説明

フルオロシリコーンゴムの接着

パーフルオロアルキル基を実質的に含有せず、且つ非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なシリコーンゴムの層に対する、非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なフルオロシリコーンゴムの層の接着方法である。かかる接着方法は、(i)硬化前に、ヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンのいずれかをフルオロシリコーンゴム組成物に加える工程と、(ii)硬化前に、他のヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンをもう一つのシリコーンゴム組成物に加える工程と、(iii)工程(i)及び工程(ii)の生成物を所望の形状に成形する工程と、(iv)工程(iii)の成形品を互いに接触させる工程と、(v)互いに共に接触している成形品を、それらの間にヒドロシリル化反応を生じさせることによって接着する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ヒドロシリル化硬化プロセス(non-hydrosilylation curing process)を用いて硬化可能なフルオロシリコーンゴムの、非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なもう一つのシリコーンゴムに対する接着の改良された方法、及びその方法を用いて製造された製品に関する。
【背景技術】
【0002】
フルオロシリコーンゴム組成物、特に、多くのフルオロアルキル(特に、パーフルオロアルキル基)を有するオルガノポリシロキサンポリマーをベースとするフルオロシリコーンゴム組成物は、硬化した場合に、それらを熱、凍結、薬品及び油浸漬に対して抵抗力のある状態にさせる特性を持つ。したがって、これらの組成物は、自動車及び航空機産業において広く使用されている。しかしながら、硬化されたフルオロシリコーンゴムが有する一つの重要な問題は、他のシリコーンゴム組成物等の他の基材に対して上手く接着しないということである。
【0003】
フルオロシリコーンゴムの、もう一つのシリコーンゴムベース基材及び他の基材表面に対する接着を改良するために、様々な方法が提案されてきた。これらは、接着を改良するために、フルオロシリコーンゴム及び/又は他のシリコーンゴムにおける複数のケイ素−水素結合又は複数のアルケニル基を含有する物質の添加を包含する。また、フルオロシリコーンゴム及び/又は他のシリコーンゴムにおけるシアヌレート及び/又はイソシアヌレートをベースとする化合物(例えば、トリアリルシアヌレート又はトリアリルイソシアヌレート)等の接着促進剤の添加も使用し得るが、適合性の問題をもたらし得る。
【0004】
特公平01−38149号公報は、フルオロシリコーンゴム組成物を、ビニルトリメトキシシラン及び2,4,4−トリメチル−ペンチル−2−ヒドロペルオキシドを含有するプライマー組成物で処理された金属表面と接触させることにより、金属表面にフルオロシリコーンゴムを接着する方法を記載している。この組成物は、次に加熱され、そして硬化される。この方法の不利益はプライマー組成物のコストであり、これはプライマー組成物が特定の有機過酸化物を含有しているためである。他の不利益は、基材に対するフルオロシリコーンゴムの不均一な接着である。
【0005】
欧州特許第0798344号では、少なくとも2つのケイ素−水素結合を有するポリオルガノハイドロジェンシロキサン(ここで、ケイ素結合水素原子以外の基は、C〜Cの直鎖及び/又は分枝鎖アルキル基等の置換又は非置換一価炭化水素基;ビニル又はアリル基等のアルケニル基;フェニル等のアリール基;及び3,3,3−トリフルオロプロピル基により表される)を含むフルオロシリコーンゴム組成物が提供されている。
【0006】
このような化合物の使用は、アルケニル基を含有するオルガノアルコキシシランの形態の主成分を有するプライマー組成物と組み合わせ、次いで加熱及び硬化した場合に、基材に対して改良された接着を提供する。プライマー組成物の他の成分としては、有機チタン酸エステル、有機溶媒、及び白金化合物を包含する。フルオロシリコーンゴム組成物の硬化、及びそれと同時の、基材表面に対するそれらの接続は、基材にプライマー組成物を広げること、少なくとも30分間、前記プライマー組成物を大気中で乾燥させること、フルオロシリコーンゴム組成物を下塗りされた(primed)基材の表面と接触させること、及び次いで、100〜250kgf/cmの加圧下、170〜190℃の温度で5〜20分間加熱してフルオロシリコーンゴムを基材に接着させることにより行われる。
【0007】
米国特許第4465805号は、基材上にコーティングするのに適した炭化水素液体抵抗性(liquid resistant)フルオロシリコーンを記載している。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の実施形態では、パーフルオロアルキル基を実質的に含有せず、且つ非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なシリコーンゴムの層に対する、非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なフルオロシリコーンゴムの層の接着方法であって、
i)硬化前に、ヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンのいずれかをフルオロシリコーンゴム組成物に加える工程と、
ii)硬化前に、他のヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンをもう一つのシリコーンゴム組成物に加える工程と、
iii)工程(i)及び工程(ii)の生成物を所望の形状に成形する工程と、
iv)工程(iii)の成形品を互いに接触させる工程と、
v)互いに共に接触している成形品を、それらの間にヒドロシリル化反応を生じさせることによって接着する工程と
を含む接着方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一つの実施形態において、工程(i)の生成物又は工程(ii)の生成物のいずれかは、工程(v)の前に予備硬化してもよい。或いは、工程(i)の生成物及び工程(ii)の生成物の両方は、工程(v)におけるヒドロシリル化反応の進行と同時に硬化される。必要であれば、二つの生成物を一緒に接着する場合に、圧力が適用されてもよい。フルオロシリコーンゴム生成物と高稠度シリコーンゴム生成物との間の界面での反応は、室温、又は室温〜約200℃のあらゆる温度で行ってもよい。
【0010】
工程(i)で利用されるフルオロシリコーンポリマー組成物は、あらゆる適切なフルオロシリコーンゴム組成物であることができる。
【0011】
好ましくは、フルオロシリコーンポリマー組成物は、下記の成分を含む。
A)フッ素化ポリジオルガノシロキサンポリマー
B)1つ以上の、補強充填剤及び/又は非補強充填剤
C)適切な非ヒドロシリル化硬化触媒
【0012】
好ましくは、フッ素化ポリジオルガノシロキサンAは、1,000を超える重合度、及び/又は25℃で少なくとも10,000mPa・sの粘度を有し、且つフッ素化シロキサン単位、及び任意に非フッ素化シロキサン単位を含む。フッ素化シロキサン単位は、式:
(R”Q)(R’)SiO(4−a−b)/2
を好ましくは有する。
式中、
各R”は、同一でも異なっていてもよく、1〜8個の炭素原子を有する分枝鎖又は直鎖フルオロアルキルラジカルを示し、
各Qは、同一でも異なっていてもよく、少なくとも2個の炭素原子を含有する二価炭化水素、炭化水素エーテル、又は炭化水素チオエーテルを示し、各R”ラジカルは、Q基を介してケイ素原子に接続されており、
各R’は、同一でも異なっていてもよく、任意に置換された飽和又は不飽和ケイ素結合一価炭化水素基を示し、
aは0〜2、bは0〜2であり、aが0である場合に、単位あたりの少なくとも1つのR’基が、1個以上の炭素−フッ素結合を含有する。
