうち一つ又はそれより多くを含み、更により好ましくは本質的にこれらからなる。
【0064】
これゆえに、本方法、システム、及び組成物は、一般に多種多様な熱伝達システム、特に空調(定置用及び自動車用空調システムの両方を含む)、冷却、ヒートポンプシステムなどの冷却システムに関して使用するために適合可能である。一定の好ましい態様においては、本発明の組成物を、例えばHFC−134aなどのHFC冷媒、又は例えばHCFC−22などのHCFC冷媒を用いて使用するために当初設計された冷却システムにおいて使用する。本発明の好ましい組成物は、慣用的なHFC冷媒と同程度に低いかそれより低いGWP、かかる冷媒と同程度に高いかそれより高い能力、及び、かかる冷媒と実質的に同様であるか実質的に匹敵する、好ましくは同程度に高いか又はそれより高い能力、をはじめとする、HFC−134a及び他のHFC冷媒の所望の特徴のうち多くを示す傾向がある。特に、出願人らは、本組成物の一定の好ましい態様は、比較的低い、好ましくは1000未満、より好ましくは約500未満、及び更により好ましくは約150未満の地球温暖化係数(“GWP”)を示す傾向があることを認識した。加えて、参照により本明細書中に援用される同時係属する特許出願に記載される共沸混合物様組成物を含む一定の本組成物の比較的定沸の性質により、多くの用途において冷媒として使用するための、R−404A、又はHFC−32、HFC−125、及びHFC−134aの組合せ(HFC−32:HFC−125:HFC−134aがおよそ23:25:52の重量比である組合せはR−407Cと呼ばれる)などの一定の慣用的なHFCよりも更により望ましいものとなっている。本発明の熱伝達組成物は、HFC−134、HFC−152a、HFC−22、R−12、及びR−500の代替として特に好ましい。
【0065】
一定の他の好ましい態様において、本組成物は、CFC冷媒に関して使用するために当初設計された冷却システムにおいて使用する。好ましい本発明の冷却組成物は、鉱油、ポリアルキルベンゼン油、ポリアルキレングリコール油などのCFC冷媒に関して慣用的に使用された潤滑剤を含有する冷却システムにおいて使用してもよく、又は、HFC冷媒に関して従来使用された他の潤滑剤とともに使用してもよい。本明細書中で使用するように、“冷却システム”という用語は、冷媒を使用して冷却をもたらす任意のシステム又は装置、あるいはそのようなシステム又は装置の任意の部分又は部品を総称して言う。かかる冷却システムとしては、例えば、空調、電気冷蔵庫、チラー(遠心圧縮機を用いるチラーを含む)、輸送冷却システム、商業的な冷却システムなどが挙げられる。
【0066】
多くの現行の冷却システムは現在、現行の冷媒と関連して用いることに適合しているが、本発明の組成物は、システムに改造を施すかまたは施さずに、多くのそのようなシステムにおいて用いるように適合させうると考えられる。多くの適用において、本発明の組成物は、現在は比較的高い容量を有する冷媒を用いているシステムにおける代替物として、有利なものになるであろう。さらに、例えばコスト上の理由から、高い容量の冷媒に代えて本発明の低容量の冷媒組成物を用いるのが望ましいような態様においては、本発明の組成物のそのような態様は有利なものになる可能性がある。従って、特定の態様においては、本発明の組成物、特にHFO−1234(好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち一つ又はそれより多く)をかなりの割合で含む組成物、そして幾つかの態様においては本質的にそれらからなる組成物を、HFC−134aなどの現行の冷媒の代替物として用いるのが好ましい。特定の適用においては、本発明の冷媒は大きな排気量の圧縮機を使用する利益をもたらす可能性があり、それによってHFC−134aなどの他の冷媒よりも高いエネルギー効率が得られる。従って、本発明の冷媒組成物、特にシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち一つ又はそれより多くを含む組成物は、冷媒を置き換える適用についてのエネルギーを基礎とすることに関して、競争力のある利益をもたらす可能性がある。
【0067】
本組成物、特にシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち一つ又はそれより多くを含む組成物はまた、商業用の空調システムに関して典型的に用いられるチラーにおいて、(もともとのシステムにおける場合と、CFC−11、CFC−12、HCFC−22、HFC−134a、HFC−152a、R−500、及びR−507Aなどの冷媒の代替物として用いられる場合のいずれも)利点を有すると考えられる。そのような態様の一定のものにおいては、本組成物、特にHFO−1234yf及び/又はHFO−1234zeを含むものの中に、約0.5〜約30%、一定の場合により好ましくは、0.5重量%〜約15重量%、更により好ましくは重量基準で約0.5〜約10%の補助的な燃焼抑制剤を含むのが好ましい。この点に関して、本組成物の一定のHFO−1234及び/又はHFO−1225成分は、一定の態様において、組成物中の他の成分に関して燃焼抑制剤として作用し得ることに注目されたい。これゆえに、組成物中において燃焼抑制機能を有するHFO−1234及びHFO−1225以外の成分は、本明細書中において補助的燃焼抑制剤と呼ぶ場合がある。
【0068】
一定の好ましい態様において、本組成物は、式Iの化合物(特に、HFO−1234(シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)を含む)、及びHFCO−1233(特にシス−HFCO−1233zd及びトランス−HFCO−1233zdを含む)を含む)に加えて、主として熱伝達特徴、コスト、などに対する影響のために含ませてもよい一又はそれより多い以下の追加の化合物を含む。これゆえに、以下の成分は、共熱伝達流体(又は冷却操作の場合は共冷媒)として組成物中に含ませてもよい:
トリクロロフルオロメタン(CFC−11)
ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)
ジフルオロメタン(HFC−32)
ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
ジフルオロエタン(HFC−152a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)

CO
発泡剤、フォーム、及び起泡可能な組成物
発泡剤もまた、本組成物の一つ又はそれより多くを含むか、あるいはそれを構成していてよい。上述したように、本発明の組成物は本発明の化合物を、広く変化する量で含むことができる。しかしながら、本発明にしたがう発泡剤として用いるための好ましい組成物については、式Iにしたがった化合物、更により好ましくは式IA及び/又は式IIにすいたがった化合物が、組成物の少なくとも約5重量%、より好ましくは少なくとも約15重量%の量で存在するのが一般的に好ましい。一定の好ましい態様において、発泡剤は、本組成物の少なくとも約50重量%を含み、一定の態様においては、発泡剤は、本質的に本組成物からなる。一定の好ましい態様において、本発明の発泡剤組成物は、HFO−1234(好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち一つ又はそれより多く)及びHFCO−1233(好ましくは、シスHFCO−1233zd及びトランスHFCO−1233zdのうち任意の一つ又はそれより多く)をはじめとする、式Iの化合物に加えて、一又はそれより多い共発泡剤、充填材、蒸気圧調節剤、燃焼抑制剤、安定化剤、及び同様の補助剤を含む。本発明にしたがった共発泡剤は、物理的発泡剤、化学的発泡剤(好ましくは、一定の態様において水を含む)、又は、物理的発泡剤と化学的発泡剤の特性の組合せを有する発泡剤を含むことができる。式Iの化合物ならびに共発泡剤を含む、本組成物中に含まれる発泡剤は、発泡剤として特徴づけるために必要なものに加えて、諸特性を示すことができることは理解されるだろう。例えば、本発明の発泡剤組成物は、添加される発泡剤組成物又は起泡可能な組成物に対して何らかの有益な特性を付与する上述の式Iの化合物をはじめとする成分を含んでもよいと考えられている。例えば、式Iの化合物、又は共発泡剤をポリマー改質剤又は粘度低減調節剤として作用させることは本発明の範囲内である。
【0069】
例として、一又はそれより多い以下の成分を、一定の好ましい本発明の発泡剤中に広い範囲の量で含ませることができる:炭化水素、ハイドロフルオロカーボン(HFC)、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、ギ酸メチル、ギ酸、水、トランス−1,2−ジクロロエチレン、二酸化炭素、及びこれらの任意の二つ又はそれより多くの組合せ。エーテルの中では、一定の態様において、1〜6個の炭素原子を有するエーテルを使用することが好ましい。アルコールの中では、一定の態様において、1〜4個の炭素原子を有するアルコールを使用することが好ましい。アルデヒドの中では、一定の態様において、1〜4個の炭素原子を有するアルデヒドを使用することが好ましい。
【0070】
1.エーテル
一定の非常に好ましい態様において、本発明の組成物、特に発泡剤組成物は、少なくともひとつのエーテル、好ましくは当該組成物中において共発泡剤として機能するものを含む。
【0071】
本発明のこの側面にしたがって使用されるエーテルは、フッ素化されたエーテル(FE)、より好ましくはひとつ又はそれより多いハイドロ−フッ素化されたエーテル(HFE)、更により好ましくは以下の式(III):
【0072】
【化3】

【0073】
(式中、
a=1−6、より好ましくは2−5、更により好ましくは3−5、
b=1−12、より好ましくは1−6、更により好ましくは3−6、
c=1−12、より好ましくは1−6、更により好ましくは2−6、
d=1−2、
e=0−5、より好ましくは1−3、
f=0−5、より好ましくは0−2であり、
そして式中、前記Cのひとつは前記Cのひとつと結合してシクロフルオロエーテルを形成してもよい)
にしたがったひとつ又はそれより多いC3−C5のハイドロ−フッ素化されたエーテルを含む。
【0074】
本発明の一定の好ましい態様は、本明細書中に記載されるような少なくともひとつのフルオロアルケン、好ましくは一定の態様においてHFCO−1233xdなどのクロロフルオロアルケンと、2−8個、好ましくは2−7個、更により好ましくは2−6個の炭素原子、そして一定の態様において最も好ましくは3個の炭素原子を含有する少なくともひとつのフルオロ−エーテル、より好ましくは少なくともひとつのハイドロ−フルオロエーテルとを含む組成物に関する。本発明のハイドロ−フルオロエーテル化合物は、少なくともひとつの水素を含有する場合に、本明細書中において、便宜の目的のため、ハイドロフルオロ−エーテル又は“HFE”と呼ぶことがある。
【0075】
本出願人らは、一般に本開示にしたがった、そして特に上述の式(III)にしたがったフルオロエーテルは、一般的に有効であり、本明細書中に含まれる教示にしたがったフルオロアルケン化合物と組み合わせて有用性を示すと考えている。しかし、本出願人らは、フルオロエーテルの中から、一定の態様において、特に発泡剤組成物、及びフォーム、及び発泡方法に関する諸態様において、少なくとも二フッ素化された、より好ましくは少なくとも三フッ素化された、更により好ましくは少なくとも四フッ素化されたハイドロフルオロエーテルを利用することが好ましいことを見出した。一定の態様において特に好ましいのは、3−5個の炭素原子、より好ましくは3−4個の炭素原子、更により好ましくは3個の炭素原子を有する四フッ素化されたフルオロエーテルである。
【0076】
一定の好ましい態様においては、本発明の化合物は、その任意かつすべての異性体の形態を含む、1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテル(本明細書中において、HFE−245pc又はHFE−245cb2と呼ぶことがある)を含む。
【0077】
本組成物中に含有される式IIIの化合物、特に1,1,2,2−テトラフルオロエチルメチルエーテルの量は、特定の応用に依存して、広く変動することができ、痕跡量より多く100%未満までの当該化合物を含有する組成物は、本発明の広い範囲の範囲内にある。好ましい態様においては、本組成物、特に発泡剤組成物は、好ましい群の化合物をはじめとする式IIIの化合物を、約1重量%〜約99重量%、より好ましくは約5重量%〜約95重量%、更により好ましくは約40重量%〜約90重量%の量で含む。
【0078】
以下の化合物のうちひとつ又はそれより多くは、本発明の一定の好ましい態様にしたがって使用するのに好ましい:
【0079】
【化4】

【0080】
【化5】

【0081】
本発明者らは、上述のHFEのうち任意のふたつ又はそれより多くを本発明の好ましい側面にしたがって組み合わせて使用してもよいと予期していることは理解すべきである。例えば、予期している。3Mにより商品名HFE−7100として販売されている材料は、約20%〜約80%のメチルノナフルオロイソブチルエーテルと約20%〜約80%のメチルノナフルオロブチルエーテルの混合物であると理解されているが、これを本発明の一定の好ましい態様にしたがって使用して利益を得ることができると予期している。更なる例として、3Mにより商品名HFE−7200として販売される材料は、約20%〜約80%のエチルノナフルオロイソブチルエーテルと約20%〜約80%のエチルノナフルオロブチルエーテルの混合物であると理解されているが、これを本発明の一定の好ましい態様にしたがって使用して利益を得ることができると予期している。
【0082】
また、上で挙げたHFEのうち任意のひとつ又はそれより多くを、本明細書中に具体的に挙げていない他のHFE、及び/又は、指定されたフルオロエーテルがともに共沸混合物を形成することが知られている他の化合物をはじめとする、他の化合物と組合せて同様に使用してもよいことは予期している。例えば、以下の化合物は各々、トランス−ジクロロエチレンとともに共沸混合物を形成することが知られており、本発明の目的のために、そのような共沸混合物の使用は本発明の広い範囲の範囲内であると考慮すべきである:
【0083】
【化6】

