説明

フレキシブルプリント基板のガイド装置

【課題】FPCを内包する筐体の大型化を招くことなくFPCの変位に伴うFPC及びFPCの周囲の構成に対する破損等の悪影響を抑止する。
【解決手段】フレキシブルプリント基板(FPC)のガイド装置10は、FPC2の変位に応じて回転するギヤ部11及びローラー俯仰ギヤ12と、ローラー俯仰ギヤ12の回転角度に応じてFPC2の湾曲部2Dをピックアップ3の移動方向の反対側へ押し込むようガイドするローラー13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板のガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、電子部品の配線においてフレキシブルプリント基板(Flexible printed circuits、以下「FPC」と記載)が用いられている。FPCは変位に伴う変形を生じても電気的接続を維持することができる。このため、FPCは可動部における部品間の接続等に広く用いられている。
【0003】
少なくともその一端側を可動部に接続されたFPCは、該可動部の動作に伴って変位する。そして、FPCは変位に伴って変形する。以下、FPCによって接続された部品の移動に伴うFPCの変位を示す一例として、光ディスク装置の光学ピックアップ(以下、単に「ピックアップ」と記載)と光ディスク装置の基板とを接続するFPCを採り上げ、説明する。
【0004】
図5は、ピックアップ102と光ディスク装置の基板103とを接続するFPC101の従来の形態の一例を示す。
図5に示すように、FPC101は、ディスク装置100の内部に設けられる。FPC101の一端側はピックアップ102に接続され、FPC101の他端側は基板103のコネクタ104に接続される。FPC101はピックアップ102と基板103とを接続する配線として機能する。図5に示すように、ピックアップ102と基板103との間の空間に跨るFPC101はU字状の軌跡を描く湾曲部を有する。FPC101が描く湾曲部の突出方向は、ディスク装置100のシャシ105に対して向く。シャシ105は、ディスク装置100の各構成を外側から覆う箱状の筐体である。
【0005】
図6は、図5に比してピックアップ102が光ディスクDの外周側に移動した場合のFPC101の位置及び形状の一例を示す。
図7は、ディスク装置100のシャシ105に接触したFPC101の位置及び形状の一例を示す。
図5〜図7に示すように、ピックアップ102は、光ディスクDの記録面に対して平行な破線L1に沿って移動可能にガイドされ、駆動部(図示略)によって破線L1に沿って移動する。
ピックアップ102が光ディスクDの内周側から外周側へ向かって移動すると、ピックアップ102の移動に伴ってFPC101の位置及び形状が変化する。具体的には、図6に示すように、FPC101が描く湾曲部がシャシ105に接近する。図6に示す状態からさらにピックアップ102が光ディスクDの外周側へ移動すると、図7に示すように、FPC101の湾曲部がシャシ105に接触する。そして、移動するピックアップ102に押圧されたFPC101は、シャシ105に押し当てられて変形する。
【0006】
FPC101のシャシ105に対する接触及びFPC101の変形は、複数の問題点を生じさせる。
例えば、シャシ105に接触したFPC101は、ピックアップ102の移動方向に対する抗力を生じさせる。つまり、光ディスクDの外周側へ移動するピックアップ102に対して、ピックアップ102の移動方向と反対側のベクトルをピックアップ102に加える。該反対側のベクトルは、ピックアップ102の移動を妨げることがある。
【0007】
また、FPC101は、シャシ105に押し当てられて変形することによってFPC101の一部に物理的な過負荷を生じて破損することがある。
例えば、FPC101は変形に伴ってその一部が折れ曲がりを生ずるが、その折れ曲がりは前述の湾曲部とは異なり、FPC101の配接において意図されたものではないので、折れ曲がり箇所に過負荷を生じて折損等の破損を生じることがある。
【0008】
他にも、変形したFPC101の一部が基板103上に設けられた電子部品に接近、接触することにより電気的な影響を及ぼすことがあり、この影響によって電子部品を損傷させることがある。
【0009】
