説明

フレグランス化合物

用品に芳香を付与する方法であり、少なくとも1つの式I


式中、
XおよびYは独立して、−CR、−NRおよび−ORからなる群から選択され、ここでR〜Rは、Hおよび少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、Rは、少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、および
Aは、少なくとも1つの酸素、硫黄、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分であり、ただし化合物A−CHOは芳香性アルデヒドである、
で表される化合物の添加を含む、前記方法。
洗濯、家庭用およびパーソナルケア製品におけるこれらの化合物の使用により、長持ちするフレッシュさを与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレグランスの提供ならびにこれを達成するための方法および化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
本来芳香性である物質の製品への添加によるフレグランスの提供は周知であり、広く使用されている。フレグランスを提供する代替の方法は、前駆体、すなわち、それ自体は芳香性ではないが、特定の状況下で、例えば光への曝露、pHの変化および酵素活性により、分解され、少なくとも1種の芳香性物質が生じる物質の使用によるものである。
【発明の概要】
【0003】
少なくとも1種の芳香性アルデヒド源を提供することにより、前駆体として作用することができる特定の種類の物質が発見された。したがって、本発明は、式I
【化1】

式中、
XおよびYは独立して、−CR、−NRおよび−ORからなる群から選択され、ここでR〜Rは、Hおよび少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、Rは、少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、および
Aは、少なくとも1つの酸素、硫黄、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分であり、ただし化合物A−CHOは芳香性アルデヒドである、
で表される少なくとも1種の化合物の添加を含む、用品(application)に芳香を付与する方法を提供する。
【0004】
本発明はさらに、フレグランスの前駆体として上に定義した式Iで表される化合物の使用を提供する。
【0005】
「少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分」(およびAの場合、少なくとも1つの硫黄原子も)によって、部分X、YおよびAは、本来は少なくとも大部分は炭化水素であることを意味し、すなわち、該部分は、主に炭素および水素を含むこととなり、所定の部分に存在する炭素原子数は、いずれの存在する酸素、窒素およびケイ素(および、Aの場合、硫黄)原子よりも多い。したがって、酸素原子が1つ存在する場合、少なくとも2つの炭素原子が当該部分に存在しなければならない。酸素、窒素、硫黄およびケイ素原子は、ほかの炭化水素鎖の一部であるか、あるいは直接(例えば、カルボニル基酸素または水酸基)または置換基の一部として(例えば、ニトリル基)鎖の炭素原子に結合してもよい。
【0006】
水素への波状の結合は、エチレン二重結合での配置はEまたはZ配置であってもよいことを意味する。個々の場合において、XおよびYの性質に依存して、一方または他方の異性体が好ましい場合があるが、これが通常そうであるわけではない。XおよびYに関し、そこで既存のいくつかの異なる立体異性体をもたらすキラル中心または置換二重結合などの立体単位が存在してもよい。いくつかの場合、これらは異なる強度の、またはさらに異なる特徴の香りをもたらし得、所望の場合、従来技術により分離し得る。しかしながら、これにより複雑性(したがって費用)が増し、化合物を立体異性体の混合物のままとするのが一般的に好ましい。
【0007】
Aは、A−CHOは芳香性アルデヒドであるという必要条件で定義される。かかる分子は、当該技術分野で周知である。部分Aが由来してもよい芳香性アルデヒドの例は、限定されないが、以下を含む。
【0008】
2,6,10−トリメチルウンデカ−9−エナール、
8,8−ジメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−ナフタレン−2−カルバルデヒド、
(4−イソプロピル−フェニル)−エタナール、
2,4−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド、
1,3,5−トリメチル−シクロヘキサ−1−エン−4−カルバルデヒド、
4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド、
ヘキサ−2−エナール、
【0009】
3,5,5−トリメチル−ヘキサナール、
ヘプタナール、
2,6−ジメチル−ヘプタ−5−エナール、
デカナール、
デカ−9−エナール、
デカ−4−エン−1−アール、
2−メチル−デカナール、
ウンデカ−10−エン−1−アール、
ウンデカナール、
ドデカナール、
2−メチル−ウンデカナール、
【0010】
トリデカナール、
トリデカ−2−エナール、
オクタナール、
ノナナール、
ノナ−2−エナール、
ウンデカ−9−エナール、
2−フェニル−プロパナール、
2−(4−メチル−フェニル)−エタナール、
3,7−ジメチル−オクタナール、
