説明

フルオロポリマー基材を変性する方法およびそれによる複合品

フルオロポリマー基材は、式(I)


(式中、Rは、水素か、あるいは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基または6〜18個の炭素原子を有するアリール基、アルカリール基、またはアラルキル基を表し;Xは、OまたはNHを表し;R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立してH、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR、R1、R2、R3、およびR4のいずれか2つは一緒になって、2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表すが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つまたはR3およびR4の少なくとも1つはHでない)
を有する少なくとも1つの種を含む光化学的方法で変性される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フルオロポリマーは、概して、化学的および物理的に不活性なことで有名である。実際、それらの優れたバリヤ性および疎水性は、たとえば、モイスチャバリヤーおよび毒ガスバリヤー、防食コーティング、および焦げ付き防止コーティング等の用途に利用されてきた。一般的に使用されるフルオロポリマーの例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ二フッ化ビニリデン、および二フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンとのコポリマーなどが挙げられる。
【0002】
フルオロポリマー基材が、第2の非フッ素化基材に結合されている多層構造物は、様々な工業的用途を有する。このような構造物は、たとえば、燃料ライン用ホースおよび関連容器、化学処理用のホースおよびガスケット、ならびに保護用フィルムラミネートで有用である。しかし、フルオロポリマー表面は非粘着性であるため、このような複合品内の層間に十分な接着を得ることが困難である。
【0003】
フルオロポリマー基材への接着を改良するために、アルカリ金属還元等の激しい化学処理を使用して(たとえば、液体アンモニア中でアルカリ金属を使用するか、またはグリム中でナトリウム−ナフタレンを使用して)、および、ポリ二フッ化ビニリデンの場合には、相間移動触媒の存在下で、高濃度のアルカリ金属水酸化物溶液を使用して、このような基材の表面を変性することを含む、様々な従来の手法が使用されてきた。フルオロポリマー表面への接着を改良するための、その他のこれまでの方法としては、レーザー誘導表面変性および有機電子供与体(たとえば、第一級、第二級、または第三級アミン)の存在下での光化学還元等の、放射線処理方法などがある。
【0004】
フルオロポリマー基材の表面を変性するための上記方法はそれぞれ、たとえば、経費、臭気があるかまたは有毒な化学物質を使用する必要性、および/または処理中の色の形成(たとえば、黄色、橙色、暗褐色)等の不都合を有する可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
殊に比較的安価に、臭気のある化学物質なしで、かつ/または過剰な色形成を招かずに、実行することができるのであれば、フルオロポリマー基材の表面を非フッ素化基材に結合することが可能なように、フルオロポリマー基材の表面を変性するための新しい方法を有することが望ましいであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様において、本発明は、
少なくとも1つのフルオロポリマーを含む表面を有するフルオロポリマー基材を提供するステップと;
該表面の少なくとも一部を、
【化1】

(式中、
Rは、水素か、あるいは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基または6〜18個の炭素原子を有するアリール基、アルカリール基、またはアラルキル基を表し;
Xは、OまたはNHを表し;
1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR、R1、R2、R3、およびR4のいずれか2つは一緒になって、2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表すが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つまたはR3およびR4の少なくとも1つは、Hでない)
からなる群から選択される少なくとも1つの種を含む変性組成物と接触させるステップと;
該変性組成物に接触させた該表面の少なくとも一部を化学線に暴露するステップと;
該暴露させた表面を第2の基材に結合するステップと;
を含む、複合品を作製する方法を提供する。
【0007】
別の態様において、本発明は、
少なくとも1つのフルオロポリマーを含む表面を有するフルオロポリマー基材を提供するステップと;
該表面の少なくとも一部を、
【化2】

(式中、
Rは、水素か、あるいは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基または6〜18個の炭素原子を有するアリール基、アルカリール基、またはアラルキル基を表し;
Xは、OまたはNHを表し;
1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して、H、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR、R1、R2、R3、およびR4のいずれか2つは一緒になって、2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表すが、ただしR1およびR2の少なくとも1つまたはR3およびR4の少なくとも1つはHでない)
からなる群から選択される少なくとも1つの種を含む変性組成物と接触させるステップと;
該変性組成物に接触させた該表面の少なくとも一部を化学線に暴露するステップであって、該化学線は、該変性組成物を接触させる前に、該基材の少なくとも一部を通過する、ステップと;
を含む、フルオロポリマー基材の表面を変性する方法を提供する。
【0008】
また別の態様において、本発明は、
少なくとも1つのフルオロポリマーを含む表面を有するフルオロポリマー基材を提供するステップと;
該表面の少なくとも一部を、
【化3】

(式中、
Rは、水素か、あるいは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基または6〜18個の炭素原子を有するアリール基、アルカリール基、またはアラルキル基を表し;
Xは、OまたはNHを表し;
1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR、R1、R2、R3、およびR4のいずれか2つは一緒になって、2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表すが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つまたはR3およびR4の少なくとも1つは、Hでない)
からなる群から選択される少なくとも1つの種を含む変性組成物と接触させるステップと;
該変性組成物に接触させた該表面の少なくとも一部を化学線に暴露するステップと;
を含む、フルオロポリマー粒子の表面を変性する方法を提供する。
【0009】
本明細書で使用されるとき、用語:
「化学線」は、少なくとも200nmから320nmまで(320nmを含む)の範囲内の少なくとも1つの波長を有する電磁放射線を指し;
「デルタE*」は、量:
【数1】