このような問題点を軽減、解消するための一手法として、図8に示すように、基板上にシールド121を設けて基板113に対するFPC111の接近を抑止する手法がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−374088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載の手法では、FPCのシャシに対する接触及びFPCの変形により生ずる問題点を十分に解決することができなかった。なぜならば、基板113上のシールド121は、光ディスクの内周面側から外周面側へピックアップ112が移動することに伴って変位するFPC111がディスク装置のシャシと接触して変形することを何ら解消しないためである。つまり、特許文献1に記載の手法は、シールド121に覆われた基板113上の構成(図8に示す電子部品131、132等)とFPC111との間を離隔するのみであり、変形したFPC111がピックアップ112の移動を妨げることがある問題点やFPC111の変形によりFPC111が破損する問題点を解消するものではなかった。
【0012】
加えて、基板113上にシールド121を設ける場合、基板113上の電子部品131、132の配置に制約を加えることがある。なぜならば、基板113上にシールド121を設ける場合、シールド121を固定するためのスペースを基板113上に設ける必要が生じるため、基板113上の配線スペースを狭める上、シールド121の範囲内には基板113とシールド121との間隔内に収まるサイズの電子部品131、132しか載置できないためである。
【0013】
特許文献1に記載の手法の他に、FPC101がシャシ105に対して接触することで生ずる意図しない変形によって生ずる問題点を軽減、解消するための一手法として、FPC101とシャシ105との間隔を大きく設けてピックアップ102が光ディスクDの記録面の最外周側に位置した場合であってもFPC101がシャシ105に対して接触しないようにする手法がある。しかしながら、FPCとシャシとの間隔を大きく設けることでFPCとシャシとの接触を防止する手法は、FPCが位置しうる全ての範囲を空の状態にして覆うシャシを必要とすることから、シャシの大型化即ちディスク装置の大型化をもたらすという別の問題点を生ずる。
【0014】
上述の問題点は、ディスク装置のピックアップと基板とを接続するFPCに限らず、少なくともその一端側を可動部に接続されたFPCに生じうる問題点である。
【0015】
本発明の課題は、FPCを内包する筐体の大型化を招くことなくFPCの変位に伴うFPC及びFPCの周囲の構成に対する破損等の悪影響を抑止することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、
移動体の移動方向に沿って配置され、一端が前記移動体に接続され、かつ、他端が固定されたフレキシブルプリント基板であって、中間部がU字状に湾曲された湾曲部を有し、前記移動体の直線移動に追従して変位可能に設置されたフレキシブルプリント基板のガイド装置であって、前記フレキシブルプリント基板の変位に応じて回転する回転部材と、前記回転部材の回転に連動し、前記移動体が前記フレキシブルプリント基板の湾曲部側に向かって移動する際、当該湾曲部に当接して当該湾曲部を湾曲突出方向と反対側に撓ませるガイド部材と、を備える。
【0017】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のフレキシブルプリント基板のガイド装置であって、前記回転部材は、前記フレキシブルプリント基板に接して回転する第1のギヤと、前記第1のギヤと連動して回転して当該第1ギヤの回転を前記ガイド部材に伝達する第2のギヤと、を備え、前記ガイド部材は前記第2ギヤの回転運動に伴って俯仰動作するように前記第2ギヤに連結されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のフレキシブルプリント基板のガイド装置であって、前記フレキシブルプリント基板の側端部には、当該フレキシブルプリント基板の長手方向に所定間隔をおいて複数の孔が設けられ、前記第1のギヤの歯は前記孔と嵌合していることを特徴とする。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント基板のガイド装置であって、前記ガイド部材は、回転可能に設けられたローラーであることを特徴とする。
【0020】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント基板のガイド装置であって、前記回転部材は、前記フレキシブルプリント基板の変位により回転することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、FPCを内包する筐体の大型化を招くことなくFPCの変位に伴うFPC及びFPCの周囲の構成に対する破損等の悪影響を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるフレキシブルプリント基板(以下「FPC」と記載)のガイド装置10の主要構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示すW−W断面図である。
