説明

フルオロポリマーと非フッ素化重合体を含む複合物品およびその製造法

【課題】フルオロポリマーと非フッ素化重合体を含む複合物品およびその製造法を提供すること。
【解決手段】第一の表面と第二の表面を有するブレンド・構成部材(12)と、該ブレンド・構成部材の第一表面に接着されている、露出表面を有する実質的にフッ素化されていない重合体・構成部材を含む複合物品が提供される。該ブレンド・構成部材(12)は、第一の水素含有フルオロポリマーと、1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体を含む。フルオロポリマーより成る構成部材と、一級または二級のペンダントアミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体より成る構成部材との間の剥離強度値と比較したとき、該ブレンド・構成部材と実質的にフッ素化されていない重合体(18)との間の剥離強度値によって、増加した接着力が観察される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
フルオロポリマー、即ちフッ素含有重合体は商業的に重要な一群の材料である。フルオロポリマーには、例えば架橋したフルオロカーボンエラストマーおよび半結晶性またはガラス状のフルオロカーボンプラスチックが包含される。フルオロカーボンプラスチック(即ち、フルオロプラスチック)は、一般に、熱安定性が高く、高温で特に有用である。それらは、また、非常に低い温度で極めて高い靭性と可撓性を示す。これらフルオロプラスチックの多くは広範囲の溶媒にほとんど全く溶けず、また一般に化学的に耐性である。そのあるものは誘電損が極めて低く、かつ誘電耐力が大きく、またその多くは独特な非接着性と低摩擦特性を有している。例えば、ジョン・ワイレー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons)[ニュー・ヨーク(New York)]刊行(1984年)のF.W.ビルメーヤー(F.W.Billmeyer)著「テキストブック・オブ・重合体・サイエンスTextbook of Polymer Science)、第3版、第398〜403頁を参照されたい。
【0002】
フルオロカーボンエラストマー、特にフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロペンのような他のエチレン系不飽和ハロゲン化単量体との共重合体には、シール、ガスケットおよびライニングのような高温用途で特に有用性がある。例えば、自動車のエラストマーとその設計Automotive Elastomer & Design)1985年6月号のR.A.ブルッロ(R.A.Brullo)「自動車用途のためのフルオロエラストマーゴム(Fluoroelastomer Rubber for Automotive Applications)」、材料工学Materials Engineering)1988年10月号の「フルオロエラストマー・シールアップ自動車の将来(Fluoroelastomer Seal Up Automotive Future)」、およびカーク−オスマー(Kirk-Othmer)の化学技術百科事典Encyclopedia of Chemlcal Technology)、第8巻、第990〜1005頁(第4版、ジョン・ワイレー・アンド・サンズ社、1993年)のW.M.グルータート(W.M.Grootaert)等による「フルオロカーボンエラストマー(Fluorocarbon Elastomers)」を参照されたい。
【0003】
フルオロプラスチック、特にポリクロロトリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびペルフルオロプロピルビニルエーテルの共重合体、並びにポリ(フッ化ビニリデン)には多数の電気的、機械的および化学的用途がある。フルオロプラスチックは、例えばワイヤーコーティング、電気的構成部材、シール、ソリッドパイプ(solid pipe)、ラインドパイプおよび圧電地震計において有用である。例えば、カーク−オスマーの化学技術百科事典、第11巻、第20、21、32、33、40、41、50、52、62、70、71頁(ジョン・ワイレー・アンド・サンズ社、1980年)の「有機フッ素化合物(Organic Fluorine Compounds)」を参照されたい。
【0004】
例えば、自動車工業では、蒸発性燃料の基準との関係が高まって、改善されたバリヤー性を有する燃料系構成部材の必要が出てきた。これは、燃料蒸気が自動車燃料系の燃料充填剤ライン、燃料供給ライン、燃料タンク、その他の要素のような自動車要素を透過するのを減らす助けになる。そのような自動車要素では、化学的に耐性の透過バリヤーを与えるために、フッ素化された層を含む多層管材料、その他の物品が用いられた。多層物品は、また、例えば化学的加工および/または処理工業、並びに電気および電子工業を含めて他の多くの工業分野でも有用である。このような多層物品は、強さ、剛性または他の機械的性質を加え得る1層または2層以上の他の層を含んでいることができる。
【0005】
フッ素化重合体層およびポリアミドまたはポリオレフィンの層を含む多層構成物が知られている。例えば、フルオロカーボンエラストマーの複数の層を含んでいることができる積層管状物品を開示する米国特許第4,933,090号明細書[クレブァー(Krevor)]、およびポリイミドとフルオロポリマーを含む層状フィルム構造物を開示する国際公開第WO93/1493号明細書[ラコート(LaCourt)]を参照されたい。
【0006】
これらの多層物品は、それらが有用であるために、使用中に離層を起こすべきではない。即ち、多層物品の層間接着強度は、それら層が分離するのを妨げるのに足る十分なものであるべきである。フルオロポリマーを含んで成る層と実質的にフッ素化されていない重合体を含んで成る層との間の接着強度を上げるのに色色な方法が用いられた。例えば、2つの層間に接着剤の層を加えることができる。しかし、使用される接着剤は多層物品の性能を制限するものであってはならない。
【0007】
接着剤に代わるものとして、または接着剤に加えて、層の内の1つまたは2つの層を表面処理することが、層間接着強度を高めるために用いられた。例えば、フルオロポリマーを含んで成る層は、装填ガス雰囲気で処理され、次いでその層に熱可塑性ポリアミドの層が適用された。このような表面処理は製造プロセスに追加の工程とコストを付け加えるもので、それは非−共押出法に限られる。
【0008】
もう1つの方法において、実質的にフッ素化されていない重合体と、フッ化ビニリデン(VDF)および、場合によってはヘキサフルオロプロピレン(HFP)から誘導されるフルオロポリマーとの間の接着性は、そのフルオロポリマーをアミン化合物に曝露すると増加することが見いだされている。1例として、フッ化ビニリデンから誘導された共重合単位(interpolymerized unit)を含んで成るフルオロポリマー、溶融加工可能な、実質的にフッ素化されていない重合体の層、および分子量1,000未満の、溶融加工可能な、脂肪族のジ−またはポリアミンを具えるものが挙げられる。
【0009】
これに対して、VDFを実質的に含まないフッ素化単量体から誘導されたフルオロポリマーは、VDF単量体から誘導されたフルオロポリマーより化学的に不活性であることが知られ、しかも化学的攻撃に対してさらに耐性である。従って、そのようなフルオロポリマーは、自動車用のホース用途のような、耐性が一層大きいバリヤー層が希望される複合材料用途(例えば、多層を有する物品)での使用に理想的である。このような物品は、フルオロポリマーの化学的耐性と、一般により厚く、低コストの炭化水素材料の構造的性質とを併せ有する。そのような実質的にVDFから誘導されないフルオロポリマーの例に、テトラフルオロエチレン(TFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)の各単量体と、随意成分としてのフッ素化されていない単量体とから誘導されるフルオロポリマーがある。これらフルオロポリマーが与える化学的耐性は、そのような複合物品をして自動車の燃料ライン、燃料タンク、自動車系の他の要素、並びに化学的加工や化学的耐性のあるバリヤーが希望されるその他の任意の用途におけるライナー、管材料および容器として有用なものとする。
【0010】
しかし、これらの、VDFから実質的に誘導されないフルオロポリマーの改善された化学的耐性の故に、それらフルオロポリマーは、また、アミンとの接着促進反応を受ける可能性が小さい。VDFを実質的に含まないフルオロポリマーをアミンに曝露すると、接着性がある程度得られるけれども、化学的耐性のあるバリヤーを与えるフルオロポリマーに対する接着性がそれ以上に大きいことが多くの用途で有利であり、またそのようなことが求められるだろう。しかして、VDFを含まないフルオロポリマーと炭化水素材料との接着性が乏しいと、有用な複合物品の形成が困難になる。
【0011】
今も必要とされているものは、実質的にフッ素化されていない重合体基材に改良された接着性を与えるフルオロポリマーを含んで成るバリヤーを含む複合物品である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0012】