【0084】
2.ハイドロフルオロカーボン
特定の態様においては、本発明の発泡剤組成物は、共発泡剤として1種又は2種以上のHFCを含み、より好ましくは、1種又は2種以上の炭素数1から炭素数4のHFCを含み、及び/又は1種又は2種以上の炭化水素を、より好ましくは炭素数4から炭素数6の炭化水素を含む。例えば、HFCに関しては、本発明の発泡剤組成物は、ジフルオロメタン(HFC−32)、フルオロエタン(HFC−161)、ジフルオロエタン(HFC−152)、トリフルオロエタン(HFC−143)、テトラフルオロエタン(HFC−134)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、ペンタフルオロプロパン(HFC−245)、ヘキサフルオロプロパン(HFC−236)、ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)、ペンタフルオロブタン(HFC−365)、ヘキサフルオロブタン(HFC−356)及び、このようなHFCの異性体、の1種又は2種以上を含んでいてよい。
【0085】
ある態様において、以下のHFC異性体の1種又は2種以上は本発明の組成物において共発泡剤として用いるのに好ましい:
フルオロエタン(HFC−161)
1,1,1,2,2−ペンタフルオロエタン(HFC−125)
1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)
1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)
1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)
1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)
1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)
1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)
1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245eb)
1,1,2,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245ca)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)
1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)及び
1,1,1,2,2,3,4,5,5,5−デカフルオロペンタン(HFC−43−10−mee)
3.炭化水素
一定の態様においては、本発明の発泡剤組成物は、ひとつ又はそれより多い炭化水素、より好ましくはC3−C6の炭化水素を含むことが好ましい。本発泡剤組成物は、一定の好ましい態様においては、例えば、プロパン;イソ−及びノルマル−ブタン(かかるブタンは各々、熱可塑性フォームのための発泡剤として使用するのに好ましい);イソ−、ノルマル−、ネオ−及び/又はシクロ−ペンタン(かかるペンタンは各々、熱硬化性フォームのための発泡剤として使用するのに好ましい);イソ−及びノルマル−ヘキサン;及びヘプタンを含んでもよい。
【0086】
特に発泡剤組成物をはじめとする本組成物の一定の好ましい態様は、一又はそれより多いモノクロロトリフルオロプロペン、特にHFCO−1233zdと、イソ−ペンタン、ノルマル−ペンタン、シクロペンタン、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一つの炭化水素とを含み、約50重量%〜約85重量%のシクロペンタン、更により好ましくは約65重量%〜約75重量%のシクロペンタンを含む組合せが好ましい。
【0087】
4.アルコール
一定の態様においては、本発明の発泡剤組成物は、ひとつ又はそれより多いアルコール、好ましくはひとつ又はそれより多いC1−C4のアルコールを含むことが好ましい。例えば、本発泡剤組成物は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、及びオクタノールのうちひとつ又はそれより多くを含んでもよい。オクタノールの中から、イソオクタノール(すなわち、2−エチル−1−ヘキサノール)が発泡剤配合物及び溶媒組成物において使用するのに好ましい。
【0088】
特に発泡剤組成物をはじめとする本組成物の一定の好ましい態様は、一又はそれより多いモノクロロトリフルオロプロペン、特にHFCO−1233zdと、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、及びこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも一つのアルコールとを含む。
【0089】
5.アルデヒド
一定の態様においては、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロパナール、ブタナール、及びイソブタナールをはじめとする、ひとつ又はそれより多くのアルデヒド、特にC1−C4のアルデヒドをふくむことが好ましい。
【0090】
6.ケトン
一定の態様においては、特に本発明の発泡剤組成物、エアゾール及び溶媒組成物をはじめとする本発明の組成物は、ひとつ又はそれより多いケトン、好ましくはC1−C4のケトンを含むことが好ましい。例えば、本発泡剤組成物は、アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンのうちひとつ又はそれより多くを含んでもよい。
【0091】
7.クロロカーボン
一定の態様において、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、一又はそれより多いクロロカーボン、より好ましくは、C1−C3のクロロカーボンを含む。本組成物は、一定の好ましい態様において、例えば:1−クロロプロパン;2−クロロプロパン;トリクロロエチレン;パークロロエチレン;メテンクロライド;トランス−1,2ジクロロエチレン、及びこれらの組合せを含んでもよく、一定の態様、特に発泡剤の態様において、トランス−1,2ジクロロエチレンが特に好ましい。
【0092】
8.他の化合物
一定の態様において、特に本発明の発泡剤組成物をはじめとする本発明の組成物は、水、CO、ギ酸メチル、ギ酸、ジメトキシメタン(DME)、及びこれらの組合せを含む一つ又はそれより多い追加の化合物を含むことが好ましい。上述のなかで、DMEは、発泡剤組成物において、また、本発明にしたがったエアゾール組成物中の噴射剤として、特にHFCO−1233zdと組み合わせて使用するのに特に好ましい。上述のなかでは、水及びCOは、発泡剤において、また、本発明にしたがった噴射剤として、特にHFCO−1233zdと組み合わせて使用するのに特に好ましい。
【0093】
一定の態様において共発泡剤として使用するために予期されている、上記で言及した任意の追加的な化合物の相対量、並びに本発明の組成物に含まれていてよい、任意の追加的な成分の相対量も、組成物の特有の用途に従う本発明の一般的な広い範囲内において大きく異なってよく、そして、このような相対量はいずれも、本明細書の範囲内にあるべきであると考えられている。しかし、本願出願人は、例えば、HFO−1234ze及びHFCO−1233zdのような、本発明に記載の式Iの化合物の少なくともいくつかの特有の利点の一つは、このような化合物が比較的低い燃焼性を有することである、と言及する。従って、ある態様において、本発明の発泡剤組成物は、少なくとも一種の共発泡剤を含み、そして、式Iに記載の化合物を、全体として不燃性である発泡剤組成物を製造するのに十分な量だけ含むことが好ましい。従って、このような態様において、式Iの化合物と比較した共発泡剤の相対量は、少なくとも部分的に、共発泡剤の燃焼性に依存するであろう。
【0094】
本発明の発泡剤組成物は、広い範囲に亘る量の本発明の化合物を含んでよい。しかし、本発明に記載の発泡剤としての使用に好ましい組成物として、式Iに記載の化合物、そして、更に好ましくは、式IIに記載の化合物が、該組成物に対して、少なくとも約1重量%の量で存在することが好ましく、より好ましくは、少なくとも約5重量%の量で存在することが好ましく、そして、更に好ましくは、少なくとも約15重量%の量で存在することが好ましい。ある好ましい態様において、発泡剤は、本発明の発泡剤化合物を少なくとも約50重量%含み、そして、特定の態様においては、発泡剤は、実質的に本発明に記載の化合物から成る。この点において、1種又は2種以上の共発泡剤の使用は、本発明の新規で基本的な特徴と矛盾しないことが特筆される。例えば、水は、共発泡剤としてか、又は、他の共発泡剤(例えば、ペンタン、特にシクロペンタン等のような)と組み合わせてか、のいずれかにより、非常に多くの態様において用いられるであろうということが意図されている。
【0095】
本発明の発泡剤組成物は、好ましくは該組成物の少なくとも約15重量%の量で、特にシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、HFO−1234ye(Z)、トランスHFCO−1233zd、及びシスHFCO−1233zdをはじめとする、HFO−1234yf及び/又はHFCO−1233zdの一つ又はそれより多く、又はこれらのうち二つ又はそれより多い組合せを含んでいてよいことが意図されている。多くの好ましい態様において、水を含む共発泡剤は、組成物に含まれ、最も好ましくは、熱硬化性フォームの使用に向けられた組成物に含まれる。
【0096】
ある好ましい態様において、本発明のフォーム組成物は、約1:99から約50:50、より好ましくは約10:90から約30:70のシス:トランス重量比で、シスHFO−1234ze及びトランスHFO1234zeの組み合わせを含む。ある態様において、約1:99から約10:90、より好ましくは約1:99から約5:95のシス:トランス重量比で、シスHFO−1234ze及びトランスHFO1234zeの組み合わせを用いることが好ましいであろう。勿論、例えば、液体発泡剤と共に用いるのに適した発泡可能組成物と共に用いる場合のように、特定の態様においては、シス−異性体がトランス−異性体より高い濃度で存在する組み合わせを用いることが望ましいであろう。
【0097】
一定の態様において、本発明の発泡剤組成物は、HFCO−1233zd、より好ましくは少なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、より好ましくは少なくとも約95重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくは少なくとも約99重量%のHFCO−1233zdを含むことが好ましい。一定の好ましい態様において、本発明の発泡剤組成物は、少なくとも約80重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%のHFCO−1233zd、更により好ましくはany one or more of シス−HFCO−1233zd及びトランス−HFCO−1233zdの任意の一つ又はそれより多くを含むことが好ましい。
【0098】
本発明の発泡剤組成物は、一定の態様において、シスHFCO−1233zdとトランスHFCO−1233zdの組合せを含む。一定の態様において、シス:トランスの重量比は、約30:70〜約5:95、更により好ましくは約20:80〜約5:95であり、一定の態様においては、10:90の比が特に好ましい。
【0099】
ある好ましい態様において、発泡剤組成物は、約30重量%から約95重量%、より好ましくは約30重量%〜約96重量%、より好ましくは約30重量%〜約97重量%、更により好ましくは約30重量%〜約98重量%、更により好ましくは約30重量%〜約99重量%の式Iの化合物、より好ましくは式IIの化合物、そして、更に好ましくは、1種又は2種以上のHFO−1234及び/又はHFCO−1233(特に、シスHFCO−1233、トランスHFCO−1233、及びこれらのすべての組合せを含む)、及び、約5重量%から約90重量%、より好ましくは、約5重量%から約65重量%の共発泡剤を含む。このような態様のいくつかにおいては、共発泡剤は、HO、HFC、炭化水素、アルコール(好ましくは、C2、C3及び/又はC4アルコール)、CO、及びこれらの組み合わせを含み、そして好ましくは、実質的にこれらより成る。
【0100】
他の態様において、本発明は、起泡可能な組成物を提供する。本発明の起泡可能な組成物は、一般的には、フォームを形成することが可能な一又はそれより多い成分を含む。一定の態様において、当該一又はそれより多い成分は、フォーム及び/又は起泡可能な組成物を形成することが可能な熱硬化性組成物を含む。熱硬化性組成物の例としては、ポリウレタン及びポリイソシアヌレートフォーム組成物、ファノール樹脂フォーム組成物が挙げられる。フォームタイプ、特にポリウレタンフォーム組成物に関して、本発明は、硬質フォーム(独立気泡、連続気泡、及びこれらの任意の組合せ)、軟質フォーム、及び、インテグラルスキンフォームをはじめとする半軟質フォームを提供する。また、本発明は、噴霧可能な単一成分フォームを含む単一成分フォームを提供する。
【0101】
反応及び起泡方法は、気泡の大きさを制御、調節し、フォーム構造を形成の間安定化させるのに役立つ触媒や界面活性剤物質などの種々の添加剤を使用することにより、向上させることができる。更に、本発明の発泡剤組成物に関してこれまでに説明したひとつ又はそれより多い任意の追加の成分は、本発明の発泡可能な組成物中に組み込むことができると企図している。そのような熱硬化性フォームの態様において、ひとつ又はそれより多い本組成物は、発泡可能な組成物中において発泡剤として、又は発泡剤の一部として含められ、または、好ましくは適切な条件下で反応及び/又は発泡してフォーム又はセル状構造物を形成することができるひとつ又はそれより多い成分を含む、ふたつ又はそれより多い部分からなる発泡可能な組成物の一部分として含められる。
【0102】
本発明のある別の態様において、当該一つ又はそれより多い成分は、熱可塑性物質、特に、熱可塑性ポリマー及び/又は樹脂を含む。熱可塑性フォーム成分の例には、例えば、式Ar−CHCH2で表されるモノビニル芳香族化合物のようなポリオレフィンが含まれ、ここで、Arは、ポリスチレン(PS)のようなベンゼン系の芳香族炭化水素基である。本発明に適切なポリオレフィン樹脂の他の例には、ポリエチレン(PE)及びエチレンコポリマーのようなエチレンホモポリマー、ポリプロピレン(PP)、並びにポリエチレンテレフタレート(PET)、並びにそれらから形成されるフォーム、好ましくは低密度フォーム、を含む、種々のエチレン樹脂が含まれる。ある態様においては、熱可塑性発泡可能組成物は、押出し成形可能な組成物である。
【0103】
また、本発明は、本発明の組成物を含む発泡剤を含有するポリマーフォーム配合物から調製されたフォーム、好ましくは、独立気泡フォームに関する。更に他の態様において、本発明は、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、及びポリエチレンテレフタレート(PET)フォーム、好ましくは、低密度フォームなどの、熱可塑性又はポリオレフィンフォームを含む起泡可能な組成物を提供する。
【0104】
具体的な好ましい組成物
A.1,1,1−トリフルオロ,3−クロロプロペン(HFO−1233zd)を含有する組成物
本出願人らは、本質的な成分としてトリフルオロモノクロロプロペン、好ましくはCFCH=CHCl(トランスHFO−1233zd)と少なくともひとつの追加の化合物とを含む幾つかの組成物を開発した。そのような組成物において、HFO−1233zdの量は広く変動することができ、すべての場合において、組成物中のすべての他の成分が割合を占めた後に当該組成物の残りを構成する。一定の好ましい態様においては、組成物中のトリフルオロモノクロロプロペン、好ましくは、トランスHFCO−1233zd、シスHFCO−1233zd、及びこれらの組合せのうち各々の量は、以下の範囲にしたがうことができる:約1重量%〜約99重量%;約80重量%〜約99重量%;約1重量%〜約20重量%;約1重量%〜約25重量%;約1重量%〜約30重量%;及び約1重量%〜約50重量%。このタイプの好ましい組成物を、以下に説明するが、すべてのパーセントは重量基準のパーセントであり、表に示す追加成分に関して“約”の語がつくものと理解すべきである。加えて、以下の表は、トランスHFCO−1233zd、シスHFCO−1233zd、並びに、これら二つの化合物のすべての組合せ及び割合に適用されると理解すべきである。
【0105】
【表1】

