説明

フローティングコネクタ

【課題】さらなる狭ピッチ化を図りながらも、フローティング量は狭ピッチ化と同等量を確保でき、また塵埃等の悪環境に対しても強いフローティングコネクタを提供する。
【解決手段】フローティングコネクタを、水平方向に並列配置される第1及び第2プリント基板1A,1Bに実装する第1及び第2ソケット2A,2Bと、第1及び第2ソケット2A,2B間を繋ぐプラグ3とで構成し、第1及び第2ソケット2A,2Bと嵌合するプラグ3両端部の第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30中間部を略全長にわたって上から覆う中間絶縁部材50を備え、該中間絶縁部材50が下面に各プラグコンタクト30中間部を挿通する複数のコンタクト溝53を並列に設け、プラグコンタクト30中間部の絶縁を確保する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器内部のプリント基板間を接続するコネクタに関し、詳しくは、水平方向に並列配置(実装)されるプリント基板同士を、その前後左右方向及び上下方向の3方向のずれを吸収して、水平に接続するフローティングコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種フローティングコネクタは、電子機器の多機能化や小形化により機器内部のプリント基板に実装される部品として、さらなる高密度実装化、小型化が求められ、それに対応すべく従来よりコンタクト(端子)間ピッチの狭ピッチ化が図られている。
【0003】
しかしながら、従来のフローティングコネクタでは、プリント基板間を接続しているプラグ側の可撓性を有しかつ中間部を長さ方向に沿って屈曲させることにより長さ方向に弾性(伸縮性)を持たせた複数の細長い導体からなるプラグコンタクトが、両端部では絶縁体ブロックやプリント基板に実装されるソケットと嵌合するプラグ型絶縁体ブロックによって絶縁が保持されているものの、中間部では別の絶縁部材により部分的に等間隔に保持されているだけで、隣接するプラグコンタクト間の相互接触により短絡する虞があり、フローティング量を抑えない限り、コンタクト間ピッチは小さくできず、狭ピッチ化の限界に達している。
【0004】
また、隣接するプラグコンタクト間での塵埃等の導電性の異物介在による短絡の虞もあり、それがコンタクト間ピッチを小さくすると益々起こり易くなるため、狭ピッチ化の限界に達している。
【0005】
上記のような従来のフローティングコネクタは、例えば特許文献1,2,3で知られている。
【特許文献1】特開平2−50975号公報
【特許文献2】特開平3−79180号公報
【特許文献3】特開平4−28186号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、従来のフローティングコネクタでは、フローティング量を損なわずに狭ピッチ化できない点、塵埃等の悪環境に対して弱く狭ピッチ化できない点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、複数のソケットコンタクトを絶縁性のソケットボディに並列に保持してなり、水平方向に並列配置される第1及び第2プリント基板に実装する第1及び第2ソケットと、細長い導体からなり可撓性を有する複数のプラグコンタクトの両端部を絶縁性の第1及び第2プラグボディに並列に保持してなるプラグとを備え、前記プラグの第1及び第2プラグボディを前記第1及び第2ソケットのソケットボディに嵌合し、前記プラグの各プラグコンタクトの両端部を前記第1及び第2ソケットのソケットコンタクトに接触保持させ、前記第1及び第2プリント基板を水平に接続するフローティングコネクタにおいて、前記プラグが、第1及び第2プラグボディ間の各プラグコンタクトを略全長にわたって上から覆う中間絶縁部材を備え、該中間絶縁部材が下面に第1及び第2プラグボディ間の各プラグコンタクトを挿通する複数のコンタクト溝を並列に設けることを特徴とする。
【0008】
各プラグコンタクトの中間部が中間絶縁部材のコンタクト溝に挿通されているため、コンタクト間ピッチを小さくしてもプラグコンタクトの絶縁が保持でき、隣接するプラグコンタクト間の相互接触で短絡を起こすことはなく、狭ピッチ化に伴いフローティング量を抑える必要はなくなる。