【0013】
この出願の目的上、「置換(された)」なる語は、炭化水素基における1つ以上の水素原子が他の置換基と置き換えられていることを意味する。かかる置換基の例としては、塩素、フッ素、臭素及びヨウ素等のハロゲン原子;クロロメチル、パーフルオロブチル、トリフルオロエチル及びノナフルオロヘキシル等のハロゲン原子含有基;酸素原子;(メタ)アクリル及びカルボキシル等の酸素原子含有基;窒素原子;アミノ官能基、アミド官能基及びシアノ官能基等の窒素原子含有基;硫黄原子;並びにメルカプト基等の硫黄原子含有基が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
適切な飽和R’ラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル及びデシル等のアルキルラジカルが挙げられる。フルオロシリコーンポリマーにおいて、好ましくは、aが0よりも大きい場合に少なくとも90%のR’ラジカル、より好ましくはアルケニルラジカルを除いて全てのR’ラジカルは、メチルラジカルである。好ましくは、aが0である場合に、単位あたりの平均約少なくとも1つのR’’’は、少なくとも1つの炭素−フッ素結合、最も好ましくはCF−を含有する。
【0015】
好ましくは、R”は、5〜100モル%のフッ素化シロキサン単位の全範囲にわたって、1〜8個の炭素原子を有するフルオロアルキルラジカルを示す。存在する各フルオロアルキルラジカルは、少なくとも1つの−C−F結合を有する。R”ラジカルは、同一でも異なっていてもよく、標準的な構造又は分枝鎖構造を有することができる。好ましくは少なくともいくつか、最も好ましくは少なくとも50%のフルオロアルキル基は、パーフルオロアルキル基である。それらの例としては、CF−;C−;CFCFCF−又は(CFCF−等のC−、CFCFCFCF−、(CFCFCF−、(CFC−及びCFCF(CF)CF−等のC−;CFCFCFCFCF−等のC11−;CF(CFCF−等のC13−;CF(CFCF−等のC14−;並びにC17−が挙げられる。
【0016】
本発明では、パーフルオロオクチルよりも大きなパーフルオロアルキルラジカルを含有するポリマーについては調査されなかったが、R”がC19−、C1021−及びそれ以上であり得ることは妥当であって、本発明の範囲及び精神の範囲内である。しかしながら、1〜8個の炭素原子を含有するパーフルオロアルキルラジカルを含有するポリマーが、フルオロシリコーンポリマーにおけるフッ素化シロキサン単位の量に応じて優れた結果を与えることや、より大きなパーフルオロアルキルラジカルの使用が、より高いコストで増加した改良を与えるだけであろうことは明白である。
【0017】
各パーフルオロアルキルラジカルは、Q;炭素、水素、及び任意に、エーテル及びチオエーテル結合としてそれぞれ存在する酸素及び/又は硫黄原子を含有する二価スペーサーラジカル(spacing radical)を介してケイ素原子に結合される。硫黄及び酸素原子は、存在するなら、炭素原子のみに結合されなければならない。
【0018】
各Qラジカルは、記載した元素を含有するあらゆる構造を有することができるが、好ましくは、標準的な構造又は分枝鎖構造を有するアルキレンラジカルである。適切なアルキレンラジカルの例としては、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、(CHCH−、及び−CH(CH)CHCH−が挙げられる。
【0019】
各フッ素化ラジカルR”Qは、式R”CHCH−を好ましくは有する。
【0020】
任意に、フッ素化ポリオルガノシロキサンは、1分子あたりの全単位数の好ましくは25%未満、より好ましくは15%未満の割合の、式:
(R’’’)SiO(4−c)/2
を有する非フッ素化シロキサン単位をさらに含む。
式中、R’’’は、任意に置換された飽和又は非飽和ケイ素結合一価炭化水素基を示し;cは0〜3であるが、好ましくはcの平均値は約2である。各R’’’はフッ素を含有せず、したがって、R’’’は、上記「置換基」の一般定義中で記載したフルオロ含有置換基のいずれも含有することができない。
【0021】
前に示したように、R’’’は、任意に置換された飽和又は非飽和ケイ素結合一価炭化水素基を示す。好ましくは、各R’’’は、同一でも異なっていてもよく、C〜C10のアルキル基;ビニル若しくはアリル基等のアルケニル基;並びに/又はフェニル、トリル、ベンジル、β−フェニルエチル及びスチリル等のアリール基から選択されることができる。好ましくは、1分子あたり少なくも2つのR’’’置換基が、アルケニル基、最も好ましくはビニル基である。
【0022】
本発明の一つの好ましい実施形態において、フルオロシリコーンポリマーは、2〜8個の炭素原子を有するアルケニル基、好ましくはビニル基を少なくとも2つ含有する。
【0023】
成分Aの例としては、ジメチルシロキシ単位と(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシロキシ単位とのコポリマー;ジメチルシロキシ単位と(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシロキシ単位とビニルメチルシロキシ単位とのコポリマー;(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシロキシ単位とビニルメチルシロキシ単位とのコポリマー;及びポリ(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシロキサンが挙げられる。それらの分子鎖上の末端基は、トリメチルシロキシ基、ビニルジメチルシロキシ基、ジメチルヒドロキシシロキシ基、及び(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルヒドロキシシロキシ基から選択される。
【0024】
さらなる代替物では、成分(A)は鎖延長されていてもよい。あらゆる適切な形態の鎖延長剤を利用してよいが、本明細書における成分(A)のための特に好ましいものとしては、鎖延長の位置でのみ懸垂アルケニル基を有する鎖延長ポリマーである。アルケニル基は、好ましくはビニル基である。かかるポリマーは、欧州特許第0542471号に記載されているように、アルキルアルケニルジ(N−アルキルアセタミド)シランの存在下でヒドロキシル末端封鎖トリフルオロプロピルメチルシロキサンを重合させることにより調製することができ、その内容が本明細書に含まれる。
【0025】
あらゆる適切な充填剤又は充填剤の組み合わせ(成分(B))を利用することができる。これらは、補強充填剤単独、又は非補強充填剤との組み合わせを包含してもよい。補強充填剤としては、粉末シリカ(ground silica)、ヒュームドシリカ、沈降シリカ、シリカエアロゲル、炭酸カルシウムが挙げられる。非補強充填剤としては、珪灰石、石英、カオリン、マイカ、葉蝋石、炭酸マグネシウム、及び他の粒状無機固体が挙げられる。
【0026】
成分(B)は、処理形態又は未処理形態で組成物に導入することができる。処理充填剤は、充填剤/ポリマー混合工程において補助するために疎水性を持つ充填剤を与える物質で予備処理されている。時には、混合工程の間に処理剤を本発明の組成物に添加する場合に、その場(in situ)で充填剤を処理することが有益であるかもしれない。あらゆる適切な処理剤を利用することができる。これらは、例えば、シラン、シラザン又は短鎖オルガノポリシロキサンポリマーを含む1つ以上の群を包含することができる。いくつかの適切なシランとしては、例えば、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等のアルキルトリアルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン等のフェニルトリアルコキシシラン;又はビニルトリエトキシシラン及びビニルトリメトキシシラン等のアルケニルトリアルコキシシランが挙げられる。必要なら、カオリン充填剤用の処理剤として、ヘキサメチルジシラザン、1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、及び1,3−ジビニルテトラメチルジシラザン等のシラザンを使用することもできる。短鎖オルガノポリシロキサンとしては、例えば、2〜20の重合度を有するヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、2〜20の重合度を有するヒドロキシ末端ポリジアルキルアルキルアルケニルシロキサン、及び末端基であってもなくてもよいSi−H基を少なくとも1つ含むオルガノポリシロキサン、短鎖ヒドロキシ末端ポリ3,3,3−トリフルオロプロピルメチルシロキサンを挙げることができる。或いは、フルオロアルキルトリアルコキシシラン及びフルオロアルキルシランを処理剤として利用してもよい。