【0106】
【表2】

【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
共発泡剤がHOである好ましい態様においては、組成物は、全発泡剤組成物の重量基準で、約5重量%〜約50重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは約10重量%〜約20重量%の量でHOを含む。
【0110】
共発泡剤がCOである好ましい態様においては、組成物は、全発泡剤組成物の重量基準で、約5重量%〜約60重量%、より好ましくは約20重量%〜約50重量%、更により好ましくは約40重量%〜約50重量%の量でCOを含む。
【0111】
共発泡剤がアルコール(好ましくはC2、C3、及び/又は、C4アルコール)である好ましい態様においては、組成物は、全発泡剤組成物の重量基準で、約5重量%〜約40重量%、より好ましくは約10重量%〜約40重量%、更により好ましくは約15重量%〜約25重量%の量でアルコールを含む。
【0112】
HFC共発泡剤を含む組成物について、HFC共発泡剤(好ましくは、C2、C3、C4、及び/又は、C5のHFC)、更により好ましくはジフルオロメタン(HFC−152a)(HFC−152aは、押出熱可塑性物質について特に好ましい)及び/又はペンタフルオロプロパン(HFC−245)は、好ましくは、全発泡剤組成物の約5重量%〜約80重量%、より好ましくは全発泡剤組成物の約10重量%〜約75重量%、更により好ましくは約25重量%〜約75重量%の量で組成物中に存在する。更に、かかる態様において、HFCは、好ましくはC2−C4のHFCであり、更により好ましくはC3のHFCであり、一定の態様においては、HFC−245faなどの五フッ素化されたC3のHFCが非常に好ましい。
【0113】
HFE共発泡剤を含む組成物について、HFE共発泡剤(好ましくは、C2、C3、C4及び/又はC5のHFE)、更により好ましくはHFE−254(特にHFE−254pcを含む)は、好ましくは、全発泡剤組成物の約5重量%〜約80重量%、より好ましくは約10重量%〜約75重量%、更により好ましくは約25重量%〜約75重量%の量で組成物中に存在する。更に、かかる態様において、HFEは、C2−C4のHFE、更により好ましくはC3のHFEであり、一定の態様においては、五フッ素化されたC3のHFEが非常に好ましい。
【0114】
HC共発泡剤を含む組成物について、HF共発泡剤(好ましくはC3、C4、及び/又はC5のHC)は、好ましくは、全発泡剤組成物の約5重量%〜約80重量%、更により好ましくは全発泡剤の約20重量%〜約60重量%の量で組成物中に存在する。
【0115】
方法及びシステム
フォームを形成するための、現在知られた利用できる方法及びシステムは、本発明と関連して使用するために、容易に適合可能であると考えられる。例えば、本発明の方法は、一般的に、本発明の発泡剤を発泡可能組成物又はフォーム形成組成物に組み入れ、次に、好ましくは、本発明の発泡剤の体積膨張を引き起こすことを含むステップ又は一連のステップにより組成物を起泡することを必要とする。全般に、発泡剤の組み入れのため及び起泡のための現在使用されているシステム及び装置は、本発明の使用のために容易に適合することが可能であると考えられる。実際、本発明の利点の一つは、既存の起泡方法及びシステムと通常互換性がある、改善された発泡剤の設備であると考えられている。
【0116】
従って、本発明が、熱硬化性フォーム、熱可塑性フォーム及び現場施工型フォーム(formed-in-place foam)を含む、あらゆる種類のフォームのための方法及びシステムを含むことは、当業者によって理解されるであろう。従って、本発明の1つの側面は、本発明の発泡剤を、ポリウレタン起泡装置のような従来の起泡装置と共に、従来の処理条件で用いることである。故に、本発明の方法は、マスターバッチタイプの操作、混合工程、第3のストリーム(stream)への発泡剤の添加、そして、発泡ヘッド(foam head)での発泡剤の添加を含む。
【0117】
熱可塑性フォームに関して、好ましい方法においては、本発明に記載の発泡剤を、熱可塑性物質、好ましくはポリオレフィンのような熱可塑性ポリマーに添加し、次いで、熱可塑性物質を、起泡を起こすのに有効な条件に曝すことが含まれる。例えば、熱可塑性物質に発泡剤を添加する段階は、熱可塑性物質を含むスクリュー押出し機に発泡剤を添加することを包含してよく、そして、起泡を起こす段階は、熱可塑性物質への圧力を下げることを包含し、これにより発泡剤の膨張が引き起こされ、その結果、物質は起泡することになる。
【0118】
本明細書に包含される開示に特に鑑み、本発明の発泡剤が形成される際の、そして/又は発泡可能組成物に添加される際の順序及び方法が、一般的に本発明の実施可能性に影響を与えないことは、当業者によって理解されるであろう。例えば、押出し成形可能なフォームの場合、発泡剤の種々の成分及び発泡可能組成物の成分でさえもが、押出し成形装置へ添加する前に混合されていなかったとしても可能であり、又は該成分が押出し成形装置内の同じ場所に添加されていないことさえも可能である。更に、発泡剤は、直接添加されるか、又は、それから更に発泡可能組成物の他の部分に添加されるプレミックスの一部として添加されるかのいずれかが可能である。
【0119】
従って、ある態様においては、発泡剤の成分が押出し成形機で一緒になり、そして/又は、この方法において、より効率的に作動することを見込んで、発泡剤の他の1種又は2種以上の成分を添加する場所の上流である、押出し成形機の最初の場所で、発泡剤の1種又は2種以上の成分を添加することが望ましいであろう。それでも、ある態様においては、発泡剤の2種又は3種以上の成分が前もって組み合わされ、一緒になって発泡可能組成物に、直接添加されるか、又は、それから更に発泡可能組成物の他の部分に添加されるプレミックスの一部として添加される。
【0120】
一定の好ましい態様において、分散剤、気泡安定化剤、界面活性剤、及び他の添加剤も本発明の発泡剤組成物中に組み込むことができる。界面活性剤は、任意であるが、好ましくは、気泡安定化剤として使用するために添加する。一部の代表的な材料は、DC-193、B-8404、及びL-5340の名称で販売されており、一般的には、各々が参照により本明細書中に援用される米国特許第2,834,748号、2,917,480号、及び2,846,458号に開示されたものなどの、ポリシロキサンポリオキシアルキレンブロックコポリマーである。発泡剤混合物のための他の任意の添加剤としては、トリ(2−クロロエチル)ホスフェート、トリ(2−クロロプロピル)ホスフェート、トリ(2、3−ジブロモプロピル)ホスフェート、トリ(1,3−ジクロロプロピル)ホスフェート、ジアンモニウムホスフェート、種々のハロゲン化された芳香族化合物、酸化アンチモン、アルミニウム三水和物、ポリ塩化ビニルなどの燃焼抑制剤が挙げられる。
【0121】
ここに参照によって組み入れられた「ポリウレタンの化学及び技術(Polyurethanes Chemistry and Technology)」第1巻及び第2巻, Saunders and Frisch, 1962年, John Wiley and Sons,ニューヨーク市,ニューヨーク州に記載されている方法のような、当該分野でよく知られたいずれの方法も使用することでき、又は、本発明のフォームの態様に従った使用に適合することができる。
【0122】
噴射剤及びエアゾール組成物
別の面において、本発明は、本発明の組成物を含むかまたは本質的にこの組成物からなる噴射剤組成物を提供する。一定の好ましい態様において、そのような噴射剤組成物は、好ましくは、単独で又は他の既知の噴射剤と組み合わせて霧化しうる組成物である。
【0123】
一の側面において、本組成物は、本発明の組成物を膨張させることにより発生し得る本組成物により生ずる力をかかる物体に適用することにより、固体及び/又は液体の物体及び/又は気体の物体をはじめとする、物体を噴射させるために使用することができる。例えば、好ましくは、かかる力は本発明の組成物の相を液体から気体へと変化させることにより、及び/又は、本発明の組成物が加圧容器から出るときの実質的な圧力減少の結果として放出される力により、少なくとも部分的に提供される。このようにして、本発明の組成物を使用して、爆発的な力又は持続する力を噴射すべき物体に適用することができる。したがって、本発明は、本発明の組成物を含み、液体又は固体の物体、あるいは気体の物体のいずれかを所望の量の力で噴射又は移動させるように構成されたシステム、容器、及び装置を含む。かかる使用の例としては、導管、チャネル、又はノズル中のドレイン、パイプ、又は閉塞物を噴射力により取り去るために使用することができる容器(加圧された缶及び同様のデバイス)が挙げられる。別の用途としては、弾丸、ペレット、手榴弾、ネット、キャニスタ、豆袋、電極、又は他の個々の束縛された又は束縛されていない投射物などの、固体の物体を環境、特に周囲空気へと噴射するために、本組成物を使用することが挙げられる。他の態様においては、本組成物を使用して、ジャイロスコープ、遠心機、玩具、又は回転する物体に対して吐出性の動きなどの運動を付与したり、あるいは、花火、紙吹雪、ペレット、弾薬、及び他の固体物体などの固体の物体に対して噴射性の力を付与したりすることができる。他の用途において、本発明の組成物により提供される力を使用して、ロケット又は他の投射物をはじめとする、動いている物体を押したり、方向を変えたりすることができる。
【0124】
本発明の噴射剤組成物は好ましくは、噴射されるべき材料と、本発明に従う組成物を含む(あるいは本質的にその組成物からなる、またはその組成物からなる)噴射剤とを含む。不活性成分、溶剤、およびその他の物質も、霧化可能混合物中に存在していてもよい。好ましくは、この霧化しうる組成物はエアゾールである。噴射されるべき適当な材料としては、限定するものではないが、消臭剤、香料、ヘアスプレー、クレンザーなどの化粧品、および磨き剤、さらには抗喘息成分、口臭除去成分、および好ましくは吸入することが意図される他の全ての薬物または薬剤を含む他の全ての薬品などの医薬物質がある。薬物またはその他の治療剤は、組成物中に治療量で存在するのが好ましく、組成物の残りの本質的な部分は本発明の式Iの化合物、好ましくはHFO−1234、さらに好ましくはシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより多くを含む。
【0125】
工業用途、消費者または医療用途のためのエアゾール製品は典型的に、1種以上の噴射剤とともに、1種以上の有効成分、不活性成分または溶剤を含む。噴射剤は、製品をエーロゾル化した形態で排出する力を与える。エアゾール製品の幾つかのものは、二酸化炭素、窒素、亜酸化窒素、さらには空気のような圧縮気体を用いて噴射されるが、大部分の市販用のエアゾールは液化ガスの噴射剤を用いる。最も一般的に用いられる液化ガス噴射剤は、ブタン、イソブタン、およびプロパンなどの炭化水素である。ジメチルエーテルとHFC−152a(1,1−ジフルオロエタン)も、単独で、または炭化水素の噴射剤と混合して用いられる。あいにくと、これらの液化ガス噴射剤の全てがかなり可燃性なので、それらをエアゾール配合物の中に組み入れることによって、可燃性のエアゾール製品がしばしば得られるだろう。
【0126】
出願人は、エアゾール製品に配合するための不燃性の液化ガス噴射剤に対する継続的な要求を認識するに至った。本発明は、本発明の組成物、特にそして好ましくはHFO−1234、さらに好ましくはシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより多くを含む組成物であって、例えばスプレー式クリーナーや潤滑剤、およびそれらの類似物を含む特定の工業用エアゾール製品、および例えば薬品を肺や粘膜に供給するためのものを含む医薬用エアゾールにおいて用いるための組成物を提供する。この例としては、喘息やその他の慢性肺障害疾患の治療のためや接近可能な粘膜または鼻腔内に薬物を供給するための計量投与吸入器(MDI)がある。従って、本発明は、(人間や動物などの)生物の病気、疾病および類似の健康に関連する問題を治療するための方法を含み、この方法は、治療が必要な生物に薬物またはその他の治療成分を含む本発明の組成物を適用することを含む。特定の好ましい態様において、本組成物を適用する工程は、本発明の組成物を含有するMDIを用意すること(例えば、その組成物をMDIの中に導入すること)、そして次に、本組成物をMDIから放出することを含む。
【0127】
本発明の組成物、特にシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより多くを含むかあるいは本質的にこれらからなる組成物は、地球温暖化に実質的に寄与しない不燃性の液化ガス噴射剤およびエアゾールを提供することができる。本組成物は、コンタクトクリーナー、ダスター、潤滑剤スプレー、および類似物などの様々な工業用エアゾールまたはその他のスプレー可能な組成物や、個人用ケア製品、家財製品および自動車用製品などの消費者用エアゾールを配合するために用いることができる。HFO−1234zeは、計量投与吸入器などの医薬用エアゾールのための噴射剤組成物の重要な成分として用いるのに特に好ましい。多くの適用における本発明の医薬用エアゾールおよび/または噴射剤および/またはスプレー可能な組成物は、式(I)または(II)の化合物(好ましくはシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意の一つ又はそれより多く)に加えて、ベータ作用薬、コルチコステロイドまたはその他の薬物、および任意に、界面活性剤、溶剤、他の噴射剤、香味剤およびその他の賦形剤などその他の成分を含む。本発明の組成物は、これらの適用においてこれまで用いられた多くの組成物とは異なり、良好な環境特性を有し、地球温暖化に寄与する可能性があるとは考えられない。従って、本組成物は、特定の好ましい態様において、非常に低い地球温暖化係数を有する本質的に不燃性の液化ガス噴射剤を提供する。
【0128】
香味剤および芳香剤
本発明の組成物は、香味配合物および芳香配合物の一部として、そして特にこれらのためのキャリヤーとして用いられるときにも利点を提供する。この目的のための本組成物の適性は、0.39グラムのジャスモンを厚肉のガラス管の中に入れる試験手順によって例証された。1.73グラムのR−1234zeがガラス管に添加された。次いで、管は冷凍され、そして密封された。管が解凍したとき、混合物は一つの液体相を有していた。その溶液は20重量%のジャスモンと80重量%のR−1234zeを含んでいて、したがってエアゾールおよびその他の配合物において、香味配合物及び芳香剤のための供給系の担体として、あるいはその供給系の一部として用いるのに有利であることが確認された。また、植物から抽出されるものを含めて、生物活性化合物(バイオマスなど)及び芳香の抽出剤としての可能性も確認された。一定の態様において、超臨界状態である本流体を用いて抽出用途において本組成物を使用することが好ましい場合がある。超臨界又は近超臨界状態の本組成物を使用することに関する他の用途は以下に説明する。
【0129】
方法及びシステム
本発明の組成物は、冷却システム、空調システムおよびヒートポンプシステムにおいて用いられる冷媒など、熱を伝達するための方法とシステムにおける熱伝達流体としての用途を含めて、多くの方法とシステムに関して有用である。本組成物はまた、エアゾールを発生させるシステムと方法、好ましくはそのようなシステムと方法におけるエアゾール噴射剤を含むかまたはそれからなるエアゾールを発生させるシステムと方法において用いるのに有利である。気泡材料を形成する方法および炎を消しそして抑える方法も、本発明の特定の面に含まれる。本発明はまた、特定の面において、そのような方法とシステムにおいて本組成物が溶剤組成物として用いられている物品から残留物を除去する方法も提供する。