発明の概要
本発明によれば、1つの態様は、第一表面と第二表面を有するブレンド・構成部材(component)と、そのブレンド・構成部材の第一表面に接着した実質的にフッ素化されていない重合体・構成部材を含んで成る複合物品である。ブレンド・構成部材は、第一の水素含有フルオロポリマー;および1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体を含んで成る。本明細書で用いられる「ブレンド」とは、重合体類が一緒に混合されていることを意味する。これらの重合体は、溶液混合法、溶融混合法または分散混合法を含めて任意、常用の方法で混合することができる。
【0013】
本発明のこの態様は、フルオロポリマー・構成部材と実質的にフッ素化されていない重合体を含む構成部材との間の接着性を改善することが見いだされた。
【0014】
本発明のもう1つの態様では、複合物品は上記ブレンド・構成部材の第二表面に接着された第二のフッ素化重合体・構成部材を含む。
【0015】
本発明のさらにもう1つの態様では、多層複合物品は、フルオロポリマーを含んで成る第一層;第一のフルオロポリマーと、1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体とを含んで成る第二ブレンド層;および実質的にフッ素化されていない重合体層から成る第三層を上記の順序で含んでいる。
【0016】
本発明のもう1つの態様は、実質的にフッ素化されていない重合体・構成部材をフルオロポリマー・構成部材に接着する方法を包含する。この方法は、(A)フッ素化されていない重合体、(B)(i)第一のフルオロポリマーと、(・)1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有するフッ素化されていない重合体とのブレンドを用意し;そしてフッ素化されていない重合体(A)をブレンド(B)に接着する工程を含んで成る。
【0017】
この方法は、それら構成部材間に改善された接着強度を有する複合物品(例えば多層物品)を提供する。本発明のこの複合物品は、ワイヤーコーティング、チューブまたはホース、容器、シート、ケーブルジャケットおよびフィルムのような付形物品であることができる。本発明は、自動車両での使用に適した、例えば燃料ライン用ホースとしての複合物品、化学的処理および加工、ワイヤーおよびケーブルの各用途に適した複合物品、シートまたはフィルム、ブロー成形および押出成形物品、例えばびん、チューブ等々に適した複合物品を提供する。本発明の物品は、化学的耐性やバリヤー性が重要な場合に特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1〜3は、本発明の複合物品の色々な態様の断面図である。
【図2】図1〜3は、本発明の複合物品の色々な態様の断面図である。
【図3】図1〜3は、本発明の複合物品の色々な態様の断面図である。
【図4】図4は、本発明による複合物品の接着性を試験する際に使用した層状構造物の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
これらの図面は本発明を限定しようとするものではない。従って、理解されるように、それら特定の構造物は例示に過ぎない。これら幾つかの図面において、同様の参照数字は同じ要素であることを意味する。
【0020】
好ましい態様の説明
本発明の各種態様では、(フルオロポリマーとしても知られる)フッ素化重合体が用いられる。本発明で使用されるフルオロポリマーに、フッ化ビニリデン含有フルオロポリマー、およびフッ化ビニリデンを実質的に含んでいないフルオロポリマーがある。さらに、本発明で使用されるフルオロポリマーに、(フルオロ熱可塑性プラスチックとしても知られる)フルオロプラスチックとフルオロエラストマーの両重合体がある。フルオロポリマーはフルオロプラスチックであるのが好ましい。
【0021】
フルオロプラスチックはフルオロエラストマーまたはフルオロゴムとはそれらの性質で区別される。フルオロプラスチック材料は溶融加工可能であって、融点を持ち、かつ半結晶性であるか、周囲温度より高いガラス転移温度を有するかのいずれかである。これに対して、フルオロエラストマーまたはフルオロゴムは一般に非晶質であって、通常は融点を持たない。ある種のフルオロエラストマーは溶融加工可能なこともあるが、フルオロエラストマーの最終仕上げ物品を造るときに、普通は硬化工程が用いられる。その硬化工程は、一般に、溶融加工性が実質的に低下した材料をもたらす。フルオロエラストマーとフルオロゴムという用語は、一般に、互換的に用いられる。エラストマーとゴムの定義に関して、例えばアメリカ材料試験協会(American Society for Testing and Materials:ASTM)規格D1566を参照されたい。
【0022】
フッ化ビニリデン含有フルオロポリマー
これらのフルオロポリマーはフッ化ビニリデン(“VF2”または“VDF”)から誘導され、また重合すると、重合したフッ化ビニリデンと同様の単量体配列を形成する他の単量体から誘導されるフルオロポリマーもある。これらのフルオロポリマーは、一般に、塩基に曝露されると容易にデヒドロフッ素化(dehydro-fluorinate)する。その結果、このようなフルオロポリマーはアミン成分と比較的容易に反応する。これらの反応は改善された接着性をもたらし得る。これら他の単量体に、組み込まれてフルオロポリマーになると、重合VDFと同様(同一の場合を含む)の重合体微細構造をもたらし得るエチレン系不飽和単量体がある。これらの同様に形成された重合体もデヒドロフッ素化し、続いてアミンと接着促進反応する傾向がある。炭素に結合したフッ素原子間の炭素結合水素原子の微細構造は、一般に、アミン反応性の部位を生成させる。炭素に結合した水素原子の反応性は、その炭素原子が炭素結合−CF3基(例えば、HFP、即ち2−ヒドロペンタフルオロプロピレンにより供給される)または他の電子引き抜き性基を有する炭素原子に隣接または結合しているとき、さらに高められる。そのような炭素結合水素と反応性の部位を形成するのに適した単量体に、限定される訳ではないが、VDF、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、2−ヒドロペンタフルオロプロペンおよびトリフルオロエチレンがある。
【0023】
これらのVDF含有フルオロポリマーは容易にデヒドロフッ素化する傾向があり、かつ引き続きアミンと接着促進反応する傾向もあるのが好ましい。VDFを含めてこれらの単量体が共重合すると生成する炭素に結合した水素部位は、これを(ブレンドの形成に先立って)前もってデヒドロフッ素化して、フルオロポリマー骨格内に二重結合を形成することができる。特定の何らかの理論で縛られることを望むものではないが、これらの二重結合を前もって形成することは、アミンとの接着促進反応を加速し得ると考えられる。このデヒドロフッ素化反応は、また、例えば処理中にも現場でもたらされ得る。この現場デヒドロフッ素化反応は適切な触媒、好ましくは後記で論及される種類の触媒の使用により促進され得る。
【0024】
そのようなVDF含有フルオロポリマーはVDF、または重合すると同様の反応性を持つ他の単量体から誘導された共重合単位を少なくとも3重量%含む。これらのVDF含有フルオロポリマーは単独重合体であってもよいし、或いは他のエチレン系不飽和単量体との共重合体であってもよい。VDF含有フルオロポリマーは、(i)フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、2−ヒドロペンタフルオロプロピレン、それらの混合物の群から選ばれるフッ素含有単量体と、随意成分としての(ii)単量体(i)と共重合可能な少なくとも1種の単量体から形成されるのがさらに好ましい。1つの好ましい態様においては、このVDF含有フルオロポリマーはヘキサフルオロプロピレン−フッ化ビニリデン重合体から成る。
【0025】
そのようなVDF含有フルオロポリマー(単独重合体、共重合体、三元共重合体等々)は周知の、常用の方法、例えば他のエチレン系不飽和単量体を含みまたは含まないVDFの遊離ラジカル重合で製造することができる。そのような重合体および共重合体のコロイド状水性分散液の調製は、例えば米国特許第4,335,238号明細書[モーアー(Moore)等]に記載されている。このようなアミン反応性フルオロポリマーを製造する慣用の方法は、フッ素化オレフィンを水性コロイド分散液中で共重合することを含んでいることができ、そしてそれは、遊離ラジカルを生成させる、例えば過硫酸アンモニウム若しくは同アルカリ金属または過マンガン酸アルカリ金属のような水溶性開始剤の存在下で、かつ特にペルフルオロオクタン酸のアンモニウム塩または同アルカリ金属塩のような乳化剤の存在下で行われる。
【0026】
本発明で有用なこれらVDF含有フルオロポリマーは、場合によっては、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、2−クロロペンタフルオロプロペン、CF3OCF=CF2またはCF3CF2CF2OCF=CF2のようなペルフルオロビニルエーテルを含めて、フッ素化ビニルエーテルのような他の有用なフッ素含有単量体を含んでいることができる。ペルフルオロジアリルエーテルおよびぺルフルオロ−1,3−ブタジエンのようなある種特定のフッ素含有ジオレフィンも有用である。