【0009】
また、各プラグコンタクトの中間部が中間絶縁部材で上から覆われているため、隣接するプラグコンタクト間での塵埃等の導電性の異物介在による短絡も起こり難くなり、塵埃等の悪環境に強くなる。そして、中間絶縁部材はコンタクト間ピッチの大小に関係なく同じ機能を発揮し、コンタクト間ピッチを小さくしてもプラグコンタクトの絶縁を保持できる。
【0010】
中間絶縁部材は第1及び第2プラグボディと別体/一体の何れでもプラグに備えることができる。別体に備える場合には金型製作での負担を軽減でき、一体に備える場合は部品点数の削減により組み立てでの負担を軽減できる。また一体に備える場合は第1及び第2プラグボディと中間絶縁部材を可撓性を有するリブで一体に繋ぐことにより、中間絶縁部材がフローティングを妨害しない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、さらなる狭ピッチ化を図りながらも、フローティング量は狭ピッチ化前と同等量を確保でき、電子機器の多機能化や小型化に貢献でき、塵埃等の悪環境に対しても強いフローティングコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図12を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態に係るフローティングコネクタの底面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は図2のソケットとプラグを分離した状態を示す断面図、図4は図1のB−B断面図、図5は図4のソケットとプラグを分離した状態を示す断面図、図6はソケットの外観を示す斜視図、図7はプラグの外観を示す斜視図、図8の(A)はプラグの底面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の右側面図、図9の(A)はプラグコンタクト用連続端子の側面図、(B)は(A)の平面図、図10の(A)はプラグボディの底面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の左側面図、(D)は(A)の右側面図、(E)は(A)の背面図、(F)は(A)のA−A線断面図、図11の(A)は中間絶縁部材の底面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の右側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)のA−A線断面図、図12(A)(B)(C)はフローティングの説明図である。
【0013】
図1〜図5において、1A,1Bは例えば薄型TV等の電子機器内部に水平方向に並列配置(実装)される第1及び第2プリント基板であり、この第1及び第2プリント基板1A,1Bの向き合う端部側の上面(部品実装面)に、本発明の実施の形態に係るフローティングコネクタを後述するプラグとで構成する第1及び第2ソケット2A,2Bが実装されている。この第1及び第2ソケット2A,2Bは同じものであり、第1及び第2プリント基板1A,1Bが機器内部の決められた位置にずれることなく装着されたとき、図1に示す第1及び第2プリント基板1A,1B間のセンターラインLを対称軸として対称に配置される。
【0014】
図1〜図6に示すように、第1及び第2ソケット2A,2Bは、絶縁樹脂からなる横長な略直方体状のソケットボディ20の前部に後述するプラグのプラグボディを上方から挿入して嵌合するプラグ嵌合凹部21を設け、このプラグ嵌合凹部21の後側に下端をソケットボディ20の下面に開放しかつプラグ嵌合凹部21との隔壁を破ってそのプラグ嵌合凹部21と連通する複数の細幅なコンタクト溝22が左右横方向に一定の隙間を設けて所定ピッチで並列に設けられ、この各コンタクト溝22に長さ方向に沿って略逆U字状に曲げられた細長い導体からなるソケットコンタクト23が1本づつ下方から嵌め込まれ、隣接するソケットコンタクト23間で相互接触しないように絶縁状態で保持されている。