【0130】
フォーム発泡方法
本発明の一つの態様は、フォームを形成する方法、そして好ましくはポリウレタンおよびポリイソシアヌレートのフォームを形成する方法に関する。その方法は、概して言えば、本発明の発泡剤組成物を用意し、その発泡剤組成物を(直接または間接に)起泡可能な組成物に添加し、そしてフォームまたは気泡構造物が形成されるのに有効な条件下で起泡可能な組成物を反応させることを含み、この工程は当分野で周知である。例えば「ポリウレタンの化学と技術(Polyurethanes Chemistry and Technology)」Volumes I and II, Saunders and Frisch, 1962, John Wiley and Sons, New York, NY, (この記載は参照により本明細書中に援用される)に記載されているような、当分野で周知のいかなる方法も、本発明のフォームの態様にしたがって用いるために、使用するかあるいは適合させることができる。一般に、そのような好ましい方法は、イソシアネート、ポリオールまたはポリオールの混合物、発泡剤または本発明の組成物を1以上含む発泡剤の混合物、および触媒、界面活性剤、そして任意に難燃剤、着色剤またはその他の添加剤などの他の材料を組み合わせることによって、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートのフォームを調製することを含む。
【0131】
多くの適用において、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートのフォームのための成分をプレブレンド配合において用意するのが好都合である。最も典型的には、フォーム配合物はプレブレンドされて、二つの成分にされる。イソシアネートと任意の特定の界面活性剤と発泡剤は第一の成分を構成し、これは通常「A」成分と呼ばれる。ポリオールまたはポリオールの混合物、界面活性剤、触媒、発泡剤、難燃剤、およびその他のイソシアネート反応性成分は第二の成分を構成し、これは通常「B」成分と呼ばれる。従って、AおよびBの副成分を、小さな調製物を得るための手混合によって、そして好ましくはブロック、スラブ、ラミネート、現場注入パネル、およびその他の物品、スプレーされたフォーム、フロスおよび類似物を形成するための機械混合法によって混合することにより、ポリウレタンまたはポリイソシアヌレートのフォームが容易に調製される。任意に、難燃剤、着色剤、補助発泡剤、およびさらに他のポリオールなどの他の成分を、混合ヘッドまたは反応位置に第三の流れとして添加することができる。しかし、最も好ましくは、これらは全て上記の一つのB成分の中に組み込まれる。
【0132】
また、本発明の組成物を用いて熱可塑性フォームを製造することもできる。例えば、一般的なポリスチレンやポリエチレン配合物を通常の方法で組成物に添加し、それにより硬質のフォームを製造することができる。
【0133】
洗浄方法
本発明はまた、製品、部材、部品、基板、またはその他のあらゆる物品またはその部分から、その物品に本発明の組成物を適用することによって、汚染物質を除去する方法を提供する。便宜上の目的から、“物品”という用語は、本明細書においては、そのようなあらゆる製品、部材、部品、基板、および類似物を意味するものとして用いられ、またさらには、あらゆる表面またはその部分を意味することが意図されている。さらに、“汚染物質”という用語は、物品の上に存在するあらゆる望ましくない材料または物質を意味することが意図されていて、そのような物質が物品の上に意図的に置かれている場合であっても、そうである。例えば、半導体デバイスの製造においては、基板の上にフォトレジスト材料を堆積してエッチング工程のためのマスクを形成し、次いでフォトレジスト材料を基板から除去するのが一般的である。ここで用いられる“汚染物質”という用語は、そのようなフォトレジスト材料に適用され、そしてそれを含むことが意図されている。
【0134】
本発明の好ましい方法は、本組成物を物品に適用することを含む。多くの様々な洗浄法において本発明の組成物を良好に用いることができると考えられるが、本組成物を超臨界洗浄法に関して用いるのが、特に有利であると考えられる。超臨界洗浄は米国特許第6,589,355号に開示されていて、これは本発明の譲受人に譲渡されたが、この特許は本明細書中に参考文献として援用される。超臨界洗浄の適用については、特定の態様においては、HFO−1234(好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち一つ又はそれより多く)に加えて、1以上の追加の成分、例えば超臨界洗浄の適用に関する使用のために知られているCOやその他の追加の成分などを、本洗浄組成物の中に含めるのが好ましい。また、特定の態様においては、特定の蒸気脱脂法や溶剤洗浄法に関連して本洗浄組成物を用いることができて、そしてそれが望ましいかもしれない。
【0135】
可燃性低減方法
特定の他の好ましい態様によれば、本発明は流体の可燃性を低減するための方法を提供し、前記方法は、前記流体に本発明の化合物または組成物を添加することを含む。広い範囲で可燃性を有する流体のいかなるものに関する可燃性も、本発明に従って低減するだろう。例えば、エチレンオキシド、可燃性ヒドロフルオロカーボン、およびHFC−152a、1,1,1−トリフルオロエタン(HFC−143a)、ジフルオロメタン(HFC−32)、プロパン、ヘキサン、オクタン、および類似物を含めた炭化水素などの流体に関する可燃性は、本発明に従って低減させることができる。本発明の目的に関して、可燃性流体とは、例えばASTM E−681などのあらゆる標準的で一般的な試験方法によって測定されて空気中で可燃性範囲を示すあらゆる流体であろう。
【0136】
本発明に従って流体の可燃性を低減するために、いかなる適当な量の本化合物または組成物も添加することができるだろう。当業者であれば認識できるであろうが、添加する量は、少なくとも一部は、対象の流体の可燃性の程度、およびその可燃性がどの程度まで低減されるのが望ましいか、に依存するだろう。特定の好ましい態様においては、可燃性流体に添加される化合物または組成物の量は、得られる流体を実質的に不燃性にするのに有効な量である。
【0137】
燃焼抑制方法
本発明はさらに、燃焼抑制方法を提供し、その方法は、炎に本発明の化合物または組成物を含む流体を接触させることを含む。炎を本組成物と接触させるために、いかなる適当な方法を用いてもよい。例えば、本発明の組成物を炎の上にスプレーしたり、注ぎ込むなどすることができ、あるいは炎の少なくとも一部を組成物に浸漬してもよい。ここでの教示を考慮して、当業者であれば、本発明において用いるための様々な一般的な燃焼抑制のための装置と方法を容易に適用することができるだろう。
【0138】
滅菌方法
多くの物品、装置、および材料、特に医療分野で用いられるものは、患者や病院職員の健康と安全などの健康上と安全上の理由から、使用する前に滅菌されなければならない。本発明は、滅菌されるべき物品、装置または材料を、1以上の滅菌剤と組み合わせて、式Iの化合物、好ましくはHFO−1234、そしてさらに好ましくはシス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち一つ又はそれより多くを含む本発明の化合物または組成物と接触させることを含む、滅菌方法を提供する。当分野で多くの滅菌剤が知られていて、それらを本発明に関して用いるために適用することができると考えられるが、特定の好ましい態様においては、滅菌剤は、エチレンオキシド、ホルムアルデヒド、過酸化水素、二酸化塩素、オゾン、およびこれらの組み合わせを含む。特定の態様においては、エチレンオキシドが好ましい滅菌剤である。本明細書に含まれる教示に鑑みて、当業者であれば、本滅菌組成物および方法に関して用いられるべき本化合物と滅菌剤の相対的な割合を容易に決定することができるだろう。そしてそのような割合の全ての範囲が、本発明の広い範囲に含まれる。当業者には知られているように、エチレンオキシドなどの特定の滅菌剤は比較的可燃性の高い成分であるが、本発明に従う化合物は、組成物中に存在する他の成分とともに、滅菌組成物の可燃性を許容可能なレベルまで低減させるのに有効な量で、本組成物中に含まれる。
【0139】
本発明の滅菌方法は高温または低温の滅菌のいずれでもよいが、本発明の方法は、約250°Fから約270°Fまでの温度で、好ましくは実質的に密封された空間内で、本発明の化合物または組成物を使用することを含む。そのプロセスは通常、約2時間未満で完了させうる。しかし、プラスチック物品や電気部品など、ある物品はそのような高温に耐えることができないので、低温の滅菌を必要とする。低温滅菌方法においては、滅菌されるべき物品は、ほぼ室温から約200°Fまでの温度で、より好ましくはほぼ室温から約100°Fまでの温度で、本発明の組成物を含む流体にさらされる。
【0140】
本発明の低温滅菌は好ましくは、実質的に密封された、好ましくは気密の空間内で行なわれる少なくとも二工程のプロセスである。第一の工程(滅菌工程)において、洗浄されて気体透過性の袋の中に包まれた物品は、チャンバー内に置かれる。次いで、真空引きすることによって、あるいは空気を蒸気と置換することによって、チャンバーから空気が排出される。特定の態様においては、チャンバー内に蒸気を噴射することによって、好ましくは約30%〜約70%の範囲の相対湿度を達成するのが好ましい。そのような湿度は滅菌剤の滅菌効果を最大にするだろう。滅菌剤は、所望の相対湿度が達成された後にチャンバー内に導入される。滅菌剤が包装を透過して物品の隙間に到達するのに十分な一定の時間が経過した後、滅菌剤と蒸気がチャンバーから排出される。
【0141】
プロセスの好ましい第二の工程(通気工程)において、残留した滅菌剤を除去するために、物品は通気される。そのような残留物を除去することは、毒性のある滅菌剤の場合に特に重要であるが、本発明の実質的に非毒性の化合物が用いられるような場合には、その工程は任意である。典型的な通気プロセスには、空気洗浄、連続的な通気、およびこれら二つの組み合わせが含まれる。空気洗浄は回分操作(バッチプロセス)であり、通常は空間内を比較的短い時間(例えば12分間)排気することと、次いで空間内に空気を大気圧以上で導入することを含む。このサイクルは、滅菌剤の所望の除去が達成されるまで、何回でも繰り返される。連続的な通気は典型的には、空間の一方の側にある入口を通して空気を導入することと、次いで、空間の他方の側にある出口を通して、この出口にわずかな真空を適用することによって空気を抜き出すことを含む。これら二つの方法は、しばしば組み合わされる。例えば、一般的なやり方は、空気洗浄を行い、次いで通気サイクルを行うことを含む。
【0142】
フォーム
本発明は、本発明の組成物を含む発泡剤を含むポリマーフォーム配合物により調製されたあらゆるフォーム(閉じた気泡フォーム(closed cell foam)、閉じていない気泡フォーム(open cell foam)、硬質のフォーム、柔軟なフォーム、スキン層付きフォーム等を含むが、これらに限定されない)に関する。本願出願人らは、フォーム、特に本発明に記載のポリウレタンフォームのような熱硬化性フォームの一つの利点は、好ましくは熱硬化性フォームの態様と関連して、特にそして好ましくは低温条件下で、例えばK−ファクターまたはラムダにより測定することのできる、非常にすぐれた熱特性を達成できる能力であるということを見出した。本発明のフォームは、特に本発明の熱硬化性フォームは種々の用途に用いることができると意図されているが、ある好ましい態様において、本発明は、冷蔵庫用フォーム、冷凍庫用フォーム、冷蔵庫/冷凍庫用フォーム、パネル用フォーム、及び他の低温又は極低温製造装置を含む、本発明に記載の装置用フォームを含む。
【0143】
特定の好ましい態様において、本発明に記載のフォームは、本発明の好ましい発泡剤の多くが関連する低オゾン層破壊係数及び低地球温暖化係数に加えて、断熱効率(特に、熱硬化性フォーム)、寸法安定性、圧縮強さ、断熱効率の経時変化を含む1つ又は2つ以上の非常にすぐれた特徴、性質、及び/又は特性を提供する。ある非常に好ましい態様において、本発明は、フォーム製品に形成されるフォームのような熱硬化性フォームを提供し、それは、同じ発泡剤(又は、通常用いられる発泡剤であるHFC−245fa)を同じ量で用いるが、本発明に記載の式Iの化合物を有さずに作製されたフォームに比べて改善された熱伝導性を示す。ある非常に好ましい態様において、熱硬化性フォーム、及び好ましくは本発明のポリウレタンフォームは、40°Fで、約0.14以下のK−ファクター(BTU in/hr ft °F)を示し、より好ましくは0.135以下、そして更に好ましくは0.13以下を示す。更に、ある態様においては、熱硬化性フォーム、及び好ましくは本発明のポリウレタンフォームは75°Fで、約0.16以下のK−ファクター(BTU in/hr ft °F)を示し、より好ましくは0.15以下、そして更に好ましくは0.145以下を示す。
【0144】
他の好ましい態様において、本発明のフォームは、本発明の範囲外の発泡剤により製造されたフォームと比べて、改善された機械的性質を示す。例えば、本発明のある好ましい態様は、シクロペンタンより成る発泡剤を使用することにより、実質的に同一の条件の下で製造されたフォームより優れた圧縮強さを有し、そして好ましくは少なくとも相対的に約10%大きな圧縮強さを有し、そして、更に好ましくは少なくとも相対的に約15%大きな圧縮強さを有するフォーム及びフォーム製品を提供する。更に、発泡剤がHFC−245faより成ることを除き、実質的に同様の条件の下でフォームを作製することにより示される圧縮強さにコマーシャルベースで匹敵する圧縮強さを、本発明に従って製造されたフォームが有することが好ましい。ある好ましい態様において、本発明のフォームは少なくとも約12.5%の降伏(yield)(平行方法及び垂直方向)を示し、そして、更に好ましくは、少なくとも約13%の降伏を前記のそれぞれの方向において示す。
【実施例】
【0145】
以下の実施例は本発明を例証する目的で提示されるが、本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1
成績係数(coefficient of performance:COP)は、一般に認められている冷媒性能の尺度であり、冷媒の蒸発または凝縮を含む特定の加熱または冷却のサイクルにおける冷媒の相対的な熱力学的効率を表わすのに特に有益である。冷却工学において、この用語は、蒸気を圧縮する際に圧縮機によって加えられたエネルギーに対する有用な冷却の比率を表わす。冷媒の能力(capacity)は冷媒が与える冷却または加熱の量を表わし、それは、冷媒の所定の容積流量に対して圧縮機が熱量を与える性能の尺度を与える。言い換えると、特定の圧縮機があるとき、冷媒の能力が大きいほど、その冷媒はより大きな冷却能力または加熱能力を伝えるだろう。特定の操作条件における冷媒のCOPを評価するための一つの手段は、標準冷却サイクル分析法を用いる冷媒の熱力学的特性からのものである(例えば、R.C. Downing, FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK(フルオロカーボン冷媒便覧), Chapter 3, Prentice-Hall, 1988を参照されたい)。
【0146】
冷却/空調サイクル装置が用意され、このとき、圧縮機の入口温度を約50°Fとする名目上の等エントロピー圧縮の下で、凝縮器の温度は約150°Fであり、蒸発器の温度は約−35°Fであった。1.00のCOP値と1.00の能力値および175°Fの排出温度を有するHFC−134aを基にして、ある範囲の凝縮器温度と蒸発器温度にわたって、本発明の幾つかの組成物についてCOPが測定され、これを下の表1に報告する。
【0147】
【表5】

