説明

フリクションダンパ

【課題】 電力を用いることなく、巨大地震時に大きな減衰力を発揮させることにより、第1構造体1と第2構造体2との間の相対変位を許容ストローク内に確実に抑制することで、第1構造体1および第2構造体2の損傷や破損などの不具合を防止することができるフリクションダンパを提供する。
【解決手段】 本発明によるフリクションダンパは、第1構造体1および第2構造体2の一方に連結されたシリンダ11と、他方に連結され、シリンダ11内に摺動自在に設けられた第1ピストン25と、第1ピストン25に所定の間隔を隔てて対向する第2ピストン26と、相対変位が所定値を超えたときに、第1および第2ピストン25、26を互いに連結する連結機構31と、シリンダ11に対する第2ピストン26の摺動を規制するフリクション機構51と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震時における第1構造体と第2構造体との相対変位を抑制するために、揺れのエネルギーを吸収し、減衰させるフリクションダンパに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フリクションダンパを用いた免震装置として、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この免震装置は、免震支承とフリクションダンパを併用したタイプのものである。免震支承は、転がり支承や滑り支承などで構成されており、基礎と上部建物の間に配置され、上部建物を支持するとともに、地震時に、上部建物と基礎との間の水平方向の相対変位を許容することにより、免震機能を発揮する。
【0003】
また、フリクションダンパは、基礎および上部建物の一方に連結されたシリンダと、他方に連結されるとともに、シリンダ内に移動自在に設けられた水平なロッドと、ロッドに取り付けられた摩擦固定作動体を備えている。
【0004】
この摩擦固定作動体は、ロッドの外周部に周方向に移動自在に設けられており、外方に駆動され、筒体に圧接されることで、筒体およびロッドを摩擦により固定する風揺れ阻止状態と、内方に駆動され、筒体から離れることで、筒体とロッドとの相対的な移動を許容する免震可能状態に選択的に制御される。また、摩擦固定作動体の制御は、油圧などを用い、地震の発生を検出する地震センサなどの検出結果に応じて自動的に行われる。地震が発生していない常時には、摩擦固定作動体が風揺れ阻止状態に制御されることで、上部建物の風揺れが阻止され、地震の発生時には、摩擦固定作動体が免震可能状態に制御されることで、上記の免震支承による免震機能が発揮される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4101622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
免震装置に用いられたフリクションダンパに求められる最も重要な機能は、例えば想定内の中・大地震に対して、必要な免震性能を発揮するとともに、想定を超える巨大地震に対しては、十分な減衰性能を発揮することによって、基礎と上部建物との間の過大な相対変位を抑制し、建物の損傷や破損を防止することである。これに対し、上述した従来の免震装置は、地震発生時に、免震支承のみによる免震可能状態に制御されるにすぎないため、想定を超える巨大地震が発生した際、基礎と上部建物との相対変位が免震支承の許容ストロークを超えてしまい、建物の損傷や破損を防止することができない。
【0007】
また、従来の免震装置では、地震発生の検出が、地震センサにより電気的に行われる。しかし、巨大地震時には特に、停電や、センサと信号インターフェースなどの間の断線が発生しやすく、その場合には、センサによる検出が不能になるため、その検出結果に応じた摩擦固定作動体の制御が行えず、所要の免震機能を得ることができなくなる。
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、電力を用いることなく、想定を超える巨大地震時などに大きな減衰力を発揮させることにより、第1構造体と第2構造体との間の相対変位を許容ストローク内に確実に抑制することで、第1構造体および第2構造体の損傷や破損などの不具合を防止することができるフリクションダンパを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、地震時における第1構造体と第2構造体との相対変位を抑制するために、揺れのエネルギーを吸収し、減衰させるフリクションダンパであって、第1構造体および第2構造体の一方に連結されたシリンダと、第1構造体および第2構造体の他方に連結され、シリンダ内に摺動自在に設けられた第1ピストンと、シリンダ内に摺動自在に設けられ、第1ピストンに所定の間隔を隔てて対向する第2ピストンと、第1および第2ピストンの互いに対向する端部に設けられ、相対変位が所定値を超えたときに、第1および第2ピストンを互いに連結する連結機構と、第1および第2ピストンが互いに連結された状態で、シリンダと第2ピストンの間にフリクションを作用させることによって、シリンダに対する第2ピストンの摺動を規制するフリクション発生機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