【図3】図2に比してピックアップ3が光ディスクDの外周側に移動した場合におけるローラー13によってガイドされたFPC2の配置及び形状の一例を示す説明図である。
【図4】図3に比してさらにピックアップ3が光ディスクDの外周側に移動した場合におけるローラー13によってガイドされたFPC2の配置及び形状の一例を示す説明図である。
【図5】ピックアップ102と光ディスク装置の基板103とを接続するFPC101の従来の形態の一例を示す説明図である。
【図6】図5に比してピックアップ102が光ディスクDの外周側に移動した場合のFPC101の位置及び形状の一例を示す説明図である。
【図7】ディスク装置100のシャシ105に接触したFPC101の位置及び形状の一例を示す説明図である。
【図8】基板上にシールド121を設けたディスク装置の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の一実施形態によるフレキシブルプリント基板(以下「FPC」と記載)のガイド装置10の主要構成を示す斜視図である。
図2は、図1に示すW−W断面図である。
本実施形態によるFPCのガイド装置10の説明を行うため、まずFPCのガイド装置10によってガイドされるFPC2を有するディスク装置1の主要構成について説明する。
【0025】
図1及び図2に示すように、ディスク装置1は、FPC2と、ピックアップ3と、基板4とを備える。
FPC2は、ディスク装置1の内部に設けられる。FPC2の一端側はピックアップ3に接続され、FPC2の他端側は基板4のコネクタ5に固定される。FPC2はピックアップ3と基板4とを接続する配線として機能する。図1及び図2に示すように、後述するローラー13とFPC2とが非接触状態である場合において、ピックアップ3と基板4との間の空間に跨るFPC2はU字状の軌跡を描く湾曲部2Dを有する。FPC2が描く湾曲部2Dの突出方向は、ディスク装置1のシャシ6に対して向く。シャシ6は図2に示すように、ディスク装置1の各構成を外側から覆う箱状の筐体である。基板4はシャシ6に固定される。
【0026】
ピックアップ3は、光ディスクDの記録面にレーザーを照射してその反射光に基づいて光ディスクDの記録内容を読み取る。
基板4は、ピックアップ3によって読み取られた光ディスクの記録内容を受信、解釈、処理するための電子部品をその基板上に有する。
【0027】
図1に示すように、ピックアップ3は、支持体22に設けられる。そして、支持体22は、その一側面にガイド部22Aを有し、ガイド部22Aを介してガイド部材21及びガイド部材23によって移動方向をガイドされる。
【0028】
支持体22は、ピックアップ駆動部(図示略)と連結する。ピックアップ駆動部は、モータと、動力伝達シャフトと、支持体22との連結部と、からなり、動力伝達シャフトはモータと接続されており、また連結部の一部と動力伝達シャフトとが螺合している。モータの動力が動力伝達シャフトに伝達され、動力伝達シャフトが回転駆動することにより、連結部と結合している支持体22はガイド部材21及びガイド部材23の軸方向に沿って移動する。ガイド部材23の軸方向は、図1に示す破線Lに沿う方向である。以下、破線Lに沿う方向をX軸方向、FPC2の上面2Aに沿い、かつ、X軸方向に直交する方向をY軸方向と記載する。
【0029】
このように、ピックアップ3は支持体22ごとX軸方向に沿って移動する。ピックアップ3の移動に伴い、FPC2のうちピックアップ3側の端部側は破線Lに沿って移動する。つまり、FPC2は、ピックアップ3の移動に追従して変位する。
【0030】
FPC2は、ピックアップ3と接続された一端側から湾曲部2Dにかけた部分がX軸方向に沿うよう設けられる。
【0031】
次に、FPCのガイド装置10について説明する。
図1及び図2に示すように、FPCのガイド装置10は、ギヤ部11と、ローラー俯仰ギヤ12と、ローラー13と、を備える。
【0032】
ギヤ部11は、FPC2の変位に応じて回転するよう設けられた回転部材である。ギヤ部11は、ギヤ軸11Aと、二つのギヤ11Bと、ギヤ11Cと、を有する。
【0033】
ギヤ軸11Aは、Y軸方向に沿って設けられた軸である。二つのギヤ11B及びギヤ11Cはギヤ軸11Aを回転軸とする。
二つのギヤ11Bは、複数の噛合孔2Bと噛合し、FPC2と接して回転する。
複数の噛合孔2Bは、FPC2の側端部の長手方向に所定間隔をおいて設けられた複数の孔である。複数の噛合孔2Bは少なくとも、図2に示すピックアップ3がディスクDの最内周側に位置したときを基準として、FPC2のうちピックアップ3側の一端側からギヤ部11の位置に渡る範囲2Cに渡って設けられる。なお、FPC2の側端部とは、ピックアップ3に固定された一端から基板4のコネクタ5に固定された他端に跨るFPC2の端部である。