【0027】
好ましい充填剤は、補強充填剤であり、例えば、ヒュームドシリカ、沈降シリカを含み、もみ殻灰(rice hull ash)や、ある程度の炭酸カルシウム及び/又はカオリンを含む。また、破砕石英、珪藻土、硫酸バリウム、酸化鉄、二酸化チタン及びカーボンブラック、タルク、珪灰石等の非補強充填剤も使用することができる。単独又は上記のものに添加して使用することができる他の充填剤としては、アルミナイト、硫酸カルシウム(無水石膏)、石膏、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン等の粘土、三水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム(水滑石)、グラファイト、炭酸銅(例えば、マラカイト)、炭酸ニッケル(例えば、ザラカイト)、炭酸バリウム(例えば、毒重石)及び/又は炭酸ストロンチウム(例えば、ストロンチウム石)が挙げられる。
【0028】
この充填剤は、9未満のpHを有することが好ましい。さらに、十分な補強効果を得るために、充填剤は、50m/gを超える比表面積を有していなければならない。充填剤の量は、成分(A)100重量部あたり、5〜200重量部、好ましくは20〜80重量部である。充填剤の量が200重量部を超えると、フルオロシリコーンゴム組成物は、加工及び硬化後にその機械的特性が低下するであろう。
【0029】
あらゆる適切な有機過酸化物が、本発明の成分(C)として利用することができる。いくつかの一般に使用される有機過酸化物としては、過酸化ベンゾイル、1,4−ジクロロベンジルペルオキシド、2,4−ジクロロベンジルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、過酸化ジクミル、ターシャリーブチルパーベンゾエート、及びモノクロロベンゾイルペルオキシド、ジターシャリーブチルペルオキシド、2,5−ビス−(ターシャリーブチル−ペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ターシャリーブチルトリメチルペルオキシド、ターシャリーブチル−ターシャリーブチル−ターシャリートリフェニルペルオキシド、及びt−ブチルパーベンゾエートが挙げられる。最も適切な過酸化物系硬化剤は、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、及び過酸化ジクミルである。
【0030】
この成分は、シリコーン油中に分散させることでペーストに形成してもよい。成分(C)は、成分(A)100重量部あたり、0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜2.0重量部の量で使用されることを推奨する。
【0031】
また、組成物は、1,000より大きい重合度及び式RSiO(4−b)/2(式中、Rは、さらに不飽和であってよい(例えば、アルケニル又はアルキニル基を有していてもよい)が、如何なるフルオロ基(fluoroinated groups)も含有しない、置換又は非置換一価炭化水素基である)を有する成分(D)第二のポリオルガノシロキサンを0〜20重量部含むことができる。例えば、成分(A)がポリ(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルシロキサンである場合、請求項に記載した組成物は、1,000より大きい重合度を有し、且つ3,3,3−トリフルオロプロピル基を含有しないオルガノポリシロキサンの形態の任意成分(D)と組み合わせることができる。ポリオルガノシロキサンにおいてケイ素原子に結合される有機基は、C〜Cアルキル基;ビニル又はアリル;及びフェニルにより表される。以下のもの:ポリジメチルシロキサン、ポリビニルメチルシロキサンジメチルシロキシ単位とメチルフェニルシロキシ単位とのコポリマー、及びジメチルシロキシ単位とビニルメチルシロキシ単位とのコポリマーは、これらポリオルガノシロキサンの具体例である。ポリオルガノシロキサンは、混合した後に、ケイ素原子に結合した全ての一価炭化水素基に関連する3,3,3−トリフルオロプロピル基の含有量が、少なくとも20モル%となるような量で使用されることを推奨する。
【0032】
本発明のフルオロシリコーンゴム組成物の必須成分は、成分(A)、(B)及び(C)、並びに任意の(D)である。しかしながら、もし必要ならば、この組成物は、以下の添加剤:シリコーンゴム組成物と共に通常使用されるジオルガノシロキサンオリゴマー等の可塑剤;金属石鹸又は加工助剤;酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム又は耐油性向上剤と組み合わせられる。本発明に従って組成物に包含され得る他の追加的な成分としては、鎖延長剤、染料、着色剤、顔料、粘度調整剤、浴寿命延長剤、阻害剤、溶媒、難燃剤(fire retardancy agents)、離型剤、発泡剤、難燃剤(flame retardants)、導電性及び/又は熱伝導性の充填剤、乾燥剤、処理剤(handling agents)、過酸化物硬化補助剤(peroxide cure co-agents)、酸受容体、UV安定剤、及び軟化剤が挙げられる。適切な難燃剤としては、例えば、ハロゲン化化合物、ホスフェート、及び酸化アンチモン(III)が挙げられる。酸化セリウム及びカーボンブラック等の熱安定剤も使用することができる。
【0033】
本発明のフルオロシリコーンゴム組成物は、例えば、2本ロールニーダー混合機のような従来の混合装置において、成分(A)〜(C)及び存在する場合に(D)を、必要な場合に適切な添加剤と共に均一に混合する等のあらゆる適切な方法により調製することができる。或いは、成分(A)及び(B)を加熱条件下で混合することにより、それらを予備混合してフルオロシリコーンゴムベースコンパウンドを得た後、成分(C)と組み合わせることができる。
【0034】
その結果として得られる組成物が硬化される場合に、かかる硬化フルオロシリコーンが、驚くほど改良された耐油性老化結果(aging results)、及び他の硬化シロキサンゴム基材に対する良好な接着を与えることを出願人は見出した。
【0035】
本発明の一つの実施形態において、25℃で1,000,000mPa・sを超える粘度を有する高稠度シリコーンゴム(HCR)組成物である。けれども、シリコーンゴムは、例えば、ブチルゴム、エチレンビニルアセテートゴム、EPDM、ニトリルゴム等のようなあらゆる適切な有機ゴムを含むシリコーン変性有機ゴムを代わりに含んでもよい。
【0036】
典型的に、高稠度シリコーンゴム組成物は、一般式RSiO4−a/2の単位を有するオルガノポリシロキサンポリマー(A1)を含む。式中、各Rは、同一でも異なっていてもよく、1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、1〜18個の炭素原子を有する置換炭化水素基、又は18個以下の炭素原子を有する炭化水素オキシ基を示す。好ましくは、Rは、8個以下の炭素原子を有する任意に置換されたアルキル、アルケニル、アリール、アルカリール又はアラルキル基である。アルキル基は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチルであり得る。アルケニル基は、例えば、ビニル、アリル、プロペニル及びブテニルであり得る。アリール及びアラルキル基は、例えば、フェニル、トリル及びベンゾイルであり得る。好ましい基は、メチル、エチル、フェニル及びビニルである。好ましくは、全R基の少なくとも80%が、メチル又はフェニル基であり、最も好ましくはメチルである。オルガノポリシロキサンは、好ましくは、末端基の単位を除くほぼ全ての単位についてaの値が2であり、且つシロキサンが実質的に直鎖ポリマーであるものである。かかるオルガノポリシロキサンの粘度は、容易に流動せず、また可塑性の観点から定義される可能性のあるガムと典型的に称される場合に、25℃で数百万mPa・sであることができる。
