説明

フレキシブルプリント基板及び液晶表示装置

【課題】2つのフレキシブルプリント基板に形成される電極パッド同士を接合する場合に、位置合わせ作業が容易に行え、且つ電極パッドの剥がれを抑制できるフレキシブルプリント基板を提供する。
【解決手段】フレキシブルプリント基板(FPC)3には、配線21と接続され、保護膜で覆われることなく露出された第1の電極パッド11が形成される。第1の電極パッド11は、他のFPC4が有する第2の電極パッド12と接合するために設けられている。第1の電極パッド11からは、第1の電極パッド11と同一の材料から成り、第1の電極パッド11と第2の電極パッド12と接合する際に前記他のFPC4の位置決め用の目印として用いられる位置決めパターン31が延出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント基板に関し、より詳細には、他のフレキシブルプリント基板と接合して用いられるフレキシブルプリント基板の構成に関する。また、本発明は、そのようなフレキシブルプリント基板を備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つのフレキシブルプリント基板(FPC:Flexible Print Circuit)を位置合わせして接合することが行われる。このような2つのFPCを位置合わせして接合する例として、液晶表示装置の場合を例に挙げて説明する。図8は、従来の液晶表示装置の構成を示す図で、図8(a)は、液晶表示装置を正面から見た場合の概略平面図、図8(b)は、液晶表示装置を裏面斜め方向から見た場合の概略斜視図である。
【0003】
図8に示すように、従来の液晶表示装置100は、液晶表示面101aを有する液晶表示部101と、図示しない外部コネクタと液晶表示部101とを接続する第1のFPC102と、第1のFPC102に形成される配線の一部を分岐するために設けられ、第1のFPC102とは異なる第2のFPC103と、を備える。液晶表示部101は、図8(b)に示すように、バックライト用光源104と、反射シート105と、導光板106と、光学シート107と、液晶パネル108と、を備える。
【0004】
バックライト用光源104は、複数の発光ダイオード(LED)から成り、この光源104から出射された光は、直接あるいは図示しないリフレクタによって反射された後、導光板106の側面に入射する。導光板106は入射した光をその中で反射させながら伝播し、光学シート107と対向する面又は反射シート105と対向する面から光を出射する。なお、反射シート105と対向する面から出射された光は、反射シート105で反射されて導光板106に再度入射する。
【0005】
光学シート107は、拡散シートやレンズシートから成り、導光板106の光学シート107と対向する面から出射された光について、輝度ムラの補正等を行って液晶パネル108に導く。液晶パネル108は、図示されていないが2つのパネル基板の間に液晶が封入された構造となっている。また、パネル基板の液晶が封入される側の表面には、図示されていないが電極がマトリクス状に配置されており、これにより液晶の制御が可能となっている。
【0006】
第1のFPC102には、バックライト用光源104と液晶パネル108を駆動するための配線が形成されており、これらの配線の一方端(補強板109が設けられている側)は図示しない外部コネクタに接続される。第1のFPC102に形成されるバックライト用光源104を駆動する配線の他端は、第1のFPC102に形成される第1の電極パッド(図8においては図示していないが、後述する図9(a)に符号110で示される)に接続される。一方、第1のFPC102に形成される液晶パネル108を駆動する配線の他端は、最終的に液晶パネル108に形成される電極と接続される。
【0007】
第1のFPC102に形成される第1の電極パッド110は、最終的にバックライト用光源104へと繋がる配線を有する第2のFPC103に形成される第2の電極パッド(図8においては図示していないが、後述する図9(b)に符号111で示される)に、例えば半田によって接合される。これにより、バックライト用光源104は、第2のFPC103、第1のFPC102に形成される配線を介して外部コネクタと接続されることになる。
【0008】
このように、液晶表示装置100においては、2つのFPC102、103が接合される構成を有するが、柔軟性を有する2つのFPC102、103を接合する構成のために、両FPC102、103を接合する際に位置ずれが発生しやすく、作業性が悪い。このために、従来においては、図9に示すように2つのFPC102、103にそれぞれ位置決め用の穴102a、103aを設けて、その位置決め用の穴102a、103aにピンを通して固定して、両FPC102、103の接続を行っていた。