(式中、
【数2】

【数3】

および
【数4】

は、該フルオロポリマー基材の暴露表面のCIE L***色座標であり、
【数5】

【数6】

および
【数7】

は、該フルオロポリマー基材の非暴露表面のCIE L***色座標である)を指す。概して、約2デルタE*単位未満の色差(Delta E*)は、目視観測で本質的に識別できない;
「フルオロポリマー」は、ポリマーの総重量を基準にして、少なくとも20重量%のフッ素を含むポリマーを指し;
「フルオロポリマー基材」は、少なくとも1つのフルオロポリマーを含む基材を指す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
フルオロポリマー基材は、1つ以上のフルオロポリマーを含み、概して1つ以上の表面を有する。有用なフルオロポリマーとしては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(たとえば、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル)、ポリフッ化ビニル、ポリ二フッ化ビニリデン、およびアルケン類(たとえば、エチレン、プロピレン、ブチレン、および1−オクテン)、クロロアルケン類(たとえば、塩化ビニルおよびテトラクロロエチレン)、クロロフルオロアルケン類(たとえば、クロロトリフルオロエチレン、3−クロロペンタフルオロプロペン、ジクロロジフルオロエチレン、および1,1−ジクロロフルオロエチレン)、フルオロアルケン類(たとえば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(すなわち、TFE)、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、2−ヒドロペンタフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロピレン(すなわち、HFP)、およびフッ化ビニル)、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル類(たとえば、CF3OCF2CF2CF2OCF=CF2);ペルフルオロアルキルビニルエーテル類(たとえば、CF3OCF=CF2およびCF3CF2CF2OCF=CF2)、米国特許第4,558,142号明細書(スクワイヤー(Squire))に記載のもの等のペルフルオロ−1,3−ジオキソール、フッ素化ジオレフィン(たとえば、ペルフルオロジアリルエーテルまたはペルフルオロ−1,3−ブタジエン)、およびそれらの組合せ等の1つ以上のエチレン性不飽和モノマーと、フッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、および/または二フッ化ビニリデン(すなわち、VDF)のコポリマーなどがある。
【0011】
該フルオロポリマーは、たとえば、ポリ二フッ化ビニリデン;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、および二フッ化ビニリデンのコポリマー(たとえば、ダイニオンLLC(Dyneon,LLC)により「THV」の商品名で販売されているもの);テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー;および他の溶融加工可能なフルオロプラスチック類;の場合のように、溶融加工可能であってもよく、あるいは、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、TFEおよび低レベルのフッ素化ビニルエーテル類のコポリマー、および硬化したフルオロエラストマーの場合のように、該フルオロポリマーは、溶融加工可能でなくてもよい。
【0012】
1つの有用なフルオロポリマーは、少なくともTFEおよびVDFに由来するモノマー単位を含み、そのVDF量は、少なくとも0.1、3、または10重量%であるが、15または20重量%未満であり、残りはTFE由来のモノマー単位である。
【0013】
有用なフルオロポリマーは、HFPモノマー単位およびVDFモノマー単位を有するコポリマー、たとえば、VDFモノマー単位の量は、少なくとも0.1、3、または10重量%であるが、15または20重量%未満であり、ポリマー重量の残りはHFPモノマー単位であるコポリマーを包含する。
【0014】
有用なフルオロポリマーはまた、HFP、TFE、およびVDF(すなわち、THV)のコポリマーも包含する。こうしたポリマーは、たとえば、少なくとも2、10、または20重量%から30、40、または50重量%までもの範囲のVDFモノマー単位、および少なくとも5、10、または15重量%から20、25、または30重量%までのもの範囲のHFPモノマー単位を有してもよく、該ポリマーの重量の残りはTFEモノマー単位である。市販のTHVポリマーの例としては、ダイニオンLLC(Dyneon,LLC)により、「ダイニオン(DYNEON)THV 2030G フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)」、「ダイニオン(DYNEON)THV 220 フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)」、「ダイニオン(DYNEON)THV 340C フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)」、「ダイニオン(DYNEON)THV 415 フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)」、「ダイニオン(DYNEON)THV 500A フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)」、「ダイニオン(DYNEON)THV 610G フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)」、または「ダイニオン(DYNEON)THV 810G フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)」の商品名で販売されているものなどがある。
【0015】
有用なフルオロポリマーはまた、エチレン、TFE、およびHFPのコポリマーも包含する。こうしたポリマーは、たとえば、少なくとも2、10、または20重量%から30、40、または50重量%までもの範囲のエチレンモノマー単位、および少なくとも5、10、または15重量%から20、25、または30重量%までもの範囲のHFPモノマー単位を有してもよく、該ポリマーの重量の残りはTFEモノマー単位である。このようなポリマーは、たとえば、ダイニオンLLC(Dyneon,LLC)により、「ダイニオン(DYNEON)フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)HTE」(たとえば、「ダイニオン(DYNEON)フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)HTE X 1510」または「ダイニオン(DYNEON)フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)HTE X 1705」)の商品名で販売されている。
【0016】
さらなる市販の二フッ化ビニリデン含有フルオロポリマーとしては、たとえば、以下の商品名を有するフルオロポリマーなどがある;ペンシルベニア州フィラデルフィアのアトフィナ(Atofina,Philadelphia,Pennsylvania)により販売されている「カイナー(KYNAR)」(たとえば、「カイナー(KYNAR)740」);ニュージャージー州モリスタウンのオーシモントUSA(Ausimont USA,Morristown,New Jersey)により販売されている「ハイラー(HYLAR)」(たとえば、「ハイラー(HYLAR)700」);およびダイニオンLLC(Dyneon,LLC)により販売されている「フルオレル(FLUOREL)」(たとえば、「フルオレル(FLUOREL)FC−2178」)。
【0017】
市販のフッ化ビニルフルオロポリマーとしては、たとえば、デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours & Company,Wilmington,Delaware)により「テドラー(TEDLAR)」の商品名で販売されているフッ化ビニルのホモポリマーなどがある。
【0018】
有用なフルオロポリマーはまた、テトラフルオロエチレンおよびプロピレン(TFE/P)のコポリマーも包含する。こうしたコポリマーは、たとえば、少なくとも20、30または40重量%から50、65、または80重量%までもの範囲のTFEモノマー単位を有してもよく、該ポリマー重量の残りはプロピレンモノマー単位である。このようなポリマーは、たとえば、ダイニオンLLC(Dyneon,LLC)により販売されている「アフラス(AFLAS)」(たとえば、「アフラスTFEエラストマー(AFLAS TFE ELASTOMER)FA 100H」、「アフラスTFEエラストマー(AFLAS TFE ELASTOMER)FA 150C」、「アフラスTFEエラストマー(AFLAS TFE ELASTOMER)FA 150L」、または「アフラスTFEエラストマー(AFLAS TFE ELASTOMER)FA 150P」)の商品名で、またはデラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours & Company,Wilmington,Delaware)により販売されている「ヴィトン(VITON)」(たとえば、「ヴィトン(VITON)VTR−7480」または「ヴィトン(VITON)VTR−7512」)の商品名で、商業的に入手できる。
【0019】
有用なフルオロポリマーはまた、エチレンおよびTFEのコポリマー(すなわち、「ETFE」)も包含する。こうしたコポリマーは、たとえば、少なくとも20、30または40重量%から50、65、または80重量%までもの範囲のTFEモノマー単位を有してもよく、該ポリマー重量の残りはプロピレンモノマー単位である。このようなポリマーは、ダイニオンLLC(Dyneon,LLC)により販売されている、たとえば、「ダイニオン(DYNEON)フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)ET 6210J」、「ダイニオン(DYNEON)フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)ET 6235」、または「ダイニオン(DYNEON)フルオロサーモプラスチック(FLUOROTHERMOPLASTIC)ET 6240J」の商品名で、商業的に得ることが可能である。
【0020】
フルオロポリマーは、たとえば、米国特許第4,338,237号明細書(ズルツバッハ(Sulzbach)ら)または米国特許第5,285,002号明細書(グロウタート(Grootaert))(それらの開示内容を、参照により本明細書に援用する)に記載のエマルジョン重合技術を使用して調製することができる。
【0021】
変性溶液と接触しているフルオロポリマー基材の表面に、有効量の化学線が到達することが可能な限り、フルオロポリマー基材は、任意の形態で(たとえば、フィルム、テープ、シート、ウェブ、ビーズ、粒子、または成形品または造形品として)提供されてもよい。該フルオロポリマー基材は、複数の層を有する複合フィルムを含んでもよい。
【0022】
該変性組成物は、
【化4】