このフリクションダンパによれば、地震時に第1構造体(例えば基礎)と第2構造体(例えば上部建物)との間の相対変位(以下、単に「相対変位」という)が所定値を超えるまでは、第1および第2ピストンが互いに連結されないことで、フリクション発生機構によるフリクションは作用せず、シリンダと第1ピストンが相対的に自由に移動する。
【0011】
一方、相対変位が所定値を超えると、第1および第2ピストンが連結機構によって互いに連結される。そして、そのように第1および第2ピストンが連結された状態で、フリクション発生機構によりシリンダと第2ピストンの間にフリクションを作用させることによって、シリンダに対する第2ピストンの摺動が規制される。
【0012】
以上のように、想定を超える巨大地震などが発生し、上記の相対変位が所定値に達したときには、第1および第2ピストンが連結されることにより、フリクション発生機構が作動し、そのフリクションによって、減衰機能が発揮される。したがって、相対変位を許容ストローク内に確実に抑制でき、その結果、第1構造体および第2構造体の損傷や破損などの不具合を防止することができる。
【0013】
また、フリクション発生機構は、第1および第2ピストンの機械的な連結によって作動し、電力をまったく必要としないので、巨大地震時などに停電などが生じた場合でも、フリクションダンパの減衰機能を確実に発揮することができる。
【0014】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のフリクションダンパにおいて、連結機構は、第1および第2ピストンの一方に設けられたソケットと、第1および第2ピストンの他方に設けられ、相対変位が所定値を超えたときに、ソケットに嵌合することにより連結されるプラグと、を有することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、相対変位が所定値を超えたときに、第1および第2ピストンの一方に設けられたソケットと、他方に設けられたプラグが嵌合することによって、第1および第2ピストンが連結される。このように、互いに嵌合するソケットとプラグという比較的単純な構成によって、第1および第2ピストンの連結を確実に行うことができる。
【0016】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載のフリクションダンパにおいて、プラグは、外周面に周方向に連続するボール係合溝を有し、ソケットは、周壁にその周方向に沿って複数のボール収容孔が形成された筒状のソケット本体と、複数のボール収容孔の各々に収容され、周壁の内方に部分的に突出するボールと、外周面にストッパ係合部を有し、ソケット本体の外側に、ソケット本体の長さ方向に沿って移動自在に嵌合するスリーブと、スリーブをプラグ側に向かって付勢するスプリングと、ソケット本体内に、ソケット本体の長さ方向に摺動自在に設けられた摺動駒と、摺動駒と一体に設けられたストッパと、を有し、ソケットは、ストッパが係合部に係合することにより、スリーブがプラグと反対側に退避した状態でセットされるとともに、プラグが嵌合したときに、摺動駒がプラグによって、押圧され、移動することにより、ストッパがストッパ係合部から外れ、スリーブがスプリングのばね力でプラグ側に移動することによって、ボールがプラグのボール係合溝に係合した状態で、プラグをロックするように構成されていることを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、ソケット本体内に設けられた摺動駒と一体のストッパが、ソケット本体の外側に移動自在に嵌合するスリーブのストッパ係合部に係合することにより、ソケットは、スリーブがプラグと反対側に退避した状態であらかじめセットされる。この状態から地震などが発生し、相対変位が所定値を超えたときに、ソケットとプラグが嵌合する。この嵌合に伴い、ボールがプラグのボール係合溝に係合するとともに、プラグがソケット本体内の摺動駒を押圧し、移動させる。この摺動駒の移動に伴い、それと一体のストッパがスリーブのストッパ係合部から外れることによって、スリーブがスプリングのばね力によってプラグ側に移動する。このスリーブの移動により、ソケットは、ボールがプラグのボール係合溝に係合することによって、プラグをロックする。以上のように、地震時などに相対変位が所定値を超えたときに、プラグとソケットが嵌合することで、第1および第2ピストンを確実に連結できるとともに、ソケットおよびプラグがロックされることにより、第1および第2ピストンの連結状態を確実に維持することができる。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載のフリクションダンパにおいて、フリクション発生機構は、第2ピストンの外周面に設けられた摩擦材と、摩擦材を取り囲むように設けられ、シリンダに連結されるとともに、摩擦材を第2ピストンに対して締め付けることにより、フリクションを付与するための締付けバンドと、を有していることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、締付けバンドによって外方から摩擦材を第2ピストンに対して締め付けることにより、摩擦材によるフリクションを確実に作用させることができる。したがって、フリクション発生機構のフリクションを確保することができ、それにより安定した減衰機能を確保することができる。