【0015】
各ソケットコンタクト23は、折返し部より一側がコンタクト溝22の左右溝壁間で挟持されて後側の溝壁に沿って固定され、折返し部より他側がコンタクト溝22の左右溝壁との隙間で片持ち梁の可動接片24になっており、この可動接片24先端の接点部がプラグ嵌合凹部21に突出されている。ソケットコンタクト23の反対側の端部はソケットボディ20の下面と略面一になるように略水平に屈曲されてコンタクト溝22からソケットボディ20の後側に突出され、第1及び第2プリント基板1A,1Bに対する表面実装用の半田付け部25になっている。
【0016】
上記のように第1及び第2ソケット2A,2Bは、複数のソケットコンタクト23をプラグ嵌合凹部21を設ける絶縁性のソケットボディ20に一定の間隔を設けて所定ピッチで並列に保持した表面実装部品として構成されている。
【0017】
また、第1及び第2ソケット2A,2Bは、ソケットボディ20の下面に第1及び第2ソケット2A,2Bの実装時に第1及び第2プリント基板1A,1B側の位置決め用孔2に嵌合して、第1及び第2ソケット2A,2Bを第1及び第2プリント基板1A,1Bに対して位置決めするための位置決め用突起26が設けられ、ソケットボディ20の左右側面にL形の補強端子27が取り付けられ、この補強端子27の曲げ部より先端側がソケットボディ20の下面と略面一にソケットボディ20の左右横外側に突出され、第1及び第2プリント基板1A,1Bの上面に対する半田付け部27aになっている。ソケットボディ20の後側面にはプラグ固定用の係合爪28が設けられている。なお、ソケットボディ20のプラグ嵌合凹部21より後側の平坦上面29は第1及び第2ソケット2A,2Bの自動実装用(表面実装用)の吸着スペースになっている。
【0018】
そして、第1及び第2ソケット2A,2Bは、自動供給装置(フィーダ)から自動搭載装置(マウンタ)に連続供給され、自動搭載装置のヘッドに取り付けられた吸着ノズルによってソケットボディ20の平坦上面29が吸着されて第1及び第2基板1A,1B上面の決められた位置に移載される。この後、リフロー炉に通されて各ソケットコンタクト23の半田付け部25が第1及び第2基板1A,1Bの電極にリフロー半田付けされると共に、各補強端子27の半田付け部27aが第1及び第2基板1A,1Bの電極以外の上面部分に半田付けされ、機械的に固定及び電気的に接続される(表面実装)。
【0019】
次に、上記のような第1及び第2ソケット2A,2Bとで本発明の実施の形態に係るフローティングコネクタを構成するプラグ3について説明する。
【0020】
図1〜図5及び図7〜図11に示すように、プラグ3は、細長い導体からなり可撓性を有する、第1及び第2ソケット2A,2Bのソケットコンタクト23と同数のプラグコンタクト30と、この各プラグコンタクト30の両端部をソケットコンタクト23と同じ間隔、ピッチで並列に保持する絶縁樹脂からなる第1及び第2プラグボディ40A,40Bと、この第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30、つまり各プラグコンタクト30の中間部を両端部と同じ間隔、ピッチで並列に保持する中間絶縁部材50とで構成されている。
【0021】
図1〜図3及び図7〜図9に示すように、各プラグコンタクト30は、その両端部にプラグコンタクト30が長さ方向に沿って略U字状に屈曲して下向きに突出した第1及び第2屈曲端部31A,31Bを設けると共に、各プラグコンタクト30にその長さ方向に弾性(伸縮性)を持たせるために、各プラグコンタクト30の中央部に各プラグコンタクト30が長さ方向に沿って略U字状に屈曲して下向きに突出した中央屈曲部32が設けられ、図1に示す第1及び第2プリント基板1A,1B間のセンターラインLを対称軸として対称に形成されている。
【0022】