(式中、Rは、水素か、あるいは少なくとも1個の炭素原子から、4、6、8個まで、または18個もの炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基、または6、10または12個の炭素原子から14、16個まで、または18個もの炭素原子を有するアリール基、アルカリール基、またはアラルキル基を表し;Xは、OまたはNHを表し;R1、R2、R3、およびR4はそれぞれ独立して、H、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基(たとえば、少なくとも1個の炭素原子から4、6、8個まで、または18個もの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル基)、1〜18個の炭素原子を有するアルケニル基(たとえば、少なくとも1個の炭素原子から4、6、8個まで、または18個もの炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルケニル基)、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR、R1、R2、R3、およびR4のいずれか2つは一緒になって、2、3、4、5または6個の炭素原子を有するアルキレン基を表すが、ただしR1およびR2の少なくとも1つまたはR3およびR4の少なくとも1つはHでない)からなる群から選択される少なくとも1つの種を含む。
【0023】
概して、低分子量種は、より高分子量の対応物より望ましい。これは、幾分は、低分子量種における発色団の重量分率が高いためであり、それらの物理的性質(たとえば、融点)のためでもある。
【0024】

【化5】

を有する種の例としては、アミド類、たとえばN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルベンズアミド、N−オクタデシル−N−メチルアセトアミド、N−フェニル−N−エチルアセトアミド、N−メチル−N−エチルヘキサンアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジイソプロピルホルムアミド、N,N−ジブチルホルムアミド、N,N−ジオクチルホルムアミド、N,N−ジヘキシルホルムアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチル−N−ビニルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、および1,1,3,3−テトラメチルグアニジン;ラクタム類たとえばN−メチルピロリドンおよびN−エチルカプロラクタム;ならびにカルボン酸類および脂環式アミン類から誘導されるアミド類たとえばN−アセチルピペリジン、およびN−プロピオニルピロリジン、1−ピロリジンカルボキシアルデヒド、1−メチル−2−ピロリジノン、および1−メチル−2−ピペリドンなどが挙げられる。
【0025】

【化6】

を有する種の例としては、非環式チオアミド類たとえばN,N−ジメチルチオアセトアミド、N−メチル−N−エチルチオヘキサンアミド、N,N−ジメチルチオホルムアミド、N,N−ジオクチルチオホルムアミド、N,N−ジヘキシルチオホルムアミド、N−オクタデシル−N−メチルチオアセトアミド、N−メチルチオアセトアミド、N−フェニル−N−エチルチオアセトアミド、およびN−N−ジエチルチオホルムアミド;チオラクタム類たとえばN−メチルチオピロリドンおよびN−エチルチオカプロラクタム;ならびにチオカルボン酸類および脂環式アミン類から誘導されるチオアミド類たとえばN−チオアセチルピペリジン、およびN−チオプロピオニルピロリジンなどが挙げられる。
【0026】

【化7】

を有する種の例としては、非環式種たとえばN,N,N’,N’−テトラメチルウレア、N,N,N’,N’−テトラメチルグアニジン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジエチルウレア、N,N’−ジメチル−N,N’−ジエチルウレア、N,N’−ジメチル−N,N’−ジエチルグアニジン、N−メチル−N−オクタデシル−N’,N’−ジプロピルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,1−ジメチルグアニジン、1,3−ジメチルウレア、1,3−ジメチルグアニジン、1,1−ジエチルウレア、および1,3−ジエチルウレア;および環式種たとえば、1−エチル−3−ヘキシルテトラヒドロピリミジン−2−オン、1,3−ジメチルテトラヒドロピリミジン−2−オン、1−フェニル−3−ヘキシルテトラヒドロピリミジン−2−オン、1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1−ブチル−3−ヘキシルテトラヒドロピリミジン−2−オンなどが挙げられる。
【0027】
該変性組成物は、化学線の非存在下で、該変性組成物および該フルオロポリマー基材の他成分と比べて不活性である溶剤を場合により含んでもよい。一般的に、このような溶剤は、化学線を顕著に吸収してはならない。溶剤の例としては、有機溶剤たとえば、アルコール類(たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、イソ−ブタノール)、ケトン類およびケトアルコール類(たとえば、アセトン、メチルエチルケトン、ジアセトンアルコール)、エステル類(たとえば、酢酸エチルおよび乳酸エチル);多価アルコール類(たとえば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、ヘキシレングリコール、グリセロール、グリセロールエトキシレート、およびトリメチロールプロパンエトキシレート)、低級アルキルエーテル類(たとえば、エチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルまたはエチルエーテル、およびトリエチレングリコールモノメチルまたはモノエチルエーテル)、およびそれらの組合せなどが挙げられる。該変性組成物は、たとえば、チキソトロープ剤、増粘剤、ゲル化剤、ラテックス粒子、線維、無機粒子、乳化可能相、織布または不織布、および/またはフルオロポリマーにグラフトすることが可能な求核種(すなわち、低電子密度領域への選択的吸引力を有する種)等の、任意の添加物を含んでもよい。求核種の例としては、水、水酸化物、アルコール類、アルコキシド類、シアン化合物、シアン酸化合物、ハロゲン化物(たとえば、塩化物、臭化物、ヨウ化物)などが挙げられる。
【0028】
溶剤が存在する場合、光化学的反応種の濃度は一般に、フルオロポリマー基材の化学線吸収および光化学的変性が起こることが可能なほど十分に高くなくてはならない。たとえば、光化学的に活性な種の濃度は一般に、光化学的に活性な種のモル吸収度が、200〜320nmの1つ以上の波長で少なくとも0.15であるように、十分に高くなくてはならない。さらに、場合により、該変性組成物は、化学線を吸収することができ(たとえば、芳香族アミン類)、また本発明を妨害する可能性がある、他の種を実質的に含んでいない(すなわち、0.1重量%以上含まない)ことが望ましいこともある。
【0029】
本発明の方法は一般に、比較的簡単な方法である。たとえば、変性組成物の調製は一般に、該成分を、かき混ぜながら、場合により加熱しながら、混合することを含む。該変性組成物は、浸漬または、たとえば、浸漬塗布、棒塗布、噴霧(インクジェットプリンティングを含む)、ロッド塗布、カーテン塗布、ナイフ塗布、ロール塗布、またはグラビア塗布等の、従来の塗布技術によって、該フルオロポリマー基材の表面と物理的に接触させることが可能である。
【0030】
光化学的に活性な種、溶剤、およびフルオロポリマー基材の選択によって、異なる表面変性物を得ることが可能である。
【0031】
一般的に、該化学線は、このような変性が15分未満、たとえば、10分未満、5分未満、または1分未満のうちに起こるように、十分な強度および波長を有する。
【0032】
有用な化学線源は、広範囲の波長にわたって電磁放射線を放射することが可能であり、本質的に化学線ではない波長(たとえば、320nmを超える波長)を含んでもよい。UVA放射線は一般に、先に定義されたような種
【化8】