【0027】
本発明で有用なVDF含有フルオロポリマーは、フッ素を含まない不飽和オレフィン共単量体、例えばエチレン、プロピレンまたはブタジエンから誘導された共重合単位も含んでいることができる。重合性混合物中の全単量体の少なくとも50重量%がフッ素を含有しているのが好ましい。VDF含有・フッ素含有単量体は、また、ヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体と共重合させることもできる。硬化部位単量体(cure-site monomer)と称されることもあるこれらの単量体は、ペルオキシド硬化性重合体を製造するのに有用である。適した硬化部位単量体に、ブロモジフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレンおよび4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンのような、2〜4個の炭素原子を有する末端不飽和のモノオレフィンがある。
【0028】
商業的に入手できる有用なVDF含有フルオロポリマー材料に、例えばTHV200、THV400、THV50OGフルオロポリマー[MN州、セント・ポール(St.Paul)のダイネオン(Dyneon)LLC社から入手できる]、カイナー(KYNAR)740フルオロポリマー[PA州、フィラデルフィア(Philadelphia)のアトケム・ノース・アメリカ社(Atochem North America)から入手できる]、ハイラー(HYLAR)700[NJ州、モーリスタウン(Morristown)のオーシモントUSA社(Ausimont USA,Inc.)から入手できる]、およびフルオレル(FLUOREL)FC−2178(ダイネオンLLC社から入手できる)がある。
【0029】
フッ化ビニリデンを実質的に含まないフルオロポリマー
これらのフルオロポリマーは、典型的には、重合したとき塩基との反応を容易に受ける微細構造、即ちアミンのような塩基に曝露されたときデヒドロフッ素化するそのような微細構造を生成させるようなレベルではVDF単量体(または他の同様の単量体)を含まないものである。従って、これらのフルオロポリマーは、本明細書では、「フッ化ビニリデンを実質的に含まない(非VDF)フルオロポリマー」と称される。「VDFを実質的に含まない」とは、フルオロポリマーが、好ましくは、VDF単量体または上記と同様の微細構造を与える他の単量体から誘導される共重合単位を実質的に含まないことを意味する。これらのフルオロポリマーは、VDF単量体または上記と同様の微細構造を生成させる他の単量体から誘導される共重合単位を3重量%未満含むのが好ましく、1重量%未満含むのがさらに好ましい。
【0030】
VDFを実質的に含まない有用なフルオロポリマーに、HFP、TFE、CTFEおよびフッ素化ビニルエーテルの群から選ばれる1個または2個以上のフッ素を含有する単量体を重合することにより形成される、溶融加工可能なフルオロプラスチックがあり、そしてそれらは場合によっては1種または2種以上の硬化部位単量体を含んでいてもよい。そのような硬化部位単量体は、典型的には、ヨージッドまたはブロミド含有不飽和オレフィンである。硬化部位単量体は、2〜4個の炭素原子を含む末端不飽和のモノオレフィンであるのが好ましい。有用な硬化部位単量体の例に、ブロモジフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレン、4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1およびそれらの混合物がある。特に有用なフッ素含有単量体は、HFP、TFEおよびCTFEである。
【0031】
VDFを含まないフルオロポリマーを製造するのに用いられるフッ素含有単量体も、フッ素を含まない不飽和オレフィン共単量体、例えばエチレン、プロピレンまたはブタジエンと共重合させることができる。ペルフルオロジアリルエーテルおよびペルフルオロ−1,3−ブタジエンのようなある種特定のフッ素含有ジオレフィンも有用である。重合可能な混合物中の全単量体の少なくとも50重量%がフッ素を含有しているのが好ましい。
【0032】
本発明で有用なフルオロプラスチックの追加の例は、実質的にフッ素化されているオレフィンと実質的にフッ素化されていないオレフィンのVDFを実質的に含んでいない共重合体である。これらのVDFを実質的に含んでいない共重合体の1つはTFE、HFPおよびエチレンを含有する三元共重合体である。例えば、1つの有用な共重合体は、約45〜約75モル%のTFE単位、約10〜約30モル%のHFP単位および約10〜約40モル%のエチレン単位を含み、そして約140〜約250℃の融点を有する。
【0033】
本発明で有用なフルオロプラスチックのもう1つの例は、TFEとアリル系水素含有オレフィン単量体とから誘導される共重合単位を含んで成るものである。国際公開WO96/18665号明細書[グレウエル(Greuel)]には、フルオロポリマー、およびTFEとポリプロピレンから誘導された共重合単位を製造する好ましい方法が記載されている。これらの共重合体は、一般に、例えば約2〜約20重量パーセント(好ましくは約5〜約15重量パーセント、さらに好ましくは約7〜約12重量パーセント)のアリル系水素含有オレフィン単量体を含んでいることができる。これらの半結晶性共重合体は、典型的には、約300℃以下、好ましくは約200〜約250℃の温度で加工することができるように、溶融温度を有する。
【0034】
この種の有用な、VDFを実質的に含まないフルオロポリマーの例に、ポリ(エチレン−コ−テトラフルオロエチレン)、ポリ(テトラフルオロエチレン−コ−プロピレン)、ポリ(クロロトリフルオロエチレン−コ−エチレン)およびポリ(エチレン−コ−テトラフルオロエチレン−コ−ヘキサフルオロプロピレン)三元共重合体、さらにまた過フッ素化された溶融加工可能なプラスチックがある。また、多くの有用な、VDFを実質的に含んでいないフルオロポリマー材料は、例えばMN州、セント・ポールのダイネオンLLC社からX6810およびX6820なる商標名で、AL州、ディケーター(Decatur)のダイキン・アメリカ社(Daikin America,Inc.)からネオフロン(NEOFLON)EP−54LEP−521およびEP−610なる商品名で、日本、東京の旭硝子株式会社からアフロン・コップ(AFLONCOP)C55A、C55AX、C88Aなる商標名で、そしてDE州、ウイルミントン(Wilmington)のデュポン社(DuPont)からテフゼル(TEFZEL)230および290なる商標名で商業的に入手することができる。
【0035】
このような重合体(共重合体、三元共重合体等々を含む)を製造する多くの方法が知られている。このような方法に、限定される訳ではないが、懸濁遊離ラジカル重合法また常用の乳化重合法があるが、これら重合法は、典型的には、単量体類を、水性媒体中で、無機遊離ラジカル開始剤系および界面活性剤または懸濁剤の存在下において重合することを含む。一般に、その所望とされるオレフィン単量体は、水性コロイド分散液中で、例えば過硫酸アンモニウム若しくは同アルカリ金属または過マンガン酸アルカリ金属のような遊離ラジカルを生成させる水溶性開始剤の存在下、および特にペルフルオロオクタン酸のアンモニウム塩またはアルカリ金属塩のような乳化剤の存在下で共重合させることができる。例えば、米国特許第4,335,238号明細書を参照されたい。
【0036】
VDFを実質的に含んでいないフルオロポリマーは、本質的にフッ素化されたオレフィンと本質的にフッ素化されていないオレフィンとから成る。それらは還元剤としてのフッ素化されたスルフィネートと、そのスルフィネートをスルホニルラジカルに転化し得る水溶性酸化剤とを用いて製造することができる。好ましい酸化剤は、過硫酸ナトリウム、同カリウムおよび同アンモニウム、ペルホスフェート、ペルボレートおよびペルカーボネートである。特に好ましい酸化剤は過硫酸ナトリウム、同カリウムおよび同アンモニウムである。
【0037】
水性乳化重合および同懸濁重合は、例えば単量体類、水、界面活性剤類、緩衝剤類および触媒類が、得られるエマルジョンまたは懸濁液を連続的に除去しながら、攪拌機付き反応器に最適の圧力と温度の条件下で連続供給される、常用の定常状態条件で行うことができる。別法として、その諸成分を攪拌機付き反応器に供給し、それらをある設定温度で特定時間長にわたって反応させることによるか、または諸成分を上記反応器に仕込み、そしてその単量体をその反応器に供給して所望量の重合体が形成されるまで一定圧力に保つことによるバッチ式重合法または半バッチ式重合法がある。
【0038】
実質的にフッ素化されていない重合体
本発明は、実質的にフッ素化されていない重合体・構成部材も含み得ると考えられる。実質的にフッ素化されていない重合体・構成部材は、とりわけ、構造一体性を付加し、かつコストを下げることができる。
【0039】