【0037】
任意に、シリコーンゴム組成物は、上述の第二のフルオロシリコーンゴム組成物を含むことができるが、それは、上述のフルオロシリコーンゴムとは組成が異なる(すなわち、同じ組成の2つの層を単に一緒に接着するのではない)。かかる第二のフルオロシリコーンゴム組成物中の成分は、上記(A)、(B)、(C)及び任意の(D)に従う。好ましくは、第二のフルオロシリコーンゴム組成物は、第一のフルオロシリコーンゴム組成物の組成と好ましくは異なるけれども、それらは同じであってもよい。
【0038】
したがって、本発明の更なる実施形態において、非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なフルオロシリコーンの第二層に対する、非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なフルオロシリコーンゴムの第一層の接着方法であって、
i)硬化前に、ヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンのいずれかを第一のフルオロシリコーンゴム組成物に加える工程と、
ii)硬化前に、他のヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンを第二のフルオロシリコーンゴム組成物に加える工程と、
iii)工程(i)及び工程(ii)の生成物を所望の形状に成形する工程と、
iv)工程(iii)の成形品を互いに接触させる工程と、
v)互いに共に接触している成形品を、それらの間にヒドロシリル化反応を生じさせることによって接着する工程と
を含む接着方法を提供する。
【0039】
本発明の概念がシリコーンゴムの2つの層(すなわち、両方が非フルオロシリコーンゴム)についても働くことが理解されるであろう。
【0040】
上記に従う高稠度ゴム組成物は、典型的に、充填剤(B1)及び適切な触媒(C1)をさらに含む。典型的に、(B1)及び(C1)は、フルオロシリコーンゴム組成物に関して上述した成分(B)及び(C)と同じである。また、シリコーンゴム組成物は、フルオロシリコーンゴム組成物に関して上述した任意の添加剤のいずれかを含んでもよい。
【0041】
高稠度シリコーンゴム組成物は、例えば、2本ロールニーダー混合機のような従来の混合装置において、成分(A)〜(C)及び存在する場合に(D)を、必要な場合に適切な添加剤と共に均一に混合する等のあらゆる適切な方法により調製することができる。或いは、成分(A)及び(B)を加熱条件下で混合することにより、それらを予備混合してフルオロシリコーンゴムベースコンパウンドを得た後、成分(C)と組み合わせることができる。
【0042】
接着は、組成物の1つにおける少なくとも2つのケイ素結合水素基を含有するシロキサンと、他の組成物における表面でのヒドロシリル化触媒との相互作用によってもたらされ、また、密着度は、表面への前述の種(species)の移動のための熱の存在下で2つの組成物が接合される場合に高められることが信じられている。組成物が少なくとも2つのケイ素結合水素原子を含有するシロキサン及び触媒の両方を含有しないという条件で、どの組成物が少なくとも2つのケイ素結合水素基を含有するシロキサン(以後、成分(E)と称する)を含有し、どの組成物がヒドロシリル化触媒(以後、成分(F)と称する)を含有するのかという優先傾向がないことを本発明者等は見出した。したがって、成分(E)がシリコーンゴム組成物中に存在する場合には、接着されるフルオロシリコーンゴムは成分(F)を含有し、また逆の場合も同じである。
【0043】
少なくとも2つのケイ素結合水素基を含有するあらゆる適切なシロキサンを、フルオロシリコーンゴム組成物又は高稠度ゴム組成物のいずれかで成分(E)として使用してよい。成分(E)におけるケイ素原子に結合した水素原子の量は、0.2重量%以上、好ましくは、0.4重量%以上である。成分(E)のケイ素結合水素原子の量が0.2重量%未満であると、基材に対する接着が低下するであろう。
【0044】
成分(E)において、ケイ素結合水素原子以外の基は、置換又は非置換の、C、Cアルキル基等の一価炭化水素基;フェニル等のアリール基;3,3,3−トリフルオロプロピル及び/又は1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキシル基等のパーフルオロ基により表される。成分(E)は、直鎖又は環状分子構造を通常有するが、部分的に分枝したり、又は三次元であり得る。成分(E)の重合度は、5より大きく、好ましくは10〜150の範囲内であることを推奨する。
【0045】
下記:ポリメチルハイドロジェンシロキサン;メチルハイドロジェンシロキシ単位とジメチルシロキシ単位とのコポリマー;及びメチルハイドロジェンシロキシ単位とジメチルシロキシ単位とパーフルオロアルキル(例えば、3,3,3−トリフルオロプロピル及び/又は1,1,1,2,2,3,3,4,4−ノナフルオロヘキシル基)メチルシロキシ単位とのコポリマーは、成分(E)の例である。成分(E)の分子鎖の末端基は、トリメチルシロキシ基又はジメチルハイドロジェンシロキシ基により表される。成分(E)の量は、シリコーンゴムポリマー100重量部あたり、0.01〜10重量部の範囲内であることを推奨する。成分(E)は、アルケニルベースの不飽和又はアセチレンの不飽和を含まなくすべきである。
【0046】
好ましくは、成分(E)は、高稠度シリコーンゴム組成物中に存在する場合に、どんなフルオロ含有基も含有しない。
【0047】
成分(E)がフルオロシリコーンゴム組成物中に存在する場合、成分(E)は、パーフルオロアルキル基を含有してよいが、含有しなくてもよい。しかしながら、フルオロシリコーンゴム組成物における成分(E)中のパーフルオロアルキル基の存在は、かかる基の存在により、成分(E)をフルオロシリコーンゴム組成物と著しく適合させたり、油浸漬後に改良された老化の驚くべき追加の利益を与えたりするように有利かもしれない。
【0048】
1つ以上のフルオロアルキル基を任意に含有する成分(E)は、1分子あたり、平均少なくとも2つのケイ素結合水素ラジカルを含有するフルオロシリコーンポリマーを含むことができる。
【0049】
好ましくは、成分(E)は、フルオロシリコーンポリマー中のシロキサン単位の合計を基準として、フッ素化シロキサン単位、ポリマー中の残存シロキサン単位(非フッ素化シロキサン単位)を少なくとも2モル%さらに含む。前記フッ素化シロキサン単位は、式(R”Q)(R(H)SiO(3−x−e)/2を有し、前記非フッ素化シロキサン単位は、式(R(H)SiO(4−g−d)/2を有する。前記フッ素化及び非フッ素化シロキサン単位において、R”、Qは上記で定義された通りであり、Rは、脂肪族不飽和を含有しない、ケイ素に結合した一価炭化水素ラジカルであり、xは0〜2であり、eは0〜2であり、x+eは0〜2であり、gは0〜3であり、dは0〜3であり、g+dは0〜3である。
【0050】
本発明のフルオロシリコーンゴム組成物で使用される、このようなフルオロシリコーンベースの成分(E)は、ケイ素結合水素ラジカル、フッ素化シロキサン単位、及び任意に非フッ素化シロキサン単位をから本質的に成るオルガノポリシロキサンである。
【0051】