【0009】
なお、図9は、従来の液晶表示装置100が備える2つのFPC102、103の構成を説明するための図で、図9(a)は、バックライト用光源104と液晶パネル108を駆動するための配線が形成される第1のFPC102の第1の電極パッド110周辺を示す図で、図9(b)は、バックライト用光源104を駆動するための配線が形成される第2のFPC103の第2の電極パッド111周辺を示す図である。図9(b)で第2の電極パッド111を破線で示しているのは第2の電極パッド111が裏面に存在することを意味している。
【0010】
しかし、このような方法の場合には、穴を設けるスペースが必要となることから、FPC102、103の面積を大きくする必要があり、装置が大型化したり、製造コストが上がったりするといった問題があった。このために、2つのFPC102、103の位置合わせは細かい精度まで必要とされないことを考慮して、第1のFPC102側にシルク印刷によって目印を設け、2つのFPC102、103の位置合わせを行う方法も行われている。この場合には、穴を開ける場合のように大きなスペースが必要でないために、FPC102、103の面積が増える問題は解消できる。
【特許文献1】特開平11−121894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、シルク印刷を行う場合には、従来使用していなかった材料を用いることになるために、材料代が別途必要となって製造コストアップを招き、好ましくない。この点、特許文献1に示される、位置合わせの目印となる位置決めパターンを接続端子の印刷と同時に形成する方法を参考に、第1のFPC102の配線及び電極パッドを形成する際に、これらと同時に、第2のFPC103の位置合わせの目印となる位置決めパターンを形成することも考えられる。これによれば、異なる材料を準備する必要もなく、製造コストアップを抑制して2つのFPC102、103間の位置合わせを容易に行うことが可能となる。
【0012】
しかし、2つのFPC102、103を接続する場合には、位置合わせを容易に行えることに加えて、以下の問題も解決する必要がある。すなわち、2つのFPC102、103を接続するために、第1のFPC102には上述のように第1の電極パッド110が形成されるが、この第1の電極パッド110は保護膜によって覆われずに露出された状態とされる。このため、熱や応力によって剥がれ易いといった問題がある。また、第1の電極パッド110が保護膜に覆われずに露出されることと関係して、第1の電極パッド110に接続される配線は、FPCに加わる負荷によって断線する可能性が高くなるといった問題がある。従って、2つのFPCを接続する場合には、このような問題についても解決する必要があり、特許文献1に示されるように単に位置決めパターンを設けるだけでは、十分とは言えない状況にあった。
【0013】
以上の点を鑑みて、本発明の目的は、2つのフレキシブルプリント基板に形成される電極パッド同士を接合する場合に、位置合わせ作業が容易に行え、且つ電極パッドの剥がれを抑制できるフレキシブルプリント基板を提供することである。また、本発明の他の目的は、2つのフレキシブルプリント基板に形成される電極パッド同士を接続する場合に、位置合わせ作業が容易に行え、且つ電極パッドと接続される配線の断線対策が施されたフレキシブルプリント基板を提供することである。更に、本発明の他の目的は、前述のようなフレキシブルプリント基板を備えることにより、製造作業の負担が軽減でき、製造コストを抑制できる液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、ベースと、前記ベース上に形成される複数の配線と、前記配線を覆う保護膜と、を備えるフレキシブルプリント基板において、前記ベース上には、前記複数の配線のうちの所定の配線と接続され、前記保護膜で覆われることなく露出された第1の電極パッドが形成され、前記第1の電極パッドは、他のフレキシブルプリント基板が有する第2の電極パッドと接合するために設けられており、前記第1の電極パッドからは、前記第1の電極パッドと同一の材料から成り、前記第1の電極パッドと前記第2の電極パッドと接合する際に前記他のフレキシブルプリント基板の位置決め用の目印として用いられる位置決めパターンが延出することを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、フレキシブルプリント基板(FPC)には、他のFPCを接合するための位置決めパターンが設けられている。このため、本発明のFPCに他のFPCを接合する作業は容易に行える。また、位置決めパターンは、他のFPCと接合するために設けられる電極パッドから延出する構成であるために、電極パッドがベースに接合される実質的な面積が増加し、電極パッドの剥がれを低減できる。更に、位置決めパターンは、電極パッドと同一の材料から成るために、シルク印刷を用いる場合のように、新たな材料を用意する必要がなく、製造コストアップを抑制できる。