【0020】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載のフリクションダンパにおいて、締付けバンドは、第2ピストンの長さ方向に配置された、複数の締付けバンドで構成されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、締付けバンドの数と、その締付け力を調整することによって、フリクション発生機構のフリクションの調整を容易に行うことができる。
【0022】
請求項6に係る発明は、請求項4または5のいずれかに記載のフリクションダンパにおいて、フリクション発生機構は、摩擦材および締付けバンドの両側に設けられた一対のサイドプレートと、シリンダと一体に設けられ、一対のサイドプレートの外側に、間隔を隔ててそれぞれ配置された一対のばね座と、一対のばね座と一対のサイドプレートの間にそれぞれ設けられた一対のスプリングと、をさらに有することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、第1および第2ピストンが連結された後の初期において、まずスプリングのばね力が作用し始めるとともに、このばね力は、相対変位が増大するのに伴って次第に増大する。その後、締付けバンドの締付け具合により設定された摩擦材の設定フリクションにスプリングの荷重が達すると、フリクションが作用する。このため、第1および第2ピストンの連結直後にフリクション発生機構のフリクションが急激に作用することがなく、フリクション発生機構の減衰機能を滑らかに発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態によるフリクションダンパを、オイルダンパおよび免震支承とともに基礎上に設置した一例を示す平面図である。
【図2】図1のフリクションダンパおよび免震支承の設置状況を示す断面図である。
【図3】フリクションダンパの正面図である。
【図4】フリクションダンパの部分破断側断面図である。
【図5】連結機構の(a)ソケットの正面図および(b)ソケットおよびプラグの部分破断側面図である。
【図6】フリクション発生機構の斜視図である。
【図7】フリクション発生機構を示す部分拡大縦断面図である。
【図8】第1実施形態によるフリクションダンパの合成ばね特性を示す図である。
【図9】第1実施形態によるフリクションダンパのフリクション特性を示す図である。
【図10】第2実施形態によるフリクションダンパを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の第1実施形態によるフリクションダンパ10と、オイルダンパ20および免震支承3で構成される免震装置を、戸建住宅建物の基礎1に設けた例を示している。この例では、免震支承3は、計10個、基礎1の全体にマトリックス状に配置されている。フリクションダンパ10およびオイルダンパ20は、基礎1の四辺に沿ってそれぞれ1個ずつ計8個、免震支承3を取り囲むように交互に配置されている。
【0027】
図2に示すように、上部建物2の土台6の下側には、H鋼を組んだ鉄骨架台9が一体に設けられている。免震支承3は、転がりタイプのものであり、鉄骨架台9の下面に取り付けられた回転自在のボール3aと、基礎1上に設けられ、ボール3aが転動する転がり面4を備えている。転がり面4は、地震後にボール3aが自重でもとの位置に復帰できるよう、水平面に対してわずかに傾斜した逆円錐状に形成されている。また、転がり面4の外周部には、ボール3aの転動を規制する金属製のリング状のストッパ5が設けられている。以上の構成により、地震時に、ボール3aは、ストッパ5を乗り越えない許容ストロークの範囲内において転がり面4上を転がり、それにより、免震支承3は、地震の揺れを上部建物2に伝えにくくする免震効果を発揮する。
【0028】
オイルダンパ20は、周知のものであり、地震時に相対変位が免震支承3の許容ストローク内の所定値を超えたときに、油圧抵抗により減衰機能を発揮する。
【0029】
一方、フリクションダンパ10は、鉄骨架台9の下面に固定されたブラケット7と、基礎1の上面に固定されたブラケット8との間に設けられている。また、基礎1の互いに対向する二辺に配置されたフリクションダンパ10、10は、基礎1と上部建物2との同じ相対変位に対して、一方のフリクションダンパ10の後述する第1および第2ピストン25、26が互いに近づく方向に移動するのに対し、他方のフリクションダンパ10の第1および第2ピストン25、26が互いに離れる方向に移動するように設けられている。
【0030】