【0148】
この実施例は、本組成物において用いるための好ましい化合物の特定のものはそれぞれ、HFC−134aよりも良好なエネルギー効率を有し(1.00と比較して1.02、1.04および1.13)、そして本冷媒組成物を用いる圧縮機は有利な排出温度をもたらすであろう(175と比較して158、165および155)、ということを示す。というのは、この排出温度の結果は、補修管理の問題の低減をもたらすと考えられるからである。そのうえ、本発明の一態様、すなわち、冷媒組成物が好ましくは少なくとも約70重量%のHFO−1234yfを含む態様は、R−134aと比較した場合だけでなく、冷媒が本質的にHFO−1234zeからなる態様と比較した場合でも、相対能力に関して劇的にすぐれた性能を有することが上の表から明らかである。一定の好ましい態様においては、したがって、本発明は、物品又は流体を加熱又は冷却するための方法であって、少なくとも約80重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−1234yfを含む組成物を用いることを含む方法を提供する。かかる冷却システムの能力は、冷媒としてR−134aを使用する同じシステムの能力の少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約105%である。
【0149】
実施例2
様々な冷却潤滑剤とのHFO−1225yeおよびHFO−1234zeの混和性を試験する。試験する潤滑剤は、鉱油(C3)、アルキルベンゼン(Zerol 150)、エステルオイル(Mobil EAL 22cc及びSolest 120)、ポリアルキレングリコール(PAG)油(134aシステムのためのGoodwrench Refrigeration Oil)、及びポリ(アルファ−オレフィン)油(CP-6005-100)である。それぞれの冷媒/オイルの組み合わせについて、三つの組成物を試験する。すなわち、5、20および50重量パーセントの潤滑剤と、各々の残りは試験に供された本発明の化合物である。
【0150】
潤滑剤組成物を肉厚のガラスチューブの中に入れる。ガラスチューブを排気し、本発明にしたがった冷媒化合物を添加し、次いでチューブをシールする。次いで、ガラスチューブを空気浴環境のチャンバー内に置く。チャンバー内の温度は約−50℃から70℃まで変化させる。およそ10℃の間隔で、一つ以上の液体相の存在について、チューブの内容物の目視観察を行う。一より多い液体相が観察された場合、混合物は不混和性であるとされる。一つだけの液体相が観察された場合、混合物は混和性であるとされる。二つの液体相が観察されたが、しかし液体相のうちの一つが非常に少ない容積だけを占めている場合、混合物は部分的に混和性であるとされる。
【0151】
ポリアルキレングリコールとエステルオイル潤滑剤は、試験された全ての割合において、全ての温度範囲にわたって混和性であると判定されたが、ただしポリアルキレングリコールとHFO−1225yeの混合物については、その冷媒混合物は−50℃から−30℃の温度範囲においては不混和性であると認められ、そして−20℃から50℃の範囲では部分的に混和性であった。60℃での冷媒中の50重量パーセントの濃度のPAGにおいて、その冷媒/PAG混合物は混和性であった。70℃において、冷媒中の5重量パーセントの潤滑剤から冷媒中の50重量パーセントの潤滑剤まで、それは混和性であった。
【0152】
実施例3
本発明の冷媒化合物及び組成物のPAG潤滑油との適合性を、冷却装置と空調装置において用いられる金属と接触している状態で、350℃において試験する。この温度は、多くの冷却や空調の適用において見出される条件よりもずっと厳しい条件を表わす。
【0153】
アルミニウム、銅及び鋼の試験片(クーポン)を、肉厚のガラスチューブに入れる。2グラムのオイルをチューブの中に入れる。次いで、ガラスチューブを排気し、そして1グラムの冷媒を添加する。ガラスチューブを350°Fの炉の中に一週間入れ、目視観察を行う。曝露期間の最後にガラス管を取り出す。
【0154】
この手順は、オイルと本発明の化合物の下記の組み合わせについて行なわれた:
a)HFO−1234zeとGM Goodwrench PAGオイル
b)HFO−1243zfとGM Goodwrench PAGオイル
c)HFO−1234zeとMOPAR-56 PAGオイル
d)HFO−1243zfとMOPAR-56 PAGオイル
e)HFO−1225yeとMOPAR-56 PAGオイル。
【0155】
すべての場合において、ガラスチューブの内容物の外観に極少の変化が存在する。このことは、本発明の冷媒化合物と組成物は、冷却装置と空調装置及びこれらのタイプの装置においてその組成物の中に含まれるかあるいはその組成物とともに用いられることの多いタイプの潤滑油において見出されるアルミニウム、鋼、及び銅と接触したときに安定である、ということを示す。
【0156】
比較例
アルミニウム、銅、及び鋼の試験片を、鉱油及びCFC−12とともに肉厚のガラスチューブの中に入れ、実施例3におけると同様に、350℃において一週間加熱する。曝露期間の最後にガラスチューブを取り出し、目視観察を行う。液体の内容物が黒色に変化したのが観察され、このことは、チューブの内容物が激しく分解したことを示す。
【0157】
CFC−12と鉱油はこれまで、多くの冷却システムと冷却方法において組み合わせて選択されてきた。したがって、本発明の冷媒化合物と組成物は、多くの一般的に用いられている潤滑油と一緒に用いるときに、広く用いられている先行技術の冷媒−潤滑油の組合せよりも、かなり良好な安定性を有する。
【0158】
実施例4−ポリオールフォーム
本実施例は、本発明の好ましい態様のうちの一つにしたがった発泡剤の使用、すなわちHFO−1234zeの使用、及び本発明にしたがったポリオールフォームの製造を例証する。ポリオールフォーム配合物の成分は下記の表にしたがって調製する。
【0159】
【表6】

【0160】
フォームは、発泡剤を添加せずに、成分を最初に混合することによって調製する。二つのフィッシャー・ポーター管のそれぞれに、約52.6グラムの(発泡剤を含まない)ポリオール混合物を充填し、密封し、次いで冷蔵庫の中に置いて冷却し、そしてわずかな真空を形成した。ガスビュレットを用いて、約17.4グラムのHFO−1234zeを各々の管に添加し、次いで温水中の超音波浴中に管を置き、そして30分間放置した。得られた溶液は曇っていて、室温において測定した蒸気圧は約70psigの蒸気圧を示し、このことは、発泡剤が溶液中に溶解していないことを示す。次いで、管を冷凍室の中に27°Fにおいて2時間置いた。蒸気圧を再び測定すると14psigであった。約87.9グラムのイソシアネート混合物を金属容器の中に入れ、そして冷蔵庫の中に置いて約50°Fまで冷却した。次いで、ポリオールの管を開け、金属の混合容器の中に秤量した(約100グラムのポリオールブレンドを用いた)。次いで、冷却した金属容器からイソシアネートをすぐにポリオールの中に注ぎ、そして二つのプロペラを有するエアミキサーを用いて3000RPM(回転/分)で10秒間混合した。この配合物は撹拌するとすぐに泡立ち始め、次いでこれを8×8×4インチの箱の中に注ぎ込み、そして発泡させた。泡立ちが起こったため、クリーム時間は測定することができなかった。フォームは4分間のゲル化時間と5分間の不粘着時間を有していた。次いで、フォームを室温において二日間硬化させた。次いで、フォームを、物理的特性を測定するのに適した試料に切断し、それは2.14pcfの密度を有していた。kファクターを測定し、次の通りであった。
【0161】
【表7】

【0162】
実施例5−ポリスチレンフォーム
本実施例は、本発明の二つの好ましい態様にしたがった発泡剤の使用、すなわちHFO−1234ze及びHFO−1234yfの使用、ならびにポリスチレンフォームの製造を例証する。特定の発泡剤とポリマーでフォームを製造することができるか否か、及びそのフォームの性質を決定するための手助けになるように、試験装置と試験手順が決定された。粉砕したポリマー(Dow ポリスチレン 685D)と本質的にHFO−1234zeからなる発泡剤を、容器内で配合した。容器の略図を以下に示す。容器の容積は200cmで、それは二つのパイプフランジと直径2インチで長さ4インチのスケジュール40ステンレス鋼パイプの部分から成っている。容器を炉中に置き、温度を約190°Fから約285°Fまで、好ましくはポリスチレンについて265°Fに設定し、そこで温度が平衡に達するまで放置する。
【0163】
【化7】