【0016】
また、本発明は、上記構成のフレキシブルプリント基板において、前記位置決めパターンの少なくとも一部は、前記保護膜によって覆われるのが好ましい。これにより、位置決めパターンがベースから剥がれ難くなり、結果として、FPCに形成される電極パッドが剥がれる可能性を更に低減できる。
【0017】
また、本発明は、上記構成のフレキシブルプリント基板において、前記第1の電極パッドは、前記所定の配線と前記第1の電極パッドとが接続される第1の位置に対して、前記第1の電極パッドを挟んで略対向する第2の位置でパターン線と接続されており、前記位置決めパターンは、前記第1の電極パッドの前記第1の位置と前記第2の位置とに挟まれる略中間位置から延出する部分を有することとしても良い。この構成によれば、電極パッドと繋がる所定の配線、パターン線及び位置決めパターンによって、効果的に電極パッドの剥がれ防止することが可能となり、フレキシブルプリント基板における電極パッドの剥がれを低減できる。
【0018】
また、本発明は、上記構成のフレキシブルプリント基板において、前記位置決めパターンからは、前記所定の配線と接続される補助パターン線が引き出されることとしても構わない。このようにすれば、電極パッドが保護膜で覆われることなく露出しているために断線が起こり易い、所定の配線と電極パッドとの間で断線が生じても、補助パターン線の存在により、所定の配線と電極パッドとの電気的な接続を補償できる。
【0019】
また、本発明は、上記構成のフレキシブルプリント基板において、前記第1の電極パッドと前記第2の電極パッドとの接合は、半田を用いて行われることとしても構わない。このような場合でも、接合する2つのFPCの位置決めの行い易さと、電極パッドの剥がれ低減とを実現できる。更には、接合する2つのFPCの位置決めの行い易さと、断線対策の実施とを実現できる。
【0020】
また、本発明は、上記構成のフレキシブルプリント基板を備える液晶表示装置であることを特徴とする。これによれば、接合が必要な2つのFPCを有する液晶表示装置について、2つのFPCの位置合わせが行い易く、製造作業の負担が少ない。更には、FPCの電極パッドの剥がれが起こる可能性も低減できるために、製造作業負担の軽減と共に製造コストの抑制を図れる。
【0021】
上記構成の液晶表示装置としては、例えば、液晶パネルと、前記液晶パネルに光を供給するバックライト用光源と、を備え、前記フレキシブルプリント基板に設けられる前記配線は、前記液晶パネルと前記バックライト用光源を駆動するための配線であり、前記第1の電極パッドに接続される前記所定の配線は、前記バックライト用光源を駆動するための配線であり、前記他のフレキシブルプリント基板は、前記バックライト光源を駆動するための配線を有するフレキシブルプリント基板であることとしても構わない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、2つのフレキシブルプリント基板に形成される電極パッド同士を接合する場合に、位置合わせ作業が容易に行え、且つ電極パッドの剥がれを抑制できるフレキシブルプリント基板を提供できる。また、本発明によれば、2つのフレキシブルプリント基板に形成される電極パッド同士を接続する場合に、位置合わせ作業が容易に行え、且つ電極パッドと接続される配線の断線対策が施されたフレキシブルプリント基板を提供することもできる。更に、本発明によれば、前述のようなフレキシブルプリント基板を備えることにより、製造作業の負担が軽減でき、製造コストを抑制できる液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、ここで示す実施形態は一例であり、本発明はここに示す実施形態に限定されるものではない。
【0024】
(第1実施形態)
図1は、本発明に係るフレキシブルプリント基板(FPC)を備える液晶表示装置の第1実施形態の構成を示す概略斜視図である。なお、図1は、液晶表示装置1を裏面側(液晶表示面2aが見える側と反対側)から見た場合の図である。第1実施形態の液晶表示装置1は、液晶表示部2と、第1のFPC3と、第2のFPC4と、を備える。液晶表示部2には、図1に示すように、バックライト用光源5と、反射シート6と、導光板7と、光学シート8と、液晶パネル9と、が備えられる。
【0025】