図1〜図5及び図7,図8,図10に示すように、第1及び第2プラグボディ40A,40Bは同じものであり、ソケットボディ20のプラグ嵌合凹部21に上方から挿入して嵌合する横長な略直方体状のボディ本体41にこの前側面、下面、後側面の3表面に沿う略U字状の細幅なコンタクト溝42を設けると共に、このコンタクト溝42をプラグコンタクト30と同じ数だけボディ本体41の左右横方向に一定の間隔を設けてかつ第1及び第2ソケット2A,2Bのコンタクト溝22と同ピッチで並列に設けている。またボディ本体41の上端にはボディ本体41がソケットボディ20のプラグ嵌合凹部21に嵌合時、ソケットボディ20の外側に上方から嵌合し、ソケットボディ20の上面、前側面の左右両端部、左右側面、後側面を一体的に覆うカバー43が一体に形成されている。さらにカバー43にはこの上部後側の角部にボディ本体41と略同じ横幅の矩形状の係合孔44が開口され、この係合孔44の上向きの開口端縁が第1及び第2ソケット2A,2B側の係合爪28に対するプラグ3側の係合面44aになっている。
【0023】
そして、各プラグコンタクト30の第1及び第2屈曲端部31A,31Bが第1及び第2プラグボディ40A,40Bの各コンタクト溝42に1本づつ嵌め込まれ、第1及び第2プラグボディ40A,40Bのボディ本体41の表面で一定の間隔を設けてかつソケットコンタクト25と同ピッチで並列に保持され、隣接するプラグコンタクト30間が第1及び第2屈曲端部31A,31Bで相互接触しないように絶縁状態で保持され、第1及び第2プラグボディ40A,40Bが図1に示す第1及び第2プリント基板1A,1B間のセンターラインLを対称軸として対称に配置されている。
【0024】
図2,図3に示すように、第1及び第2プラグボディ40A,40Bの各コンタクト溝42は、ボディ本体41の後側面に沿う部分がプラグコンタクト30の厚さ寸法と略同じ深さ寸法に形成され、ボディ本体41の下面に沿う折返し部分がボディ本体41の後側面に沿う部分よりやや深く、ボディ本体41の前側面に沿う部分がボディ本体41の下面に沿う部分よりさらに深くなるように形成されており、各プラグコンタクト30の第1及び第2屈曲端部31A,31Bは、ボディ本体41の後側で下から上に立ち上がっている部分とボディ本体41の下側の折返し部分がコンタクト溝42のボディ本体41の後側面及び下面に沿う部分の左右溝壁間で挟持されてその溝底面に沿って固定され、ボディ本体41の前側で下から上に立ち上がっている部分がコンタクト溝42のボディ本体41の前側面に沿う部分にその溝底面との間に隙間T1を設けるように挿通されてその左右溝壁との隙間で揺動できるようになっており、これによって各プラグコンタクト30にその長さ方向に弾性(伸縮性)を持たせている。
【0025】
図1〜図5及び図7,図8,図11に示すように、中間絶縁部材50は、各プラグコンタクト30の中間部をその略全長にわたって上から一括に覆う横長な矩形平板状のカバー部51と、このカバー部51の下面中央部から一体に垂下され、各プラグコンタクト30の中央屈曲部32に嵌り込む嵌合部51aとで断面T字形に形成され、この中間絶縁部材50の下側表面にカバー部51の第1プラグボディ40A側の端から第2プラグボディ40B側の端にわたって前後方向に連続して延びる細幅なコンタクト溝53を設けると共に、このコンタクト溝53をプラグコンタクト30と同じ数だけ中間絶縁部材50の左右横方向に第1及び第2プラグボディ40A,40Bのコンタクト溝42と同じ間隔、ピッチで並列に設けている。また嵌合部52の左右側面中央部から板状の取手片54を垂直に突出形成している。
【0026】
そして、各プラグコンタクト30の中間部が中間絶縁部材50の各コンタクト溝53に1本づつ嵌め込まれ、中間絶縁部材50の下側表面で各プラグコンタクト30の第1及び第2屈曲端部31A,31Bと同じ間隔、ピッチで並列に保持され、隣接するプラグコンタクト30が中間部で相互接触しないように絶縁状態で保持され、中間絶縁部材50が図1に示す第1及び第2プリント基板1A,1B間のセンターラインLを対称軸として対称に形成されている。
【0027】