【0164】
次いで、容器内の圧力を開放し、発泡したポリマーが直ちに生成される。発泡剤は、それがポリマーに溶解したときにポリマーを可塑化する。この方法を用いてこのように製造された二つのフォームの得られた密度を、トランスHFO−1234ze及びHFO−1234yfを用いて製造されたフォームの密度として、表4に示し図1に表わす。データは、本発明にしたがってフォームのポリスチレンを得ることができることを示す。ポリスチレンに関してR1234zeについてのダイ温度は約250°Fである。
【0165】
【表8】

【0166】
この実施例は、ツインスクリュー型の押出機において形成されるポリスチレンフォームについて発泡剤としてのHFO−1234zeのみの性能を実証する。この実施例において使用する装置は、以下の特徴を有するLeisthtzツインスクリュー型押出機である:
30mm同時回転スクリュー
L:D比=4:1。
押出機は10個のセクションに分割され、各々が4:1のL:Dを示す。ポリスチレン樹脂は第一セクションに導入し、発泡剤は第六セクションに導入し、押出物は第十セクションから出る。押出機は、主として溶融/混合押出機として運転した。その後の冷却押出機はタンデムで接続し、その設計特徴は、次のとおりであった:
Leistritzツインスクリュー押出機
40mm同時回転スクリュー
L:D比=40:1
ダイ:5.0mm環状。
ポリスチレン樹脂、すなわち、Nova Chemical−Nova 1600と呼ばれる一般的な押出等級のポリスチレンをこれまでに示した条件下で押出機に供給する。この樹脂は、375°F〜525°Fの推奨溶融温度を有する。ダイにおける押出機の圧力は約1320ポンド/平方インチ(psi)であり、ダイにおける温度は約115℃である。本質的にトランスHFO−1234zeからなる発泡剤をこれまでに示した位置で押出機に添加し、核剤として発泡剤全体に基いて約0.5重量%のタルクが含まれる。本発明にしたがった10重量%、12重量%、及び14重量%の濃度の発泡剤を用いてフォームを生成する。生成されるフォームの密度は約0.1グラム/cm〜0.07グラム/cmであり、気泡径は約49〜約68ミクロンである。およそ30ミリメートル径のフォームは視覚的に非常に良好な品質であり、非常に細かい気泡径であり、目に見える又は明らかなブローホールや空隙は存在しない。
【0167】
実施例5A−ポリスチレンフォーム
起泡剤が約50重量%のトランスHFO−1234ze及び50重量%のHFC−245faを含み、実施例5に示す濃度の核剤を含むことを除いては、実施例5の手順を繰り返す。発泡剤濃度がおよそ10%及び12%で発泡ポリスチレンを調製する。生成されるフォームの密度は約0.09グラム/cmであり、気泡径は約200ミクロンである。フォームはおよそ30ミリメートル径であり、視覚的に非常に良好な品質で細かい気泡の構造であり、目に見える又は明らかな空隙は存在しない。
【0168】
実施例5B−ポリスチレンフォーム
起泡剤が約80重量%のトランスHFO−1234ze及び20重量%のHFC−245faを含み、実施例5に示す濃度の核剤を含むことを除いては、実施例5の手順を繰り返す。発泡剤濃度がおよそ10%及び12%で発泡ポリスチレンを調製する。生成されるフォームの密度は約0.08グラム/cmであり、気泡径は約120ミクロンである。フォームはおよそ30ミリメートル径であり、視覚的に非常に良好な品質で細かい気泡の構造であり、目に見える又は明らかな空隙は存在しない。
【0169】
実施例5C−ポリスチレンフォーム
核剤を省くことを除いては、トランスHFO−1234zeを用いて実施例5の手順を繰り返す。フォームの密度は0.1グラム/cmの範囲であり、気泡径は約400ミクロンである。フォームはおよそ30ミリメートル径であり、視覚的に非常に良好な品質で細かい気泡の構造であり、目に見える又は明らかな空隙は存在しない。
【0170】
実施例6−ポリウレタンフォーム圧縮強度
この実施例は、HFO−1234zeとその異性体を炭化水素共発泡剤と組み合わせて使用した場合の性能、特に、HFO−1234ze及びシクロペンタン共発泡剤を含む組成物についてポリウレタンフォームの圧縮強度性能における有用性を実証する。
【0171】
商業的に入手可能な冷却機器タイプのポリウレタンフォーム配合物(フォーム形成剤)を提供する。ポリオールブレンドは、商業的なポリオール(単数又は複数)、触媒(単数又は複数)、及び界面活性剤(単数又は複数)から構成された。この配合物を、気体の発泡剤に関して使用するために適合させる。標準的な商業的ポリウレタン加工装置をフォーム形成プロセスのために使用する。発泡剤全体のおよそ60モル%の濃度のHFO−1234ze(その異性体を含む)及びおよそ40モル%の濃度のシクロペンタンを含む気体の発泡剤の組合せを形成した。この実施例は、HFO−1234ze(その異性体を含む)をシクロペンタン共発泡剤と組み合わせた組合せについて物理的特性の性能を例示する。以下の表5は、HFC−245faからなる発泡剤及びシクロペンタンからなる発泡剤を用いてつくられたフォームと比較した、本発明の発泡剤を用いて同様な機械でつくられたポリウレタンフォームの圧縮強度を報告する。
【0172】
【表9】

【0173】
この実施例により例示されるひとつの予想外の結果は、HFO−1234ze、及びHFC−1234ze/HFCブレンドを慣用的なフォーム加工装置、特にポリウレタン加工装置において加工できるということである。このことは、マスターバッチタイプのブレンド装置、気体発泡剤ブレンド装置、発泡剤の第三流の添加、又はフォームヘッドでの発泡剤添加をはじめとする種々のタイプのシステム及び装置によるフォーム加工を可能とすることにおいて、潜在的に非常に有利である。
【0174】
実施例7−ポリウレタンフォームK−ファクター
ポリウレタンフォームを調製し、商業的な“機器タイプ”のポリウレタン配合物として使用するために適合させる。実施例6において説明した同じフォーム配合物を、フォーム形成プロセスにおいて使用される同じ標準的な商業的ポリウレタン加工装置に関して使用する。幾つかの系を調製し、各系は、発泡剤を除いて、同一の成分、システム、及び装置を使用する。本発明にしたがった発泡剤に加えて、HFC−134a、HFC−245fa、及びシクロペンタンを各々発泡剤として試験する。各系において、発泡剤を実質的に同じモル濃度でポリオールブレンド中に添加する。ポリオールブレンドは、商業的なポリオール(単数又は複数)、触媒(単数又は複数)、及び界面活性剤(単数又は複数)からなる。標準的な商業的製造操作、例えば、冷却用途のためのフォームを製造する商業的な操作にしたがってフォームを調製する。調製したフォームをk−ファクターに関して評価した。この情報を以下の表3に報告する。ベンチマークの比較目的のために、商業的なデータを参照することができるHFC−134aを用いてフォームを調製した。これらのフォームのk−ファクターを表6に示す。
【0175】
【表10】

【0176】
この実施例は、HFO−1234ze発泡剤をポリウレタン配合物中に置換した場合のHFO−1234ze及びその異性体のk−ファクターの性能を実証している。HFO−1234zeをベンチマークのフォームのものと等しいモル濃度で置換した。表6のデータは、HFO−1234zeフォームのk−ファクターがHFC−134a又はシクロペンタンフォームよりかなり良好であることを例示している。
【0177】
実施例8−ポリウレタンフォームk−ファクター
この実施例は、ポリウレタンフォームの調製に関して使用される種々のHFC共発泡剤と組み合わせてHFO−1234ze(その異性体を含む)を含む発泡剤の性能を実証している。発泡剤を除いて、実施例6及び7において使用したのと同じフォーム配合物、装置、及び手順を使用する。発泡剤全体のおよそ80モル%の濃度のHFO−1234ze(その異性体を含む)及び発泡剤全体のおよそ20モル%の濃度のHFC−245faを含む発泡剤を調製する。本発明にしたがった発泡剤に加えて、HFC−134a及びシクロペンタンを各々発泡剤として試験した。各系において、発泡剤を実質的に同じモル濃度でポリオールブレンド中に添加した。次いで、この発泡剤を用いてフォームを形成し、フォームのk−ファクターを測定する。以下の表7は、HFC共発泡剤と組み合わせた場合のHFO−1234ze(その異性体を含む)の組合せのk−ファクター性能を例示している。
【0178】
【表11】

【0179】
この実施例により例示されるひとつの予想外の結果は、HFO−1234ze、及びHFC−1234ze/HFCブレンドを慣用的なフォーム加工装置において加工できるということである。このことは、マスターバッチタイプのブレンド装置、気体発泡剤ブレンド装置、発泡剤の第三流の添加、又はフォームヘッドでの発泡剤添加をはじめとする種々のタイプのシステム及び装置によるフォーム加工を可能とすることにおいて、潜在的に非常に有利である。
【0180】
実施例9−ポリウレタンフォームk−ファクター
この実施例は、ポリウレタンフォームの製造において使用した場合の本発明にしたがった発泡剤の予想外の性能を更に実証する。三つの機器用ポリウレタンフォームをつくり、各々は、異なる発泡剤を使用することを除いては、実質的に同じ材料、手順、及び装置を用いて形成した。ポリオール系は、液体発泡剤との使用に適合された商業的に入手可能な機器タイプの配合物である。フォーム装置を使用してフォームを形成する。発泡剤は、本質的に等しいモル濃度で使用する。形成後、各フォームをk−ファクターを測定するのに適するサンプルへと切断し、k−ファクターは以下の表8Bに示すようなものであった。発泡剤全体を基準とした重量パーセントの発泡剤組成を以下の表8Aに開示する:
【0181】
【表12】

【0182】
【表13】

【0183】
表8Bに報告された結果は、熱硬化性フォームのための共発泡剤としてこれらのレベルでシクロペンタン及びHFC−245faと組み合わせて本発明の化合物(HFO−1234ze)を使用することにより、単独で又はHFC−245faとともに使用した場合のHFO−1234zeのk−ファクター性能に対して有害な影響がなかったことを例示している。これまで、発泡剤配合物中における実質的な量のシクロペンタンの使用によりk−ファクター性能に有害な影響があったことから、このことは予想外の結果である。
【0184】
実施例10−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、起泡可能な組成物のうち実施例9の発泡剤とほぼ同じモル%の式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)からなる。k−ファクターは以下の表9に示すようなものであった。
【0185】
【表14】

【0186】
実施例11−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、起泡可能な組成物のうち実施例9の発泡剤とほぼ同じモル%の式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)からなる。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは実施例10とほぼ等しいものであることがわかった。
【0187】
実施例12−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びt−ブタノールの各々との50:50モル比の組合せからなり、各組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0188】
実施例13−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、及びt−ブタノールの各々との50:50モル比の組合せからなり、各組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0189】
実施例14−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、以下の追加の化合物:イソ−ペンタン、ノルマル−ペンタン、及びシクロペンタンの各々との組合せからなる。HFCO−1233zd:追加の化合物のモル比が25:75、50:50、及び75:25で、各々の追加の化合物の組合せで三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0190】
実施例15−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、以下の追加の化合物:イソ−ペンタン、ノルマル−ペンタン、及びシクロペンタンの各々との組合せからなる。HFCO−1233zd:追加の化合物のモル比が25:75、50:50、及び75:25で、各々の追加の化合物の組合せで三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0191】
実施例16−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、以下の追加の化合物:水及びCOの各々との組合せからなる。HFCO−1233zd:追加の化合物のモル比が25:75、50:50、及び75:25で、各々の追加の化合物の組合せで三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0192】
実施例17−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、以下の追加の化合物:水及びCOの各々との組合せからなる。HFCO−1233zd:追加の化合物のモル比が25:75、50:50、及び75:25で、各々の追加の化合物の組合せで三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0193】
実施例18−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、HFO−1234ye−トランス(E)(15℃の沸点を有する)及びHFO−1234ye−シス(Z)(24℃の沸点を有する)の各々との50:50のモル比の組合せからなる。各組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0194】
実施例19−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、HFO−1234ye−トランス(E)(15℃の沸点を有する)及びHFO−1234ye−シス(Z)(24℃の沸点を有する)の各々との50:50のモル比の組合せからなる。各組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0195】
実施例20−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、トランス−1,2ジクロロエチレンとの、75:25のHFCO−1233zd:トランス−1,2ジクロロエチレンのモル比の組合せからなり、発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントである。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0196】
実施例21−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、トランス−1,2ジクロロエチレンとの、75:25のHFCO−1233zd:トランス−1,2ジクロロエチレンのモル比の組合せからなり、発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントである。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0197】
実施例22−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、ギ酸メチルとの、75:25のモル比の組合せからなり、この組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントである。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0198】
実施例23−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)と、ギ酸メチルとの、75:25のモル比の組合せからなり、この組合せは、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントである。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0199】
実施例24−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同様なポリオール配合物及びイソシアネートを用いるが、異なる触媒・補助剤配合物により更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)からなり、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。初期のk−ファクターは、表10Aに示すとおりであり、7日のk−ファクターは表10Bに示すとおりであることがわかった。
【0200】
【表15】