図3および図4に示すように、フリクションダンパ10は、シリンダ11と、シリンダ11内にそれぞれ摺動自在に設けられ、互いに所定の間隔を隔てて対向する第1ピストン25および第2ピストン26と、第1および第2ピストン25、26の互いに対向する端部に設けられ、地震時に両ピストン25、26を互いに連結するための連結機構31と、第2ピストン26の外周面に取り付けられ、地震時にシリンダ11と第2ピストン26の間にフリクションを発生させるためのフリクション発生機構51とを備えている。
【0031】
シリンダ11は、所定の長さと一定の径を有する細長い円筒状のものである。シリンダ11には、その径方向に互いに対向する2つの第1窓部11a、11aと、第1窓部11a、11aにシリンダ11の長さ方向に所定の間隔を隔てて配置され、径方向に互いに対向する2つの第2窓部11b、11bが形成されている。第1窓部11aおよび第2窓部11bはいずれも、シリンダ11の長さ方向に延びる長孔状のものである。
【0032】
以下、説明の便宜上、シリンダ11の第1および第2窓部11a、11b以外の部分のうち、第1窓部11aとその側のシリンダ11の一端部との間の部分を「第1シリンダ部11c」、第2窓部11bとシリンダ11の他端部との間の部分を「第2シリンダ部11d」、第1および第2窓部11a、11bの間の部分を「中間シリンダ部11e」という。
【0033】
図4に示すように、シリンダ11の内部には、シリンダキャップ12、ピストンガイド13、エンドキャップ14、第1〜第3スペーサ15、16、17などが取り付けられている。
【0034】
シリンダキャップ12は、中心にガイド孔12aを有するリング状のものであり、第1シリンダ部11cの外端部にねじ込まれている。ピストンガイド13もまた、中心にガイド孔13aを有するリング状のものであり、第1シリンダ部11cの中央付近に嵌合している。エンドキャップ14は、円盤状のものであり、第2シリンダ部11dの外端部にねじ込まれている。また、エンドキャップ14には、ロッドエンド27がねじ込まれるとともに、ロックナット28が取り付けられており、このロッドエンド27を介して、シリンダ11がブラケット7に連結されている。
【0035】
第1〜第3スペーサ15、16、17は、それぞれ所定の長さを有する薄肉の円筒状のものである。第1スペーサ15は、シリンダキャップ12とピストンガイド13の間に配置され、これらに挟持された状態で、第1シリンダ部11cに嵌合している。第2スペーサ16は、第1シリンダ部11cの中央付近から中間シリンダ部11eの第2窓部11b側の端部付近まで延びており、端部がピストンガイド13に当接した状態で、シリンダ11に嵌合している。また、第2スペーサ16には、シリンダ11の第1窓部11a、11aに対応する位置に、第1窓部11aと同じ形状および大きさの長孔状の2つの第1窓部16a、16aが形成されている。第3スペーサ17は、第2シリンダ部11bに嵌合しており、エンドキャップ14に当接している。
【0036】
第1ピストン25は、丸棒状のものであり、シリンダ11に部分的に挿入されるとともに、シリンダキャップ12のガイド孔12aおよびピストンガイド13のガイド孔13aに挿入され、摺動自在に支持されている。第1ピストン25の内端部には、ねじ穴25aが形成されている。また、シリンダ11から突出する第1ピストン25の外端部には、ロッドエンド29がねじ込まれるとともに、ロックナット30が取り付けられており、このロッドエンド29を介して、第1ピストン25がブラケット8に連結されている。
【0037】
第2ピストン26は、丸棒状のものであり、後述する一対のサイドプレート52、52のガイド孔52a、52aおよび一対のばね座55、55のガイド孔55a、55aに挿入され、摺動自在に支持されている。また、第2ピストン26の第1ピストン25側の端部には、ねじ穴26aが形成されている。
【0038】
図5に示すように、連結機構31は、第1ピストン25の内端部に取り付けられたプラグ32と、これに対向する第2ピストン26の端部に取り付けられたソケット35を備えている。地震時に、これらのプラグ32とソケット35が互いに嵌合することによって、第1および第2ピストン25、26が連結される。
【0039】
プラグ32は、プラグ本体33および当接駒34を有している。プラグ本体33は、円筒状のものであり、第1ピストン25のねじ穴25aにねじ込まれている。また、プラグ本体33の外周面には、その周方向の全体にわたって、ボール係合溝33aが形成されている。当接駒34は、短い円柱状のものであり、プラグ本体33のソケット35側の内端部に圧入されている。
【0040】
ソケット35は、ソケット本体36、複数のボール37(1つのみ図示)、スリーブ38、スプリング39、摺動駒40、ストッパ41およびストッパリング42を有している。
【0041】
ソケット本体36は、円筒状のものであり、第2ピストン26のねじ穴26aにねじ込まれている。また、ソケット本体36には、プラグ32側の一端から中央付近まで延びるプラグ嵌合孔36aと、このプラグ嵌合孔36aから連続して第2ピストン26側に延びる、より小径の摺動駒ガイド孔36bが形成されており、この摺動駒ガイド孔36bに摺動駒40が摺動自在に嵌合している。
【0042】