図2,図3に示すように、中間絶縁部材50の各コンタクト溝53は、カバー部51の下面に沿う水平部分でプラグコンタクト30の厚さ寸法よりやや大きい深さ寸法に形成され、嵌合部52表面の略U字状の中央屈曲部分がその両側の水平部分より深くなるように形成されると共に、溝幅がその全長にわたってプラグコンタクト30の中間部の横幅寸法よりやや大きい寸法に形成されており、各プラグコンタクト30の第1及び第2屈曲端部31A,31Bと中央屈曲部32間の水平部分が各コンタクト溝53のカバー部51の下面に沿う水平部分に挿通されてその溝底面に当接し、中間絶縁部材50を下から支えると共に、各プラグコンタクト30の中央屈曲部32が各コンタクト溝53の中央屈曲部分にその溝底面との間に隙間T2を設けるように挿通され、中間絶縁部材50が各プラグコンタクト30の中間部の上に載置され、各プラグコンタクト30の中間部が中間絶縁部材50のカバー部50によって上から覆われている。
【0028】
また、各プラグコンタクト30の中央屈曲部32が各コンタクト溝53の中央屈曲部分にその溝底面との間に隙間T2を設けるように挿通されてその左右溝壁との隙間で、各プラグコンタクト30の中央屈曲部32における下端折返し部から一側の部分と他側の部分が揺動できるようになっていると共に、この揺動に伴ってプラグコンタクト30の第1及び第2屈曲端部31A,31Bと中央屈曲部32間の水平部分がコンタクト溝53の中央屈曲部分の両側の水平部分の左右溝壁との隙間で水平方向に移動できるようになっており、これによって各プラグコンタクト30にその長さ方向に弾性(伸縮性)を持たせている。
【0029】
上記のようにプラグ3は、細長い導体からなり可撓性を有する複数のプラグコンタクト30の両端部を絶縁性の第1及び第2プラグボディ40A,40Bに一定の間隔を設けて第1及び第2ソケット2A,2Bのソケットコンタクト23と同ピッチで並列に保持すると共に、第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30を略全長にわたって上から覆う中間絶縁部材50を備え、この中間絶縁部材50の下面に第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30を挿通する複数のコンタクト溝53を並列に設け、中間絶縁部材50によって第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30を略全長にわたって一定の間隔を設けて第1及び第2ソケット2A,2Bのソケットコンタクト23と同ピッチで並列に保持して構成されている。
【0030】
また、プラグ3の組み立ては図9に示す連鎖状のプラグコンタクトである連続端子300の第1及び第2屈曲端部31A,31Bを第1及び第2プラグボディ40A,40Bのコンタクト溝42に嵌め込んだ後、その第1及び第2プラグボディ40A,40B間の連続端子300に中間絶縁部材50を組み付け、組み付けた中間絶縁部材50が外れないように、その中間絶縁部材50の下側表面を部分的に、例えば四隅(図8(A)の丸で囲った部分)を熱溶着して、両外側の数本のコンタクト溝53についてその両端部の下向きの開口を閉じ、最後に図9の破線で示す位置で連続端子300を両端のキャリア部301と個々のプラグコンタクト30に切断分離して完了する。
【0031】
そして、上記のように構成されたプラグ3は、図3及び図5に示すように、第1プラグボディ40Aを第1プリント基板1Aに実装された第1ソケット2Aの上方に対向させると共に、第2プラグボディ40Bを第2プリント基板1Bに実装された第2ソケット2Bの上方に対向させた状態で、第1プラグボディ40Aのボディ本体41を第1ソケット2Aのソケットボディ20に設けられたプラグ嵌合凹部21に上方から挿入して嵌合し、また第2プラグボディ40Bのボディ本体41を第2ソケット2Bのソケットボディ20に設けられたプラグ嵌合凹部21に上方から挿入して嵌合することによって、図1及び図2,図4に示すように、第1プラグボディ40Aのボディ本体41に並列に保持された各プラグコンタクト30の第1屈曲端部31Aが第1ソケット2Aのソケットボディ20に並列に保持された各ソケットコンタクト23の可動接片24先端の接点部に接触保持され、また第2プラグボディ40Bのボディ本体41に並列に保持された各プラグコンタクト30の第2屈曲端部31Bが第2ソケット2Bのソケットボディ20に並列に保持された各ソケットコンタクト23の可動接片24先端の接点部に接触保持される。これによって第1ソケット2Aと第2ソケット2Bがプラグ3によって繋がれ、第1プリント基板1Aと第2プリント基板1Bが電気的に接続される。