第1のFPC3は、バックライト用光源5と液晶パネル9を駆動するための配線を有し、これらの配線の一方端は図示しない外部コネクタと接続される。また、第1のFPC3に形成されるバックライト用光源5を駆動するための配線の他端は、第1のFPC3に形成される第1の電極パッド(詳細は後述する)に接続される。一方、第1のFPC3に形成される液晶パネル9を駆動するための配線の他端は、液晶パネル9の図示しない電極へと繋がる。
【0026】
第2のFPC4は、バックライト用光源5を駆動する配線を有し、この配線の一方端はバックライト用光源5と繋がり、他端は第2のFPC4の先端近傍に設けられる第2の電極パッド(図1に示していないが、図4の符号12で示される)と接続される。そして、第1のFPC3と第2のFPC4とに形成される電極パッド同士(第1の電極パッドと第2の電極パッド)を接合することによって第1のFPC3と第2のFPC4とは電気的に接続される。
【0027】
第1実施形態の液晶表示装置1の構成は、図1に破線の丸Aで示した第1のFPC3と第2のFPC4とが接合される部分における、第1のFPC3の構成を除いて、図8に示した従来の液晶表示装置100と同様の構成である。従って、従来の液晶表示装置100と同様の構成を有する部分については詳細な説明を省略し、以下では、第1のFPC3の従来の構成と異なる部分について、詳細に説明する。
【0028】
図2は、第1実施形態の液晶表示装置1が備える第1のFPC3の特徴部の構成を示す概略平面図である。また、図3は、図2のB−B位置における概略断面図である。以下、この図2と図3を参照しながら、第1のFPC3の構成について説明する。
【0029】
第1のFPC3は、例えばポリイミド等から成るベース23に、例えば銅等から成る配線21、22と、配線21、22と同一の材料から成って配線21と接続される第1の電極パッド11(図2又は図3に示すように2つある)と、が形成される。配線21、22は、例えばポリイミド等から成る保護膜24によって覆われている。ただし、保護膜24には開口25が設けられており、これによって、第1の電極パッド11は保護膜24に覆われることなく、露出した状態となっている。そして、このように第1の電極パッド11が露出された状態となっているために、第2のFPC4に形成される電極パッド(これも露出されている)と接合することができ、両者を電気的に接続することができる。
【0030】
なお、配線21は、バックライト用光源5を駆動するための配線であり、配線22は、液晶パネル9を駆動するための配線である。配線22は、その数が多いために一部のみを示している。また、本実施形態では、第1の電極パッド11を略矩形状としているが、これに限定される趣旨ではなく、例えば円形等、他の形状でも構わない。
【0031】
ベース23上には、第1の電極パッド11が配線21と接続される位置(第1の位置11a)に対して第1の電極パッド11を挟んで略対向する位置(第2の位置11b)に、第1の電極パッド11と接続されるパターン線26が形成されている。このパターン線26は、第1の電極パッド11の剥がれを低減するために設けられており、本実施形態では、パターン線26はダミーパターンである。なお、本実施形態では、パターン線26は剥がれ対策のためのみに設けられたダミーパターンであるが、このパターン線26が回路の一部としての機能するように構成しても、もちろん構わない。また、パターン線26は、配線21及びその詳細は後述する位置決めパターン31と協働して、第1の電極パッド11の剥がれをより効果的に低減するものであるが、場合によっては設けない構成としても構わない。
【0032】
ベース23上には、第1の電極パッド11から延出する位置決めパターン31(第1の電極パッド11と同一の材料から成る)も形成されている。第1の電極パッド11から延出する位置決めパターン31は、第1の電極パッド11の第1の位置11aと第2の位置11bとに挟まれる略中間位置11cから延出している。そして、位置決めパターン31の形状は、第2のFPC4を位置決めしやすいように、第2のFPC4の外形に合わせた形状となっている。本実施形態においては、第2のFPC4の先端側が略矩形状に形成されるために、それに合わせて略L字状のパターンとなっている。ただし、2つある位置決めパターン31は、対称的な形状となっている。
【0033】
また、位置決めパターン31は、第1の電極パッド11と近い側において、保護膜24に一部覆われていない部分があるが、その大部分は保護膜24に覆われた状態となっている。なお、本実施形態では、位置決めパターン31について、一部が保護膜24で覆われていない構成となっているが、全部が保護膜24に覆われる構成としても構わない。
【0034】