により効果的に吸収されないため、該化学線源は、該化学線の最大スペクトルが290nm以下の波長に存在する、スペクトルエネルギー分布を有することが好ましい。適当な化学線源としては、水銀灯、たとえば、低圧水銀アークランプ(254nmで最強)および中圧水銀アークランプ;キセノンアークランプ、カーボンアークランプ;タングステンフィラメントランプ;レーザー、たとえば、エキシマレーザー;マイクロ波駆動ランプ(たとえば、メリーランド州ロックビルのフュージョンUVシステムズ(Fusion UV Systems of Rockville,Maryland)により販売されているもの(H型電球を含む));フラッシュランプ、たとえば、キセノンフラッシュランプなどがある。
【0033】
化学線への暴露期間は、吸収パラメータおよび使用される具体的な加工条件に応じて、約1秒未満から15分以上までであってもよい。該ポリマー基材は透明または半透明である、本発明の実施形態では、化学線を、該フルオロポリマー基材の少なくとも一部を通過することにより、変性組成物/フルオロポリマー基材接触面に有利に向けることが可能である。該化学線が、1平方センチメートル当たり10〜40ミリワット(10〜40ミリジュール/秒−cm2)のUVC強度レベルを有する低圧水銀灯により生成される、このような方法の場合、たいてい20秒未満の暴露時間が実現される。
【0034】
本方法は、該フルオロポリマー基材および該変性溶液を収容するのに適した任意の装置で行うことが可能である。該フルオロポリマー基材が、該変性溶液で容易に被覆されるのであれば、該被覆されたフルオロポリマー基材を、該化学線に直接暴露してもよい。
【0035】
透明または半透明のフルオロポリマー基材の場合には、該化学線は、該変性溶液を通過する前に該フルオロポリマー基材を通過させてもよい。
【0036】
フルオロポリマー基材表面の一部から化学線を遮蔽または遮断することにより(または収束ビーム、たとえば、レーザービームを使用することにより)、該ポリマー基材表面上に、変性表面および非変性表面からなるパターンを作り出すことが可能である。もちろん、該表面が化学線に暴露されなかった部分には、非変性表面が存在するであろう。
【0037】
本発明の幾つかの実施形態では、たとえば、同時プロセスまたは逐次プロセスを使用して、フルオロポリマー基材の複数の表面(たとえば、フルオロポリマーフィルムの反対側)を変性することが可能である。
【0038】
該フルオロポリマー基材の暴露表面の様々な程度の変性は、化学線の強度または暴露時間を変えることにより実現することが可能である。たとえば、該変性組成物の存在下で、化学線への暴露後は、23℃の脱イオン水との該表面の静的接触角は、化学線への暴露前の、23℃の脱イオン水との該表面の静的接触角より少なくとも10、20、30度、または少なくとも40度も小さい可能性がある。表面変性の程度は、減衰全内部反射赤外分光法および化学分析用電子散乱(ESCA)、ならびに接触角測定を含むがその限りではない、様々な従来の表面解析技術で測定することが可能である。
【0039】
好都合なことに、本発明による方法は一般に、環境温度でまたは環境温度付近で実行することが可能であるが、より高温または低温も使用することが可能である。さらに、本発明の方法は一般に、有機第三級アミンを使用する方法より低臭性および低い色生成を特長とする。したがって、有用な程度の表面変性は一般に、肉眼で観察可能な色変化を殆どまたは全く伴わずに、本発明によって実現することが可能であり、一般的に3、2デルタE*以下、または1デルタE*未満のCIE L***の色変化に対応する。
【0040】
パターン付の表面変性は、たとえば、該ポリマー基材表面の異なる部分の上方に異なる強さの化学線が得られるように、化学線またはレーザー書き込みを画像状にフィルター操作することによって、得ることが可能である。
【0041】
本発明の様々な態様に従って変性された表面を有するフルオロポリマー基材は、たとえば、生物活性分子、無電解メッキされた金属薄膜、および接着剤(感圧接着剤を含む)等の、様々な種を結合または吸収するために使用することが可能である。該化学線の一部を遮蔽することにより、本発明の方法を使用して、該ポリマー基材上に、画像様式でパターンを作り出すことが可能なため、本発明は、印刷工程、および電子物品の製造で、有用である。
【0042】
該フルオロポリマー基材の表面をいったん変性したら、それを第2の基材に結合することが可能である。このような結合は、たとえば、糊(glue)または接着剤(adhesive)(たとえば、感圧、熱硬化性、ホットメルト)を使用して、かつ/または従来の方法を使用し、加圧下および/または加熱しながら積層することによって行うことができ、複合品100は、任意の接着剤層150および第2の基材130の表面140と接触する、変性された表面160を有するフルオロポリマー基材120を含む、図面に示すような複合品を得ることができる。
【0043】
結合に適した熱源としては、たとえば、炉、ホットローラー、ヒートプレス、赤外光源、火炎等々がある。結合に適した圧力は、たとえば、プレス、ニップローラー、等々により提供することが可能である。熱および圧力の必要量は、結合される具体的な材料によって異なり、一般的に経験的方法で容易に決定される。
【0044】
場合により、変性されたポリマー基材の表面を結合前にすすぐことが望ましいこともある。すすぎは、フルオロポリマー基材に直接結合されず、観測される接着の低下を引き起こす可能性がある、変性溶液からのあらゆる成分を除去する。
【0045】
第2の基材は、有機物であっても無機物であってもよく、ポリマー(たとえば、本明細書に上述されているもの等のフッ素化ポリマーまたは非フッ素化ポリマー)、金属、ガラス、他の固体材料、またはそれらの組合せを含んでもよい。たとえば、該第2の基材は、ポリマーフィルムであってもよく、その表面上に強い接着の形成に役立つ極性基を有していてもよい。極性基は、たとえば、コロナ処理および/または化学的改質を含む従来の技術で導入することが可能である。
【0046】
非フッ素化ポリマーの例としては、熱可塑性ポリマーたとえばポリアミド類;ポリオレフィン類;ポリエーテル類;ポリウレタン類;ポリエステル類;ポリイミド類;ポリスチレン類;ポリカーボネート類;ポリケトン類;ポリ尿素類;アクリル類;およびエラストマーたとえばアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、ブタジエンゴム、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、クロロプレン、エチレン−プロピレンモノマー(EPM)ゴム、エチレン−プロピレン−ジエンモノマー(EPDM)ゴム、エピクロロヒドリン(ECO)ゴム、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリスルフィド、ポリウレタン、シリコーンゴム、ポリ塩化ビニルおよびNBRの配合物、スチレンブタジエン(SBR)ゴム、エチレン−アクリレートコポリマーゴム、およびエチレン−酢酸ビニルゴム;および前述の組合せなどが挙げられる。
【0047】
有用なポリアミドとしては、たとえば、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)により「ナイロン(NYLON)」の商品名で販売されているもの(たとえば、「ナイロン(NYLON)−6」、「ナイロン(NYLON)−6,6」、「ナイロン(NYLON)−11」、「ナイロン(NYLON)−12」、「ナイロン(NYLON)−6,12」、「ナイロン(NYLON)−6,9」、「ナイロン(NYLON)−4」、「ナイロン(NYLON)−4,2」、「ナイロン(NYLON)−4,6」、「ナイロン(NYLON)−7」、「ナイロン(NYLON)−8」、「ナイロン(NYLON)−6,T」、「ナイロン(NYLON)−6,1」);ニュージャージー州サマセットのクレノバ(Creanova,Somerset,New Jersey)により「ベスタミド(VESTAMID)」の商品名で販売されているもの(たとえば、「ベスタミド(VESTAMID)L2140」);およびポリエーテル含有ポリアミドたとえばペンシルベニア州フィラデルフィアのアトフィナ(Atofina,Philadelphia,Pennsylvania)により「ペバックス(PEBAX)」の商品名で販売されているものなどがある。
【0048】