【0032】
上記のように第1及び第プリント基板1A,1B間を接続する際、図12の(A)に示すように、第1及び第2プリント基板1A,1B間に各ソケットコンタクト23及び各プラグコンタクト30の配列方向に沿ってずれYがある場合でも、プラグ3は第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30がその幅方向に撓むことによって、ずれYを吸収して第1及び第プリント基板1A,1B間を確実に接続することができ、また図12の(B)に示すように、第1及び第2プリント基板1A,1B間に各ソケットコンタクト23及び各プラグコンタクト30の配列方向とは直交する第1及び第2プリント基板1A,1B間方向(プラグコンタクト30の長さ方向)に沿ってずれXがある場合でも、プラグ3は各プラグコンタクト3の長さが中央屈曲部32と第1及び第2屈曲端部31A,31Bによって変化することによって、ずれXを吸収して第1及び第プリント基板1A,1B間を確実に接続することができ、さらに図12の(C)に示すように、水平方向に並列配置される第1及び第2プリント基板1A,1B間に垂直方向に沿ってずれZがある場合でも、プラグ3は第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30がその厚み方向に撓むことによって、ずれZを吸収して第1及び第プリント基板1A,1B間を確実に接続することができる。
【0033】
上記のようにプラグ3は各プラグコンタクト30の可撓性によって第1及び第プリント基板1A,1B間のずれY,X,Zを吸収する(フローティング)。この際、各プラグコンタクト30の中間部が中間絶縁部材50のコンタクト溝53に挿通されているため、そのコンタクト間ピッチを小さくしてもプラグコンタクト30の絶縁が保持でき、隣接するプラグコンタクト30間の相互接触で短絡を起こすことはなく、狭ピッチ化に伴いフローティング量を抑える必要はなくなる。
【0034】
また、各プラグコンタクト30の中間部が中間絶縁部材50で上から覆われているため、隣接するプラグコンタクト30の中間部での塵埃等の導電性の異物介在による短絡も起こし難くなり、塵埃等の悪環境に強くなる。そして、中間絶縁部材50はコンタクト間ピッチの大小に関係なく同じ機能を発揮し、コンタクト間ピッチを小さくしてもプラグコンタクト30の絶縁を保持できる。
【0035】
従って、さらなる狭ピッチ化を図りながらも、フローティング量は従来と同等量を確保でき、電子機器の多機能化や小型化に貢献でき、塵埃等の悪環境に対しても強いフローティングコネクタになっている。
【0036】
第1及び第2プラグボディ40A,40Bは、ボディ本体41をソケットボディ20のプラグ嵌合凹部21に嵌合時に、ボディ本体41の上端に一体に形成されたカバー43がソケットボディ20の外側に上方から嵌合し、ソケットボディ20の上面、前側面の左右両端部、左右側面、後側面を一体的に覆い、各プラグコンタクト30の第1屈曲端部31Aと第1ソケット2Aの各ソケットコンタクト23の接点部及び第2屈曲端部31Bと第2ソケット2Bの各ソケットコンタクト23の接点部への塵埃等の導電性異物の侵入を抑え、高い接触信頼性を確保している。
【0037】
第1及び第2プラグボディ40A,40Bは、カバー43がソケットボディ20の外側に嵌合時に、ソケットボディ20の後側面に設けられたプラグ固定用の係合爪28がカバー43に開口された係合孔44の内側に嵌り込み、この係合孔44の上向きの開口端縁でなる係合面44aが係合爪28に下側から対向し、第1及び第2プラグボディ40A,40Bの上方への移動が規制され(抜け止め)、第1プラグボディ40Aが第1ソケット2Aのソケットボディ20に固定され、第2プラグボディ40Bが第2ソケット2Bのソケットボディ20に固定され、プラグ3が第1及び第2ソケット2A,2B間(第1及び第2プリント基板1A,1B間)に固定される。
【0038】
次に、本発明の実施の形態に係るフローティングコネクタのプラグ側の変形構造について図13〜図17を参照して説明する。
【0039】