有用な実質的にフッ素化されていない材料として、多数の、周知の、実質的にフッ素化されていない熱可塑性重合体およびエラストマー性重合体をいずれも挙げることができる。本明細書で使用される「実質的にフッ素化されていない」なる用語は、炭素に結合した水素原子の10パーセント未満がフッ素原子で置換されている重合体または高分子材料を意味する。その実質的にフッ素化されていない重合体は、その炭素結合水素原子の2パーセント未満がフッ素原子で置換されているのが好ましく、その炭素結合水素原子の1パーセント未満がフッ素原子で置換されているのがさらに好ましい。
【0040】
好ましい実質的にフッ素化されていない熱可塑性重合体に、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリケトン類、ポリ尿素類、ポリアクリレート類およびポリメタクリレート類がある。選択される特定の実質的にフッ素化されていない重合体は、本発明による複合物品の用途または化学的耐性および/または火炎抵抗性のような所望とされる性質に依存する。
【0041】
実質的にフッ素化されていない重合体として有用なポリアミドは、一般に、商業的に入手できる。例えば、周知のナイロン類のいずれかのようなポリアミドは、多数の供給源から入手できる。特に好ましいポリアミドは、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン−11またはナイロン12である。ここで留意されるべきは、特定のポリアミド材料の選択は、得られる物品の特定の用途に求められる物理的必要条件に基づくべきことである。例えば、ナイロン−6およびナイロン−6,6はナイロン−11またはナイロン−12より高い耐熱性を提供するが、これに対してナイロン−11およびナイロン−12はより良好な化学的耐性を提供する。これらのポリアミド材料に加えて、ナイロン−6,12、ナイロン−6,9、ナイロン−4、ナイロン−4,2、ナイロン−4,6、ナイロン−7およびナイロン−8のような他のナイロン材料も用いることができる。環含有ポリアミド、例えばナイロン−6,Tおよびナイロン−6,1も使用できる。ペバックス(PEBAX)ポリアミド(PA州、フィラデルフィアのアトケム・ノース・アメリカ社)のようなポリエーテル含有ポリアミドも使用できる。
【0042】
有用なポリウレタン重合体に、脂肪族、脂環式、芳香族および多環式ポリウレタンがある。これらのポリウレタンは、典型的には、多官能性イソシアネートとポリオールとの周知の反応機構による反応で製造される。ポリウレタンの製造に使用するのに有用なジイソシアネートに、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキシルジイソシアネートおよびジフェニルメタンジイソシアネートがある。1種または2種以上の多官能性イソシアネートの組み合わせを用いてもよい。有用なポリオールに、ポリペンチレンアジペート・グリコール、ポリテトラメチレンエーテル・グリコール、ポリエチレン・グリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−1,2−ブチレンオキシド・グリコールおよびそれらの組み合わせがある。所望によっては、ブタンジオールまたはヘキサンジオールのような鎖延長剤もその反応で用いることができる。本発明で有用な、商業的に入手できるウレタン重合体に、ニュー・ハンプシャー州(New Hampshire)、シーブルック(Seabrook)のモートン・インターナショナル社(Morton International,Inc.)からのPN−3429、およびオハイオ州(Ohio)、クリーブランド(Cleveland)のB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich Company)からのX−4107がある。
【0043】
実質的にフッ素化されていない重合体として有用なポリオレフィン重合体は、一般に、エチレン、プロピレン、アクリル系単量体または他のエチレン系不飽和単量体、例えば酢酸ビニルおよび高級アルファーオレフィンの単独重合体または共重合体である。このような重合体および共重合体は、そのようなエチレン系不飽和単量体の常用の遊離ラジカル重合または触媒反応で製造することができる。この炭化水素重合体または同共重合体の結晶化度は様々であることができる。この重合体は、例えば半結晶性の高密度ポリエチレンであってもよいし、或いはエチレンとプロピレンとのエラストマー性共重合体であってもよい。本発明内の炭化水素重合体には、官能性単量体、例えばアクリル酸若しくは無水マレイン酸を重合若しくは共重合することにより、または重合体を、重合後に、例えばグラフト重合、酸化若しくはアイオノマーの形成により修飾することによって、カルボキル官能基、無水物官能基またはイミド官能基を組み込むことができる。これらには、例えば酸修飾・エチレン−酢酸ビニル、酸修飾・エチレン−アクリレート、無水物修飾・エチレン−アクリレート、無水物修飾・エチレン−酢酸ビニル、無水物修飾・ポリエチレンおよび無水物修飾・ポリプロピレンがある。炭化水素重合体として有用なカルボキシル、無水物またはイミド官能性重合体は、一般に、商業的に入手することができる。例えば、無水物修飾・ポリエチレンはDE州、ウイルミントンのデュポン社からバイネル(BYNEL)なる商標名で共押出成形可能な接着剤樹脂として商業的に入手することができる。
【0044】
実質的にフッ素化されていない重合体として有用なポリアクリレートおよびポリメタクリレートに、若干の名前を挙げると、例えばアクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、アクリルアミド、メタクリル酸、メチルメタクリレートおよびエチルアクリレートの重合体がある。前記のように、他の有用な、実質的にフッ素化されていない重合体に、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリケトン類およびポリ尿素類がある。これらの材料は、一般に、商業的に入手することができ、例えばセラー(SELAR)・ポリエステル(DE州、ウイルミントンのデュポン社);レキサン(LEXAN)・ポリカーボネート[MA州、ピッツフィールド(Pittsfield)のジェネラル・エレクトリック社(General Electric)];カデル(KADEL)・ポリケトン[IL州、シカゴ(Chicago)のアモコ社(Amoco)];およびスペクトリム(SPECTRIM)・ポリ尿素[MI州、ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル社(Dow Chemical)]がある。
【0045】
好ましい、実質的にフッ素化されていないエラストマー性重合体に、アクリロニトリル−ブタジエン(NBR)、ブタジエンゴム、塩素化およびクロロ−スルホン化ポリエチレン、クロロプレン、EPM、EPDM、エピクロリヒドリン(ECO)、イソブチレン−イソプレン、イソプレン、ポリスルフィド、ポリウレタン、シリコーン、PVC-NBR、スチレン−ブタジエンおよび酢酸ビニル−エチレンがある。これら化合物の例に、ニポール(Nipol)1052NBR[KY州、ルイーズビル(Louisville)のゼオン社(Zeon)]、ヒドリン(Hydrin)2000ECO(KY州、ルイーズビルのゼオン社)、ハイパロン(Hypalon)48(DE州、ウイルミントンのデュポン社)およびノーデル(Nordel)2760P EPDM(DE州、ウイルミントンのデュポン社)がある。
【0046】
アミンペンダント基を有する実質的にフッ素化されていない重合体
有用な、アミンペンダント基を有する実質的にフッ素化されていない重合体として、好ましくは、アミンペンダント基が与えられている限り、上記の実質的にフッ素化されていない重合体の任意のものが挙げられる。アミンペンダント基を有するこれらのフッ素化されていない重合体は、1個または2個以上の一級アミン基を含んでいるのがさらに好ましい。例えば、上記の実質的にフッ素化されていない重合体材料と混合、反応せしめられた脂肪族のジ−またはポリアミンが、本発明による複合物品において用いることができる。この説明で用いられている「ジ−またはポリアミン」なる用語は、少なくとも2個のアミン基を含む有機化合物を指す。「脂肪族」とは、当該化合物における2個または3個以上のアミン基の内の少なくとも2個の窒素原子が、芳香族部分または官能基(例えば、カルボキシル基)に直接結合しているのではなく、水素原子かまたは脂肪族の炭素原子にだけ直接結合していることを意味する。例えば、本発明の説明では「脂肪族ジ−またはポリアミン」が用いられるので、アニリンおよび尿素は脂肪族ジ−またはポリアミンではない。二級アミンが三級アミンより好ましく、そして一級アミンが最も好ましい。これらのアミンは、複合物品の当該ブレンドが接着される構成部材を作る実質的にフッ素化されていない重合体を修飾する。
【0047】