ギヤ11Cは、ローラー俯仰ギヤ12と噛合する。
【0034】
本実施形態のギヤ軸11Aは自由回転可能に設けられる。このため、ピックアップ3の移動に伴いFPC2が変位すると、X軸方向に沿ったFPC2の変位に伴いギヤ部11が回転する。具体的には、FPC2の範囲2Cの部分がX軸方向に沿って移動することによって、複数の噛合孔を介してFPC2と噛合する二つのギヤ11Bに対して回転力が加わり、ギヤ軸11Aを回転軸としてギヤ部11が回転する。ギヤ部11の回転角度は、FPC2の位置、特に範囲2Cの位置に基づいて決定される。つまり、ギヤ部11の回転角度は、変位するFPC2の配置に応じる。
【0035】
二つのギヤ11Bが回転すると、二つのギヤ11Bと回転軸を共有するギヤ11Cも回転する。ギヤ11Cが回転すると、ギヤ11Cと噛合するローラー俯仰ギヤ12に対して回転力が伝達される。
【0036】
ローラー俯仰ギヤ12は、ギヤ部11のギヤ11Cと連動してギヤ部11と逆方向に回転する。ローラー俯仰ギヤ12の回転軸12AはY軸方向に沿って設けられる。
本実施形態のローラー俯仰ギヤ12は、自由回転可能に設けられる。ローラー俯仰ギヤ12の回転角度は、ギヤ11Cの回転角度に応じる。ギヤ11Cを含むギヤ部11の回転角度は、変位するFPC2の配置に応じるので、ローラー俯仰ギヤ12の回転角度は、変位するFPC2の配置に応じる。つまり、ローラー俯仰ギヤ12は、FPC2の変位に応じて回転する。
【0037】
ローラー俯仰ギヤ12は、ギヤ11Cと噛合する噛合部12Bと、ローラー俯仰ギヤ12の回転中心から外側に向かって延設された俯仰腕12Cと、を有する。俯仰腕12Cは、その先端においてローラー13を支持する。具体的には、俯仰腕12Cは、ローラー支持腕12Dと協働でローラー13を支持する。ローラー支持腕12Dは、FPC2の配置を挟んでローラー俯仰ギヤ12が設けられている側に対して逆側に設けられた俯仰腕であり、回転軸12Aの回転中心から外側に向かって延設される。俯仰腕12C及びローラー支持腕12Dは、ローラー13がY軸方向に沿って配接されるようにローラー13を支持する。
【0038】
ローラー13は、ローラー俯仰ギヤ12の回転運動に伴って俯仰動作する。ローラー13の俯仰動作角度及びその度合いは、ギヤ11Cとローラー俯仰ギヤ12とのギヤ比率に基づいて決定することができる。ローラー13は、回転軸13Aを中心に自由回転する。回転軸13Aの両端は、俯仰腕12C及びローラー支持腕12Dにより支持される。
ローラー13は、その俯仰により、FPC2の上面2Aに接触してFPC2の変位方向をX軸方向とは異なる方向へガイドする。
【0039】
図3及び図4は、ローラー13によってガイドされたFPC2の配置及び形状の一例を示す説明図である。図3は、図2に比してピックアップ3が光ディスクDの外周側に移動した場合におけるローラー13によってガイドされたFPC2の配置及び形状の一例を示す。図4は、図3に比してさらにピックアップ3が光ディスクDの外周側に移動した場合におけるローラー13によってガイドされたFPC2の配置及び形状の一例を示す。図2及至図4においては、支持体22及びガイド部材23の記載を省略する。
【0040】
図3及び図4に示すように、光ディスクDの内周側から外周側(図2及至図4の左側)へピックアップ3が移動すると、FPC2の範囲2Cがピックアップ3の移動方向と同一の方向へ移動する。このとき、ピックアップ3の移動方向は、FPC2の湾曲部2Dの突出方向と同一である。
FPC2の範囲2Cの移動に伴い、湾曲部2Dが移動方向と同一の方向へ変位すると共に、ギヤ部11及びローラー俯仰ギヤ12が回転する。そして、ローラー俯仰ギヤ12の回転によりローラー13が俯仰する。
【0041】
ピックアップ3が光ディスクDの内周側から外周側へ向けて移動するとき、ローラー13は、ローラー俯仰ギヤ12の回転軸12Aを中心として光ディスクDの外周側から内周側へ向かう円弧を描くように俯仰する。このとき、ローラー13の俯仰によって描かれる円弧の進行方向は、FPC2の湾曲部2Dの突出方向の反対側に向いた移動ベクトルを含む。ローラー13は、その俯仰によりFPC2の上面2Aと接触し、光ディスクDの外周側から内周側へ向かう円弧に沿ってFPC2を押圧する。ローラー13に押圧されたFPC2は、湾曲部2Dの内側へと押し込まれるように変形する。つまり、ローラー13とFPC2とが非接触状態である場合において、ピックアップ3と基板4との間の空間に跨って湾曲部2Dを描いていたFPC2は、ピックアップ3の移動に伴う変位の際に、ローラー13に押圧されて湾曲部2Dの内側へと押し込まれるようにガイドされる。