有用なポリウレタンとしては、脂肪族、脂環式、芳香族、および多環式ポリウレタン類などがある。こうしたポリウレタン類は一般に、従来の反応機構による多官能イソシアネートとポリオールとの反応により製造される。ポリウレタンの製造における使用に有用なジイソシアネートとしては、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートなどがある。1つ以上の多官能イソシアネートの組合せを使用してもよい。有用なポリオール類としては、ポリ(アジピン酸ペンチレン)ジオール、ポリテトラメチレンエーテルジオール、ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール、ポリ−1,2−ブチレンオキシドグリコール、およびそれらの組合せなどがある。鎖延長剤、たとえばブタンジオールまたはヘキサンジオールもまた、該反応で使用することが可能である。有用な市販のウレタンポリマーとしては、たとえば、ニューハンプシャー州シーブルックのモートン・インターナショナル(Morton International,Seabrook,New Hampshire)により「モーセイン(MORTHANE)」の商品名で販売されているもの(たとえば、「モーセイン(MORTHANE)L424.167」(メルト・フロー・インデックス=9.7)、「モーセイン(MORTHANE)PN−04」、および「モーセイン(MORTHANE)3429」)、およびオハイオ州クリーブランドのビー・エフ・グッドリッチ・カンパニー(B.F.Goodrich Company,Cleveland,Ohio)により「X−4107」の商品名で販売されているものなどがある。
【0049】
有用なポリオレフィンとしては、たとえば、エチレン、プロピレン、等々のホモポリマー、ならびにこれらのモノマーと、たとえば、アクリルモノマーおよび他のエチレン性不飽和モノマー、たとえば酢酸ビニルおよび高級アルファオレフィン類とのコポリマーなどがある。このようなポリマーおよびコポリマーは、このようなエチレン性不飽和モノマーの従来の遊離基重合また触媒反応によって調製することが可能である。該ポリマーの結晶化度は様々であってもよい。該ポリマーは、たとえば、半結晶性高密度ポリエチレンであってもよく、エチレンおよびプロピレンの弾性コポリマーであってもよい。官能モノマー、たとえばアクリル酸または無水マレイン酸を重合または共重合することによって、または重合後にポリマーを変性することによって、たとえば、グラフトにより、酸化により、またはアイオノマーを形成することにより、カルボン酸、無水物、またはイミド官能基を、ポリマーに組み入れることが可能である。例としては、酸変性エチレンアクリレートコポリマー、無水物変性エチレン酢酸ビニルコポリマー、無水物変性ポリエチレンポリマー、および無水物変性ポリプロピレンポリマーなどが挙げられる。このようなポリマーおよびコポリマーは、たとえば、デラウェア州ウィルミントンのデュポン・ダウ・エラストマーズLLC(DuPont Dow Elastomers,LLC,Wilmington,Delaware)により「エンゲージ(ENGAGE)」の商品名で;テキサス州ハウストンのエクソンモービル・ケミカル・カンパニー(Exxonmobil Chemical Company,Inc.,Houston,Texas)により、「イグザクト(EXACT)」の商品名で;E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)により「バイエル(BYNEL)」の商品名で、販売されている。
【0050】
有用なアクリル類としては、たとえば、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリルアミド、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、およびそれらの組合せのホモポリマーおよびコポリマーなどがある。
【0051】
有用なポリカーボネートとしては、たとえば、ポリエステルカーボネート、ポリエーテルカーボネート、およびビスフェノールA誘導ポリカーボネート等の、脂肪族ポリカーボネート類などがある。
【0052】
有用なポリイミドとしては、たとえば、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)により「カプトン(KAPTON)」の商品名(たとえば、「カプトン(KAPTON)H」、「カプトン(KAPTON)E」、および「カプトン(KAPTON)V」)で販売されている、ピロメリット酸の無水物および4,4’−ジアミノジフェニルエーテルから作られるポリイミドポリマーなどがある。
【0053】
市販されている非フッ素化ポリマーのさらなる例としては、ポリエステル類、たとえばE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)により「シーラー(SELAR)」の商品名で販売されているもの;コネチカット州フェアフィールドのジェネラル・エレクトリック・カンパニー(General Electric Company,Fairfield,Connecticut)により「レキサン(LEXAN)」の商品名で販売されているポリカーボネート類;イリノイ州シカゴのアモコ・コーポレーション(Amoco Corporation,Chicago,Illinois)により販売されている「カデル(KADEL)」の商品名を有するポリケトン類;およびミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル・カンパニー(Dow Chemical Company,Midland,Michigan)により「スペクトリム(SPECTRIM)」の商品名で販売されているポリ尿素などが挙げられる。
【0054】
市販されているエラストマーの例としては、ケンタッキー州ルイビルのゼオン・ケミカル(Zeon Chemical,Louisville,Kentucky)により、「ニポール(NIPOL)」(たとえば、「ニポール(NIPOL)1052 NBR」)、「ヒドリン(HYDRIN)」(たとえば、「ヒドリン(HYDRIN)C2000」)、および「ゼットポール(ZETPOL)」の商品名で;E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)により、「ヒパロン(HYPALON)」(たとえば、「ヒパロン(HYPALON)48」)および「バマック(VAMAC)」の商品名で;コネチカット州ノーウォークのアール・ティ・ヴァンダービルト・カンパニー(R.T.Vanderbilt Company,Norwalk,Connecticut)により、「ノーデルEPDM(NORDEL EPDM)」の商品名で;ペンシルベニア州ピッツバーグのバイエル・コーポレーション(Bayer Corporation,Pittsburgh,Pennsylvania)により、「クリナク(KRYNAC)」、「パーブナン(PERBUNAN)」および「サーバン(THERBAN)」の商品名で;オハイオ州アクロンのアドバンスト・エラストマー・システムズ(Advanced Elastomer Systems,Akron,Ohio)により、「サントプレン(SANTOPRENE)」の商品名で;ルイジアナ州アディスのディ・エス・エム・エラストマーズ・アメリカンズ(DSM Elastomers Americas,Addis,Louisiana)により、「ケルタン(KELTAN)」の商品名で;販売されているものなどが挙げられる。
【0055】
変性された表面を有するフルオロポリマー基材は、たとえば、マイクロ流体デバイス(たとえば、ラブ・オン・チップ)の製造で、電子ディスプレイ(たとえば、LEDディスプレイ、LCDディスプレイ)用保護フィルムとして、生物活性分子を固定するために、および柔軟回路の製造で(たとえば、画像状に変性されたフルオロポリマー基材表面のメタライゼーションによる)、使用することが可能である。
【0056】
本発明の目的および利点を、以下の非限定的実施例でさらに説明するが、これらの実施例に列挙された個々の材料およびその量、ならびに他の条件および詳細が、本発明を不当に限定すると解釈してはならない。
【実施例】
【0057】
他に記載されていない限り、実施例で使用される全ての試薬は、ミズーリ州セントルイスのシグマ・アルドリッチ・カンパニー(Sigma−Aldrich Company,Saint Louis,Missouri)等の、一般的な化学製品供給業者から得たか、または入手することができるか、あるいは従来の方法で合成することが可能である。MC−1からMC−15までの変性用化合物は、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company,Milwaukee,Wisconsin)から入手した。
【0058】
実施例の中で:
「B−1」は、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)から得られる「バイネル(BYNEL)3101」という商品名を有する酸変性エチレン−酢酸ビニルコポリマーの、厚さ0.4〜0.5mmのホットプレスフィルムを指し;