ジヒドロファルネサール、
7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−オクタナール、
【0011】
2,6−ジメチル−オクタ−5−エン−1−アール、
3−(3−イソプロピル−フェニル)−ブタナール、
2−(3,7−ジメチル−オクタ−6−エン−オキシ)−エタナール、
4−(4−メチル−ペンタ−3−エニル)−シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド、
2,3,5,5,−テトラメチル−ヘキサナール、
ロンギホル(longifolic)アルデヒド、
2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−ブタナール、
2−メチル−3−(4−tert−ブチルフェニル)−プロパナール、
3−(4−tert−ブチル−フェニル)−プロパナール、
2−(4−イソプロピル−フェニル)−プロパナール、
3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2−メチル−プロパナール、
【0012】
3,7−ジメチル−オクタ−6−エン−1−アール、
2−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)−プロパナール、
4−tert−ブチル−シクロヘキサン−1−カルバルデヒド、
4−(オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン−5−イリデン)−ブタナール、
(3,7−ジメチル−オクタ−6−エニルオキシ)−エタナール、
(2E,6Z)−ノナジエナール、
2,4−ジメチル−2,6−ヘプタジエナール、
(E)−デカ−2−エナール、
ドデカ−2−エナール、
3,7−ジメチル−オクタ−2,6−ジエナール、
2,4−ジエチル−ヘプタ−2,6−ジエナール、
3,7−ジメチル−ノナ−2,6−ジエナール、
3−プロピル−ヘプタ−2−エナール、および
4−イソプロペニル−シクロヘキサ−1−エン−1−カルバルデヒド。
【0013】
特定の態様において、XおよびYは独立して、以下の部分
(a)直鎖状または分枝状であり、酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C20アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、tert−ブチル;
(b)酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、例えばテトラヒドロフラニル、ピラニル、ピペリジニル、ピロリジニル;
(c)酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C20アルキルシクロアルキル、例えばメチルシクロヘキシル、エチルシクロヘキシル、メチルシクロペンチル;
【0014】
(d)酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C20シクロアルキルアルキル、例えば(4−メチル)−シクロヘキシル;
(e)直鎖状または分枝状であり、酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C10アルケニル、例えばプロペニル、イソプロペニル、イソブテニル;
(f)任意の置換基を有する、C〜C10アリール、例えばフェニル、o−またはp−メトキシフェニル;
(g)任意の置換基を有し、酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C10アルキルアリール、例えばベンジル、メトキシベンジル;
(g)C〜C10ヘテロアリール、例えばピリジニル、フラニル、ピリル、イミダゾリル;
【0015】
(h)−OR、式中、Rは、直鎖状または分枝状であり、酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有するC〜C20アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル、tert−ブチル;またはシクロペンチル、シクロヘキシル;または直鎖状または分枝状であるC〜C10アルケニル、例えばプロペニル、イソプロペニル、イソブテニル;またはC〜Cアリール、例えばフェニルまたはナフチル;および
(i)−NR、式中、RおよびRは互いに独立して、H;直鎖状または分枝状であり、酸素または窒素原子を任意に含有するC〜C20アルキル、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、イソブチル、2−エチルヘキシル;またはシクロペンチル、シクロヘキシル;またはNRは3、5または6員環を共に形成する
から選択され、
Aは、C〜C17直鎖状または分枝状アルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、C〜C15直鎖状または分枝状アルケニルおよびC〜C10アリールからなる群から選択される。
【0016】
化合物を調製する1つの方法は、クネーフェナーゲル縮合経由であり、ここで、芳香性アルデヒドは、第2級アミンなどの好適な触媒、例えば、ピペリジン、ピロリジン、ジメチルアミン、ジエチルアミンまたはアンモニウム塩、例えば、酢酸アンモニウムおよびエチレンジアミン二酢酸の存在下で好適な1,3−ジカルボニル化合物と反応する。多くの他の触媒は、この反応を促進し、有機合成における当業者に知られている。当該反応を、以下に図示する。
【化2】