以上のように、本実施形態の第1のFPC3においては、第1の電極パッド11から位置決めパターン31が延出する構成としている。この場合、位置決めパターン31によって第1の電極パッド11とベース23とが接合される実質的な面積が増加し、第1の電極パッド11がベース23から剥がれる可能性を低減できる。そして、本実施形態においては、位置決めパターン31の一部を保護膜24で覆う構成とし、これによって位置決めパターン31がベース23から剥がれる可能性を低減し、その結果、第1の電極パッド11がベース23から剥がれる可能性を更に低減している。
【0035】
すなわち、本実施形態の位置決めパターン31は、第1のFPC3に第2のFPC4を接合する際に、単に位置決め行い易くするだけではなく、第1の電極パッド11の剥がれ防止の機能も発揮している。
【0036】
次に、本実施形態の液晶表示装置1において、第1のFPC3の電極パッドと第2のFPC4の電極パッドとが接合される様子について、図4を参照しながら説明する。なお、図4(a)は、接合される前の状態を示し、図4(b)は、接合された状態を示している。なお、図4(a)において、破線で示した部分は裏面側に設けられていることを示している。
【0037】
図4(a)に示すように、第2のFPC4には、バックライト用光源5を駆動する配線21と、配線21と接続される第2の電極パッド12と、が形成されている。この第2の電極パッド12が第1の電極パッド11と接合される。このために、第2の電極パッド12は、第1の電極パッドと同数設けられている。本実施形態においては、この接合は半田を用いて行われる。
【0038】
第1の電極パッド11と第2の電極パッド12とを接合する場合、まず、位置決めパター31を目印として、第2のFPC4の位置決めが行われる。本実施形態の場合、位置決めパターン31は、第1の電極パッド11の第1の位置11aと第2の位置11bに挟まれる略中間位置11cから延出するようになっており、この位置で第2のFPC4が位置決めされる。すなわち、第1の電極パッド11の略半分は、第2のFPC4を配置した状態で、覆われることなく露出している。
【0039】
この露出した部分に半田を配置して、その後半田を溶融すると、半田が第1の電極パッド11と第2の電極パッド12とに挟まれる部分まで流出し、第1の電極パッド11と第2の電極パッド12との接合が可能となる。このように、第1の電極パッド11と第2の電極パッド12とを半田で接合する場合には、位置決めパターン31を、前述の略中間位置11cから延出するように設けると都合が良い。そして、このように、位置決めパターン31が前述の略中間位置11cから延出する構成とした場合には、位置決めパターン31が、配線21とパターン線26と協働して、第1の電極パッドを3点止めすることになるために、電極パッドの剥がれ防止の効果が大きくなって好ましい。
【0040】
なお、第1の電極パッド11と第2の電極パッド12との接合は、半田による接合に限定される趣旨ではない。すなわち、例えば異方性導電フィルム(ACF;Anisotoropic Conductive Film)を用いて第1の電極パッド11と第2の電極パッド12とを接合する場合等にも、もちろん適用できる。
【0041】
ただし、第1の電極パッド11と第2の電極パッド12とを接合する場合に、第2の電極パッド12が第1の電極パッド11全体を覆うようにして接合することもあり得る(半田接合によらない場合に、特にこのような構成を採用するものと考えられる)。この場合、図5(a)に示すような位置決めパターン31を形成しても良いが、図5(a)の構成の場合には、位置決めパターン31が第1の電極パッド11の端部側となるために、上述した3点止めの効果が十分に得られず、位置決めパターン31のよる第1の電極パッド11の剥がれ防止機能が低下する可能性がある。なお、この場合でも、位置決めパターン31が第1の電極パッド11から延出しているために、電極パッドの剥がれ防止機能が全くない訳ではない。
【0042】
このため、第1の電極パッド11と第2の電極パッド12とを接合する場合に、第2の電極パッド12が第1の電極パッド11全体を覆うようにして接合される場合には、図5(b)のように、第1の電極パッド11から、例えば矩形状の領域を延出するように構成して、位置決めパターン31が前述の略中間位置11cから延出する部分を有する構成とするのが好ましい。これにより、位置決めパターン31における、位置決め効果と電極パッドの剥がれ低減効果をより効果的発揮できる。
【0043】
(第2実施形態)
次に、本発明に係るフレキシブルプリント基板の第2実施形態について説明する。ここでも、第1実施形態と同様に液晶表示装置に備えられるフレキシブルプリント基板(FPC)を例に説明する。第2実施形態の液晶表示装置1の構成は、第1のFPC3の構成を除いて第1実施形態と同様であるために、重複する部分についてはその説明を省略する。また、第1実施形態と重複する部分については、同一の符号を付して説明する。
【0044】