一級アミン含有重合体は、例えばカルボキシル基含有炭化水素エラストマーをジアミン、例えば2−メチルペンタンジアミンおよびN−アミノエチルピペラジンと反応させることにより得られる。少なくとも2個の一級アミン基を含むヘキサメチレンジアミン、ドデシルジアミンおよび2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジプロパンアミンのようなアルキレンポリアミンまたは同ジアミンが最も好ましい。このような重合体および共重合体は、エチレン系不飽和単量体の遊離ラジカル重合によって製造することができる。
【0048】
アミンペンダント基を有する特に有用なフッ素化されていない重合体(ポリアミド)は、共にEMSケミー社(EMS Chemie AG)[スイス(Switzerland)]から入手できる、今日グリラミド(GRILAMID)XE3595およびグリラミドFE5405として知られるグリラミドFE4943なる商標名で商業的に入手することができる。アミンペンダント基の付加により修飾することができる他の材料に、ポリイミド類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリケトン類およびポリ尿素類がある。これらの材料、例えばデュポン社(DE州、ウイルミントン)からのセラー・ポリエステル;レキサン・ポリカーボネート(MA州、ピッツフィールドのジェネラル・エレクトリック社);カデル・ポリケトン(IL州、シカゴのアモコ社);およびスペクトリム・ポリ尿素(MI州、ミッドランドのダウ・ケミカル社(Dow Chemical))は、一般に、商業的に入手することができる。
【0049】
ブレンド・構成部材
本発明で使用されるブレンド・構成部材は、各々上記で説明された、第一の水素含有フルオロポリマー、および1個または2個以上の一級または2級のアミンペンダント基を有する実質的にフッ素化されていない重合体を含む。このブレンド・構成部材は、第一フルオロポリマーを、好ましくは約5〜約95重量%、さらに好ましくは約10〜90重量%、最も好ましくは約25〜76%重量%の量で含む。このブレンド・構成部材は、また、アミンペンダント基を有する実質的にフッ素化されていない重合体を、好ましくは約5〜約95重量%、さらに好ましくは約10〜約90重量%、最も好ましくは約25〜約75重量%の量で含む。
【0050】
本発明で使用されるブレンドは多種多様な公知の方法で形成することができる。これらの方法に、バッチ式混合法か連続式押出法のいずれかによる溶融混合法がある。このブレンド・構成部材の形成に、重合体分散液の混合とコーティング、それに続く熱アニーリングも使用することができる。材料の選択と方法の選択は、最終用途での必要条件、並びに溶融粘度と構成部材間の密度比により決めることができる。
【0051】
このブレンド・構成部材を複合物品で使用すると、ブレンド・構成部材と実質的にフッ素化されていない重合体を含む構成部材との間の、フルオロポリマーよりなる構成部材と実質的にフッ素化されていない重合体よりなる構成部材との間の剥離強度値と比較したときの、より大きい剥離強度値により向上した接着性が観察される。このことは、長い耐久性の複合物品が求められる、燃料ホースが石油化学製品(例えば、燃料)に連続曝露される自動車の燃料ラインにおけるような用途で特に重要である。
【0052】
随意添加剤
本発明による複合物品は、他の熱可塑性樹脂用途で典型的に用いられるもののような随意の添加剤も含んでいることができる。これらの随意添加剤は、重合体、顔料、粘着付与剤、充填材、導電性材料(以上の添加剤の例は米国特許第5,552,199号明細書に記載される)、電気絶縁性材料、安定剤、酸化防止剤、潤滑剤、加工助剤、耐衝撃性改良剤、粘度改良剤およびそれらの混合物の群から選ばれるのが好ましい。
【0053】
図面の議論
本発明、および前記諸構成部材のそのような構成部材内における位置付けは、図面を参照することによりさらによく理解されるであろう。
【0054】
まず図1を参照して説明すると、本発明による2つの構成部材より成る構造物10の断面図が示される。この態様には、フィルム、シート、チューブ、ワイヤーコーティング、ケーブル用ジャケット、容器の器壁等々が含まれ得る。構造物10は、第一および第二表面14および16をそれぞれ有する第一層12と、第一表面14に接着された第二層18を含んで成る。
【0055】
第一層12は、第一フルオロポリマーと、アミンペンダント基を有する実質的にフッ素化されていない重合体とのブレンド・構成部材から成る。このブレンド層12は、それが構造物10に対して化学的バリヤー性を与え得るので有利である。第二層18は実質的にフッ素化されていない重合体から成り、複合物品に追加の構造保全性を提供する。
【0056】
今度は図2を参照して説明すると、本発明による三層構造物が管材料またはホースセグメント20の断面図として一般的に示される。第一層、即ち外層または壁26は複合材料に構造保全性を与えるもので、実質的にフッ素化されていない重合体から作られているのが好ましい。中間層24は外層26と内層22との間に接着性を提供するものである。中間層24は、第一フルオロポリマーと、アミンペンダント基を有する実質的にフッ素化されていない重合体とのブレンドから成る。内層22は複合物品20に対して化学的および/または熱的バリヤー性を与えるもので、第二フルオロポリマーから作られるのが好ましい。この態様において、内層22は、複合物品の意図される用途に希望される化学薬品の通路、例えば自動車の燃料系における燃料ラインまたは蒸気ラインとなる管腔28に面している。
【0057】
別法として、複合物品の外表面に化学的耐性および/または火炎抵抗性が希望される場合、これらの層を逆にしてもよい。図3を参照して説明すると、本発明のもう1つの好ましい態様は、被覆されたワイヤー/ケーブル30の断面図として一般的に示される複合物品である。ワイヤーまたはケーブル37は、実質的にフッ素化されていない重合体から形成されている内層36で取り巻かれている。中間層34は、第一フルオロポリマーと、アミンペンダント基を有する実質的にフッ素化されていない重合体とを含んで成るブレンドから作られているのが好ましく、一方場合によって加えられる外層32は第二フルオロポリマーから作られているのが好ましい。この随意の外層32は複合物品に対してバリヤー性、例えば化学的耐性および/または電気絶縁性を与える。
【0058】
図2および3の構造物において、各層が互いに直接接着されており、かつ同じ条件下で試験されるとして、ブレンド層(それぞれ層24および34)と実質的にフッ素化されていない重合体の層(それぞれ層26および36)との間の剥離強度は、フルオロポリマーの層(それぞれ層22および36)と実質的にフッ素化されていない重合体の層(それぞれ層26および36)との間に存在するであろう剥離強度より大きい。
【0059】
これら態様のいずれにおいても、ブレンド層中で用いられているフルオロポリマーとバリヤー性を与える層中で使用されているフルオロポリマーとは、前記のフルオロポリマーのような、同一または異なるフルオロポリマーであることができる。これらのフルオロポリマーは互いに相溶性であるのが好ましい。それらは同一であるか、同様のものであるのが最も好ましい。
【0060】
本発明の態様のいずれにおいても、その各種層は隣接する1層または複数の層に接着されている。それらは隣接する1層または複数の層に緊密に接着されているのが好ましい。ここで用いられている「緊密に接着されている」なる用語は、構成部材または層が複合物品または多層物品を実質的に破壊することなしでは、物理的に容易には分離されないことを意味する。加えて、本発明により意図される態様は、いずれも、図面で例証される特定の態様に係わらず、シートまたはフィルムの形態で提供することができる。さらに、層の順序は、これら態様のいずれにおいても逆順にすることができる。何を以て内層および外層となすかの決定は、どこにバリヤー性が希望されるかによって影響される。
【0061】
複合物品の形成
前記のブレンド材料が実質的にフッ素化されていない重合体材料と実質的に接触している、接着した多層物品のような複合物品を製造するのに、重合体の技術分野で公知の方法を用いることができる。例えば、そのブレンドは公知の方法で薄いフィルムまたはそれより厚いシートに成形することができる。これらのフィルムまたはシートは、これらを熱および/または圧力の下で一緒に積層して接着された多層物品を形成することができる。別法として、このブレンド・構成部材と実質的にフッ素化されていない重合体とを同時に共−押出成形して多層物品にすることができる。
【0062】
ブレンド・構成部材の調合は複合物品の調製の際に行うこともできる。例えば、第一フルオロポリマーと、アミンペンダント基を有する実質的にフッ素化されていない重合体とを、共−押出成形プロセスの際に用いられる同じ押出成形機に供給し、その押出成形機で混合することができる。
【0063】
加えて、これらの方法は、全て、ブレンド・構成部材の形成前、形成中または形成後のいずれかにおいて追加の重合体・構成部材または層を適用するのに使用することができる。例えば、第二フルオロポリマーを含む構成部材をブレンド・構成部材に適用し、次いで実質的フッ素化されていない重合体を含む構成部材を第一フルオロポリマーを含む構成部材に対向しているブレンド層に適用することができる。
【0064】