「FP−1」は、ダイニオンLLC(Dyneon,LLC)から「フェップ(FEP)X 6307」という商品名で得られる、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー(メルト・フロー・インデックス=7)の、厚さ0.3mmの押出フィルムを指し;
「FP−2」は、73.0重量%のTFE、11.5重量%のHFP、11.5重量%のVDF、および4.0重量%のペルフルオロプロピルビニルエーテルのコポリマーの、厚さ0.4〜0.5mmの押出フィルム(融点Tm=222℃、メルト・フロー・インデックス=4.8)を指し;概して、米国特許第6,242,548号明細書(デュチェスネ(Duchesne)ら)の手順にしたがって調製され;
「FP−3」は、E.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company)から「テフロン(登録商標)(TEFLON(登録商標))」の商品名で得られる、ポリ(テトラフルオロエチレン)フィルム(0.3mm)を指し;
「MC−1」は、N,N−ジメチルホルムアミド(カタログ番号15,481−4)を指し;
「MC−2」は、N,N−ジメチルアセトアミド(カタログ番号15,480−6)を指し;
「MC−3」は、N,N−ジイソプロピルホルムアミド(カタログ番号22,625−4)を指し;
「MC−4」は、1−ピロリジンカルボキシアルデヒド(カタログ番号16,639−1)を指し;
「MC−5」は、N,N−ジメチルプロピオンアミド(カタログ番号25,287−5)を指し;
「MC−6」は、N−メチル−N−ビニルアセトアミド(カタログ番号25,513−0)を指し;
「MC−7」は、N−メチルホルムアニリド(カタログ番号M4,680−2)を指し;
「MC−8」は、1−メチル−2−ピロリジノン(カタログ番号44,377−8)を指し;
「MC−9」は、N,N−ジブチルホルムアミド(カタログ番号D4,690−4)を指し;
「MC−10」は、N,N−ジメチルチオホルムアミド(カタログ番号16,364−3)を指し;
「MC−11」は、1,1,3,3−テトラメチルグアニジン(カタログ番号24,176−8)を指し;
「MC−12」は、2−ピロリジノン(カタログ番号24,033−8)を指し;
「MC−13」は、1,1−ジエチルウレア(カタログ番号25,945−4)を指し;
「MC−14」は、1,1−ジメチルウレア(カタログ番号26,139−4)を指し;
「MC−15」は、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,4−フェニレンジアミン(カタログ番号16,020−2)を指し;
「N−1」は、ニュージャージー州サマセットのクレノバ社(Creanova,Inc.,Somerset,New Jersey)から「ベスタミド(VESTAMID)L2140」という商品名で得られる、ビカット(Vicat)軟化点140℃を有する、ナイロン(NYLON)−12の、厚さ0.3mmのホットプレスフィルムを指す。
【0059】
光化学的に変性されたフルオロポリマーフィルムを作製するための一般手順
1インチ(2.5cm)×2インチ(5.1cm)の寸法を有するフルオロポリマーフィルム(たとえばFP−1またはFP−2)2片を作製した。変性組成物1滴を、該フルオロポリマーフィルムの第1片の中央に置く。フルオロポリマーフィルムの第2片を、第1片のフィルムおよびプライマーの上に載せ、該2つのフィルム片を手でしっかり押さえて、2片のフルオロポリマーフィルムの間に変性組成物層が挟まれた複合構造物を形成した。
【0060】
結果として得られた複合構造物を、表示の条件で化学線に暴露し、次いで該2片のフルオロポリマーフィルムを分離し、蒸留水ですすぎ、風乾させて、各片が光化学的に変性した表面を1つ有する、2片の光化学的に変性したFP−1を形成した。表示されている以外は、以下の実施例で、変性組成物をニートで使用した。
【0061】
N−1およびB−1フィルムの作製
N−1、または代わりにB−1のポリマー顆粒(30g)を、2枚のポリ(テトラフルオロエチレン)シートの間に置き、200℃で2〜3分間、軟化させ、次いで油圧プレスの(200℃に加熱した)2枚のプレートの間で、約5〜10秒間、1.03メガパスカルの圧力で圧迫した。結果として得られた熱ラミネートフィルム・アセンブリを、水冷金属圧板(13〜15℃)と密接に接触させて置くことにより、直ちに冷却した。次いで、該冷却したラミネートフィルム・アセンブリを、室温まで徐々に温め、ポリ(テトラフルオロエチレン)シートを除去して、それぞれ1.5mmの厚さを有する、N−1またはB−1のフィルムを得た。
【0062】
T剥離テスト
ラミネートフィルムテスト試料の剥離強さは、一般に、D1876−01(2001)「接着剤の耐剥離性のための標準テスト方法(T−剥離テスト)」に従って測定した。試験するラミネートフィルム構造物を、幅1インチ(2.54cm)×長さ約2〜2.5インチ(5×6.3cm)の試料に切断した。クロスヘッド速度100mm/分のモデル1125テスター(マサチューセッツ州カントンのインストロン・コーポレーション(Instron Corporation,Canton,Massachusetts)から販売されている)をテスト装置として使用した。該試料のラミネートフィルムを分離するとき、該ストリップの真ん中80%の平均剥離強さを測定した。クロスヘッド移動の最初の10%の距離および最後の10%の距離からの値は除外した。該ラミネートフィルムの一方が裂けた場合(すなわち、結合接触面でフィルムが分離しなければ)平均剥離強さの代わりに、剥離強さのピーク値を使用した。試料の幅で割った、各T剥離テスト中に測定された平均負荷として算出し、報告する、試料の幅で割ったT剥離強さ(ニュートン(Newtons)/試料幅メートル(N/m)で報告)は、同一テスト試料から得た少なくとも2つの測定値の平均を表す。
【0063】
水との静的接触角を測定するための一般手順
マサチューセッツ州ビルリカのASTプロダクツ社(AST Products,Inc.,Billerica,Massachusetts)から販売されている、商品名「VCA−2500XE」を有するビデオ接触角アナライザーを使用して、脱イオン水(抵抗>18.1メガオーム)との静的接触角を23℃で測定した。5μlの水滴を各測定に使用した。表1に報告した接触角測定値は、反対側の少なくとも3滴の測定値の平均を示す。接触角測定値の不確実性を、±1度と推定した。
【0064】
ESCA分析
以下に報告するESCA分析は、非単色化Al源を備えたツイン・アナライザー(twin−analyzer)ESCA装置を使用して獲得し;特に明記されていない限り、光電子放出は、表面法線に関して45度の散乱角で検出した。結果は、分析した表面の%原子含量(すなわち、原子総数に対する表示された原子の割合(パーセンテージ))に関して報告する。
【0065】
測色
カナダのオンタリオ州ピカリングのプリズム・インストゥルメンツ(Prism Instruments,Pickering,Ontario,Canada)から「カラー・アイ(COLOR−EYE)2180」の商品名で入手できる色分析器を使用して、色を測定した。塗装した白色ステンレススチール・クーポン(L*=92.281、a*=−1.490、b*=0.884)を、測定用のバックグラウンドとして使用した。これらの実施例の透明サンプルを、該クーポン上にテープで貼った。色は、光源に面しているフルオロポリマーフィルム側で測定した。該機器を、黒色較正標準および白色較正標準に標準化した。色は、上文に記載した標準的なCIE L、a*、b*単位で表した。
【0066】
比較例1
光化学的に変性したFP−1片を、コネチカット州ダンベリーのエレクトロ・ライト・コーポレーション(Electro−lite Corporation,Danbury,Connecticut)から「ELC4001ライト・キュアリング・ユニット(LIGHT CURING UNIT)」の商品名で得られる、400ワット中圧水銀灯の24cm下方に10分間、置いた。照射表面の静的接触角は、水との静的接触角を測定するための一般手順に従って測定し、ESCAでも分析した。結果を表1に報告する。
【0067】
実施例1
FP−1片は、光化学的に変性されたフルオロポリマーフィルムを作製するための一般手順に従い、MC−1を変性組成物として使用して、光化学的に変性した。複合構造物を、比較例1で使用した条件と同一条件で、化学線に暴露した。結果として得られた、FP−1フィルムの光化学的に変性された表面に関する、水との静的接触角測定値およびESCA分析結果を表1(以下)に報告する。
【0068】
【表1】