図6は、第2実施形態の液晶表示装置1が備える第1のFPC3の構成を説明するための図である。第2実施形態の第1のFPC3は、例えばポリイミドから成るベース23に、例えば銅等から成る配線21、22と、配線21、22と同一の材料から成って配線21と接続される第1の電極パッド11(図6に示すように2つある)と、が形成される。
【0045】
なお、第1実施形態と同様に、配線21、22は、例えばポリイミドから成る保護膜24(図3参照)によって覆われている。ただし、保護膜24には開口25が設けられており、これによって、第1の電極パッド11は保護膜24に覆われることなく、露出した状態となっている。また、第1実施形態と同様に、配線21は、バックライト用光源5を駆動するための配線であり、配線22は、液晶パネル9を駆動するための配線である。配線22は、その数が多いために一部のみを示している。
【0046】
また、ベース23上には、第1実施形態と同様に第1の電極パッド11と接続されるパターン線26が形成されている。このパターン線26は、第1の電極パッド11の剥がれを低減するために設けられており、本実施形態では、パターン線26はダミーパターンである。
【0047】
ベース23上には、第1の電極パッド11から延出する矩形状の位置決めパターン31も形成されている。なお、第2実施形態においても、第1の電極パッド11と第2の電極パッド12(図4参照)との接合は半田接合を想定しているために、位置決めパターン31は、第2のFPC4が第1の電極パッド11の略半分を覆う状態で位置決めされるように、そのパターン形状が決定されている。ただし、後述する理由のために、第1実施形態の場合(図2参照)と異なる形状(本実施形態では矩形状だが、第1実施形態ではL字状)となっている。
【0048】
また、位置決めパターン31は、第1の電極パッド11と近い側において、保護膜24(図6では示していないが、第1実施形態と同様の構成であるために図3参照)に一部覆われていない部分があるが、その大部分は保護膜24に覆われた状態となっている。すなわち、第1実施形態と同様に、第1のFPC3においては、第1の電極パッド11から位置決めパターン31が延出する構成のために、位置決めパターン31によって第1の電極パッド11とベース23とが接合される実質的な面積が増加し、第1の電極パッド11がベース23から剥がれる可能性を低減できる。そして、位置決めパターン31が保護膜24で覆われる構成であるために、位置決めパターン31がベース23から剥がれる可能性が低減し、その結果、第1の電極パッド11がベース23から剥がれる可能性が低減される。
【0049】
第2実施形態の第1のFPC3は、以上の効果に加えて、第1の電極パッド11と配線21とが接続される部分(この部分には大きな負荷が発生し易く断線し易い)で断線しても、配線21と第1の電極パッド11との電気的な接続が補償できるように構成されている点に特徴を有する。すなわち、本実施形態では、矩形状の位置決めパターン31の保護膜24で覆われている部分(図6では、位置決めパターン31の開口25によって露出されていない部分が該当する)から、補助パターン線32が引き出され、これが配線21と繋がっている。なお、補助パターン線32は、全部保護膜24で覆われた状態となっており、露出する部分はない。
【0050】
このようにすれば、第1の電極パッド11と配線21とが接続される部分11aで断線が発生しても、配線21と第1の電極パッド11との電気的な接続が補償できる。そして、補助パターン線32は、全部保護膜24で覆われている(すなわち、位置決めパターン32と接続される部分においても覆われている)ために、断線の可能性が低い。また、本実施形態においては、位置決めパターン31を矩形状にして、第1の電極パッド11と接続される領域を、第1実施形態の場合(位置決めパターン31はL字状)と比べて大きくしている。このため、位置決めパターン31が第1の電極パッド11と接続される位置等、負荷が大きく成りそうな部分でも断線の可能性が低減される。
【0051】
(その他)
液晶表示装置1が備える2つのFPC3、4の形状は、本実施形態に示された構成に限定される趣旨ではない。本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。すなわち、例えば図7に示すように2つのFPCの形状を構成しても構わない。また、本実施形態では、2つのFPCが接合される場合として、液晶表示装置の場合を例に説明した。しかし、本発明のFPCは、2つのFPCを接合する場合に広く適用できるものであり、本発明は液晶表示装置の場合に限らず広く適用できるのは、言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明のフレキシブルプリント基板を用いれば、フレキシブルプリント基板に形成される電極パッドに、他のフレキブルプリント基板に形成される電極パッドを接合する場合に、位置合わせ作業が容易に行え、且つ電極パッドの剥がれを抑制できる。従って、2つのフレキシブルプリント基板を接合する場合に、本発明は有用である。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】は、本発明に係るFPCを備える液晶表示装置の第1実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】は、第1実施形態の液晶表示装置が備える第1のFPCの特徴部の構成を示す概略平面図である。