【0017】
1,3−ジカルボニル化合物
【化3】

の基XおよびYは、当該反応において何ら貢献しないことから、化合物は、非常に広い範囲のかかる材料から選択してもよい。1,3−ジカルボニル化合物の具体例は、3−オキソ酪酸エチル、3−オキソ−3−フェニルプロピオン酸エチル、3−オキソ酪酸ベンジル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジベンジル、1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−(4−メトキシフェニル)−プロパン−1,3−ジオン(Parsol(登録商標) 1789)および1−(3,3−ジメチルシクロヘキシル)エチルマロン酸エチル(Musk Nouvelle(登録商標)、(IFF))を含む。
【0018】
化合物の具体例は、以下を含む。
【化4】

【0019】
これらの化合物のいくつかは既知である(しかしこの特定の目的のためではない)一方、他は新規である。例えば、上記の式のうち、番号(iv)、(v)、(vii)、(xi)〜(xvii)および(xx)は新規である。したがって、本発明はまた、式I
【化5】

式中、
i)XおよびYは同じであり、
a)−OR、式中、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ベンジルからなる群から選択される;または
b)フェニル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル;
から選択されるか、あるいは
【0020】
ii)XおよびYは異なり、以下の表
【表1】

から選択され、および
【0021】
Aは、分枝状または直鎖状のC〜C15アルキルおよびC〜C15アルケニル部分から選択され、これらはエーテル、ヒドロキシル、カルボニルまたはエステル部分として存在する酸素原子を任意に含む、
で表される化合物を提供する。
【0022】
上に記載した式Iの化合物のすべては、化合物またはそれらを堆積させた支持体に適用する液体水あるいは大気中の水蒸気である湿気への曝露の際、それらが芳香性アルデヒドを放出するという点で共通する。
【0023】
既述したように、1,3−ジカルボニル化合物
【化6】

の基XおよびYは、当該反応において何ら貢献せず、それらは、非常に広い範囲のかかる材料から選択してもよい。しかしながら、本発明のさらなる面において、それらは、化合物が、芳香性アルデヒドから分離されると、所望の機能を果たすように選択することができる。例えば、化合物自体が、芳香性材料としてまたは芳香性アルデヒドの修飾物質として、それ自体芳香性の特性を有してもよく、あるいは、他の芳香性材料がまた、本発明において有用な化合物が使用される組成物中に存在してもよい。別の可能性は、所定の用品における持続性または安定性を高め得ることである。第三の可能性は、組成物において完全に独立した機能を果たすことである。例えば、それは日焼け止め剤として作用してもよく、したがって、例えば、化粧品組成物にフレグランスおよび保護機能を同時に供給する。当事者は、多くの他の可能性のある使用を直ちに理解し、そのような機能を果たす1,3−ジカルボニル化合物を適当に調整することができるだろう。
【0024】
本発明は、香りの放出がある特定の時点で望ましく、湿気の存在によりもたらされる、芳香を用品に提供するのに有用である。本発明の文中「用品」とは、かかる効果が望ましいあらゆる使用を意味する。例は、洗濯での使用(乾燥機中または洗濯後の乾燥における洗浄液)、硬表面クリーナー、化粧品、保護クリーム、ヘアケア製品、肌用クリームおよびローションなどのパーソナルケア製品、高級フレグランスおよび空気清浄剤などの空気のケア製品における使用を含む。
【0025】
使用の際、化合物を、あらゆる他の好適な遊離フレグランス材料と組み合わせてよい。例えば、遊離フレグランスアルデヒドを、遊離フレグランスが即時のインパクトを送達し、本発明の化合物が長続きするフレグランスを提供するよう、組み合わせてもよい。本発明の化合物を使用することにより、それら自体は十分ではない多くの芳香性アルデヒドの強力なフローラル−フレッシュなインパクトを、アルデヒドを香水中に過剰添加する必要なく、かかる長持ちするフレッシュさが望ましい多くの用品において長引かせることができる。これにより、フレグランスの創作の新たな可能性が開ける。
【0026】
本発明において使用される化合物は、市販の製品に従来の割合で、当該技術分野で認められている方法によって、組み込んでもよい。市販の製品は、洗浄および洗濯洗剤、柔軟剤およびコンディショナー、ヘアケアおよびスキンケア調製物などのパーソナルケア製品、石鹸およびローションを含む。それらは、かかる組成物内に直接組み込んでもよく、あるいは、それらは、好適な粒子状物質に吸着させたまたは噴霧乾燥させたマイクロカプセルなどの担体と併せて添加してもよい。
【0027】
本発明の特定の特色の1つは、上述のクネーフェナーゲル合成を使用する場合、化合物を製造工場で作り、ユーザーに輸送する必要がなく、その場で作ってもよいことである。したがって、それらを単純かつ簡単に現場で作り、それらの存在が望ましい組成物に直接添加することができる。これは、豊富な多用途性を与え、ユーザーが、配達を待つことなく、現地で所望の化合物を作ることを可能にする。したがって、本発明はまた、芳香組成物の製造方法を提供し、ここで、フレグランスは湿気への曝露によって徐々に放出され、該方法は、
(a)式II
【化7】