フッ素化シロキサン単位による成分(E)において、それはケイ素原子に適切に結合したパーフルオロアルキルラジカルを有するシロキサンポリマー単位を意味する。フッ素化シロキサン単位は、式(R”Q)(R(H)SiO(3−x−e)/2を有し、その一般的な例としては、(R”Q)(R’)SiO1/2、(R”Q)(H)SiO1/2及び(R”Q)(R)(H)SiO1/2等の式(R”Q)(R(H)SiO1/2(式中、x+eの合計は2である)を有する鎖停止(chain-terminating)シロキサン単位、式(R”Q)(R)SiO2/2及び(R”Q)(H)SiO2/2を有する鎖延長シロキサン単位、並びに式(R”Q)SiO3/2を有する鎖分枝(chain-branching)シロキサン単位が挙げられる。或いは、成分Cは、(R”Q)(R(H)SiO(1−x−e)/2(式中、x及びeは両方とも0〜1であり、x+eは0〜1である)であってもよい。
【0052】
各フッ素化ラジカルR”Qは、式R”CHCH−を好ましくは有し、成分Eの場合においてR”ラジカルは、本発明の組成物で硬化された際に所望の接着特性を与えるフルオロシリコーンポリマーを有するために、CFCFCFCF−ラジカルよりも小さくする必要がある。したがって、本発明の硬化可能な組成物で使用されるフルオロシリコーンポリマーは、上述したフッ素化シロキサン単位を好ましくは含有し、そのR”Qラジカルは、構造CFCFCFCFQ−、最も好ましくはCFCFCFCFCHCH−又は(CFCFCHCHCH−を有する。
【0053】
非フッ素化シロキサン単位は、存在するなら、式(R’’’)(H)SiO(4−g−d)/2を有し、その一般的な例としては、(R’’’)SiO1/2、(R’’’)(H)SiO1/2、(R’’’)(H)SiO1/2及び(H)SiO1/2等の式(R’’’)(H)SiO1/2(式中、g+dの合計は3である)を有する鎖停止シロキサン単位、(R’’’)SiO2/2、(R’’’)(H)SiO2/2及び(H)SiO2/2等の上記式(式中、c+dの合計は2である)を有する鎖延長シロキサン単位、並びに(R’’’)SiO3/2、(H)SiO3/2及びSiO4/2等の上記式(式中g+dの合計は1又は0である)を有する鎖分枝シロキサン単位が挙げられる。各R及びR’’’は同じ基であってよいことが理解されるであろう。
【0054】
前で議論したように、Rは、脂肪族不飽和を含まない、ケイ素に結合した一価炭化水素ラジカルを示す。好ましくは、各Rは、同一でも異なっていてもよく、1〜10個の炭素原子を好ましくは有する、ケイ素結合一価炭化水素ラジカルを示す。適切なRラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル及びデシル等のアルキルラジカル;フェニル、トリル、ベンジル、β−フェニルエチル及びスチリル等のアリールが挙げられる。好ましくは、フルオロシリコーンポリマーにおけるRラジカルの少なくとも90%、好ましくは全てがメチルラジカルである。
【0055】
成分(E)は、(25℃で)数百万mPa・sまでのあらゆる粘度を有することができるが、ポリマーが、ゲル又は固体等の非流体でないという必要性が信じられている。したがって、前記鎖分枝シロキサン単位は、存在するなら、少量でのみ存在すべきである。
【0056】
前記選択されたシロキサン単位の具体例としては、MeSiO1/2、MeHSiO1/2、R”QMeSiO1/2、R”QMeHSiO1/2、MeSiO2/2、MeHSiO2/2、R”QMeSiO2/2、及びR”QHSiO2/2(式中、R”は、例えばパーフルオロブチルである)が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0057】
フルオロ基を含有する場合の好ましい成分Eの一般例としては、下記:
HMeSiO(MeHSiO)[R”QSi(Me)O]SiMe
HMeSiO(MeHSiO)(R”QHSiO)SiMe
R”QMeHSiO(MeHSiO)(R”QHSiO)SiMeHRQ
MeSiO(MeSiO)0.95m(MeHSiO)0.05m(R”QMeSiO)SiMe
HMeSiO(MeSiO)(R”QMeSiO)SiMe
HMeR”QSiO(R”QMeSiO)SiMeR”QH
MeR”QSiO(R”QMeSiO)0.95f(R”QHiSiO)0.05f及び
MeSiO(MeSiO)(R”QMeSiO)0.90f(R”QHSiO)0.10fSiMe
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
ここで、ポリマーの粘度は、自由に流動する液体からゆっくり流動するガムまでの粘度範囲であり、m及びfは0〜10,000以上の値を有する。
【0058】
好ましくは、あらゆるフルオロ含有成分(E)は、式:
MeSiO(MeSiO)[R”CHCHSi(Me)O](MeHSiO)SiMe
により表されるような、ケイ素結合水素ラジカルを持つ直鎖構造を有する。
式中、rの値は0以上であり、t及びzの値はそれぞれ0より大きく、フルオロシリコーンポリマーが1〜95モル%の水素結合シロキサン単位と、少なくとも5モル%のフッ素化シロキサン単位と、残部のジメチルシロキサン単位とを含有し、且つ25℃で10〜10,000mPa・sの粘度を有するような値である。
【0059】
シロキサン単位についての上記式において、x、e、g及びdの値は整数を示し、その値は記載した通りである。
【0060】
直鎖フルオロシリコーンポリマーについてのm、f、r、t及びzの値は、当該技術分野で周知のように平均値を示し、ポリマーが必要量のフッ素化シロキサン単位を含有し、且つ25℃で所望の粘度を有するような値である。したがって、m、f、m+f、r、t、z、及びr+t+zの値は、フッ素化シロキサン単位の含有量、フッ素化ラジカルの構造及びポリマーの粘度により、大きく変化するであろう。ポリマー中のフッ素化シロキサン単位のモルパーセント及び/又はその中のフッ素化ラジカルの大きさが増加すると、ポリマーの粘度が増加する。
【0061】
r、t及びzの値は1と小さくできるが、r及びtの値は10,000以上に及ぶことができ、zの値は、r+t+zの合計の1/100〜2/10のような分数に典型的に限定される。
【0062】
最も好ましいフルオロ含有成分(E)は、トリメチルシロキシ末端メチルパーフルオロアルキルメチルハイドロジェンシロキサンである。最も好ましいパーフルオロアルキル基は、パーフルオロブチルエチル基等である。
【0063】
成分(E)におけるケイ素原子に結合した水素原子の量は、0.2重量%以上である。成分(E)のケイ素結合水素原子の量が0.2重量%未満であると、基材の接着が低下するであろう。成分(E)の量は、成分(A)100重量部あたり、0.01〜10重量部の範囲内であることを推奨する。成分(E)が0.01重量部未満で存在すると、硬化及び接着特性を改良することが不可能となる。
【0064】
したがって、成分(E)を含む場合のフルオロシリコーンゴム組成物は、
(A)1,000より大きい重合度を有し、且つポリマー中に式(R”Q)(R’)SiO(4−a−b)/2を有するフッ素化シロキサン単位、及び式(R’)SiO(4−c)/2を有する非フッ素化シロキサン単位(前記フッ素化及び非フッ素化シロキサン単位において、R”は、1〜8個の炭素原子を有する分枝鎖又は直鎖パーフルオロアルキルラジカルを示し;Qは、少なくとも2個の炭素原子を介してR”ラジカルをケイ素原子に接続する、二価炭化水素、炭化水素エーテル又は炭化水素チオエーテルラジカルを示し;R’は、飽和又は不飽和のケイ素結合一価炭化水素基を示し;aは1〜2であり、bは0〜2であり、cは0〜3である)をポリマー中に含むポリオルガノシロキサン100重量部、
(B)適切な充填剤5〜200重量部、
(E)1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素ラジカルを含有するフルオロシリコーンポリマー、
(C)有機過酸化物0.1〜10重量部、
(D)1,000より大きい重合度、及び平均単位式RSiO(4−y)/2(式中、Rは、不飽和であってよいが、フルオロ置換基を含有しない、置換又は非置換一価炭化水素基である)を有する第二のポリオルガノシロキサン0〜20重量部
を含む。
【0065】
成分(E)を含有しない本発明に従う組成物における成分(F)の添加が、高稠度ゴム組成物に対する本発明のフルオロシリコーンポリマーの接着を改良することを出願人は見出した。ヒドロシリル化触媒の添加により、成分(E)との反応を生じさせ、2つの硬化生成物のお互いの接着を著しく増加させる。