【0201】
【表16】

【0202】
実施例25−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IAにしたがった化合物、すなわち、HFO−1234ye−トランス(E)(15℃の沸点を有する)からなり、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0203】
実施例26−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。発泡剤は、式IAにしたがった化合物、すなわち、HFO−1234ye−シス(Z)(24℃の沸点を有する)からなり、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで発泡剤組成物中に存在する。許容可能なフォームが形成され、好ましくは、k−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0204】
実施例27−溶媒としてのトランスHFCO−1233zd
式IIの化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zdをガラス製容器に移した。ケイ素潤滑剤、特定的には、高粘度(12,500cP)シリコーン油をトランスHFCO−1233zd溶媒に約10重量%の濃度まで添加した。これにより、均一な単一相の溶液が得られ、トランスHFCO−1233zdがシリコーンをベースとする潤滑油を溶解することが実証された。
【0205】
実施例28−溶媒としてのシスHFCO−1233zd
式IIの化合物、すなわち、シスHFCO−1233zdをガラス製容器に移した。ケイ素潤滑剤、特定的には、高粘度(12,500cP)シリコーン油をシスHFCO−1233zd溶媒に約10重量%の濃度まで添加した。これにより、均一な単一相の溶液が得られ、シスHFCO−1233zdがシリコーンをベースとする潤滑油を溶解することが実証された。
【0206】
実施例29−HFCO−1233zd/トランス−1,2−ジクロロエチレン
トランスHFCO−1233zdとトランス−1,2−ジクロロエチレンとの組合せを25:75〜50:50のトランスHFCO−1233zd:トランス−1,2−ジクロロエチレン重量比で調製する。次いで、各組合せをガラス製容器に添加する。ケイ素潤滑剤、特定的には、高粘度(12,500cP)シリコーン油を各溶媒に約10重量%の濃度まで添加する。これにより、均一な単一相の溶液が得られ、この組合せはトランスHFCO−1233zdのみによる場合と同程度か又はそれより高い程度にシリコーン油を溶解することが実証された。
【0207】
実施例30−シスHFCO−1233zd/トランス−1,2−ジクロロエチレン
シスHFCO−1233zdとトランス−1,2−ジクロロエチレンとの組合せを25:75〜50:50のトランスHFCO−1233zd:トランス−1,2−ジクロロエチレン重量比で調製する。次いで、各組合せをガラス製容器に添加する。ケイ素潤滑剤、特定的には、高粘度(12,500cP)シリコーン油を各溶媒に約10重量%の濃度まで添加する。これにより、均一な単一相の溶液が得られ、この組合せはシスHFCO−1233zdのみによる場合と同程度か又はそれより高い程度にシリコーン油を溶解することが実証された。
【0208】
実施例31−洗浄剤としてのトランスHFCO−1233zd
金属クーポンを、ロジンをベースとするはんだフラックスにより被覆し、乾燥させた。クーポンを秤量し、次いでトランスHFC−1233zd中に浸漬した。クーポンを取り出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した。2回の測定で、平均で25重量%のフラックスが除去された。
【0209】
実施例32−洗浄剤としてのシスHFCO−1233zd
金属クーポンを、ロジンをベースとするはんだフラックスにより被覆し、乾燥させた。クーポンを秤量し、次いでシスHFC−1233zd中に浸漬した。クーポンを取り出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した。2回の測定で、平均で25重量%のフラックスが除去された。
【0210】
実施例33−洗浄剤としてのトランスHFCO−1233zd/メタノール
金属クーポンを、ロジンをベースとするはんだフラックスにより被覆し、乾燥させた。クーポンを秤量し、次いでトランスHFC−1233zd及びメタノールを、重量基準で約1%、約2%、約3%、約5%、及び約10%を含む約1%〜約10%(更により好ましくは約1%〜約5%)に亘る幾つかの異なる濃度で含む組成物中に浸漬した。クーポンを取り出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した。2回の測定で、実施例31において除去されたよりも多い量のフラックスが除去され、3重量%のメタノールを含有する組成物により約98%のフラックスが除去された。
【0211】
実施例34−洗浄剤としてのシスHFCO−1233zd/メタノール
金属クーポンを、ロジンをベースとするはんだフラックスにより被覆し、乾燥させた。クーポンを秤量し、次いでシスHFC−1233zd及びメタノールを、重量基準で約1%、約2%、約3%、約5%、及び約10%を含む約1%〜約10%(更により好ましくは約1%〜約5%)に亘る幾つかの異なる濃度で含む組成物中に浸漬した。クーポンを取り出し、乾燥させ、再秤量して、どれだけのはんだフラックスが除去されたかを測定した。2回の測定で、実施例32において除去されたよりも多い量のフラックスが除去され、3重量%のメタノールを含有する組成物により約98%のフラックスが除去された。
【0212】
実施例35−抽出剤としてのトランスHFCO−1233zd
薬剤、特定的には抗マラリア剤である植物由来のアルテミニシンをクソニンジン(Artemisia annua)植物から抽出する。アルテミニシンのサンプルをバイアル中に秤量した。式IIの化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zdを、アルテミニシンが溶解するまでバイアル中に添加した。結果は、薬剤、特定的には、アルテミニシンなどの植物由来の薬剤はトランスHFCO−1233zd中におよそ3重量%まで溶解することを示し、トランスHFCO−1233zdを使用してバイオマスから薬剤を抽出できることが実証された。
【0213】
実施例36−抽出剤としてのシスHFCO−1233zd
薬剤、特定的には抗マラリア剤である植物由来のアルテミニシンをクソニンジン(Artemisia annua)植物から抽出する。アルテミニシンのサンプルをバイアル中に秤量した。式IIの化合物、すなわち、シスHFCO−1233zdを、アルテミニシンが溶解するまでバイアル中に添加した。結果は、薬剤、特定的には、アルテミニシンなどの植物由来の薬剤はシスHFCO−1233zd中におよそ3重量%まで溶解することを示し、シスHFCO−1233zdを使用してバイオマスから薬剤を抽出できることが実証された。
【0214】
実施例37−抽出剤としてのトランスHFCO−1233zd/ジクロロエチレン
トランスHFCO−1233zdとトランス−1,2−ジクロロエチレンの50:50の重量比の組合せを抽出剤として使用することを除いて、実施例35を繰り返す。溶解性及び抽出効率は、トランスHFCO−1233zdのみによる場合に観察されるのと同程度に良好であるか、より良好である。
【0215】
実施例38−抽出剤としてのシスHFCO−1233zd/ジクロロエチレン
シスHFCO−1233zdとトランス−1,2−ジクロロエチレンの50:50の重量比の組合せを抽出剤として使用することを除いて、実施例36を繰り返す。溶解性及び抽出効率は、シスHFCO−1233zdのみによる場合に観察されるのと同程度に良好であるか、より良好である。
【0216】
実施例39−溶媒としてのトランスHFCO−1233zdの組合せ
炭化水素潤滑剤、具体的には鉱油を、それぞれ、およそ98:2の重量比のトランスHFCO−1233zd/メタノール、およそ96:4の重量比のトランスHFCO−1233zd/ペンタン、及び、およそ92:2:6の重量比のトランスHFCO−1233zd/メタノール/ペンタンを含有するバイアル中に添加した。すべての場合において、10重量%より高い鉱油濃度で均一な単一相の溶液が形成された。
【0217】
実施例40−溶媒としてのシスHFCO−1233zdの組合せ
炭化水素潤滑剤、具体的には鉱油を、それぞれ、およそ98:2の重量比のシスHFCO−1233zd/メタノール、およそ96:4の重量比のシスHFCO−1233zd/ペンタン、及び、およそ92:2:6の重量比のシスHFCO−1233zd/メタノール/ペンタンを含有するバイアル中に添加した。すべての場合において、10重量%より高い鉱油濃度で均一な単一相の溶液が形成された。
【0218】
実施例41−エアゾールとしてのトランスHFCO−1233zd
トランスHFCO−1233zdをエアゾール缶に添加し、エアゾール弁を適切な場所にかしめることにより缶をシールし、HFC−134a噴射剤を添加して約14重量%の134a及び約76重量%のトランスHFCO−1233zdの濃度にすることにより、噴霧可能なエアゾールを調製した。作動液(hydraulic fluid)を綿棒で金属クーポンに適用し、クーポンを秤量した。トランスHFCO−1233zdを含有するエアゾールを金属基板上に10秒間噴霧した。クーポンを乾燥させ、再秤量した。およそ60重量%の作動液が除去された。
【0219】
実施例42−エアゾールとしてのシスHFCO−1233zd
シスHFCO−1233zdをエアゾール缶に添加し、エアゾール弁を適切な場所にかしめることにより缶をシールし、HFC−134a噴射剤を添加して約14重量%の134a及び約76重量%のシスHFCO−1233zdの濃度にすることにより、噴霧可能なエアゾールを調製した。作動液(hydraulic fluid)を綿棒で金属クーポンに適用し、クーポンを秤量した。シスHFCO−1233zdを含有するエアゾールを金属基板上に10秒間噴霧した。クーポンを乾燥させ、再秤量した。およそ60重量%の作動液が除去された。
【0220】
実施例43−抽出剤としてのトランスHFCO−1233zd
式IIの化合物、すなわち、トランスHFC−1233zdが、芳香剤、特定的には植物由来のジャスモンの担体及び抽出剤として許容可能であることを実証する。およそ0.39gのジャスモンを肉厚のガラス製チューブに入れ、およそ1.73gのトランスHFC−1233zdをこのガラス製チューブに添加した。次いで、チューブを凍らせてシールした。チューブの解凍時に、混合物がひとつの液相を有することが分かった。溶液は、約20重量%のジャスモン及び約80重量%のトランスHFCO−1233zdを含有していた。この結果により、芳香剤、特定的にはジャスモンなどの植物由来の芳香剤はトランスHFCO−1233zd中におよそ20重量%まで溶解することが示され、トランスHFCO−1233zdを使用して芳香剤を抽出し保持できることが実証された。
【0221】
実施例44−抽出剤としてのシスHFCO−1233zd
式IIの化合物、すなわち、シスHFC−1233zdが、芳香剤、特定的には植物由来のジャスモンの担体及び抽出剤として許容可能であることを実証する。およそ0.39gのジャスモンを肉厚のガラス製チューブに入れ、およそ1.73gのシスHFC−1233zdをこのガラス製チューブに添加した。次いで、チューブを凍らせてシールした。チューブの解凍時に、混合物がひとつの液相を有することが分かった。溶液は、約20重量%のジャスモン及び約80重量%のシスHFCO−1233zdを含有していた。この結果により、芳香剤、特定的にはジャスモンなどの植物由来の芳香剤はシスHFCO−1233zd中におよそ20重量%まで溶解することが示され、シスHFCO−1233zdを使用して芳香剤を抽出し保持できることが実証された。
【0222】
実施例45−溶媒としてのトランスHFCO−1233zd
合成潤滑剤、具体的にはポリアルキレングリコール(PAG)潤滑剤、より具体的には本質的に2又はそれより多いオキシプロピレン基からなり約37℃で約10〜約200センチストークスの粘度を有するPAG(出光興産によりND−8の商品名で販売されている)を、トランスHFCO−1233zdを含有するバイアル中に添加する。均一な単一相の溶液が10重量%より高いPAG濃度で形成される。合成潤滑剤ND−8の割合を以下の表11に示す。
【0223】
【表17】