2つまたは3つ以上の構成部材を一緒にする(少数の名前を挙げると、例えば逐次押出成形、共−押出成形または積層)条件は、それら構成部材間に十分な接着性を提供するのに足る条件である。しかし、接着を改善するために、得られた複合物品を、例えば熱および/または圧力を用いてさらに処理することが望ましいだろう。追加の熱を供給する1つの方法は、例えば、構成部材を押出成形した後の冷却速度を遅くする方法である。また、追加の熱またはエネルギーを押出成形プロセスまたは積層プロセス中またはそのプロセス後に加えることもできる。この場合、その温度はそれら構成部材を単に加工するのに必要とされる温度より高くてもよい。さらに、完成複合物品は、オーブン、オートクレーブ、加熱された液体浴等のようなものの中で昇温および/または昇圧下で長時間保持して置いてもよい。これらの方法の組み合わせも用いることができる。
【0065】
本発明による複合物品の多数の利点を、次の非限定実施例によりさらに例証する。これらの実施例において、部および百分率は、特に断らない限りは、全て重量部および重量百分率として与えられる。
【実施例】
【0066】
実施例
次の実施例および比較例においては、各種複合材料が造られ、そして構成部材間、即ち層間の接着性が評価された。濃度および百分率は、特に指摘されない限りは、重量による。使用される材料の略号は次の表1に示される項目により定義される。
【表1】

【0067】
重合体2は、国際公開第WO96/18665号明細書(グレウエル)に記載される方法で製造された。特に、150Lの攪拌機付き垂直重合反応器に120,000gの脱イオン水、70gのKOH、430gのK2HPO4、694gのペルフルオロオクタン酸アンモニウム、1,023gのC4F9SO2Naの脱イオン水中20%溶液を装填した。この反応器を、次に、O2のレベルが約50ppm以下になるまで、排気とN2によるパージとを交互に行った。次いで、その反応器を排気し、その温度を約71℃まで上げ、そして攪拌速度を約210rpmに設定した。次に、その反応器に3929gのTFEと約79gのプロピレンを装填して約15.2バール(220psig)の圧力を与えた。重合は、その反応器に(NH4)2S2O8の脱イオン水中5%溶液を、計量ポンプにより、約25g/分で、1当量の(NH4)2S2O8が供給されるまで(溶液約3,200g)、供給することにより開始された。所望とされる圧力を維持するために、圧力降下を観察して、反応器の制御系により、91%のTFEと9%のプロピレンより成る原料の連続供給(running feed)を開始し、かつ連続的に調整した。31,300gのTFEと3,080gのプロピレンが供給された後、攪拌を遅くすることにより重合を止めると、連続供給開始5時間後に57g/L−時という計算された平均反応速度が得られた。次いで、その反応器をガス抜きし、冷却し、そして排液してラテックスを分離した。得られた重合体を、そのラテックスにHClを加えることにより凝集させ、粒状化し、脱イオン水で6回洗浄し、そして約120℃のオーブン中で一晩乾燥させた。
【0068】
実施例1
実施例1では、温度が220℃に、ミキサーのローターの設定が50rpmに設定された、ハーケ・ブフラー・インスツルメンツ社(Haake Buchler Instruments Inc.)から入手した、複数のローラー・ブレードを具えるレオミックス(RIIEOMIXTM)・密閉式ボウル・ミキサーを用いて、13.2gのPAと26.8gの重合体1をブレンドした。即ち、これら2種の成分のペレットをその混合用ボウルに加え、3分間ブレンドした。次に、この密閉式ボウル・ミキサーで混合されたコンパウンドをそのミキサーから取り出し、そして0.0254cmのシム・ストック(shim stock)とワバッシュ・ハイドローリック・プレス社(Wabash Hydraulic Press Co.)製の加熱された段プレス機を用いて、230℃で成形して約0.0254cmのシートにした。
【0069】
上記のブレンドシートの1.25cm×5.08cm試料と、重合体1の2.54cm×7.62cm×厚さ0.038cmのシートを用いて複合材料を製造した。NFの2.54cm×7.62cm×厚さ0.32cmのシートを上記ブレンドシートの他の面上に、最終構造がNF層、上記ブレンドの中間層および重合体1の第三層となるように置いた。図4を参照して説明すると、層の接着性を試験する際に用いた層状構造物40が示される。試験の目的から、重合体1の層46とNF層48がブレンド層44を越えて延在していた。
【0070】
それら層間の接着性を「T−剥離」試験法として一般に知られるASTM D−1876を用いて試験した。T−剥離試験法による試験を容易にするために、重合体1の層46とNF層48の間に0.00762cmのペルフッ素化エチレン−プロピレン(FEP)フィルムのシートを入れた。このFEPフィルムは、複合材料がプレスされ、そして加熱されたとき、2.54cm×7.62cmのブレンド層44の短い方の縁に沿って約1.25cmだけ挿入されるようにされた。そのFEPフィルムはそれら層のいずれにも接着せず、試験装置の顎部に挿入する重合体1の「タブ」とNFの「タブ」を造るためだけに用いられた。
【0071】
3つの同一複合材料を、同時に、ワバッシュ・ハイドローリック・プレス社製の加熱された段プレス機を用いて、230℃、686kPaにおいて3分間加圧下で加熱した。そのプレス機からそれら試料を取り出し、室温まで冷却させた。これらの試料に対して剥離強度または接着性をASTM D−1876(T−剥離試験法)に従って測定した。クロスヘッド速度が100mm/分に設定された、インストロン社(Instron Corp.)から入手できるインストロン(INSTRONTM)モデル1125試験機を試験装置として用いた。剥離強度は剥離試験中に測定された平均荷重として計算された。
【0072】
比較例C1
比較例C1では、中間層が2.54cm×5.08cm×厚さ0.0254cmのPAシートより成っていたこと以外は、実施例1におけるようにして複合材料試料を製造し、試験した。
【0073】
実施例2
実施例2では、温度が220℃に、ミキサーのローターの設定が50rpmに設定された、ハーケ・ブフラー・インスツルラメンツ社から入手できる、複数のローラー・ブレードを具えるレオミックス(登録商標)600・密閉式ボウル・ミキサーを用いて、13.2gのPAと26.8gの重合体2をブレンドした。即ち、これら2種の成分のペレットをその混合用ボウルに加え、3分間ブレンドした。次に、この密閉式ボウル・ミキサーで混合されたコンパウンドをそのミキサーから取り出し、そして0.0254cmのシム・ストックとワバッシュ・ハイドローリック・プレス社製の加熱された段プレス機を用いて、230℃で成形して約0.0254cmのシートにした。
【0074】
上記のブレンドの1.25cm×5.08cm試料と、重合体2の2.54cm×7.62cm×厚さ0.038cmのシートを用いて複合材料を製造した。NFの2.54cm×7.62cm×厚さ0.32cmのシートを上記ブレンドの他の面上に、最終構造がNF層、中間ブレンド層および重合体2の0.038cmシートの第三層を含むように置いた。
【0075】
比較例C2
比較例C2では、中間層が2.54cm×5.08cm×厚さ0.0254cmのPAシートより成っていたこと以外は、実施例2におけるようにして複合材料試料を製造し、試験した。
【0076】
実施例および比較例を全て前記実施例1で説明したようにして試験した。結果を表2に示す。剥離強度値が示され、また試験中に分離した層の界面も報告される。
【表2】

【0077】
上記の実施例と比較例から、第一フルオロポリマーと、アミンペンダント基を有する、実質的にフッ素化されていない重合体とのブレンドより成る組成物が、第一フルオロポリマーの改善された接着性を実質的にフッ素化されていない重合体に与えるのに用いる得ることは明らかである。
【0078】
全ての特許、特許出願および刊行物の完全な開示が、それらが個々に含められているとしても、それらをここに引用、参照することにより、本明細書に含まれるものとする。本発明の範囲と精神から逸脱しない範囲の本発明の色々な修正および変更は当業者には明らかになるものであり、そして本発明は本明細書で述べられた例示態様に不当に限定はされないことを理解すべきである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の:
(a)第一表面と第二表面を有するブレンド・構成部材にして、次の
(i)第一の水素含有フルオロポリマー;および
(ii)1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する第一の実質的にフッ素化されていない重合体
を含んで成る該ブレンド・構成部材;並びに
(b)該ブレンド・構成部材の第一表面に接着した第二の実質的にフッ素化されていない重合体・構成部材
を含んで成る複合物品。
【請求項2】
成分(a)(i)がフルオロプラスチックである、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項3】
成分(a)(i)の第一フルオロポリマーが、フッ化ビニリデンを実質的に含んでいないフルオロポリマーから成る、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項4】