また、ソケット本体36には、プラグ32側の端部の周壁に、周方向に間隔を隔てて複数のボール収容孔36cが形成されており、各ボール収容孔36cは、プラグ本体36の内方に向かって狭まるように傾斜している。各ボール収容孔36cには、ボール37が収容されており、ボール37は、ソケット本体36のプラグ嵌合孔36aに部分的に突出している。また、ソケット本体36のプラグ32側の外周面の端部には、その周方向の全体にわたって、ストッパリング係合溝36dが形成されている。
【0043】
スリーブ38は、リング状のものであり、ソケット本体36の外側に長さ方向に沿って移動自在に嵌合している。スプリング39は、コイルばねで構成されており、ソケット本体36とスリーブ38の間に配置され、スリーブ38をプラグ32側に付勢している。
【0044】
また、スリーブ38の外周面には、その周方向の全体にわたって、ストッパ係合溝38aが形成されている。一方、前述した摺動駒40には、スタッド43が上方からねじ込まれており、このスタッド43とナットによってストッパ41が固定されている。ストッパ41は、平板状のものであり、その先端のフック部41aが、ストッパ係合溝38aに係合可能になっている。
【0045】
ストッパリング42は、周方向に一部を切り欠いたリング状のものであり、ソケット本体36のストッパリング係合溝36dにスナップ嵌めされており、ソケット本体36の径方向外方に若干、突出している。
【0046】
次に、上記連結機構31による連結動作を説明する。まず、連結機構31は、図5に示すような初期状態でセットされる。すなわち、ソケット35のスリーブ38をプラグ32と反対側に移動させ、スプリング39のばね力によりスリーブ38をプラグ32側に付勢した状態で、ストッパ41のフック部41aをスリーブ38のストッパ係合溝38aに係合させる。
【0047】
この初期状態から、地震時に基礎1と上部建物2との間の相対変位DRが発生すると、プラグ32は、例えばソケット35側に移動し、相対変位DRが所定値を超えたときに、ボール37を外方に移動させながらソケット35のプラグ嵌合孔36aに嵌合する。この嵌合に伴い、当接駒34が摺動駒40を押圧し、移動させる。この摺動駒40の移動に伴い、これとスタッド43を介して一体のストッパ41が、スリーブ38のストッパ係合溝38aから外れる。それに伴い、スリーブ38は、スプリング39のばね力によって、ストッパリング42に当接するまでプラグ32側に移動する。このスリーブ38の移動により、ボール37がプラグ32のボール係合溝33aに係合し、それにより、ソケット35とプラグ32が互いにロックされる。これにより、第1および第2ピストン25、26が、抜け止め状態で一体に連結される。
【0048】
図6および図7に示すように、フリクション発生機構51は、一対のサイドプレート52、52、摩擦材53、締付けバンド54、一対のばね座55、55、および一対のスプリング56、56などを備えており、地震時に、連結機構31により第1および第2ピストン25、26が連結されたときに、シリンダ11と第2ピストン26の間にフリクションを作用させるものである。
【0049】
一対のサイドプレート52、52は、それぞれ中心にガイド孔52aを有するリング状のものである。また、両サイドプレート52、52は、周方向に等間隔に設けられた4本の固定軸59の両端部にそれぞれ固定されており、ガイド孔52aに第2ピストン26が通され、固定軸59が第2ピストン26を取り囲んだ状態で、第2ピストン26に取り付けられている。
【0050】
摩擦材53は、4つの摩擦材53で構成され、ナイロン樹脂などから成る所定の厚さを有するシート状のものであり、隣り合う各2つの固定軸59、59間に配置され、第2ピストン26の外周面に敷かれている。
【0051】
締付けバンド54は、第2ピストン26の長さ方向に互いに隣接する5つの締付けバンド54で構成されている。各締付けバンド54は、2つのバンド材54aで構成されている。各バンド材54aは、円弧状の締付け部54bと、締付け部54bの両端部からそれぞれ延びる直線状の固定部54c、54cで構成されている。締付けバンド54は、両バンド材54a、54aが摩擦材53に接した状態で、それらの一方の端部同士が、スペーサとしての駒54dを介してボルト57およびナット58によって固定され、他方の端部同士が、ボルト57およびナット58によって固定されている。この構成により、摩擦材53は、締付けバンド54によって第2ピストン26に対して締め付けられている。
【0052】
一対のばね座55、55はそれぞれ、中心にガイド孔55a、55aを有するリング状のものであり、各ガイド孔55aに第2ピストン26が通されるとともに、シリンダ11の第2窓部11bの両端部に配置されている。具体的には、一方のばね座55は、シリンダ11の第2窓部11aの一方の縁部に嵌合するとともに、第2スペーサ16に当接している。また、他方のばね座55は、他方の第2窓部11bの縁部に嵌合するとともに、第3スペーサ18に当接している。
【0053】