【0069】
実施例2〜25
表2に報告されている変性組成物、温度、および化学線暴露条件を使用して、フルオロポリマーフィルム(すなわち、FP1またはFP2)片(2.0インチ×1.0インチ)(5.1cm×2.5cm))を、光化学的に変性されたフルオロポリマーフィルムを作製するための一般手順に付した。化学線への暴露は、ニューヨーク州スケネクタディのジェネラル・エレクトリック・カンパニー(General Electric Company,Schenectady,New York)から「GEジャーミサイダル・ランプ(GERMICIDAL LAMP)G15T8」の商品名で得られる、ランプとランプの間に2インチの間隔をあけて、並列配列として配置された、6個一揃いの15ワット管状殺菌灯から5cmの距離に、被覆されたサンプルを置くことにより実行した。
【0070】
T−剥離テストの場合、試験される、それぞれの光化学的に変性されたフルオロポリマーフィルム片を、以下の一般手順を使用して、第2のポリマーフィルム(すなわち、表2に表示されているN−1またはB−1)の各片(2.0インチ×1.0インチ(5.1cm×2.5cm)に貼り合わせた:該フルオロポリマーフィルムを、第2のポリマーフィルム上に重ね合わせ、T−剥離テストに役立つように非結合タブを提供するために、ポリテトラフルオロエチレン被覆繊維シートのストリップを、短端に沿って約0.6cm、試験するフルオロポリマーフィルムと第2のポリマーフィルムとの間に挿入した。次いで、加熱した油圧プレスの加熱した圧板の間で、圧力150psi(1.03メガパスカル)、200℃で2分間、シートを加熱することによって、結果として得られた多層フィルム・アセンブリを貼り合わせた。次いで、結果として得られた熱ラミネート・アセンブリを、水冷金属圧板(13〜15℃)と密接に接触させて置くことにより、直ちに冷却した。次いで、該ラミネート・アセンブリを、室温まで徐々に温め、該ラミネート・アセンブリを、T−剥離テストに従ってテストした。
【0071】
上文に示した通りに作製された、非フッ素化材料(すなわち、N−1またはB−1)のフィルムを、該フルオロポリマーフィルムの光化学的に変性された表面に接触させて置いた。フィルム・アセンブリの一端におけるラミネーションを防止し、それによってT−剥離テストで使用するためのタブを提供するために、小さいシリコーン剥離ライナー片を、該フルオロポリマーフィルムと該非フッ素化フィルムの間の一端に置いた(およそ1cmの重なり)。該フィルム構造物を、圧力1.03メガパスカル、200℃のホットプレスに2分間入れ、次いでこれを、冷却した圧板(13℃〜15℃)と接触させて置くことにより、直ちに冷却した。冷却されたフィルム構造物を室温まで温め、T−剥離テストに付した。T−剥離強さを、表2(以下)に報告する。
【0072】
【表2】