【0042】
図3及び図4には、ローラー13によるFPC2のガイドがない場合のFPC2の位置及び形状を破線U1、U2にて示している。図3及び図4に示すように、ローラー13は、ローラー13によるFPC2のガイドがない場合に比して、FPC2を光ディスクDの内周側に収めるようFPC2をガイドする。
【0043】
図3や図4に示す状態から、ピックアップ3が光ディスクDの外周側から内周側へ向けて移動すると、ピックアップ3が光ディスクDの内周側へ向けて移動するに従ってローラー13によるFPC2の押し込みは解消され、図2に示すFPC2の配置の状態へ戻る。
【0044】
本実施形態によれば、FPC2の湾曲部2Dは俯仰するローラー13によって湾曲部2Dの突出方向と反対側へガイドされるので、シャシ6に接触しない。これによって、シャシに接触したFPCがピックアップの移動方向に対する抗力を生じさせてピックアップの移動を妨げることがあった従来のディスク装置の問題点を解消することができ、ピックアップのスムーズな移動を実現することができる。
加えて、FPC2が俯仰するローラー13によってガイドされ、シャシ6に接触しないことにより、FPC2に意図しない変形を生じさせることがなくなる。なぜならば、ローラー13の俯仰位置はFPCのガイド装置の設計時及び組立て時に決定することができるので、ローラー13の俯仰によるFPCの変形をあらかじめ検証、確認することができるためである。このため、シャシに押し当てられFPCの一部に物理的な過負荷を生じて破損することがあった従来のディスク装置の問題点を解消することができ、FPCを用いた接続の耐久性及び信頼性を向上させることができる。
加えて、FPC2に意図しない変形を生じさせることがなくなるので、ローラー13のガイドによりFPC2と基板4上の電子部品とが接触することのない変形をさせることで、FPC2と基板4上の電子部品との接触を防ぐことができる。これによって、FPCの一部が基板上に設けられた電子部品に接近、接触することにより電気的な影響を及ぼすことで電子部品を損傷させることがあった従来の問題点を解消することができる。しかも、特許文献1に記載の手法を用いた場合に生じていた、シールドを固定するためのスペースを基板上に設ける必要により基板上の配線スペースを狭める問題点や、シールドの範囲内には基板とシールドとの間隔内に収まるサイズの電子部品しか載置できない問題点等の、シールドによって生ずる基板上の設計の制約を生じることがない。このため、基板上の電子部品の配置及び配線パターンの設計自由度に何ら問題を生じさせることのないFPCのガイド装置を提供することができる。
さらに、FPC2は、ローラー13の俯仰によってFPC2が描く湾曲部2Dの内側に押し込まれるので、ピックアップ3の移動に伴うFPC2の変位によりFPC2の湾曲部2Dが光ディスクDの内周側から外周側へ張り出すことがなくなる。これによって、FPC2とシャシ6との接触を抑止することができるので、シャシ6をピックアップ3の移動方向側へ拡張させずともFPC2とシャシ6との接触を回避することができる。つまり、コンパクトなディスク装置であって、FPCとシャシとの接触による弊害を生じないディスク装置を実現することができる。
【0045】
さらに、FPCのガイド装置10は、FPC2の側端部の長手方向に所定間隔をおいて設けられた複数の噛合孔2Bと噛合するギヤ11Bと、ギヤ11Bと連動してギヤ11Bと逆方向に回転するローラー俯仰ギヤ12と、を有し、ローラー13は、ローラー俯仰ギヤ12の回転角度に応じて俯仰するので、簡素な構成によりローラー13をピックアップ3の方向と対向する方向への移動ベクトルを含む円弧を描くように俯仰させることができる。
【0046】
さらに、複数の噛合孔2Bは、FPC2の側端部の長手方向に所定間隔をおいて設けられた複数の孔であるので、ギヤ11Bと噛合するための構成をFPC2上に別途設ける必要がない。これによって、低コストでFPCのガイド装置を実現することができる。
【0047】
さらに、ローラー13はY軸方向に沿って配接される自由回転可能なローラーであるので、ローラー13がいかなる回転角度でFPC2と接触しても、ローラー13の外周面がFPC2に加える押圧力は一定以下となり、ローラー13の押圧力によってFPC2を破損させることがなくなる。加えて、ローラー13の回転により、ローラー13がFPC2を巻き込むように俯仰するときのFPC2とローラー13との摩擦を低減させることができる。
【0048】
さらに、ギヤ部11及びローラー俯仰ギヤ12は自由回転可能に設けられ、FPC2の変位により回転するので、FPCのガイド装置10のための動力及び駆動電力を必要としない。これによって、既存のディスク装置に対して電力設計や配線パターンに何ら影響を与えることなくFPCのガイド装置を設けることができる。そして、動力及び駆動電力を必要としないことにより、低コストでFPCのガイド装置を設けることができる。