【0066】
ケイ素結合水素基を含有するポリマーはフルオロシリコーンゴム組成物中に存在することが好ましいが、これは必須ではなく、ヒドロシリル化触媒がフルオロシリコーンゴム組成物の一部を形成してもよく、ケイ素結合水素原子を含む適切なシロキサン化合物は、高稠度シリコーンゴム組成物で提供されてもよい。
【0067】
あらゆる適切なヒドロシリル化触媒を利用することができる。好ましくは、ヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム又はルテニウム触媒から選択される白金族金属系触媒である。本組成物の硬化を触媒するのに有用な白金族金属含有触媒としては、ケイ素結合水素原子とケイ素結合アルケニル基との反応を触媒することが知られている如何なるものでもあり得る。本組成物の硬化をヒドロシリル化によりもたらす触媒としての使用のための好ましい白金族金属は、白金である。本組成物の硬化用のいくつかの好ましい白金系ヒドロシリル化触媒は、白金金属、白金化合物及び白金錯体である。代表的な白金化合物としては、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金、かかる化合物の低分子量ビニル含有オルガノシロキサンを含有する錯体が挙げられる。本発明において使用するのに適切な他のヒドロシリル化触媒としては、例えば、[Rh(OCCH、Rh(OCCH、Rh(C15、Rh(C、Rh(C)(CO)、Rh(CO)[PhP](C)、RhX[(RS]、(RP)Rh(CO)X、(RP)Rh(CO)H、Rh、HRhオレフィンCl、Rh(O(CO)R3−n(OH)等のロジウム触媒が挙げられる。式中、Xは水素、塩素、臭素又はヨウ素であり;Yは、メチル又はエチル等のアルキル基、CO、C14又は0.5C12であり;Rは、アルキルラジカル、シクロアルキルラジカル又はアリールラジカルであり;Rは、アルキルラジカル、アリールラジカル又は酸素置換ラジカルであり;aは0又は1であり、bは1又は2であり、cは1〜4を含めた整数であり、dは2、3又は4であり、nは0又は1である。また、Ir(OOCCH、Ir(C、[Ir(Z)(En)又は[Ir(Z)(Dien)]等のあらゆる適切なイリジウム触媒も使用することができる。式中、Zは、塩素、臭素、ヨウ素又はアルコキシであり;Enはオレフィンであり;Dienはシクロオクタジエンである。
【0068】
成分(F)は、組成物の100万部あたり、0.001重量部という少量の白金族金属元素に相当する量で本組成物に加えることができる。好ましくは、組成物中の白金族金属の濃度は、少なくとも1ppmの白金族金属元素相当を与え得る濃度である。約3〜50ppmの白金族金属元素相当を与える触媒濃度が、一般に好ましい量である。
【0069】
本出願は、上記2つの層の間の接着を必要とするあらゆる目的、及び改良された耐油性が要求される状況で使用されるフルオロシリコーンゴム組成物において役に立つ。これらの潜在用途の両方に関連する1つの応用は、ターボチャージャーホース等の自動車用部品の製造である。典型的なターボチャージャーホースを図1に描く。図1において、ターボチャージャーホース(1)は、内部のフルオロシリコーンライナー(2)と、高稠度シリコーンゴム内層(3)と、アラミド等の適切な補強布から典型的に製造される補強層(4)と、高稠度シリコーンゴム外層(5)を有する。
【0070】
本発明は、今後、図面について実施例を用いて説明されるであろう。
【実施例】
【0071】
下記の実施例で利用されるフルオロシリコーンゴム組成物は以下のものを含む。全ての値は、重量部として与えられる。
【0072】
(FSR組成物1)
68重量部の、90〜140ミル(mils)の可塑性を有するヒドロキシ末端トリフルオロプロピルメチルシロキサンガム
22重量部のヒュームドシリカ
1重量部のメチルビニルビス(n−メチルアセタミド)シラン
1重量部の炭酸カルシウム
6重量部のヒドロキシ末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン
1重量部のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルメチルビニルシロキサン
1重量部の、シリコーン油中2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン触媒45%のペーストの組成物
1重量部の、シリコーン油中酸化セリウム45%のペーストの組成物
【0073】
(FSR組成物2)
68重量部の、100〜130ミルの可塑性を有するヒドロキシ末端メチルビニルトリフルオロプロピルメチルシロキサン
24重量部のヒュームドシリカ充填剤
6.5重量部のヒドロキシ末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン
1.5重量部のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルメチルビニルシロキサン
1重量部の、シリコーン油中2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン触媒45%のペーストの組成物
1重量部の、シリコーン油中酸化セリウム45%のペーストの組成物
【0074】
(FSR組成物3)
48重量部の、90〜140ミルの可塑性を有するヒドロキシ末端トリフルオロプロピルメチルシロキサンガム
22重量%の、100〜130ミルの可塑性を有するヒドロキシ末端メチルビニルトリフルオロプロピルメチルシロキサン
20重量部のヒュームドシリカ
0.2重量部のヒドロキシ末端メチルビニルシロキサン
8重量部のヒドロキシ末端トリフルオロプロピルメチルシロキサン
2重量部のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルメチルビニルシロキサン
1重量部の、シリコーン油中2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン触媒45%のペーストの組成物
1重量部の、シリコーン油中酸化セリウム45%のペーストの組成物
【0075】
利用される高稠度シリコーン組成物は、以下の組成を有する。
【0076】
(HCR1)
58重量部の、55〜65ミルの可塑性を有するジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサンガム
13重量部の、60〜70ミルの可塑性を有するヒドロキシ末端ジメチルシロキサンガム
22重量部のアモルファスシリカ
4.5重量部のヒドロキシ末端ジメチルシロキサン(粘度:約21mPa・s)
2重量部のジメチルビニルシロキシ末端ジメチルメチルビニルシロキサン
1重量部の、シリコーン油中2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン触媒45%のペーストの組成物
【0077】
(HCR2)
72.6重量部の、55〜65ミルの可塑性を有するジメチルビニルシロキシ末端ジメチルシロキサンガム
0.2重量部の、20mPa・sの粘度を有するヒドロキシ末端ジメチルメチルビニルシロキサン
3重量部の、約21mPa・sの粘度を有するヒドロキシ末端ジメチルシロキサン
24重量部のヒュームドシリカ
0.4重量部の、11mPa・sの粘度を有する水素末端ジメチルシロキサン
1重量部の、シリコーン油中2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン触媒45%のペーストの組成物
【0078】
他に指示しない限り、白金触媒は、組成物の0.5重量%の、白金の1,3−ジエテニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体を含む。
【0079】
(サンプル調製)
反対の記載がない限り、下記の実施例に記載された接着性試験で使用された全てのサンプルは、下記の工程を用いて行われた。