成分(a)(i)のフッ化ビニリデンを実質的に含んでいないフルオロポリマーが、(i)ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ素化ビニルエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれるフッ素含有単量体と、(ii)フッ素を含まない水素含有不飽和オレフィン共単量体と、随意成分としての(iii)ヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体との共重合単位から形成されている、請求の範囲第3項に記載の複合物品。
【請求項5】
フッ素を含まない水素含有不飽和オレフィン単量体が、エチレン、プロピレンおよびブタジエンから選ばれ、そしてヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体が、ブロモジフルオロエチレン、ブルモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレンおよび4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンから選ばれる、請求の範囲第4項に記載の複合物品。
【請求項6】
成分(a)(i)のフッ化ビニリデンを実質的に含んでいないフルオロポリマーが、テトラフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレン、フッ素化ビニルエーテル、エチレンおよびプロピレンから選ばれる少なくとも1種の他の単量体であるが、但し該他の単量体の少なくとも1種が水素を含有している該単量体との共重合単位から形成されているものである、請求の範囲第4項に記載の複合物品。
【請求項7】
成分(a)(i)が、フッ化ビニリデン単量体の共重合単位、または重合すると重合フッ化ビニリデンと同様の微細構造配列を形成する他の単量体との共重合単位から成る、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項8】
成分(a)(i)が、(i)フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、2−ヒドロペンタフルオロプロピレンの群から選ばれる少なくとも1種のフッ素含有単量体、および随意成分としての(ii)該単量体(i)と共重合可能な少なくとも1種の単量体から誘導される共重合単位のフルオロポリマーから成る、請求の範囲第7項に記載の複合物品。
【請求項9】
単量体(ii)が、(a)フッ素含有単量体、(b)フッ素を含まない不飽和オレフィン単量体、(c)ヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体、または(d)それらの組み合わせから選ばれる、請求の範囲第8項に記載の複合物品。
【請求項10】
(a)フッ素含有単量体が、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素含有ジオレフィンから選ばれ;
(b)フッ素を含まない不飽和オレフィン単量体が、エチレン、プロピレンおよびブタジエンから選ばれ;そして
(c)ヨウジッドまたはブロミド含有不飽和オレフィン単量体が、ブロモジフルオロエチレン、ブルモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレンおよび4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンから選ばれる請求の範囲第9項に記載の複合物品。
【請求項11】
成分(a)(ii)が、それらの炭素に結合した水素原子を、その10%未満がフッ素原子で置換された状態で含んでいる、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項12】
成分(a)(ii)が、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリケトン類、ポリ尿素類、ポリアクリレート類およびポリメタクリレート類から選ばれる、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項13】
成分(a)(ii)がエラストマーである、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項14】
成分(a)(ii)が一級のペンダントアミン基を有する、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項15】
ブレンド・構成部材が、約5〜約95%の第一フルオロポリマー、および約5〜約95%の、1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体を含んで成る、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項16】
ブレンド・構成部材が、約10〜約90%の第一フルオロポリマー、および約10〜約90%の、1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体を含んで成る、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項17】
ブレンド・構成部材が、約25〜約75%の第一フルオロポリマー、および約25〜約75%の、1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体を含んで成る、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項18】
付形されている、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項19】
ワイヤーコーティング、チューブ、容器、シート、ケーブルジャケットおよびフィルムの群から選ばれる、請求の範囲第18項に記載の複合物品。
【請求項20】
成分(b)が成分(a)(ii)の組成と同じまたは類似の組成を有する、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項21】
成分(b)が、ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリケトン類、ポリ尿素類、ポリアクリレート類およびポリメタクリレート類から選ばれる、請求の範囲第20項に記載の複合物品。
【請求項22】
成分(a)(ii)ポリアミド類、ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリオレフィン類、ポリスチレン類、ポリエステル類、ポリカーボネート類、ポリケトン類、ポリ尿素類、ポリアクリレート類およびポリメタクリレート類より成る群から選ばれる、1個または2個以上の一級または二級アミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体である、請求の範囲第20項に記載の複合物品。
【請求項23】
成分(a)(ii)および成分(b)がポリアミドである、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項24】
成分(b)がエラストマーである請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項25】
第二のフルオロポリマー・構成部材をブレンド・構成部材の第二表面に接着してさらに含む、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項26】
第二フルオロポリマーがフッ化ビニリデンを実質的に含んでいないフルオロポリマー成分から成る、請求の範囲第25項に記載の複合物品。
【請求項27】
第二フルオロポリマーが、(i)ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ素化ビニルエーテルおよびそれらの組み合わせから選ばれるフッ素含有単量体と、(ii)フッ素を含まない不飽和オレフィン共単量体と、随意成分としての(ii)ヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体との共重合単位から形成されている、請求の範囲第26項に記載の複合物品。
【請求項28】
フッ素を含まない不飽和オレフィン単量体が、エチレン、プロピレンおよびブタジエンから選ばれ、そしてヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体が、ブロモジフルオロエチレン、ブルモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレンおよび4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンから選ばれる、請求の範囲第27項に記載の複合物品。
【請求項29】
第二フルオロポリマー成分が、テトラフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレン、フッ素化ビニルエーテル、エチレンおよびプロピレンから選ばれる少なくとも1種の他の単量体との共重合単位から形成されている、請求の範囲第26項に記載の複合物品。