一対のスプリング56、56はそれぞれ、コイルばねであり、サイドプレート52とばね座55との間に配置されている。また、スプリング56、56のばね力は、シリンダキャップ12のねじ込み量を調整することにより、第1スペーサ15や、ピストンガイド13、第2スペーサ16およびばね座55を介して、第2スペーサ16に当接するスプリング56を進退させることにより、所定の予荷重を与えた状態で調整される。その結果、スプリング56、56のばね特性および両者の合成ばね特性は、それぞれ図8のa〜cのようになる。
【0054】
次に、以上の構成のフリクションダンパ10の動作について説明する。まず、フリクションダンパ10は、図4に示すように、第1および第2ピストン25、26が互いに所定の間隔を隔てて対向するとともに、スプリング55、55が所定の予荷重を与えられた初期状態でセットされる。この初期状態から、地震の発生に伴い、基礎1と上部建物2の間に相対変位DRが発生すると、例えば、ブラケット7に連結された第1ピストン25が、ブラケット8に連結されたシリンダ11に対して近づく方向(図4の右側)に相対的に移動する。この場合、この相対変位DRが所定値を超えるまでは、第1および第2ピストン25、26が互いに連結されないことで、シリンダ11と第1ピストン25は相対的に自由に移動し、フリクション発生機構51によるフリクションは作用しない(図9の区間A)。したがって、免震支承3による免震機能およびオイルダンパ20による減衰機能が発揮される。
【0055】
一方、相対変位DRが所定値を超えると、連結機構31の前述した動作により、プラグ32がソケット35に嵌合することによって、第1および第2ピストン25、26が一体に連結される。以下、このように連結された状態の第1および第2ピストン25、26を「連結ピストン25、26」という。
【0056】
相対変位DRがさらに大きくなると、連結ピストン25、26がさらに右側に移動するのに伴い、それと一緒に締付けバンド54などが右側に移動することによって、第2スペーサ16に当接する第2シリンダ部11d側のスプリング56が圧縮されるとともに、中間シリンダ部11e側のもう1つのスプリング56が伸長する。これらのスプリング56、56の伸縮により、図8に示すように、両スプリング56、56の合成ばね力は、両ピストン25、26が連結された時の中立点を基準とする変位に比例して増大し、シリンダ11と連結ピストン25、26の間にばね抵抗として作用する(図9の区間B)。
【0057】
その後、締付けバンド54の締め付け具合により設定された摩擦材53の設定フリクションにスプリング56の荷重が達すると、スプリング56がそれ以上、伸縮しなくなるとともに、摩擦材53は、右側に移動する連結ピストン25、26に対してフリクションを作用させる。これにより、シリンダ11に対する連結ピストン25、26の移動が規制され、基礎1および上部建物2の間の相対変位が免震装置の許容ストローク内に抑制される(図9の区間C)。
【0058】
この状態から、地震の揺れの反転に伴って相対変位DRが反転すると、それに応じて、連結ピストン25、26は、左側へ移動し、上記の右側への移動時と逆の動作により、スプリング56、56のばね抵抗が作用した状態を経て、摩擦材53によるフリクションが作用する。以降、このような地震の揺れの反転に伴い、以上のような動作が繰り返し行われる。
【0059】
なお、地震時に第1ピストン25が第2ピストン26に対して離れる方向(図4の左側)に最初に移動した場合には、第1ピストン25がシリンダ11に対して摺動するだけであり、連結機構31による第1および第2ピストン25、26の連結は行われず、フリクション発生機構51による減衰機能も発揮されない。その場合には、第1および第2ピストン25、26の相対的に逆方向に移動するように設けられた他のフリクションダンパ10が、地震時の最初に減衰機能を発揮する。その後、第1ピストン25の移動方向が反転したときに、上述したようにして、第1および第2ピストン25、26が連結され、フリクションダンパ10による減衰機能が発揮される。
【0060】
以上のように、本実施形態のフリクションダンパ10によれば、基礎1と上部建物2との相対変位DRが所定値に達したときに、フリクション発生機構51が作動することによって、減衰機能が発揮される。したがって、相対変位DRを免震装置の許容ストローク内に確実に抑制でき、その結果、上部建物2の損傷や破損を防止することができる。
【0061】
また、フリクション発生機構51が、第1および第2ピストン25、26の機械的な連結によって作動し、電力をまったく必要としないので、巨大地震時に停電などが生じた場合でも、フリクションダンパ10の減衰機能を確実に発揮することができる。
【0062】
また、連結機構31による第1および第2ピストン25、26の連結を、プラグ32およびソケット35という比較的単純な構成によって、確実に行うことができる。また、嵌合したプラグ32およびソケット35が、スリーブ38およびボール37などでロックされることにより、第1および第2ピストン25、26の連結状態を確実に維持することができる。
【0063】