式中、XおよびYは上に定義したとおりであり、クネーフェナーゲル縮合が行われる条件下で塩基の存在下で芳香性アルデヒドを有する、
で表される化合物を配合するステップ
および
(b)(a)の生成物を組成物に添加するステップ
を含む。
【0028】
その場でクネーフェナーゲル縮合、すなわち上述の方法のステップa)を行なうことが可能となる条件はまた、噴霧乾燥などの加熱脱水法を含む。そこでは、式IIで表される化合物を1種または数種の芳香性アルデヒドおよび塩基と一緒にした混合物を、任意の担体材料および界面活性剤を含有する水性乳剤として処方する。そしてこの乳剤を噴霧乾燥し、それによって式Iの生成物を含有する固体粒子を製造する。
【0029】
ここで、本発明をさらに、好ましい態様を記述する以下の非限定の例を参照に説明する。
【0030】
例1:
下式で表される化合物である2−ベンゾイル−デカ−2−エン酸エチルエステルの調製
【化8】

ピペリジン(0.10ml、0.5mol%)を、5℃のオクタナール(25.6g、0.20mol)およびベンゾイル酢酸エチル(38.4g、0.20mol)の混合物に添加する。得られる溶液を室温に加温し、24時間攪拌すると、その間に細かい乳剤が形成される。混合物を、メチルt−ブチルエーテルで希釈し、有機相を2Nの塩酸溶液、水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥する。
【0031】
溶剤を真空除去し、129〜135℃/0.1mbarで沸騰させて、残渣を精製し、18.0g(38%)の製品をE/Z混合物として得る。
【数1】

【数2】

【0032】
例2〜12
以下の化合物を、適切な芳香性アルデヒドおよび1,3−ジカルボニル化合物を使って、請求項1に記載の方法により作る。
【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】
【表4】

【0036】
【表5】

【0037】
【表6】

【0038】
【表7】

【0039】
(*)製品が、約15%の2−(1−ヒドロキシ−エチリデン)−デカ−3−エン酸2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチルエステルを含有する。出発材料である3−オキソ−酪酸2−(2−メトキシ−エトキシ)−エチルエステルを以下のように調製する。
【0040】
アセト酢酸エチル(39.0g、0.30mol)およびジエチレングリコールモノメチルエーテル(36.0g、0.30mol)を110℃(油浴温度)に加熱し、オルトチタン酸テトライソプロピル(0.60ml、2.0mmol、0.7mol%)を添加する。温度をさらに150℃に上げる。30分後、メタノール(5g)を留去し、収集する。温度をさらに8時間維持する一方、装置内の圧力を800mbarに下げる。室温に下げた後、残渣を65〜120℃/0.06mbarで蒸留し、約10%のジエチレングリコールモノメチルエーテルを含有する30.5gの製品を単離する(収率44%)。
【0041】
【数3】

【数4】

【0042】
例13
柔軟剤における利用
2種のエステルクオートタイプの標準の無香料の柔軟剤基剤の試料の夫々に以下の1つを添加する。
1)0.20%wt/wtの2−メチルウンデセナール
2)0.32%wt/wtの2−アセチル−4−メチルトリデカ−2−エン酸エチル(例11)、0.20%wt/wtの2−メチルウンデカナールと同等。
【0043】
これらの基剤を、木綿製テリー織のタオルを入れた洗濯機のすすぎサイクルに添加する。遠心分離後、タオルを訓練を受けた評価員の一団により嗅覚評価する。香りの点数は、定められた時間に各タオルに起因し、以下のとおりである:0(香りなし)、1(非常に弱い)、2(弱い)、3(中程度)、4(強い)および5(非常に強い)。すべての評価員からのスコアの算術平均を、以下の表に報告する。
【表8】