上記プラグ3は、中間絶縁部材50をプラグボディ40A,40Bと別に成形して別体で備え、プラグコンタクト30とプラグボディ40A,40Bと中間絶縁部材50からなり、金型製作での負担を軽減できる3ピース構造であるが、中間絶縁部材50をプラグボディ40A,40Bと一体に備えた2ピース構造にしても良く、この第1の変形構造のプラグ60を図13及び図14(A)(B)に示している。
【0040】
第1の変形構造のプラグ60は、第1プラグボディ40Aと中間絶縁部材50がこれらの左右両端部で相対向している第1プラグボディ40Aのカバー43の前側壁表面と中間絶縁部材50の取手片54の一側表面の2表面間でU字状で可撓性を有するリブ61によって一体に繋がれ、また第2プラグボディ40Bと中間絶縁部材50がこれらの左右両端部で相対向している第2プラグボディ40Bのカバー43の前側壁表面と中間絶縁部材50の取手片54の他側表面の2表面間でU字状で可撓性を有するリブ61によって一体に繋がれ、第1及び第2プラグボディ40A,40B間に中間絶縁部材50がフローティングを妨害しないように揺動可能に、第1及び第2プラグボディ40A,40Bと中間絶縁部材50とリブ61が一体に形成されている。
【0041】
上記のような第1の変形構造のプラグ60では、部品点数の削減により組み立てでの負担を軽減できる。
【0042】
また上記プラグ3は、第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30に中央屈曲部32を下向きに突出して設け、コネクタ高さを抑える必要のある接続に適した構造になっているが、中央屈曲部32を上向きに突出して設けても良く、この第2の変形構造のプラグ70を図15及び図16(A)(B)(C)に示している。
【0043】
第2の変形構造のプラグ70は、各プラグコンタクト30の中央部に各プラグコンタクト30が長さ方向に沿って略逆U字状に屈曲して上向きに突出した中央屈曲部71が設けられている。これに伴って中間絶縁部材50は、カバー部51の中央部が下側に開口する箱形状に形成されて横長な直方体状に盛り上がり、この盛り上がり部72の内側にカバー部51の下側表面に設けられた各コンタクト溝53間の仕切り壁(絶縁壁)が張り出して形成され、各コンタクト溝53が盛り上がり部72の内側に張り出して設けられている。そして、各プラグコンタクト30の中央屈曲部71は、盛り上がり部72の内側に設けられた各コンタクト溝53に1本づつ下側から嵌め込まれ、盛り上がり部72の内側で相互接触しないように絶縁状態で保持されると共に、盛り上がり部72によって上からと側方から覆われている。
【0044】
上記のような第1の変形構造のプラグ70では、第1及び第2プリント基板1A,1Bの間から第1及び第2ソケット2A,2B間に突出する突起物があり、第1及び第2プラグボディ40A,40B間の各プラグコンタクト30に下向きに突出して中央屈曲部32を設けることができない場合に有効である。
【0045】
なお、第2の変形構造のプラグ70も第1の変形構造のプラグ60と同様に、中間絶縁部材50がU字状で可撓性を有するリブ61によって第1及び第2プラグボディ40A,40Bに一体に繋がれ、第1及び第2プラグボディ40A,40Bと中間絶縁部材50と各リブ61が一体に形成されている2ピース構造になっているが、このような第1及び第2の変形構造のプラグ60,70の2ピース構造に対し、第1及び第2プラグボディ40A,40Bと中間絶縁部材50とリブ61を別々に成形し、成形後に別体の各リブ61によって中間絶縁部材50を第1及び第2プラグボディ40A,40Bに繋いでも良く、この場合、プラグはプラグコンタクト30とプラグボディ40A,40Bと中間絶縁部材50とリブ61の4ピース構造となる(図示しない第3の変形構造のプラグ)。
【0046】
ところで、上記プラグ3及びその第1〜第3の変形構造のプラグ60,70では、第1及び第2プラグボディ40A,40B間のプラグコンタクト30に中央屈曲部32,71を1つだけ設け、第1及び第2のプリント基板1A,1Bの間隔が狭い接続に適した構造になっているが、中央屈曲部32,71の設置数及び設置箇所は第1及び第2のプリント基板1A,1Bの間隔に応じて適宜選択することができる。
【0047】