【0224】
実施例46−溶媒としてのシスHFCO−1233zdの組合せ
合成潤滑剤、具体的にはポリアルキレングリコール(PAG)潤滑剤、より具体的には本質的に2又はそれより多いオキシプロピレン基からなり約37℃で約10〜約200センチストークスの粘度を有するPAG(出光興産によりND−8の商品名で販売されている)を、シスHFCO−1233zdを含有するバイアル中に添加する。均一な単一相の溶液が10重量%より高いPAG濃度で形成される。
【0225】
実施例47−溶媒としてのトランスHFCO−1233zdの組合せ
上述の実施例45に説明するPAG潤滑剤を、それぞれ、およそ98:2の重量比のトランスHFCO−1233zd/メタノール、およそ96:4の重量比のトランスHFCO−1233zd/ペンタン、及びおよそ92:2:6の重量比のトランスHFCO−1233zd/メタノール/ペンタンを含有するバイアルに添加する。すべての場合において、均一な単一相の溶液が10重量%より高いPAG油の濃度において形成される。
【0226】
実施例48−溶媒としてのシスHFCO−1233zdの組合せ
上述の実施例45に説明するPAG潤滑剤を、それぞれ、およそ98:2の重量比のシスHFCO−1233zd/メタノール、およそ96:4の重量比のシスHFCO−1233zd/ペンタン、及びおよそ92:2:6の重量比のシスHFCO−1233zd/メタノール/ペンタンを含有するバイアルに添加する。すべての場合において、均一な単一相の溶液が10重量%より高いPAG油の濃度において形成される。
【0227】
実施例49−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、トランスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)及びCOの超臨界状態及び/又は近超臨界状態の組合せからなる。HFCO−1233zd:COのモル比が25:75、50:50、及び75:25である三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在する。各々の場合において許容可能なフォームが形成され、好ましくは、各々の組成物についてのk−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0228】
実施例50−ポリウレタンフォームk−ファクター
実施例9と同じポリオール配合物及びイソシアネートを用いて更なる実験を行った。フォームはハンドミックスにより調製する。一連の発泡剤は、式IIにしたがった化合物、すなわち、シスHFCO−1233zd(CFCH=CHCl)及びCOの超臨界状態及び/又は近超臨界状態の組合せからなる。HFCO−1233zd:COのモル比が25:75、50:50、及び75:25である三種の発泡剤を形成する。各発泡剤組成物は、起泡可能な組成物に対して実施例9における発泡剤とほぼ同じモルパーセントで存在する。各々の場合において許容可能なフォームが形成され、好ましくは、各々の組成物についてのk−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0229】
実施例51−ポリウレタンフォームk−ファクター
発泡剤に一定量の水を添加することにより、及び/又は、フォーム配合物に水を添加することにより、及び/又は、本明細書の実施例11〜50の各々に対しておよそフォーム形成操作のときに添加することにより更なる実験を行う。フォーム配合物の全重量に基いて約0.5重量%の量で水を添加する。各々の場合において許容可能なフォームが形成され、各々のフォームについてのk−ファクターは上述の実施例9において示したものとほぼ等しいか又はそれより良好であることがわかった。
【0230】
実施例52
この実施例は、冷媒組成物がHFO−1234を含み、HFO−1234のうち大きな割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%がHFO−1234ye(CHF−CF=CHF、シス−及びトランス−異性体)である、本発明の一態様の性能を例示する。より特定的には、この実施例は、かかる組成物を冷却システムである高温ヒートポンプ・有機ランキンサイクルシステムにおいて作動流体として使用する場合の例示である。第一のシステムの実施例は、蒸発温度が約35°F、凝縮温度が約150°Fのものである。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度(ET)、約80°F〜約120°Fの凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中において“チラー”又は“チラーAC”システムと呼ぶ。比較の目的のためR−123と、少なくとも約90重量%のHFO−1234yeを含む本発明の冷媒組成物とを用いたかかるシステムの各々の運転を以下の表12に報告する。
【0231】
【表18】

【0232】
上の表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメータの多くは、R−123に関する5つのパラメータと比較的近い。多くの現存する冷却システムはR−123に関して又はR−123と同様の特性をもつ他の冷媒に関して設計されていることから、当業者は、低GWP及び/又は低オゾン破壊性冷媒がR−123又はシステムに対する改変が比較的最小である同様の高沸点冷媒の代替として使用できるという実質的な利点を認識するだろう。一定の態様において、本発明は、現存するシステムにおける冷媒を、実質的な設計の変更無しで、本発明の組成物により、好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−1234を含む、及び/又は、本質的にHFO−1234からなる組成物により、更により好ましくは、シス−HFO−1234ye、トランス−HFO−1234ye、及びこれらのすべての組合せ及び割合のうち任意のひとつ又はそれより多くにより、置換することを含む更新方法を提供することを企図している。
【0233】
実施例53
この実施例は、冷媒組成物がHFCO−1233を含み、HFCO−1233zdのうち大きな割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%がHFCO−1233zd(CF−CH=CHCl、シス−及びトランス−異性体)である、本発明の一態様の性能を例示する。より特定的には、この実施例は、かかる組成物を冷却システムである高温ヒートポンプ・有機ランキンサイクルシステムにおいて作動流体として使用する場合の例示である。第一のシステムの実施例は、蒸発温度が約35°F、凝縮温度が約150°Fのものである。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度(ET)、約80°F〜約120°Fの凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中において“チラー”又は“チラーAC”システムと呼ぶ。比較の目的のためR−123と、少なくとも約90重量%のHFO−1233zdを含む本発明の冷媒組成物とを用いたかかるシステムの各々の運転を以下の表13に報告する。
【0234】
【表19】

【0235】
上の表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメータの多くは、R−123に関する5つのパラメータと比較的近い。多くの現存する冷却システムはR−123に関して又はR−123と同様の特性をもつ他の冷媒に関して設計されていることから、当業者は、低GWP及び/又は低オゾン破壊性冷媒がR−123又はシステムに対する改変が比較的最小である同様の高沸点冷媒の代替として使用できるという実質的な利点を認識するだろう。一定の態様において、本発明は、現存するシステムにおける冷媒を、実質的な設計の変更無しで、本発明の組成物により、好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−1233を含む、及び/又は、本質的にHFO−1233からなる組成物により、更により好ましくは、シス−HFO−1233zd、トランス−HFO−1233zd、及びこれらのすべての組合せ及び割合のうち任意のひとつ又はそれより多くにより、置換することを含む更新方法を提供することを企図している。
【0236】
実施例54
この実施例は、冷媒組成物がHFO−1234を含み、HFO−1234のうち大きな割合、好ましくは少なくとも約75重量%、更により好ましくは少なくとも約90重量%がHFO−1234yfである、本発明の一態様の性能を例示する。より特定的には、かかる組成物を、4つの冷却システムにおけるHFC−134aの代替として使用する。第一のシステムの実施例は、蒸発器温度(ET)が約20°F、凝縮器温度(CT)が約130°Fのものである(実施例54A)。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約0°F〜約35°Fの蒸発器温度(ET)、約80°F〜約130°Fの凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中において“中温”システムと呼ぶ。第二のシステムは、ETが約−10°F、CTが約110°Fのものである(実施例54B)。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約−20°F〜約20°Fの蒸発器温度(ET)、約80°F〜約130°Fの凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中において“冷却/冷凍”システムと呼ぶ。第三のシステムは、ETが約35°F、CTが約150°Fのものである(実施例154)。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約30°F〜約60°Fの蒸発器温度(ET)、約90°F〜約200°Fの凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中において“自動車用AC”システムと呼ぶ。第四のシステムは、ETが約40°F、CTが約60°Fのものである(実施例54D)。便宜のため、かかる熱伝達システム、すなわち、約35°F〜約50°Fの蒸発器温度(ET)、約80°F〜約120°Fの凝縮器温度(CT)を有するシステムを本明細書中において“チラー”又は“チラーAC”システムと呼ぶ。R−134aと、少なくとも約90重量%のHFO−1234yfを含む冷媒とを用いたかかるシステムの各々の運転を以下の表14A−Dに報告する。
【0237】
【表20】

【0238】
【表21】

【0239】
【表22】

【0240】
【表23】

【0241】
上の表から分かるように、重要な冷却システム性能パラメータの多くは、R−134aに関するパラメータと比較的近い。多くの現存する冷却システムはR−134aに関して又はR−134aと同様の特性をもつ他の冷媒に関して設計されていることから、当業者は、低GWP及び/又は低オゾン破壊性冷媒がR−134a又はシステムに対する改変が比較的最小である同様の高沸点冷媒の代替として使用できるという実質的な利点を認識するだろう。一定の態様において、本発明は、現存するシステムにおける冷媒を、実質的な設計の変更無しで、本発明の組成物により、好ましくは少なくとも約90重量%のHFO−1234を含む、及び/又は、本質的にHFO−1234からなる組成物により、更により好ましくは、シス−HFO−1234ze、トランス−HFO−1234ze、HFO−1234yf、HFO−1234yc、HFO−1234zc、HFO−1234ye(E)、及びHFO−1234ye(Z)のうち任意のひとつ又はそれより多くにより、置換することを含む更新方法を提供することを企図している。一定の好ましい態様においては、置換工程は、本発明の冷媒を適応させるために、システムを実質的に再設計する必要がなく、装置の主要な部材を置換する必要がないという意味で、ドロップイン置換である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡剤、及び/又は、熱伝達組成物、及び/又は、溶媒、及び/又は、洗浄流体、及び/又は、抽出剤、及び/又は、エアゾールとして使用される組成物であって、
以下の式IA又は式II:
【化1】

(式中、各Rは独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、但し式(II)において少なくともひとつのRは塩素であり
wは1又は2であり、
zは1又は2であり、
R’は(CRYであり、そして、
nは0、1、2、又は3であり、但し化合物中にBrが存在する場合当該化合物は水素を含まない)
から選択される少なくとも第一のフルオロアルケンを含むことを特徴とする、前記組成物。
【請求項2】
ハイドロフルオロカーボン(HFC)、エーテル、アルコール、アルデヒド、ケトン、ギ酸メチル、ギ酸、水、トランス−1,2−ジクロロエチレン、二酸化炭素、ジメトキシメタン(DME)、前記第一のフルオロアルケンとは異なる第二のフルオロアルケン、及びこれらのうち二種又はそれより多くの組合せからなる群から選択される少なくともひとつの追加の成分を更に含む、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記少なくともひとつの第一のフルオロアルケンが、トランス−1,1,1,トリフルオロ,3−クロロ−プロペン(トランスHFCO−1233zd)、シス−1,1,1,トリフルオロ,3−クロロ−プロペン(シスHFCO−1233zd)、及びこれらの組合せのうち少なくともひとつを含む、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記少なくともひとつ追加の成分が、イソ−ペンタン、ノルマル−ペンタン、シクロ−ペンタン、ブタン、及びイソ−ブタン、ならびにこれらの組合せから成る群から選択される少なくともひとつの炭化水素を約15重量%〜約85重量%含む、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記少なくともひとつの追加の成分が、2−エチル−1−ヘキサノール、トランス−1,2ジクロロエチレン、ジメトキシメタン、前記第一のフルオロアルケンとは異なる第二のフルオロアルケン、ギ酸メチル、及びこれらの二種又はそれより多くの組合せのうち少なくともひとつを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
前記少なくともひとつの追加の成分が、少なくともひとつのC1−C4アルコールを含む、請求項3記載の組成物。
【請求項7】
前記第一のフルオロアルケンが、トランス−1,1,1,トリフルオロ,3−クロロ−プロペン(トランスHFCO−1233zd)及びシス−1,1,1,トリフルオロ,3−クロロ−プロペン(シスHFCO−1233zd)の組合せを約30:70〜約5:95のシス:トランス重量比で含む、請求項1記載の組成物。
【請求項8】
前記少なくともひとつの追加の成分が水を含む、請求項2記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくともひとつの追加の成分がCOを含む、請求項2記載の組成物。
【請求項10】
(a)式IA:
【化2】

(式中、各Rは独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、wは1又は2であり、そしてzは1又は2であり、但し化合物中にBrが存在する場合は当該化合物は水素を含まない)
の少なくともひとつのフルオロアルケン;及び
(b)潤滑剤、安定化剤、金属不動態化剤、腐食抑制剤、燃焼抑制剤、トリクロロフルオロメタン(CFC−11)、ジクロロジフルオロメタン(CFC−12)、ジフルオロメタン(HFC−32)、ペンタフルオロエタン(HFC−125)、1,1,2,2−テトラフルオロエタン(HFC−134)、1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)、ジフルオロエタン(HFC−152a)、1,1,1,2,3,3,3−経プ多フルオロプロパン(HFC−227ea)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、1,1,1,3,3−ペンタフルオロブタン(HFC−365mfc)、水、CO、及びこれらの二種又はそれより多くの組合せからなる群から選択される少なくともひとつの追加の成分
を含む組成物。
【請求項11】
請求項10記載の組成物を含む熱伝達流体。
【請求項12】
前記式(IA)の少なくともひとつのフルオロアルケンが、CF=CF−CHF(HFO−1234yc)、CF=CH−CFH(HFO−1234zc)、トランス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(E))、シス−CHF=CF−CFH(HFO−1234ye(Z))、及びこれらの二種又はそれより多くの組合せから成る群から選択される、請求項10記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、式(IA)にしたがった化合物を少なくとも50重量%含む、請求項10記載の組成物。
【請求項14】
以下の式IA又は式II:
【化3】

(式中、各Rは独立して、Cl、F、Br、I、又はHであり、但し式(II)において少なくともひとつのRは塩素であり
wは1又は2であり、
zは1又は2であり、
R’は(CRYであり、そして、
nは0、1、2、又は3であり、但し化合物中にBrが存在する場合当該化合物は水素を含まない)
から選択される化合物により物質を溶媒抽出することを含む、溶媒抽出方法。
【請求項15】
前記物質が、少なくともひとつのアルカロイドを含む、請求項14記載の方法。
【請求項16】
発泡剤の形態である請求項2記載の組成物であって、前記少なくともひとつの追加の成分が、前記組成物の約1重量%〜約10重量%を構成するのに十分な量で前記発泡剤中に存在する水である、前記組成物。

【公表番号】特表2011−510119(P2011−510119A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542396(P2010−542396)
【出願日】平成21年1月10日(2009.1.10)
【国際出願番号】PCT/US2009/030685
【国際公開番号】WO2009/089511
【国際公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】