【0044】
1日目から6日目は、本発明の化合物を含有する柔軟剤基剤で洗浄したタオルは、強力な2−メチルウンデカナールのノートを示すのに対し、遊離アルデヒドを含有する基剤で洗浄したタオルは、ほぼ無臭である。
【0045】
例14
液体洗剤における利用
4種の標準の無香料の重質液体洗剤基剤の試料の夫々に以下の1つを添加する。
1)0.20%wt/wtの2−メチルウンデセナール
2)0.32%wt/wtの2−アセチル−4−メチルトリデカ−2−エン酸エチル(例11)、0.20%wt/wtの2−メチルウンデカナールと同等。
3)0.20%wt/wtの3−(3−イソプロピルフェニル)ブタナール
4)0.32%wt/wtの2−アセチル−5−(3−イソプロピルフェニル)ヘキサ−2−エン酸エチル(例10)、0.20%wt/wtの3−(3−イソプロピルフェニル)ブタナール)と同等。
【0046】
これらの試料に対し、木綿製テリー織のタオルを入れた4つの独立した洗濯サイクルを行う。例3に記載したように、個々のタオルを訓練を受けた評価員の一団により嗅覚評価する。結果を、以下の表に示す。
【0047】
【表9】

【0048】
湿潤から3日目まで、本発明の化合物を含有する液体洗剤基剤で洗浄したタオルは、強力な2−メチルウンデカナールのノートを示すのに対し、遊離アルデヒドを含有する基剤で洗浄したタオルは、ほぼ無臭である。同様に、2−アセチル−5−(3−イソプロピルフェニル)ヘキサ−2−エノエートで洗浄したタオルは、乾燥したタオルから1日後に強力なFlorhydralのノートを示したのに対し、遊離Florhydralで洗浄したタオルは、非常に弱いにおいしか示さない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用品に芳香を付与する方法であって、少なくとも1つの式I
【化1】