【0049】
前述の実施形態における記述は本発明の一例を示すものであり、本発明の実施形態を限定するものではなく、本発明の特徴を逸脱しない範囲での構成変更が可能である。
【0050】
回転部材はギヤに限らず、FPCの変位に応じて回転するものであればよい。例えば、回転部材は表面に対して十分な摩擦計数を有する外周面を持つローラー等でもよい。
【0051】
ギヤと噛合するFPC上の噛合部は、FPC上に設けられた貫通孔に限らない。例えば、列状の凸凹を形成するための部材をFPC上に貼り付け、該凸凹をギヤと噛合させるようにしてもよい。
【0052】
FPCの変位方向をガイドするガイド部材は、回転可能なローラーに限らない。例えば、回転しない円柱状の部材等でもよい。
【0053】
回転部材を駆動部によって回転させてもよい。この場合、ピックアップの移動に伴うFPCの変位量に応じた駆動量を回転部材に伝達させるようにすることが望ましい。これによって、回転部材をFPCと当接させる必要がなくなるので、FPCのガイド装置の設置位置の自由度が広がる。
【0054】
前述の実施形態では、ローラー13がFPC2の湾曲部2Dの外側で俯仰動作することで当該湾曲部2Dを内側に押し込むように動作しているが、ガイド部材によるFPCのガイドは押し込みに限らない。例えば、FPCの湾曲部の外側に係合してFPCの変位及び回転部材の回転角度に応じて湾曲部を当該湾曲部の内側へ引き込むように移動する係合部材をガイド部材として設け、FPCを引き込むようにしてもよい。
【0055】
本発明は、ディスク装置のピックアップと基板とを接続するFPCに限らず、少なくともその一端側を可動部に接続されたFPCの変位をガイドするFPCのガイド装置として他の装置にも応用可能である。
【符号の説明】
【0056】
2 FPC
3 ピックアップ
4 基板
5 コネクタ
6 シャシ
11 ギヤ部
12 ローラー俯仰ギヤ
13 ローラー
21、23 ガイド部材
22 支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の移動方向に沿って配置され、一端が前記移動体に接続され、かつ、他端が固定されたフレキシブルプリント基板であって、中間部がU字状に湾曲された湾曲部を有し、前記移動体の直線移動に追従して変位可能に設置されたフレキシブルプリント基板のガイド装置であって、
前記フレキシブルプリント基板の変位に応じて回転する回転部材と、
前記回転部材の回転に連動し、前記移動体が前記フレキシブルプリント基板の湾曲部側に向かって移動する際、当該湾曲部に当接して当該湾曲部を湾曲突出方向と反対側に撓ませるガイド部材と、を備えるフレキシブルプリント基板のガイド装置。
【請求項2】
前記回転部材は、
前記フレキシブルプリント基板に接して回転する第1のギヤと、
前記第1のギヤと連動して回転して当該第1ギヤの回転を前記ガイド部材に伝達する第2のギヤと、を備え、
前記ガイド部材は前記第2ギヤの回転運動に伴って俯仰動作するように前記第2ギヤに連結されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板のガイド装置。
【請求項3】
前記フレキシブルプリント基板の側端部には、当該フレキシブルプリント基板の長手方向に所定間隔をおいて複数の孔が設けられ、
前記第1のギヤの歯は前記孔と嵌合していることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルプリント基板のガイド装置。
【請求項4】
前記ガイド部材は、回転可能に設けられたローラーであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント基板のガイド装置。
【請求項5】
前記回転部材は、前記フレキシブルプリント基板の変位により回転することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のフレキシブルプリント基板のガイド装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2011−18768(P2011−18768A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162301(P2009−162301)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(508209990)J&Kカーエレクトロニクス株式会社 (98)
【Fターム(参考)】