また、締付けバンド54によって外方から摩擦材53を第2ピストン26に対して締め付けることにより、摩擦材53によるフリクションを確実に作用させることができる。したがって、フリクション発生機構51のフリクションを確保することができ、それにより安定した減衰機能を確保することができる。また、締付けバンド54が、第2ピストン26の長さ方向に配置された5つの締付けバンド54で構成されているので、その締付け力を調整することによって、フリクション発生機構51のフリクションの調整を容易に行うことができる。
【0064】
また、第1および第2ピストン25、26が連結された後の初期の状態では、まずスプリング56、56のばね力が作用し、その後、フリクション発生機構51が作用するので、第1および第2ピストン25、26の連結直後にフリクション発生機構51のフリクションが急激に作用することがなく、フリクション発生機構51の減衰機能を滑らかに発揮することができる。
【0065】
次に、図10を参照しながら、本発明の第2実施形態によるフリクションダンパを説明する。このフリクションダンパ60は、シリンダ62と、シリンダ62に設けられた第1ピストン63および第2ピストン64などを備えている。
【0066】
第1ピストン63は、シリンダ62内に設けられたリング状のシリンダキャップ12およびピストンガイド13に通され、摺動自在に支持されている。また、第1ピストン63の第2ピストン64に対向する端部は、嵌合部63aになっており、この嵌合部63aは、斜めに面取りされるとともに、それに近接した位置にボール係合溝63bが形成されている。
【0067】
第2ピストン64は、短い円柱状のものであり、第1ピストン63と所定の間隔を隔てて配置されている。第2ピストン64の第1ピストン63に対向する側の面には、第1ピストン63の嵌合部63aと相補的な形状を有する嵌合穴64aが形成されている。この嵌合穴64aの周壁には、複数のボール65が設けられている。
【0068】
本実施形態では、これらの第1ピストン63の嵌合部63a、第2ピストン64の嵌合穴64aおよびボール65によって、連結機構66が構成されている。
【0069】
また、第2ピストン64とシリンダ62の周壁との間には、弾性材67および摩擦材68が、第2ピストン64側から順に設けられている。弾性材67はゴムなどで構成され、摩擦材68はナイロン樹脂などで構成されている。また、摩擦材68は、図示しない適当な手段、例えば油圧によって、シリンダ62の周壁に押し付けられている。
【0070】
本実施形態では、これらの弾性材67および摩擦材68によって、フリクション発生機構69が構成されている。
【0071】
以上の構成によれば、第1実施形態と同様、相対変位DRが所定値を超えたときに、第1ピストン63の嵌合部63aが第2ピストンの嵌合穴64aに嵌合することにより、第1および第2ピストン63、64が互いに連結される。このとき、ボール65がボール係合溝63bに係合することにより、第1および第2ピストン63、64が抜け止め状態でロックされる。
【0072】
この状態で、相対変位DRがさらに大きくなると、シリンダ62と第2ピストン64の間に、弾性材67によるクッションが働いた状態で、摩擦材68によるフリクションが、シリンダ62と第2ピストン64の間に作用することによって、フリクションダンパ60による減衰機能が発揮される。これにより、第1実施形態と同様、シリンダ62に対する第1および第2ピストン63、64の移動が規制され、基礎1および上部建物2の間の相対変位が免震装置の許容ストローク内に抑制される。
【0073】
その後、第1および第2ピストン63、64の移動方向が反転した場合には、摩擦材68によるフリクションが同様に発生し、それによる減衰機能によって、第1および第2ピストン63、64の移動が規制される。
【0074】
以上のように、本実施形態においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、摩擦材68が第2ピストン64によってシリンダ62に直接、押圧されるので、第1実施形態と比較して、シリンダ64および第2ピストン64の長さを短くすることができ、ひいてはフリクションダンパ60全体をコンパクトにすることができる。
【0075】
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、第1実施形態では、締付けバンド54の数が5つであるが、その数を変更してもよく、それにより、フリクションを容易に調整することができる。
【0076】
また、第1および第2実施形態では、フリクションダンパ10、60を、転がりタイプの免震支承3およびオイルダンパ20と組み合わせることによって免震装置を構成しているが、滑りタイプの免震支承と組み合わせることによって免震装置を構成してもよい。
【0077】
また、実施形態では、第1および第2構造体をそれぞれ基礎1および上部建物2とし、フリクションダンパ10、60を免震装置とともに用い、地震時における第1および第2構造体の相対変位DRを抑制する場合について説明したが、本発明はこれに限らず広く適用することができる。例えば、第1および第2構造体を1つの建物内の上層部および下層部とし、フリクションダンパ10、60を、上・下層部間の相対変位DRを抑制する建物の制振装置として用いてもよい。また、第1および第2構造体をそれぞれ、建物および建物内に設置された機械や装置とし、あるいは建物内に設置された2つの機械や装置としても良く、それにより、これらの間の相対変位DRをフリクションダンパ10、60で抑制することによって、機械などの破損や損傷などの不具合を防止することができる。