【図3】は、図2のB−B位置における概略断面図である。
【図4】は、第1実施形態の液晶表示装置において、第1のFPCの電極パッドと第2のFPCの電極パッドとが接合される様子を説明するための図である。
【図5】は、第1実施形態の液晶表示装置が備える第1のFPCの変形例を示す図である。
【図6】は、第2実施形態の液晶表示装置が備える第1のFPCの構成を説明するための図である。
【図7】は、本実施形態の液晶表示装置の変形例を示す図である。
【図8】は、従来の液晶表示装置の構成を示す図である。
【図9】は、従来の液晶表示装置が備える2つのFPCの構成を説明するための図である。
【符号の説明】
【0054】
1 液晶表示装置
3 第1のFPC
4 第2のFPC(他のフレキシブルプリント基板)
5 バックライト用光源
9 液晶パネル
11 第1の電極パッド
12 第2の電極パッド
21、22 配線
23 ベース
24 保護膜
26 パターン線
31 位置決めパターン
32 補助パターン線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、前記ベース上に形成される複数の配線と、前記配線を覆う保護膜と、を備えるフレキシブルプリント基板において、
前記ベース上には、前記複数の配線のうちの所定の配線と接続され、前記保護膜で覆われることなく露出された第1の電極パッドが形成され、
前記第1の電極パッドは、他のフレキシブルプリント基板が有する第2の電極パッドと接合するために設けられており、
前記第1の電極パッドからは、前記第1の電極パッドと同一の材料から成り、前記第1の電極パッドと前記第2の電極パッドと接合する際に前記他のフレキシブルプリント基板の位置決め用の目印として用いられる位置決めパターンが延出することを特徴とするフレキシブルプリント基板。
【請求項2】
前記位置決めパターンの少なくとも一部は、前記保護膜によって覆われることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項3】
前記第1の電極パッドは、前記所定の配線と前記第1の電極パッドとが接続される第1の位置に対して、前記第1の電極パッドを挟んで略対向する第2の位置でパターン線と接続されており、
前記位置決めパターンは、前記第1の電極パッドの前記第1の位置と前記第2の位置とに挟まれる略中間位置から延出する部分を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項4】
前記位置決めパターンからは、前記所定の配線と接続される補助パターン線が引き出されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項5】
前記第1の電極パッドと前記第2の電極パッドとの接合は、半田を用いて行われることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のフレキシブルプリント基板。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のフレキシブルプリント基板を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
液晶パネルと、前記液晶パネルに光を供給するバックライト用光源と、を備え、
前記フレキシブルプリント基板に設けられる前記配線は、前記液晶パネルと前記バックライト用光源を駆動するための配線であり、
前記第1の電極パッドに接続される前記所定の配線は、前記バックライト用光源を駆動するための配線であり、
前記他のフレキシブルプリント基板は、前記バックライト光源を駆動するための配線を有するフレキシブルプリント基板であることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−294114(P2008−294114A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−136297(P2007−136297)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】