【0073】
実施例29〜35
実施例29〜35は、表3に表示されている変性組成物および照射時間を使用し、実施例2で使用した6個一揃いの15ワット殺菌灯の代わりに、該複合構造物から24cmの距離に位置する、コネチカット州ダンベリーのエレクトロ・ライト・コーポレーション(Electro−lite Corporation,Danbury,Connecticut)から「ELC4001ライト・キュアリング・ユニット(LIGHT CURING UNIT)」の商品名で得られる、400ワット中圧水銀灯の光熱出力に該フィルムを暴露したこと以外は、実施例2の手順に従って作製した。
【0074】
【表3】

【0075】
実施例36〜38および比較例2〜7
実施例36〜38は、表4に表示されている変性用化合物および暴露条件を使用したこと以外は実施例2の手順に従って作製した。非変性フルオロポリマーフィルム(すなわち、比較例2、4、および6)および光化学的に変性されたフィルムのCIE L***色座標を表4(以下)に報告する。
【0076】
【表4】

【0077】
実施例39〜49および比較例8
表5に表示されている変性組成物をMC−1の代わりに使用したこと以外は、実施例36を繰り返した。変性されたフィルム片の視覚的に観測された色を、表5(以下)に報告する。
【0078】
【表5】

【0079】
本発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者によって、本発明の様々な予測不可能な変更および改変が行われる可能性があり、本発明は、本明細書に記載の例示的実施形態に不当に限定されないことを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明による典型的な複合品の断面側面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのフルオロポリマーを含む表面を有するフルオロポリマー基材を提供するステップと;
前記表面の少なくとも一部を、
【化1】

(式中、
Rは、水素か、あるいは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基または6〜18個の炭素原子を有するアリール基、アルカリール基、またはアラルキル基を表し;
Xは、OまたはNHを表し;
1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR、R1、R2、R3、およびR4のいずれか2つは一緒になって、2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表すが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つまたはR3およびR4の少なくとも1つは、Hでない)
からなる群から選択される少なくとも1つの種を含む変性組成物と接触させるステップと;
前記変性組成物に接触させた前記表面の少なくとも一部を化学線に暴露するステップと;
前記暴露表面を第2の基材に結合するステップと;
を含む、複合品を作製する方法。
【請求項2】
前記暴露表面を結合する前に、前記暴露表面から前記変性組成物を少なくとも部分的に除去することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Rは、水素か、あるいは1〜6個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表し、各R1およびR2は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR1およびR2は一緒になって、4〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Rは、水素を表し、各R1およびR2はそれぞれ独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表すか、またはR1およびR2は一緒になって、2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基を表す、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記変性組成物は、式:
【化2】

を有する少なくとも1つの化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
1およびR2は、メチルを表し、Rは、Hを表す、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記変性組成物は、式:
【化3】

を有する少なくとも1つの化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記変性組成物は、式:
【化4】

を有する少なくとも1つの化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記暴露表面の色は、2デルタE*以下だけ変化する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
化学線への暴露後、23℃の脱イオン水との前記表面の静的接触角は、化学線への暴露前の、23℃の脱イオン水との前記表面の静的接触角より少なくとも40度小さい、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記化学線は、前記変性組成物と接触する前に、前記基材の少なくとも一部を通過する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記変性組成物は、溶剤をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記化学線の前記スペクトルエネルギー最大は、290nm未満の波長でである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記基材は、フィルムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法に従って変性された表面を有するフルオロポリマー基材。
【請求項16】
結合は、接着を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
結合は、熱および圧力の少なくとも1つの存在下でのラミネーションを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記第2の基材は、ガラスまたは金属の少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記第2の基材は、少なくとも1つの熱可塑性ポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記熱可塑性ポリマーは、ポリアミドまたは酸変性エチレン−酢酸ビニルコポリマーの少なくとも1つを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2の基材は、フィルムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の方法で作製される、複合品。
【請求項23】
少なくとも1つのフルオロポリマーを含む表面を有するフルオロポリマー基材を提供するステップと;
前記表面の少なくとも一部を、
【化5】

(式中、
Rは、水素か、あるいは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基または6〜18個の炭素原子を有するアリール基、アルカリール基、またはアラルキル基を表し;
Xは、OまたはNHを表し;
1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR、R1、R2、R3、およびR4のいずれか2つは一緒になって、2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表すが、ただし、R1およびR2の少なくとも1つまたはR3およびR4の少なくとも1つは、Hでない)
からなる群から選択される少なくとも1つの種を含む変性組成物と接触させるステップと;
前記変性組成物に接触させた前記表面の少なくとも一部を化学線に暴露するステップであって、前記化学線は、前記変性組成物を接触させる前に、前記基材の少なくとも一部を通過する、ステップと;
を含む、フルオロポリマー基材の表面を変性する方法。
【請求項24】
Rは、水素か、または1〜6個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基を表し、各R1およびR2は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基、1〜4個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR1およびR2は一緒になって、4〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表す、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
Rは、水素を表し、各R1およびR2は独立して、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基を表すか、またはR1およびR2は一緒になって、2〜4個の炭素原子を有するアルキレン基を表す、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記変性組成物は、式:
【化6】

を有する少なくとも1つの化合物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
1およびR2は、メチルを表し、Rは、Hを表す、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記変性組成物は、式:
【化7】

を有する少なくとも1つの化合物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項29】
前記変性組成物は、式:
【化8】

を有する少なくとも1つの化合物を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項30】
前記暴露表面の色は、2デルタE*以下だけ変化する、請求項23に記載の方法。
【請求項31】
化学線への暴露後、23℃の脱イオン水との前記表面の前記静的接触角は、化学線への暴露前の、23℃の脱イオン水との前記表面の前記静的接触角より少なくとも40度小さい、請求項23に記載の方法。
【請求項32】
前記変性組成物は、溶剤をさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項33】
前記化学線の前記スペクトルエネルギー最大は、290nm未満の波長でである、請求項23に記載の方法。
【請求項34】
前記基材は、フィルムを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項35】
請求項23に記載の方法に従って変性された表面を有する、フルオロポリマー基材。
【請求項36】
少なくとも1つのフルオロポリマーを含む表面を有するフルオロポリマー基材を提供するステップと;
前記表面の少なくとも一部を、
【化9】

(Rは、水素か、あるいは1〜18個の炭素原子を有するアルキル基またはシクロアルキル基または6〜18個の炭素原子を有するアリール基、アルカリール基、またはアラルキル基を表し;
Xは、OまたはNHを表し;
1、R2、R3、およびR4は、それぞれ独立して、H、1〜18個の炭素原子を有するアルキル基、1〜18個の炭素原子を有するアルケニル基、6〜10個の炭素原子を有するアリール基を表すか、またはR、R1、R2、R3、およびR4のいずれか2つは一緒になって、2〜6個の炭素原子を有するアルキレン基を表すが、ただしR1およびR2の少なくとも1つまたはR3およびR4の少なくとも1つは、Hでない)
からなる群から選択される少なくとも1つの種を含む変性組成物と接触させるステップと;
前記変性組成物に接触させた前記表面の少なくとも一部を化学線に暴露するステップと;
を含む、フルオロポリマー粒子の表面を変性する方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2007−527333(P2007−527333A)
【公表日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537990(P2006−537990)
【出願日】平成16年9月20日(2004.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/030654
【国際公開番号】WO2005/047373
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】