150×150×2mmの寸法を有するフルオロシリコーンゴムの未硬化スラブ、及び高稠度ゴムが押し出された(pressed out)。次いで、硬化後に分離できるようにするために、一端で層間にPETシートを装入しながら、これらを一緒に結合させた。次いで、結合されたシートを170℃で20分間、4mm深さのモールドの中で硬化させた。次いで、適切な刃物を用いて10mmの一片に切断され、得られた試験サンプルを、2つの層の間の接着性のレベルについて分析した。
【0080】
(接着性試験)
実施例1〜4で調製されたサンプルを、50mm/分のクロスヘッド速度でロイド(Lloyd)張力計を用いる180°剥離試験にかけた。
【0081】
[実施例1]
この実施例では、未硬化及び予備成形フルオロシリコーンゴム(FSR)及び高稠度ゴム(HCR)サンプルを、各化合物のサンプルが同時に、本発明の一つの実施形態に従って互いに硬化及び接着されるように、上記サンプル調製方法を用いる硬化の前に一緒に結合させた。使用した架橋剤は、組成物の1重量%の、25℃で約35mPa・sの粘度を有するメチル(パーフルオロブチルエチル)メチルハイドロジェンシロキサンであった。存在する場合、架橋剤はフルオロシリコーンゴム組成物に添加され、白金触媒は高稠度ゴム組成物に導入された。
【0082】
【表1】

【0083】
フルオロシリコーン層中に架橋剤を含有する全てのサンプルの接着性は、白金触媒が省かれた場合よりも顕著に良好である白金触媒を含有する高稠度ゴム層と接触させたものにおいて、顕著により高い剥離力試験結果を与えることが表1で見られるであろう。
【0084】
[実施例2]
厳密に同じ工程を行って上記のようなサンプルを調製及び測定した。この実施例の唯一の違いは、FSR架橋剤(2)として表2に記載される他の架橋剤の使用である。FSR架橋剤(2)は、25℃で約5mPa・sの粘度を有するジメチルハイドロジェンシロキシ末端トリフルオロプロピルシルセスキオキサンであった。
【0085】
【表2】

【0086】
また表1で見られたように、フルオロシリコーン層中に架橋剤を含有する全てのサンプルにおける接着性は、白金触媒が除かれた場合よりも顕著に良好である白金触媒を含有する高稠度ゴム層と接触させたものにおいて、顕著により高い剥離力試験結果を与えることが表2で見られるであろう。
【0087】
[実施例3]
厳密に同じ工程を行って、上記のようなサンプルを調製及び測定した。この実施例の唯一の違いは、架橋剤(3)として表3に記載される他の架橋剤の使用である。架橋剤(3)は、25℃で約30mPa・sの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサンであった。
【0088】
【表3】

【0089】
かかる結果は、架橋剤3の存在における改良された接着性を明確に示す。
【0090】
[実施例4]
厳密に同じ工程を行って、上記のようなサンプルを調製及び測定した。この実施例の唯一の違いは、架橋剤(3)として表3に記載される他の架橋剤の使用である。架橋剤(3)は、25℃で約30mPa・sの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリメチルハイドロジェンシロキサンであった。また、架橋剤は、高稠度シリコーンゴム(HCR)組成物に添加され、Pt触媒は、フルオロシリコーンゴム組成物(FSR)に添加された。
【0091】
【表4】

【0092】
かかる結果は、架橋剤3の存在における改良された接着性を明確に示す。
【0093】
[実施例5]
この実施例では、上記の通りにサンプルを調製し、使用した接着性試験も同じであるが、白金触媒をフルオロシリコーンゴム組成物に導入し、1重量%の適切なHCR架橋剤、すなわち、約50mPa・sの粘度を有するトリメチル末端メチルハイドロジェンメチルオクチルシロキサンを高稠度ゴム組成物に導入した。
【0094】
【表5】

【0095】
接着性試験における違いはさほど大きくないが、これもまた架橋剤及び触媒が両方使用された場合の剥離力の顕著な向上にある。また表1及び2の両方で見られるように、フルオロシリコーン層中に触媒、また高稠度ゴム層中に架橋剤を含有するサンプルは、触媒及び架橋剤の両方が省かれたサンプルよりも、顕著に高い剥離力試験結果を与えることが表5で見られるであろう。
【0096】
[実施例6]
この実施例では、サンプル調製を以下の点で変更した。任意に添加された白金又は架橋剤を有するフルオロシリコーンゴム2の一部をモールド内で硬化して2mm厚のシートを与えた。任意に添加された架橋剤又は白金を有するフルオロシリコーンゴム2の第二部分を、上述の通りにして未硬化スラブに形成した。次いで、硬化及び未硬化シートを、100バール(10Pa)の圧力下、170℃で10分間一緒に加圧した。次いで、前述と同じ剥離試験を行ってシートの相対接着性を互いに評価し、その結果が下記の表6で与えられる。
【0097】
【表6】

【0098】
かかる結果は、予備硬化FSRシートにおける白金触媒と未硬化シートにおけるフルオロ架橋剤との組み合わせが、架橋剤及び触媒の一つ若しくは両方がないもの、又はフルオロ架橋剤が予備硬化層中にあり、且つ白金触媒が未硬化層中にある場合と比較して、接着性の顕著な改良を与えることを示す。
【0099】
[実施例7]
この実施例では、サンプル調製を以下の点で変更した。フルオロシリコーンゴム及び高稠度ゴムスラブをモールド内で個々に硬化させ、2mm厚のシートを与えた。次いで、シートを、100バールの圧力下、170℃で20分間一緒に加圧した。次いで、前述と同じ剥離試験を行ってシートの相対接着性を互いに評価し、その結果が下記の表7で与えられる。
【0100】
【表7】

【0101】
ここでは、接着性の増大が観察されなかった(実際には、減少が生じた)。
【0102】
[実施例8]
この実施例では、ASTM D471−95に従う、油中で7日間エージング前後の硬化フルオロシリコーンゴムの物性について、1重量%のFSR架橋剤1の形態で架橋剤を含有するフルオロシリコーンゴムのサンプルの物性を、FSR架橋剤1を除外して調製されたサンプルと比較した。
【0103】
フルオロシリコーンゴムのサンプルを上述の通りにして調製した。一連の試験サンプルを硬化フルオロシリコーンゴムの初期物性を評価するために用い、他のサンプルを油中に175℃で7日間浸漬した(全MA−3予備エージング:150℃で16時間)。エージング後、サンプルを洗い、そして試験して油中でのエージング後の物性の相対変化を決定した。結果が下記の表8で与えられる。全ての物理試験は、下記に示したものと同じ方法を用いて行った。
【0104】
FSR組成物3のエージング後の破断点伸びが、架橋剤1の添加によって改良され、また改良が引張強度でも見られたことに注目すべきであろう。
【0105】
【表8】

【図面の簡単な説明】
【0106】
【図1】典型的なターボチャージャーホースを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーフルオロアルキル基を実質的に含有せず、且つ非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なシリコーンゴムの層に対する、非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なフルオロシリコーンゴムの層の接着方法であって、
i)硬化前に、ヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンのいずれかをフルオロシリコーンゴム組成物に加える工程と、
ii)硬化前に、他のヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンをもう一つのシリコーンゴム組成物に加える工程と、
iii)工程(i)及び工程(ii)の生成物を所望の形状に成形する工程と、
iv)工程(iii)の成形品を互いに接触させる工程と、
v)互いに共に接触している成形品を、それらの間にヒドロシリル化反応を生じさせることによって接着する工程と
を含む接着方法。
【請求項2】
工程(v)の前に、工程(i)の生成物又は工程(ii)の生成物のいずれかが、予備硬化されることを特徴とする請求項1に記載の接着方法。
【請求項3】
工程(v)の前に、工程(i)の生成物又は工程(ii)の生成物の両方が、硬化されないままであることを特徴とする請求項1に記載の接着方法。