【符号の説明】
【0078】
1 基礎(第1構造体)
2 上部建物(第2構造体)
3 免震支承
10 フリクションダンパ
11 シリンダ
25 第1ピストン
26 第2ピストン
31 連結機構
32 プラグ
33a ボール係合溝
35 ソケット
36 ソケット本体
36c ボール収容孔
37 ボール
38 スリーブ
38a ストッパ係合溝(ストッパ係合部)
39 スプリング
40 摺動駒
41 ストッパ
51 フリクション発生機構
52 サイドプレート
53 摩擦材
54 締付けバンド
55 ばね座
56 スプリング
60 フリクションダンパ
62 シリンダ
63 第1ピストン
64 第2ピストン
65 連結機構
69 フリクション発生機構
DR 相対変位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震時における第1構造体と第2構造体との相対変位を抑制するために、揺れのエネルギーを吸収し、減衰させるフリクションダンパであって、
前記第1構造体および前記第2構造体の一方に連結されたシリンダと、
前記第1構造体および前記第2構造体の他方に連結され、前記シリンダ内に摺動自在に設けられた第1ピストンと、
前記シリンダ内に摺動自在に設けられ、前記第1ピストンに所定の間隔を隔てて対向する第2ピストンと、
前記第1および第2ピストンの互いに対向する端部に設けられ、前記相対変位が所定値を超えたときに、前記第1および第2ピストンを互いに連結する連結機構と、
前記第1および第2ピストンが互いに連結された状態で、前記シリンダと前記第2ピストンの間にフリクションを作用させることによって、前記シリンダに対する前記第2ピストンの摺動を規制するフリクション発生機構と、
を備えることを特徴とするフリクションダンパ。
【請求項2】
前記連結機構は、
前記第1および第2ピストンの一方に設けられたソケットと、
前記第1および第2ピストンの他方に設けられ、前記相対変位が前記所定値を超えたときに、前記ソケットに嵌合することにより連結されるプラグと、
を有することを特徴とする請求項1に記載のフリクションダンパ。
【請求項3】
前記プラグは、外周面に周方向に連続するボール係合溝を有し、
前記ソケットは、
周壁にその周方向に沿って複数のボール収容孔が形成された筒状のソケット本体と、
前記複数のボール収容孔の各々に収容され、前記周壁の内方に部分的に突出するボールと、
外周面にストッパ係合部を有し、前記ソケット本体の外側に、当該ソケット本体の長さ方向に沿って移動自在に嵌合するスリーブと、
当該スリーブを前記プラグ側に向かって付勢するスプリングと、
前記ソケット本体内に、当該ソケット本体の長さ方向に摺動自在に設けられた摺動駒と、
当該摺動駒と一体に設けられたストッパと、を有し、
前記ソケットは、前記ストッパが前記ストッパ係合部に係合することにより、前記スリーブが前記プラグと反対側に退避した状態でセットされるとともに、前記プラグが嵌合したときに、前記摺動駒が当該プラグによって、押圧され、移動することにより、前記ストッパが前記ストッパ係合部から外れ、前記スリーブが前記スプリングの付勢力で前記プラグ側に移動することによって、前記ボールが前記プラグの前記ボール係合溝に係合した状態で、前記プラグをロックするように構成されていることを特徴とする請求項2に記載のフリクションダンパ。
【請求項4】
前記フリクション発生機構は、
前記第2ピストンの外周面に設けられた摩擦材と、
当該摩擦材を取り囲むように設けられ、前記シリンダに連結されるとともに、前記摩擦材を前記第2ピストンに対して締め付けることにより、フリクションを付与するための締付けバンドと、
を有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のフリクションダンパ。
【請求項5】
前記締付けバンドは、前記第2ピストンの長さ方向に配置された複数の前記締付けバンドで構成されていることを特徴とする請求項4に記載のフリクションダンパ。
【請求項6】
前記フリクション発生機構は、
前記摩擦材および前記締付けバンドの両側に設けられた一対のサイドプレートと、
前記シリンダと一体に設けられ、前記一対のサイドプレートの外側に、間隔を隔ててそれぞれ配置された一対のばね座と、
当該一対のばね座と前記一対のサイドプレートの間にそれぞれ設けられた、一対のスプリングと、
をさらに有することを特徴とする請求項4または5に記載のフリクションダンパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−169243(P2010−169243A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14808(P2009−14808)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【出願人】(500473313)
【Fターム(参考)】