式中、
XおよびYは独立して、−CR、−NRおよび−ORからなる群から選択され、ここでR〜Rは、Hおよび少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、Rは、少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、および
Aは、少なくとも1つの酸素、硫黄、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分であり、ただし化合物A−CHOは芳香性アルデヒドである、
で表される化合物の添加を含む、前記方法。
【請求項2】
フレグランスの前駆体としての請求項1に記載の式Iで表される化合物の使用。
【請求項3】
部分Aが由来する芳香性アルデヒドが、2,6,10−トリメチルウンデカ−9−エナール、8,8−ジメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロ−ナフタレン−2−カルバルデヒド、(4−イソプロピル−フェニル)−エタナール、2,4−ジメチル−シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド、1,3,5−トリメチル−シクロヘキサ−1−エン−4−カルバルデヒド、4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド、ヘキサ−2−エナール、3,5,5−トリメチル−ヘキサナール、ヘプタナール、2,6−ジメチル−ヘプタ−5−エナール、デカナール、デカ−9−エナール、デカ−4−エン−1−アール、2−メチル−デカナール、ウンデカ−10−エン−1−アール、ウンデカナール、ドデカナール、2−メチル−ウンデカナール、トリデカナール、トリデカ−2−エナール、オクタナール、ノナナール、ノナ−2−エナール、ウンデカ−9−エナール、2−フェニル−プロパナール、2−(4−メチル−フェニル)−エタナール、3,7−ジメチル−オクタナール、ジヒドロファルネサール、7−ヒドロキシ−3,7−ジメチル−オクタナール、2,6−ジメチル−オクタ−5−エン−1−アール、3−(3−イソプロピル−フェニル)−ブタナール、2−(3,7−ジメチル−オクタ−6−エン−オキシ)−エタナール、4−(4−メチル−ペンタ−3−エニル)−シクロヘキサ−3−エン−1−カルバルデヒド、2,3,5,5,−テトラメチル−ヘキサナール、ロンギホルアルデヒド、2−メチル−4−(2,6,6−トリメチルシクロヘキサ−2−エン−1−イル)−ブタナール、2−メチル−3−(4−tert−ブチルフェニル)−プロパナール、3−(4−tert−ブチル−フェニル)−プロパナール、2−(4−イソプロピル−フェニル)−プロパナール、3−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−2−メチル−プロパナール、3,7−ジメチル−オクタ−6−エン−1−アール、2−メチル−3−(4−イソプロピルフェニル)−プロパナール、4−tert−ブチル−シクロヘキサン−1−カルバルデヒド、4−(オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン−5−イリデン)−ブタナール、(3,7−ジメチル−オクタ−6−エニルオキシ)−エタナール、(2E,6Z)−ノナジエナール、2,4−ジメチル−2,6−ヘプタジエナール、(E)−デカ−2−エナール、ドデカ−2−エナール、3,7−ジメチル−オクタ−2,6−ジエナール、2,4−ジエチル−ヘプタ−2,6−ジエナール、3,7−ジメチル−ノナ−2,6−ジエナール、3−プロピル−ヘプタ−2−エナール、および4−イソプロペニル−シクロヘキサ−1−エン−1−カルバルデヒドからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
XおよびYが独立して、以下の部分
(a)直鎖状または分枝状であり、酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C20アルキル;
(b)酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル;
(c)酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C20アルキルシクロアルキル;
(d)酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C20シクロアルキルアルキル;
(e)直鎖状または分枝状であり、酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C10アルケニル;
(f)フェニル、o−またはp−メトキシフェニルなどの、任意の置換基を有する、C〜C10アリール;
(g)任意の置換基を有し、酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有する、C〜C10アルキルアリール;
(g)C〜C10ヘテロアリール;
(h)−OR、式中、Rは、直鎖状または分枝状であり、酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含有するC〜C20アルキル、あるいは直鎖状または分枝状であるC〜C10アルケニル、あるいはC〜Cアリール;および
(i)−NR、式中、RおよびRは互いに独立してH、直鎖状または分枝状であり、酸素または窒素原子を任意に含有するC〜C20アルキル、あるいはシクロペンチル、シクロヘキシル、あるいはNRは3、5または6員環を共に形成する
から選択され、
Aが、C〜C17直鎖状または分枝状アルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキルまたはシクロアルキルアルキル、C〜C15直鎖状または分枝状アルケニルおよびC〜C10アリールからなる群から選択される、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
フレグランスが湿気への曝露によって徐々に放出される芳香組成物の製造方法であって、
(a)式II
【化2】

式中、XおよびYは独立して、−CR、−NRおよび−ORからなる群から選択され、ここでR〜Rは、Hおよび少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、Rは、クネーフェナーゲル縮合が行われる条件下で塩基の存在下で芳香性アルデヒドを有する少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択される、
で表される化合物を配合するステップ
および
(b)(a)の生成物を組成物に添加するステップ
を含む、前記方法。
【請求項6】
式I
【化3】

式中、
i)XおよびYは同じであり、
a)−OR、式中、Rは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ベンジルからなる群から選択される;または
b)フェニル、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル;
から選択されるか、あるいは
ii)XおよびYは異なり、以下の表
【表1】

から選択され、および
Aは、分枝状または直鎖状のC〜C15アルキルおよびC〜C15アルケニル部分から選択され、これらはエーテル、ヒドロキシル、カルボニルまたはエステル部分として存在する酸素原子を任意に含む、
で表される化合物。
【請求項7】
既知の用品原料および少なくとも1つの式I
【化4】

式中、
XおよびYは独立して、−CR、−NRおよび−ORからなる群から選択され、ここでR〜Rは、Hおよび少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、Rは、少なくとも1つの酸素、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分から選択され、および
Aは、少なくとも1つの酸素、硫黄、窒素またはケイ素原子を任意に含む本質的に炭化水素である部分であり、ただし化合物A−CHOは芳香性アルデヒドである、
で表される化合物を含む、用品。
【請求項8】
洗濯製品、硬表面クリーナー、化粧品、保護クリーム、パーソナルケア製品、クレンジング製品、肌用クリームおよびローション、高級フレグランスおよび空気のケア製品から選択される、請求項7に記載の用品。

【公表番号】特表2009−540066(P2009−540066A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−514609(P2009−514609)
【出願日】平成19年6月13日(2007.6.13)
【国際出願番号】PCT/CH2007/000294
【国際公開番号】WO2007/143873
【国際公開日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(501105842)ジボダン エス エー (158)
【Fターム(参考)】