【請求項4】
工程(v)の前及び/又は工程(v)の間に、工程(iii)の成形品の間の接触面に圧力が適用される請求項1〜3のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項5】
工程(v)は、室温〜約200℃の温度で行われることを特徴とする請求項1に記載の接着方法。
【請求項6】
ヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、イリジウム、パラジウム又はルテニウム系触媒を含む群から選択される白金族金属系触媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項7】
ケイ素結合水素含有シロキサンは、ケイ素結合水素原子、及びC〜C10アルキル基のような置換又は非置換の一価炭化水素基、アリール基を含むことができ、且つ重合度が5よりも大きい、好ましくは10〜150の範囲の、直鎖分子構造、部分的に分枝した分子構造又は環状分子構造を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項8】
ケイ素結合水素含有シロキサンは、式:
MeSiO(MeSiO)[R”CHCHSi(Me)O](MeHSiO)SiMe
(式中、各R”は、同一でも異なっていてもよく、1〜8個の炭素原子を有する分枝鎖又は直鎖パーフルオロアルキルラジカルを意味し;rの値が0以上である場合には、t及びzの値は、それぞれ0より大きく、フルオロシリコーンポリマーが1〜10モル%の水素結合シロキサン単位と、少なくとも5モル%のフッ素化シロキサン単位と、残部のジメチルシロキサン単位及び上述した式により表されるような鎖硬化ラジカルとを含有するような値であり;rの値が0である場合には、t及びzの値は、それぞれ0より大きく、フルオロシリコーンポリマーが20〜50モル%のフッ化シロキサン単位を含有し、且つ25℃で10〜10,000mPa・sの粘度を有するような値である)により表されるような、ケイ素結合水素ラジカルを有する直鎖構造であることを特徴とする請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ケイ素結合水素含有シロキサンは、フルオロシリコーン組成物中に含有されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項10】
ケイ素結合水素含有シロキサンは、
HMeSiO(MeHSiO)[R”QSi(Me)O]SiMeH、
HMeSiO(MeHSiO)(R”QHSiO)SiMeH、
R”QMeHSiO(MeHSiO)(R”QHSiO)SiMeHRQ、
MeSiO(MeSiO)0.95m(MeHSiO)0.05m(R”QMeSiO)SiMe
HMeSiO(MeSiO)(R”QMeSiO)SiMeH、
HMeR”QSiO(R”QMeSiO)SiMeR”QH、
MeR”QSiO(R”QMeSiO)0.95f(R”QHiSiO)0.05f、及び
MeSiO(MeSiO)(R”QMeSiO)0.90f(R”QHSiO)0.10fSiMe
(ここで、ポリマーの粘度は、自由に流動する液体からゆっくり流動するガムまでの粘度範囲にあり、m及びfは0〜10,000以上の値を有する)を含む請求項8に記載の接着方法。
【請求項11】
フルオロシリコーンゴム組成物は、
(A)1,000より大きい重合度を有し、且つ式(R”Q)(R’)SiO(4−a−b)/2を有するフッ素化シロキサン単位、及び式(R’)SiO(4−c)/2を有する非フッ素化シロキサン単位(前記フッ素化及び非フッ素化シロキサン単位において、R”は、1〜8個の炭素原子を有する分枝鎖又は直鎖パーフルオロアルキルラジカルを示し;Qは、少なくとも2個の炭素原子を介してR”ラジカルをケイ素原子に接続する二価炭化水素、炭化水素エーテル又は炭化水素チオエーテルラジカルを示し;R’は、飽和又は不飽和のケイ素結合一価炭化水素基を示し;aは1〜2であり、bは0〜2であり、cは0〜3である)をポリマー中に含むポリオルガノシロキサン100重量部、
(B)適切な充填剤5〜200重量部、
(C)1分子あたり平均少なくとも2つのケイ素結合水素ラジカルを含有するフルオロシリコーンポリマー、
(D)有機過酸化物0.1〜10重量部、
(D)1,000より大きい重合度、及び平均単位式RSiO(4−y)/2(式中、Rは、不飽和であってよいが、フルオロ置換基を含有しない、置換又は非置換一価炭化水素基である)を有する第二のポリオルガノシロキサン0〜20重量部
を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項12】
パーフルオロアルキル基を実質的に含有しないシリコーンゴム組成物は、25℃で1,000,000mPa・sより大きい粘度を有する高稠度シリコーンゴム系組成物であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の接着方法。
【請求項13】
使用可能なシリコーンゴム組成物は、
(i)少なくとも1,000,000mPa・sの粘度を有するオルガノポリシロキサン、
(ii)請求項1の成分(B)に記載の種類のいずれかの充填剤又は充填剤の群、
(iii)請求項1の成分(C)として定義されるいずれかの種類の硬化剤、並びに
レオロジー改良剤、顔料、着色剤、抗接着剤、可塑剤、接着促進剤、発泡剤、難燃剤、及び乾燥剤等の一以上の群から選択される任意添加剤
を含むことを特徴とする請求項12に記載の接着方法。
【請求項14】
非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なフルオロシリコーンの第二層に対する、非ヒドロシリル化硬化プロセスを用いて硬化可能なフルオロシリコーンゴムの第一層の接着方法であって、
i)硬化前に、ヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンのいずれかを第一のフルオロシリコーンゴム組成物に加える工程と、
ii)硬化前に、他のヒドロシリル化触媒、又はケイ素結合水素基を少なくとも2つ含有するシロキサンを第二のフルオロシリコーンゴム組成物に加える工程と、
iii)工程(i)及び工程(ii)の生成物を所望の形状に成形する工程と、
iv)工程(iii)の成形品を互いに接触させる工程と、
v)互いに共に接触している成形品を、それらの間にヒドロシリル化反応を生じさせることによって接着する工程と
を含む接着方法。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の接着方法による製品の、ホースの製造における使用。
【請求項16】
請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法によってシリコーンゴムに接着されたフルオロシリコーンゴムを含むホース。

【図1】
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【公表番号】特表2008−540754(P2008−540754A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−510562(P2008−510562)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/EP2006/062147
【国際公開番号】WO2006/120186
【国際公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(590001418)ダウ・コ−ニング・コ−ポレ−ション (166)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING CORPORATION
【出願人】(507351193)ダウ・コーニング・ソシエタ・ペル・アチオニ (1)
【氏名又は名称原語表記】DOW CORNING SPA
【住所又は居所原語表記】Via Lombardia 31/33, Sesto Ulteriano, 20098 Milan, Italy
【Fターム(参考)】