【請求項30】
第一および第二フルオロポリマーが同じまたは類似の組成を有する、請求の範囲第25項に記載の複合物品。
【請求項31】
成分の少なくとも1つに少なくとも1種の添加剤がさらに含まれている、請求の範囲第1項に記載の複合物品。
【請求項32】
第二フルオロポリマー成分が、フッ化ビニリデン単量体の共重合単位、または重合すると重合フッ化ビニリデンと同様の微細構造配列を形成する他の単量体の共重合単位を含んで成る、請求の範囲第25項に記載の複合物品。
【請求項33】
第二フルオロポリマーが、(i)フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、2−ヒドロペンタフルオロプロピレンの群から選ばれる少なくとも1種のフッ素含有単量体、および随意成分としての(ii)該単量体(i)と共重合可能な少なくとも1種の単量体から誘導される共重合単位のフルオロポリマーから成る請求の範囲第32項に記載の複合物品。
【請求項34】
単量体(ii)が、(a)フッ素含有単量体、(b)フッ素を含まない不飽和オレフィン単量体、(c)ヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体、または(d)それらの組み合わせから選ばれる、請求の範囲第33項に記載の複合物品。
【請求項35】
(a)フッ素含有単量体が、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素含有ジオレフィンから選ばれ;
(b)フッ素を含まない不飽和オレフィン単量体が、エチレン、プロピレンおよびブタジエンから選ばれ;そして
(c)ヨウジッドまたはブロミド含有不飽和オレフィン単量体が、ブロモジフルオロエチレン、ブルモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレンおよび4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンから選ばれる請求の範囲第34項に記載の複合物品。
【請求項36】
次の:
フルオロポリマーを含んで成る第一層;
次の:
(i)第一の水素含有フルオロポリマーと、
(ii)1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する第一の実質的にフッ素化されていない重合体
とのブレンドを含んで成る第二層;および
第二の実質的にフッ素化されていない重合体の層から成る第三層
を上記の順序で含んで成り、そして該第二層と該第一層との間の剥離強度値が第一層より成る構成部材と、1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する実質的にフッ素化されていない重合体より成る構成部材との間の剥離強度値より大きい多層複合物品。
【請求項37】
第一層および第二層のフルオロポリマーは同一でも異なるものであってもよく、そして次の:
(a)フッ化ビニリデン単量体の共重合単位、または重合すると重合フッ化ビニリデンと同様の微細構造配列を形成する他の単量体の共重合単位を含んで成るフルオロポリマー、および
(b)フッ化ビニリデンから誘導される共重合単位が実質的に含まれていないフルオロポリマーより成る群から選ばれる、請求の範囲第36項に記載の複合物品。
【請求項38】
第一および第二層のフルオロポリマーの内の少なくとも1つが、フッ化ビニリデンから誘導される共重合単位が実質的に含まれていないフルオロポリマーを含んで成る、請求の範囲第37項に記載の複合物品。
【請求項39】
第一および第二層のフルオロポリマーの内の少なくとも1つが、(i)ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ素化ビニルエーテルおよびそれらの組み合わせと、(ii)フッ素を含まない水素含有不飽和オレフィン共単量体と、随意成分としての(iii)ヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体との共重合単位から形成されている、請求の範囲第38項に記載の複合物品。
【請求項40】
フッ素を含まない水素含有不飽和オレフィン単量体が、エチレン、プロピレンおよびブタジエンから選ばれ、そしてヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体が、ブロモジフルオロエチレン、ブルモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレンおよび4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンから選ばれる、請求の範囲第39項に記載の複合物品。
【請求項41】
第一層および第二層のフルオロポリマーの内の少なくとも1つが、テトラフルオロエチレンと、ヘキサフルオロプロピレン、フッ素化ビニルエーテル、エチレンおよびプロピレンから選ばれる少なくとも1種の他の単量体であるが、但し該他の単量体の少なくとも1種が水素を含有してい該単量体との共重合単位から形成されている、請求の範囲第39項に記載の複合物品。
【請求項42】
第一層および第二層のフルオロポリマーの内の少なくとも1つが、フッ化ビニリデン単量体の共重合単位、または重合すると重合フッ化ビニリデンと同様の重合体配列を形成する1種または2種以上の他の単量体の共重合単位を含んで成る、請求の範囲第37項に記載の複合物品。
【請求項43】
第一層および第二層のフルオロポリマーの内の少なくとも1つが、(i)フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、1−ヒドロペンタフルオロプロピレン、2−ヒドロペンタフルオロプロピレンの群から選ばれる少なくとも1種のフッ素含有単量体と、随意成分としての(ii)該単量体(i)と共重合可能な少なくとも1種の単量体から誘導される共重合単位のフルオロポリマーから成る、請求の範囲第42項に記載の複合物品。
【請求項44】
単量体(ii)が、フッ素含有単量体、フッ素を含まない不飽和オレフィン単量体、ヨウ素または臭素含有不飽和オレフィン単量体またはそれらの組み合わせから選ばれる、請求の範囲第43項に記載の複合物品。
【請求項45】
(a)フッ素含有単量体が、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ素化ビニルエーテルおよびフッ素含有ジオレフィンから選ばれ;
(b)フッ素を含まない不飽和オレフィン単量体が、エチレン、プロピレンおよびブタジエンから選ばれ;そして
(c)ヨウジッドまたはブロミド含有不飽和オレフィン単量体が、ブロモジフルオロエチレン、ブルモトリフルオロエチレン、ヨードトリフルオロエチレンおよび4−ブロモ−3,3,4,4−テトラフルオロ−1−ブテンから選ばれる、請求の範囲第44項に記載の複合物品。
【請求項46】
請求の範囲第36項に記載の付形されている複合物品。
【請求項47】
ワイヤーコーティング、チューブ、容器、シート、ケーブルジャケットおよびフィルムの群から選ばれる、請求の範囲第46項に記載の付形された複合物品。
【請求項48】
層の少なくとも1つに少なくとも1種の添加剤がさらに含まれている、請求の範囲第36項に記載の付形された多層複合物品。
【請求項49】
次の:
(A)フッ素化されていない重合体・構成部材、(B)(i)第一の水素含有フルオロポリマーと、(ii)1個または2個以上の、一級または二級のペンダントアミン基を有する第一の実質的にフッ素化されていない重合体とのブレンド・構成部材を用意し、
フッ素化されていない該重合体・構成部材(A)を該ブレンド・構成部材(B)に接着する
工程を含んで成る、実質的にフッ素化されていない重合体・構成部材をフルオロポリマー含有ブレンド・構成部材に接着する方法。
【請求項50】
該ブレンド・構成部材(B)に追加のフルオロポリマー・構成部材(C)を接着するさらなる工程を含む、請求の範囲第49項に記載の方法。
【請求項51】
追加のフルオロポリマー・構成部材(C)をブレンド・構成部材(B)に接着する工程が、フッ素化されていない重合体・構成部材(A)をブレンド・構成部材(B)に接着するのと同時に行われる、請求の範囲第50項に記載の方法。
【請求項52】
追加のフルオロポリマー(C)、ブレンド(B)およびフッ素化されていない重合体(A)の少なくとも1つに少なくとも1種の添加剤がさらに含まれている、請求の範囲第50項に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−158890(P2010−158890A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298184(P2009−298184)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【分割の表示】特願平11−505538の分割
【原出願日】平成10年5月29日(1998.5.29)
【出願人】(398022165)ダイネオン エルエルシー (1)
【Fターム(参考)】