以上、本実施の形態は本発明の好適な一実施の形態を示したが、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形実施することができる。例えばソケット側の構造については表面実装タイプを示したが、挿入実装タイプのものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施の形態に係るフローティングコネクタの底面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】図2のソケットとプラグを分離した状態を示す断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】図4のソケットとプラグを分離した状態を示す断面図である。
【図6】ソケットの外観を示す斜視図である。
【図7】プラグの外観を示す斜視図である。
【図8】(A)はプラグの底面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の右側面図である。
【図9】(A)はプラグコンタクト用連続端子の側面図、(B)は(A)の平面図である。
【図10】(A)はプラグボディの底面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の左側面図、(D)は(A)の右側面図、(E)は(A)の背面図、(F)は(A)のA−A線断面図である。
【図11】(A)は中間絶縁部材の底面図、(B)は(A)の平面図、(C)は(A)の右側面図、(D)は(A)の背面図、(E)は(A)のA−A線断面図である。
【図12】(A)(B)(C)はフローティングの説明図である。
【図13】第1の変形構造のプラグの外観を示す斜視図である。
【図14】(A)は第1の変形構造のプラグの一体構造のプラグボディと中間絶縁部材の底面図、(B)は(A)の平面図である。
【図15】第2の変形構造のプラグの外観を示す斜視図である。
【図16】(A)は第2の変形構造のプラグの平面図、(B)は(A)の底面図、(C)は(A)のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1A 第1プリント基板
1B 第2プリント基板
2A 第1ソケット
2B 第2ソケット
3 プラグ
20 ソケットボディ
23 ソケットコンタクト
30 プラグコンタクト
40A 第1プラグボディ
40B 第2プラグボディ
50 中間絶縁部材
53 コンタクト溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のソケットコンタクトを絶縁性のソケットボディに並列に保持してなり、水平方向に並列配置される第1及び第2プリント基板に実装する第1及び第2ソケットと、細長い導体からなり可撓性を有する複数のプラグコンタクトの両端部を絶縁性の第1及び第2プラグボディに並列に保持してなるプラグとを備え、前記プラグの第1及び第2プラグボディを前記第1及び第2ソケットのソケットボディに嵌合し、前記プラグの各プラグコンタクトの両端部を前記第1及び第2ソケットのソケットコンタクトに接触保持させ、前記第1及び第2プリント基板を水平に接続するフローティングコネクタにおいて、前記プラグが、第1及び第2プラグボディ間の各プラグコンタクトを略全長にわたって上から覆う中間絶縁部材を備え、該中間絶縁部材が下面に第1及び第2プラグボディ間の各プラグコンタクトを挿通する複数のコンタクト溝を並列に設けることを特徴とするフローティングコネクタ。
【請求項2】
第1及び第2プラグボディと中間絶縁部材を一体に繋ぐ可撓性を有するリブを設ける請求項1に記載のフローティングコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−16271(P2008−16271A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−185123(P2006−185123)
【出願日】平成18年7月5日(2006.7.5)
【出願人】(000194918)ホシデン株式会社 (527)
【Fターム(参考)】